JPH0729546A

JPH0729546A - 小型低圧放電ランプおよびバックライト装置

Info

Publication number: JPH0729546A
Application number: JP5168984A
Authority: JP
Inventors: Miho Saito; 美保斉藤
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1993-07-08
Filing date: 1993-07-08
Publication date: 1995-01-31

Abstract

(57)【要約】【目的】電極の組立作業が容易であるとともに発光効
率の向上がはかれ、また、熱容量的には小さくても電子
放射性物質の保持量を多くすることができる、作業性、
始動性および放電安定性の向上と長寿命の小型低圧放電
ランプおよびこのランプを光源としたバックライト装置
を提供することを目的とする。【構成】バルブ１の端部に封着されたリード線５に放
電空間側に拡開するよう対向して取着された一対の板状
電極３およびこの板状電極３間に位置するとともに上記
板状電極３に支持された電子放射性物質を担持した金属
コイル４からなる電極２を備えた小型低圧放電ランプＬ
およびこのランプＬを光源としたバックライト装置。【効果】ランプ内の有効発光長が長くなり、その分発
光効率が向上でき、また、コイルの取付作業が容易にな
るとともにその取付け強度を向上させることできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はパソコン、ワープロなど
のＯＡ機器やテレビあるいはディスプレイや装飾表示な
どの表示機器においてバックライト装置として使用され
る小型低圧放電ランプおよびこの放電ランプを用いたバ
ックライト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、液晶表示装置（以下ＬＣＤと略称
する。）を用いた小型のパソコンやテレビなどは薄型化
や高輝度のカラー化がすすめられている。このＬＣＤを
照明するためのバックライト装置に使用されるたとえば
蛍光ランプは入力が小さく、通常の一般照明用の蛍光ラ
ンプに比べ、細径で小型化され低消費電力で、同時に高
輝度、高演色性で長寿命なものが要求されている。こと
に、これら装置は民生用のためランプ交換が行われない
のが原則で、１万時間以上の寿命が要求されている。

【０００３】このため、バックライト装置用の小型蛍光
ランプは、低消費電力に適合するよう電流と電圧、封入
する希ガスの種類や水銀の量などとともに寿命の観点か
らも最適な電極の設計がなされている。

【０００４】このようにランプを小型化するには、電極
部も小型化する必要があり、小型で温度上昇が早くて輝
度が高く、かつ、消費電力を少なくするために、線径の
細いタングステン素線を二重に巻回したフィラメントコ
イルを用いた熱陰極型のものがある。

【０００５】しかし、この熱陰極型のものはフィラメン
トコイルが細径のためその支持が困難であるとともに振
動や衝撃に対して弱く、フィラメントコイルをスリーブ
内で支持させるなどの対応がなされてきているが構造が
複雑になるとともに、細径のフィラメントコイルでは電
子放射性物質の保持量も多くできないことから寿命上の
問題もある。

【０００６】そこで、本発明者等は板状や円筒状の冷陰
極を電極としたランプを検討した。まず、ニッケル板な
どの平板状の電極を備えたランプは電子放射性物質の保
持量を多くすることができず、長寿命のランプが得られ
なかった。

【０００７】また、金属パイプの中空部に電子放射性物
質を塗布したフィラメントコイルを配設した電極を有す
るランプが、たとえば実開昭６４−１９２５１号公報に
記載されている。

【０００８】この公報に基づくランプは、上記の平板状
の電極を用いたランプに対し、陰極降下電圧が低いた
め、同じ光束で比べると消費電力が小さくなる作用があ
った。また、電子放射性物質がスパッタにより飛散した
り蒸発しても、カップ状体の内壁や金属板体に遮断さ
れ、バルブ内壁面への被着は低減された。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に基
づくランプの電極は、板状の電極を用いたランプより寿
命を長くできたが、パイプの中空部にフィラメントコイ
ルを位置決めして固定する組立作業が困難で作業性がよ
くなく、また、放電時パイプ状体内の放電は発光に寄与
しないので有効発光長が短くなり、その分発光効率が低
下し、未だ満足のいくものではなかった。

【００１０】本発明は上記問題に鑑みなされたもので、
電極の組立作業が容易であるとともに発光効率の向上が
はかれ、また、熱容量的には小さくても電子放射性物質
の保持量を多くすることができる、作業性、始動性およ
び放電安定性の向上と長寿命の小型低圧放電ランプおよ
びこのランプを光源としたバックライト装置を提供する
ことを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の小型低圧放電ランプは、バルブと、このバルブの端部
に封着されたリード線と、このリード線に放電空間側に
拡開するよう対向して取着された一対の板状電極および
この板状電極間に位置するとともに上記板状電極に支持
された電子放射性物質を担持した金属コイルからなる電
極と、上記バルブ内に封入された希ガスとを具備したこ
とを特徴としている。

【００１２】本発明の請求項２に記載の小型低圧放電ラ
ンプは、金属コイルの両端が板状電極に取付けられてい
ることを特徴としている。

【００１３】本発明の請求項３に記載の小型低圧放電ラ
ンプは、ランプのバルブ外径が１０ｍｍ以下、消費電力
が５Ｗ以下であることを特徴としている。

【００１４】本発明の請求項４に記載のバックライト装
置は、請求項１ないし請求項３に記載の小型低圧放電ラ
ンプを光源としたことを特徴としている。

【００１５】

【作用】Ｖ字形やコ字形など側方が開放されている板状
電極であるので、フィラメントコイルの取付け作業が容
易である。また、点灯時この板状電極の開放されている
側方部分から放電が延在するので、実質的に発光長が長
くなり発光効率が向上できる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１はＬＣＤのバックライト装置などに使用され
る小型低圧放電ランプたとえば直管形の消費電力が５Ｗ
以下の２．３Ｗの蛍光ランプＬを示す。このランプＬは
外径が１０ｍｍ以下の約４．０ｍｍ、内径が約３．０ｍ
ｍ、全長が約２２０ｍｍのガラス管バルブ１の両端にそ
れぞれ電極２、２を支持したリード線５、５を封着して
構成されている。

【００１７】このバルブ１の内壁面には青色、緑色、赤
色に発光領域を有する蛍光体を混合した３波長形蛍光体
層６が形成されている。また、このバルブ１内にはＡｒ
（アルゴン）やＡｒとＮｅ（ネオン）との混合希ガスが
約５０〜１２０トールと水銀が封入されている。

【００１８】上記電極２、２は図２に拡大して示すよう
に、ニッケル（Ｎｉ）やニッケル（Ｎｉ）メッキした鉄
（Ｆｅ）などからなる金属板を幅約２ｍｍ×長さ約１２
ｍｍ程度に切取り，その中心部から折曲して折曲部に並
行部３ａを形成するとともに上下を約３０度対向して拡
開させ、側面から見るとＶ字形をなした板状電極３であ
る。そして、４は線径約０．０１８２ｍｍのタングステ
ン線を巻回した長さ約８ｍｍの熱陰極放電ランプ用のコ
イルで、その両端は上記板状電極３の並行部３ａ間に挟
圧されて取付けられている。また、このコイル４の表面
やピッチ間には電子放射性物質（図示しない。）が被着
されている。

【００１９】また、この電極２は上記板状電極３が形成
した拡開側が放電空間に臨み並行部３ａをリード線５に
溶接することによって固着支持されている。

【００２０】なお、上記電子放射性物質の被着は、電極
２組立て後に板状電極３間にあるコイル４を電子放射性
物質であるたとえばＢａ₂ＣａＷＯ₆や（Ｂａ、Ｃａ、
Ｓｒ）ＣＯ₃と酢酸ブチルとからなる懸濁液中に浸漬し
引上げることによって行う。そして、ランプＬの排気工
程において電極２、２を高周波加熱によって加熱しコイ
ル４に被着した電子放射性物質を分解すると同時に板状
電極３が吸着していた不純ガスを放出させ、この後希ガ
スと水銀とを封入してバルブ１を封緘する。

【００２１】本発明のランプは、始動時に電極２のＶ字
形内に負グロー放電が生起し、グローのエネルギーがフ
ィラメントコイル４に集中し、フィラメントコイル４は
従来のメッシュより抵抗が高く局部的に温度が上昇し易
くなるので、グロー放電からアーク放電への転移時間が
速くなり、アークスポットを形成するのに必要な温度が
高くなることから電気特性や放電特性が安定する。この
ため、始動時の電子放射性物質の飛散消耗が少なくな
る。

【００２２】また、放電時Ｖ字形の一対の対向した板状
電極３間の開放部からの放電が発光に寄与するので有効
発光長が長くなり、その分発光効率が向上できる。ま
た、始動時や点灯中に電子放射性物質がスパッタにより
飛散したり蒸発しても、Ｖ字形の板状電極３内壁に遮断
され、バルブ１内壁面への被着は低減されるので、バル
ブ１の変色による発光効率の低下や外観の見劣りが防止
される。また、板状電極３は側面から見て上記のＶ字形
とした開放部があるので内部空間部がよく見え、フィラ
メントコイル４の取付作業が自動化できたりその取付け
強度を向上できるなど、作業が容易となるとともにラン
プの品質も上がる。

【００２３】このような構成の蛍光ランプＬを、所定の
高周波点灯回路に接続しランプ電流１０ｍＡ、ランプ電
圧２３０Ｖ、周波数３０ＫＨZ で点灯すると、通電後約
０．２秒程度で始動した。

【００２４】図３は本発明構成の電極を用いたランプＡ
と従来の放電電極（筒状体内に電子放射性物質を塗布し
たメッシュを配設した電極）を用いたランプＢとの特性
を対比して示すグラフで、横軸にグロー放電からアーク
放電へ転移するまでの時間（秒）、縦軸にグロー放電か
らアーク放電へ転移するまでのエネルギ（Ｗｇ）を目盛
りしてある。（なお、Ｗｇ＝Ｖｆ（フィラメント電圧）
×Ｉｆ（フィラメント電流）である。）図からも明らか
なように本発明品はグロー放電からアーク放電への転移
時間、すなわち始動所要時間が従来品０．４〜０．９秒
程度であるのに対し、０．２〜０．６秒程度と約半分の
時間に短縮できた。

【００２５】また、図４は本発明の板状電極の他の実施
例を示す。この電極２は、板状電極３が放電空間に向け
大きく開口された側面から見てコ字形をなしている。そ
して、このコ字形をなす空間内には板状電極３にその両
端部を溶接などの手段で取付けられたフィラメントコイ
ル４が配設されている。

【００２６】この実施例のものも上記実施例のものと同
様の作用効果を奏した。

【００２７】そして、本発明のランプＬは図５に示すよ
うに、光源として反射鏡Ｒ内に組み込み光拡散板Ｄおよ
び表示板Ｐと組合わせて、ディスプレイや装飾あるいは
テレビやパソコンなどの液晶表示装置のバックライトと
して使用し高効率が得られる。

【００２８】なお、本発明は上記実施例に限定されな
い。たとえば、ランプは蛍光ランプに限らず、希ガス発
光によるランプなど他の細管形の低圧放電ランプに適用
できる。

【００２９】また、バルブの形状は直管形に限らずＵ字
形、Ｗ字形、環形などに屈曲してあってもよい。

【００３０】また、電極は一対設けたものに限らず、中
間電極など３個以上の電極を有していてもよく、その複
数個の電極のうち少なくとも１個の電極が本発明の構成
であればよい。

【００３１】また、板状電極の材料としては実施例に記
載のものに限らず、ステンレス（Ｆｅ−Ｎｉ−Ｍｎ）、
タングステン（Ｗ）やモリブデン（Ｍｏ）などでもよ
く、また、その成型は一枚の金属板で形成したものに限
らず、２枚の金属板を対向して組立てもよい。また、板
状電極の拡開形状もＶ字形やコ字形に限らずＵ字形など
側方が開放されている形状であればよい。

【００３２】また、コイルに保持される電子放射性物質
は上記に記載のものに限らず、（Ｂａ、Ｃａ、Ｓｒ）
Ｏ、Ｂａ−Ｍ−Ｏ（Ｍ；Ｔａ、Ａｌ、Ｖ、Ｗ、Ｔｉ）、
Ｂａ−Ｃａ−Ｍ−Ｏ（Ｍ；Ｔａ、Ａｌ、Ｖ、Ｗ、Ｔｉ）
などやこれらを組合わせたものあるいはＡｌ₂Ｏ₃、Ｚ
ｒＯ₂、Ｓｒ₂Ｏ₃を少量添加したものなどであっても
い。

【００３３】さらに、板状電極に取付けるコイルは熱陰
極放電ランプに使用されるタングステン製のフィラメン
トコイルに限らず、モリブデンなどの材質であってもよ
く、その線径、巻数、ピッチ、多重コイル化や電子放射
性物質の材料や保持させる量は、取付けるランプの定格
（電流や寿命など）、バルブの管径や管長などに応じて
適宜決めればよい。さらに、このコイルは両端から通電
して加熱されるものではないので、コイルの一端側のみ
を板状電極に取付けておくだけでもよい。

【００３４】さらに、上記板状電極の表面に、ゲッタや
水銀放出構体が形成してあっても差支えない。

【００３５】さらに、本発明はリード線をバルブ端部に
直接封着したランプについて述べたが、これに限らずフ
レアステム、ボタンステムなどを用いて電極を支持させ
たものであってもよい。

【００３６】さらにまた、ランプに封入する希ガスはＡ
ｒやＮｅに限らず、Ｘｅ、Ｋｒなどを単独あるいは混合
したガスであってもよく、これもランプ特性に合わせ、
混合比や封入圧を適宜決めればよい。

【００３７】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、一
対の対向した板状電極は側面から見て開放部があり、こ
の開放部からの放電が発光に寄与するので有効発光長が
長くなり、その分発光効率が向上できる。また、この板
状電極は内部空間部がよく見え、コイルの取付作業が容
易になるとともにその取付け強度を向上させることでき
る。

【００３８】また、放電エネルギーはフィラメントコイ
ルに集中し、局部的に温度が上昇し易くなるので、グロ
ー放電からアーク放電への転移時間が速くなり、アーク
スポットを形成するのに必要な温度が高くなることから
電気特性や放電特性を安定化できる。このため、始動時
の電子放射性物質の飛散消耗が少なくなり、始動時や点
灯中に電子放射性物質がスパッタにより飛散したり蒸発
しても、板状電極により遮断され、バルブ内壁面への被
着は低減されるので、バルブの変色による発光効率の低
下や外観の見劣りが防止される。

【００３９】また、このランプが使用されるＬＣＤや表
示装置などのバックライトにおいては、長期に亘りラン
プ交換などの必要がないので、保守なども容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の小型低圧放電ランプの実施例を示す正
面図である。

【図２】図１のランプの電極を拡大して示す斜視図であ
る。

【図３】グロー放電からアーク放電への転移時間とラン
プ電圧の関係を示すグラフである。

【図４】本発明の他の実施例の電極を示す斜視図であ
る。

【図５】本発明のバックライト装置を示す分解斜視図で
ある。

【符号の説明】

１：バルブ２：電極３：板状電極４：金属コイルＬ：放電ランプ（蛍光ランプ）Ｒ：反射鏡Ｄ：光拡散板Ｐ：表示板

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】バルブと、このバルブの端部に封着され
たリード線と、このリード線に放電空間側に拡開するよ
う対向して取着された一対の板状電極およびこの板状電
極間に位置するとともに上記板状電極に支持された電子
放射性物質を担持した金属コイルからなる電極と、上記
バルブ内に封入された希ガスとを具備したことを特徴と
する小型低圧放電ランプ。
【請求項２】上記金属コイルはその両端が板状電極に
取付けられていることを特徴とする請求項１に記載の小
型低圧放電ランプ。
【請求項３】ランプはバルブ外径が１０ｍｍ以下、消
費電力が５Ｗ以下であることを特徴とする請求項１また
は請求項２に記載の小型低圧放電ランプ。
【請求項４】上記請求項１ないし請求項３に記載の小
型低圧放電ランプを光源としたことを特徴とするバック
ライト装置。