JPH0728571Y2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は磁気切符，磁気定期券，磁気回数券，磁気カー
ド，磁気シート，磁気通帳等の磁気記録媒体に係り、特
に磁性層を完全に隠蔽しつつ鮮明な色調を提供し得るよ
うにした磁気記録媒体に関するものである。

［従来の技術］ 従来、磁気切符，磁気定期券，磁気回数券，磁気カー
ド，磁気シート，磁気通帳等の磁気記録媒体において
は、PETや紙等の基体の上に磁気塗料を直接コーティン
グするか、あるいは磁気転写箔を転写することによっ
て、磁性層を設けている。この場合、磁性層には必要と
する静磁気特性，電磁変換特性の他に、耐久性、耐摩擦
性，耐熱性，耐薬品性，耐溶剤性等の物理的および化学
的特性が要求され、磁気塗料中の磁性粉の分散性も重要
ではあるが、それ以外に結合剤として使用されるバイン
ダー自身の選択、および塗料の製造方法が慎重に検討さ
れている。

一方、最近の傾向として、得意先のニーズであるところ
の、磁気記録媒体の磁性層の持つ色相（磁性物質本来の
色である茶褐色等）を隠蔽して、あたかも磁気記録媒体
ではないかのように、白色や明るい淡い色（パステルカ
ラー）に着色しようとする要望が増えてきている。そし
て、この種の磁性層を隠蔽した磁気記録媒体としては、
例えば基材上に、磁性層，樹脂層、金属蒸着層，および
着色層を順次積層して得るようにしたものがある。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、上述のような方法では、金属蒸着層によって
磁気記録媒体の磁性層を隠蔽することはできる。しかし
ながら、金属蒸着層は金属光沢を有しているため、着色
層が特に明るいパステルカラーのような場合には、金属
蒸着層の金属光沢の影響を受けて着色層の色が濁ったメ
タリック調に変色してしまう、すなわち着色層の本来の
色を損ってしまい、好みの着色を行なうことができな
い。そこで、このような不具合を防止するためには、着
色層の厚みを10μｍ程度に厚くすればよいが、着色層の
厚みを厚くすると、磁気記録媒体としての磁気特性（磁
気出力）が低下してしまう。以上のような理由により、
従来の磁気記録媒体では、磁性層上に白抜きのデザイン
や明るいパステルカラー調のデザインを施すことが困難
であった。

本考案は上述のような問題を解決するために成されたも
ので、磁気特性を低下させることなく、しかも着色層の
色を変色させることなく、磁性層を白色で完全に隠蔽す
ることができ、もって磁性層上に白抜きのデザインや明
るいパステルカラー調のデザインを施すことが可能な磁
気記録媒体を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために本考案では、基材上に、磁
性層，樹脂層、金属蒸着層，および着色層を順次積層し
て成る磁気記録媒体において、樹脂層に例えばフィラー
を混入させることにより、樹脂層の表面をマット状とす
るようにしている。

［作用］ 従って、本考案の磁気記録媒体においては、金属蒸着層
の下に存在する樹脂層の表面がマット状であることによ
り、金属蒸着層もマット状となって光を乱反射すること
から、金属蒸着層は金属光沢のない白色状態を呈する。
これにより、磁性層を白色で完全に隠蔽することができ
ると共に、着色層の色が損われるようなこともない。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例について図面を参照して詳細に
説明する。

第１図は、本考案による磁気記録媒体の構成例を示す断
面図である。本実施例の磁気記録媒体は第１図に示すよ
うに、センターコア1,およびその両面側のオーバーシー
ト２からなる基材３上の一部に磁性層４を設け、さらに
その上に樹脂層5,金属蒸着層6,着色層7,および保護層８
を順次積層して構成し、かつ樹脂層５の表面をマット状
とするようにしたものである。なお、この磁性層４の設
け方は、基材３の一部であっても、あるいは全面にわた
ってもよい。

ここで、樹脂層５としては、例えばアクリル系樹脂，ス
チレン系樹脂，ポリエステル系樹脂等を主成分とし、フ
ィラーとして例えば硫酸バリウム，シリカ，水酸化アル
ミニウム，炭酸カルシウム等を含み、その厚みを0.5-2
μｍとする。また、この樹脂層５は、フィラーを含んで
その表面がマット状になり、金属蒸着層６を白色とする
と共に、オーバーシート２および磁性層４と，金属蒸着
層６との密着力を高める役割を有するものである。一
方、金属蒸着層６は、非磁性金属の蒸着層であり、その
厚みを0.02-0.1μｍとする。この種の金属としては、例
えばアルミニウム，スズおよびその酸化物が挙げられ
る。また、着色層７としては、例えばビニール系樹脂，
スチレン・アクリル系樹脂，セルロース系樹脂等を主成
分とし、その厚みを0.5-2μｍとする。さらに、保護層
８は、例えば透明なビニール系樹脂等を主成分とし、そ
の厚みを0.5-2μｍとする。また、この保護層８は、金
属蒸着層６および着色層７を保護する役割を有するもの
である。なお、磁気特性を考慮すれば、基材３上の各層
は可能な限り薄い方がよく、全厚を５μｍ以下とする。
なお第２図は、第１図における要部を示す部分断面斜視
図である。

次に、その具体的な例について説明する。

まず、厚さ25μｍのPET基材上に、磁気塗料を直接コー
ティングすることによって、磁性層を設ける。次に、フ
ィラーとして硫酸バリウムを含むアクリル系樹脂層を、
グラビアコーティングにより0.7-1μｍの厚さに設け
て、樹脂層とする。次に、アルミニウムを0.04μｍの厚
さに蒸着して、金属蒸着層とする。次に、グラビアコー
ティングにより、厚さを0.7-1μｍのビニール系樹脂層
を設けて、着色層とする。次に、グラビアコーティング
により、厚さを0.5-2μｍの透明なビニール系樹脂層を
設けて、保護層とする。このようにして、本実施例によ
る磁気記録媒体を得ることができる。

以上のように構成した磁気記録媒体においては、金属蒸
着層６の下に存在する樹脂層５の表面がマット状である
ことにより、金属蒸着層６もマット状となって光を乱反
射することから、金属蒸着層６は金属光沢のない白色状
態を呈するため、着色層７の色が損われるようなことが
ない。これにより、金属蒸着層６の金属光沢の影響を受
けて着色層７の色を変色させることなく、磁気記録媒体
の磁性層４を白色で完全に隠蔽することが可能となる。
また、着色層７の厚みを厚くしたり、あるいは白色の着
色層を設けたりする必要がなくなることから、実用上十
分に満足できる磁気特性を得ることが可能となる。以上
により、第２図に示すように、着色層７として、磁性層
４上の白抜きのデザインが可能となり、さらに着色層７
の色についても、明るいパステルカラー調のデザインを
施すことが可能となる。

上述したように、本実施例の磁気記録媒体は、金属蒸着
層６の下に存在する樹脂層５の表面をマット状とするよ
うにしたので、金属蒸着層６は白色状態を呈することに
なり、磁気記録媒体の磁性層４を白色で完全に隠蔽する
ことができ、その上どんな明るいパステルカラーでも、
メタリック調となることなく鮮明に着色することが可能
となる。しかも、着色層７の厚みを厚くする必要がない
ので、実用上十分に満足できる磁気特性を得ることが可
能となる。以上により、磁性層４上に白抜きのデザイン
や明るいパステルカラー調のデザインを施すことが可能
となり、様々なデザインの要求にも容易に対応すること
ができる。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、金属蒸着層の下に
存在する樹脂層の表面をマット状とするようにしたの
で、磁気特性を低下させることなく、しかも着色層の色
を変色させることなく、磁性層を白色で完全に隠蔽する
ことができ、もって磁性層上に白抜きのデザインや明る
いパステルカラー調のデザインを施すことが可能な磁気
記録媒体が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による磁気記録媒体の一実施例を示す断
面図、第２図は同実施例における要部を示す部分断面斜
視図である。 １……センターコア、２……オーバーシート、３……基
材、４……磁性層、５……樹脂層、６……金属蒸着層、
７……着色層、８……保護層。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基材上に、磁性層，樹脂層，金属蒸着層，
   および着色層を順次積層して成る磁気記録媒体におい
   て、前記樹脂層の表面をマット状とするようにしたこと
   を特徴とする磁気記録媒体。
2. 【請求項２】樹脂層にフィラーを混入させてその表面を
   マット状とするようにしたことを特徴とする請求項第１
   項記載の磁気記録媒体。