JPH0727259Y2 - コラムカバー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、自動車のステアリングホイールを前後に移
動調整可能とするテレスコピツクステアリング装置に使
用されるコラムカバーに関する。

〈従来の技術〉 従来、テレスコピツクステアリング装置に使用されるコ
ラムカバーでは、実公昭61−27823号公報に記載されて
いるものが知られている。

この公報記載のコラムカバーは、それぞれ略四角筒状と
する、前後方向に移動するステアリングホイール側に連
結固定される前側コラムカバー部と、この前側コラムカ
バー部の後方の所定部位に固定される後側コラムカバー
部と、を備えている。そして、前側コラムカバー部の後
端部全周と後側コラムカバー部の前端部全周とが、内部
機構の保護及び目かくしと、ステアリングホイールの移
動に伴なう後側コラムカバー部に対する前側コラムカバ
ー部の前後移動と、を考慮されて、略四角筒状で蛇腹状
の中コラムカバー部で連結される構成としている。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかし、公報に記載されているような、前側コラムカバ
ー部の後端部全周と後側コラムカバー部の前端部全周と
の間に筒状で蛇腹状の中コラムカバー部が配設される構
成であると、その中コラムカバー部の端部を前・後側コ
ラムカバー部の端部全周に連結する作業が難しく、その
作業に大変手間がかかることとなる。特に、通常、コラ
ムカバーの各部材は、上下に二分割できる構成として、
それらの各部材をステアリングシヤフト周囲に配置させ
つつ組み付けるものであり、ステアリングシヤフトが邪
魔となつて、その組付作業に大変手間取ることとなつて
しまう。

また、前・後側コラムカバー部の端部の全周に蛇腹状の
中コラムカバー部が配設される構成であると、外観でめ
だつ中コラムカバー部の上面側がその自重によつて下方
へ落ち込むことととなり、外観を低下させる。そのた
め、中コラムカバー部上面下部に支持部材が必要となつ
て、コラムカバーの構成部品点数を増加させてしまう。

ちなみに、組付作業を容易にするとともに構成部品点数
を低減するため、中コラムカバー部を省き、後側コラム
カバー部の前端部全周に前側コラムカバー部の後端部全
周を被せて、後側コラムカバー部の前端部全周に対して
前側コラムカバー部の後端部全周を摺動させるように構
成することができる。

しかし、この様に構成した場合において、前後方向に移
動しない後側コラムカバー部の前部側面に、半径方向外
方でかつ前方へ突出するイグニツシヨンキーシリンダ用
のキーシリンダカバー部が形成される場合では、前側コ
ラムカバー部の後方への移動時に、前側コラムカバー部
の後端部がキーシリンダカバー部に干渉して、前側コラ
ムカバー部の後方への移動距離が制限され、その結果、
ステアリングホイールの後方への移動調整距離が制限さ
れてしまう。

この考案は、上述の課題を解決するものであり、後側コ
ラムカバー部の前部側面にキーシリンダカバー部が形成
されていても、前側コラムカバー部の後方への移動距離
を充分確保することができるとともに、組み付けが容易
でかつ構成部品点数の増加を抑えて形成できるコラムカ
バーを提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 この考案に係るコラムカバーは、それぞれ筒状とする前
側コラムカバー部と後側コラムカバー部とからなり、前
記前側コラムカバー部が前記後側コラムカバー部に対し
て前後方向に摺動するとともに、前記後側コラムカバー
部の前部側面に半径方向外方でかつ前方へ突出するキー
シリンダカバー部が形成されているコラムカバーであつ
て、 前記後側コラムカバー部が、上下二分割される後側上部
材と後側下部材とからなり、前記キーシリンダカバー部
を除いた前記後側上部材と後側下部材との前端部に、前
後方向に形成される摺動面部を備え、 前記前側コラムカバー部が、上下二分割される前側上部
材と前側下部材とからなり、前記前側上部材と前側下部
材との後端部に、前記摺動面部に対して外周を覆つて摺
動可能なスカート部を備えるとともに、前記キーシリン
ダカバー部前方側の前記前側上部材若しくは前側下部材
の後端部に、前記前側コラムカバー部の後方への移動時
に前記キーシリンダカバー部との干渉を防止する切欠凹
部を備え、 該切欠凹部前方側における前記前側コラムカバー部内周
面側の周縁と、前記後側上部材若しくは後側下部材にお
ける前記キーシリンダカバー部元部付近の前記後側コラ
ムカバー部内周面側の周縁とに、それぞれ前後方向の両
端を嵌合させ、可撓性を有する膜材が配設されているこ
とを特徴とする。

〈考案の作用・効果〉 この考案に係るコラムカバーでは、組付時、ステアリン
グシヤフトに対して、後側下部材・前側下部材・後側上
部材・前側上部材の順で組み付ける。そして、例えば、
膜材の前後端が前側下部材と後側下部材とに嵌合される
場合には、前側下部材をステアリングシヤフトに組み付
けた後に、また、膜材の前後端が前側上部材と後側上部
材とに嵌合される場合には、後側上部材と前側上部材と
をステアリングシヤフトに組み付ける際に、それぞれ膜
材の前後端を所定の嵌合部位に嵌合させれば良い。その
際、膜材が、後側コラムカバー部と前側コラムカバー部
との側面だけに配設されるものであり、従来の前・後側
コラムカバー部の全周に連結される中コラムカバー部と
相違して、容易に組み付けることができる。

そして、組付後では、前側コラムカバー部の後方への移
動時、前側コラムカバー部の後端部に、後側コラムカバ
ー部のキーシリンダカバー部との干渉を防止する切欠凹
部が形成されており、その切欠凹部によつて、キーシリ
ンダカバー部に干渉すること無く前側コラムカバー部が
後方へ移動し、前側コラムカバー部の後方への移動距離
を充分確保することができる。そして、その切欠凹部前
方側における前側コラムカバー部内周面側の周縁と、後
側上部材若しくは後側下部材におけるキーシリンダカバ
ー部元部付近の後側コラムカバー部内周面側の周縁と
に、それぞれ前後方向の両端を嵌合させて可撓性を有す
る膜材が配設されている。そのため、切欠凹部が前側コ
ラムカバー部に形成されていても、前側コラムカバー部
が前後移動する際、切欠凹部を塞いだ状態で膜材が湾曲
状に撓んだり直線状に伸ばされたりして、内部機構の保
護及び目かくしが可能となる。なお、キーシリンダカバ
ー部を除いた部位では、前側コラムカバー部のスカート
部が後側コラムカバー部の摺動面部を覆つていることか
ら、前側コラムカバー部が前後移動しても、このスカー
ト部により、内部機構の保護及び目かくしが可能とな
る。

そしてまた、切欠凹部周縁に配設される膜材は、コラム
カバーの側面の一部に配置されることから、別途支持部
材を配設しなくとも、自重で落ち込んで切欠凹部を開口
させる虞れが無い。そのため、従来の蛇腹状の中コラム
カバー部を使用したコラムカバーのように、別途支持部
材を使用しなくとも良く、コラムカバーの構成部品点数
の増加を極力抑えることができる。

したがつて、この考案に係るコラムカバーは、後側コラ
ムカバー部の前部側面にキーシリンダカバー部が形成さ
れていても、前側コラムカバー部の後方への移動距離を
充分確保することができるとともに、組み付けが容易で
かつ構成部品点数の増加を抑えて形成できる。

〈実施例〉 以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１〜３図に示す実施例のコラムカバー１は、ABS等の
硬質合成樹脂から略四角筒状に形成され、前側コラムカ
バー部２と、前部側面に半径方向外方で前方へ突出する
キーシリンダカバー部４を備えた後側コラムカバー部３
とから構成されている。

後側コラムカバー部３は、上下に二分割される後側上部
材31と後側下部材36とから構成され、これらの後側上部
材31と後側下部材36とには、ねじ９により相互を接合さ
せるため、内周側の所定位置に複数の接合用ボス部31a
・36aがそれぞれ形成されている。また、後側上部材31
と後側下部材36の前端部には、キーシリンダカバー部４
を除いた部位に、コラムカバー１の軸方向と平行な前後
方向に摺動面部32・37が形成されている。この摺動面部
32・37は、全体の端面形状を略四角筒形状としている。

そして、後側下部材36には、第３〜５図に示すように、
後側下部材36をテレスコピツク装置10のハウジング11に
ねじ19止めするため、内周側の所定位置に複数の固定用
ボス部38が形成されている。

さらに、後側下部材36の内周側には、第４図に示すよう
に、キーシリンダカバー部４の元部付近に断面をＬ字形
として上方へ突出する嵌合部39が形成されている。この
嵌合部39は、後述する膜材６の後端の嵌合部6bを嵌合さ
せるものである。

前側コラムカバー部２は、後側コラムカバー部３と同様
に、上下に二分割される前側上部材21と前側下部材26と
から構成され、これらの前側上部材21と前側下部材26と
には、ねじ８により相互を接合させるため、内周側の所
定位置に複数の接合用ボス21a・26aが形成されている。
また、前側上部材21と前側下部材26との後端部には、キ
ーシリンダカバー部４の前方部位を除いて、後側コラム
カバー部３の摺動面部32・37に対して外周を覆つて摺動
可能なスカート部22・27が形成されている。これらのス
カート部22・27の内周側には、摺動面部32・37との摺動
時の円滑化と異音発生防止を図るためにスポンジやフエ
ルト等の弾性緩衝部材７が複数貼着されている（第３図
参照）。

また、前側下部材26には、第３〜５図に示すように、前
側下部材26をテレスコピツク装置10のスライデイングシ
ヤフトチユーブ15に対してブラケツト15aを介してねじ1
8止めするため、内周側の所定位置に複数の固定用ボス
部28が形成されている。

そして、この前側下部材26には、後側コラムカバー部３
のキーシリンダカバー部４前方部位である側壁の上部後
端部に、前側コラムカバー部２の後方への移動時にキー
シリンダカバー部４と干渉しない様に、切欠凹部５が形
成されている。そしてさらに、切欠凹部５の前方側にお
ける内周側周縁には、第４図に示すように、上下方向に
形成される嵌合部29が形成されている。この嵌合部29
は、後述する膜材６の前方側の嵌合部6aを嵌合させるも
のである。

なお、後側上・下部材31・36と前側上・下部材21・26と
には、それぞれ接合用ボス部31a・36a・21a・26aを利用
して接合する際、側壁の相互がアンダカツト止めされて
合致するように、図示しない係合突起や係合凹部がそれ
ぞれ側壁の所定部位に形成されている。

膜材６は、熱可塑性エラストマーからなり、第４図に示
すように、前後両端にPP等の硬質合成樹脂からなる嵌合
部6a・6bが形成されている。これらの嵌合部6a・6bは、
それぞれ前側下部材26の嵌合部29や後側下部材36の嵌合
部39に対して上方から嵌込んだ後に前後方向に抜けない
形状に形成されている。そして、この膜材６は、前側コ
ラムカバー部２が後方へ移動した際、コラムカバー１の
内周側に湾曲して撓む様に、内側に屈曲されて形成され
ている。

また、テレスコピツク装置10について説明すると、この
テレスコピツク装置10は、ステアリングホイール17を装
着させるステアリングシヤフト12が、ステアリングホイ
ール17を固定するスライデイングシヤフト14と、その後
方側のメーンシヤフト13と、スライデイングシヤフト14
に対して相対的に回転可能に固定されてスライデイング
シヤフト14の周囲を覆うスライデイングシヤフトチユー
ブ15と、から構成されている。そして、スライデイング
シヤフト14がメーンシヤフト13に対して前後方向に移動
できるように、スライデイングシヤフト14後端がメーン
シヤフト13前端を覆つてスプライン嵌合されている。そ
して、スライデイングシヤフトチユーブ15が車体に固定
されたハウジング11の内部を挿通しており、ハウジング
11下部に枢着されている操作レバー16を回転させること
により、図示しない把持機構が作動してハウジング11に
対してスライデイングシヤフトチユーブ15が所定位置で
固定されるように構成されている。したがつて、このテ
レスコピツク装置10では、操作レバー16を操作し、スラ
イデイングシヤフトチユーブ15の把持力を緩めた後、ス
テアリングホイール17をスライデイングシヤフト14やス
ライデイングシヤフトチユーブ15とともに前後方向に移
動させて所定位置に配置させ、その後、再び操作レバー
16を操作し、スライデイングシヤフトチユーブ15をハウ
ジング11に対して固定させて使用する。なお、操作レバ
ー16は、第４図に示す前・後側下部材26・36の凹部26b
・36bから下方へ突出するように配設されている。

つぎに、実施例のコラムカバー１の組み付けについて説
明すると、まず、固定用ボス部38を利用して後側下部材
36をハウジング11にねじ19止めする。その後、固定用ボ
ス部28を利用して前側下部材26をスライデイングシヤフ
トチユーブ15に固定されたブラケツト15aにねじ18止め
する。

そして、後側下部材36と前側下部材26に対して、それぞ
れの嵌合部39・29に嵌合部6b・6aを上方から嵌合させて
膜材６を配設する。

その後、接合用ボス部31a・36aを利用して後側上部材31
を後側下部材36にねじ９止めし、さらに、接合用ボス部
21a・26aを利用して前側上部材21を前側下部材26にねじ
８止めすれば、コラムカバー１をステアリングシヤフト
12に対して組み付けることができる（第５図参照）。

そして、実施例のコラムカバー１の組み付けでは、構成
部品として膜材６を備えていても、膜材６が後側コラム
カバー部３と前側コラムカバー部２との側面だけに配設
されるものであり、組付途中で嵌合部6a・6bを上方から
所定の嵌合部29・39に嵌合させるだけで配設させること
ができることから、容易に組み付けることができる。

また、組み付けた膜材６は、コラムカバー１の側面の一
部に配置されることから、別途支持部材を配設しなくと
も、自重で落ち込んで切欠凹部５を開口させる虞れが無
い。そのため、従来の蛇腹状の中コラムカバー部を使用
したコラムカバーのように、別途支持部材を使用しなく
とも良く、コラムカバー１の構成部品点数の増加を極力
抑えることができる。

さらに、組付後では、テレスコピツク装置10の操作レバ
ー16を操作して、スライデイングシヤフトチユーブ15の
後方移動に伴なつて前側コラムカバー部２が後方へ移動
する際、前側下部材26の後端部に後側コラムカバー部３
のキーシリンダカバー部４との干渉を防止する切欠凹部
５が形成されており、その切欠凹部５によつて、キーシ
リンダカバー部４に干渉すること無く前側コラムカバー
部２が後方へ移動する（第２・４図参照）。そのため、
前側コラムカバー部２の後方への移動距離を充分確保す
ることができ、その結果、ステアリングホイール17の後
方への移動調整距離を長くすることができる。

また、実施例のコラムカバー１では、切欠凹部５の前方
側における前側下部材26の嵌合部29と、後側下部材36に
おける嵌合部39とに、両端の嵌合部6a・6bを嵌合させて
可撓性を有する膜材６が配設されており、切欠凹部５が
前側コラムカバー部２に形成されていても、前側コラム
カバー部２が後方へ移動する際、第２・４図に示すよう
に、切欠凹部５を塞いだ状態で膜材６が内側へ湾曲して
撓み、内部機構の保護及び目かくしが可能となる。そし
て勿論、キーシリンダカバー部４を除いた部位では、前
側コラムカバー部２のスカート部22・27が後側コラムカ
バー部３の摺動面部32・37を覆つていることから、前側
コラムカバー部２が移動しても、スカート部22・27によ
り、内部機構の保護及び目かくしが可能となる。

なお、実施例のコラムカバー１では、切欠凹部５を前側
下部材26に設け、膜材６の両端を前側下部材26と後側下
部材36とに嵌合させて配設するものを示したが、勿論、
キーシリンダカバー部４の配置位置に対応させれば、切
欠凹部５を前側上部材21や両方の前側上・下部材21・26
に設けたり、膜材６の前後両端を、前側上部材21と後側
上部材31とに嵌合させたり、あるいは、それぞれ両方の
前側上・下部材21・26と後側上・下部材31・36とに嵌合
させても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示すコラムカバーの斜
視図、 第２図は、同実施例のコラムカバーの前側コラムカバー
部を後方へ移動させた状態を示す斜視図、 第３図は、同実施例の縦断面図、 第４図は、同実施例の前側・後側下部材に膜材を組み付
けた状態を示す平面図、 第５図は、同実施例をステアリングシヤフトに組み付け
た状態を示す縦断面図である。 １…コラムカバー、２…前側コラムカバー部、３…後側
コラムカバー部、４…キーシリンダカバー部、５…切欠
凹部、６…膜材、21…前側上部材、22・27…スカート
部、26…前側下部材、31…後側上部材、32・37…摺動面
部、36…後側下部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ筒状とする前側コラムカバー部と
   後側コラムカバー部とからなり、前記前側コラムカバー
   部が前記後側コラムカバー部に対して前後方向に摺動す
   るとともに、前記後側コラムカバー部の前部側面に半径
   方向外方でかつ前方へ突出するキーシリンダカバー部が
   形成されているコラムカバーであつて、 前記後側コラムカバー部が、上下二分割される後側上部
   材と後側下部材とからなり、前記キーシリンダカバー部
   を除いた前記後側上部材と後側下部材との前端部に、前
   後方向に形成される摺動面部を備え、 前記前側コラムカバー部が、上下二分割される前側上部
   材と前側下部材とからなり、前記前側上部材と前側下部
   材との後端部に、前記摺動面部に対して外周を覆つて摺
   動可能なスカート部を備えるとともに、前記キーシリン
   ダカバー部前方側の前記前側上部材若しくは前側下部材
   の後端部に、前記前側コラムカバー部の後方への移動時
   に前記キーシリンダカバー部との干渉を防止する切欠凹
   部を備え、 該切欠凹部前方側における前記前側コラムカバー部内周
   面側の周縁と、前記後側上部材若しくは後側下部材にお
   ける前記キーシリンダカバー部元部付近の前記後側コラ
   ムカバー部内周面側の周縁とに、それぞれ前後方向の両
   端を嵌合させ、可撓性を有する膜材が配設されているこ
   とを特徴とするコラムカバー。