JPH0728454Y2 - オイルシール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、オイルシール構造に関し、特にシール部から
漏れ出た潤滑油を回収することができるオイルシール構
造に関する。

〔従来の技術〕

従来、遠心シール（サイドシール）カセット式のオイル
シール構造は、第４図に示すように、オイルシールリン
グ５とオイルスリンガ４とから構成されており、オイル
シールリング５には金属製の芯金52が埋設され、シリン
ダブロック等のハウジング１に嵌合されるゴム主体と、
この主体から延びてオイルスリンガ４の放射方向に延び
るスリンガ45に弾接してオイルの流出を阻止する主リッ
プ53と、主リップ53とスリンガ45とのシール部へのダス
ト侵入を阻止するダストリップ51とが設けられる一方、
オイルスリンガ４には、回転軸２に嵌合する円筒部41
と、円筒部41の内端から放射方向に延びるスリンガ45が
設けられており、円筒部41の内周から上記スリンガ45の
内端面にかけてシールゴム44が焼き付け接着されてい
る。

このように構成されたオイルシール装置において、ハウ
ジング１内のオイルは、オイルスリンガ４のスリンガ45
の外端面と、オイルシールリング５の主リップ53の外端
面との弾接により漏れ止めされて、ハウジング１外への
流出を阻止され、しかもスリンガ45は回転軸２と共に回
転するため、運転中はスリンガ45の外端面に付着した油
は常に遠心力を受けて半径方向外方すなわち機内へ戻す
方向にとばされるため、有効なシール効果が得られる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述のような従来のオイルシール構造で
は、主リップ53とスリンガ45の外端面との間にゴミが挟
まるなどして軸回転の停止時に主リップ53とスリンガ45
との間を通して漏れ出たオイルは、ダストリップ部の方
に漏れ出して再度軸回転が始められても回収することが
できず、ゴミの付着を助長するような結果となる問題点
をもっている。

本考案はこのような問題点の解決をはかろうとするもの
で、漏れ出たオイルを軸回転停止時にシール部の内方側
に保持し、軸回転による遠心力で再度ハウジング内へ回
収するようにして、ハウジング内のオイルの消耗を減少
させるとともにダストリップ部等へのゴミの付着を防ぐ
ようにしたオイルシール構造を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、本考案のオイルシール構造
は、ハウジングに回転自在に支承された軸の外周面と、
同軸を挿通された上記ハウジングの開口の内周面との間
に潤滑油の密封部を形成するオイルシール構造におい
て、放射方向に延びる主スリンガを有して上記軸の外周
面に密嵌するオイルスリンガと、上記主スリンガと弾接
する主リップを有して上記開口の内周面に密嵌するオイ
ルシールリングとをそなえ、上記の主スリンガと主リッ
プとの弾接部より内方面で上記オイルスリンガから突出
して上記弾接部からの漏洩潤滑油を受けるように上記オ
イルシールリングと上記オイルスリンガとの間隔のほぼ
全域を占めるとともに上記軸の回転による遠心力を受け
て上記漏洩潤滑油を外方へふりとばすように先端が外方
に向かって延びる環状の副スリンガが設けられたことを
特徴としている。

〔作用〕

上述の本考案のオイルシール構造では、軸の停止時に、
副スリンガがシール部を通して漏洩した潤滑油をシール
部とほぼ同一平面内の内方側に保持して、ダストリップ
方向への流動を阻止するよう作用する。そして副スリン
ガに保持された漏洩潤滑油を軸の回転による遠心力によ
り外方へふりとばして再びシール部に戻す作用が行なわ
れる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例について説明すると、第１〜３図
は本考案の一実施例としてのオイルシール構造を示すも
ので、第１図はその縦断面図、第２図はその副スリンガ
の第１変形例の縦断面図、第３図はその副スリンガの第
２変形例の縦断面図である。

第１図に示すように、本考案の一実施例としてのオイル
シール構造は、放射方向に延びるスリンガ45を有して、
回転軸（図示せず）に密嵌するオイルスリンガ４と、オ
イルスリンガ４のスリンガ45と弾接する主リップ53を有
して、回転軸が挿通された開口に密嵌するオイルシール
リング５とをそなえている。

そして、このオイルシール構造では、スリンガ45と主リ
ップ53との弾接部より内方側に、オイルスリンガ４から
突設されて先端（図の左方）に向かうにしたがって外周
方向（図の上方）に広がるように延び、スリンガ45と主
リップ53の弾接部に面する側（図の上側）が開放された
全体として環状の副スリンガ46が設けられている。

なお、第１図において、従来のものと相当する部分につ
いては同様の符号を符して、説明を省略する。

上述のように構成されたオイルシール構造では、従来の
ものと同様に主リップ53がスリンガ45に弾接されて、両
者の間にシール部を構成し、ハウジング１内の潤滑油の
ハウジング１外への漏出を阻止する作用が行なわれる一
方、ハウジング１外のダストは、円筒部41とダストリッ
プ51との間でその侵入を阻止されて、主リップ53とスリ
ンガ45の弾接部へのダストのかみ込みによる潤滑油の漏
洩が防止される。

そして、このオイルシール構造では、オイルスリンガ４
に設けられた副スリンガ46が、何らかの原因でシール部
を漏れ出たオイルをその外周面で受け止めて、シール部
とほぼ同一平面内の内周側に保持するよう作用するの
で、回転軸の回転が再開されると、副スリンガ46の外周
面に付着状態で保持されているオイルを副スリンガ46の
先端から遠心力で外方へふりとばして、再びシール部に
戻す作用が行なわれる。

ところで、上述の実施例では、副スリンガ46はオイルス
リンガ４と一体のものとして形成されているが、オイル
スリンガ４を通常のオイルシール装置におけるように、
板金製とする場合には、第２図に示すように、副スリン
ガ46′部分を別体に製造し、副スリンガ46′の取り付け
フランジ46′ａをオイルスリンガ４にスポット溶接ある
いは接着して取り付けるようにすると、加工が容易とな
る。また、第３図に示すように、取り付けフランジの無
い副スリンガ46″を別体に製造し、副スリンガ46″の内
周側縁部46″ａをフリクション溶接または、同縁部につ
めを突設させて、オイルスリンガ４の孔に嵌合してオイ
ルスリンガ４に取り付けるようにすることもできる。こ
のように構成すると、副スリンガ46″の加工は一段と容
易になる。

上述のように、本考案の一実施例としてのオイルシール
構造によれば、何らかの原因でシール部を通過して漏れ
出たオイルをダストリップの方に流れ出させることなく
回収することができるので、オイルの消耗を防ぎ、オイ
ルシール部の乾燥状態を保持することができる効果が得
られる。

以上、本考案を一実施例に基づき詳述したが、本考案は
上述の実施例にのみに限定されるものではなく、実用新
案登録請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々変更して
実施可能なものである。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案のオイルシール構造によれ
ば、次のような効果ないし利点が得られる。

（１）シール部を漏れ出たオイルを副スリンガが受けと
め、軸の回転により副スリンガに保持されているオイル
を遠心力により再びシール部に戻すことができる。

（２）上記（１）により、オイルの消耗を防ぎ、オイル
シール部の乾燥状態を保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案の一実施例としてのオイルシール構
造を示すもので、第１図はその縦断面図、第２図はその
副スリンガの第１変形例の縦断面図、第３図はその副ス
リンガの第２変形例の縦断面図であり、第４図は従来の
オイルシール構造を示す縦断面図である。 １……ハウジング、２……回転軸、３……開口、４……
オイルスリンガ、５……オイルシールリング、41……円
筒部、44……シールゴム、45……スリンガ、46、46′、
46″……副スリンガ、51……ダストリップ、52……芯
金、53……主リップ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジングに回転自在に支承された軸の外
   周面と、同軸を挿通された上記ハウジングの開口の内周
   面との間に潤滑油の密封部を形成するオイルシール構造
   において、放射方向に延びる主スリンガを有して上記軸
   の外周面に密嵌するオイルスリンガと、上記主スリンガ
   と弾接する主リップを有して上記開口の内周面に密嵌す
   るオイルシールリングとをそなえ、上記の主スリンガと
   主リップとの弾接部より内方面で上記オイルスリンガか
   ら突出して上記弾接部からの漏洩潤滑油を受けるように
   上記オイルシールリングと上記オイルスリンガとの間隔
   のほぼ全域を占めるとともに上記軸の回転による遠心力
   を受けて上記漏洩潤滑油を外方へふりとばすように先端
   が外方に向かって延びる環状の副スリンガが設けられた
   ことを特徴とする、オイルシール構造。