JPH0728640U - ドットプリンタ用印字ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印字の際に、アーマチュアがソレノイドに吸
引されるときに、プランジャ部のニードル方向寄りをコ
アに当接し、アーマチュアの復帰応答性を向上する。 【構成】 コア８及びコア８に巻回されたコイル９より
なる複数のソレノイド１０と、ソレノイド１０に吸引さ
れた時にコア８に当接するプランジャ部５を有し、ソレ
ノイドベース１１の外端縁に揺動可能に支持されたアー
マチュア７と、アーマチュア７の中心方向の先端面に、
前方に向けて連設されたニードル６とを備え、プランジ
ャ部５のコア８に対向する側の中程よりアーマチュア７
のニードル方向側寄りに、コア８に当接するアーマチュ
ア７の揺動支点部１４と同一平面上の当接面３を形成
し、当接面３に隣接して揺動支点１４寄りにコア８との
距離が大となる傾斜を有する斜面４を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ドットプリンタ用プリンタの印字ヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ソレノイドベース上に、コア及び該コアに巻回されたコイルよりなるソレノイ ドが周方向に沿って複数配置され、該ソレノイドに沿ってアーマチュアがその先 端を中心方向に向けて放射状に配設され、該アーマチュアのソレノイドに対向す る側の後端がソレノイドベースの外端縁に係接されて該アーマチュアの揺動支点 部とされると共に、該アーマチュアがソレノイドに吸引された時にコアに当接す るプランジャ部が、該アーマチュアのソレノイドに対向する側に一体に設けられ 、該アーマチュアの中心方向の端面に、ニードルがその先端を前方に向けて連設 され、ソレノイドを通電することによってアーマチュアがコアに吸引され、アー マチュアの先端のニードルが前方に移動して印打を行う吸引式のドットプリンタ 用印字ヘッドは、例えば、実開平４−８３６４１号及び実開平４−１３７８４７ 号として公知である。

【０００３】 この型式のドットプリンタ用印字ヘッドにおいては、アーマチュアの揺動支点 部と、アーマチュアのプランジャ部のソレノイドのコアとの当接面とが、同一平 面上または平行に位置しており、ソレノイドに通電することによってアーマチュ アがコアに吸引された場合、面当たりになることが望ましいが、部品の精度や組 み立て時の誤差あるいは使用時の磨耗等により、全ての素子を完全に面当たりと することは困難であり、このため、揺動支点部からの距離が遠い中心方向側のプ ランジャ部の端部が先にコアに当たる先当たりを起こしたり、揺動支点部からの 距離が近い側のプランジャ部の端部が先にコアに当たる元当たりを起こすおそれ があった。

【０００４】 アーマチュア自体においては、その重心位置がプランジャ部の元当たり位置よ りも中心方向寄りであることが多く、元当たりで当たる場合には、揺動支点部か らの距離が近い側のプランジャ部の端部が当たった後に、揺動支点部からの距離 が遠い中心方向側のプランジャ部の端部が当たってからプランジャ部が戻るため 、アーマチュアの戻りが悪くなる。このため、アーマチュアの応答性が悪く、例 えば、印字のカスレやリボンをニードルが引っ掛ける等の印字不良を起こしやす い。

【０００５】 また、アーマチュアの戻りを向上させるために、揺動中心部の保持力を増大さ せることが考えられるが、アーマチュアをソレノイド側よりアーマチュア待機位 置に付勢するニードルスプリングとの付勢力とのバランスが崩されるために、ア ーマチュアの運動性が悪くなり、揺動中心部の保持力を増大させることは不可能 である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、印字の際に、アーマチュアがソレノイドに吸引されるときに 、プランジャ部の中心方向寄りのみがコアに必ず当接するようにし、アーマチュ アの復帰応答性を向上することのできるプリンタの印字ヘッドを提供することに ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案のプリンタの印字ヘッドは、上記課題を解決するために、ソレノイドベ ースの周方向に沿って配設されたコア及び該コアに巻回されたコイルよりなる複 数のソレノイドと、前記複数のソレノイドに沿って放射状に配設され、前記ソレ ノイドに吸引された時に前記コアに当接するプランジャ部を有すると共に前記ソ レノイドベースの外端縁に揺動可能に支持されたアーマチュアと、該アーマチュ アの中心方向の先端面に、前方に向けて連設されたニードルと、前記アーマチュ アの揺動支点部を前記アーマチュアの後側より前記ソレノイドベース側に押圧す るアーマチュアスプリングと、前記アーマチュアスプリングを支持するリアカバ ーと、前記アーマチュアを前記ソレノイド側よりリアカバー側に付勢するニード ルスプリングとを備え、前記アーマチュアのプランジャ部の前記コアに対向する 側に、その中程より前記アーマチュアのニードル方向側寄りに、前記コアに当接 する前記アーマチュアの揺動支点部と同一平面上にある当接面と、該当接面の前 記揺動支点側に隣接し前記アーマチュアの後側寄りに向けて前記コアとの距離が 大となる傾斜を有する斜面とを設けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

複数のうちのいずれかのソレノイドが通電されると、通電されたソレノイドに 対応するアーマチュアは、ソレノイドの励磁による吸引力により揺動支点部を中 心としてニードルスプリングの付勢力に抗して前方に回動移動し、プランジャ部 がコアに吸引される。

【０００９】 プランジャ部は、コアに対向する側において、中程よりアーマチュアの揺動支 点側が、後側方向に向けてコアとの距離が大となる傾斜を有する斜面であるため 、斜面よりも、プランジャ部の中程よりニードル寄りの揺動支点部と同一平面上 に位置する当接面が必ず先にコアに衝突し、当接面がアーマチュアの重心位置の 近傍であるため、アーマチュアが安定して前後にふらつくことがない。

【００１０】 アーマチュアが前方に移動するに伴いアーマチュアの先端のニードルが前方に 移動し、ニードルの先端により印字を行う。また、これと同時に、ニードルスプ リングがアーマチュアの移動によって収縮される。

【００１１】 ソレノイドへの通電が停止されて、ソレノイドの励磁が消えると、アーマチュ アは、収縮されたニードルスプリングの復帰力により、リアカバー側にはね返る 。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１３】 図１は、本考案のドットプリンタ用印字ヘッドの概略の側断面図である。

【００１４】 印字ヘッド１は、概略として前方の印打面側よりノーズ１２、ソレノイドベー ス１１を備えた印字ヘッド本体２、アーマチュアガイド部材２８、リアカバー２ ９が重合されてなる。

【００１５】 印字ヘッド本体２のソレノイドベース１１内には、コア８及びコア８に巻回さ れたコイル９よりなるソレノイド１０が、印字ヘッド１の後方側に向けてソレノ イドベース１１と同心の円周上に複数配置されている。また、印字ヘッド本体２ 及びソレノイドベース１１の中央には、挿通孔１８，１９が各々設けられている 。

【００１６】 印字ヘッド本体２の前面側には、前方中央に突設された筒状のノーズ１２が重 合され、ノーズ１２の筒状の内部には、ニードルガイド２０，２１，２２，２３ が挿設され、各々のニードルガイド２０乃至２３には、挿通孔２４，２５，２６ が設けられ、さらに、ノーズ４の先端側のニードルガイド２３には、突出口２７ が設けられている。

【００１７】 ニードル６は、複数のソレノイド１０の各々に対して配備され、その先端をノ ーズ１２の先端側のニードルガイド２３の突出口２７に臨む位置まで、印字ヘッ ド本体２及びソレノイドベース１１の挿通孔１８，１９の側より，ニードルガイ ド２０，２１，２２の挿通孔２４，２５，２６に挿通され、突出口２７から出没 自在に配設される。

【００１８】 アーマチュア７は、印字ヘッド本体２の後方に重合されるアーマチュアガイド 部材２８の内側に配備され、複数のソレノイド１０に沿って、その先端を中心方 向に向けて放射状に配設される。

【００１９】 アーマチュア７には、アーマチュア７のソレノイド１０の外側面に対向する側 に突出部１３が設けられ、突出部１３がソレノイドベース１０の外端縁に係接さ れてアーマチュア７の揺動支点部１４となり、アーマチュア７がソレノイド１０ に吸引された時にコア８に当接するプランジャ部５が、アーマチュア７のコア８ に対向する側に一体に設けられ、アーマチュア７の中心方向の端面には、ニード ル６の後端が連設されている。

【００２０】 プランジャ部５は、コア８に対向する側において、該側の中程よりニードル６ 方向寄りにコア８に当接する当接面３と、当接面３に隣接してアーマチュア７の 揺動支点部１４側に向けてコア８との距離が大となる傾斜を有する斜面４とが設 けられている。また、アーマチュア７の揺動支点部１４と、プランジャ部５の当 接面３とは、同一平面上に位置する。なお、プランジャ部５の当接面３と斜面４ とがなす傾斜角度は、３０′以上１°３０′以下の範囲内に形成されている。

【００２１】 アーマチュアガイド部材２８の後方には、リアカバー２９が重合され、リアカ バー２９の前面側には、アーマチュア７の揺動支点部１４側を後方より揺動支点 部１４に向けて付勢する板バネよりなるアーマチュアスプリング１５が設けられ ている。このため、アーマチュア７は揺動支点部１４を中心として印字ヘッド１ の前後方向に揺動可能に支持される。さらに、リアカバー２９の前面側の中央に は、アーマチュア７の後退位置を規制するアーマチュアストッパ１６が設けられ ている。

【００２２】 さらに、アーマチュア７のニードル６寄りの前面側には、印字ヘッド本体２に 設けられたニードルスプリング１７が当接され、ソレノイド１０が通電されてい ない状態では、ニードルスプリング１７の付勢力によってアーマチュア７がアー マチュアストッパ１６に当接すると共に、ニードル６がノーズ１２内に没入され る。また、ソレノイド３が通電されると、これに対応するアーマチュア７が吸引 されてニードル６が前進し、ニードル６の先端がノーズ１２の先端の突出口部２ ７から突出し、印字される。

【００２３】 次に、印字ヘッド１の作用について説明すると、複数のうちのいずれかのソレ ノイド１０が通電されると、通電されたソレノイド１０に対応するアーマチュア ７は、ソレノイド１０の励磁による吸引力により揺動支点部１４を中心としてニ ードルスプリング１７の付勢力に抗して前方に回動移動し、プランジャ部５がコ ア８に吸引される。

【００２４】 プランジャ部５は、コア８に対向する側において、中程よりアーマチュアの揺 動支点部１４寄りが、後側方向に向けてコア８との距離が大となる傾斜を有する 斜面４であるため、斜面４よりも、プランジャ部５の中程よりニードル６寄りの 揺動支点部１４と同一平面上に位置する当接面３が必ず先にコア８に衝突し、当 接面３がアーマチュア７の重心位置の近傍であるため、アーマチュア７が安定し て前後にふらつくことがない。

【００２５】 すなわち、従来のものにおいて発生したところのアーマチュアの揺動支点部か らの距離が近い側のプランジャ部の端部が先にコアに当たる元当たりを起こし、 その後に、揺動支点部からの距離が遠い中心方向側のプランジャ部の端部が当た ることが防止される。

【００２６】 アーマチュア７が前方に移動するに伴いアーマチュア７の先端のニードル６が 前方に移動し、ニードル６の先端が突出口２７から突出し、図示しない印字リボ ンを通して紙面に押し当り、印字を行う。また、これと同時に、ニードルスプリ ング１７がアーマチュア７の移動によって収縮される。

【００２７】 ソレノイド１０への通電が停止されて、ソレノイド１０の励磁が消えると、ア ーマチュア７は、収縮されたニードルスプリング１７の復帰力により、リアカバ ー１４側にはね返り、アーマチュアストッパー１６に衝突して停止する。

【００２８】 この時、プランジャ部５の当接面３がコア８に先に衝突して、アーマチュア７ が安定しているために、アーマチュア７の待機位置への復帰に関する応答がよい 。

【００２９】 なお、アーマチュア７のプランジャ部５に斜面４を設ける代りに、プランジャ 部５のコア８に対向する面を、従来と同じく揺動支点部１４と同一平面上に位置 する当接面とする一方、該当接面の中程より揺動支点部１４側寄りに対向するコ ア８側において、揺動支点部１４側に向けて該当接面との距離が大となる傾斜を 有する斜面を設けることが考えられる。

【００３０】 しかしながら、切削または研削加工でコア側に斜面をつけることは工作上困難 であり、また、コア製造は、ロストワックス、メタルインジェクション、鋳造等 を用いると、当接面に対する研磨工程が加わり、大幅に製造コストがかかるため 、アーマチュアのプランジャ部側に斜面を設けるほうが有利である。

【００３１】

【考案の効果】

本考案は、ドットプリンタ用印字ヘッドにおいて、アーマチュアのプランジャ 部のコアに対向する側に、その中程よりアーマチュアのニードル方向側寄りに、 コアに当接するアーマチュアの揺動支点部と同一平面上にある当接面と、当接面 の前記揺動支点側に隣接しアーマチュアの後側寄りに向けてコアとの距離が大と なる傾斜を有する斜面とを設けたので、ソレノイドの励磁による吸引力により揺 動支点部を中心としてニードルスプリングの付勢力に抗してアーマチュアが前方 に回動移動してアーマチュアのプランジャ部がコアに吸引される際に、プランジ ャ部のコアに対向する側において、その中程よりアーマチュアの揺動支点側寄り が、後側方向に向けてコアとの距離が大となる傾斜を有する斜面とされているた め、斜面よりも、プランジャ部の中程よりニードル側寄りの揺動支点部と同一平 面上に位置する当接面を必ず先にコアに衝突させることが可能となる。

【００３２】 このため、アーマチュアのプランジャ部のコア当接点が単一平面とされている もののように、アーマチュアの揺動支点部からの距離が近い側のプランジャ部の 端部が先にコアに当たる元当たりを起こし、その後に、揺動支点部からの距離が 遠い中心方向側のプランジャ部の端部が当たるということが防止され、印打時に アーマチュアの当接面がアーマチュアの重心位置の近傍であるため、アーマチュ アが安定し、アーマチュアの待機位置への復帰に関する応答性が向上する。

【００３３】 また、コア面に対して非磁性体の薄膜を貼着しても、アーマチュアのプランジ ャ部側に斜面を設けたので、アーマチュアの元当たりが起らず、揺動支点部に対 するコアの高さの公差やプランジャ部の当接面から該当接面に対向する後面まで のプランジャ部の長さの公差を従来に比べて大きくすることができ、また、コア 側に斜面を設けるよりも、製造を容易にすることできるため、製造コストが低い 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るプリンタの印字ヘッドを
一部破断して示す概略の側断面図

【符号の説明】 １ 印字ヘッド ２ 印字ヘッド本体 ３ 当接面 ４ 斜面 ５ プランジャ部 ６ ニードル ７ アーマチュア ８ コア ９ コイル １０ ソレノイド １１ ソレノイドベース １２ ノーズ １３ 突出部 １４ 揺動支点部 １５ アーマチュアスプリング １６ アーマチュアストッパ １７ ニードルスプリング １８ 挿通孔 １９ 挿通孔 ２０ ニードルガイド ２１ ニードルガイド ２２ ニードルガイド ２３ ニードルガイド ２４ 挿通孔 ２５ 挿通孔 ２６ 挿通孔 ２７ 突出口 ２８ アーマチュアガイド部材 ２９ リアカバー

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ソレノイドベースの周方向に沿って配設
   されたコア及び該コアに巻回されたコイルよりなる複数
   のソレノイドと、前記複数のソレノイドに沿って放射状
   に配設され、前記ソレノイドに吸引された時に前記コア
   に当接するプランジャ部を有すると共に前記ソレノイド
   ベースの外端縁に揺動可能に支持されたアーマチュア
   と、該アーマチュアの中心方向の先端面に、前方に向け
   て連設されたニードルと、前記アーマチュアの揺動支点
   部を前記アーマチュアの後側より前記ソレノイドベース
   側に押圧するアーマチュアスプリングと、前記アーマチ
   ュアスプリングを支持するリアカバーと、前記アーマチ
   ュアを前記ソレノイド側よりリアカバー側に付勢するニ
   ードルスプリングとを備えたドットプリンタ用印字ヘッ
   ドにおいて、前記アーマチュアのプランジャ部の前記コ
   アに対向する側に、その中程より前記アーマチュアのニ
   ードル方向側寄りに、前記コアに当接する前記アーマチ
   ュアの揺動支点部と同一平面上にある当接面と、該当接
   面の前記揺動支点側に隣接し前記アーマチュアの後側寄
   りに向けて前記コアとの距離が大となる傾斜を有する斜
   面とを設けたことを特徴とするドットプリンタ用印字ヘ
   ッド。
2. 【請求項２】 前記プランジャ部の前記当接面と前記斜
   面とがなす傾斜角度が３０′以上１°３０′以下の範囲
   内である請求項１記載のドットプリンタ用印字ヘッド。