JPH0729207Y2 - 内燃機関のオイルパン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は内燃機関における潤滑装置の一部分を構成する
オイルパンに関するものである。

（従来の技術） 第３図及び第４図に示すように内燃機関（図示なし）の
下部に設けられているオイルパン１は、エンジンルーム
の大きさに制約されてその高さが低くなるように抑えら
れている。そのため、通常のオイルパン１は容積を確保
するために平面を広くした形状になっている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、前記形状のオイルパン１においては、ポ
ンプ２によりストレーナ３を通じてオイル４が吸い上げ
られ、油量が少なくなっているとき、車体が傾くと、第
３図の２点鎖線に示すようにオイル４がオイルパン１内
で偏るとともに、ストレーナ３の吸込み口3aの一部分が
油面4a上に露出し、そのため、該吸込み口3aからエアが
吸い込まれるという問題点がある。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） 本考案は前記の問題点を解決するために、オイルパン本
体の内部に小容器を設けるとともに、該オイルパン本体
の上部には前記小容器の上部位置に開口部を形成したオ
イル誘導板を設け、同オイル誘導板には内燃機関から落
下したオイルを前記開口部に誘導する斜状部を形成し、
さらに前記オイル誘導板の開口部を介して前記小容器内
にストレーナの吸込み口を配設するとともに、前記開口
部とストレーナとの間に間隙を形成してなるという技術
的手段を採用する。

（作用） 内燃機関の回転部分や摺動部分を循環してきたオイルの
油滴はオイルパン本体上に設けられたオイル誘導板の斜
状部上に落下する。そして、内燃機関の非傾斜状態にお
いて駆動中、前記斜状部上に落下したオイルは小容器上
の開口部に誘導され、同開口部とストレーナとの間隙か
ら前記小容器内に落下する。そのため、小容器は常にオ
イルで満たされストレーナの吸込み口は油没した状態に
ある。内燃機関が停止中においても前記小容器はオイル
に満たされ、ストレーナの吸込み口は油没した状態にあ
る。従って、オイルは小容器からストレーナに吸い込ま
れる。

その状態で車体が傾斜した場合、オイルパン本体の油量
が少なくても、オイル誘導板上に落下したオイルが該オ
イル誘導板により集められて絶えずその小容器の中に誘
導されるから、小容器内のストレーナの吸込み口は油面
下におかれ、エアがそこから吸い込まれることがない。

（第一実施例） 次に、本考案を具体化した一実施例を第１図に基づいて
説明する。

内燃機関の下部に平面が広く高さが低いオイルパン本体
５が形成されている。該オイルパン本体５のほぼ中央部
においてその底板5a上には小容器６が上を向いて開口す
るように溶接その他の固定手段により固定されている。

前記オイルパン本体５の上部には、内燃機関を循環して
きたオイル４の油滴4bを受けて集油して、それを前記小
容器６に誘導するための逆截頭角錐状のオイル誘導板７
が設けられている。即ち、オイル誘導板７には前記小容
器６の上部位置に対応して開口部7aが形成されるととも
に、同オイル誘導板７には内燃機関から落下したオイル
を前記開口部7aに誘導する斜状部7bが形成されている。
そして、その外周縁部が該オイルパン本体５に固定され
ている。従って、この実施例ではオイルパン本体５と、
小容器６と、オイル誘導板７とからオイルパン１が形成
されている。

前記小容器６内にはポンプ（第４図参照）に基端部が接
続されているストレーナ３先端における吸込み口3aが小
容器６の底部6a近くにおいて下向きに開口している。ま
た、前記ストレーナ３は前記オイル誘導板７の開口部7a
を介して上記小容器６に導かれており、前記開口部7aと
ストレーナ３との間には間隙Ｇが形成されている。

上記のように構成されるこの実施例の作用、効果につい
て述べると、内燃機関が非傾斜状態では内燃機関を循環
してきたオイル４の油滴4bはオイル誘導板７上に落下す
る。オイル４が内燃機関の回転部や摺動部を循環してい
るときはオイルパン本体５内のオイル４の油面4aが低い
から、オイル誘導板７の斜状部7bによって集油されたオ
イル４は、開口部7aとストレーナ３との間隙Ｇから小容
器６内にまず落下し、そこから溢れてオイルパン本体５
に入る。そのため、前記吸込み口3aは該小容器６内のオ
イル４中に油没し、前記吸込み口3aから小容器６内のオ
イル４が吸込まれる。なお、オイルパン本体５内のオイ
ル４の油面4aが高いときはオイルパン本体５から小容器
６内にオイル４が流れ込み、オイル誘導板７から落下し
たオイル４と混合し吸込み口3aから吸い込まれる。

一方、車体が傾斜した状態においてオイルパン本体５内
のオイル４が少ないときは、オイル４が同オイルパン本
体５の一方側に偏り、もし小容器６がない場合は吸込み
口3aが油面4bから部分的に露出する。

しかしながら、内燃機関を循環してきたオイル４がオイ
ル誘導板７に誘導されて、まず、小容器６内に一旦落下
してその小容器６内に所定量溜り、同小容器６から溢れ
出てゆく。ストレーナ３の吸込み口3aは小容器６の底部
6a近くまで延びているので、該吸込み口3aは２点鎖線に
示すように該小容器６に溜ったオイル４の油面4cより低
く保持され、該吸込み口3aからエアが吸い込まれること
はない。

この第一実施例によれば、オイル誘導板７から小容器６
へオイル４を落下させる開口部7aを利用してストレーナ
３を小容器６に導くように構成しているので、オイル誘
導板７には単一の開口部7aのみを形成するだけでよくそ
の製作が容易になるとともに、オイル４の落下位置とス
トレーナ３による吸込み位置とが近接することになり、
小容器６の小型化を図ることができる。

（第二実施例） 次に、別の態様で本考案を具体化した第二実施例を第２
図に基づいて説明する。

この実施例では小容器６の形状及びその取付け方法が前
記第一実施例のそれらと異なっている。

すなわち、オイルパン本体５の中央部から長手方向両側
にゆくにつれて小容器６の側壁6bの高さが高くなるよう
に該側壁6bにＶ字形のカット部6xが形成されている。該
カット部6xの傾斜角は車体の最大傾斜角を考慮して決定
され、同カット部6xの最も低い部位を通じて小容器６内
のオイル４とオイルパン本体５のオイル４とが流通する
ようになっている。

また、小容器６はオイルパン本体５の底部5aに固定され
ることなく、取付部材８を介してストレーナ３の先端部
に固定されている。その他の構成要素については第一実
施例とほぼ同じである。

この実施例において、車体が傾斜したとき小容器６内の
油面4cがオイルパン本体５の油面4aより高く保持され、
その結果、吸込み口3aからエアが吸い込まれるのが確実
に防止される。

車体が非傾斜時又は停止時に小容器６に対するオイルパ
ン本体５からの給油が少なくてもオイル誘導板７からの
給油によりストレーナ３にオイル４をエアを吸い込ませ
ることなく吸い込ませることができる。

さらに、オイルパン本体５に対する小容器６の取付け作
業、調整作業が不要であるので、本実施例の方が第一実
施例の場合より組み付け作業性に優れ、オイルパン１を
低コストで製作できる。

本考案は前記実施例に限定されることなく、例えば、次
の態様で実施することもできる。

（１） 小容器６の平面形状を円形にしたり非円形にし
たりできるし、オイル誘導板７の形状、傾斜角等はオイ
ル４を小容器６に誘導することが可能であれば、逆截頭
円錘状、ロート状、誘導溝付き平板状その他の形状にす
ることができる。

（２） 小容器６の底部又は下側部に逆止弁を設けて小
容器６からオイルパン本体５にオイル４を流通させるこ
とができないが、オイルパン本体５から小容器６内には
オイル４を流通させることができるようにする。このよ
うにすると、小容器６内のオイル４の油面4cを低下させ
ることなく、本考案の機能を一層発揮させることができ
る。

（３） 本考案は広い平面と低い高さを有するオイルパ
ンを備えた乗用車や産業機械等の内燃機関に適用でき
る。

考案の効果 以上詳述したように、本考案はオイルパン本体内の油量
が減少したときに車体が傾斜してオイルがオイルパン本
体の一方側に偏っても、小容器内には常にオイルが溜っ
ているので、ストレーナにエアを吸引させることがない
という効果を奏する。また、本考案はオイル誘導板から
オイルを落下させる開口部を利用してストレーナを小容
器に導くように構成しているので、オイル誘導板には単
一の開口部のみを形成するだけでよくその製作が容易に
なるとともに、オイルの落下位置とストレーナによる吸
込み位置とが近接することになり、小容器の小型化を図
ることができるという優れた効果を奏するという優れた
効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は第一実施例の縦断面図、第２図は第二実施例の
縦断面図、第３図は従来技術の縦断面図、第４図は従来
技術の要部斜視図である。 １……オイルパン、３……ストレーナ、3a……吸込み
口、５……オイルパン本体、６……小容器、７……オイ
ル誘導板、7a……開口部、7b……斜状部、Ｇ……間隙。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】オイルパン本体の内部に小容器を設けると
   ともに、該オイルパン本体の上部には前記小容器の上部
   位置に開口部を形成したオイル誘導板を設け、同オイル
   誘導板には内燃機関から落下したオイルを前記開口部に
   誘導する斜状部を形成し、さらに前記オイル誘導板の開
   口部を介して前記小容器内にストレーナの吸込み口を配
   設するとともに、前記開口部とストレーナとの間に間隙
   を形成してなる内燃機関のオイルパン。
2. 【請求項２】前記小容器はその中央部からオイルパン本
   体の長手方向に向かうにつれて該小容器の側壁が高くな
   るようにＶ字形のカット部を該側壁に有している実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の内燃機関のオイルパン。