JPH07268851A - 可撓性膜堰 - Google Patents
可撓性膜堰Info
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- JPH07268851A JPH07268851A JP8525894A JP8525894A JPH07268851A JP H07268851 A JPH07268851 A JP H07268851A JP 8525894 A JP8525894 A JP 8525894A JP 8525894 A JP8525894 A JP 8525894A JP H07268851 A JPH07268851 A JP H07268851A
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- weir
- edge
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 流体の送入により起立し排出により倒伏する
可撓性膜堰に、起立時堰高が低くなって魚の移動路とな
る部分を形成する。 【構成】 一方の端縁2に沿って二つ折り状に重ね合わ
せた上下2枚の部分から成る可撓性膜1を、端縁2に対
向する他方の端縁3を上流側に向けて河床4上に配置す
るとともに、開放された該他方の端縁3および両側縁
5,5をアンカー金具6,7で河床に固定して袋状と
し、流体の送入により起立し排出により倒伏するように
した可撓性膜堰9において、端縁2に沿う折り返し部11
を、所定箇所12aにおいてほぼV字状に上流側へ張り出
した平面形状に形成する。また、河床4側の可撓性膜部
分を端縁3より下流側においてさらにアンカー金具15,
16で河床に河巾方向に固定し、かつこのアンカー金具1
5,16による施工ラインを、所定箇所15aにおいてほぼ
V字状に下流側へ張り出させる。さらに、端縁3を固定
するアンカー金具6,7を、所定箇所6aにおいてほぼ
V字状に下流側へ偏位するよう緩やかな角度で傾斜させ
てもよい。
可撓性膜堰に、起立時堰高が低くなって魚の移動路とな
る部分を形成する。 【構成】 一方の端縁2に沿って二つ折り状に重ね合わ
せた上下2枚の部分から成る可撓性膜1を、端縁2に対
向する他方の端縁3を上流側に向けて河床4上に配置す
るとともに、開放された該他方の端縁3および両側縁
5,5をアンカー金具6,7で河床に固定して袋状と
し、流体の送入により起立し排出により倒伏するように
した可撓性膜堰9において、端縁2に沿う折り返し部11
を、所定箇所12aにおいてほぼV字状に上流側へ張り出
した平面形状に形成する。また、河床4側の可撓性膜部
分を端縁3より下流側においてさらにアンカー金具15,
16で河床に河巾方向に固定し、かつこのアンカー金具1
5,16による施工ラインを、所定箇所15aにおいてほぼ
V字状に下流側へ張り出させる。さらに、端縁3を固定
するアンカー金具6,7を、所定箇所6aにおいてほぼ
V字状に下流側へ偏位するよう緩やかな角度で傾斜させ
てもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川等を横切って布設
され、流体の送入により起立し、排出により倒伏する可
撓性膜堰に関する。
され、流体の送入により起立し、排出により倒伏する可
撓性膜堰に関する。
【0002】
【従来技術】農業用取水、水力発電用取水等のための堰
として用いられる可撓性膜堰は、図1に示すように1つ
の端縁2に沿って二つ折り状に重ね合わせた上下2枚の
部分1a,1bから成る可撓性膜1を、図2に示すよう
に前記端縁2に対向する他方の端縁3を上流側に向けて
河床4上に配置し(矢印aは河の流れ方向を示す)、端
縁3および両側の側縁5すなわち端縁2以外の開放され
た縁部を押え金具6とアンカーボルト7から成るアンカ
ー金具で河床4から両側の法面8へかけてこれに固定し
て形成される。
として用いられる可撓性膜堰は、図1に示すように1つ
の端縁2に沿って二つ折り状に重ね合わせた上下2枚の
部分1a,1bから成る可撓性膜1を、図2に示すよう
に前記端縁2に対向する他方の端縁3を上流側に向けて
河床4上に配置し(矢印aは河の流れ方向を示す)、端
縁3および両側の側縁5すなわち端縁2以外の開放され
た縁部を押え金具6とアンカーボルト7から成るアンカ
ー金具で河床4から両側の法面8へかけてこれに固定し
て形成される。
【0003】アンカー金具6,7は、可撓性膜1を河床
4に固定するとともに、可撓性膜1の開放された縁部を
密封してこれを袋状にする。このようにして袋状に形成
された可撓性膜堰9の内部に適当な流体給排管(図示せ
ず)を通じて水、空気等の流体を送入すると、可撓性膜
堰9は図3に示すように膨張して起立し、河水をせき止
めて上流側の水位を上げ該上流側からの取水を可能にす
る。上記流体を排出すると可撓性膜堰9は図2に示す倒
伏状態となる。
4に固定するとともに、可撓性膜1の開放された縁部を
密封してこれを袋状にする。このようにして袋状に形成
された可撓性膜堰9の内部に適当な流体給排管(図示せ
ず)を通じて水、空気等の流体を送入すると、可撓性膜
堰9は図3に示すように膨張して起立し、河水をせき止
めて上流側の水位を上げ該上流側からの取水を可能にす
る。上記流体を排出すると可撓性膜堰9は図2に示す倒
伏状態となる。
【0004】可撓性膜1は帆布等により補強されたゴム
質のシート材から成り、通常次のようにして作られる。
すなわち、このゴムシートを、図4に示すように、折り
曲げて上側部分1aと下側部分1bとを形成し、折り返
し部11を除いて両者間に離型材10を挟んで加硫する。あ
るいは、このようにして加硫により接着された折り返し
部11を形成する代りに、該部分に接着剤を塗布して圧着
し、もしくは適当な固定治具を使用することにより、か
かる折り返し部11を形成することもできる。
質のシート材から成り、通常次のようにして作られる。
すなわち、このゴムシートを、図4に示すように、折り
曲げて上側部分1aと下側部分1bとを形成し、折り返
し部11を除いて両者間に離型材10を挟んで加硫する。あ
るいは、このようにして加硫により接着された折り返し
部11を形成する代りに、該部分に接着剤を塗布して圧着
し、もしくは適当な固定治具を使用することにより、か
かる折り返し部11を形成することもできる。
【0005】
【解決しようとする課題】上記したような従来の可撓性
膜堰は起立時に河巾方向に堰高がほぼ均一になり、河巾
全体にわたって河水をせき止め、あるいはこの堰を超え
る河水は堰の最高部を河巾全体にわたって一様な薄い層
をなして流れるので、魚が堰の上、下流間を移動できな
くなる。従って魚の移動を許すために、河巾方向に複数
の堰を配置して、そのうち1つの堰高を低くするとか、
または魚道を設置する等の必要があった。
膜堰は起立時に河巾方向に堰高がほぼ均一になり、河巾
全体にわたって河水をせき止め、あるいはこの堰を超え
る河水は堰の最高部を河巾全体にわたって一様な薄い層
をなして流れるので、魚が堰の上、下流間を移動できな
くなる。従って魚の移動を許すために、河巾方向に複数
の堰を配置して、そのうち1つの堰高を低くするとか、
または魚道を設置する等の必要があった。
【0006】起立時における堰高が部分的に低くなるよ
うにした可撓性膜堰が実開昭60−14125 号公報により従
来提案されている。この可撓性膜堰は、前記アンカー金
具6,7の施工ラインを、少なくともその一部がほぼV
字状に下流側へ偏位するように、緩やかな角度で傾斜さ
せたものであり、施工ラインが下流側へ偏位した部分に
おいては可撓性膜の自由な周長が他の部分より短かくな
るので、該部分における堰高が低くなる。
うにした可撓性膜堰が実開昭60−14125 号公報により従
来提案されている。この可撓性膜堰は、前記アンカー金
具6,7の施工ラインを、少なくともその一部がほぼV
字状に下流側へ偏位するように、緩やかな角度で傾斜さ
せたものであり、施工ラインが下流側へ偏位した部分に
おいては可撓性膜の自由な周長が他の部分より短かくな
るので、該部分における堰高が低くなる。
【0007】この可撓性膜堰は、流体を排出することに
より倒伏させる過程において、内圧が低くなり外圧との
バランスがある範囲を越えると部分的に外圧に負けて大
きくへこむ形状となるが、このへこむ位置が流れの条件
により異なるためその位置をあらかじめ固定させること
を目的としたものであり、これを前記した魚の移動路の
確保に利用し、前記堰高の低い部分を魚の移動路とする
ためには下流側の偏位量を大きくとる必要があるが、そ
の部分の堰高は他の部分に比べてわずかに低いだけであ
る。
より倒伏させる過程において、内圧が低くなり外圧との
バランスがある範囲を越えると部分的に外圧に負けて大
きくへこむ形状となるが、このへこむ位置が流れの条件
により異なるためその位置をあらかじめ固定させること
を目的としたものであり、これを前記した魚の移動路の
確保に利用し、前記堰高の低い部分を魚の移動路とする
ためには下流側の偏位量を大きくとる必要があるが、そ
の部分の堰高は他の部分に比べてわずかに低いだけであ
る。
【0008】また、前記施工ラインの一部を下流側へ偏
位させるにしても緩やかな角度でV字状に傾斜させなけ
ればならず、堰高を部分的に充分低くするために施工ラ
インの下流側への偏位量を大きくしようとすれば、河巾
方向に長い距離にわたって施工ラインをV字状に形成す
ることとなる。この結果、必然的に起立時における堰高
の低い部分の長さも長くなり、上流側でせき止められた
水がこの部分から大量に下流側へ流出するので、上流側
に取水に必要な水位を確保できなくなる。
位させるにしても緩やかな角度でV字状に傾斜させなけ
ればならず、堰高を部分的に充分低くするために施工ラ
インの下流側への偏位量を大きくしようとすれば、河巾
方向に長い距離にわたって施工ラインをV字状に形成す
ることとなる。この結果、必然的に起立時における堰高
の低い部分の長さも長くなり、上流側でせき止められた
水がこの部分から大量に下流側へ流出するので、上流側
に取水に必要な水位を確保できなくなる。
【0009】本発明は、このような事情に鑑み、可撓性
膜堰の固定、密封に直接影響しない部分の構造を変更す
ることにより、起立時の堰高が部分的に低くなるように
した可撓性膜堰を提供しようとするものである。
膜堰の固定、密封に直接影響しない部分の構造を変更す
ることにより、起立時の堰高が部分的に低くなるように
した可撓性膜堰を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】このため、第
1の本発明においては、一つの端縁に沿って二つ折り状
に重ね合わせた上下2枚の部分から成る可撓性膜を、前
記端縁に対向する他方の端縁を上流側に向けて河床上に
配置するとともに、開放された該他方の端縁および両側
縁をアンカー金具で河床に固定して袋状とし、流体の送
入により起立し排出により倒伏するようにした可撓性膜
堰において、前記一方の端縁に沿う折り返し部を、所定
箇所においてほぼV字状に上流側へ張り出した平面形状
に形成する。
1の本発明においては、一つの端縁に沿って二つ折り状
に重ね合わせた上下2枚の部分から成る可撓性膜を、前
記端縁に対向する他方の端縁を上流側に向けて河床上に
配置するとともに、開放された該他方の端縁および両側
縁をアンカー金具で河床に固定して袋状とし、流体の送
入により起立し排出により倒伏するようにした可撓性膜
堰において、前記一方の端縁に沿う折り返し部を、所定
箇所においてほぼV字状に上流側へ張り出した平面形状
に形成する。
【0011】この発明によれば、袋状をなす可撓性膜の
内周長が、折り返し部をV字状に上流側へ張り出させた
所定箇所において他の箇所より短かくなるので、該可撓
性膜を膨張させて起立させた時、前記所定箇所における
堰高が他の箇所より低くなる。
内周長が、折り返し部をV字状に上流側へ張り出させた
所定箇所において他の箇所より短かくなるので、該可撓
性膜を膨張させて起立させた時、前記所定箇所における
堰高が他の箇所より低くなる。
【0012】しかして上記上流側へ張り出した折り返し
部は、前述のようにして可撓性膜を製作する時に、離型
材の形状、接着剤塗布部分の形状もしくは固定治具の配
列形状等を適当に選定することにより極めて容易に形成
することができ、かつこの折り返し部は可撓性膜を河床
上に固定するとともに密封する部分ではないので、かか
る固定、密封上の問題によって制約を受けることはな
く、張り出し部分の形状を比較的自由に選ぶことがで
き、従って堰高の低い部分を比較的狭い範囲に限定し
て、所望の魚移動路を確保するとともに、該部分から流
出する水量を抑えて上流側に取水に必要な水位を確保す
ることができる。
部は、前述のようにして可撓性膜を製作する時に、離型
材の形状、接着剤塗布部分の形状もしくは固定治具の配
列形状等を適当に選定することにより極めて容易に形成
することができ、かつこの折り返し部は可撓性膜を河床
上に固定するとともに密封する部分ではないので、かか
る固定、密封上の問題によって制約を受けることはな
く、張り出し部分の形状を比較的自由に選ぶことがで
き、従って堰高の低い部分を比較的狭い範囲に限定し
て、所望の魚移動路を確保するとともに、該部分から流
出する水量を抑えて上流側に取水に必要な水位を確保す
ることができる。
【0013】なお、上記記述および特許請求の範囲にお
ける河床とは、本来の河床のほかに両側の法面部分をも
含むものである。
ける河床とは、本来の河床のほかに両側の法面部分をも
含むものである。
【0014】第2の本発明においては、前記と同様な一
般構造を有する可撓性膜堰において、河床側の可撓性膜
部分を前記他方の端縁より下流側においてさらにアンカ
ー金具で河床に河巾方向に固定し、かつこのアンカー金
具による施工ラインを、所定箇所においてほぼV字状に
下流側へ張り出させる。
般構造を有する可撓性膜堰において、河床側の可撓性膜
部分を前記他方の端縁より下流側においてさらにアンカ
ー金具で河床に河巾方向に固定し、かつこのアンカー金
具による施工ラインを、所定箇所においてほぼV字状に
下流側へ張り出させる。
【0015】この可撓性膜堰においては、可撓性膜が上
流側のアンカー金具と下流側のアンカー金具とによって
河床に固定されるが、上流側のアンカー金具は互いに重
ね合わされた上下2枚の可撓性膜部分の端縁を一体に河
床に固定するとともに該端縁部を密封し、下流側のアン
カー金具は河床側の1枚の可撓性膜部分だけを河床に固
定している。
流側のアンカー金具と下流側のアンカー金具とによって
河床に固定されるが、上流側のアンカー金具は互いに重
ね合わされた上下2枚の可撓性膜部分の端縁を一体に河
床に固定するとともに該端縁部を密封し、下流側のアン
カー金具は河床側の1枚の可撓性膜部分だけを河床に固
定している。
【0016】この可撓性膜堰の堰高は、可撓性膜の、前
記上流側のアンカー金具による固定点から折り返し部を
経て前記下流側のアンカー金具による固定点に至るまで
の周長によって決まるが、この周長は、下流側のアンカ
ー金具の施工ラインがV字状に下流側へ張り出している
所定箇所においては、他の箇所におけるより短かい。従
って該所定箇所における堰高が他の箇所より低くなる。
記上流側のアンカー金具による固定点から折り返し部を
経て前記下流側のアンカー金具による固定点に至るまで
の周長によって決まるが、この周長は、下流側のアンカ
ー金具の施工ラインがV字状に下流側へ張り出している
所定箇所においては、他の箇所におけるより短かい。従
って該所定箇所における堰高が他の箇所より低くなる。
【0017】下流側のアンカー金具は施工ラインの形状
を比較的自由に選ぶことができ、従って堰高の低い部分
を比較的狭い範囲に限定して、所望の魚移動路を確保す
るとともに、該部分から流出する水量を抑えて上流側に
取水に必要な水位を確保することができる。
を比較的自由に選ぶことができ、従って堰高の低い部分
を比較的狭い範囲に限定して、所望の魚移動路を確保す
るとともに、該部分から流出する水量を抑えて上流側に
取水に必要な水位を確保することができる。
【0018】必要に応じ、前記第1および第2の本発明
の両方を1つの可撓性膜堰に適用することも可能であ
る。また、上流側の端縁を固定するアンカー金具の施工
ラインを所定箇所においてほぼV字状に上流側へ偏位す
るよう緩やかな角度で傾斜させた可撓性膜堰に前記第1
または第2の本発明もしくはこれら両者を適用すること
もできる。
の両方を1つの可撓性膜堰に適用することも可能であ
る。また、上流側の端縁を固定するアンカー金具の施工
ラインを所定箇所においてほぼV字状に上流側へ偏位す
るよう緩やかな角度で傾斜させた可撓性膜堰に前記第1
または第2の本発明もしくはこれら両者を適用すること
もできる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例について説明す
る。なお、これらの実施例において、可撓性膜堰の基本
的構成は図1ないし図4により前述したものと変らない
ので、同様な部分に同じ参照符号を付して詳細な説明を
省略する。
る。なお、これらの実施例において、可撓性膜堰の基本
的構成は図1ないし図4により前述したものと変らない
ので、同様な部分に同じ参照符号を付して詳細な説明を
省略する。
【0020】図5は本発明の一実施例を示し、前記図2
に示したように河床4から両側の法面8へかけて敷設さ
れた倒伏状態の可撓性膜堰9の概略上面図である。上流
側の端縁3および両側縁5,5は押え金具6とアンカー
ボルト7から成るアンカー金具により河床4および法面
8に固定されるとともに密封されている。
に示したように河床4から両側の法面8へかけて敷設さ
れた倒伏状態の可撓性膜堰9の概略上面図である。上流
側の端縁3および両側縁5,5は押え金具6とアンカー
ボルト7から成るアンカー金具により河床4および法面
8に固定されるとともに密封されている。
【0021】図4について前述したように、下流側の端
縁2に沿って上下の可撓性膜部分1a,1bを接続する
折り返し部11が形成されている。12はこの折り返し部11
の内側すなわち上流側の端縁を連ねる線である。図示の
ように線12は河巾方向中央の部分12aにおいてほぼV字
状に上流側へ張り出している。すなわち折り返し部11は
河巾方向中央部においてほぼV字状に上流側へ張り出し
た平面形状をなしている。なお、本明細書を通じてほぼ
V字状とは、両側から中央へ向って次第に突出もしくは
凹入した形状を言い、図示のように円弧形に近い形状も
含むものである。
縁2に沿って上下の可撓性膜部分1a,1bを接続する
折り返し部11が形成されている。12はこの折り返し部11
の内側すなわち上流側の端縁を連ねる線である。図示の
ように線12は河巾方向中央の部分12aにおいてほぼV字
状に上流側へ張り出している。すなわち折り返し部11は
河巾方向中央部においてほぼV字状に上流側へ張り出し
た平面形状をなしている。なお、本明細書を通じてほぼ
V字状とは、両側から中央へ向って次第に突出もしくは
凹入した形状を言い、図示のように円弧形に近い形状も
含むものである。
【0022】ほぼV字状をなす線部分12aに合わせて、
端縁2のこれに対応する部分を、図5に鎖線2aで示す
ように、ほぼV字状に切欠いてもよい。可撓性膜1を図
3に示すように起立させた時、折り返し部11に相当する
部分は河巾方向に延びる突縁13となって堰体の外表面か
ら突出する。この突縁13は、越流をこの位置で堰体表面
から剥離させることにより、剥離点の変動による可撓性
膜1の振動を防止する。
端縁2のこれに対応する部分を、図5に鎖線2aで示す
ように、ほぼV字状に切欠いてもよい。可撓性膜1を図
3に示すように起立させた時、折り返し部11に相当する
部分は河巾方向に延びる突縁13となって堰体の外表面か
ら突出する。この突縁13は、越流をこの位置で堰体表面
から剥離させることにより、剥離点の変動による可撓性
膜1の振動を防止する。
【0023】この可撓性膜堰9の起立時の全高すなわち
堰高Hは、袋状をなす可撓性膜1の内周長Iによって決
まるが(図3参照)、この内周長Iは前記線12が上流側
へ張り出した部分12aにおいては他の部分より短かくな
る。すなわち図5において、張り出し部分12aの両側の
線12が直線状をなす部分における内周長は図示の長さi
1 の2倍となるが、線12が最も張り出した箇所における
内周長はi1 より短い長さi2 の2倍となる。
堰高Hは、袋状をなす可撓性膜1の内周長Iによって決
まるが(図3参照)、この内周長Iは前記線12が上流側
へ張り出した部分12aにおいては他の部分より短かくな
る。すなわち図5において、張り出し部分12aの両側の
線12が直線状をなす部分における内周長は図示の長さi
1 の2倍となるが、線12が最も張り出した箇所における
内周長はi1 より短い長さi2 の2倍となる。
【0024】したがって可撓性膜堰9を図5の倒伏状態
から起立させると、i1 に相当する部分は図6に実線I
1 で示すような輪郭形状に、i2 に相当する部分は同図
に鎖線I2 で示すような輪郭形状となり、この結果、前
者における堰高はH1 となり、後者における堰高はH2
となる。この堰高の違いにより、図11に示すように、起
立した可撓性膜堰9の頂面の前記張り出し部分12aに対
応する部分に、上流側から下流側に通ずる凹溝部14が形
成され、この凹溝部14に沿って河水が上流側から下流側
へ流れる。従って魚はこの凹溝部14を通って上下流間を
移動できる。
から起立させると、i1 に相当する部分は図6に実線I
1 で示すような輪郭形状に、i2 に相当する部分は同図
に鎖線I2 で示すような輪郭形状となり、この結果、前
者における堰高はH1 となり、後者における堰高はH2
となる。この堰高の違いにより、図11に示すように、起
立した可撓性膜堰9の頂面の前記張り出し部分12aに対
応する部分に、上流側から下流側に通ずる凹溝部14が形
成され、この凹溝部14に沿って河水が上流側から下流側
へ流れる。従って魚はこの凹溝部14を通って上下流間を
移動できる。
【0025】前記張り出し部分12aは、可撓性膜1を製
作する時に離型材10の形状を適当に選定することにより
極めて容易に形成することができ、かつその形状、張り
出し範囲を自由に選ぶことができるので、凹溝部14の形
成を河巾方向に比較的狭い範囲に限定して、所望の魚移
動路を確保するとともに、凹溝部14から流出する水量を
抑えて上流側に取水に必要な水位を確保することができ
る。このような張り出し部分12aは、前述のように折り
返し部11を接着剤もしくは固定治具により形成する場合
でも、接着剤塗布部分の形状もしくは固定治具の形状を
適当に選定することにより極めて容易に形成することが
できる。
作する時に離型材10の形状を適当に選定することにより
極めて容易に形成することができ、かつその形状、張り
出し範囲を自由に選ぶことができるので、凹溝部14の形
成を河巾方向に比較的狭い範囲に限定して、所望の魚移
動路を確保するとともに、凹溝部14から流出する水量を
抑えて上流側に取水に必要な水位を確保することができ
る。このような張り出し部分12aは、前述のように折り
返し部11を接着剤もしくは固定治具により形成する場合
でも、接着剤塗布部分の形状もしくは固定治具の形状を
適当に選定することにより極めて容易に形成することが
できる。
【0026】図7,8は本発明の他の実施例を示す。こ
の実施例においては、前記押え金具6とアンカーボルト
7から成る上流側のアンカー金具のほかに、その下流側
にさらに押え金具15とアンカーボルト16とから成るアン
カー金具が河巾方向に延長させて設けられており、この
下流側のアンカー金具15,16は河床4側の可撓性膜部分
1bだけを河床4に固定している。
の実施例においては、前記押え金具6とアンカーボルト
7から成る上流側のアンカー金具のほかに、その下流側
にさらに押え金具15とアンカーボルト16とから成るアン
カー金具が河巾方向に延長させて設けられており、この
下流側のアンカー金具15,16は河床4側の可撓性膜部分
1bだけを河床4に固定している。
【0027】押え金具15は、図8に示すように、その河
巾方向中央部にほぼV字状に下流側へ張り出した張り出
し部分15aを有し、アンカー金具15,16による可撓性膜
1bの固定はこの押え金具15に従った施工ラインに沿っ
てなされている。
巾方向中央部にほぼV字状に下流側へ張り出した張り出
し部分15aを有し、アンカー金具15,16による可撓性膜
1bの固定はこの押え金具15に従った施工ラインに沿っ
てなされている。
【0028】この可撓性膜堰9の起立時の堰高は、上流
側のアンカー金具6,7による固定部bから前記突縁13
部分を経て下流側のアンカー金具15,16による固定部c
に至る可撓性膜1の内周長によって決まるが、図8から
分るように、押え金具15の張り出し部分15aに対応する
箇所における該内周長I2 は他の箇所における該内周長
I1 より短かい。従って可撓性膜堰9を図8の倒伏状態
から起立させると、張り出し部分15aに対応する部分は
図9に鎖線I2 で示すような堰高H2 の輪郭形状に、施
工ラインが張り出していない他の部分は同図に実線I1
で示すような堰高H1 の輪郭形状となり、この堰高の違
いにより、前記実施例の場合と同様に、図11に示すよう
な凹溝部14が形成される。
側のアンカー金具6,7による固定部bから前記突縁13
部分を経て下流側のアンカー金具15,16による固定部c
に至る可撓性膜1の内周長によって決まるが、図8から
分るように、押え金具15の張り出し部分15aに対応する
箇所における該内周長I2 は他の箇所における該内周長
I1 より短かい。従って可撓性膜堰9を図8の倒伏状態
から起立させると、張り出し部分15aに対応する部分は
図9に鎖線I2 で示すような堰高H2 の輪郭形状に、施
工ラインが張り出していない他の部分は同図に実線I1
で示すような堰高H1 の輪郭形状となり、この堰高の違
いにより、前記実施例の場合と同様に、図11に示すよう
な凹溝部14が形成される。
【0029】下流側のアンカー金具15,16はまた、例え
ば下流側の水位が高い時に下流側からの圧力により堰が
上流側に不必要に倒れるのを防止する。
ば下流側の水位が高い時に下流側からの圧力により堰が
上流側に不必要に倒れるのを防止する。
【0030】以上、本発明の好適な2つの実施例につい
て詳細に説明したが、図10に示すように、前者の実施例
における上流側へ張り出した折り返し部11と、後者の実
施例における下流側へ張り出した下流側のアンカー金具
15,16の双方を単一の可撓性膜堰9に設けて、所望の凹
溝部14の形成をさらに確実にすることもできる。
て詳細に説明したが、図10に示すように、前者の実施例
における上流側へ張り出した折り返し部11と、後者の実
施例における下流側へ張り出した下流側のアンカー金具
15,16の双方を単一の可撓性膜堰9に設けて、所望の凹
溝部14の形成をさらに確実にすることもできる。
【0031】なお、図10の実施例においては、上流側の
アンカー金具6,7にも、緩やかな角度で傾斜してほぼ
V字状に下流側へ偏位した偏位部分6aを、前記張り出
し部分12a,15aに対応する位置に設けてある。
アンカー金具6,7にも、緩やかな角度で傾斜してほぼ
V字状に下流側へ偏位した偏位部分6aを、前記張り出
し部分12a,15aに対応する位置に設けてある。
【0032】図5および図8の各実施例における上流側
のアンカー金具6,7に、それぞれ図10の偏位部分6a
と同様な偏位部分を設けてもよい。
のアンカー金具6,7に、それぞれ図10の偏位部分6a
と同様な偏位部分を設けてもよい。
【0033】上記各実施例は凹溝部14を可撓性膜堰9の
河巾方向中心部に形成するようにしたものであるが、凹
溝部14の形成位置は任意で、河巾方向所望の箇所に形成
できることは言うまでもない。
河巾方向中心部に形成するようにしたものであるが、凹
溝部14の形成位置は任意で、河巾方向所望の箇所に形成
できることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、起立した可撓性膜堰の
所定箇所に狭い範囲に限定して堰高の低い部分を形成
し、所望の魚移動路を確保するとともに、該部分から流
出する水量を少くして上流側に取水に必要な水位を確保
することができる。
所定箇所に狭い範囲に限定して堰高の低い部分を形成
し、所望の魚移動路を確保するとともに、該部分から流
出する水量を少くして上流側に取水に必要な水位を確保
することができる。
【図1】可撓性膜堰を構成する可撓性膜の斜視図であ
る。
る。
【図2】可撓性膜堰の倒伏状態を示す部分的斜視図であ
る。
る。
【図3】可撓性膜堰の起立状態を示す横断面図である。
【図4】製作時における可撓性膜の部分的横断面図であ
る。
る。
【図5】本発明の一実施例による可撓性膜堰の倒伏時に
おける概略平面図である。
おける概略平面図である。
【図6】同可撓性膜堰の起立時における各部の輪郭形状
を示す線図である。
を示す線図である。
【図7】本発明の他の実施例による可撓性膜堰の起立状
態を示す横断面図である。
態を示す横断面図である。
【図8】同可撓性膜堰の倒伏時における概略平面図であ
る。
る。
【図9】同可撓性膜堰の起立時における各部の輪郭形状
を示す線図である。
を示す線図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例を示す倒伏時にお
ける概略平面図である。
ける概略平面図である。
【図11】本発明による可撓性膜堰の起立状態を示す概
略正面図である。
略正面図である。
1…可撓性膜、2,3…端縁、4…河床、5…側縁、6
…押え金具、7…アンカーボルト、8…法面、9…可撓
性膜堰、10…離型材、11…折り返し部、12…線、13…突
縁、14…凹溝部、15…押え金具、16…アンカーボルト。
…押え金具、7…アンカーボルト、8…法面、9…可撓
性膜堰、10…離型材、11…折り返し部、12…線、13…突
縁、14…凹溝部、15…押え金具、16…アンカーボルト。
Claims (4)
- 【請求項1】 一方の端縁に沿って二つ折り状に重ね合
わせた上下2枚の部分から成る可撓性膜を、前記端縁に
対向する他方の端縁を上流側に向けて河床上に配置する
とともに、開放された該他方の端縁および両側縁をアン
カー金具で河床に固定して袋状とし、流体の送入により
起立し排出により倒伏するようにした可撓性膜堰におい
て、前記一方の端縁に沿う折り返し部を、所定箇所にお
いてほぼV字状に上流側へ張り出した平面形状に形成し
たことを特徴とする可撓性膜堰。 - 【請求項2】 一方の端縁に沿って二つ折り状に重ね合
わせた上下2枚の部分から成る可撓性膜を、前記端縁に
対向する他方の端縁を上流側に向けて河床上に配置する
とともに、開放された該他方の端縁および両側縁をアン
カー金具で河床に固定して袋状とし、流体の送入により
起立し排出により倒伏するようにした可撓性膜堰におい
て、河床側の可撓性膜部分を前記他方の端縁より下流側
においてさらにアンカー金具で河床に河巾方向に固定
し、かつこのアンカー金具による施工ラインを、所定箇
所においてほぼV字状に下流側へ張り出させたことを特
徴とする可撓性膜堰。 - 【請求項3】 河床側の可撓性膜部分を前記他方の端縁
より下流側においてさらにアンカー金具で河床に河巾方
向に固定し、かつこのアンカー金具による施工ライン
を、所定箇所においてほぼV字状に下流側へ張り出させ
た請求項1の可撓性膜堰。 - 【請求項4】 前記他方の端縁を固定するアンカー金具
の施工ラインを、所定箇所においてほぼV字状に下流側
へ偏位するよう緩やかな角度で傾斜させた請求項1,2
または3の可撓性膜堰。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08525894A JP3423408B2 (ja) | 1994-04-01 | 1994-04-01 | 可撓性膜堰 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08525894A JP3423408B2 (ja) | 1994-04-01 | 1994-04-01 | 可撓性膜堰 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07268851A true JPH07268851A (ja) | 1995-10-17 |
JP3423408B2 JP3423408B2 (ja) | 2003-07-07 |
Family
ID=13853552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08525894A Expired - Fee Related JP3423408B2 (ja) | 1994-04-01 | 1994-04-01 | 可撓性膜堰 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3423408B2 (ja) |
-
1994
- 1994-04-01 JP JP08525894A patent/JP3423408B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3423408B2 (ja) | 2003-07-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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