JPH07270599A - 放射線画像変換パネル - Google Patents

放射線画像変換パネル

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JPH07270599A
JPH07270599A JP5879594A JP5879594A JPH07270599A JP H07270599 A JPH07270599 A JP H07270599A JP 5879594 A JP5879594 A JP 5879594A JP 5879594 A JP5879594 A JP 5879594A JP H07270599 A JPH07270599 A JP H07270599A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は放射線画像変換パネルに関し、保護
層が厚くても鮮鋭性,コントラスト分解能共に良好な画
像が得られる放射線画像変換パネルを提供することを目
的としている。 【構成】 支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの順に
配置する放射線画像変換パネルにおいて、前記保護層の
少なくとも一方の面に、励起光の保護層への入射角が2
5゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が得られる反射
防止膜を設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射線画像変換パネルに
関し、更に詳しくは医療用診断に用いる放線写真システ
ムに用いられる放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体
に吸収せしめて放射線画像情報を記録し、しかる後、こ
れをレーザ光等で走査して励起し発光した光を光検出器
で読み取り、この読み取った放射線画像情報で光ビーム
を変調して写真フィルム等の記録媒体に放射線画像を記
録する放射線写真システムが知られている。
【0003】図14はこの種のシステムの構成概念図で
ある。図において、1は放射線発生装置、2は被写体、
3は放射線画像変換パネル、4は励起光源、5はフィル
タ、6は光電変換装置、7は放射線画像再生装置、8は
放射線画像表示装置である。
【0004】放射線発生装置1から被写体2に放射線R
を照射すると、この被写体2を透過した放射線RIが放
射線画像変換パネル3に入射する。この入射した放射線
は放射線画像変換パネル3の輝尽性蛍光体層に吸収さ
れ、そのエネルギーが蓄積され、放射線透過像の蓄積像
が形成される。
【0005】次に、この蓄積像を輝尽励起光源4からの
励起光で励起して輝尽発光として放出せしめる。放射さ
れる輝尽発光の強弱は、蓄積された放射線エネルギー量
に比例する。この光信号はフィルタ5に入り、輝尽発光
光のみ透過せられ、光電子増倍管等の光電変換装置6に
入射される。そして、該光電変換装置6は入射した光信
号を光電変換し、放射線画像再生装置7によって画像と
して再生し、放射線画像表示装置8に表示させる。これ
により、被写体2の放射線透過像を観察することができ
る。
【0006】この輝尽性蛍光体を用いる放射線写真シス
テムは、従来の銀塩写真による放射線写真システムと比
較して、広い放射線露光域にわたって画像を記録するこ
とができるという点で、非常に利用価値が高い。特に、
人体を対象とするX線写真システムとして有効である。
この放射線写真システムに用いられる放射線画像変換パ
ネルとしては、以下のようなものが知られている。
【0007】(1)従来例1(特開平1−131498
号公報) 輝尽性蛍光体層と保護層との間に低屈折率層(特に気体
層)を設けたもの。保護層を厚くしても鮮鋭性の低下が
起こらない。そのために、鮮鋭性を低下させることなし
に耐湿性に優れた放射線画像変換パネルを提供すること
ができる。
【0008】(2)従来例2(特公平5−62719号
公報) 放射線画像変換パネルの表面に400〜900nmの範
囲にある励起光に対する反射防止膜を設けたもの。特
に、励起光波長の1/4の奇数倍に相当する光学的膜厚
を有する励起光反射防止膜が優れている。
【0009】(3)従来例3(特公平5−51218号
公報) 励起光光路に励起光に対する反射率がその入射角の増大
に応じて増大する一方、輝尽発光を入射角によらずに良
好に透過させる多膜層フィルタを設けたもの。
【0010】(4)従来例4(特開平4−70740号
公報) 放射線画像変換パネルの保護層に反射防止膜を設けたも
の。励起光の波長が輝尽発光光の波長の約2倍になって
いると、単層反射防止膜で両方の光の透過効率を向上さ
せることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例は、それぞ
れ以下のような問題をもっている。 (1)従来例1 鮮鋭性の低下は防げるが、実施例に示した1cycle
/mm〜2cycle/mmよりもずっと低い低周波成
分(例えば0.01cycle/mm〜0.1cycl
e/mm)のコントラストの低下が起きる。保護層に反
射防止膜を設けると、鮮鋭性と感度が向上するが、より
低周波成分のコントラストの低下に対しては考慮されて
いない。
【0012】(2)従来例2 励起光の入射角による反射防止効果の変化については記
述されていないが、明細書に書かれているように、励起
光波長の1/4の奇数倍に相当する光学的膜厚を有する
励起光反射防止膜を設けた場合、保護層に対する励起光
の入射角が0゜、即ち垂直に入射した時に最大の反射防
止効果が得られる。しかしながら、低周波数成分のコン
トラスト低下に対しては十分な効果が得られない。
【0013】(3)従来例3 励起光に対する反射率の入射角の違いによる変化に着目
し、入射角の増大に伴って反射率が増大するような構成
にしている。しかしながら、励起光利用効率は上がって
発光輝度は増したが、鮮鋭性や低周波数成分のコントラ
ストが低下してしまう。
【0014】(4)従来例4 励起光と輝尽発光光の透過効率の向上に関する記述はあ
るが、輝尽性蛍光体で散乱された励起光が輝尽性蛍光体
に再入射することによる画質の低下に関しては言及され
ていない。また、反射防止効果の入射角依存性関しては
何等示唆されていない。
【0015】本発明はこのような課題に鑑みてなされた
ものであって、保護層が厚くても鮮鋭性,コントラスト
分解能共に良好な画像が得られる放射線画像変換パネル
を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
本発明は、支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの順に
配置する放射線画像変換パネルにおいて、前記保護層の
少なくとも一方の面に、励起光の保護層への入射角が2
5゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が得られる反射
防止膜を設けたことを特徴としている。
【0017】
【作用】低周波数成分のコントラストの低下は、輝尽性
蛍光体表面で散乱された励起光が保護層で反射されて輝
尽性蛍光体に再入射することに起因することが分かっ
た。特に、保護層と輝尽性蛍光体層の間に設けた層が厚
い場合、及び/又は保護層が厚い場合には、再入射励起
光が最初の入射点から遠いところに到達してしまうの
で、コントラストの低下が著しいことも分かった。
【0018】そこで、輝尽性蛍光体層表面で散乱(拡
散)された励起光が輝尽性蛍光体層に再入射されにくい
ように、保護層の少なくとも一方の面に励起光の保護層
への入射角が25゜〜65゜の時に最大の反射防止効果
が得られる反射防止膜を設けるようにした。完全拡散光
は、入射角θ=45゜近辺の方向に散乱される光の割合
が最も多いので(詳細後述)、θ=45゜近辺をカバー
する25゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が高くな
るようにすれば、この入射角近辺の反射励起光が少なく
なり、輝尽性蛍光体層に再入射する割合が大幅に減少す
る。これにより、保護層が厚くても鮮鋭性,コントラス
ト分解能共に良好な画像を得ることができる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図で、
放射線画像変換パネルの断面を示したものである。図に
おいて、10は支持体、11は該支持体10の表面に形
成された輝尽性蛍光体層、14は輝尽性蛍光体層11を
保護する保護層、12は輝尽性蛍光体層11と保護層1
4との間に設けられた低屈折率層、13は保護層14の
一方の面に設けられた反射防止膜である。13が本発明
に係わる反射防止膜で、励起光の保護層への入射角が2
5゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が得られるよう
な特性をもっている。図では、反射防止膜3を保護層1
4の一方の面(実施例では下の面)に設けた場合を示し
ているが、本発明はこれに限るものではなく、上の面に
設けてもよい。また、保護層14の両面に設けてもよ
い。両面に設けると反射防止効果はいっそう高くなる。
【0020】なお、図において、15は保護層14に入
射する励起光、16は輝尽性蛍光体層11表面で反射し
た散乱光、θは法線に対する角度で入射角である。17
は反射防止膜13で反射して輝尽性蛍光体層11に再入
射する再入射光である。本発明によれば、この再入射光
17は反射防止膜13のために大幅に減少する。従っ
て、散乱励起光の輝尽性蛍光体層11への再入射による
低周波数域におけるコントラストの低下は大幅に低減す
る。
【0021】次に、各構成要素について詳しく説明す
る。保護層14としては、透光性がよく、シート状に形
成できるものを用いることができる。例えば、石英,硼
珪酸ガラス,化学的強化ガラス等の板ガラスや、PE
T,OPP,ポリ塩化ビニル等の有機高分子が用いられ
る。保護層14は、単一層であってもよいし、多層でも
よく、材質の異なる2種類以上の層からなっていてもよ
い。例えば、2層以上の有機高分子膜を複合したフィル
ムを用いることができる。このような複合高分子フィル
ムの製法としては、ドライラミネート,押し出しラミネ
ート又は共押し出しコーティングラミネート等の方法が
ある。2層以上の保護層の組み合わせとしては、有機高
分子同士に限られるものではなく、板ガラス同士や板ガ
ラスと有機高分子層等が挙げられる。
【0022】板ガラスと高分子層とを組み合わせる方法
としては、保護層用塗布液を板ガラス上に直に塗布して
形成するか、或いは予め別途形成した高分子保護層を板
ガラス上に接着する方法がある。なお、2層以上の保護
層は、互いに密着状態にあってもよいし、離れていても
よい。
【0023】保護層14の厚さは実用上は、10μm〜
3mm程度である。良好な耐湿性と耐衝撃性を得るため
には、保護層の厚さは100μm以上が好ましく、特に
500μm以上の保護層を設けた場合、耐久性,耐用性
に優れた変換パネルが得られてより好ましい。但し、保
護層が厚すぎると蛍光体層と集光系との距離が大きくな
って集光効率が低下するので2mm以下が好ましい。ま
た、保護層14として板ガラスを用いた場合には、極め
て耐湿性に優れており特に好ましい。
【0024】保護層14は、励起光及び輝尽発光を効率
よく透過するために、広い波長範囲で高い透過率を示す
ことが望ましく、透過率は80%以上が好ましい。例え
ば、石英ガラス,硼珪酸ガラス等が用いられる。硼珪酸
ガラスは、330nm〜2.6μmの波長範囲で80%
以上の透過率を示し、石英ガラスでは更に短波長におい
ても高い透過率を示す。
【0025】低屈折率層12は、保護層14よりも屈折
率の低い材質からなる。低屈折率層12は必ずしもなく
てもかまわないが、この層が存在することにより、保護
層14を厚くしても鮮鋭性の低下を小さくすることがで
きる。例えば、図2に示す物質を用いることができ、気
相堆積法で形成された薄膜の状態で用いるのが好まし
い。或いは図3に示す液体層を用いることもできる。ま
た、低屈折率層12として、空気,窒素,アルゴン等の
気体層や、真空層等、屈折率が実質的に1である層を用
いると、鮮鋭性の低下を防止する効果が特に高くなる。
また、低屈折率層12の厚さは0.05μm〜3mmま
でが実用的である。
【0026】この低屈折率層12は、輝尽性蛍光体層1
1と密着状態にあってもよいし、離れていてもよい。低
屈折率層12と輝尽性蛍光体層11を密着させるために
は、接着剤を用いるのが一つの方法であるが、その場
合、接着剤の屈折率は輝尽性蛍光体層11の屈折率又は
低屈折率層12の屈折率に近いことが好ましい。低屈折
率層12として、気体層や真空層を設ける場合には、例
えば図4に示すように変換パネルの側縁部にスペーサ1
5を設けて、一定の厚みを持たせる方法がある。また、
図5に示すように、保護層14と輝尽性蛍光体層11の
間にスペーサ材16を散布することにより、気体層又は
真空層を設けてもよい。スペーサ材16としては、例え
ば液晶パネルのスペーサ材として用いられている直径数
μmの微細グラスファイバ片を用いることができる。
【0027】次に、放射線画像変換パネルに用いられる
輝尽性蛍光体は、最初の光又は高エネルギー放射線が照
射された後に、光的、熱的、機械的、化学的又は電気的
等の刺激(輝尽励起)により、最初の光又は高エネルギ
ー放射線の照射量に対応した輝尽発光を示す蛍光体であ
るが、実用的な面からは、波長が500nm以上の輝尽
励起光によって輝尽発光を示す蛍光体が好ましい。
【0028】輝尽性蛍光体としては、以下のものが挙げ
られる。 (1)特開昭48−80487号公報に記載のBaSO
4 :Ax で表される蛍光体 (2)特開昭48−80489号公報に記載のSrSO
4 :Ax で表される蛍光体 (3)特開昭53−39277号公報に記載のLi2
4 7 :Cu,Ag等の蛍光体 (4)特開昭54−47883号公報に記載のLi2
・(B2 2 )x :Cu、Li2 O・(B2 2 )x :
Cu,Ag等の蛍光体 (5)米国特許第3859527号明細書に記載のSr
S:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、La2 2 S:
Eu,(Zn,Cd)S:Mn,Xで表される蛍光体 (6)特開昭55−12142号公報に記載のZnS:
Cu,Pb等の蛍光体 (7)同55−12142号公報に記載のBaO・xA
2 3 :Euで表される蛍光体 (8)同55−12142号公報に記載のMIIO・xS
iO2 :Aで表される蛍光体 (9)特開昭55−12143号公報に記載の(Ba
1-x-y Mgx Cay )FX:eEu2+で表される蛍光体 (10)特開昭55−12144号公報に記載のLnO
X:xAで表される蛍光体 (11)特開昭55−12145号公報に記載の(Ba
II x )FX:yAで表される蛍光体 (12)特開昭55−84389号公報に記載のBaF
X:xCe,yAで表される蛍光体 (13)特開昭55−160078号公報に記載のMII
FX・xA:yLnで表される希土類元素付活2価金属
フルオロハライド蛍光体 (14)同55−160078号公報に記載のZnS:
A、(Zn,Cd)S:A、CdS:A、ZnS:A、
X、CdS:A、Xで表される蛍光体 (15)特開昭59−38278号公報に記載のxM3
(PO4 2 ・NX2・:yA、M3 (PO4 2 ・y
Aで表される蛍光体 (16)特開昭59−155487号公報に記載の nReX3 ・mAX’2 :xEu nReX3 ・mAX’2 :xEu,ySm で表される蛍光体 (17)特開昭61−72087号公報に記載の MI X・aMIIX’2 ・bMIII X’’3 :cA で表されるアルカリハライド蛍光体 (18)特開昭61−228400号公報に記載のMI
X:xBiで表されるビスマス付活アルカリハライド蛍
光体 以上の中でも、特にアルカリハライド蛍光体は、真空蒸
着法、スパッタリング法等によって輝尽性蛍光体層を形
成するのが容易である点で好ましい。但し、本発明にお
いては、以上の蛍光体に限定されず、放射線を照射した
後、輝尽励起光を照射した時に、輝尽発光を示す蛍光体
であればその他の蛍光体を用いてもよい。
【0029】次に、支持体10の材料及びその構成につ
いて説明する。支持体10としては各種高分子材料,ガ
ラス,セラミックス,金属等が用いられる。高分子材料
としては、例えばセルロースアセテートフィルム,ポリ
エステルフィルム,ポリエチレンテレフタレート,ポリ
アミド,ポリイミド,トリアセテート,ポリカーボネー
ト等のフィルムが用いられる。金属としては、アルミニ
ウム,鉄,銅,クロム等の金属シート又は金属板或いは
該金属酸化物の被覆層を有する金属シート又は金属板が
用いられる。ガラスとしては、化学的強化ガラスや結晶
化ガラス等が用いられる。また、セラミックスとしては
アルミナやジルコニアの焼結板等が用いられる。
【0030】また、これら支持体の層厚は用いる支持体
の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜20
00μmであり、取扱い上の点から、更に好ましくは8
0μm〜1000μmである。これら支持体の表面は滑
面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上
させる目的でマット面としてもよい。また、支持体の表
面は凹凸面としてもよいし、個々に独立した微小タイル
状板を密に配置した表面構造としてもよい。
【0031】更に、これら支持体上には、輝尽性蛍光体
層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設け
られる面に下引層を設けてもよいし、必要に応じて光反
射層,光吸収層等を設けてもよい。
【0032】本発明の放射線画像変換パネルは、よりい
っそうの耐湿性を得るためには、保護層と支持体の側縁
部を封止することが望ましい。封止の方法としては例え
ばガラス融着や接着剤を用いる方法が挙げられる。接着
剤としては、例えばエポキシ樹脂系接着剤等が挙げられ
る。接着剤は透湿度の低いものを選んで用いるとよい。
【0033】また、特開昭61−220492号に開示
されているように支持体と輝尽性蛍光体層からなる放射
線画像変換パネル原体を高分子フィルムよりなる保護袋
中に収納し、側縁部をシールしてもよい。この場合、低
屈折率層は予め輝尽性蛍光体層の表面に形成しておいて
もよいし、保護袋の輝尽性蛍光体層に対峙する表面に形
成しておいてもよい。或いは保護層と輝尽性蛍光体層と
の間に気体層や真空層を設けることにより、低屈折率層
を形成してもよい。
【0034】保護袋のシール方法としては、ヒートシー
ル法,高周波シール法,超音波シール法等が好ましい
が、接着剤を塗布した後、圧着若しくは熱圧着する方法
を用いてもよい。
【0035】本発明の放射線画像変換パネルにおいて、
保護層は支持体の役割を兼ねることもできる。その場合
には、本発明でいう支持体は実質的に輝尽性蛍光体層を
支持する能力を有しなくてもよい。
【0036】次に、反射防止膜13の材料,その形成方
法について説明する。反射防止膜としては、MgF2
CaF2 等の無機弗化物や、Al2 3 ,ZrO2 ,T
iO 2 ,SiO,SiO2 等の無機酸化物を用いること
ができる。これらの無機化合物は、真空蒸着,スパッタ
リング等の気相堆積法によって保護層表面に形成するこ
とができる。
【0037】また、反射防止膜としてフッ素樹脂等の有
機化合物を用いることもできる。特に、アモルファスフ
ッ素樹脂は、透明性が高くて好ましい。これらの有機化
合物は溶媒に溶かして、スピンコート法,ディップコー
ト法(浸漬引き上げ法),ポッティング法(滴下法),
スプレー法(散布法)等の方法によって保護層14の表
面に塗膜を形成した後に、溶媒を乾燥させて反射防止膜
とすることができる。
【0038】気相堆積法では、保護層14に有機高分子
を用いた場合に、真空到達に時間がかかる、大面積の保
護層の両面に反射防止膜13を設ける場合には、片面ず
つ2バッチの工程を行なうか自動的に保護層14の表裏
を反転するための大がかりな装置が必要となる等、作業
時間やコストの面で大量生産に向かない。その点、有機
化合物からなる反射防止膜13は、真空引き工程を必要
としない上記方法によって短時間で容易に形成すること
ができ、コストも低減できて好ましい。ディップコート
法を用いれば、一度の引き上げで保護層14の両面に塗
膜を形成することができるので、特に好ましい。
【0039】なお、反射防止膜13は、保護層14のど
ちらか一方だけに設けてもよいし、両面に設けてもよい
が、特に両面に設けた場合には、反射防止効果が大きい
ので好ましい。
【0040】次に、輝尽性蛍光体層で11で拡散された
励起光(完全拡散光)は、保護層14への入射角θが4
5゜の方向に散乱される割合が最も多いことを以下に証
明する。本発明者は、輝尽性蛍光体層表面での励起光の
散乱は、励起光の入射角によらずほぼ完全拡散光である
ことを見いだした。図6は完全拡散光の説明図である。
図に示すように、反射面Rから垂直に反射した光の強さ
をIoとすると、垂線に対して角度θで反射した光の強
さは(光束密度)Iは、 I=Io・cosθ (1) で表される。つまり、反射した光の強さが図の円周上に
沿って軌跡を描くような拡散光を完全拡散光という。図
の円周上に沿って軌跡を描く場合、その光の強さは全て
Io・cosθで表されるからである。
【0041】図7は光束算出の説明図である。図に示す
ように、角度(θ,φ)方向のdθ,dφの範囲の微小
面積(斜線部)に散乱される光束dΦは、 dΦ(θ,φ)=Io・sinθ・cosθ・dθ・dφ =(1/2)Io・sin2θ・dθ・dφ (2) で与えられる。角度θ方向のdθの範囲に散乱される光
束Φ(θ)は、dΦ(θ,φ)をφ方向について積分す
ることにより求められる。即ち、
【0042】
【数1】
【0043】(3)式より明らかなように、Φ(θ)は
sin2θに比例する。従って、図8のように、θ=4
5゜付近の出射角の散乱光が最も多いことになる。輝尽
性蛍光体層と保護層は略平行であるから、励起光の蛍光
体層からの出射角と保護層への入射角は略等しい。そこ
で、θ=45゜付近の入射光に対する反射率を小さくす
ることが低周波成分のコントラスト低下を軽減する最も
有効な方法であることが分かる。
【0044】前記した従来例2のように、保護層に励起
光の波長の1/4の奇数倍に相当する光学的膜厚を有す
る反射防止膜を設けた場合、垂直入射(θ=0゜)の時
に反射防止効果が最大になるが、入射角の増大に伴って
反射防止効果が減少し、θ=45゜付近の比較的大きな
入射角の光に対しては殆ど効果が無くなってしまうの
で、低周波数成分のコントラストを低減できなかった。
【0045】一方、前記した従来例3のように、励起光
の入射角の増大に応じて反射率が大きくなるような多層
膜を設けた場合、θ=45゜付近の反射率が多層膜がな
い時より大きくなってしまうので、却って低周波数成分
のコントラスト低下を助長してしまっていた。
【0046】全ての入射角に対して均一の反射防止効果
を持たせることは不可能であるから、本発明のように励
起光の保護層への入射角が45゜付近である25゜〜6
5゜の時に、最大の反射防止効果を持つような反射防止
膜を設けるのが現実的であり、効果的な手段である。
【0047】ここでいう反射防止効果E(θ)は、反射
防止膜を設けない時の反射率をR(θ)、反射防止膜を
設けた時の反射率をRAR(θ)とすると、 E(θ)=R(θ)/RAR(θ) (4) で定義される。反射防止膜を設けた時の方が反射率が小
さいのは明らかなので、RAR(θ)<R(θ)となり、
E(θ)>1である。しかも、E(θ)の数値が大きい
程効果が大きい。
【0048】入射角θが25゜〜65゜の時に最大の反
射防止効果を持つとは、E(θ)の最大値を与えるθ
(以下θmaxという)が25゜〜65゜の範囲にある
ことを意味する。E(θ)は、θの変化に伴って連続的
に変化するので、θmaxは正確に45゜でなくてもこ
の付近にあれば効果があるが、45゜に近いことが好ま
しく、35゜〜55゜の範囲にある時に特に好ましい。
【0049】このような反射防止効果の角度依存性を実
現するためには、励起光の波長の1/4の奇数倍と励起
光の波長の1/8の和 k・(λ/4)+(λ/8) k=1,3,5,
…,λは励起光の波長 に相当する光学的膜厚を有する反射防止膜13を用いる
ことが好ましい。ここで、k・λ/4だけだと、入射角
0゜近辺で最大の反射防止効果となるので、入射角を0
゜から45゜付近にずらすためにλ/8を加えている。
より具体的には、励起光の波長の0.30〜0.40倍
に相当する光学的膜厚(k=1の場合)、励起光の波長
の0.8〜0.90倍に相当する光学的膜厚(k=2の
場合)、励起光の波長の1.35〜1.50倍に相当す
る光学的膜厚(k=3の場合)を有する反射防止膜13
を設けるとよい。ここでいう光学的膜厚とは、反射防止
層を構成する物質の屈折率をn、反射防止層の物理的厚
さをdとした時、nとdの積である。
【0050】本発明の反射防止膜13は、単層膜でも多
層膜でもよいが、入射角の変化に対する反射防止効果の
変化がより緩やかであることが好ましく、その観点で単
層膜の方がより好ましい。更に、輝尽発光光は、垂直方
向に集光するのが集光効率が高いので、上記励起光に対
する反射防止効果に加えて、輝尽発光光の保護層14へ
の入射角が0゜〜25゜の時に輝尽発光光に対する最大
の反射防止効果が得られるような反射防止膜を設けると
いっそう好ましい。即ち、励起光に対しては、最大の反
射防止効果が得られる入射角が45゜付近に、輝尽発光
光に対しては最大の反射防止効果が得られる入射角が0
゜付近にと、異なる角度範囲に設定するとよいのであ
る。このとき、図15に示すように集光体20の集光面
21が放射線画像変換パネル30と略平行になるように
(垂直方向の発光光を効率よく集光できるように)設置
すると好ましい。また、1次励起光の放射線画像変換パ
ネルへの入射角が25゜〜65゜になるように構成する
と、励起光が効率よく蛍光体層に到達し、感度が向上す
る効果もあって更に好ましい。
【0051】次に、本発明の評価方法について説明す
る。本発明の放射線画像変換パネルを図14の放射線写
真システム(励起光波長780nm)に取り付け、厚さ
3mmの円形鉛板を被写体としてX線を照射し、放射線
画像情報を得た。図9は本発明の評価方法の説明図であ
る。(a)は放射線画像変換パネルの断面構成を、
(b)は潜像強度を、(c)は出力信号値をそれぞれ示
している。
【0052】(a)において、14は屈折率n2 の保護
層、12は屈折率n1 の空気層、11は輝尽性蛍光体層
である。L(太い実線)は励起光であり、保護層14,
空気層12を介して輝尽性蛍光体層11を励起する。輝
尽性蛍光体層11からは、励起光による輝尽発光光と共
に、その表面で反射した励起光が出射される。(b)に
おいて、縦軸はX線エネルギーによる潜像強度、横軸は
放射線画像変換パネルの位置である。(c)において、
縦軸は励起光の出力信号値、横軸は放射線画像変換パネ
ルの位置である。
【0053】厚さ3mmの円形鉛板を被写体としてX線
を照射した時の励起光の散乱状態と画像に与える影響を
図9を用いて説明する。(b)より明らかなように、厚
さ3mmの鉛板位置での潜像強度は殆ど0である。一
方、(a)において、光走査手段(図示せず)によって
入力された励起光(1次励起光)Lの一部は、輝尽性蛍
光体層11の表面で保護層14側に散乱され、保護層1
4の表面で反射されて輝尽性蛍光体層11に再入射する
((a)の細線の矢印。これを2次励起光という)。
【0054】今、鉛板の中央に相当する位置(点O)に
1次励起光が入射されたとする。点Oから保護層14側
に散乱された光は例えば点Pに再入射し、点Pでの輝尽
発光を引き起こす。本来は、点Oでの潜像強度は0であ
るが、点Oに励起光を照射した時に、点Pで起こった輝
尽発光も検出してしまう。従って、(c)に示すように
点Oでの出力信号値はあたかも潜像があったかのように
SLという値になってしまう(図のゲタ分)。このよう
に、本来情報を得るべき位置以外の潜像情報が重畳する
ことをグレアと呼び、出力信号値の最大値をSHとした
時に、SL/SHをグレア含有率Gと定義する(Gが小
さい程画質がよい)。また、SH/SLをコントラスト
Cと定義する(Cが大きい程画質がよい)。以上より G=SL/SH (5) C=SH/SL (6) 前記評価方法に従った比較例と実施例の比較を以下に示
す。
【0055】(比較例1)1mm厚の結晶化ガラス支持
体に、蒸着装置でアルカリハライド蛍光体(RbBr;
0.0006TI)を300μm蒸着して、輝尽性蛍光
体層を形成したもの(基準とする) (比較例2)1mm厚の結晶化ガラス支持体に、蒸着装
置でアルカリハライド蛍光体(RbBr;0.0006
TI)を300μm蒸着して、輝尽性蛍光体層を形成し
た。次いで輝尽性蛍光体層上に1.1mm厚の硼珪酸ガ
ラス(屈折率1.47)を保護層として設けた。この
時、支持体と保護層の間に厚さ2mmのスペーサを設
け、保護層と輝尽性蛍光体層の間に厚さ1.7mmの空
気層(低屈折率層)を設けた。なお、保護層とスペー
サ,スペーサと支持体及びスペーサの外側で支持体と保
護層に挟まれた空間はエポキシ樹脂によって接着及び封
止した。
【0056】(比較例3)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の0.75倍(3/4倍)に相当する光
学的厚さのMgF2 (屈折率1.38)からなる単層反
射防止膜(物理的厚さ424nm)を真空蒸着法で設け
たもの。それ以外は比較例2と同じである。
【0057】(比較例4)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の1.25倍(5/4倍)に相当する光
学的厚さのMgF2 (屈折率1.38)からなる単層反
射防止膜(物理的厚さ707nm)を真空蒸着法で設け
たもの。それ以外は比較例2と同じである。
【0058】(比較例5)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の1.75倍(7/4倍)に相当する光
学的厚さのMgF2 (屈折率1.38)からなる単層反
射防止膜(物理的厚さ989nm)を真空蒸着法で設け
たもの。それ以外は比較例2と同じである。
【0059】(比較例6)保護層の両面に無機化合物の
多層膜からなる反射防止膜を真空蒸着法で設けたもの。
それ以外は比較例2と同じである。
【0060】(比較例7)保護層の両面に励起光の入射
角の増大に伴って反射率が増大するような、無機化合物
の多層膜からなる反射膜を真空蒸着法で設けたもの。そ
れ以外は比較例2と同じである。
【0061】(比較例8)1.1mm厚の硼珪酸ガラス
支持体上にBaBr2 :Eu2 +をアクリル樹脂に分散
させ、ドクターブレードで厚さ300μmに塗布して輝
尽性蛍光体層を形成した。
【0062】(比較例9)1.1mm厚の硼珪酸ガラス
(屈折率1.47)保護層上にBaBr2 :Eu 2 +
アクリル樹脂に分散させ、ドクターブレードで厚さ30
0μmに塗布して輝尽性蛍光体層を形成した。輝尽性蛍
光体層の保護層とは反対側の面に1.1mm厚の硼珪酸
ガラス支持体を接着剤で密着するとともに、輝尽性蛍光
体層を取り囲むように支持体と保護層の間に厚さ300
μmのスペーサを設け、保護層とスペーサ,スペーサと
支持体との間をエポキシ樹脂で封止し、図16に示すよ
うな構成の放射線画像変換パネルを作成した。図におい
て、44は支持体、42は輝尽性蛍光体層、43は該輝
尽性蛍光体層42の両側に取り付けられたスペーサ、4
1は輝尽性蛍光体層42の上部に形成された保護層、4
0は該保護層41の上部に形成された反射防止膜であ
る。
【0063】(比較例10)保護層の蛍光体層と反対側
の面に励起光波長(780nm)の0.75倍(3/4
倍)に相当する光学的厚さのMgF2 (屈折率1.3
8)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ424nm)
を真空蒸着法で設けたもの。それ以外は比較例9と同じ
である。
【0064】(比較例11)保護層の蛍光体層と反対側
の面に励起光波長(780nm)の1.25倍(5/4
倍)に相当する光学的厚さのMgF2 (屈折率1.3
8)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ707nm)
を真空蒸着法で設けたもの。それ以外は比較例9と同じ
である。
【0065】(比較例12)保護層の蛍光体層と反対側
の面に励起光波長(780nm)の1.75倍(7/4
倍)に相当する光学的厚さのMgF2 (屈折率1.3
8)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ989nm)
を真空蒸着法で設けたもの。それ以外は比較例9と同じ
である。
【0066】(比較例13)保護層の蛍光体層と反対側
の面に無機化合物の多層膜からなる反射防止膜を真空蒸
着法で設けたもの。それ以外は比較例9と同じである。
【0067】(比較例14)保護層の蛍光体層と反対側
の面に励起光の入射角の増大に伴って反射率が増大する
ような、無機化合物の多層膜からなる反射膜を真空蒸着
法で設けたもの。それ以外は比較例9と同じである。
【0068】上記比較例3〜7,10〜14の反射防止
膜の反射防止効果E(θ)の励起光の保護層への入射角
θに対する変化を図10に示す。反射防止効果は、θ=
0゜で最大、即ち励起光波長780nmでのθmaxは
0゜となった。なお、比較例7と14は反射防止膜では
なく反射膜を設けたため、反射防止効果E(θ)は1以
下になっており、入射角の増大に伴って減少している。
比較例6と13は、多層膜による反射防止膜を用いた場
合であり、層の形成の具合によりこのように優れた反射
防止効果を示すことがある。比較例3〜比較例6及び比
較例10〜比較例13は前述の従来例2に相当し、比較
例7と比較例14は従来例3に相当する。
【0069】次に、実施例について説明する。各種実施
例の構成は以下のとおりである。 (実施例1)保護層の両面に励起光波長(780nm)
の0.375倍(3/8倍)に相当する光学的厚さのM
gF2 (屈折率1.38)からなる単層反射防止膜(物
理的厚さ212nm)を真空蒸着法で設けたもの。それ
以外の構成は比較例2と同じである。
【0070】(実施例2)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の0.375倍(3/8倍)に相当する
光学的厚さのフッ素樹脂(屈折率1.34)からなる単
層反射防止膜(物理的厚さ218nm)をディップコー
ト法で設けたもの。それ以外の構成は実施例1と同じで
ある。
【0071】(実施例3)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の0.875倍(7/8倍)に相当する
光学的厚さのフッ素樹脂(屈折率1.34)からなる単
層反射防止膜(物理的厚さ509nm)をディップコー
ト法で設けたもの。それ以外の構成は実施例1と同じで
ある。
【0072】(実施例4)保護層の両面に励起光波長
(780nm)の1.441倍に相当する光学的厚さの
フッ素樹脂(屈折率1.34)からなる単層反射防止膜
(物理的厚さ840nm)をディップコート法で設けた
もの。それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0073】(実施例5)保護層の両面に無機化合物の
多層膜からなる反射防止膜を真空蒸着法で設けたもの。
それ以外の構成は実施例1と同じである。
【0074】(実施例6)保護層の蛍光体層と反対側の
面に励起光波長(780nm)の0.375倍(3/8
倍)に相当する光学的厚さのMgF2 (屈折率1.3
8)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ212nm)
を真空蒸着法で設けたもの。それ以外の構成は比較例9
と同じである。
【0075】(実施例7)保護層の蛍光体層と反対側の
面に励起光波長(780nm)の0.375倍(3/8
倍)に相当する光学的厚さのフッ素樹脂(屈折率1.3
4)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ218nm)
をディップコート法で設けたもの。それ以外の構成は実
施例6と同じである。
【0076】(実施例8)保護層の蛍光体層と反対側の
面に励起光波長(780nm)の0.875倍(7/8
倍)に相当する光学的厚さのフッ素樹脂(屈折率1.3
4)からなる単層反射防止膜(物理的厚さ509nm)
をディップコート法で設けたもの。それ以外の構成は実
施例6と同じである。
【0077】(実施例9)保護層の蛍光体層と反対側の
面に励起光波長(780nm)の1.441倍に相当す
る光学的厚さのフッ素樹脂(屈折率1.34)からなる
単層反射防止膜(物理的厚さ840nm)をディップコ
ート法で設けたもの。それ以外の構成は実施例6と同じ
である。
【0078】(実施例10)保護層の蛍光体層と反対側
の面に無機化合物の多層膜からなる反射防止膜を真空蒸
着法で設けたもの。それ以外の構成は実施例6と同じで
ある。
【0079】上記実施例1〜実施例10の反射防止効果
E(θ)の励起光の保護層への入射角θに対する変化を
図11に示す。図において、縦軸は反射防止効果E
(θ)、横軸は入射角(゜)である。いずれもほぼ入射
角θ=45゜近辺(θ=40゜〜50゜)で最大の反射
防止効果が得られていることが分かる。それぞれθma
xについては、別途記載する(後述)。また、実施例1
〜実施例4及び実施例6〜実施例9については、輝尽発
光光のピーク波長である370nmでの反射防止効果と
入射角の関係を図12に示す。いずれの実施例も、入射
角が0゜〜25゜の時に、最大の反射防止効果が得られ
ていることが分かる。従って、本発明による反射防止膜
を使用すれば、励起光の入射角に対しては40゜〜50
゜の時に最大の反射防止効果が得られ、輝尽発光光に対
しては入射角が0゜〜25゜の時に最大の反射防止効果
が得られ、好ましい特性を持っていることがわかる。つ
まり、励起光に対しては最大光束がある入射角40゜〜
50゜の励起光は反射を防止して輝尽性蛍光体層に再入
射しないようにすると共に、輝尽発光光に対しては入射
角0゜〜25゜の輝尽発光光をできるだけ保護層14を
透過させるようにすることができる。
【0080】図13は本発明の効果を示す図で、各種特
性を表にまとめたものである。励起光θmaxは最大の
反射防止効果が得られる励起光の入射角、グレア含有率
Gは(5)式で定義される。上記比較例2〜比較例7と
実施例1〜実施例5の変換パネルのグレア含有率が、保
護層を設けない比較例1を基準としてどれだけ増加する
か(グレア含有率増加量)を評価し、その結果を図13
に示した。そして、比較例2のグレア含有率増加量を1
00とした時の相対値で示してある。グレア含有率増加
量が小さいほどコントラスト特性が優れることはいうま
でもない。但し、円形鉛板の直径は7.8mmで実験を
行なった。低減効果は100から各例のグレア含有率増
加量を差し引いたものである。発光光θmaxは、最大
の反射防止効果が得られる輝尽発光光の入射角である。
出力信号値比は、比較例2(保護層を設けたもの)の輝
尽発光の出力信号値を1として、それに対する本発明実
施例の輝尽発光光の反射防止効果により保護層を透過し
やすくなり、その分光量が増加して出力信号値が増大し
た比率を示している。
【0081】この図より明らかなように、比較例2では
保護層を設けたことにより、比較例1に比較してグレア
含有率Gが増加してコントラスト特性Cが低下した。比
較例3〜比較例6では、保護層に反射防止膜を設けたこ
とにより、グレア含有率増加量が低下しているが、その
低減効果は4〜16程度である(比較例2のグレア含有
率増加量を100としている)。比較例7では反射防止
膜ではなく反射膜のため、グレア含有率増加量が2.8
5倍になってしまった。
【0082】一方、実施例1〜実施例5ではいずれもグ
レア含有率増加量が80%以下に減少している。特にフ
ッ素樹脂の単層膜を用いた実施例2で効果が大きかっ
た。比較例6の多層膜では、入射角が0゜の時に非常に
大きな反射防止効果E(約19)を示し(図8参照)、
励起光の入射角の増大に伴って急激に減少している。
【0083】実施例1,実施例2では、反射防止効果E
の最大値はせいぜい1.5〜2.2程度であるにも拘ら
ず、グレア含有率増加量の低減効果は比較例6に比較し
て非常に大きい。これは、反射防止効果の最大値はそれ
ほど大きくなくても、その最大値を与える入射角θma
xが25゜〜65゜であればグレアが低減できるという
本発明の効果を端的に表している。
【0084】また、実施例5では反射防止効果Eの最大
値は約4.2と実施例2の2.2に比較して2倍近いに
も拘らず実施例2の方が効果がグレア低減効果が大き
い。これは反射防止効果Eの最大値は大きくなくても、
θmaxを中心としてより広い角度範囲で最大値に近い
反射防止効果が得られるように構成するとグレア低減効
果が高いからである。この点で、反射率の角度変化の大
きい多層膜よりも角度変化の小さい単層膜の方が好まし
いといえる。反射防止効果Eの最大値の80%以上の効
果が得られる角度範囲が30゜以上であることが好まし
く、40゜以上であればいっそう好ましい。
【0085】更に、実施例1〜実施例3では輝尽発光光
に対する反射防止効果Eが25゜以下で最大となってい
るため、保護層を透過して集光系に集光される輝尽発光
光が増えるので、出力信号値が反射防止膜を設けなかっ
た比較例2よりも大きくなった。即ち、感度が高くなっ
た。なお、保護層を設けなかった比較例1では、蛍光体
が水分を吸収することによって輝尽発光特性の経時変化
が激しく実用に耐えなかったが、その他の比較例,実施
例では十分な耐湿性が得られた。
【0086】図17は図13と同様に本発明の効果を示
す図である。上記比較例9〜比較例14と実施例6〜実
施例10の変換パネルのグレア含有率が、保護層を設け
ない比較例8を基準としてどれだけ増加するか(グレア
含有率増加量)を評価し、その結果を図17に示した。
そして、比較例9のグレア含有率増加量を100とした
時の相対値で示してある。出力信号値比は、比較例9
(保護層を設けたもの)の輝尽発光の出力信号値を1と
して、それに対する本発明実施例の輝尽発光光の反射防
止効果により保護層を透過しやすくなり、その分光量が
増加して出力信号値が増大した比率を示している。励起
光θmax,発光光θmax,低減効果の定義は図13
と同じである。
【0087】図17より明らかなように、図13の結果
と同様に、保護層を設けることによってグレア含有率が
増加すること、比較例で設けた反射防止膜によるグレア
含有率の低減効果に比べて実施例で設けた反射防止膜に
よる低減効果が大きいこと、フッ素樹脂からなる反射防
止膜を用いた時に効果が大きいこと、多層膜より単層膜
の方が効果が大きいこと、輝尽発光光に対する反射防止
効果が25゜以下で最大となるように構成すると出力信
号値比が大きくなることが分かる。
【0088】但し、低屈折率層を設けた構成に比較し
て、保護層と輝尽性蛍光体層が密着状態にあるような構
成では、反射防止膜を設けたことによるグレア含有率の
低減効果がやや小さかったが、逆に出力信号値が増加す
る効果が大きかった。
【0089】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、保護層の少なくとも一方の面に、励起光の保護
層への入射角が25゜〜65゜の時に最大の反射防止効
果が得られる反射防止膜を設けることにより、保護層が
厚くても鮮鋭性,コントラスト分解能共に良好な画像が
得られる放射線画像変換パネルを提供することができ、
実用上の効果が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】低屈折率層の材料例を示す図である。
【図3】低屈折率層の他の材料例を示す図である。
【図4】本発明の具体的構成例を示す図である。
【図5】本発明の他の具体的構成例を示す図である。
【図6】完全拡散光の説明図である。
【図7】光束算出の説明図である。
【図8】sin2θの特性曲線を示す図である。
【図9】本発明の評価方法の説明図である。
【図10】反射防止膜による反射防止効果の特性例を示
す図である。
【図11】励起光の反射防止効果特性例を示す図であ
る。
【図12】輝尽発光光のピーク波長に対する反射防止効
果特性例を示す図である。
【図13】本発明の効果を示す図である。
【図14】放射線写真システムの構成概念図である。
【図15】放射線画像変換パネルと集光体との配置を示
す図である。
【図16】比較例の構成例を示す図である。
【図17】本発明の効果を示す図である。
【符号の説明】
10 支持体 11 輝尽性蛍光体層 12 低屈折率層 13 反射防止膜 14 保護層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの
    順に配置する放射線画像変換パネルにおいて、 前記保護層の少なくとも一方の面に、励起光の保護層へ
    の入射角が25゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が
    得られる反射防止膜を設けたことを特徴とする放射線画
    像変換パネル。
  2. 【請求項2】 支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの
    順に配置する放射線画像変換パネルにおいて、 前記保護層の少なくとも一方の面に、励起光の保護層へ
    の入射角が25゜〜65゜の時に最大の反射防止効果が
    得られ、輝尽発光光の保護層への入射角が0゜〜25゜
    の時に最大の反射防止効果が得られる反射防止膜を設け
    たことを特徴とする放射線画像変換パネル。
  3. 【請求項3】 支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの
    順に配置する放射線画像変換パネルにおいて、 前記保護層の少なくとも一方の面に、励起光の波長の1
    /4の奇数倍と励起光の波長の1/8の和(k・λ/4
    +λ/8,k=1,3,5…,λ=励起光の波長)に相
    当する光学的膜厚を有する反射防止膜を設けたことを特
    徴とする放射線画像変換パネル。
  4. 【請求項4】 支持体,輝尽性蛍光体層,保護層をこの
    順に配置する放射線画像変換パネルにおいて、 前記保護層の少なくとも一方の面に、励起光の波長の
    0.30〜0.40倍又は0.80〜0.90倍又は
    1.35〜1.50倍に相当する光学的膜厚を有する反
    射防止膜を設けたことを特徴とする放射線画像変換パネ
    ル。
  5. 【請求項5】 前記反射防止膜の材料として有機物を用
    いたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の放射線画像変換パネル。
  6. 【請求項6】 前記反射防止膜が単層膜であることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線画像
    変換パネル。
  7. 【請求項7】 前記保護層と輝尽性蛍光体層の間に、前
    記保護層よりも屈折率の低い層(低屈折率層)を設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の放
    射線画像変換パネル。
  8. 【請求項8】 前記低屈折率層が気体又は真空層である
    ことを特徴とする請求項7記載の放射線画像変換パネ
    ル。
  9. 【請求項9】 前記保護層と輝尽性蛍光体層が密着状態
    にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記
    載の放射線画像変換パネル。
  10. 【請求項10】 前記保護層の厚さが0.1mm〜2.
    0mmであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれ
    かに記載の放射線画像変換パネル。
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