JPH07290559A - 複合材成形用ダイス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成樹脂の一体成形が安価でできる。 【構成】 ダイスハウジングに芯金を内挿して筒状通路
を形成し、ダイスハウジングの対向位置に設けた一対の
アキュムレータからの樹脂入口を前記筒状通路内に開口
させるとともに、各樹脂流入口から芯金表面に周方向左
右に分岐し通路断面積を減少させつつ押出方向に湾曲す
るマニホールドを形成し、このマニホールド端と他方の
樹脂流入口からのマニホールド端をそれぞれ合流させる
とともに、この合流部が開口され前記軸芯の周方向に沿
って浅い通路を形成するダムリップ部を形成し、このダ
ムリップ部とマニホールドとの間の前記筒状通路全体に
はマニホールド深さより浅く前記ダムリップ部より深い
通路を形成するランド部を形成する構成にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブロー成形によって、
例えば一方の面にレインフォース部、他方の面にフェイ
ス部を有する一体の成形体を容易に成形することができ
る複合材成形用ダイスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来合成樹脂製バンパは、射出成形法に
よって成形されたフェイス部材と、金属またはＳＭＣ
（シートモルディングコンパウンド）によって作られた
レインフォース部材とを組合せたもの、さらにこれに衝
撃吸収用金属バンパ部材を付加したものなどが用いられ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のバンパは、フェィス部とレインフォース部、あるい
は衝撃吸収部がそれぞれ別個の部材によって構成され、
また金属も相当量使用されているためバンパを組立てる
工数が増大して価格が上昇し、また製品全体の軽量化が
難しいなどの問題があった。

【０００４】また、従来のダイスでは、ダイスに対向し
て配設された一対のアキュムレータから供給された樹脂
が樹脂通路を通りながら流下する過程で溶融一体化する
のはダイスの樹脂吐出口近傍となり、滞留時間が短いた
め、異種樹脂を一対のアキュムレータからそれぞれ供給
した場合は、中空成形品の溶融一体によって合体した部
分の強度が弱く分離しやすいといった欠点があった。

【０００５】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、衝撃吸収部を含めて、合成樹脂の一体成形によって
形成でき、安価で軽量なバンパなどに好適な複合材成形
用ダイスを提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る複合材成形用ダイスは、ダイスハウジ
ングに芯金を内挿して筒状通路を形成し、ダイスハウジ
ングの対向位置に設けた一対のアキュムレータからの樹
脂入口を前記筒状通路内に開口させるとともに、各樹脂
流入口から芯金表面に周方向左右に分岐し通路断面積を
減少させつつ押出方向に湾曲するマニホールドを形成
し、このマニホールド端と他方の樹脂流入口からのマニ
ホールド端をそれぞれ合流させるとともに、この合流部
が開口され前記軸芯の周方向に沿って浅い通路を形成す
るダムリップ部を形成し、このダムリップ部とマニホー
ルドとの間の前記筒状通路全体にはマニホールド深さよ
り浅く前記ダムリップ部より深い通路を形成するランド
部を形成する構成にした。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、ダイスハウジングの対向位
置に設けられた一対のアキュムレータからそれぞれの樹
脂通路に樹脂流入口から流入するが、これはマニホール
ドに沿って流下するとともにランド部分にも同時に溢流
する。マニホールドの合流部はダムリップ部に形成され
てここから樹脂が流下し、同時にランド部からもダムリ
ップ部に流下する。ダムリップ部からのランド部高さは
マニホールド経路方向に徐々に低くなっており、マニホ
ールドからの溢流量は樹脂流入口から経路方向に沿って
略等しくなり、ダイス全周方向では樹脂は均一に全体に
廻り込むとともに偏平形状の樹脂通路を経由しながら、
最後は樹脂吐出口から溶融一体化した異種樹脂のパリソ
ンとなるのである。

【０００８】

【実施例】以下に、本発明に係る複合材成形用ダイスの
具体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。

【０００９】図１および図５は本発明に係る一実施例を
示し、図１はダイスの縦断面正面図、図２はパリソン射
出ダイスの断面構成図、図３は同ダイスのマニホールド
設定の説明図、図４は成形された中空成形品の縦断面
図、図５は図４のＡ〜Ａからみた横断面図である。

【００１０】図１は実施例に係るブロー成形用ダイス１
０の構造図である。このダイス１０は丸形ブロックから
なるダイスハウジング１２を有しており、その縦中心線
に沿ってほぼ円形断面の貫通透孔１４が穿設されてい
る。このような貫通透孔１４は、その途中からダイスハ
ウジング１２の下端面に至るに従って内径が順次縮径さ
れた状態でダイスハウジング１２の下端面に開口してい
る。

【００１１】前記ダイスハウジング１２内には、貫通透
孔１４より小径に形成されて上方が円形で下方が偏平形
状を有した芯金１６が挿通され、当該芯金１６の外周面
と貫通透孔１４の内周面の間に樹脂通路１８を形成して
いる。芯金１６の下部は貫通透孔１４の縮径部に応じて
先端が絞り形成されている。

【００１２】また、ダイス１０の下端部分には芯金１６
から出入り可能にパリソンコントロールコア１６ｂが装
着されている。当該パリソンコントロールコア１６ｂの
先端には貫通透孔１４の開口に臨み、貫通透孔１４の開
口との間で偏平状の樹脂吐出口２８を形成するマンドレ
ル２９が一体的に設けられている。従って、パリソンコ
ントロールコア１６ｂの出入り量を変更することで、樹
脂吐出口２８のダイギャップを任意に変更することがで
きるようになっている。

【００１３】ダイギャップの変更はダイスハウジング１
２上に立設された支柱２６上の支持プレート２７に固設
されているコントロールシリンダ３０の駆動により可能
とされ、このためコントロールシリンダ３０とパリソン
コントロールコア１６ｂとを連結するパリソンコントロ
ールロッド３２を芯金１６に貫通させている。

【００１４】また、ダイスハウジング１２の周壁には対
向する一対の第１アキュムレータ２２と第２アキュムレ
ータ２４が配設されており、それぞれ樹脂通路２２ａ、
２４ａを介して接続されている。

【００１５】前記第１アキュムレータ２２および第２ア
キュムレータ２４はアキュムレータハウジング２２ｂ、
２４ｂと射出プランジャ２２ｃ、２４ｃから構成され、
この射出プランジャ２２ｃ、２４ｃはアキュムレータハ
ウジング２２ｂ、２４ｂ内を前後に摺動移動可能となっ
ており、各アキュムレータ２２、２４に接続された図示
しない押出機から適量の溶融樹脂が供給されると後退
し、再度前進させることでダイス１０へ溶融樹脂を射出
可能となっている。

【００１６】第１アキュムレータ２２と第２アキュムレ
ータ２４は同一構造なので第１アキュムレータ２２を代
表して説明すると、第１アキュムレータ２２に接続され
た樹脂通路２２ａから樹脂流入口４２に供給された溶融
樹脂をまず、樹脂流入口４２側の芯金１６から周方向９
０°左右に分岐したマニホールド２０ａを形成してい
る。第１アキュムレータ２２と対称に構成された第２ア
キュムレータ２４からのマニホールド２０ｂとは樹脂流
入口４２側および４４側とほぼ９０°の位置に合流部３
３を有するように形成されている。

【００１７】このマニホールド２０ａは各樹脂流入口４
２、４４を基点として、合流部３３に向って通路断面積
を所定の割合で徐々に減少させつつ所定の曲率で押出方
向に湾曲する半円断面状となっている。

【００１８】そして、この合流部３３に対応して芯金１
６の周方向に沿って浅い通路を形成するダムリップ部４
６を形成している。このダムリップ部４６は前記樹脂通
路１８の絞り通路部分に対応して設けられ、これをダイ
スハウジング１２の貫通透孔１４との隙間を狭くして流
路抵抗が全周にわたって均一となるように設定してい
る。

【００１９】この場合において、前記合流部３３は合流
対称のマニホールド２０ａ、２０ｂ同士が芯金１６の軸
線に沿った線に接するように結合合流されている。

【００２０】また、前記マニホールド２０ａ、２０ｂの
下縁からダムリップ部４６に至る樹脂通路１８全体が、
マニホールド２０ａ、２０ｂ部分の通路断面深さよりは
浅く、前記ダムリップ部４６部分の流路深さより深い通
路を形成するランド部４８を形成している。これは芯金
１６の外面の削り取り深さを上記のように調整すること
によって形成されたものである。

【００２１】以上のように構成された複合材成形用ダイ
スの作用について述べる。

【００２２】一方、第１アキュムレータ２２から樹脂通
路２２ａを介して流入した樹脂はマニホールド２０ａに
て左右に分岐して流下して合流部３３に達する。他方、
第２アキュムレータ２４から樹脂通路２４ａを介して流
入した樹脂はマニホールド２０ｂにて左右に分岐して流
下して合流部３３に達するのである。

【００２３】また、分岐流下とともにマニホールド２０
ａ、２０ｂの下縁からランド部４８に逐次溢流し、樹脂
は樹脂通路１８の全周に均一に流れるものとなる。

【００２４】そして、マニホールド２０ａ、２０ｂの溝
断面積を徐々に小さくなるように設定され、さらにダム
リップ部４６で周方向の圧力分布が均一になるように調
整された状態で流下し、樹脂通路１８に沿って均一肉厚
をもったパリソン５０として射出されるのである。

【００２５】このようなことから、実施例に係るダイス
１０では、ダイス１０内の周方向樹脂廻りが均一にな
り、その均一度が従来のダイスに比較して著しく向上
し、もって射出されるパリソン肉厚が周方向で均一とな
り、同時に射出パリソン長さも周方向で均一となる。

【００２６】本実施例では、第１アキュムレータ２２に
第１樹脂５２を用い、第２アキュムレータ２４に第２樹
脂５４を用いるが、次に示すように第１樹脂５２と第２
樹脂５４を適宜用途にあわせて組合せて用いることがで
きる。

【００２７】本発明に用いられる樹脂としては、例えば
ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリアミド（６６ナイロン、
６ナイロンなど、ＰＡ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合樹
脂（ＡＢＳ樹脂）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥ
Ｔ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）などが挙
げられる。これら樹脂を用いてバンパを成形する場合、
同一の樹脂を用いても或いは異なる樹脂を用いてもよい
が、異なる樹脂を用いた場合、合流部３３から樹脂吐出
口２８までの長さが長いため、例えばポリアミド樹脂と
ポリオレフィン樹脂のような異なる樹脂の境界面で溶融
一体化しやすいことになる。

【００２８】さらに、前記した例以外に第１樹脂および
第２樹脂を用いると次のような適用例が考えられる。 例えば、用途に応じて必要な剛性は内層で確保し、
表面には耐衝撃性樹脂、裏面にはリサイクル樹脂を配置
した多機能製品。 椅子の場合は、軟質樹脂としての第１樹脂を背もた
れに用いるとともに、座部に強度のある構造材として第
２樹脂を用いる。 外層に第１樹脂、内層に外層と同系統のリサイクル
材の樹脂を用いる。 周全体にレインフォース部用の第１樹脂とその周の
ほぼ半分の外側にフェイス部用材料の第２樹脂を用いた
バンパ製品。

【００２９】製品の代表的な適用例としては、椅子、ク
ーラボックス、座席トレー、バンパなどが考えられるが
これ以外にも適用可能である。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に、本発明ではダイスハウジングに芯金を内挿して筒状
通路を形成し、ダイスハウジングの対向位置に設けた一
対のアキュムレータからの樹脂入口を前記筒状通路内に
開口させるとともに、各樹脂流入口から芯金表面に周方
向左右に分岐し通路断面積を減少させつつ押出方向に湾
曲するマニホールドを形成し、このマニホールド端と他
方の樹脂流入口からのマニホールド端をそれぞれ合流さ
せるとともに、この合流部が開口され前記軸芯の周方向
に沿って浅い通路を形成するダムリップ部を形成し、こ
のダムリップ部とマニホールドとの間の前記筒状通路全
体にはマニホールド深さより浅く前記ダムリップ部より
深い通路を形成するランド部を形成したことにより、ダ
イス内で周方向の圧力分布が均一になるとともに、合流
部から樹脂吐出口までのダイス内の滞留時間を長くとれ
るため、異なる樹脂の境界面での溶融一体化が容易に行
える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るダイスの縦断面正面図である。

【図２】パリソン射出ダイスの断面構成図である。

【図３】同ダイスのマニホールド設定の説明図である。

【図４】成形された中空成形品の縦断面図である。

【図５】図４のＡ〜Ａからみた横断面図である。

【符号の説明】

１０ ダイス １２ ダイスハウジング １４ 貫通透孔 １６ 芯金 １８ 樹脂通路 ２０（２０ａ、２０ｂ） マニホールド ２２ａ、２４ａ 樹脂通路 ２２ｂ、２４ｂ アキュムレータハウジング ２２ｃ、２４ｃ 射出プランジャ ２２ 第１アキュムレータ ２４ 第２アキュムレータ ２８ 樹脂吐出口 ２９ マンドレル ３０ コントロールシリンダ ３３ 合流部 ４２、４４ 樹脂流入口 ４６ ダムリップ部 ４８ ランド部 ５０ パリソン ５２ 第１樹脂 ５４ 第２樹脂

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイスハウジングに芯金を内挿して筒状
   通路を形成し、ダイスハウジングの対向位置に設けた一
   対のアキュムレータからの樹脂入口を前記筒状通路内に
   開口させるとともに、各樹脂流入口から芯金表面に周方
   向左右に分岐し通路断面積を減少させつつ押出方向に湾
   曲するマニホールドを形成し、このマニホールド端と他
   方の樹脂流入口からのマニホールド端をそれぞれ合流さ
   せるとともに、この合流部が開口され前記軸芯の周方向
   に沿って浅い通路を形成するダムリップ部を形成し、こ
   のダムリップ部とマニホールドとの間の前記筒状通路全
   体にはマニホールド深さより浅く前記ダムリップ部より
   深い通路を形成するランド部を形成したことを特徴とす
   る複合材成形用ダイス。