JPH07295604A - Pid調節器のパラメータ調整装置 - Google Patents

Pid調節器のパラメータ調整装置

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JPH07295604A
JPH07295604A JP6088495A JP8849594A JPH07295604A JP H07295604 A JPH07295604 A JP H07295604A JP 6088495 A JP6088495 A JP 6088495A JP 8849594 A JP8849594 A JP 8849594A JP H07295604 A JPH07295604 A JP H07295604A
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constant
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pid controller
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JP6088495A
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Inventor
Toshikatsu Fujiwara
敏勝 藤原
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 PID調節器を接続したままの閉ループ系の
状態で最適なパラメータを短時間で求めて、PID調節
器のパラメータを調整できるようにする。 【構成】 フィードバックループに比例・積分・微分の
3動作からなるPID調節器1を配置し、パラメータ調
整装置100により目標値rと制御量yとの制御偏差e
に基づいてプロセス2の操作量を算出する。同定部10
は、プロセス2を次式「yk =ayk-1 +b1k+b2
k-1 +c1k-1 +c2k-2 +c3」(但し、y:
制御量、u:操作量、d:既知外乱、a,b,c:パラ
メータ)の構造の自己回帰移動平均モデルで近似し、プ
ロセス2のむだ時間L、ゲインλ、一次遅れ特性の時定
数τ1 及び一次進み特性の定数τ2 を最小二乗法で同定
する。調整パラメータ設定部11は、同定の結果、得ら
れたL,λ,τ1 ,τ2 ,の値によりパラメータKp
s 、Td を算出し、表示部12に表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロセス制御等に適用
されるPID調節器のパラメータ調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、PID調節器を用いたプロセス
制御装置は、図4に示すように構成されている。即ち、
PID調節器1は、常時目標値rにプロセス2の制御量
yを近づけるために減算器3で制御偏差eを取込み、演
算処理した後、操作量uをプロセス2に出力する。この
場合、既知外乱dを受けて制御量yが変動するプロセス
2を対象としている。
【0003】そして、上記PID調節器1のパラメータ
を調整する場合は、PID調節器1をプロセス2からa
点でカットして操作量uのステップ状変化に対する制御
量yの挙動を求めて、むだ時間特性のむだ時間Lと一次
遅れ特性の時定数τでプロセス2の特性を近似して表わ
した後、ジーグラ・ニコルス法等の教科書に掲載されて
いる手法でPID調節器のパラメータを決めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来におけるPID調
節器のパラメータ調整装置は、調節パラメータをジーグ
ラ・ニコルス法等一般的な手法で決めるか、あるいは試
行錯誤により求めている。しかし、前者のジーグラ・ニ
コルス法等の一般的な手法による調整法には限界があ
り、高制御性能は得難いという問題がある。また、後者
の試行錯誤により求める方法では、高い制御性能を得る
までに長時間を要し、場合によっては高い制御性能が得
られないことがある。
【0005】また、従来の方法では、PID調節器をカ
ットして、開ループでの運転を余儀なくされるため、場
合によっては危険な状態が起こる可能性がある。本発明
は上記実情に鑑みてなされたもので、PID調節器を接
続したままの閉ループ系の状態で最適なパラメータを短
時間で求めて、PID調節器のパラメータを調整できる
と共に、調整のための決められた波形の外乱を印加する
必要のないPID調節器のパラメータ調整装置を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るPID調節
器のパラメータ調整装置は、フィードバックループに配
置され、目標値とプロセスの観測値である制御量との制
御偏差に基づいて上記プロセスの操作量を得る比例・積
分・微分の3動作からなるPID調節器において、プロ
セスを次式 yk =ayk-1 +b1k+b2k-1 +c1k-1
2k-2 +c3 (但し、y:制御量、u:操作量、d:既知外乱、添字
k-1 :k-1 ΔT を意味し、ΔT はサンプリング周期、
a,b1 ,b2 ,c1 ,c2 ,c3 :モデルのパラメー
タ)の構造の自己回帰移動平均モデルで近似し、プロセ
スのむだ時間L、ゲインλ、一次遅れ特性の時定数τ1
及び一次進み特性の定数τ2 を最小二乗法で同定する同
定手段と、上記同定の結果、得られたむだ時間の値L、
ゲインλ、一次遅れ特性の時定数τ1 及び一次進み特性
の定数τ2 の値に基づいて、比例ゲインKp 、リセット
率Rs 、及び微分時間Td のパラメータ値を算出する手
段と、この手段で算出されたパラメータ値を表示する表
示手段とを具備したことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明におけるPID調節器のパラメータ設定
法は、K/s法によっている。ここで、K/s法とは、
フィードバックループにPID調節器を配置して、その
PID調節器のパラメータを操作して一巡伝達関数を積
分特性を意味するK/sに近づける方法である。なお、
sはラプラス演算子で、Kの値は、指定されたゲイン余
裕になるように以下に示す演算式で求められる。
【0008】上記演算式とは、プロセスの操作量に対す
る制御量の伝達特性を、むだ時間特性と一次進み遅れ特
性で近似し、その特性から得られるゲインλ、むだ時間
の値L、遅れ時定数τ1 及び進み特性の定数τ2 の値を
使って、ゲイン余裕を指定した値にするために、PID
調節器に含まれるKを求める式のことである。
【0009】本発明では、PID調節器のパラメータを
設定するために、初めにプロセスを同定する必要があ
る。そのために、ここでは最小二乗法によるプロセスの
同定法について説明する。
【0010】まず、本発明では、プロセスを次式の構造
のARMA(自己回帰移動平均)モデルで近似する。 yk =ayk-1 +b1k +b2k-1 +c1k-1 +c2k-2 +c3 …(1) ここで、 y:制御量 u:操作量 d:既知外乱 添字k−1:k−iΔTを意味し、ΔTはサンプリング
周期 a,b1 ,b2 、c1 ,c2 ,c3 :モデルのパラメー
タ モデルのパラメータを同定するためには、観測値とし
て、制御量y、操作量uおよび既知外乱dを予め時系列
で1パターン分(負荷上げ下げ時の挙動等)を収録して
おく必要がある。なお、サンプリング周期は、ユーザが
指定したプロセスの推定総時定数(むだ時間L+一次遅
れ特性の時定数τ1 )の1/10程度とする。そして、
その観測値を使って最小二乗法によりモデルのパラメー
タを推定する。ここで、(1)式を採用することによ
り、操作量uに対する制御量yの関係のみを取り出せ
ば、それは一次進み遅れ特性になっていることを以下に
述べる。
【0011】「(1)式の操作量uに対する制御量yの
関係が一次進み遅れ特性になる根拠」操作量uに対する
制御量yの関係が一次進み遅れ特性の場合、次式の関係
が成立つ。
【0012】 y=[{λ(1+τ2 s)}/(1+τ1 s)]u …(2) ここで、当然のことではあるが一次遅れ特性の時定数τ
1 は正でなければならない。
【0013】上記(2)式の分母を左辺に移すと次式に
なる。 (1+τ1 s)y=λ(1+τ2 s)u …(3) 従って、(3)式を離散系で表わすと次式になる。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、 a=1−(ΔT/τ1 ) b1 =λτ2 /τ12 =b1 {(ΔT/τ2 )−1} λ :ゲイン τ1 :一次遅れ特性の時定数 τ2 :一次進み特性の定数 となり、(1)式の右辺第1項から第3項までで、一次
進み遅れ特性を表わせることが分かる。
【0016】従って、(6)式よりプロセスのゲイン
λ、遅れ特性の時定数τ1 および進み特性の定数τ2
求めると次のとおりである。 λ=(b1 +b2 )/(1−a) τ1 =ΔT/(1−a) τ2 =b1 τ1 /λ 次に、プロセスのむだ時間Lを同定するために、本発明
では、次式に示すように(1)式でのb1k 、b2
k-1 をb1k-1 、b2k-2 あるいは、b1k-2
2k-3 ,…等に置換えて最小二乗法の誤差が最も少
なくなるb1k-n+1 、b2k-n の組を探し出し、そ
の結果により、むだ時間Lを同定する。
【0017】
【数2】
【0018】たとえば、最小二乗法によるパラメータ同
定の結果、b1k 、b2k-1 を採用した(8)式の
同定誤差が最小になった場合には、むだ時間LはL=0
とし、b1k-1 、b2k-2 を採用した場合の同定誤
差が最小になった場合には、L=ΔT、そして、b1
k-n+1 、b2k-n が採用された場合には、L=(n−
1)ΔTとする。ここで、同定誤差とは、最小二乗法で
求めたパラメータa,b1 ,b2 ,c1 ,c2 ,c3
使ったモデルの出力y^(t)とプロセスの制御量y
(t)の誤差の自乗値を1パターン分だけ時間積分した
値のことである。
【0019】即ち、前述の方法でプロセスのむだ時間L
が算出できたので、ゲインλ、一次遅れ特性の時定数τ
1 及び一次進み特性の定数τ2 は、最小二乗法の誤差が
最も少なくなったときのb1k ,b2k-1 あるいは
1k-1 ,b2k-2 ,…,b1k-n+1 ,b2
k-n 等が採用された式で得られたパラメータa,b1
2 を使って以下の式で算出する。
【0020】ただし、aの値は、0<a<1であるこ
と、そして、b2 の値がb2 >0、またはb2 <0のど
ちらであるかは、予め分かっている必要がある。そし
て、最小二乗法による同定の結果が、これらの条件を満
足しているものだけを採用する。たとえば、操作量uと
制御量yの関係が正のゲインである場合にはb2 >0の
ものの中から同定誤差が最小になるものを選び出し、む
だ時間Lの値を決める。
【0021】前述したように、操作量uと制御量yの関
係をむだ時間特性と一次進み遅れ特性で表わせたので、
次に、むだ時間特性の部分をPadeの近似式で近似す
ると以下の関係式が得られる。
【0022】
【数3】
【0023】さらに、一巡伝達関数をK/sに近づける
ために、補償器(PID調節器)の特性として次式を採
用する。まず、微分動作を外した場合を述べる。 Gc (s)={κ(1+Ts)/Ts} …(10) ここで、 Gc ;補償器(PID調節器でD動作を外した場合、す
なわち、PI調節器)の伝達特性 T=0.5L+τ1 −τ2 (τ1 ≧τ2 ≧0のとき) T=0.5L+τ1 (τ2 <0のとき) T=0.5L (τ2 >τ1 のとき) その結果、近似的な一巡伝達特性GL (s)として、
(9)式と(10)式により次式を得る。
【0024】
【数4】
【0025】ここで、 K=κλ/T 即ち、(10)式のGc (s)を採用すれば、目的とす
るK/sが近似的に得られる。また、(10)式の補償
器は、慣例のPI調節器のパラメータと対比させること
ができ、次式の関係となる。
【0026】 Gc (s)={κ(1+Ts)/Ts} =Kp (1+Rs /s) …(12) ここで、 Kp =κ Rs =1/T 次に、前述のパラメータκの算出方法を以下に説明す
る。
【0027】補償器の特性を、 Gc (s)={κ(1+Ts)/Ts} とし、プロセスの特性を、
【0028】
【数5】
【0029】そこで、系が安定で、かつ制御性能がよい
適切なκを如何に設定するかを以下に述べる。まず、一
巡伝達特性GL (s)に位相が−180deg になるとき
の角速度ωoを求める。
【0030】(13)式の一巡伝達特性GL (s)は、
次の4要素から成り立っていることが分かる。 積分要素 κλ/Ts 一次進み要素 (1+Ts)、および(1+τ2 s) むだ時間要素 e-Ls 一次遅れ要素 1/(1+τ1 s) また、それぞれの位相は次のとおりである。
【0031】 積分要素 −90 deg 一次進み要素 tan -1(Tω)、およびtan -1(τ2 ω) deg むだ時間要素 −180Lω/π deg 一次遅れ要素 tan -1(−τ1 ω) deg
【0032】
【数6】
【0033】上式でtan -1(・)の単位はdeg である。
また、右辺にもω0 を含んでいるため、繰り返し計算等
の方法でω0 を算出する必要がある。なお、tan
-1(・)の単位をrad で扱う場合には次式になる。
【0034】 ω0 =π/2L[1+(2/π){tan -1(Tω0 ) +tan -1(τ2 ω0 )+tan -1(−τ1 ω0 )}] rad/s …(15′) 同様にして、前述で求めたω0 における一巡伝達特性G
L (s)のゲイン|GL (s)|は以下により求められ
る。
【0035】一巡伝達特性GL (s)は、前述した次の
3要素からなり、それぞれのゲインは、次のとおりであ
る。 積分要素 κλ/Tsのゲインは、κλ/(Tω) 一次進み要素 (1+Ts)、および(1+τ2 s)のゲインは、 {(Tω)2 +1}0.5 および{(τ2 ω)2 +1}
0.5 むだ時間要素 e-Ls のゲインは、1 一次遅れ要素 1/(1+τ1 s)のゲインは、{(τ1 ω)2 +1}
-0.5 従って、ゲイン|GL (s)|は次式になる。
【0036】 |GL (s)|=κλω-1[{(Tω)2 +1}{(τ2 ω)2 +1} *{(τ1 ω)2 +1}-10.5 /T …(16) 従来から良く知られている経験則によれば、ゲイン余裕
βは、プロセス制御の場合には3〜9dBが良いとされ
ている。ここでは、ゲイン余裕として6dBを採用す
る。なお、ゲイン余裕βの値については、この値に限定
されているものではない。参考までに、サーボ系では、
10〜20dBが良いとされている。
【0037】そこで、G(s)の位相が−180deg に
なるω0 は、前述の手順で算出できたので、そのときの
ω0 におけるゲイン|G(s)|が、ゲイン余裕βで6
dB(約0.5)になるようなκを算出する。結果は、
次のとおりである。
【0038】 κ=βt{(T2 +ω0 -2)(τ2 2 ω0 2 +1) (τ1 2 ω0 2 +1)-1-0.5/λ …(17) ここで、β=0.5(ゲイン余裕が6dBの場合に相
当)である。
【0039】以上により、適切なPID調節器のパラメ
ータKp 、Rs およびTd を計算するためのκ、τ1
τ2 、Lが得られることになる。したがって、次の関係
式で、比例ゲインKp 、リセット率Rs および微分時間
d の値を算出する。
【0040】Kp =κ Rs =1/T ここで、 T=0.5L+τ1 −τ2 (τ1 ≧τ2 ≧0のとき) T=0.5L+τ1 (τ2 <0のとき) T=0.5L (τ2 >τ1 のとき) ただし、次式の関係を満すときは、微分時間Rd も決定
する。
【0041】|τ2 /τ1 |≦σ Td =0.5L(τ1 −τ2 )T (|τ2 /τ1 |≦σ、かつτ1 ≧τ2 ≧0のとき) Td =0.5Lτ1 /T (|τ2 /τ1 |≦σ、かつτ2 <0のとき) 上記のようにして比例ゲインKp 、リセット率Rs およ
び微分時間Td の値が算出される。
【0042】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図1(a)は、本発明の対象とするPID調節
器1とプロセス2の関係を示し、図1(b)に本発明の
PID調節器1のパラメータ調整装置(チューニング装
置)100の概念図を示す。
【0043】本発明では、図1(a)に示すように既知
外乱(d)を受けて制御量(y)が変動するプロセス2
を対象とする。PID調節器1は、目標値(r)に制御
量(y)を常時に近づけるために減算器3で制御偏差
(e)を算出し、後述の演算後、操作量(u)を出力す
る。PID調節器1の演算は、制御偏差(e)を係数器
4(比例ゲインKp )を介して得られた値を3方向に伝
える。第1は、直接に加算器5に、第2は係数器6(リ
セット率Rs )を通して積分器7に入力し、その出力を
加算器5に入力する。第3は、微分器8を通して係数器
9(微分時間Td)に入力し、その出力を加算器5に入
力する。
【0044】前述の対象で、既知外乱(d)又は目標値
(r)が変動しているときの操作量(u)、制御量
(y)及び既知外乱(d)を時系列データとして収録
し、そのデータを繰返し発生させてオフラインでPID
調節器のパラメータKp 、Rs 、Td を決定するのが、
図1(b)に示すパラメータ調整装置100である。
【0045】上記PID調節器1のパラメータ調整装置
100は、同定部10、調整パラメータ設定部11、パ
ラメータ表示部12からなっている。同定部10は、既
知外乱(d)及び操作量(u)が入力され、最小二乗法
で求めたパラメータを使ったモデルy^(t)を出力す
る。このモデルの出力y^(t)を減算器13に入力し
てプロセス2の制御量y(t)の誤差δを求め、同定部
10に入力する。また、同定部10は、同定処理により
むだ時間L、時定数τ1 ,τ2 及びゲインλを得て調整
パラメータ設定部11に出力する。この調整パラメータ
設定部11は、上記むだ時間L、時定数τ1 ,τ2 及び
ゲインλの値から、比例ゲインKp ,リセット率Rs
微分時間Td を算出してパラメータ表示部12へ出力す
る。
【0046】以下、上記パラメータ調整装置100の詳
細について説明する。上記同定部10は、図2のフロー
チャートに示す同定アルゴリズムに従って同定処理を実
行する。
【0047】まず、図2のステップA1 に示すようにP
ID調節器1のパラメータを初期設定する。この初期設
定は、制御性能は不十分でも制御系が安定する値、即
ち、一般的には小さな値を設定する。
【0048】次にステップA2 に示すように既知外乱d
(t)を変動させたときの既知外乱d(t)、操作量u
(t)及び制御量y(t)の挙動を、時系列で1パター
ン分収録する。例えば通常運転の負荷上げ下げ時の挙動
などが、1パターン分に相当する。なお、サンプリング
周期ΔT は、ユーザが指定したプロセスの推定総時定数
(むだ時間+一次遅れの時定数)の1/10程度とす
る。
【0049】そして、ステップA3 に進み、上記収録し
た既知外乱d(t)、操作量u(t)及び制御量y
(t)の値を使用して、(8)式の右辺の第2項と第3
項をb1k 、b2k-1 にして、パラメータa,b
1 ,b2 ,c1 ,c2 ,c3 を最小二乗法で同定する。
そして、そのときの同定誤差δを求めておく。この同定
誤差δとは、最小二乗法で求めたパラメータa,b1
2 ,c1 ,c2 ,c3 を使ったモデルの出力y^
(t)とプロセスの制御量y(t)の誤差の自乗値を1
パターン分だけ時間積分した値である。同様にして上記
同定処理を繰り返す。但し、同定処理を繰り返す毎に
(8)式の右辺の第2項と第3項のb1k 、b2
k-1 をb1k-1 、b2k-2 に、また、b1k-1
2k-2 からb1k-2 、b2k-3 等、順次に置換
えて同定誤差δを求めておく。
【0050】更に、ステップA4 に示すように上記ステ
ップA3 の同定の結果、b1k 、b2k-1 を採用し
た(8)式の同定誤差δが最小になった場合には、むだ
時間はL=0とし、b1k-1 、b2k-2 を採用した
場合の同定誤差δが最小になった場合には、L=ΔT 、
そして、b1k-n+1 、b2k-n を採用した同定誤差
δが最小になった場合には、L=(n−1)ΔT とす
る。ただし、aの値は、0<a<1であること、そし
て、b2 の値がb2 >0、またはb2 <0のどちらであ
るかは、予め分かっている必要があり、これらの条件を
満足しているものだけを採用する。例えば、操作量uと
制御量yの関係が正のゲインである場合には、b2 >0
のものの中から同定誤差δが最小になるものを選び出
し、むだ時間Lの値を決める。
【0051】その後、ステップA5 に進み、前述の方法
でプロセスのむだ時間Lを算出し、ゲインλと一次遅れ
特性の時定数τ1 、一次進み特性の定数τ2 は、同定誤
差δが最も少なくなったときのb1k 、b2k-1
たはb1k-1 、b2k-2,…,b1k-n+1 、b2
k-n 等が採用された式で得られるパラメータa,b
1 ,b2 を使って算出する。関係式は λ=(b1 +b2 )/(1−a) τ1 =ΔT /(1−a) τ2 =b1 τ1 /λ である。
【0052】上記図2に示した同定アルゴリズムで得ら
れたプロセスのむだ時間L、ゲインλ、一次遅れ特性の
時定数τ1 および一次進み特性の定数τ2 を使って、調
整パラメータのKp 、Rs およびTd を設定する調整パ
ラメータ設定部11について図3により説明する。
【0053】図3に示すように、むだ時間L15をリミ
ッタ19を介して、0.5の値に設定された係数器20
に入力し、同時に除算器21の分母に入力する。一次遅
れ特性の時定数τ1 17と一次進み特性の定数τ2 18
は、減算器22に入力された「τ1 −τ2 」の減算が行
なわれる。ただし、減算器22には、出力にリミットが
かけられる。そして、リミット値の低側(LL)は零に
設定されて、高側(UL)には非常に大きな値(例えば
UL=1000)が設定される。
【0054】上記減算器22の出力と一次遅れ特性の時
定数τ1 17の値は、最小値選択回路23に供給され
る。最小値選択回路23の出力24と係数器20の出力
25は、加算器26で加算されて出力27となる。この
加算器26の出力27は乗算器28の一方の入力端に入
力されて、代数ループの演算を避けるために設けた一次
遅れ要素29の出力ω0 30を前述の乗算器28の他方
の入力端に入力される。同様に、時定数τ1 17は符号
変換器31を介して乗算器32の一方の入力端に入力さ
れ、乗算器32の他方の入力端には出力ω0 30が入力
される。
【0055】また、定数τ2 18は乗算器33の一方の
入力端に入力されて、乗算器33の他方の入力端には出
力ω0 30が入力される。なお、一次遅れ要素29の時
定数は小さな値にしておく。乗算器28の出力は逆三角
関数のtan -1の演算要素34に入力され、また乗算器3
2の出力もtan -1の演算要素35に入力される。同様
に、乗算器33の出力もtan -1の演算要素36に入力さ
れる。そして、前述のtan -1の演算要素34〜36は加
算器37で加算され、その出力は2/πの値の係数器3
8に入力される。ここで、tan -1の演算要素34〜36
の出力の単位はラジアンである。係数器38の出力は加
算器39に入力され、この加算器39には更に1の値を
出力する定数器40の出力が入力される。加算器39の
出力は2/πの値の係数器41に入力され、係数器41
の出力は除算器21の分子に入力される。そして、除算
器21の出力が一次遅れ要素29の入力となる。
【0056】以上により、ゲイン余裕を計算するときに
必要となる一巡伝達特性が−180deg になる角周波数
ω0 が求まる。また、上記加算器26の出力27は、乗
算器42により自乗されて加算器50に入力される。一
次遅れ要素29の出力ω0 30は、乗算器43により自
乗されて除算器49、乗算器44,45に入力される。
除算器49は、乗算器43の出力が分母に、定数器46
の出力が分子に入力される。この除算器49の除算結果
は、加算器50により乗算器42の出力と加算されて乗
算器54へ送られる。
【0057】乗算器44は、時定数τ1 17を自乗し、
その値に乗算器43の出力を掛算して加算器51へ出力
する。加算器51は、乗算器44と定数器47の出力を
加算して除算器52へ出力する。この除算器52は、加
算器51の出力が分母に、定数器47の出力が分子に入
力され、その除算結果を乗算器54へ出力する。
【0058】乗算器45は、定数τ2 18を自乗し、そ
の値に乗算器43の出力を掛算して加算器53へ出力す
る。この加算器53は、乗算器45と定数器47の出力
を加算して乗算器54へ出力する。乗算器54は、加算
器50の出力、除算器52の出力および加算器53の出
力を掛算して開平器55へ出力する。開平器55は、乗
算器54の出力を開平して除算器57へ出力する。この
除算器57は、開平器55の出力が分母に、1の値を出
力する定数器56の出力が分子に入力され、その除算結
果を乗算器59へ出力する。
【0059】乗算器59は、除算器57の出力、加算器
26の出力27およびゲイン余裕βの値の定数器58の
出力を乗算し、その乗算結果を除算器60へ出力する。
この除算器60は、ゲインλ16が分母に、乗算器59
の出力が分子に入力され、その除算結果κ61がPID
調節器1のパラメータKp (比例ゲイン)として取り出
される。なお、ゲインλ16は正の値とする。
【0060】また、除算器62は、1の値を出力する定
数器63の出力が分子に入力され、加算器26の出力2
7が分母に入力される。この除算器62の出力64がP
ID調節器1のパラメータRs (リセット率)となる。
【0061】除算器65は、時定数τ1 17が分母に、
定数τ2 18が分子に入力され、その除算結果を絶対値
発生器66へ出力する。この絶対値発生器66は、|τ
2 /τ1 |67を発生して比較器68へ出力する。この
比較器68は、絶対値発生器66の出力|τ2 /τ1
67が指定値σ(たとえば0.1の値)より小さくなれ
ば出力の値として1を発生し、それ以外では0を発生す
る。乗算器69は、比較器68の出力と係数器20の出
力25および最小値選択回路23の出力24を乗算し、
除算器70へ出力する。この除算器70は、乗算器69
の出力が分子に、加算器26の出力Tが分母に入力され
る。そして、この除算器70の出力71がPID調節器
1のパラメータTd (微分時間)となる。
【0062】なお、上記実施例で説明した回路は、PI
D調節器1台分であるが、多数からなるPID調節器の
パラメータ調整には、その分だけ用意すれば一度に全て
のパラメータの調整が可能である。
【0063】上記のようにPID調節器1を接続したま
まの閉ループ系の状態で、PID調節器1のパラメー
タ、即ち比例ゲインKp 、リセット率Rs 、微分時間T
d の値を算出することができる。これらのパラメータ
は、図1(b)におけるパラメータ表示部12に表示さ
れる。従って、調整員は、このパラメータ表示部12に
表示された値からPID調節器1のパラメータをオフラ
インで設定することができる。
【0064】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、P
ID調節器を接続したままの閉ループ系の状態で、PI
D調節器のパラメータの調整が可能である。この調整に
必要なパラメータは、短時間で最適なものを求めること
ができる。また、調整のための決められた波形の外乱を
印加する必要がなく、通常運転の負荷変動時の観測デー
タがあれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るPID調節器のパラメ
ータ調整装置の概念図。
【図2】同実施例における同定部の処理動作を示すフロ
ーチャート。
【図3】同実施例における調整パラメータ決定部の回路
構成図。
【図4】従来のPID調節器におけるパラメータ調整法
の一例を示す図。
【符号の説明】
1 PID調節器 2 プロセス 3 減算器 4 係数器(比例ゲインKp ) 5 加算器 6 係数器(リセット率Rs ) 7 積分器 8 微分器 9 係数器(微分時間Td ) 10 同定部 11 調整パラメータ設定部 12 パラメータ表示部 20,38,41 係数器 21,49,52,57,60,62,65,70 除
算器 23 最小値選択回路 26,37,39,50,51,53 加算器 28,32,33,42,43,44,45,54,5
9,69 乗算器 29 一次遅れ要素 31 符号変換器 34,35,36 逆三角関数のtan -1の演算要素 40,46,47,48,56,58,63 定数器 55 開平器 66 絶対値発生器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィードバックループに配置され、目標
    値とプロセスの観測値である制御量との制御偏差に基づ
    いて上記プロセスの操作量を得る比例・積分・微分の3
    動作からなるPID調節器において、 プロセスを次式 yk =ayk-1 +b1k+b2k-1 +c1k-1
    2k-2 +c3 (但し、y:制御量、u:操作量、d:既知外乱、添字
    k-1 :k-1 ΔT を意味し、ΔT はサンプリング周期、
    a,b1 ,b2 ,c1 ,c2 ,c3 :モデルのパラメー
    タ)の構造の自己回帰移動平均モデルで近似し、プロセ
    スのむだ時間L、ゲインλ、一次遅れ特性の時定数τ1
    及び一次進み特性の定数τ2 を最小二乗法で同定する同
    定手段と、 上記同定の結果、得られたむだ時間の値L、ゲインλ、
    一次遅れ特性の時定数τ1 及び一次進み特性の定数τ2
    の値に基づいて、比例ゲインKp 、リセット率Rs 、及
    び微分時間Td のパラメータ値を算出する手段と、この
    手段で算出されたパラメータ値を表示する表示手段とを
    具備したことを特徴とするPID調節器のパラメータ調
    整装置。
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