JPS6334100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は銀行のキヤツシユカード、定期券、ク
レジツトカード、等に用いられる磁気記録媒体に
関し、磁性層上あるいは磁性層を被覆した隠蔽層
上に適宜の文字、図柄等からなる印刷部を合理的
に施こすことができるようにしたものである。

磁気カード等の磁気記録媒体に関しては、黒色
又は茶褐色をした磁気層特有の色調を隠蔽するた
めに種々の提案がなされている。

これは第１に、磁気層の彩色を、これを施こし
たカード等の他の部分と略同系色とすることによ
り美感を向上させるためであり、特にキヤツシユ
カードやクレジツトカードの如き携行性のものに
ついてのデザインの多様化と企業イメージの向上
をはかることを目的とするものであり、また第２
には磁気層を着色層で隠蔽することによつてキヤ
ツシユカード等の改ざんを困難にすることによ
り、その不正使用を防止しようとする配慮にもと
づくものである。

かかる磁気層を隠蔽するための公知技術として
は、一層の非磁性金属又は非磁性金属酸化物、さ
らには磁性金属合金の蒸着層を隠蔽層として磁性
層上に積層し、さらに該蒸着層の表面に着色層を
施こすものが知られ、上記蒸着層を磁性層隠蔽手
段として用いることにより、隠蔽効果を高めつ
つ、しかもスペーシングロスを最小限におさえる
ようにしたものである。

しかしながら、実際の使用に際しては着色層や
隠蔽層の存在が磁性層と磁気ヘツド間の層厚を増
し、そのために出力電圧の低下や変動率の増大、
ジツタの劣化等磁気特性上の多くの問題をのこし
ている。

このことは特に磁気カードや通張表面における
デザイン企画上あるいは実際的必要性の観点から
文字や図柄等を着色層上面にまでおよぼした場合
に顕著な問題として提起される。

すなわち磁性層上に施こした着色層上に文字や
図柄等を印刷した部分は少なくともインキ層の分
だけ層厚になり、印刷していない部分との間には
磁性層上の層厚に差異を生じ、その結果使用時に
おいて平均出力が低下するばかりでなく、出力電
圧の変動を助長することがその要因であるとされ
る。

本考案は上記した難点を解決すべくなされたも
のであり、具体的には、磁性層上に隠蔽層を介し
て適宜の文字、図柄等の印刷部を設けるととも
に、該印刷部以外の個所にはたとえばメジウムを
はじめとした上記印刷部と異なる色調のインキ等
をもつて、印刷部の表面と面一となるように塗設
したことを特徴とするものである。

以下において本考案の具体的な内容を図示の実
施例をもとに説明すると、第１図において１はカ
ード等を構成するためのポリ塩化ビニル等からな
る基材を示し、該基材１の上面には磁性層２が施
こされている。

磁性層２の表面は基材１の表面と面一にして設
けられており、具体的には基材１の表面に磁性層
２を印刷、塗工、転写等の適宜の手段をもつて付
設し、これに所定の加熱或いは加圧力を付与する
ことにより上記磁性層を基材１中に埋め込んで表
面を面一にする。

３は蒸着層を示し、既知のアルミの如き金属蒸
着手段により賦形させることができ、磁性層２の
呈する黒色あるいは茶褐色の色調を隠蔽する。

またこの場合において蒸着層に代えて鱗片状の
アルミ粉を用いた銀インキ層を介在させることも
よい。

５は上記磁性層２の上面に施こされた文字、図
柄等の着色インキ層を示し、たとえばカード所有
者の氏名、発行元、カード使用上の注意事項、そ
の他の図柄を印刷する。

上記の印刷部５は通常のグラビア印刷やシルク
印刷用インキ、たとえばビニル系、アクリル系、
ポリエステル系、ウレタン系インキ、或いはオフ
セツト印刷用のUVインキ、EBインキ等を用い
ることができ、また必要に応じて該インキ中に上
記磁性層２と同じ抗磁力を有する磁性粉を混入さ
せてもよい。

上記の印刷方式としてはグラビア、フレキソ、
シルクスクリーン、オフセツト印刷等がよく、特
にグラビア印刷とオフセツト印刷をおこなつた場
合には印刷部５の厚みが0.5〜2μとなり、インキ
の種類を選定することにより1μ以下の層厚とす
ることもできるので好ましい。

さらにこの場合において、上記印刷用インキに
鱗片状の顔料を用いると着色インキ層４の層厚を
一層薄くすることができるので好ましい。

尚、ここに用いられる鱗片状物としてはAl、
酸化塩、パール顔料、雲母、貝がら粉等が挙げら
れ、しかもその含有量は10〜80％の範囲内におい
て任意に選ばれる。

さらに６は印刷部５と異なる色調のインキ層を
示し、本案実施例においては透明メジウム層が用
いられ、上記したパターン化された印刷部５の施
こされた部分以外の個所に、しかもその表面が上
記印刷部５の表面と面一になるように積層されて
いる。

尚、この場合において鏡面板をもつてプレス仕
上げをすると印刷部５とメジウム層６との間から
完全に段差を除去し、表面平滑性を一層良好にす
ることができるばかりでなく、磁性層の表面から
磁気ヘツドまでの距離を完全均一化させることが
できるので出力変動の増大をはじめとした特性の
劣化の問題を完全に解決することが可能となる。

また第２図には別の実施例が示されており、こ
の場合には印刷部５と蒸着層３との間に着色層４
が介在されており、これによつて磁性層２の隠蔽
効果を一層完全なものとしている。

着色層４は基材１の全面あるいは磁性層２の表
面のみに所望の色相からなる着色インキをグラビ
アコート、ロールコート等の方法、或いはスリツ
トリバース法またはナイフコート法により形成す
る。後者の方法は基材の厚みムラやインキ層等の
厚みムラを含めて全体厚みとして仕上げるために
均一に仕上げることができる。

さらに上記印刷部５およびこれと異なる色調の
インキ層６の上面には保護層７が被覆され、さら
に好ましくは適当に選択された保護膜形成剤を塗
布した後、これを平圧プレスにてプレスすること
によりその表面の平滑性を一層完全なものとする
ことができる。

また本考案はこれを転写用の支持体上に剥離層
を介して積層し、これをその接着剤層を露出させ
てカード等の基材上に転写させる構成としてもよ
い。

本考案は上記した通りであるから磁性層上に文
字、図柄等のパターン化された印刷部を印刷する
場合において、必ずしも磁性層特有の色調を隠蔽
するための着色層を介在させる必要がないばかり
か、磁性層上、あるいは磁性層を被覆した着色層
上に上記したパターン化された印刷部を印刷する
場合において、印刷部の施こされた部分以外の個
所に該印刷部と異なる色調のインキ層を埋設した
ために表面が完全に平滑化され、とくに印刷部の
部分とそうではない個所との間に層厚の差異が全
くないから磁性層の出力に差異を生ずることがな
く、また出力変動を生ずることもないので磁気特
性を向上させることができる。

また上記着色インキ層内に鱗片状顔料を使用す
ると、着色インキ層の層厚をさらに減少させるこ
とができるので一層好ましく、仕上げ面の美麗な
カードを得ることができ、さらに磁性層上に着色
層を被覆しただけにとどまるものに比して改ざん
性、および偽造防止能力に一層優れたものを提供
することができる等種々の有益な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はいずれも本考案の実施例
であるところの磁気カードの要部拡大断面図を示
す。 １……基材、２……磁性層、３……蒸着層、４
……着色層、５……印刷部、６……透明メジウム
層、７……保護層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 磁性層上に隠蔽層を介して適宜の文字、図柄
   等の印刷部を設けるとともに、該印刷部以外の
   個所にはたとえばメジウムをはじめとした上記
   印刷部と異なる色調のインキ等をもつて、印刷
   部の表面と面一となるように塗設したことを特
   徴とする磁気記録媒体。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のもの
   において、磁性層上に介在させた隠蔽層は着色
   層あるいは金属蒸着層、又は着色層と金属蒸着
   層の組み合わせとしたことを特徴とする磁気記
   録媒体。