JPH07276955A - 車両用サスペンション - Google Patents

車両用サスペンション

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JPH07276955A
JPH07276955A JP7088594A JP7088594A JPH07276955A JP H07276955 A JPH07276955 A JP H07276955A JP 7088594 A JP7088594 A JP 7088594A JP 7088594 A JP7088594 A JP 7088594A JP H07276955 A JPH07276955 A JP H07276955A
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JP
Japan
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vibration
vibration input
vehicle body
bouncing
control command
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Application number
JP7088594A
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English (en)
Inventor
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Takuya Murakami
拓也 村上
Masaharu Sato
正晴 佐藤
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH07276955A publication Critical patent/JPH07276955A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】サスペンションメンバを備えた車両用サスペン
ションにおいて、車体の上下方向振動を十分に低減でき
るものを提供する。 【構成】サスペンションメンバと車体との間の四隅にア
クチュエータを介装し、このアクチュエータに対する制
御力を以下のようにして算出する構成とした。上下方向
加速度検出値ZD に所定の制御ゲインKB を乗じてバウ
ンシング振動抑制成分FB を算出し(S205)、ピッ
チレート検出値η’から算出されたピッチ角加速度η”
に所定の制御ゲインKP を乗じてピッチング振動抑制成
分FP を算出し(S204)、前記FB ,FP から前後
各側のアクチュエータへ与える制御力FF ,FR を算出
する(S206,S207)。これにより、サスペンシ
ョンメンバに振動入力と同じ力が作用し、その反力が車
体に作用することにより車体に上下方向の振動が伝達さ
れない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サスペンションメンバ
を備えた車両用サスペンションに関するものであり、特
に、サスペンションメンバを能動的に振動させることに
より、路面の凹凸等により車輪を介して車体に入力され
る上下方向の振動を抑制することのできるものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用サスペンションとしては、
例えば、図17に示すようなマルチリンク式リヤサスペ
ンションがある。このサスペンションにおいては、サス
ペンションメンバ1Rが、四隅に設けられた弾性体から
なるインシュレータ39RLF〜39RRRを介して図
示されない車体側部材に連結され、このサスペンション
メンバ1Rの左右端部とナックルスピンドル2のナック
ル部との間が(例えば右側についてはアッパーアーム1
3RL,13FLとロアアーム15Lとで)揺動可能に
連結され、ショックアブソーバ22の下端部は、車輪側
部材すなわちナックルスピンドル2のナックル部と図示
されない位置で連結され、上端部はコイルスプリングバ
ネ21の上端部とともに、インシュレータ38を介して
図示されない車体側部材に連結されている(以下、これ
を第一従来例と称する)。
【0003】このような従来のサスペンションメンバを
備えた車両用サスペンションでは、車輪を介して路面か
ら入力されるサスペンションメンバに対する上下方向の
振動を、弾性体からなるインシュレータにより吸収して
車体に伝達しないようにしており、例えば、実開平1−
165769号公報には、図18に示すように、弾性体
からなるインシュレータ39a〜39fを、サスペンシ
ョンメンバ1Rの四隅だけでなく、サスペンションメン
バ1Rの前後方向のほぼ中央付近にも設けて、これらの
インシュレータ39a〜39fでサスペンションメンバ
の上下方向振動の吸収をより効果的に行う方法が開示さ
れている(以下、これを第二従来例と称する)。
【0004】また、サスペンションメンバにダイナミッ
クダンパを設けてサスペンションメンバの振動を吸収す
る方法もあり、例えば、実開昭61−183706号、
実開昭62−10104号、特開平4−221211号
の各公報には、サスペンションメンバに対するダイナミ
ックダンパの配設構造を工夫することにより、車体の制
振効果を向上させることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
一従来例では、弾性体による車体の制振作用には限界が
あり、これだけで乗り心地を良くすることは困難であ
る。また、第二従来例では、振動入力のうち車体の上下
方向振動の対象となる2Hz以下の低周波数帯域の振動
を十分に低減するためには、付加質量体をかなり大きな
ものにしなければならないため、スペースの小さい車両
用サスペンションでこの方法により十分な車体の制振効
果を得ることは困難である。
【0006】つまり、第二従来例では、比較的小さい質
量体を用いているため、デフノイズやロードノイズ等の
高周波帯域に対してはダイナミックダンパ効果が得られ
るが、乗り心地を重視する低周波帯域に対してはダイナ
ミックダンパ効果が得られない。そして、低周波帯域に
対してダイナミックダンパ効果を得るためには、質量体
を大きくする必要があるが、そのためにはレイアウトや
車両重量等の制約が発生してしまう。
【0007】本件各発明は、このような従来技術の問題
点に着目してなされたものであり、路面からの振動入力
に対して、十分大きな質量を有するサスペンションメン
バを能動的に上下方向に移動させることにより、車体の
上下方向振動の対象となる低周波数帯域の振動を十分に
低減できる車両用サスペンションを提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、サスペンションメンバと車体と
の間に介装されて制御指令値に応じた制御力を発生する
アクチュエータと、車輪を介して路面から車体へ入力さ
れる振動を検出する振動入力検出手段と、前記振動入力
検出手段からの振動入力検出値に基づいて、質量体とし
てのサスペンションメンバを振動入力方向に移動させる
制御指令値を前記アクチュエータに出力する制御指令値
出力手段とを備えたことを特徴とする車両用サスペンシ
ョンを提供する。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の車両用サス
ペンションにおいて、前記振動入力検出手段が、ピッチ
ング振動を検出するピッチング振動入力検出手段とバウ
ンシング振動を検出するバウンシング振動入力検出手段
とを備えるとともに、前記制御指令値出力手段が、前記
ピッチング振動入力検出手段からのピッチング振動入力
検出値に基づいて前記制御指令値のピッチング成分を算
出するピッチング成分算出手段と、前記バウンシング振
動入力検出手段からのバウンシング振動入力検出値に基
づいて前記制御指令値のバウンシング成分を算出するバ
ウンシング成分算出手段とを備え、前記ピッチング成分
算出手段で算出されたピッチング成分と前記バウンシン
グ成分算出手段で算出されたバウンシング成分とに基づ
いて前記制御指令値をアクチュエータに出力するもので
あることを特徴とするものを提供する。
【0010】前記ピッチング振動とは、車体重心を中心
とした車体の前後方向の振動を意味し、前記バウンシン
グ振動とは、車体重心の上下方向の振動を意味する。
【0011】
【作用】請求項1の車両用サスペンションでは、図1の
基本構成図に示すように、上下方向加速度センサ等の振
動入力検出手段により、車輪を介して路面から車体へ入
力される振動が例えば車体の上下方向加速度として検出
され、制御指令値出力手段で、前記振動入力検出手段か
らの上下方向加速度検出値等の振動入力検出値に基づい
て、質量体としてのサスペンションメンバを振動入力方
向に移動させる制御指令値が、例えば、車体の上下方向
加速度に比例する振動入力と同じ値としてアクチュエー
タに出力され、当該アクチュエータが前記制御指令値に
応じた制御力を発生するため、質量体としてのサスペン
ションメンバが例えば振動入力と同じ力で同じ方向に移
動する。これにより、車体にはこのサスペンションメン
バに与えられた力の反力が生じるため、この反力と振動
入力とが車体において例えば相殺されることにより、車
体の振動が抑制される。
【0012】請求項2の車両用サスペンションでは、図
2の基本構成図に示すように、振動入力検出手段におけ
るピッチレートジャイロ等のピッチング振動入力検出手
段によりピッチング振動が例えばピッチレートとして検
出され、振動入力検出手段における上下方向加速度セン
サ等のバウンシング振動入力検出手段によりバウンシン
グ振動が例えば車体重心位置の上下方向加速度として検
出され、制御指令値出力手段のピッチング成分算出手段
で、前記ピッチング振動入力検出手段からのピッチレー
ト検出値等のピッチング振動入力検出値に基づいて、前
記制御指令値のピッチング成分が例えば当該ピッチレー
ト検出値から算出されるピッチ角加速度に比例する値と
して算出され、制御指令値出力手段のバウンシング成分
算出手段で、前記バウンシング振動入力検出手段からの
車体重心位置の上下方向加速度等のバウンシング振動入
力検出値に基づいて、前記制御指令値のバウンシング成
分が例えば車体重心位置の上下方向加速度に比例する値
として算出され、当該制御指令値出力手段から、例え
ば、前記ピッチング振動入力検出手段で算出されたピッ
チング成分と前記バウンシング成分算出手段で算出され
たバウンシング成分との和として算出された制御指令値
がアクチュエータに出力され、当該アクチュエータが前
記制御指令値に応じた制御力を発生するため、質量体と
してのサスペンションメンバが、例えば車体に入力され
るピッチング振動およびバウンシング振動を総合した力
と同じ力で移動する。これにより、車体にはこのサスペ
ンションメンバに与えられた前記総合力の反力が生じる
ため、この反力と前記ピッチング振動およびバウンシン
グ振動からなる振動入力とが車体において例えば相殺さ
れることにより、車体のピッチング振動およびバウンシ
ング振動が抑制される。
【0013】
【実施例】以下、本件各発明の実施例を図面に基づき説
明する。先ず、第一実施例における車両用サスペンショ
ンの構成を、図3〜図10により説明する。図3はリヤ
サスペンションを示す斜視図であり、図4は車両全体の
概略構成を示す左側面模式図である。
【0014】図3から分かるように、このリヤサスペン
ションのサスペンションメンバ1Rは、車体の幅方向に
延び、前後方向に所定間隔を開けて対向して配置された
クロスメンバ11,12と、前側のクロスメンバ11の
左右両側部に一体に設けられて車体前方に延びるサイド
メンバ11FR,11FLと、前側のクロスメンバ11
の左右両側部に一体に設けられて車体後方に延び、フロ
ントアッパーアーム13FL,13FRの一端が連結さ
れるサイドメンバ11RR,11RLと、後側のクロス
メンバ12の左右両側部に一体に設けられて左右方向に
延び、リヤアッパーアーム13RL(図3には示されな
い),13RRの一端が連結されるサイドメンバ12
R,12Lとで構成される。
【0015】このサスペンションメンバ1Rのサイドメ
ンバ11RL,12L,11RR,12Rの先端と、ス
ピンドル部で車輪を回転自在に支持しているナックルス
ピンドル2のナックル上部とが、それぞれアッパーアー
ム13FL,13RL,13RL(図3には示されな
い),13RRにより連結されている。また、左側のサ
スペンションメンバについては、サイドメンバ11FL
およびサイドメンバ12Lの下端部とナックル下部とが
Aアームからなるロアアーム15Lで連結され、右側の
サスペンションメンバの下部も、同様にしてナックル下
部とロアアームで連結されている。
【0016】そして、通常のサスペンションと同様に、
ショックアブソーバ22とコイルスプリングバネ21と
が車体と車輪との間に介装されており、ショックアブソ
ーバ22の下端部は、ナックルスピンドル2のナックル
部と図示されない位置で連結され、上端部はコイルスプ
リングバネ21の上端部とともに、インシュレータ38
を介して図示されない車体側部材に連結されている。
【0017】また、前側の前方に延びるサイドメンバ1
1FL,11FRの先端上部と、後側のクロスメンバ1
2の両端上部には、アクチュエータとして、油圧シリン
ダ23RLF,23RRF,23RLR,23RRRが
それぞれ配設してあり、これらの各油圧シリンダ23R
LF〜23RRRの上部に図示されない車体のリヤ側が
固定されている。
【0018】これらの各油圧シリンダ23RLF〜23
RRRは、図5に示すように、車体3との取り付け用フ
ランジ32を上側に一体に形成したシリンダチューブ2
3aを有し、内部をピストン23bにより隔離された上
側に圧力室23cが形成され、ピストンロッド23dの
下端にシリンダチューブ23aと同じ直径の円板状部材
25が固定され、サスペンションメンバ1R側の取り付
け部材である取り付け軸26が、前記円板状部材25の
下面にピストンロッド23dと軸線を合わせて固定され
ている。この取り付け軸26が、弾性体ブッシュからな
るインシュレータ27を介してサスペンションメンバ1
Rに固定されている。
【0019】また、前記圧力室23cは、油圧配管29
を介して圧力制御弁20の出力ポートに接続されてい
る。さらに、シリンダチューブ23a内のピストンロッ
ド23d側には、ピストン23bとシリンダチューブ2
3aの下面との間に、車体の静荷重を支持するための比
較的低いばね定数のコイルスプリング33が配設されて
いる。
【0020】この車体内にはまた、図4から分かるよう
に、前記圧力制御弁20に所定圧力の作動油を供給側配
管34Sを介して供給するとともに、圧力制御弁20か
らの戻り油を戻り配管34Rを通じて回収する油圧源3
5が備えてあり、この油圧源35および圧力制御弁20
間の供給側配管34Sには、図示されない蓄圧用のアキ
ュムレータが介装されている。
【0021】前記圧力制御弁20は、スプールを摺動自
在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれに一体に設け
られた比例ソレノイドとを有する、従来周知の3ポート
比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−74111号参
照)で構成されている。そして、比例ソレノイドの励磁
コイルに供給する指令電流i(指令値)を調整すること
により、弁ハウジング内に収容されたポペットの移動距
離、すなわちスプールの位置を制御し、供給ポートおよ
び出力ポートまたは出力ポートおよび戻りポートを介し
て、油圧源35と油圧シリンダ23FLF〜23RRR
との間で流動する作動油を制御できるようになってい
る。
【0022】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
iと圧力制御弁20の出力ポートから出力される制御圧
Pとの関係は、図6に示すように、ノイズを考慮した最
小電流値iMIN のときには最低制御圧PMIN となり、こ
の状態から電流値iを増加させると電流値iに比例して
直線的に制御圧Pが増加し、最大電流値iMAX のときに
は油圧源35の設定ライン圧に相当する最高制御圧P
MAX となる。この図6で、iN は中立指令電流、PN
中立制御圧である。
【0023】この車体にはさらに、図4に示すように、
前左右輪10FL,10FR間の中央位置の上方に相当
する位置に、車体の前輪側位置における上下方向加速度
を検出する前輪側上下方向加速度センサ28Fが配設さ
れ、後左右輪10RL,10RR間の中央位置の上方に
相当する位置に、車体の後輪側位置における上下方向加
速度を検出する後輪側上下方向加速度センサ28Rが配
設されている。
【0024】これらの上下方向加速度センサ28F,2
8Rは、図7に示すように、上下方向加速度G(:
F ,GR )が“0”であるときに“0”の電圧、上方
向の加速度Gを検出したときにはその加速度値に応じた
正のアナログ電圧、下方向の加速度Gを検出したときに
はその加速度値に応じた負のアナログ電圧でなる車体の
上下方向加速度検出値Z(:ZF ,ZR )を出力するよ
うに構成されている。ここでは、上下方向加速度Gに対
して上下方向加速度検出値Zは何らの係数も介さない
(すなわち、係数が“1”である)リニアな関数である
として、この上下方向加速度検出値Zを上下方向加速度
Gと同等のものとして採用するものとする。
【0025】そして、前記各上下方向加速度センサ28
F,28Rからの上下方向加速度検出値ZF ,ZR に基
づいて、圧力制御弁20への出力を制御するコントロー
ラ30が車体に設置されている。このコントローラ30
は、図8に示すように、上下方向加速度センサ28F,
28Rから出力される上下方向加速度検出値ZF ,ZR
が入力されるマイクロコンピュータ44と、このマイク
ロコンピュータ44からD/A変換されて出力される制
御指令値Uが供給されて、これらを圧力制御弁20に対
する駆動電流iFLに変換する、例えばフローティング形
定電圧回路で構成される駆動回路46とを備えている。
【0026】ここで、マイクロコンピュータ44は、少
なくともA/D変換機能を備えた入力側インターフェー
ス回路44a、D/A変換機能を備えた出力側インター
フェース回路44b、演算処理装置44c、および記憶
装置44dを有するものである。そして、入力側インタ
ーフェース回路44aには、各上下方向加速度センサ2
8F,28Rから各上下方向加速度検出値ZF ,ZR
入力され、出力側インターフェース回路44bからは駆
動回路46に対する制御指令値Uが出力される。
【0027】また、前記演算処理装置44cは、後述す
る図10の演算処理を実行して、所定サンプリング時間
S (例えば、20msec)毎に、前輪側および後輪
側の上下方向加速度センサ28F,28Rからの前輪側
および後輪側位置における上下方向加速度検出値ZF
R を読み込み、これらの検出値ZF ,ZR から運転席
における上下方向加速度GD を算出し、算出された上下
方向加速度GD に所定の制御ゲインK1 を乗じてリヤサ
スペンションメンバ1Rに与える制御力Fを算出し、算
出された制御力Fを、リヤサスペンションメンバ1Rを
振動のない通常状態で目標高さに維持するために必要な
中立制御指令値UN に加算して、駆動回路46への制御
指令値Uを出力する。
【0028】さらに、前記記憶装置44dには、予め前
記演算処理装置44cの演算処理に必要なプログラムお
よび各設定値が記憶されているとともに、演算処理過程
で必要な演算結果を逐次記憶する。次に、この第一実施
例における車両用サスペンションの基本原理について、
図9に示す一輪の振動モデルにより説明する。
【0029】この図に示すように、この第一実施例で
は、車体3と車輪10Rとの間にショックアブソーバ2
2とコイルスプリング21とを介装しているため、路面
の凹凸等により車輪10Rに入力された上下方向の力の
うち、ショックアブソーバ22とコイルスプリング21
とからなる通常サスペンションにより吸収されなかった
分の力F1 が車体3に伝達されるが、車体3とサスペン
ションメンバ1Rとの間に介装された油圧シリンダ23
RLF〜23RRRで、この力F1 と同じ力を制御力F
としてサスペンションメンバ1Rに与えることにより、
質量体としてのサスペンションメンバ1Rを前記力F1
で振動入力方向に移動させれば、前記力F 1 の反力F2
(−F1 )が車体3に作用するため、前記力F1 は車体
3に伝達されずに吸収されることになる。
【0030】この実施例では、前記制御力Fを、車体3
の前輪側および後輪側に取り付けられた各上下方向加速
度センサ28F,28Rで検出された前輪側および後輪
側上下方向加速度検出値ZF ,ZR から、運転席におけ
る上下方向加速度GD を下記の(1)式で算出し、この
上下方向加速度GD に所定の制御ゲインK1 を乗じるこ
とにより算出する。そして、四つの油圧シリンダ23R
LF〜23RRRに同じ制御力Fを与えることにより、
サスペンションメンバ1Rを運転席における上下方向の
振動入力と同じ力で同じ向きに移動させて、運転席にお
ける上下方向振動を抑制する。
【0031】 GD =αZF +(1−α)ZR ……(1) 上記(1)式においてαは車両諸元により決定される定
数であり、ゲインK1は車体重量、サスペンションメン
バ重量、および油圧シリンダの受圧面積等により決定さ
れる定数である。次に、以上の基本原理に基づいて、サ
スペンションメンバと車体との間に介装された油圧シリ
ンダに所定の制御力を与えるために前記演算処理装置4
4c内で行われる演算処理について、図10のフローチ
ャートに従って説明する。
【0032】この演算処理は、所定サンプリング時間Δ
S (例えば20msec)毎のタイマ割り込み処理と
して実行され、先ずステップS101で、各上下方向加
速度センサ28F,28Rからの前輪側上下方向加速度
検出値ZF および後輪側上下方向加速度検出値ZR を読
み込む。次に、ステップS102に移行して、前記ステ
ップS101で読み込まれた前輪側上下方向加速度検出
値ZF および後輪側上下方向加速度検出値ZR から、前
記(1)式に従って運転席における上下方向加速度GD
を算出する。
【0033】次に、ステップS103に移行して、前記
ステップS102で算出された運転席における上下方向
加速度GD に所定の制御ゲインK1 を乗じて、サスペン
ションメンバに与える制御力Fを算出する。次に、ステ
ップS104に移行して、前記ステップS103で算出
された制御力Fに中立制御指令値UN を加算して、駆動
回路46に与える制御指令値Uを算出する。
【0034】次に、ステップS105に移行して、前記
ステップS104で算出された制御指令値Uを出力し
て、メインプログラムに復帰する。次に、この第一実施
例の車両用サスペンションによる作用を説明する。車輪
10FL〜10RRに入力された路面からの振動は、先
ず、各輪に配設されたショックアブソーバ21およびコ
イルスプリング22により吸収される。そして、このシ
ョックアブソーバ21およびコイルスプリング22によ
り吸収されない分が車体3に伝達されるが、車体3に伝
達される上下方向の振動が前輪側および後輪側の各上下
方向加速度センサ28F,28Rで検出されて運転席に
おける上下方向の振動に換算され、後述のようにして、
リヤサスペンションメンバ1Rと車体3との間に介装さ
れた油圧シリンダ23RLF〜23RRRが作動するこ
とにより、質量体としてのリヤサスペンションメンバ1
Rが運転席における上下方向振動の入力方向に移動し
て、車体3の運転席における上下方向振動が抑制され
る。
【0035】すなわち、図10の演算処理のステップS
101で、各上下方向加速度センサ28F,28Rにお
いて検出された上下方向加速度検出値ZF 〜ZR が読み
込まれ、ステップS102で、この読み込まれた上下方
向加速度検出値ZF 〜ZR から運転席における上下方向
加速度GD が算出され、ステップS103で、この算出
された運転席における上下方向加速度GD からリヤサス
ペンションメンバ1Rに与える制御力Fが算出され、ス
テップS104で、この算出された制御力Fに中立制御
指令値UN が加算されて、この制御指令値Uが駆動回路
46に出力される。
【0036】これに伴って、駆動回路46で、制御指令
値Uがこれに対応した指令電流iに変換されて、各圧力
制御弁20FL〜20RRに供給される。この結果、圧
力制御弁20から、指令電流iに応じた制御圧Pが各油
圧シリンダ23RLF〜23RRRに出力されるため、
図9に示すように、リヤサスペンションメンバ1Rに
は、運転席における上下方向加速度GD に応じた、振動
入力F1 と同じ力からなる制御力Fが同じ向きに与えら
れ、この力Fと同じ大きさで反対向きの力F2 が反力と
して車体3に作用する。これにより、車体3の運転席に
おいて上下方向の振動入力F1 と制御力Fの反力F
2 (=−F1 )とが相殺されるため、車体3の運転席に
は上下方向の振動が生じない。
【0037】なお、この第一実施例においては、油圧シ
リンダ23RLF〜23RRRが請求項1のアクチュエ
ータに相当し、上下方向加速度センサ28F,28Rと
図10の演算処理におけるステップS101とが請求項
1の振動入力検出手段に相当し、図10の演算処理にお
けるステップS102〜S105、駆動回路46、およ
び圧力制御弁20が請求項1の制御指令値出力手段に相
当する。
【0038】次に、請求項2の発明の実施例に相当する
第二実施例について説明する。図11は、第二実施例に
おける車両用サスペンションの概略構成を示す左側面模
式図である。なお、この第二実施例では、リヤサスペン
ションに請求項2の車両用サスペンションの一実施例を
適用しており、フロントサスペンションは本件各発明に
相当する車両用サスペンションではなく、通常のばねと
ショックアブソーバからなるサスペンションであり、フ
ロントサスペンションメンバと車体との間には弾性体か
らなるインシュレータが介装されているものとする。
【0039】この実施例におけるリヤサスペンション1
Rの構成は、図3に示す前述の第一実施例の構成とほぼ
同じであるが、前記サイドメンバ11FL,11FRの
先端上部と、後側のクロスメンバ12の両端上部には、
アクチュエータとして、油圧シリンダ23RLF〜23
RRRの代わりに電磁シリンダ50RLF〜50RRR
がそれぞれ配設してあり、これらの各電磁シリンダ50
RLF〜50RRRの上部に図示されない車体のリヤ側
が固定されている。
【0040】これらの各電磁シリンダ50RLF〜50
RRRは、図12に示すように、車体3との取り付け用
フランジ51aを上側に一体に形成したシリンダチュー
ブ51を有し、このシリンダチューブ51の内部が永久
磁石からなるピストン52で上下方向に分割してあり、
このピストン52により分割された上側室内に、鉄芯5
3aとコイル53bとからなる電磁石53がシリンダチ
ューブ51の上面に固定してあり、ピストンロッド54
の下端にシリンダチューブ51と同じ直径の円板状部材
55が固定され、サスペンションメンバ1R側の取り付
け部材である取り付け軸26が、前記円板状部材55の
下面にピストンロッド54と軸線を合わせて固定されて
いる。この取り付け軸26が、弾性体ブッシュからなる
インシュレータ27を介してサスペンションメンバ1R
に固定されている。また、シリンダチューブ51a内の
ピストン52で分割された上下各室内には、比較的低い
ばね定数のコイルスプリング56a,56bがそれぞれ
配設されている。
【0041】前記電磁石53のコイル53bは後述のコ
ントローラに接続されており、当該コントローラからの
指令電流iを変化させて鉄芯53aに生じる磁力を変化
させると、ピストン52をなす永久磁石との反発力が変
化して、この反発力に応じてピストン52が変位するよ
うになっている。ここで、コイル53bに加えられる指
令電流iと前記反発力Xとの関係は、図13に示すよう
に、指令電流iがノイズを考慮した最小電流値iMIN
ときには前記反発力Xは最低値XMIN となり、この状態
から電流値iを増加させると電流値iに比例して直線的
に前記反発力Xが増加し、最大電流値iMAX のときには
最大値XMAX となる。この図13で、iN は中立指令電
流、XN は、サスペンションメンバ1Rを振動のない通
常状態で目標高さに保持するための中立反発力である。
【0042】一方、この車体の重心位置には、図11か
ら分かるように、既存のピッチレートジャイロ6が、そ
の回転軸を車体重心を通る車幅方向の線に合わせて設置
してあり、ピッチレートジャイロ6の設置位置より少し
前方に、運転席における上下方向加速度を検出する上下
方向加速度センサ28Dが設置されている。この上下方
向加速度センサ28Dは、前記第一実施例の上下方向加
速度センサ28F,28Lと同じ特性のものである。
【0043】そして、前記ピッチレートジャイロ6から
のピッチレート検出値η’と、前記上下方向加速度セン
サ28Dからの上下方向加速度検出値ZD とに基づい
て、各電磁シリンダ50RLF〜50RRRへの出力を
制御するコントローラ30aが車体に設置されている。
このコントローラ30aは、図14に示すように、上下
方向加速度センサ28Dから出力される上下方向加速度
検出値ZD が入力されるマイクロコンピュータ44と、
このマイクロコンピュータ44からD/A変換されて出
力される制御指令値UF ,UR が供給されて、これらを
それぞれ電磁シリンダ50RLF,50RRFに対する
駆動電流iF ,電磁シリンダ50RLR,50RRRに
対する駆動電流iR に変換する、例えば前記第一実施例
の駆動回路46と同様の駆動回路46F,46Rとを備
えている。
【0044】ここで、前記マイクロコンピュータ44
は、前記第一実施例と同様に、少なくともA/D変換機
能を備えた入力側インターフェース回路44a、D/A
変換機能を備えた出力側インターフェース回路44b、
演算処理装置44c、および記憶装置44dを有するも
のであり、入力側インターフェース回路44aには、上
下方向加速度センサ28Dから上下方向加速度検出値Z
D が、ピッチレートジャイロ6からピッチレート検出値
η’がそれぞれ入力され、出力側インターフェース回路
44bからは駆動回路46F,46Rに対する制御指令
値UF ,UR が出力される。
【0045】また、前記演算処理装置44cは、後述す
る図16の演算処理を実行して、所定サンプリング時間
S (例えば、20msec)毎に、上下方向加速度セ
ンサ28Dからの運転席における上下方向加速度検出値
D と、ピッチレートジャイロ6からのピッチレート検
出値η’とを読み込み、読み込まれたピッチレート検出
値η’の前回値と今回値との差(η’(n)
η’(n-1) )をサンプリング時間TS で除することによ
りピッチ角加速度η”を算出し、算出されたピッチ角加
速度η”に所定の制御ゲインKP を乗じて、リヤサスペ
ンションメンバ1Rに与える制御力のうちのピッチング
振動抑制成分FP を算出し、読み込まれた上下方向加速
度検出値ZD に所定の制御ゲインKB を乗じてリヤサス
ペンションメンバ1Rに与える制御力のうちのバウンシ
ング振動抑制成分FB を算出し、これらの算出されたピ
ッチング振動抑制成分FP とバウンシング振動抑制成分
B との和を前側電磁シリンダ50RLF,50RRF
への制御力FF として算出し、前記算出されたバウンシ
ング振動抑制成分FB からピッチング振動抑制成分FP
を減算した値を後側電磁シリンダ50RRF,50RR
Rへの制御力FR として算出し、算出された各制御力F
F ,FR を、リヤサスペンションメンバ1Rを目標高さ
に維持するために必要な中立制御指令値UN にそれぞれ
加算して、駆動回路46F,46Rへの制御指令値
F ,UR を出力する。
【0046】さらに、前記記憶装置44dには、予め前
記演算処理装置44cの演算処理に必要なプログラムお
よび各設定値が記憶されているとともに、演算処理過程
で必要な演算結果を逐次記憶する。次に、この第二実施
例における車両用サスペンションの基本原理について、
図15に示す一輪の振動モデルにより説明する。
【0047】この図に示すように、この第二実施例で
は、車体3と車輪10Rとの間にショックアブソーバ2
2とコイルスプリング21とを介装しているため、路面
の凹凸等により車輪10Rに入力された上下方向振動の
うち、ショックアブソーバ22とコイルスプリング21
とからなる通常サスペンションにより吸収されなかった
分が車体3に伝達される。ここで、前後輪の挙動の違い
等によって前記上下方向の振動入力がピッチング振動を
含む場合には、バウンシング振動とピッチング振動とに
分けてそれぞれの入力に応じた力を総合した制御力をサ
スペンションメンバ1Rに与えることにより、バウンシ
ング振動とピッチング振動の両方を車体3に伝達しない
ようにすることができる。
【0048】すなわち、車体3に対するバウンシング振
動入力fB およびピッチング振動入力fP と同じ力を、
それぞれバウンシング振動抑制成分FB およびピッチン
グ振動抑制成分FP とし、ここではピッチレートジャイ
ロ6より前方に上下加速度センサ28Dが配設してある
から、図11で右周りにピッチレートが検出されるた
め、車体3とサスペンションメンバ1Rとの間に介装さ
れた前側の電磁シリンダ50RLF,50RRFには、
バウンシング振動抑制成分FB とピッチング振動抑制成
分FP との和を制御力FF として与え、後側の電磁シリ
ンダ50RLR,50RRRには、バウンシング振動抑
制成分FB からピッチング振動抑制成分F P を引いた値
を制御力FR として与えることにより、質量体としての
サスペンションメンバ1Rを前記制御力FF ,FR で振
動入力方向に移動させれば、前記制御力FF ,FR のバ
ウンシング振動抑制成分FB およびピッチング振動抑制
成分FP の各反力−FB ,−FP が車体3に作用するた
め、前記各バウンシング振動入力fB およびピッチング
振動入力fP は車体3に伝達されずに吸収されることに
なる。
【0049】そして、この実施例では、前記各制御力F
F ,FR のバウンシング振動抑制成分FB を、車体3の
運転席付近に取り付けられた上下方向加速度センサ28
Dで検出された上下方向加速度検出値ZD に所定の制御
ゲインKB を乗じることにより算出する。また、前記各
制御力FF ,FR のピッチング振動抑制成分FP を、車
体3の重心に取り付けられたピッチレートジャイロ6で
検出されたピッチレート検出値η’を微分してピッチ角
加速度η”を算出し、この算出されたピッチ角加速度
η”に所定の制御ゲインKP を乗じることにより算出す
る。
【0050】各制御ゲインKB ,KP は車体重量、サス
ペンションメンバ重量、および電磁シリンダのピストン
の底面積等により決定される定数であり、特に制御ゲイ
ンK B は、上下加速度センサ28Dの設置位置が重心か
らずれている分だけ上下加速度検出値ZD にはピッチン
グ振動分が含まれているため、このずれの補正分も加味
して決定される。
【0051】次に、以上の基本原理に基づいて、サスペ
ンションメンバと車体との間に介装された電磁シリンダ
に所定の制御力を与えるために前記演算処理装置44c
内で行われる演算処理について、図16のフローチャー
トに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリン
グ時間ΔTS (例えば20msec)毎のタイマ割り込
み処理として実行され、先ずステップS201で、上下
方向加速度センサ28Dからの上下方向加速度検出値Z
D を読み込む。
【0052】次に、ステップS202に移行して、ピッ
チレートジャイロ6からのピッチレート検出値η’を読
み込む。次に、ステップS203に移行して、前記ステ
ップS202で読み込まれたピッチレート検出値η’の
前回値と今回値との差(η’(n) −η’(n-1) )をサン
プリング時間TS で除することによりピッチ角加速度
η”を算出する。
【0053】次に、ステップS204に移行して、前記
ステップS203で算出されたピッチ角加速度η”に所
定の制御ゲインKP を乗じて、リヤサスペンションメン
バ1Rに与える制御力のうちのピッチング振動抑制成分
P を算出する。次に、ステップS205に移行して、
前記ステップS201で読み込まれた上下方向加速度検
出値ZD に所定の制御ゲインKB を乗じてリヤサスペン
ションメンバ1Rに与える制御力のうちのバウンシング
振動抑制成分FB を算出する。
【0054】次に、ステップS206に移行して、前記
ステップS205で算出されたバウンシング振動抑制成
分FB に、前記ステップS204で算出されたピッチン
グ振動抑制成分FP を加算して、前側電磁シリンダ50
RLF,50RRFへの制御力FF を算出する。次に、
ステップS207に移行して、前記ステップS205で
算出されたバウンシング振動抑制成分FB から、前記ス
テップS204算出されたピッチング振動抑制成分FP
を減算して、後側電磁シリンダ50RRF,50RRR
への制御力FR を算出する。
【0055】次に、ステップS208に移行して、前記
ステップS206およびステップS207で算出された
各制御力FF ,FR に、リヤサスペンションメンバ1R
を目標高さに維持するために必要な中立制御指令値UN
をそれぞれ加算して、駆動回路46F,46Rへの制御
指令値UF ,UR を算出する。次に、ステップS209
に移行して、前記ステップS208で算出された制御指
令値UF ,UR を出力インターフェース回路に出力し
て、メインプログラムに復帰する。
【0056】次に、この第二実施例の車両用サスペンシ
ョンによる作用を説明する。車輪10FL〜10RRに
入力された路面からの振動は、先ず、各輪に配設された
ショックアブソーバ21およびコイルスプリング22に
より吸収される。そして、このショックアブソーバ21
およびコイルスプリング22により吸収されない分が車
体3に伝達されるが、車体3に伝達される上下方向の振
動のうちバウンシング振動入力fB が上下方向加速度セ
ンサ28Dで検出され、ピッチング振動入力fP がピッ
チレートジャイロ6で検出され、後述のようにして、リ
ヤサスペンションメンバ1Rと車体3との間に介装され
た電磁シリンダ50RLF〜50RRRが作動すること
により、質量体としてのリヤサスペンションメンバ1R
が振動入力方向に移動して車体3の上下方向の振動が抑
制される。
【0057】すなわち、図16の演算処理のステップS
201で読み込まれた運転席における上下方向加速度検
出値ZD に、ステップS205で所定の制御ゲインKB
が乗じられてリヤサスペンションメンバ1Rに与える制
御力のうちのバウンシング振動抑制成分FB が算出さ
れ、ステップS203で、ステップS202で読み込ま
れたピッチレート検出値η’の前回値と今回値との差
(η’(n) −η’(n-1) )がサンプリング時間TS で除
算されてピッチ角加速度η”が算出され、ステップS2
04で、ピッチ角加速度η”に所定の制御ゲインKP
乗じられて、リヤサスペンションメンバ1Rに与える制
御力のうちのピッチング振動抑制成分FP が算出され、
ステップS206で、前記ピッチング振動抑制成分FP
とバウンシング振動抑制成分FB との和が前側電磁シリ
ンダ50RLF,50RRFへの制御力FF として算出
され、ステップS207で、前記バウンシング振動抑制
成分F B からピッチング振動抑制成分FP を減算した値
が後側電磁シリンダ50RRF,50RRRへの制御力
R として算出され、ステップS208で、前記各制御
力FF ,FR が、リヤサスペンションメンバ1Rを目標
高さに維持するために必要な中立制御指令値UN にそれ
ぞれ加算されて、ステップS209で、各駆動回路46
F,46Rへの制御指令値UF ,UR が出力される。
【0058】これに伴って、各駆動回路46F,46R
で、制御指令値UF ,UR がこれに対応した指令電流i
F ,iR に変換されて、前記指令電流iF が前側の電磁
シリンダ50RLF,50RRFに、前記指令電流iR
が後側の電磁シリンダ50RLR,50RRRにそれぞ
れ出力されるため、前側の電磁シリンダ50RLF,5
0RRFの鉄芯53aに指令電流iF に応じた電磁力が
発生して、当該鉄芯53aとピストン52をなす永久磁
石との反発力が前記指令電流iF に応じた大きさにな
り、前側の電磁シリンダ50RLF,50RRFのピス
トン52が前記制御力FF に応じて変位するとともに、
後側の電磁シリンダ50RLR,50RRRのコイル5
3bに指令電流iR に応じた電磁力が発生して、当該鉄
芯53aとピストン52をなす永久磁石との反発力が前
記指令電流iR に応じた大きさになり、後側の電磁シリ
ンダ50RLR,50RRRのピストン52が前記制御
力F R に応じて変位する。
【0059】その結果、図15に示すように、前記制御
力FF ,FR によりリヤサスペンションメンバ1Rが、
バウンシング振動入力fB およびピッチング振動入力f
P による生じであろう車体3の移動と同様に移動して、
前記制御力FF ,FR のバウンシング振動抑制成分FB
およびピッチング振動抑制成分FP の各反力−FB ,−
P が車体3に作用する。これにより、車体3において
バウンシング振動入力fB およびピッチング振動入力f
P と前記反力−FB ,−FP とが相殺されて、車体3に
はバウンシング振動およびピッチング振動が伝達されな
い。
【0060】なお、この第二実施例においては、電磁シ
リンダ50RLF〜50RRRが請求項2のアクチュエ
ータに相当し、上下方向加速度センサ28Dと図16の
演算処理におけるステップS201とが請求項2のバウ
ンシング振動入力検出手段に相当し、ピッチレートジャ
イロ6と図16の演算処理におけるステップS202,
S203とが請求項2のピッチング振動入力検出手段に
相当し、図16の演算処理におけるステップS204が
請求項2のピッチング成分算出手段に相当し、図16の
演算処理におけるステップS205が請求項2のバウン
シング成分算出手段に相当し、図16の演算処理におけ
るステップS204〜S209と駆動回路46F,46
Rが請求項2の制御指令値出力手段に相当する。
【0061】また、前記第二実施例では、ピッチング振
動入力検出手段としてピッチレートジャイロ6を用いて
いるが、車体の重心を通り車体の前後方向に沿った線上
の、車体重心から前後方向に等距離の各位置に、前述の
ような上下方向加速度センサを配設し、前側の上下方向
加速度検出値と後側の上下方向加速度検出値との差から
ピッチング振動入力を検出する構成であっもよい。
【0062】さらに、この第二実施例では、アクチュエ
ータとしての電磁シリンダ50RLF〜50RRRをリ
ヤサスペンション1Rの四隅に設けているため、左側の
電磁シリンダ50RLF,50RLRと右側の電磁シリ
ンダ50RRF,50RRRとを個別に制御することに
より、ロール振動の制御を行えるようにすることもでき
る。また、アクチュエータは前述のような電磁シリンダ
50RLF〜50RRRに限定されず、前記第一実施例
のような油圧シリンダ23RLF〜23RRRやその他
のものであってもよく、サスペンションメンバ1Rと車
体3との間に介装させる数も四個に限定されず、前側の
左右両端に一個ずつと後側の左右方向中央に一個という
配置であってもよく、前後方向中央部にさらに一個ずつ
加えた構成であってもよい。
【0063】また、請求項1および2の振動入力検出手
段としては、前記第一および第二実施例における上下方
向加速度センサの代わりに、車体の上下方向における速
度を検出する上下方向速度センサや、車体の上下方向に
おける変位を検出するストロークセンサを用いてもよ
い。また、前記第一および第二実施例では、請求項1お
よび2の車両用サスペンションをリヤサスペンションに
適用した例について述べているが、フロントサスペンシ
ョンのみまたはリヤサスペンションとフロントサスペン
ションとの両方に、請求項1および2の車両用サスペン
ションを適用してもよい。さらに、前記第一および第二
実施例のように、各演算処理装置をマイクロコンピュー
タのプログラミングによって構成する代わりに、図10
および図16に示すフローチャートと同等の演算処理装
置を論理回路等のハードウェアによって構成してもよ
い。
【0064】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の車
両用サスペンションによれば、サスペンションメンバと
車体との間に介装されたアクチュエータが、振動入力検
出手段からの振動入力検出値に基づいて制御指令値出力
手段から出力された制御指令値に応じた制御力により作
動することにより、路面からの振動入力に対して、十分
大きな質量を有するサスペンションメンバが能動的に上
下方向に移動するため、車体の上下方向振動の対象とな
る低周波数帯域の振動を十分に低減することができる。
これにより、車両の乗り心地性能を向上させることがで
きる。
【0065】特に、請求項2の車両用サスペンションに
よれば、路面からの振動入力をバウンシング振動とピッ
チング振動とに分けて検出し、これらの各検出値に応じ
た各成分を総合した制御指令値をアクチュエータに出力
することにより、車体に生じるバウンシング振動とピッ
チング振動の両方を十分に抑制することができるため、
車両の乗り心地性能を飛躍的に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の概略構成を示す基本構成図で
ある。
【図2】請求項2の発明の概略構成を示す基本構成図で
ある。
【図3】第一実施例および第二実施例におけるリヤサス
ペンションを示す斜視図である。
【図4】第一実施例における車両全体の概略構成を示す
左側面模式図である。
【図5】第一実施例においてアクチュエータとして使用
された油圧シリンダの構成を示す側断面図である。
【図6】第一実施例において使用された圧力制御弁の、
指令電流に対する制御圧の関係を示す特性線図である。
【図7】第一実施例および第二実施例において使用され
た上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線図であ
る。
【図8】第一実施例におけるコントローラの一例を示す
ブロック図である。
【図9】第一実施例における車両用サスペンションの基
本原理を説明するための振動モデルを示す模式図であ
る。
【図10】第一実施例において行われる、マイクロコン
ピュータによる演算処理の手順を示すフローチャートで
ある。
【図11】第二実施例における車両全体の概略構成を示
す左側面模式図である。
【図12】第二実施例においてアクチュエータとして使
用された電磁シリンダの構成を示す側断面図である。
【図13】第二実施例においてアクチュエータとして使
用された電磁シリンダに関し、電磁石のコイルに加えら
れる指令電流と、電磁石の鉄芯とピストンをなす永久磁
石との間に生じる反発力との関係を示す特性線図であ
る。
【図14】第二実施例におけるコントローラの一例を示
すブロック図である。
【図15】第二実施例における車両用サスペンションの
基本原理を説明するための振動モデルを示す模式図であ
る。
【図16】第二実施例において行われる、マイクロコン
ピュータによる演算処理の手順を示すフローチャートで
ある。
【図17】従来の車両用サスペンションの一例を示す斜
視図である。
【図18】従来の車両用サスペンションの別の例を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1R リヤサスペンションメンバ 2 ナックルスピンドル 3 車体 6 ピッチレートジャイロ 10FL〜10RR車輪 11,12クロスメンバ 11FL〜11RRサイドメンバ 13FL,13FRフロントアッパーアーム 12R,12Lサイドメンバ 13RL,13RRリヤアッパーアーム 20 圧力制御弁 21 コイルスプリング 22 ショックアブソーバ 23FLF〜23RRR油圧シリンダ 50FLF〜50RRR電磁シリンダ 30,30aコントローラ 28D,28FL〜28RR上下方向加速度センサ 35 油圧源 46,46F,46R駆動回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に対して相対変位可能なサスペンシ
    ョンメンバと車体との間に介装されて制御指令値に応じ
    た制御力を発生するアクチュエータと、車輪を介して路
    面から車体へ入力される振動を検出する振動入力検出手
    段と、前記振動入力検出手段からの振動入力検出値に基
    づいて、質量体としてのサスペンションメンバを振動入
    力方向に移動させる制御指令値を前記アクチュエータに
    出力する制御指令値出力手段とを備えたことを特徴とす
    る車両用サスペンション。
  2. 【請求項2】 前記振動入力検出手段は、ピッチング振
    動を検出するピッチング振動入力検出手段とバウンシン
    グ振動を検出するバウンシング振動入力検出手段とを備
    えるとともに、前記制御指令値出力手段は、前記ピッチ
    ング振動入力検出手段からのピッチング振動入力検出値
    に基づいて前記制御指令値のピッチング成分を算出する
    ピッチング成分算出手段と、前記バウンシング振動入力
    検出手段からのバウンシング振動入力検出値に基づいて
    前記制御指令値のバウンシング成分を算出するバウンシ
    ング成分算出手段とを備え、前記ピッチング成分算出手
    段で算出されたピッチング成分と前記バウンシング成分
    算出手段で算出されたバウンシング成分とに基づいて前
    記制御指令値をアクチュエータに出力するものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンション。
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