JPH07278940A - 多孔紡糸口金及びこの紡糸口金を用いた極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸方法 - Google Patents

多孔紡糸口金及びこの紡糸口金を用いた極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸方法

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JPH07278940A
JPH07278940A JP18651794A JP18651794A JPH07278940A JP H07278940 A JPH07278940 A JP H07278940A JP 18651794 A JP18651794 A JP 18651794A JP 18651794 A JP18651794 A JP 18651794A JP H07278940 A JPH07278940 A JP H07278940A
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Teruo Higuchi
照雄 樋口
Michimasa Onishi
道昌 大西
Kenji Yamashita
賢司 山下
Kazuyasu Sumino
和康 角野
Yasushi Noda
靖 野田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 紡糸口金に穿孔された全紡糸孔数が200 以上
であり、これらの紡糸孔の配列が次の(1)〜(4)の
要件を同時に満足する。 (1)紡糸孔の最外周列の直径D1 と最内周列の直径D
2 と内径D0 が下記式範囲内である。 D1 /D0 =0.
5〜0.7 D2 /D0 =0.4〜0.6 (2)紡糸孔が穿孔されたブロックB1 と穿孔されない
ブロックB2 が環状に交互に各々、6〜16個設けられて
いる。 (3)ブロックB1 の中心角αとブロックB2 の中心角
βの比が0.8 〜1.25である。 (4)ブロックB1 内に穿孔された紡糸孔は、複数の同
心円上で中心角を同一とする複数の放射線上に配列して
おり、孔密度ρ(個/cm2 )が10〜35である。 【効果】 単糸間の密着や糸切れを発生させることなく
均一に冷却できるので、均斉度に優れ、染斑の発生のな
い品質の高い1デニール以下で200 フィラメント以上の
極細マルチフィラメントを操業性よく製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル、ポリア
ミド等の熱可塑性ポリマーを用いて、単糸繊度が1デニ
ール以下であり、200 フィラメント以上の極細マルチフ
ィラメント糸を溶融紡糸する際に用いる紡糸口金及びこ
の紡糸口金を用いた極細マルチフィラメント糸の溶融紡
糸方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリエステル、ポリアミド等の合
成繊維糸条は、得られる布帛の風合や機能性の面から、
単糸繊度の小さいものが求められている。このような細
デニールで多フィラメントの糸条を効率よく製造するた
めには、1枚の口金に多数の紡糸孔を穿孔した紡糸口金
を用いて溶融紡糸する。
【0003】単糸繊度が1デニール以下の極細マルチフ
ィラメント糸を溶融紡糸する口金として、特開昭55-112
305 号公報には、下流に設けた環状冷却装置を用いて冷
却する際に単糸間の冷却斑を極めて小さくすることがで
きる溶融紡糸口金が提案されている。この紡糸口金は、
複数の同心円上で、かつ中心角が同一となる複数の放射
線上に等しい数の紡糸孔を配列させたものである。
【0004】この紡糸口金は、環状冷却装置の冷却風の
吹き出し面から紡糸孔までの距離の関係を考慮していな
いため、環状冷却装置の冷却風の吹き出し面から紡糸口
金に穿孔された最外周列の紡糸孔までの距離が小さい場
合、最外周列の単糸は吹き出し速度が高い冷却風に流さ
れ、内周列の単糸と密着を起こし、紡糸性が極めて悪
い。逆に、環状冷却装置の冷却風の吹き出し面から紡糸
口金に穿孔された最外周列の紡糸孔までの距離が大きい
場合、最内周列の糸条まで冷却風が十分に届かず、内周
列の単糸の冷却が不十分となり、単糸切れが発生する。
【0005】また、環状冷却装置の冷却風の吹き出し面
から紡糸口金に穿孔された最外周列の紡糸孔までの距離
が適度な場合であっても、この紡糸口金を用いて単糸繊
度が1デニール以下である200 フィラメント以上の糸条
を溶融紡糸すると、糸条の冷却が不十分となり、単糸間
の密着や糸切れが多発する。
【0006】すなわち、この紡糸口金に200 個以上の紡
糸孔を配列させるには、同心円上での紡糸孔の間隔を確
保して配列させる場合と放射線上での紡糸孔の間隔を確
保して配列させる場合がある。まず、同心円上での紡糸
孔の間隔を確保する口金の場合、各放射線上の孔数を多
くして各同心円上の孔数を少なくすればよいが、最内周
列の糸条まで冷却風が十分に届かず、冷却が不十分とな
り、内周列付近の糸条は単糸間で密着が発生し、糸切れ
しやすい。
【0007】放射線上での紡糸孔の間隔を確保する場
合、同心円上の孔数を多くして各放射線上の孔数を少な
くすればよいが、同心円上の孔の間隔が小さくなり、環
状に吹き付ける冷却風に対して、各同心円上の糸条がス
クリーンのように作用し、内周列の糸条への冷却風の導
入が困難となり、十分に冷却されず、単糸間の密着や糸
切れが発生する。
【0008】したがって、上記のような紡糸口金を用い
て溶融紡糸すると、冷却風が内周列付近の糸条まで導入
されないため冷却が不十分となり、単糸間の密着や単糸
切れが多発し、得られる糸条は染斑が発生しやすい等、
均斉度が悪いという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決し、単糸繊度が1デニール以下である200 フ
ィラメント以上の極細マルチフィラメント糸を紡糸調子
よく溶融紡糸し、単糸間の密着や単糸切れを発生させる
ことなく、環状冷却装置で均一な冷却ができ、均斉度の
優れた糸条を得ることができる多孔紡糸口金及びこの紡
糸口金を用いた極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸方
法を提供することを技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、紡糸口金の紡糸孔
の配列を環状冷却装置の冷却風吹き出し面の内周面から
の距離で適切に選択し、紡糸孔を穿孔するブロックB1
と穿孔しないブロックB2 を交互に設けて、ブロックB
1 内に穿孔する孔密度を規定した紡糸口金とし、かつ環
状冷却装置の冷却条件を適切に選択することによって、
この紡糸口金より紡糸した糸条の均一な冷却が可能とな
り、均斉度の優れた糸条を得ることができることを見出
し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は次のとおりであ
る。 〔A〕紡糸口金ホルダーの下流に設けた環状冷却装置で
紡出糸条の冷却を行う多糸条溶融紡糸に用いる紡糸口金
であって、この紡糸口金に穿孔された全紡糸孔数が200
以上であり、これらの紡糸孔の配列が次の(1)〜
(4)の要件を同時に満足することを特徴とする多孔紡
糸口金。 (1)環状冷却装置の冷却風吹き出し面の内径D0 に対
し、複数の同心円上に穿孔された紡糸孔の最外周列の直
径D1 と最内周列の直径D2 が下記式の範囲内であるこ
と。 0.5≦D1 /D0 ≦0.7 0.4≦D2 /D0 ≦0.6 (2)口金面が口金中心点を原点とする放射線で複数の
ブロックに分割され、紡糸孔が穿孔されたブロックB1
と穿孔されないブロックB2 が環状に交互に設けられ、
その数が下記式の範囲内であること。 6≦B1 =B2 ≦16 (3)ブロックB1 の中心角αとブロックB2 の中心角
βの比が下記式の範囲内であること。 0.8≦β/α≦1.25 (4)ブロックB1 内に穿孔された紡糸孔は、口金中心
点を原点とする複数の同心円上で、かつ、中心角を同一
とする複数の放射線上に配列しており、孔密度ρ(個/
cm2 )が下記式の範囲内であること。 10 ≦ρ≦35 〔B〕紡糸口金より紡出された糸条を紡糸口金ホルダー
の下流に設けた環状冷却装置で冷却を行い、単糸繊度が
1デニール以下の糸条を得る多糸条溶融紡糸方法におい
て、〔A〕記載の紡糸口金を用いて溶融紡糸し、かつ下
記の(1)〜(3)の条件で冷却を行うことを特徴とす
る極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸方法。 (1)紡糸口金ホルダーの下面から環状冷却装置までの
距離hを20〜100 mmとする。 (2)環状冷却装置の冷却風吹き出し面の長さlを100
〜300 mmとする。 (3)環状冷却装置の冷却風の吹き出し速度を0.1 〜1.
5 m/秒とする。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。図
1は、本発明の多孔紡糸口金の一実施態様を示す部分模
式図であり、図2は、溶融紡糸工程の一実施態様を示す
概略工程図である。まず、図1を用いて、本発明の多孔
紡糸口金について説明する。なお、図1の部分模式図に
おいて、冷却風は、環状冷却装置の内側の円筒フィルタ
ー10から紡糸口金2の中心点Pに向かって吹き出され
る。環状冷却装置の冷却風吹き出し面である円筒フィル
ター10の内径D0 の大きさと、紡糸口金2に穿孔された
複数の同心円上の紡糸孔Hの最外周列の直径D1 及び最
内周列の直径D2 との比を下記式範囲内にする必要があ
る。 D1 /D0 =0.5〜0.7 D2 /D0 =0.4〜0.6
【0013】D1 /D0 が0.7を超えると、紡出された
糸条が冷却風の吹き出し面に近くなり、外周列の単糸が
冷却風に流され、内周列の単糸と密着を起こし、紡糸性
が極めて悪化する。一方、D1 /D0 が0.5未満である
と、紡出された糸条が冷却風の吹き出し面から遠くな
り、冷却風が単糸間に導入されにくく、内周列の単糸の
冷却が不十分となり、単糸切れが発生する。
【0014】また、D2 /D0 が0.6 を超えると、紡糸
口金面の紡糸孔を穿孔する範囲が小さくなるため、紡糸
孔数が制限されたり、穿孔した紡糸孔の孔間隔が小さく
なるため、紡出された糸条は単糸間で密着する。一方、
2 /D0 が0.4 未満であると、冷却風が最内周列の糸
条まで導入されにくくなり、糸条の冷却が不十分とな
る。
【0015】次に、紡糸口金面の直径D1 とD2 の同心
円とで区画された領域内が口金中心点を原点とする放射
線で複数のブロックに分割され、紡糸孔が穿孔されたブ
ロックB1 と穿孔されないブロックB2 が環状に交互に
設けられ、その数が各々6〜16個であることが必要であ
る。このように、紡糸孔を穿孔されたブロックB1 と穿
孔されないブロックB2 に区画することにより、冷却風
はブロックB2 を介してブロックB1 の最内周列の糸条
まで十分に導入され、糸条の均一な冷却が可能となる。
【0016】B1 (又はB2 )の数が6未満であると、
ブロックB1 に穿孔する紡糸孔の数が多くなるため、ブ
ロックB1 の最内周列の糸条まで冷却風が導入されにく
くなり、糸条の冷却が不十分となる。B1 (又はB2
の数が16を超えると、1ブロックあたりの角度が小さく
なるので、冷却風がブロックB2 より導入されにくくな
り、糸条の冷却が不十分となる。
【0017】さらに、ブロックB1 の中心角αの大きさ
は、B2 の中心角βの大きさに対して0.8〜1.25倍とす
る必要がある。B2 の中心角βの大きさは、紡糸孔数と
密接な関係があり、孔数が144 個以下のように比較的少
ない場合には、αに対し0.3倍程度でも冷却が十分にで
きるが、孔数が200 個以上と多い場合、同心円の数が増
えるため、αに対するβの比率を大きくとり、より多く
の冷却風を導入しないと内周部の糸条の冷却が不十分と
なる。したがって、ブロックB1 の中心角αの大きさが
2 の中心角βの大きさに対して1.25倍を超えると、冷
却風がブロックB1 の最内周列の糸条まで導入されなく
なり、糸条の冷却が不十分となる。ブロックB1 の中心
角αの大きさがB2 の中心角βの大きさに対して0.8倍
未満であると、ブロックB1 に穿孔する紡糸孔の孔間隔
が小さくなり、紡出された糸条は単糸間で密着する。
【0018】ブロックB1 に穿孔する紡糸孔の密度ρ
は、10〜35個/cm2 とする必要がある。孔密度が10個/
cm2 未満であると、冷却風は導入されやすいが、各単糸
の周囲の温度の低下が著しく、また、冷却とともに発生
する随伴気流により紡糸張力が過剰となり、紡糸性が極
めて悪くなる。これは、単糸デニールが小さくなるほど
複数の単糸を集合し、各単糸の周囲の温度が極端に低下
するのを抑止することが有効であることを示すものであ
るが、35個/cm2 を超えると、単糸の太さによっては単
糸間密着を起こすため好ましくない。
【0019】また、紡糸口金に穿孔する紡糸孔の形状
は、特に限定されるものではなく、丸断面、3葉、6葉
等の異形断面のいずれでもよい。
【0020】次に、図2を用いて、本発明の極細マルチ
フィラメント糸の溶融紡糸方法を説明する。溶融された
熱可塑性ポリマーを、紡糸口金ホルダー1に装着された
紡糸口金2より紡糸し、糸条Yを紡糸口金ホルダー1の
下流に設けられたフード部3を通過させ、フード部3の
下流に設けられた環状冷却装置4の内側の円筒フィルタ
ー10より吹き出される空気により冷却、固化し、続いて
油剤付与装置5で油剤を付与し、さらに糸道ガイド6で
糸条を集束した後、引取ローラ7、8を介してワインダ
ー9で巻き取る。
【0021】この場合、紡糸口金ホルダーの下面から環
状冷却装置までの距離hを20〜100mmとする必要があ
り、単糸繊度の大きさやフィラメント数により、距離h
をこの範囲内で調整する。距離hが100 mmを超えると、
1デニール以下の極細糸では、糸条の冷却ポイントがず
れて、均斉度の悪い糸条となる。距離hが20mm未満であ
ると、紡糸口金の下面から環状冷却装置までの距離が短
く、紡糸口金が冷却風により冷やされ、紡糸時に糸切れ
等が発生したり、紡糸性が悪化する。なお、環状冷却装
置までの距離hは、通常、図2に示したようにフード部
3の長さを示す。
【0022】また、環状冷却装置の冷却風吹き出し面の
長さlを100 〜300 mmとする必要があり、単糸繊度の大
きさやフィラメント数により、長さlをこの範囲内で調
整する。長さlが100 mm未満であると、糸条の冷却が不
十分となり、均一な冷却ができず、冷却斑の発生した糸
条となる。長さlが300 mmを超えると、走行糸条の随伴
気流が増大し、糸条張力が増大することにより、紡糸性
が悪化する。
【0023】さらに、環状冷却装置の冷却風の吹き出し
速度を0.1 〜1.5 m/秒とする必要がある。冷却風の吹
き出し速度が1.5 m/秒を超えると、紡糸口金の最外周
列の単糸を吹き流し、隣接する単糸間で密着が発生し、
糸切れが生じる。冷却風の吹き出し速度が0.1 m/秒未
満であると、実質的に糸条の冷却が困難となる。なお、
冷却風の吹き出し速度とは、環状冷却装置の冷却風吹き
出し面での風速をいう。
【0024】本発明の紡糸口金を用いて紡糸することが
できる熱可塑性ポリマーとしては、エチレンテレフタレ
ートを主たる繰り返し単位としたポリエステルやナイロ
ン6、66等が好適に用いられるが、艶消し剤として酸
化チタンを添加したものや、第3成分を共重合した変性
ポリマーであってもよい。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における物性値及び評価は、次のよ
うにして行った。 (1)紡糸調子 溶融紡糸した糸条を巻き取った際の状況を次の2段階で
評価した。 ○ 5時間以上糸切れもなく良好に紡糸できる。 × ワインダーに糸掛け後、数分のうちに糸切れが
発生するか、又はワインダーに全く巻き付けができな
い。 (2)糸条均斉度 巻き取られた糸条をツェルベガー・ウースター社製のウ
ースター・テスターを用いて、ハーフイナートテストで
太さ斑を測定し、次の2段階で評価した。 ○ 太さ斑3%未満 × 太さ斑3%以上 (3)染斑 得られた糸条を低速ピン仮撚機で仮撚加工し、得られた
加工糸を筒編みした後、常法で染色した。次いで得られ
た染色筒編地の染色斑を目視で確認し、次の3段階で評
価した。 ○ 染斑なし。 △ 部分的に色差はあるが、製品化が可能である。 × ほぼ全サンプルに濃淡の色差がはっきり見え、
製品化が不可である。 (4)総合評価 ○ 紡糸調子、品質ともに良好である。 × 紡糸調子、品質のいずれかに欠陥があり、不良
である。
【0026】実施例1 極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物
を溶媒とし、20℃で測定した。)0.68のポリエチレンテ
レフタレートチップを温度290 ℃で溶融し、紡糸温度29
8 ℃、毎分51.2gの吐出量で孔径0.15mmの紡糸口金から
紡糸した。紡糸口金ホルダーの下面に長さ30mmのフード
部を設けて紡糸口金ホルダーの下面から環状冷却装置ま
での距離hを30mmとし、その下流に冷却風吹き出し面の
長さlが200 mmの円筒フィルターを設けた環状冷却装置
を設置し、円筒フィルターから速度0.5 m/秒の冷却風
を吹き出し、紡出糸条を冷却した。このときの冷却風吹
き出し面である円筒フィルターの内周面の直径D0 は11
4mm、紡糸口金面に穿孔された紡糸孔の数は300 孔であ
り、紡糸孔の最外周列の直径D1 が72mm、最内周列の直
径D2 が52mmで、5個の同心円上に配列されており、紡
糸孔が穿孔されたブロックB1 と穿孔されないブロック
2 は16個設けられ、ブロックB1 の中心角αとブロッ
クB2 の中心角は12度であり、各ブロックB1 に配列さ
れた紡糸孔の孔密度ρが30.8個/cm2 である。(この紡
糸口金をaタイプとする。) 冷却された糸条に紡糸油剤を付与しつつ、糸道ガイドで
糸条を集束しながら、毎分3200mの速度で148 デニール
/300 フィラメントの未延伸糸条をワインダーに巻き取
った。このときの紡糸調子と得られた糸条の品質の評価
及び総合評価を表1に示す。
【0027】実施例2〜3、比較例1〜3 紡糸口金に穿孔した紡糸孔数及び紡糸孔の配列を表1の
ように種々変更した以外は、実施例1と同様に行った。
このときの紡糸調子と得られた糸条の品質の評価及び総
合評価を併せて表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、実施例1〜3で
は、糸切れもなく良好に紡糸でき、また、得られた糸条
は均斉度に優れており、染色しても染斑の発生のない品
質のよい糸条であった。一方、式のD1 /D0 の値が
0.7 を超えた比較例1及び式のβ/αの値が0.8 より
小さい比較例2では、紡出糸条の単糸間での密着が多発
し、紡糸中に糸切れが発生し、紡糸調子が悪かった。ま
た、得られた糸条は均斉度が悪く、染色すると染斑が発
生し、操業性、品質ともに劣るものであった。また、式
のβ/αの値が3.50の比較例3では、冷却風が最内周
列の糸条まで導入されず、糸条の冷却が不十分となり、
紡糸調子も悪く、巻き取ることができなかった。
【0030】実施例4〜5、比較例4〜6 紡糸口金ホルダーの下面から環状冷却装置までの距離h
(フード部の長さ)及び冷却風の吹き出し速度を表2の
ように種々変更した以外は実施例1と同様に行った。こ
のときの紡糸調子と得られた糸条の品質の評価及び総合
評価を併せて表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、実施例4〜5で
は、糸切れもなく良好に紡糸でき、また、得られた糸条
は均斉度に優れており、染色しても染斑の発生のない品
質のよい糸条であった。冷却風の吹き出し速度が1.5 m
/秒を超えた比較例4では、紡糸口金の最外周列の単糸
が吹き流されて、糸切れが発生し、紡糸調子が悪かっ
た。距離hが100mm を超えた比較例5、6では、単糸間
での密着が発生し、糸切れが生じたり、均一な冷却がで
きずに、冷却斑のある均斉度の悪い糸条となった。
【0033】実施例6〜7、比較例7〜10 紡糸口金ホルダーの下面から環状冷却装置までの距離h
(フード部の長さ)を30mmとし、円筒フィルターの内周
面の直径D0 を140mm とし、冷却風吹き出し面の長さl
及び冷却風の吹き出し速度、紡糸口金に穿孔した紡糸孔
数及び紡糸孔の配列を表3のように種々変更した以外
は、実施例1と同様に行った。このときの紡糸調子と得
られた糸条の品質の評価及び総合評価を併せて表3に示
す。
【0034】
【表3】
【0035】表3から明らかなように、実施例6〜7で
は、糸切れもなく良好に紡糸でき、また、得られた糸条
は均斉度に優れており、染色しても染斑の発生のない品
質のよい糸条であった。D2 /D0 の値が0.4 未満であ
る比較例7では、冷却風が最内周列の糸条まで導入され
ず、糸条の冷却が不十分となり、単糸間での密着や糸切
れが生じ、紡糸調子が悪かった。また、得られた糸条は
冷却斑があり、染色すると染斑が発生し、品質の劣るも
のであった。長さlが300mm を超えた比較例8では、得
られた糸条の均斉度は優れていたが、随伴気流により紡
糸張力が高くなり、糸切れが発生し、紡糸調子が悪かっ
た。冷却風の吹き出し速度が1.6 m/秒であった比較例
9では、紡糸口金の最外周列の単糸が吹き流されて、単
糸間での密着が多く、糸切れが発生し、紡糸調子が悪か
った。冷却風の吹き出し速度を2.0 m/秒とした比較例
10では、比較例9よりさらに多くの糸切れが発生し、巻
き取ることができなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、単糸間の密着や糸切れ
が発生することなく、糸条を均一に冷却できるので、均
斉度に優れ、染斑の発生のない品質の高い単糸繊度が1
デニール以下で200 フィラメント以上の極細マルチフィ
ラメント糸を操業性よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔紡糸口金の一実施態様を示す部分
模式図である。
【図2】本発明の溶融紡糸工程の一実施態様を示す概略
工程図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金ホルダー 2 紡糸口金 3 フード部 4 環状冷却装置 5 油剤付与装置 6 糸道ガイド 7、8 引き取りローラ 9 ワインダー 10 円筒フィルター H 紡糸孔 P 中心点

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸口金ホルダーの下流に設けた環状冷
    却装置で紡出糸条の冷却を行う多糸条溶融紡糸に用いる
    紡糸口金であって、この紡糸口金に穿孔された全紡糸孔
    数が200 以上であり、これらの紡糸孔の配列が次の
    (1)〜(4)の要件を同時に満足することを特徴とす
    る多孔紡糸口金。 (1)環状冷却装置の冷却風吹き出し面の内径D0 に対
    し、複数の同心円上に穿孔された紡糸孔の最外周列の直
    径D1 と最内周列の直径D2 が下記式の範囲内であるこ
    と。 0.5≦D1 /D0 ≦0.7 0.4≦D2 /D0 ≦0.6 (2)口金面が口金中心点を原点とする放射線で複数の
    ブロックに分割され、紡糸孔が穿孔されたブロックB1
    と穿孔されないブロックB2 が環状に交互に設けられ、
    その数が下記式の範囲内であること。 6≦B1 =B2 ≦16 (3)ブロックB1 の中心角αとブロックB2 の中心角
    βの比が下記式の範囲内であること。 0.8≦β/α≦1.25 (4)ブロックB1 内に穿孔された紡糸孔は、口金中心
    点を原点とする複数の同心円上で、かつ、中心角を同一
    とする複数の放射線上に配列しており、孔密度ρ(個/
    cm2 )が下記式の範囲内であること。 10≦ρ≦35
  2. 【請求項2】 紡糸口金より紡出された糸条を紡糸口金
    ホルダーの下流に設けた環状冷却装置で冷却を行い、単
    糸繊度が1デニール以下の糸条を得る多糸条溶融紡糸方
    法において、請求項1記載の紡糸口金を用いて溶融紡糸
    し、かつ下記(1)〜(3)の条件で冷却を行うことを
    特徴とする極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸方法。 (1)紡糸口金ホルダーの下面から環状冷却装置までの
    距離hを20〜100 mmとする。 (2)環状冷却装置の冷却風吹き出し面の長さlを100
    〜300 mmとする。 (3)環状冷却装置の冷却風の吹き出し速度を0.1 〜1.
    5 m/秒とする。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0957187A2 (de) * 1998-05-14 1999-11-17 Ems-Inventa Ag Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung von Mikrofilamenten von hoher Titer-Gleichmässigkeit aus thermoplastischen Polymeren
JP2008007874A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Toray Ind Inc ポリエステル繊維の溶融紡糸装置
JP2008138301A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Teijin Fibers Ltd 多錘の溶融紡糸装置およびそれから得られる極細マルチフィラメント糸条

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