JPH0726026U - 板材搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ローダとアンローダとの区別なしに、簡単な
構成で板材加工機に対する板材の搬入および搬出を行え
るようにする。また、板材加工機上での位置決め機能を
板材搬送装置に持たせ、かつその位置決め手段を利用し
て、搬出板材の落下による積載時の流れ防止を実現す
る。 【構成】 板材加工機１のテーブル２の上方に無端の案
内軌道６を設ける。案内軌道６は、テーブル幅よりも長
く設置されて往路および帰路が互いに下，上に位置する
ものとする。この案内軌道６に沿って走行する走行搬送
機７に、板材Ｗ１，Ｗ２を把持するグリッパ８および吸
着パッド９を設ける。吸着パッド９は、走行方向に対し
て斜め方向にシリンダで進退可能とする。走行搬送機７
は２台設け、交互に搬入および搬出に使用する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、パンチプレスやシャーリング機等の板材加工機における板材の搬 入・搬出に使用される板材搬送装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、パンチプレス等の板材加工機への材料板材の搬入、および板材加工機か らの製品板材の搬出には、搬入専用のローダと搬出専用のアンローダとを併用し ている。 また、アンローダで搬出した板材は、ストックコンベヤから落下させて製品台 車上に積載している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このように搬入専用のローダと搬出専用のアンローダとを併用するの では構成が複雑になり、コストが増大するという問題点がある。 また、従来のアンローダは板材端部を挟持するグリッパしか有していないため 、ボンデ材等の低摩擦係数の板材の場合、ストックコンベヤから板材を落下させ て前記グリッパを開いたときに、落下する板材が積載済みの板材上で滑りを生じ 、整然と積載できないことがある。

【０００４】 この考案の目的は、板材加工機に対する板材の搬入・搬出を簡単な構成で行う ことのできる板材搬送装置を提供することである。 この考案の他の目的は、位置決め機能を備え、かつ搬出した板材を積載すると きの板材の流れ防止が実現できる板材搬送装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案の板材搬送装置は、板材加工機のテーブルの上方に無端の案内軌道を 設け、この案内軌道に沿って走行する走行搬送機に、板材を把持する把持具を設 けたものである。前記案内軌道は、テーブル幅よりも長く設置されて往路および 帰路が互いに下，上に位置するものとする。

【０００６】 前記把持具には、板材端部を把持するグリッパおよび板材の真空吸着を行う吸 着パッドを用い、走行搬送機には、その吸着パッドを走行搬送機に対して走行方 向の斜め方向に進退させる位置決め機構が設けてある。

【０００７】

【作用】

この板材搬送装置によると、案内軌道に沿ってその往路を走行搬送機が走行す るときに、板材加工機のテーブルに向かう走行区間ではその走行搬送機を搬入用 に使用し、板材加工機のテーブル上方から退避する走行区間では搬出用に使用す ることにより、一種類の走行搬送機を搬入・搬出に共用することができる。また 、搬出用として使用した走行搬送機は、案内軌道の帰路に沿って搬入側に復帰す ることにより、再度、搬入用・搬出用として繰り返し使用される。

【０００８】 把持具として、グリッパと吸着パッドを用い、その吸着パッドを位置決め機構 により斜め方向に進退させるようにした場合は、板材加工機のテーブル上に搬入 した板材を吸着パッドで吸着した状態で、位置決め機構により吸着パッドを斜め 方向に移動させることにより、板材の板材加工機に対する位置決めが行える。 また、板材加工機から搬出した板材を落下積載するときに、前記の位置決め用 の吸着パッドを利用し、このパッドで板材を積載済みの板材上に押し付けた状態 でグリッパを離すことができる。これにより、落下する板材が積載済み板材上で 流れることが防止され、整然と積載することができる。

【０００９】

【実施例】

この考案の一実施例を図１ないし図１０に基づいて説明する。 図１はこの実施例の板材搬送装置が使用される板材加工ラインの正面図、図２ はその平面図である。この板材加工ラインでは、板材加工機であるタレットパン チプレス１のワークテーブル２の一側方に板材搬入ステーション３が設けられ、 他側方に板材搬出ステーション４が設けられる。

【００１０】 パンチプレス１のワークテーブル２の上方には、板材搬入ステーション４の一 部から板材搬出ステーション４に跨がって、この実施例の板材搬送装置５を構成 する無端の案内軌道６が設けられている。この案内軌道６にはこれに沿って走行 する２台の走行搬送機７が設けられ、各走行搬送機７には板材Ｗ１，Ｗ２を把持 する把持具としてグリッパ８および吸着パッド９がそれぞれ設けられる。

【００１１】 板材搬入ステーション３では、本体フレーム１０の上方に、その本体フレーム １０の下方に配置される材料台車１１上の材料板材Ｗ１を一枚ずつ持ち上げる一 枚分離装置１２が設けられている。この一枚分離装置１２は、例えば昇降駆動さ れる昇降台１３の下部に複数の吸着パッド１４を設けて構成される。

【００１２】 パンチプレス１は、前後（Ｙ方向）に移動するキャリッジ１５を備え、複数の ワークホルダ１６を有するクロススライド（図示せず）が上記キャリッジ１５に 横方向（Ｘ方向）に移動自在に搭載されている。これにより板材Ｗ１，Ｗ２をワ ークホルダ１６で把持してワークテーブル２上を前後左右に移動させることがで きる。また、ワークテーブル２上には搬入されてきた材料板材Ｗ１をワークホル ダ１６とで位置決めするためのエンドロケータ１７が設けられている。

【００１３】 板材搬出ステーション４では、本体フレーム１８にストックコンベヤ１９が設 けられている。ストックコンベヤ１９は、板材搬送装置５で搬出された製品板材 Ｗ２を製品台車２２に対して受け渡すものである。ストックコンベヤ１９の搬送 面部は多数の回転自在なコンベヤローラ２０からなり、これらコンベヤローラ２ ０は一対の無端チェーン２１に両端が連結されてすだれ状に構成されている。無 端チェーン２１を駆動して各コンベヤローラ２０を搬送面位置から退避させるこ とにより、ストックコンベヤ１９上の製品板材Ｗ２は下方の製品台車２２上に落 下して積載される。

【００１４】 板材搬送装置５の無端の案内軌道６は、左右一対の溝形レール６ａ，６ａから なり、走行搬送機７は両側に設けられたガイドローラ２３で懸架されている。各 溝形レール６ａにはラック２４が設けてあり、ラック２４に噛み合う駆動ピニオ ン２５と、その駆動用の走行モータ２６とからなる自走装置２７が各走行搬送機 ７に搭載されている。したがって、２台の走行搬送機７は各々独立して走行し、 板材Ｗ１，Ｗ２の搬入搬出が行える。なお、ラック２４の代わりに固定チェーン を設け、これに噛み合うスプロケットをピニオン２５の代わりに設けても良い。 グリッパ８は走行搬送機７の下部に設けられ、開閉用シリンダ３０によって開 閉駆動される。吸着パッド９は、縦シリンダ３１および横シリンダ３２からなる 位置決め機構３３を介して水平支持アーム３４に取り付けられており、その水平 支持アーム３４は垂直回転支軸３５を介して走行搬送機７の前部に水平回動自在 に支持されている。上記縦シリンダ３１は吸着パッド９を昇降駆動するシリンダ であり、横シリンダ３２は走行搬送機７の走行方向に対して斜め方向に縦シリン ダ３１を進退させるものである。横シンリダ３２は、アーム３４に水平揺動自在 に支持され、かつ復帰ばね（図示せず）で所定の斜め角度となる中立位置に弾性 的に保持される。水平支持アーム３４は、走行搬送機７上に設けられた格納用シ リンダ３６の進退ロッド３６ａに連結されている。

【００１５】 この板材搬送装置５による板材Ｗ１，Ｗ２の搬入・搬出動作を説明する。 まず、概略動作を説明すると、一枚分離装置１２によって分離された材料板材 Ｗ１を、走行搬送機７によってパンチプレス１へ搬入し、搬入完了した走行搬送 機７は搬出側で待機し、加工された製品板材Ｗ２を搬出する。その後、走行搬送 機７は、案内軌道６の帰路を搬入側へ移動する。このような動作を、２台の走行 搬送機７で互いに入れ替わりながら並行して行う。

【００１６】 上記動作の詳細を説明する。１台の走行搬送機７が板材搬入ステーション３の 上方に位置するとき、もう１台の走行搬送機７は板材搬出ステーション４の後部 上方に位置する。この状態で、板材搬出ステーション３では、一枚分離装置１２ によって材料台車１１上の材料板材Ｗ１の一枚分離が行われ、その材料板材Ｗ１ の端部が板材搬入ステーション３の上方に待機する走行搬送機７のグリッパ８に よって把持される。

【００１７】 この材料板材Ｗ１を把持した走行搬送機７が、案内軌道６の下側の往路をパン チプレス１に向って走行し、これによりグリッパ８で把持された材料板材Ｗ１が 材料台車１１上からパンチプレス１のワークテーブル２上へ搬入される。この走 行途中で、縦シリンダ３１の駆動により吸着パッド９を図５に鎖線で示すように 降下させ、吸着パッド９で材料板材Ｗ１の一部を真空吸着させる。

【００１８】 材料板材Ｗ１がワークテーブル２上に搬入されると、グリッパ８による材料板 材Ｗ１の把持を解除し、横シリンダ３２で吸着パッド９を図６に矢印Ｆで示すよ うに斜め方向に前進させる。これにより材料板材Ｗ１の１辺がワークホルダ１６ に、他の１辺がワークテーブル２上のエンドロケータ１７に押し当てられて、材 料板材Ｗ１がワークテーブル２上の所定位置に位置決めされる。この位置決め状 態で、ワークホルダ１６による材料板材Ｗ１の把持が行われる。

【００１９】 材料板材Ｗ１の搬入を完了した走行搬送機７は、図７のようにワークテーブル ２の板材搬出ステーション４側の端部まで移動して待機する。このように、搬入 の完了した走行搬送機７を板材搬出ステーション４側へ移動させるので、搬入側 へ戻す場合に比べて、パンチプレス１の加工開始のタイミングを早めることがで きる。そのため、サイクルタイムを短縮できる。

【００２０】 加工の完了した製品板材Ｗ２は、図８のようにワークテーブル２の端部で待機 する走行搬送機７のグリッパ８で把持され、走行搬送機７の走行によりストック コンベヤ１９上に引き込まれる（図９）。この引き込み動作の後、ストックコン ベヤ１９のコンベヤローラ２０が退避し、グリッパ８が開かれて、製品板材Ｗ２ は製品台車２２上に落下して積載される。積載動作については後に詳述する。

【００２１】 この製品板材Ｗ２の搬出動作に伴い、先に案内軌道６の上側の帰路を走行して いたもう１台の走行搬送機７は、板材搬入ステーション３の上方まで復帰する。 以上の動作を繰り返すことにより、パンチプレス１のワークテーブル２上への材 料板材Ｗ１の搬入と、ワークテーブル２上からの製品板材Ｗ２の搬出とが順次繰 り返される。このように、従来のようなローダとアンローダとの区別なしに、２ 台の同じ構成の走行搬送機７で搬入と搬出が行える。 また、この板材搬送装置によると、次のように位置決め用の吸着パッド９を利 用して製品板材Ｗ２の積載時の流れ防止が行える。すなわち、前記のストックコ ンベヤ１９での積載過程において、グリッパ８で端部を把持した状態の板材Ｗ２ が、コンベヤローラ２０の退避により製品台車２２の積載済み板材Ｗ２上に落下 しても、グリッパ８は直ぐには開かず、その板材Ｗを吸着パッド９で積載済み板 材Ｗ２上へ吸着状態で押し付けた後に開く。その後、吸着パッド９を吸引解除し て上昇させる。このように、板材Ｗ２を押し付けた状態でグリッパ８を開くこと により、板材Ｗ２のグリッパ８で把持されていた部分が落下するときに、板材Ｗ ２が積載済み板材Ｗ２上で滑って流れることが防止され、整然と積載することが できる。

【００２２】 なお、吸着パッド９を吊持する水平支持アーム３４は、板材搬出ステーション ３の上方において案内軌道６の下側往路から上側帰路に走行搬送機７が周回移動 するときに、周辺設備等と干渉することがないように、図１０のように格納用シ リンダ３６の駆動によって走行搬送機７の背面に沿うように格納される。なお、 水平支持アーム３４は、ワークテーブル２上で材料板材Ｗ１を位置決めする場合 の他は、常に格納状態としてもよい。

【００２３】

【考案の効果】

この考案の板材搬送装置は、板材加工機のテーブルの上方にテーブル幅よりも 長く設置されて往路および帰路が互いに下，上に位置する無端の案内軌道と、こ の案内軌道に沿って走行する走行搬送機と、この走行搬送機に設けられて板材を 把持する把持具とを設けたため、板材加工機に対する板材の搬入・搬出を簡単な 構成で行うことができる。

【００２４】 また、請求項２記載の板材搬送装置によると、前記把持具として、板材端部を 把持するグリッパおよび板材の真空吸着を行う吸着パッドを用い、その吸着パッ ドを走行搬送機に対して走行方向の斜め方向に進退させる位置決め機構を設けた ため、搬入した板材を板材加工機のテーブル上に位置決めすることができる。 しかも、搬出した板材の積載時の流れ防止を、位置決め用の吸着パッドを利用 して実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の板材搬送装置を使用した板材加工ラ
インの正面図である。

【図２】同板材加工ラインの正面図である。

【図３】この考案の板材搬送装置の一実施例の要部を示
す正面図である。

【図４】同板材搬送装置の平面図である。

【図５】同板材搬送装置の板材搬入動作を示す説明図で
ある。

【図６】同板材搬送装置の板材位置決め動作を示す説明
図である。

【図７】同板材搬送装置の板材搬出待機動作を示す説明
図である。

【図８】同板材搬送装置の板材搬出開始動作を示す説明
図である。

【図９】同板材搬送装置の板材搬出動作を示す説明図で
ある。

【図１０】同板材搬送装置における吸着パッド格納動作
を示す説明図である。

【符号の説明】

１…タレットパンチプレス、２…ワークテーブル、３…
板材搬入ステーション、４…板材搬出ステーション、５
…板材搬送装置、６…無端案内軌道、７…走行搬送機、
８…グリッパ（把持具）、９…吸着パッド（把持具）、
２３…ガイドローラ、２４…ラック、２５…ピニオン、
２６…走行モータ、３１…縦シリンダ、３２…横シリン
ダ、３３…位置決め機構、Ｗ１…材料板材、Ｗ２…製品
板材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 板材加工機のテーブルの上方にテーブル
   幅よりも長く設置されて往路および帰路が互いに下，上
   に位置する無端の案内軌道と、この案内軌道に沿って走
   行する走行搬送機と、この走行搬送機に設けられて板材
   を把持する把持具とを備えた板材搬送装置。
2. 【請求項２】 把持具が板材端部の把持および板材の真
   空吸着を各々行うグリッパおよび吸着パッドであって、
   その吸着パッドを走行搬送機に対して走行方向の斜め方
   向に進退させる位置決め機構を設けた請求項１記載の板
   材搬送装置。