JPH05226075A - 酸化物透明導電膜を有する電子素子 - Google Patents

酸化物透明導電膜を有する電子素子

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JPH05226075A
JPH05226075A JP4269731A JP26973192A JPH05226075A JP H05226075 A JPH05226075 A JP H05226075A JP 4269731 A JP4269731 A JP 4269731A JP 26973192 A JP26973192 A JP 26973192A JP H05226075 A JPH05226075 A JP H05226075A
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JP
Japan
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conductive film
oxide
transparent conductive
insulating layer
layer
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Application number
JP4269731A
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English (en)
Inventor
Shinya Mizuki
伸也 水木
Nobue Ito
信衛 伊藤
Tadashi Hattori
服部  正
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Japan Science and Technology Agency
Denso Corp
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化物透明導電膜の劣化、特に、高抵抗化を
抑制すること。 【構成】 薄膜ELディスプレイ素子100のガラス基
板11上には可視光に対して透明なITO透明導電膜か
ら成る透明電極12が形成されている。その上にはSi
xで表されるシリコン窒化物から成る透明な酸素拡散
防止層13、Ta25,Al23 混合物から成る第1絶縁
層14、Tb,O,Fが添加されたZnSから成る発光層1
5、SiNxから成る第2絶縁層16、Ta25,Al23
混合物から成る第2絶縁層17及びAl から成る背面電
極19が順次積層され形成されている。このように、透
明電極12と第1絶縁層14との間には酸素拡散防止層
13が形成されている。従って、この酸素拡散防止層1
3により第1絶縁層14の酸素が透明電極12中に拡散
することが阻止され、透明電極12の高抵抗化が抑制さ
れ絶縁破壊や輝度ムラ等の発生がなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽電池などの光電変
換デバイスやEL(Electroluminescence)ディスプレ
イ、TFT−LCD(Thin Film Transistor-Liquid Cr
ystal Display)に用いられている酸化物透明導電膜を有
する電子素子に関する。
【0002】
【従来技術】従来、酸素空孔を有する酸化物透明導電膜
である例えば、ITO(Indium TinOxide)透明導電膜は
太陽電池等の光電変換デバイスやELディスプレイ、T
FT−LCD等のフラットパネルディスプレイで透明電
極として広く用いられておりこれらの製品を構成するう
えで必要不可欠なものとなっている。この一例として、
図2に薄膜ELディスプレイ素子の断面模式図を示した
ように、その使用にあたっては、ITO透明導電膜と酸
化物絶縁膜とが直接接触するような構造が通常用いられ
ている。この理由としては、酸化タンタル(Ta25)等
の酸化物絶縁膜は比誘電率が大きくその上に隣接して形
成される発光層に蓄積される電荷を多くでき印加される
電圧に対する発光輝度を高くできることがあげられる。
ガラス基板11上には、ITO透明導電膜から成る透明
電極12、酸化タンタル(Ta25)等から成る第1絶縁
層14、蛍光体から成る発光層15、第2絶縁層16,
17が順次積層され、更に、その上に背面電極19が形
成されている。上記ITO透明導電膜は酸化インジウム
(In23)に錫(Sn)をドープした透明の導電膜で、低
抵抗であることから透明電極として広く利用されてい
る。発光層15としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)を
母体材料とし、発光中心としてマンガン(Mn)やテルビ
ウム(Tb)、酸素(O)、フッ素(F)等を添加したも
のが使用されている。EL発光による発光色はZnS 中
の添加物の種類によって決定され、例えば、発光中心と
してMn を添加した場合にはアンバー、Tb,O,Fを添
加した場合にはグリーンの発光を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の構造の薄膜EL
ディスプレイ素子を作成し発光させたところ、発光開始
電圧が高く発光開始後充分な輝度が得られないうちに絶
縁破壊を生じるものがあった。又、同じく薄膜ELディ
スプレイ素子を用いてX−Yドットマトリックス表示器
を作成したところ、輝度ムラの発生やフレーム周波数を
高くするにつれて輝度が低下しやがて発光しなくなると
いった問題があった。発明者らは、上述の問題について
原因を究明するために、以下のような仮定に基づき鋭意
実験研究を重ねた。 −仮定− 薄膜ELディスプレイ素子の製造工程において、ITO
透明導電膜上の酸化物絶縁層の酸素の一部が遊離する。
この遊離した酸素が薄膜ELディスプレイ素子製造工程
のプロセスにて加えられる熱によってITO透明導電膜
中に拡散する。このためITO透明導電膜の導電機構の
源である酸素空孔を埋めてしまうことによりITO透明
導電膜のキャリヤ濃度を減少させITO透明導電膜を高
抵抗化させている。このITO透明導電膜の高抵抗化に
より上述の問題が生じている。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、酸化物透
明導電膜を有する電子素子である薄膜ELディスプレイ
素子等の製造工程において、酸化物透明導電膜の高抵抗
化を抑制することにより絶縁破壊や輝度ムラ等の発生が
ない高品質の薄膜ELディスプレイ素子等を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成は、酸化物透明導電膜に隣接して酸化物絶
縁層を形成する電子素子であって、前記酸化物透明導電
膜と前記酸化物絶縁層との間に透明な酸素を遊離し難い
酸素拡散防止層を形成したことを特徴とする。
【0006】
【作用及び効果】酸化物透明導電膜と酸化物絶縁層との
間には透明な酸素を遊離し難い酸素拡散防止層が形成さ
れている。この酸素拡散防止層により酸化物絶縁層の酸
素が酸化物透明導電膜にて形成された電子素子の電極中
に拡散することが阻止される。これにより、酸化物透明
導電膜の高抵抗化が抑制される。従って、酸化物絶縁層
との間に酸素拡散防止層を形成した酸化物透明導電膜を
例えば、電子素子である薄膜ELディスプレイ素子に用
いた場合には電源側との接点に近い発光層と離れた発光
層とに印加される電圧の差が小さくできるので、発光層
の輝度ムラを少なくすることができる。又、同様の構成
により、例えば、ドットマトリックス状の薄膜ELディ
スプレイ素子を作成した場合には抵抗と容量とに起因す
る電圧の立ち上がり時定数が小さくなるため素子を駆動
するフレーム周波数を上げることができる。このため、
大面積のドットマトリックス形ELディスプレイパネル
の実現も可能である。
【0007】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。実施例1 図1は本発明に係る酸化物透明導電膜を有する電子素子
である薄膜ELディスプレイ素子100の断面構成を示
した模式図である。ガラス基板11上には可視光に対し
て透明な酸化物透明導電膜であるITO透明導電膜から
成る透明電極12が形成されている。その上には、窒化
物でありSiNxの化学式で表されるシリコン窒化物から
成る透明な酸素拡散防止層13、Ta25,Al23 混合
物から成る第1絶縁層14、Tb,O,Fが添加されたZ
nSから成る発光層15、SiNxの化学式で表されるシ
リコン窒化物から成る第2絶縁層16、Ta25,Al2
3 混合物から成る第2絶縁層17及びAl から成る背面
電極19が順次積層され形成されている。
【0008】次に、上記構造の薄膜ELディスプレイ素
子100の製造方法の一例を説明する。先ず、ガラス基
板11上に透明電極12を真空蒸着法により形成した。
ここで、蒸着材料としては酸化インジウム(In23)中
に酸化錫(SnO2)をIn 原子に対してSn 原子が5%
となるように混合成形し焼成しペレット状としたものを
用いた。又、電子ビーム蒸着装置内にガラス基板11と
上記ペレットをセットし、ガラス基板11を 250℃に保
持したまま真空槽内を3×10-4Pa まで排気した。次
に、 6.7×10-2Pa まで酸素を導入し蒸着速度が1〜3
Å/secとなるように電子ビームの出力を調整しながらI
TO透明導電膜を成膜した。このITO透明導電膜をフ
ォトリソグラフィの手法を用いてパターニングすること
により透明電極12とした。
【0009】上記透明電極12上に、RFマグネトロン
スパッタ法にて、シリコン窒化物から成る酸素拡散防止
層13を形成した。具体的には、透明電極12が形成さ
れたガラス基板11をスパッタ装置にセットし 200℃に
30分間保持した後、その真空槽内を 3.5×10-3Pa まで
排気した。その後、Ar ガスを60cc/min、N2 ガスを 1
40cc/minの割合で真空槽内に導入しつつ排気バルブを調
整し真空槽内の圧力を0.75Pa に設定した。ターゲット
としてはSi を用い高周波電力をターゲット単位面積あ
たり1.55W/cm2 投入しプリスパッタを10分間行った後、
7.63nm/minの堆積速度の条件にて成膜を行い 100nm堆積
した。
【0010】次に、酸素拡散防止層13上にTa25,
l23 混合物から成る第1絶縁層14をスパッタリング
により形成した。具体的には、上記透明電極12及び酸
素拡散防止層13が形成されたガラス基板11をスパッ
タ装置内にセットし 200℃に30分間保持した後、その真
空槽内を3×10-2Pa まで排気した。その後、Ar ガス
を 180cc/min、O2 ガスを20cc/minの割合で真空槽内に
導入しつつ排気バルブを調整し真空槽内の圧力を1Pa
に設定した。ターゲットとしてはTa25,Al23 混合
物から成る焼結ターゲットを用い高周波電力をターゲッ
ト単位面積あたり2.07W/cm2 投入しプリスパッタを10分
間行った後、5.76nm/minの堆積速度の条件にて成膜を行
い 500nm堆積した。
【0011】上記第1絶縁層14上にZnS を母体材料
とし発光中心としてTb,O,Fを添加した発光層15を
スパッタリングにより形成した。具体的には、上述の各
層が形成されたガラス基板11をスパッタ装置内にセッ
トし 400℃に保持しその真空槽内を1×10-3Pa 以下に
排気した。その後、Arガスを30cc/min、He ガスを20c
c/minの割合で真空槽内に導入しつつ排気バルブを調整
し真空槽内の圧力を 2.4Pa に設定した。ZnS 中にT
b,O,Fを添加した焼結ターゲットを用いターゲット単
位面積あたり1.86W/cm2 投入しプリスパッタを15分間行
った後、50nm/minの堆積速度の条件にて成膜を行い 600
nm堆積した。そして、発光層15を成膜後、 400℃で6
時間の熱処理を行った。この時点で、上記透明電極12
を構成するITO透明導電膜はその形成後に 300℃以上
の温度履歴又は酸素プラズマに曝される工程を経ること
になる。
【0012】次に、上記発光層15上にシリコン窒化物
から成る第2絶縁層16、Ta25,Al23 混合物から
成る第2絶縁層17を形成した。シリコン窒化物及びT
a25,Al23 混合物はそれぞれ上述の酸素拡散防止層
13及び第1絶縁層と同一の方法にて形成した。更に、
上記第2絶縁層17上にAl を用いた電子ビーム蒸着法
により背面電極19を形成した。蒸着材料としては高純
度の金属アルミニウムを用いた。上記第2絶縁層17ま
で形成されたガラス基板11と蒸着材料とを電子ビーム
蒸着装置内にセットし、その真空槽内を 6.7×10-4Pa
以下まで排気した後、成膜速度が3nm/sec以上となるよ
うに電子ビームの出力を調整しAl 膜を堆積した。この
Al 膜をフォトリソグラフィの手法を用いてパターニン
グすることにより背面電極19とした。このようにして
得られた薄膜ELディスプレイ素子100の透明電極1
2のa1 側又はb1 側と背面電極19との間に通電し発
光させたところ絶縁破壊や輝度ムラもなく安定した発光
が観察できた。
【0013】上述の実施例1における酸素拡散防止層1
3の効果を調べるために以下に述べるような薄膜ELデ
ィスプレイ素子のサンプルA,B,C,Dを作成しそれ
らのITO透明導電膜から成る透明電極の抵抗値の比較
を行った。図3はその結果を示している。サンプルA
は、図1と同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素
子であり酸素拡散防止層を有し、実施例1と同様の工程
途中で2〜3Pa の気圧雰囲気中において、 600℃で3
時間の熱処理を施したものである。サンプルBは、図1
と同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素子であり
酸素拡散防止層を有するが熱処理なしのものである。サ
ンプルCは、図2と同様の従来構造から成る薄膜ELデ
ィスプレイ素子であり酸素拡散防止層がなく、サンプル
Aと同様に、2〜3Pa の気圧雰囲気中において、 600
℃で3時間の熱処理を施したものである。サンプルD
は、図2と同様の従来構造から成る薄膜ELディスプレ
イ素子であり酸素拡散防止層がなく熱処理なしのもので
ある。尚、熱処理なしのサンプルB,Dは、発光層の成
膜を 200℃にて行いその後の熱処理を行わなかった。
【0014】ここで、ITO透明導電膜の抵抗測定を行
ったところ、図3の初期値に示したように、抵抗値は約
135Ωであった。このITO透明導電膜の初期値の抵抗
値と薄膜ELディスプレイ素子形成後の上記サンプル
A,B,C,DにおけるITO透明導電膜の抵抗値とを
比較した。酸素拡散防止層がなく熱処理を施したサンプ
ルCは、抵抗値が約1310Ωと初期値の9倍にもなった。
このものでは、薄膜ELディスプレイ素子の発光層成膜
時の基板加熱及び発光層そのものの熱処理によりTa2
5 膜中の遊離した酸素がITO透明導電膜中に拡散した
と考えられる。このため、ITO透明導電膜中の酸素空
孔を埋めてしまうことによりITO透明導電膜中のキャ
リヤ濃度を減少させITO透明導電膜が高抵抗化したと
考えられる。又、この現象は絶縁膜としてTa25 以外
の酸素を遊離し易い酸化物絶縁層を用いた場合にも同様
に起こると考えられる。一方、酸素拡散防止層が形成さ
れたサンプルAの場合には、発光層成膜時の温度と発光
層熱処理の温度とによりITO透明導電膜の欠陥が改善
され透明電極の抵抗値が約 120Ωと初期値から約10%低
下したと考えられる。又、サンプルB及びDの場合に
は、熱処理されていないため初期値の抵抗値と同じ約 1
35Ωで変化がなかった。
【0015】次に、図2に示した構造から成るサンプル
Cの透明電極12と背面電極19との間に通電し発光さ
せた。透明電極12のa2 側から給電した場合、a2 側
に近い部分ほど輝度が高くa2 側から離れたb2 側に近
づくにつれて輝度が低くなった。次に、透明電極12の
b2 側から給電した場合、b2 側に近い部分ほど輝度が
高くb2 側から離れたa2 側に近づくにつれて輝度が低
くなった。更に、透明電極12のa2 及びb2側両方か
ら給電した場合、a2 及びb2 側に近い部分ほど輝度が
高くa2 及びb2 側から離れた中心部の輝度が低くなっ
た。最後に、再び透明電極12のa2 側から給電し、b
2 側に近い部分の輝度を上げるため給電電圧を上げたと
ころa2側に近い部分が絶縁破壊してしまった。以上の
結果より、酸素拡散防止層は透明電極となるITO透明
導電膜の劣化防止、特に、高抵抗化防止に有効であると
共にそのITO透明導電膜の高抵抗化防止が薄膜ELデ
ィスプレイ素子の輝度ムラ防止、信頼性の向上に有効で
あることが明らかになった。同様に、サンプルB及びD
に通電し発光させたが、これらはサンプルA及びCに比
べて低い輝度しか得られなかった。これらサンプルB及
びDは発光層成膜時の温度が低くその後の熱処理が施さ
れていないことが輝度の低い原因と考えられる。
【0016】実施例2 図4は本発明に係る酸化物透明導電膜を有する電子素子
である薄膜ELディスプレイ素子200の断面構成を示
した模式図である。本実施例の層構造は、実施例1にお
けるシリコン窒化物から成る酸素拡散防止層13に替え
てSiON から成る酸素拡散防止層23を用いた以外は
実施例1と同様の構成であり、同じ符号を付して示し
た。上記酸素拡散防止層23を構成するSiON 膜はR
Fマグネトロンスパッタ法にて形成した。具体的には、
透明電極12が形成されたガラス基板11をスパッタ装
置にセットし、 300℃で30分間保持した後、真空槽内を
3.5×10-3Pa まで排気した。この後、Ar ガスを105c
c/min 、O2 ガスを8cc/min、N2 ガスを37cc/minの割
合で真空槽内に導入しつつ、排気バルブを調整して真空
槽内の圧力を 0.5Paに設定した。ターゲットとしては
Si を用い、高周波電力をターゲット単位面積あたり1
W/cm2 投入してプリスパッタを40分間行った。この後、
高周波電力を3W/cm2 投入して成膜を行い、SiON 膜
を 100nm堆積した。次に、上記SiON 膜から成る酸素
拡散防止層23上に実施例1と同じ条件にて第1絶縁層
14以降の膜を成膜して薄膜ELディスプレイ素子20
0を形成した。
【0017】上述の実施例2における酸素拡散防止層2
3の効果を調べるために以下に述べるような薄膜ELデ
ィスプレイ素子のサンプルE,Fを作成しそれらのIT
O透明導電膜から成る透明電極の抵抗値の比較を行っ
た。図5はその結果を示している。ここで、サンプルE
は、図4と同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素
子であり酸素拡散防止層を有し、実施例1と同様の工程
途中で2〜3Pa の気圧雰囲気中において 600℃で3時
間の熱処理を施したものである。サンプルFは、図4と
同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素子であり酸
素拡散防止層を有するが熱処理なしのものである。尚、
図5における初期値及びサンプルC,Dは、実施例1に
対応して図3に示された初期値及びサンプルC,Dの測
定値を示した。サンプルEの抵抗値は約 125Ωであり、
サンプルFの抵抗値は初期値とほぼ同じ約 135Ωであっ
た。サンプルEの抵抗値の低下は、発光層成膜時の温度
と発光層熱処理の温度とによりITO透明導電膜の欠陥
が改善されたためと考えられる。
【0018】次に、実施例1と同様、サンプルF及びサ
ンプルDに通電し発光させたが、これらはサンプルE及
びサンプルCに比べて低い輝度しか得られなかった。こ
れらサンプルF及びサンプルDは発光層成膜時の温度が
低くその後の熱処理が施されていないことが輝度の低い
原因と考えられる。
【0019】実施例3 図6は本発明に係る酸化物透明導電膜を有する電子素子
である薄膜ELディスプレイ素子300の断面構成を示
した模式図である。本実施例の層構造は、実施例1にお
けるシリコン窒化物から成る酸素拡散防止層13に替え
てAl23 から成る酸素拡散防止層33を用いた以外は
実施例1と同様の構成であり、同じ符号を付して示し
た。上記酸素拡散防止層33を構成するAl23 膜は電
子ビーム蒸着法にて形成した。具体的には、透明電極1
2が形成されたガラス基板11を電子ビーム蒸着装置に
セットし、 200℃に加熱しながら6×10-4Pa まで排気
した後、1時間そのまま保持した。この後、電子ビーム
電源を10kVに設定し、ビーム電流を80〜100mAにて蒸着
を行った。電子ビームは蒸着材に均一に当たるように充
分拡大し、成膜速度0.6〜0.8nm/secにて、Al23 膜を
100nm成膜した。次に、上記Al23 膜から成る酸素拡
散防止層33上に実施例1と同じ条件にて第1絶縁層1
4以降の膜を成膜して薄膜ELディスプレイ素子300
を形成した。
【0020】上述の実施例3における酸素拡散防止層3
3の効果を調べるために以下に述べるような薄膜ELデ
ィスプレイ素子のサンプルG,Hを作成しそれらのIT
O透明導電膜から成る透明電極の抵抗値の比較を行っ
た。図7はその結果を示している。ここで、サンプルG
は、図6と同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素
子であり酸素拡散防止層を有し、実施例1と同様の工程
途中で2〜3Pa の気圧雰囲気中において 600℃で3時
間の熱処理を施したものである。サンプルHは、図6と
同様の構造から成る薄膜ELディスプレイ素子であり酸
素拡散防止層を有するが熱処理なしのものである。尚、
図7における初期値及びサンプルC,Dは、実施例1に
対応して図3に示された初期値及びサンプルC,Dの測
定値を示した。サンプルGの抵抗値は約 130Ωであり、
サンプルHの抵抗値は初期値とほぼ同じ約 130Ωであっ
た。サンプルGの抵抗値の低下は、発光層成膜時の温度
と発光層熱処理の温度とによりITO透明導電膜の欠陥
が改善されたためと考えられる。
【0021】次に、実施例1と同様、サンプルHに通電
し発光させたが、このものはサンプルGに比べて低い輝
度しか得られなかった。このサンプルHは発光層成膜時
の温度が低くその後の熱処理が施されていないことが輝
度の低い原因と考えられる。
【0022】尚、上述の実施例における酸素拡散防止層
は、シリコン窒化物、SiON 及びAl23 から形成し
たが、これらに限定されるものではなく、上述された以
外の例えば、窒化物、ボロン化物、高融点金属のシリサ
イド及び安定な酸化物のうち少なくとも一種より形成さ
れても良い。更に、詳細に述べれば、TiN,AlN,B
N,TiB,ZrB,HfB,VB,NbB,TaB,CrB,MoB,
WB,MoSi,VSi,CrSi,HfSi,ZrSi及びNbSiの
うち少なくとも一種より形成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る酸化物透明導
電膜を有する電子素子である薄膜ELディスプレイ素子
の断面構成を示した模式図である。
【図2】従来の薄膜ELディスプレイ素子の断面構成を
示した模式図である。
【図3】酸素拡散防止層の有無及び熱処理の有無に基づ
く薄膜ELディスプレイ素子のITO透明導電膜から成
る透明電極における抵抗値を比較した説明図である。
【図4】本発明に係る酸化物透明導電膜を有する電子素
子である薄膜ELディスプレイ素子の第2実施例におけ
る断面構成を示した模式図である。
【図5】図4の断面構成から成る薄膜ELディスプレイ
素子のITO透明導電膜から成る透明電極における抵抗
値を比較した説明図である。
【図6】本発明に係る酸化物透明導電膜を有する電子素
子である薄膜ELディスプレイ素子の第3実施例におけ
る断面構成を示した模式図である。
【図7】図6の断面構成から成る薄膜ELディスプレイ
素子のITO透明導電膜から成る透明電極における抵抗
値を比較した説明図である。
【符号の説明】
11…ガラス基板 12…透明電極(酸化物透明導電膜) 13…酸素拡散防止層 14…第1絶縁層(酸化物絶縁層) 15…発光層 16,17…第2絶縁層 19…背面電極 100…薄膜ELディスプレイ素子(電子素子)
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/784 (72)発明者 服部 正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物透明導電膜と、 該酸化物透明導電膜に隣接して形成された酸化物絶縁層
    と、 前記酸化物透明導電膜と前記酸化物絶縁層との間に介在
    させると共に該酸化物絶縁層に含有される酸素が前記酸
    化物透明導電膜に拡散することを防止する酸素拡散防止
    層とを有することを特徴とする酸化物透明導電膜を有す
    る電子素子。
  2. 【請求項2】 前記酸素拡散防止層は、透明な酸素を遊
    離し難い層から成ることを特徴とする請求項1記載の酸
    化物透明導電膜を有する電子素子。
  3. 【請求項3】 前記酸素拡散防止層は、窒化物、ボロン
    化物、高融点金属のシリサイド及び安定な酸化物のうち
    少なくとも一種から成ることを特徴とする請求項1記載
    の酸化物透明導電膜を有する電子素子。
  4. 【請求項4】 前記酸素拡散防止層は、TiN,AlN,B
    N,TiB,ZrB,HfB,VB,NbB,TaB,CrB,MoB,
    WB,MoSi,VSi,CrSi,HfSi,ZrSi,NbSi,Si
    ON及びAl23 のうち少なくとも一種から成ることを
    特徴とする請求項1記載の酸化物透明導電膜を有する電
    子素子。
  5. 【請求項5】 請求項1における酸化物透明導電膜を有
    する電子素子は、薄膜ELディスプレイ素子であること
    を特徴とする。
JP4269731A 1991-09-30 1992-09-10 酸化物透明導電膜を有する電子素子 Pending JPH05226075A (ja)

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