JPH0728341Y2 - 昇降体の落下防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は昇降体の落下防止装置に関し、構成が簡単で作
動音が小さく、リンクが効率よく作動することを特徴と
するものである。

〔従来の技術〕

従来から駐車装置として、車の載置用パレツトを適数段
に構成し、これを地下格納部の底面四隅に設置した固定
柱にそつて昇降させるもの、あるいは本出願人において
地下格納部を構成する対向壁上端に横架した横梁間に二
段構造の前記昇降体を配置し、この昇降体をモータにて
駆動されるチエーンによつて昇降させるもの（特公昭62
-40496号公報参照）などが提供されている。

前記のごとき装置にあつては、上昇させた昇降体が何ら
かの装置の故障により落下すると装置の損傷のみなら
ず、人的損害を伴い極めて危険である。そこで、従来本
出願人は前記危険防止のため昇降体の昇降通路に突出及
び該昇降通路から退避自在に、前記昇降体の上限位置の
若干下方の固定部側に軸支されたロツクレバーと、該ロ
ツクレバーを前記昇降通路から突出した状態に付勢する
スプリングと、通電時に該スプリングの力に抗して前記
ロツクレバーを昇降通路から退避した状態に付勢するソ
レノイドとを備えてなる昇降体の落下防止装置（実公昭
62-29546号公報参照）を提供した。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の落下防止装置では前記ソレノイドの作動音及びス
プリングによるロツクレバーの復帰時に該ロツクレバー
と固定部側に発生する衝撃音が大きいとともに、ロツク
レバーの退避を検知するリミツトスイツチ等からの騒音
も加わり、特に夜間においては作動音が大きく感じ附近
住民の苦情を受ける欠点があつた。

そこで騒音対策としてソレノイド部を防音カバーで覆う
等していたが十分とは言えなかつた。

本考案は前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは昇降体の上昇時に昇降体の
昇降通路にロツクレバーを突出させ、故障等が生じても
昇降体が落下することなく、昇降体の下降時にはロツク
レバーが完全に復帰し、しかも落下防止装置のスムース
で効率のよい作動及び作動時の騒音を極めて小さくしよ
うとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、本考案に係る落下防止装置
は、自重で先端部側が昇降体の昇降通路に突出するよう
に前記昇降体の上限位置より若干下方の固定部側にシャ
フトによって回動可能に支持されるとともに、前記昇降
体の上昇に際して該昇降体の昇降通路から退避せしめら
れるロックレバーと、プランジャの下端部側がその上端
部側より前記昇降体の昇降通路側に位置するように傾斜
せしめて前記ロックレバーの上方の前記固定部側に設け
られた直流ソレノイドと、その上端部側が前記プランジ
ャの下端部側に回動自在に連結されるとともに、その下
端部側が前記ロックレバーにおける前記シャフトより前
記昇降体の昇降通路側に回動自在に連結されたリンク
と、からなり、前記プランジャと前記リンクと前記ロッ
クレバーに対する前記リンクの止着部とが、前記シャフ
トの軸線方向から見て、略々直線上に位置していること
を特徴としている。

［作用］ 本考案によれば、通常状態においては、ロックレバーの
先端部側が自重によって昇降体の昇降通路に突出してい
る。

このため、従来のものと異なり、復帰用のスプリング等
を設ける必要がない。よって、スプリングによるロック
レバーの復帰時に、該ロックレバーと固定部側との接触
によって従来発生していた衝撃音がなくなる。

加えて、直流ソレノイドを採用したから、通電時にプラ
ンジャと固定鉄心との衝突部に発生する作動音がなくな
る。

以上の理由によって、落下防止装置が静かに作動する。

また、本考案によれば、前記プランジャが上方へ移動す
ることによって、前記リンクを介して前記ロックレバー
が回動せしめられ、その先端部側が前記昇降体の昇降通
路から退避する。

ここで、本考案に係る落下防止装置では、前記プランジ
ャと前記リンクと前記ロックレバーに対する前記リンク
の止着部とが、前記シャフトの軸線方向から見て、傾斜
した直線上に略々位置している。このため、プランジャ
とリンクとをく字状に連結した場合と異なり、プランジ
ャがその軸線方向に移動するとき、その移動力が前記リ
ンクを介して前記ロックレバーの回動力へとスムースに
変換される。しかも、前記ソレノイドは、前記プランジ
ャの下端部側がその上端部側より前記昇降体の昇降通路
側に位置するように傾斜して設けられているので、前記
昇降体の昇降の障害となることはない。

［実施例］ 以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明する。

第１図，第２図には、本考案に係る落下防止装置の適用
対象の一例として、地下格納タイプの二段駐車装置が示
されている。

この二段駐車装置は、地表面を適宜掘削して形成された
地下格納部ａを有している。この地下格納部ａの前後に
は、左右方向に長く延びたコンクリート等の壁b,b′が
互いに対向して平行に設けられている。これらの壁b,
b′は、駐車装置の連設数に応じた長さのものである。

前記対向する壁b,b′の上面には、左右方向に所要の間
隔を開けて横梁1,1aが前後方向に向けて平行に架設され
ている。これらの横梁1,1aの前後両端には予めブラケッ
ト２がそれぞれ設けられていて、これらのブラケットに
よって前記壁b,b′の上面に対して前記横梁1,1aがそれ
ぞれ固定されている。

前記横梁1,1aと前後の壁b,b′とによって区画された空
間の内部には、昇降体ｃが前後方向に向けて配設されて
いる。この昇降体ｃは、それぞれ車両を載置し得る前後
長さと左右横幅とを有する上段パレット４と下段パレッ
ト５とを、それらの左右両側部においてそれぞれ前後二
か所ずつ適当長さの支柱3,3a,3b,3cで上下に平行に連結
してなるものである。上記上段パレット４と前記下段パ
レット５との間の上下間隔は、駐車される車両の高さよ
り大きく設定されている。

前記昇降体ｃの昇降機構について説明すると、前記昇降
体を構成する前記下段パレット５の略々四隅部には、チ
ェーン6,6a,6b,6cの一端がそれぞれ止着されている。図
面実施例の場合、前記チェーン6,6a,6b,6cの一端は、長
さ調整用のアジャスタ７を介して、前記下段パレット５
に対してそれぞれ止着されている。これは、前記アジャ
スタ７によって前記昇降体ｃの水平維持調整を容易に行
えるようにするためである。図中８は、チェーンガイド
である。

前記各横梁1,1aの内側面であって前記各チェーンガイド
８に対応する前後位置には、チェーンガイドとしてのス
プロケット9,9a,9b,9cがそれぞれ設けられている。これ
らのスプロケット9,9a,9b,9cには、前記各チェーン6,6
a,6b,6cがそれぞれ巻き掛けられている。

前記横梁1,1aの前後いずれか一方であって前記昇降体ｃ
の昇降の邪魔にならない位置には、駆動シャフト11が左
右方向に向けて設けられている。この駆動シャフト11の
両端には、前記チェーン6,6a,6b,6cが噛み合う巻上げス
プロケット12,12a,12b,12cが固着され、前記駆動シャフ
ト11の適位置には、駆動スプロケット13が固着されてい
る。また、前記横梁１の下面であって前記昇降体ｃの昇
降の邪魔にならない位置には減速機を備えた正逆回転自
在なモータ10が配設され、このモータ10の駆動回転軸14
と前記駆動スプロケット13との間にはチェーン15が巻き
掛けられている。

そして、前記チェーン6,6a,6b,6cの各他端は前記各巻上
げスプロケット12,12a,12b,12cにそれぞれ巻き掛けられ
ていて、前記モータ10を正逆回転させることにより、前
記昇降体ｃが水平状態を常に維持したまま昇降せしめら
れる。

図中16は、前記横梁1,1aの撓みを防止するために、前記
昇降体ｃの昇降通路脇に設けられた四本の補助柱であ
る。

前記構成の二段駐車装置において、本考案に係る落下防
止装置は、昇降体ｃの昇降通路の略々四隅部であって昇
降体ｃの昇降の邪魔にならない位置に設けられる。例え
ば、前記補助柱16に設けるとよい。

本実施例に係る落下防止装置は、後に述べるロックレバ
ー17の先端部のみが昇降体ｃの昇降通路に突出自在及び
該昇降通路から退避自在に構成される。前記ロックレバ
ー17の設置高さは、昇降体ｃの上限位置の若干下方、す
なわち、昇降体ｃの最上昇時に下段パレット５の若干下
方となる位置とされる。

第３図及び第４図には、本考案の一実施例に係る落下防
止装置が示されている。

これらの図において、18は、固定部側（すなわち、図示
例では前記補助柱16）にボルト，ナット等によって固定
されるベースである。このベース18には、前記昇降体ｃ
の前後長さ方向に延びる水平なシャフト24によって、前
記ロックレバー17が回動自在に設けられている。このロ
ックレバー17の重心は、前記シャフト24より前記昇降体
ｃの昇降通路側へ位置している。その結果、前記ロック
レバー17は、自重によってその先端部側が昇降体ｃの昇
降通路に突出するようになっており、さらに、昇降通路
に突出した状態を維持するようになっている。

前記ベース18の上部18aには、プランジャ20を下向きに
して、直流ソレノイド19が取り付けられている。この直
流ソレノイド19は、コイル19aが巻回されてなるコイル
ボビンに形成された空胴部をプランジャ20がその軸線方
向に自由に往復運動する構成となっていて、交流ソレノ
イドに比べて接触点がなく、作動音が生じない。

前記直流ソレノイド19は、例えば、通電時に前記プラン
ジャ20を上方へ引っ込めるとともに、非通電時に前記プ
ランジャ20を解放するように作動するものであり、前記
ロックレバー17の前記昇降通路からの退避作動及び前記
昇降通路への突出作動を制御する。

前記直流ソレノイド19は、前記プランジャ20の下端側が
前記プランジャ20の上端側より前記昇降体ｃの昇降通路
側に位置するように、傾斜状態で設けられている。これ
は、前記ソレノイド19が前記昇降体ｃの昇降の邪魔にな
らないようにするためである。

図示例では、前記ベース18の上部18aを前記昇降体ｃの
昇降通路の左右方向外方に向けて小さく折り曲げて傾斜
させ、この傾斜部に前記ソレノイド19を固着している。
前記ベース18の上部18aを傾斜させる代わりに、前記ベ
ース18と前記ソレノイド19との間に、このソレノイド19
に傾斜を与える傾斜ブロック等を介在させる等の手段を
採用することもできる。

前記プランジャ20の下端部には、ピン22によってリンク
21,21aの上端部が回動可能に連結されている。これらの
リンク21,21aは、前記ロックレバー17の両側（第４図で
見て前記ロックレバー17の左右両側）にそれぞれ位置し
ていて、その下端部は、前記ロックレバー17に対して、
ピン23によって回動可能にそれぞれ連結されている。前
記ロックレバー17に対する前記リンク21,21aの止着部17
aは、前記シャフト24より昇降通路側に位置している。
そして、第３図に示したように、前記プランジャ20と前
記リンク21,21aと前記止着部17aとは、前記シャフト24
の軸線方向からみて略々直線上に位置している。

図中25は前記直流ソレノイド19を保護するカバーであ
り、26は前記ロックレバー17の昇降通路からの退避作動
を停止せしめるストッパー、27はロックレバー17の昇降
通路からの退避を検知するリミットスイッチである。

以上のように構成される本実施例に係る落下防止装置
は、次のように作動する。

前記直流ソレノイド19に通電されていないときには、前
記プランジャ20が下方に突出していて、前記ロックレバ
ー17の先端部側が自重によって昇降体ｃの昇降通路に突
出している。第３図に実線で示した状態である。

前記ロックレバー17は、前記地下格納部ａの中に位置し
ていた昇降体ｃが上昇するとき、昇降体ｃを構成する前
記下段パレット５の側面に当接して上方へ逃がされる。
該下段パレット５が通過すると、前記ロックレバー17
は、自重によって再び昇降通路に突出する。そして、前
記ロックレバー17は、前記昇降体ｃが上限位置にあると
き（前記下段パレット５が地表面と同じ高さにあると
き）に、前記下段パレット５の若干下方にあって、前記
チェーン6,6a,6b,6cが切れた場合等の非常時における昇
降体ｃの落下を阻止する。

もっとも、昇降体ｃの上昇用スイッチを入れると同時に
直流ソレノイド19に通電されるように構成することによ
って、昇降体ｃの上昇時にはロックレバー17が自動的に
昇降通路から退避するようにし、さらに、昇降体ｃの上
限検知スイッチ（図示せず）により直流ソレノイド19へ
の通電を断つように構成して、昇降体ｃが上昇し終わる
と同時に前記ロックレバー17を昇降通路に突出させるこ
とも可能である。

前記昇降体ｃを前記上限位置から下降させるときには、
図示しない昇降体下降用スイッチを操作する。それと同
時に直流ソレノイド19に通電され、前記プランジャ20が
その軸線方向に沿って斜め上方へ引っ込み作動する。こ
のとき、前記プランジャ20は、前記リンク21,21aを介し
て前記止着部17aを斜め上方へ引き上げる。その結果、
前記止着部17aが前記シャフト24を中心とする円弧を描
いて上方へ移動し、第３図に二点鎖線で示すように、前
記ロックレバー17の先端部側が前記昇降体ｃの昇降通路
から退避させられる。

本実施例に係る落下防止装置によれば、前記プランジャ
20がその軸線方向に移動するとき、前記止着部17aは小
さく円弧を描くように移動して、それに伴って前記リン
ク21,21aの下端部側は若干揺動するものの、全体として
見れば、前記プランジャ20と前記リンク21,21aと前記止
着部17aとは、前記シャフト24の軸線方向から見て略々
直線上を運動している。このため、前記プランジャ20と
前記リンク21,21aとをく字状に連結した場合と比べて、
前記プランジャ19の移動力が前記リンク21,21aを介して
前記ロックレバー17の回動力へとスムースに変換され
る。しかも、前記ソレノイド19は、前記プランジャ20の
下端部側がその上端部側より前記昇降体ｃの昇降通路の
内方に位置するように傾斜して設けられているので、前
記昇降体ｃの昇降の障害となることはない。

［考案の効果］ 本考案に係る落下防止装置によれば、従来生じていた種
々の騒音の原因が除去されていて静かに作動するから、
騒音の問題がない。

また、プランジャと、リンクと、ロックレバーに対する
リンクの止着部とが、略々直線上に位置しているから、
プランジャがその軸線方向に移動するとき、その移動力
が前記リンクを介してロックレバーの回動力へとスムー
スに変換される。よって、プランジャに余計な抵抗がか
からず、ロックレバーの作動もスムースである。

さらに、ソレノイドは、プランジャの下端部側がその上
端部側より昇降体の昇降通路側に位置するように傾斜し
て設けられているので、前記昇降体の昇降の障害となる
ことがない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は二段駐
車装置の斜視図、第２図はその側面図、第３図は本考案
の落下防止装置の側面図、第４図はその正面図である。 （17）……ロックレバー、（18）……ベース、（19）…
…直流ソレノイド、（20）……プランジャ、（21）（21
a）……リンク、（23）……ピン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小田川 利子 神奈川県横浜市金沢区釜利谷町１番地 東 急車輌製造株式会社本社工場内 (72)考案者 桐ヶ谷 功 神奈川県横浜市金沢区釜利谷町１番地 東 急車輌製造株式会社本社工場内 (72)考案者 金野 満 大阪府堺市鳳南町３丁200番地 東急車輌 製造株式会社大阪工場内 (72)考案者 桂原 素之 大阪府堺市鳳南町３丁200番地 東急車輌 製造株式会社大阪工場内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自重で先端部側が昇降体の昇降通路に突出
   するように前記昇降体の上限位置より若干下方の固定部
   側にシャフトによって回動可能に支持されるとともに、
   前記昇降体の上昇に際して該昇降体の昇降通路から退避
   せしめられるロックレバーと、 プランジャの下端部側がその上端部側より前記昇降体の
   昇降通路側に位置するように傾斜せしめて前記ロックレ
   バーの上方の前記固定部側に設けられた直流ソレノイド
   と、 その上端部側が前記プランジャの下端部側に回動自在に
   連結されるとともに、その下端部側が前記ロックレバー
   における前記シャフトより前記昇降体の昇降通路側に回
   動自在に連結されたリンクと、からなり、 前記プランジャと前記リンクと前記ロックレバーに対す
   る前記リンクの止着部とが、前記シャフトの軸線方向か
   ら見て、略々直線上に位置していることを特徴とする昇
   降体の落下防止装置。