JPH07272858A - エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法

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JPH07272858A
JPH07272858A JP6087666A JP8766694A JPH07272858A JP H07272858 A JPH07272858 A JP H07272858A JP 6087666 A JP6087666 A JP 6087666A JP 8766694 A JP8766694 A JP 8766694A JP H07272858 A JPH07272858 A JP H07272858A
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JP
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layer
stress
electrode
optical filter
chemical solution
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Application number
JP6087666A
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English (en)
Inventor
Hironobu Tamura
広宣 田村
Tamotsu Hattori
有 服部
Nobue Ito
信衛 伊藤
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】EL素子の自己修復不可能型の絶縁破壊を防止
すること。 【構成】ガラス基板1上に順次、 ITO透明電極2、第1
絶縁層3、4、酸窒化珪素(SiOxNy)から成る下第1絶縁
層3、酸化タンタル(Ta2O3) から成る上第1絶縁層4、
発光層5、酸窒化珪素(SiOxNy ) から成る下第2絶縁層
6、酸化タンタル(Ta2O3) から成る上第2絶縁層7、IT
O から成る第2透明電極8、第2透明電極8を完全に覆
う厚さの酸化タンタル(Ta2O3) から成る応力調整層2
1、酸窒化珪素(SiOxNy ) から成る薬液侵入防止層2
2、光学フィルタとしての有機顔料分散型の有機フィル
タ層10とが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレクトロルミネッセ
ンス素子(以下、EL素子と記す)に関し、特に、例え
ば計器類のバックライト用の面発光源などに使用され
る、薄膜EL素子に関する。
【0002】
【従来技術】例えば、特開平1ー315987号に記載
されているように、特定の波長を透過または遮断する光
学フィルタをもちいて、これを介してEL素子の発光と
して特定色を得るという手段が取り入れられている。図
2にフィルタを導入したEL素子の典型例の断面構造を
示した。
【0003】図2のEL素子は、ガラス基板61a上に
形成された赤色発光素子部Aと、ガラス基板61b上に
形成された緑色発光素子部Bとが、向き合って接合され
ている。赤色発光素子部Aは、ガラス基板61a上に、
順次、形成された第1電極31、第1絶縁層32、発光
層33、第2絶縁層34、第2電極35と、光学フィル
タ40で構成されている。
【0004】一方、赤色発光素子部Bは、ガラス基板6
1b上に、順次、形成された第1電極51、第1絶縁層
52、発光層53、第2絶縁層54、第2電極55とで
構成されている。そして、ガラス基板61aとガラス基
板61bとが平行に配置され、樹脂から成る側壁62が
接着剤63にてガラス基板61aとガラス基板61bに
接合することで、素子の側周部が封止されている。又、
素子の内部空間は、シリコーンオイル等の透明性絶縁物
質64が充填されている。
【0005】電極31、35、51、55はITOの透
明性導電材料で構成され、発光層33、は、ZnS:M
nで構成され、発光層53は、ZnS:Tb,Fで構成
されている。上記のEL素子は、赤色と緑色との2原色
及びその間の全ての中間色を発光させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第2電極35
上に光学フィルタ40を用いないEL素子では、自己修
復不可能な絶縁破壊は起こらない。しかしながら、図2
のように発光色の色純度を考慮して第2電極35の直上
に有機光学フィルタ40を付ける構造では素子の自己修
復不可能な破壊の割合は非常に高い。これは、同構造の
素子でエージング及び、連続発光試験を実施した結果、
確認されている。
【0007】ここで述べている自己修復不可能な破壊と
は、上下の電極31,35に挟まれた誘電体層32、3
3、34のある1点で絶縁破壊が起こった場合、破壊が
隣接点に伝播して次第に破壊領域が拡大していくタイプ
のものである。そこで、本発明者は、第2電極35と光
学フィルタ40間に第3絶縁層を設けることによりEL
素子の自己修復不可能な破壊数を低減できることを発見
した(特願平5−259368)。
【0008】しかしながら、第3絶縁層を介在させたE
L素子でも、自己修復不可能な破壊は発生する。本発明
者はこの原因について詳しく研究した結果、第3絶縁層
及び光学フィルタは、第3絶縁層の成膜による膜応力
等、力学的観点からの悪影響、あるいは光学フィルタの
形成時における樹脂の塗布・処理時の加熱、薬液等の影
響が下層にあるものと思われる。
【0009】本発明者は、力学的観点から第3絶縁層の
成膜により生じる膜応力に着目し、EL素子の反り度合
い(曲率半径)と破壊モードとの対応関係を測定した。
第3絶縁層に数種の材料を用い、その成膜前後で膜応
力、素子の曲率半径を測定した。又、そのような光学フ
ィルタを形成しない状態、即ち、光学フィルタ形成時の
薬剤の影響を排除した状態で、素子の連続発光試験を実
施し、曲率半径の測定結果を対比させると、曲率半径と
破壊モードとの間に相関が見られた。
【0010】結果として、第3絶縁層の成膜前後で多大
な圧縮応力を生じさせ、曲率半径の変位を大きくさせる
材料は、自己修復不可能な破壊を起こすということが発
見された。又、本発明者は、光学フィルタの形成時の薬
剤や加熱処理による絶縁破壊への影響を測定した結果、
第3絶縁層を酸化タンタル(Ta2O3) の1層とした場合に
は、自己修復不可能な破壊が多く発生することを初めて
発見した。
【0011】本発明は、上記の実験から得られた発見に
基づくものであり、第3絶縁層を成膜時の応力の影響を
排除し、光学フィルタ形成時の薬剤の影響を排除し得る
構造とした。本発明は上記の課題を解決するために成さ
れたものであり、その目的は、EL素子において、自己
修復不可能な絶縁破壊を防止することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1の発明は、基板上に、順次、第1電極、第1
絶縁層、発光層、第2絶縁層、第2電極を積層し、第2
電極の光の取り出し側に光学フィルタを設けたエレクト
ロルミネッセンス素子において、第2電極と光学フィル
タとの間に、積層される層の応力を調整する応力調整層
と、光学フィルタの形成時に使用される薬液の下層への
侵入を阻止する薬液侵入防止層とを設けたことである。
【0013】請求項2の発明は、応力調整層と薬液侵入
防止層の膜応力値を、圧縮応力では100MPa以下、
引っ張り応力では160MPa以下の範囲としたことを
特徴とする。又、請求項3の発明は、応力調整層と薬液
侵入防止層が、それぞれ、酸化タンタル(Ta2O3) と酸化
珪素(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O3) と窒化珪素(SiN) 、
又は、酸化タンタル(Ta2O3) と酸窒化珪素(SiOxNy ) と
したことである。
【0014】請求項4の発明は、絶縁基板と、それと平
行に配設された背面基板とを同一向きにそらせたことを
特徴とする。又、請求項5の発明は、絶縁基板と背面基
板のそりの曲率半径は、背面基板を外側に凸とする方向
で、80m以上としたことである。
【0015】請求項6は、請求項1のEL素子の製造方
法において、第2電極と光学フィルタとの間に、積層さ
れる層の応力を調整する応力調整層と、光学フィルタの
形成時に使用される薬液の下層への侵入を阻止する薬液
侵入防止層とを積層するとき、層中の酸素比率を調整す
ることでその層の応力を調整するようにしたこである。
又、請求項7の発明は、応力調整層を、アルゴン/酸素
流量比Ar/O2 が15以下において、高周波スパッタ法に
より形成される酸化タンタル(Ta2O3) としたことであ
る。
【0016】
【作用及び発明の効果】第2電極の上に積層される応力
調整層により、素子にかかる応力が自己修復不可能な絶
縁破壊を生じない応力に調整される。又、その応力調整
層の上に形成される薬液侵入防止層により、光学フィル
タの形成時における薬剤の下層へが浸透防止される。こ
の結果、自己修復不可能な絶縁破壊が減少した。
【0017】又、応力調整層と薬液侵入防止層の膜応力
値が、圧縮応力では100MPa以下、引っ張り応力で
は160MPa以下の範囲とするとき、自己修復不可能
な絶縁破壊が減少した。さらに、応力調整層と薬液侵入
防止層が、それぞれ、酸化タンタル(Ta2O3) と酸化珪素
(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O3) と窒化珪素(SiN) 、又
は、酸化タンタル(Ta2O3) と酸窒化珪素(SiOxNy ) とす
ることで、自己修復不可能な絶縁破壊の減少に効果が見
られた。さらに、絶縁基板と背面基板とを同一向きにそ
らせることで、背面基板を絶縁基板に組付ける前後で応
力の変化を抑制することができ、この結果、自己修復不
可能な絶縁破壊を防止することができた。さらに、この
そり量は、曲率半径で、背面基板を外側に凸の方向で8
0m以上であることが効果的であった。
【0018】応力調整層と薬液侵入防止層とを積層する
とき、層中の酸素比率を調整することでその層の応力を
調整することができた。また、応力調整層は、アルゴン
/酸素流量比Ar/O2 が15以下において、高周波スパッ
タ法により形成された酸化タンタル(Ta2O3) とすること
により、自己修復不可能な絶縁破壊を低減させた素子と
することができた。
【0019】
【実施例】図1は、本発明に係わるEL素子の縦断面を示
した模式図である。EL素子100は、絶縁性基板である
ガラス基板1上に順次、以下の薄膜が積層形成されてい
る。ガラス基板1上には、光学的に透明な ITO (Indium
Tin Oxide) 膜からなる第1透明電極(第1電極)2が
形成され、その上面には、第1絶縁層が形成されてい
る。その第1絶縁層は、光学的に透明な酸窒化珪素(SiO
xNy ) から成る下第1絶縁層3と、酸化タンタル(Ta
2O3) から成る上第1絶縁層4との2層で形成されてい
る。
【0020】発光層5は、マンガン(Mn)が添加された
硫化亜鉛(ZnS)で形成され、その発光層5の上に、第2
絶縁層を形成した。その第2絶縁層は、光学的に透明な
酸窒化珪素(SiOxNy ) から成る下第2絶縁層6と、酸化
タンタル(Ta2O3) から成る上第2絶縁層7との2層で形
成されている。そして、上第2絶縁層7の上には、光学
的に透明なITO から成る第2透明電極(第2電極)8が
形成されている。
【0021】第2透明電極8の上には、第2透明電極8
を完全に覆う厚さに、酸化タンタル(Ta2O3) から成る応
力調整層21が形成され、その応力調整層21の上には
酸窒化珪素(SiOxNy ) から成る薬液侵入防止層22が形
成され、その薬液侵入防止層22の上には光学フィルタ
としての有機顔料分散型の有機フィルタ層10が形成さ
れている。
【0022】次に、上述のEL素子100の製造方法を
以下に述べる。まず、ガラス基板1上に第1透明電極2
を成膜した。蒸着材料として酸化インジウム(In2O3) と
酸化錫(SnO2)の混合粉末をペレット状に成形したものを
用い、成膜装置としてはイオンプレーティング装置を用
いた。具体的には、ガラス基板の温度を一定に保持した
ままイオンプレーティング装置内を真空まで排気し、そ
の後、アルゴン(Ar)ガスを導入して 6.5×10-1Paに保
ち、成膜速度が所定の範囲となるようビーム電力及び、
高周波電力を調整した。
【0023】次に、第1透明電極2上にSiOxNyから成る
下第1絶縁層3、Ta2O5 から成る上第1絶縁層4をスパ
ッタにより形成した。具体的には、ガラス基板1の温度
を 200℃に保持し、スパッタ装置内を1.0Pa に保持し、
装置内にアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを導入
し、1KW の高周波電力で堆積速度0.2nm/sec の条件で行
った。上第1絶縁層4上に、硫化亜鉛(ZnS) を母体材料
とし、発光中心としてマンガン(Mn)を添加したZnS:Mn
の発光層5を蒸着により形成した。具体的にはガラス基
板1の温度を一定に保持し、スパッタ装置内を 5×10-4
Pa以下に維持し、堆積速度 0.1〜0.3 nm/secの条件で電
子ビーム蒸着を行った。発光層5の上に、SiOxNyから成
る下第2絶縁層6、Ta2O5 から成る上第2絶縁層7を、
下第1絶縁層3及び上第1絶縁層4と同一の方法で形成
した。
【0024】以上の各層をガラス基板上に形成後、真空
中 400〜600 ℃で熱処理を行った。熱処理後、上第2絶
縁層7上にITO から成る第2透明電極8を第1透明電極
2と同一の方法で形成した。
【0025】次に、第2透明電極8上に酸化タンタル
(Ta2O5 )から成る応力調整層21と、酸窒化珪素(Si
OxNy)から成る薬液侵入防止層22を、それぞれ、上第
1絶縁層4と、下第1絶縁層3と同一条件で形成した。
薬液侵入防止層22は、酸窒化珪素の他、酸化珪素(Si
O2) 、窒化珪素(SiN)を用いた。酸化珪素、窒化珪素に
ついてはCVD装置により形成した。具体的には、基板
温度を200 °Cに保持し、CVD装置内を0.5 Torr維持
でSiH4とN2O の混合ガスを導入しRf出力30Wで堆積
速度0.14nm/secの条件で成膜を行った。
【0026】次に、薬液侵入防止層22の上に有機顔料
分散型の赤色の有機フィルタ層10を形成した。具体的
には、赤色有機顔料を所定分量だけ、薬液侵入防止層2
2の上に滴下し、スピンナーにより数秒間レジストコー
トを行った。その後、露光現像、そして加熱炉でレジス
トベークによりエージングを行った。従って、有機フィ
ルタ層10はレジスト膜から成る。なお、最終的には、
EL素子100の最上の有機フィルタ層10の上に、吸
湿防止のため、シリコンオイルの真空注入によりガラス
板が組みつけられている。
【0027】この実施例における各層の膜厚は、第1透
明電極が200nm 、下第1絶縁層3が100nm 、上第1絶縁
層4が400nm 、発光層5が620nm 、下第2絶縁層6が10
0nm、上第2絶縁層7が200nm 、第2透明電極8が450nm
、応力調整層21が200 〜400nm 、薬液侵入防止層2
2が100 〜300nm 、有機フィルタ層10が3000nmであ
る。なお、応力調整層21の厚さは、上第2絶縁層7の
上面を基準としたときの平均的な膜厚を示し、成膜時の
条件、即ち、成膜量を意味する。第2透明電極8の形状
等の状況によって違いはあるが、第2透明電極8を埋め
込むに必要な厚さであり、埋め込むことができれば、成
るべく薄い方が良い。この成膜量は概略500nm が望まし
い。200nm より少ない膜厚では、直接、有機フィルタ層
10を形成した場合に近づき、自己修復不可能型の破壊
モードが観測された。
【0028】又、薬液侵入防止層22の材料としては、
酸窒化珪素(SiOxNy)が最適で、エージング時の点破壊
も起こらず、極めて安定した素子を製造することができ
た。また、薬液侵入防止層22の存在により、応力調整
層21より下層への有機物等やレジスト現像液の侵入が
防止でき、絶縁耐圧を向上させることができた。
【0029】応力調整層21と薬液侵入防止層22との
材料の組合せは、Ta2O5 とSiOxNy、Ta2O5 とSiO2、Ta2O
5 とSi3N4 について、それぞれ制作して、膜応力特性及
び連続発光による絶縁破壊特性を測定した。その結果
を、図3の3、4に示す。この組合せでは、いずれも、
自己修復不可能な絶縁破壊の発生率を0とすることがで
きた。Ta2O5 とSiOxNy(図3の3)の組合せでは、応力
調整層21と薬液侵入防止層22との2層を形成するこ
とで曲率半径は減少し、応用調整層の膜応力は−18.
3MPa の圧縮応力が観測されたが、自己修復不可能型素
子破壊率は0であった。
【0030】一方、Ta2O5 とSiO2(図3の4)の組合せ
では、応力調整層21と薬液侵入防止層22との2層を
形成することで曲率半径は増加し、応用調整層の膜応力
は106.8MPa の引っ張り応力が観測され、自己修復
不可能型素子破壊率は0であった。
【0031】次に、比較のため、それぞれ、Ta2O5 、Si
O2、SiOxNyの単層膜を、それぞれ制作して、膜応力特性
及び絶縁破壊特性を測定した。その結果を、図3の1、
2、5に示す。この単層膜の場合には、自己修復不可能
型素子破壊率は、それぞれ、14.3,74.4,4
2.8%であった。SiOxNy 及びSiO2の場合には、曲率
半径を減少させるが、応用調整層に大きな圧縮応力(そ
れぞれ、351.0,140.0MPa )を生じさせる結
果、大きな自己修復不可能型素子破壊率(それぞれ、4
2.8,74.4%)が測定された。
【0032】一方、Ta2O5 の単層膜の場合には、曲率半
径を増加させ、応用調整層に大きな引っ張り応力(13
5.2MPa )を生じさせるが、自己修復不可能型素子破
壊率は14.3%と、圧縮応力の場合に比べれば大きな
値にはならなかった。以上の実験結果から、自己修復不
可能型素子破壊率を応力調整層21と薬液侵入防止層2
2の存在により改善するためには、それらの層の膜応力
は圧縮応力では100MPa 以下、引っ張り応力では16
0MPa 以下であることが望ましいことが分かった。又、
成膜前後の曲率半径の変位は40m以下が望ましいこと
が図3の測定結果より理解される。
【0033】しかしながら、Ta2O5 の単層の場合には、
自己修復不可能型素子破壊率は141.3%と高い。こ
の原因は、有機フィルタ層10を形成する時に、薬液
(有機フィルタのレジストの塗布時)や水分が下層へ浸
入するために、EL素子に自己修復不可能な絶縁破壊を
生じさせるものと考えられる。よって、Ta2O5 の応力調
整層21の上に、SiOxNy、SiO2、 Si3N4 の薬液侵入防止
層22を形成することで、有機フィルタ層10の形成時
に使用される薬液等の浸透による絶縁破壊が防止され
る。
【0034】又、Ta2O5 の応力調整層21は、アルゴン
/酸素比率を変化させて、高周波スパッタリングで形成
した。そして、そのアルゴン/酸素比率と膜応力との関
係を測定した。その結果を図4に示す。アルゴン/酸素
比率が大きい程、即ち、酸素比率が高い程、膜応力は圧
縮応力から引っ張り応力へと変化し、引っ張り応力が増
加することが分かる。自己修復不可能型の絶縁破壊素子
率を小さくするには、150MPa 以下の引っ張り応力、
100MPa 以下の圧縮応力とするには、アルゴン/酸素
比率を15以下とするのが良いことが分かる。
【0035】上記の実験から、応力調整層21と薬液侵
入防止層22の膜応力は、その層を形成する時の酸素比
率を変化させることで制御できることが理解される。上
記の実施例では高周波スパッタリングにより応力調整層
21と薬液侵入防止層22を形成したが、イオンビー
ム、高周波プラズマ、イオン注入による酸素照射でも、
膜の応力を制御することができる。
【0036】次に、ガラス基板1と背面基板20とを接
合して素子を形成する場合について説明する。有機フィ
ルタ層10の形成後のEL素子100をシリコーンオイ
ルの真空注入により、背面基板としてのガラス基板(ダ
ミーガラス)20を組付けた。具体的には、EL素子1
00の反りの向きは、有機フィルタ層10を外側にして
凸となっており、これに背面基板20の反りの向きと反
り度合い(曲率半径)を計測し、ガラス基板1に同方向
(図5(a))及び、異方向(図5(b))の反りの背
面基板20を組み合わせた。ガラス封着時のプロセスと
しては、ガラス基板1と背面基板20とを接着剤で張り
合わせ、一部真空に引くために設けておいた上記基板間
の隙間から素子の内部を真空にひき、これをシリコーン
オイル中にいれてオイルを注入するというものである。
【0037】図5の(a)に示す様に、互いに同方向の
反りで組合わせたタイプは、上記基板を真空に引く際に
基板等の反りの変化は少なく、素子の各層への力学的な
影響は、ほぼ無いものと考えられる。従って、連続発光
試験の結果も良好であり実装技術の有効な手段となる。
又、応力調整層21と薬液侵入防止層22との層で生じ
る膜応力で自己修復不可能な破壊に至らないと考えられ
る数値範囲について触れたが、その数値範囲より好適な
EL素子100の反り度合い(曲率半径)は、背面基板
20を外側に凸とする方向では80m以上となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な実施例にかかるエレクトロル
ミネッセンス素子の構成を示した断面図。
【図2】従来のエレクトロルミネッセンス素子の構成を
示した断面図。
【図3】第2電極と光学フィルタとの間に介在させる層
構造及びその材質に対する成膜前後における曲率半径の
変位、膜応力、自己修復不可能型素子破壊率を測定した
結果を示す説明図。
【図4】アルゴン/酸素比率を変化させて応力調整層及
び薬液侵入防止層を形成した時のアルゴン/酸素比率に
対する膜応力の変化特性を測定した測定図。
【図5】他の実施例、比較例にかかるエレクトロルミネ
ッセンス素子の構造を示した断面図。
【符号の簡単な説明】
100…エレクトロルミネッセンス素子 1…ガラス基板 2…第1透明電極(第1電極) 3…下第1絶縁層(第1絶縁層) 4…上第1絶縁層(第1絶縁層) 5…発光層 6…下第2絶縁層(第2絶縁層) 7…上第2絶縁層(第2絶縁層) 8…第2電極 20…背面基板 21…応力調整層 22…薬液侵入防止層 10…有機フィルタ(光学フィルタ)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、順次、第1電極、第1絶縁層、
    発光層、第2絶縁層、第2電極を積層し、前記第2電極
    の光の取り出し側に光学フィルタを設けたエレクトロル
    ミネッセンス素子において、 前記第2電極と前記光学フィルタとの間に、積層される
    層の応力を調整する応力調整層と、前記光学フィルタの
    形成時に使用される薬液の下層への侵入を阻止する薬液
    侵入防止層とを設けたことを特徴とするエレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  2. 【請求項2】前記応力調整層と前記薬液侵入防止層の膜
    応力値が、圧縮応力では100MPa以下、引っ張り応
    力では160MPa以下の範囲にあることを特徴とする
    請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】前記応力調整層と薬液侵入防止層が、それ
    ぞれ、酸化タンタル(Ta2O3) と酸化珪素(SiO2)、酸化タ
    ンタル(Ta2O3) と窒化珪素(SiN) 、又は、酸化タンタル
    (Ta2O3) と酸窒化珪素(SiOxNy ) より成ることを特徴と
    する請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】前記絶縁基板と平行に配設された背面基板
    であって、前記絶縁基板と前記背面基板で形成される側
    周部が封止され、前記絶縁基板と前記背面基板とを同一
    向きにそらせたことを特徴とする請求項1に記載のエレ
    クトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】前記絶縁基板と前記背面基板のそりの曲率
    半径は、前記背面基板を外側に凸とする方向で80m以
    上であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロ
    ルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】基板上に、順次、第1電極、第1絶縁層、
    発光層、第2絶縁層、第2電極を積層し、前記第2電極
    の光の取り出し側に光学フィルタを設けたエレクトロル
    ミネッセンス素子の製造方法において、 前記第2電極と前記光学フィルタとの間に、積層される
    層の応力を調整する応力調整層と、前記光学フィルタの
    形成時に使用される薬液の下層への侵入を阻止する薬液
    侵入防止層とを積層するとき、層中の酸素比率を調整す
    ることでその層の応力を調整することを特徴とするエレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記応力調整層は、アルゴン/酸素流量比
    Ar/O2 が15以下において、高周波スパッタ法により形
    成された酸化タンタル(Ta2O3) であることを特徴とする
    請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造
    方法。
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