JPH0725844B2 - 液状α−オレフイン系ランダム共重合体、その製法および用途 - Google Patents

液状α−オレフイン系ランダム共重合体、その製法および用途

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JPH0725844B2 JP20183886A JP20183886A JPH0725844B2 JP H0725844 B2 JPH0725844 B2 JP H0725844B2 JP 20183886 A JP20183886 A JP 20183886A JP 20183886 A JP20183886 A JP 20183886A JP H0725844 B2 JPH0725844 B2 JP H0725844B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は液状α−オレフイン系ランダム共重合体、その
製造法並びにオレフイン系重合体用改質剤及び合成潤滑
油としてのその用途に関する。さらに詳しくは、分子量
分布および組成分布が狭く且つ液状のα−オレフイン系
ランダム共重合体、その製造法並びにオレフイン系重合
体用改質剤および合成潤滑油としてのその用途に関す
る。
[従来の技術] カチオン重合触媒を用いるα−オレフインの重合により
液状α−オレフイン重合体及び共重合体が得られること
は公知である。例えば、触媒としてR3Al/炭化水素ハロ
ゲン化物を用いる方法(特開昭60-61542号)、触媒とし
てRnAlX3-n/RXを用いる方法(特開昭60-61538号)、触
媒としてWF6/分岐アルコールを用いる方法(米国特許
第4,451,684号、同第4,319,065号)、触媒としてBF3
シリカを用いる方法(米国特許第4,365,105号、同第4,4
29,177号)、触媒としてBF3/アルコールを用いる方法
(米国特許第4,417,082号、同第4,434,309号)が開示さ
れている。しかしながら、このようなカチオン重合触媒
を用いて得られる液状α−オレフイン重合体ないし共重
合体は分子量分布が広く、分子構造が一様ではない。
チタン化合物と有機アルミニウム化合物からなるチタン
系触媒を用いるα−オレフインの重合により液状α−オ
レフイン重合体ないし共重合体が得られることも公知で
ある(米国特許第3,156,736号明細書、米国特許第873,0
64号明細書、特公昭42-25,381号公報、特開昭49-113,89
0号公報、特開昭49-113,889号公報)。しかし、チタン
系触媒で得られる液状α−オレフイン共重合体は一般に
ランダム共重合性に劣り、分子量分布および組成分布が
広く、合成潤滑油としての性能が劣っている。
一方、新しいチーグラー型オレフイン重合触媒としてジ
ルコニウム化合物およびアルミノオキサンからなる触媒
及びそれを用いるα−オレフインの重合によつて得られ
るα−オレフイン系重合体も公知である。
特開昭58-19309号公報には、下記式(シクロペンタジエ
ニル)MeRHal ここで、Rはシクロペンタジエニル、C1〜C6−アルキ
ル、ハロゲンであり、Meは遷移金属であり、Halはハロ
ゲンである、 で表わされる遷移金属含有化合物と、下記式 Al2OR4(Al(R)-O)n ここで、Rはメチル又はエチルであり、nは4〜20の数
である。
で表わされる線状アルミノキサン又は下記式 (Al(R)-O)n+2 ここで、Rおよびnの定義は上記に同じである、 で表わされる環状アルミノキサンとから成る触媒の存在
下、エチレン及びC3〜C12のα−オレフインの1種又は
2種以上を−50℃〜200℃の温度で重合させる方法が記
載されている。同公報には、得られるポリエチレンの密
度を調節するには、10重量%までの少量の幾分長鎖のα
−オレフイン又は混合物の存在下でエチレンの重合を行
うべきことが記載されている。
特開昭59-95292号公報には、下記式 ここで、nは2〜40であり、RはC1〜C6アルキルであ
る。
で表わされる線状アルミノキサンおよび下記式 ここで、nおよびRの定義は上記に同じである、 で表わされる環状アルミノキサンの製造法に関する発明
が記載されている。同公報には、同製造法により製造さ
れた例えばメチルアミノキサンとチタン又はジルコンの
ビス(シクロペンタジエニル)化合物とを混合して、オ
レフインの重合を行うと、1gの遷移金属当り且つ1時間
当り、25百万g以上のポリエチレンが得られると記載さ
れている。
特開昭60-35005号公報には、下記式 ここで、R1はC1〜C10アルキルであり、R0はR1であるか
又は結合して‐O-を表わす、 で表わされるアルミノキサン化合物を先ずマグネシウム
化合物と反応させ、次いで反応生成物を塩素化しさらに
Ti、V、Zr又はCrの化合物で処理して、オレフイン用重
合触媒を製造する方法が開示されている。同公報には、
上記触媒がエチレンとC3〜C12α−オレフインの混合物
の共重合に特に好適であると記載されている。
特開昭60-35,006号公報には、反応器ブレンドポリマー
製造用触媒系として、異なる2種以上の遷移金属のモノ
−、ジ−もしくはトリ−シクロペンタジエニル又はその
誘導体(a)とアルモキサン(アルミノキサン)(b)
の組合せが開示されている。同公報の実施例1には、ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジメチルとアルモキサンを触媒として、エチレンとプロ
ピレンを重合せしめて、数平均分子量15,300、重量平均
分子量36,400およびプロピレン成分を3.4%含むポリエ
チレンの得られたことが開示されている。また、同実施
例2では、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジフロライド、ビス(メチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジフロライドおよびアルモキサ
ンを触媒としてエチレンとプロピレンを重合し数平均分
子量2,200、重量平均分子量11,900及び30モル%のプロ
ピレン成分を含むトルエン可溶部分と数平均分子量3,00
0、重量平均分子量7,400及び4.8モル%のプロピレン成
分を含むトルエン不溶部分から成る数平均分子量2,00
0、重量平均分子量8,300及び7.1モル%のプロピレン成
分を含むポリエチレンとエチレン・プロピレン共重合体
のブレンド物を得ている。同様にして実施例3には分子
量分布(w/n)4.57及びプロピレン成分20.6モル%
の可溶性部分と分子量分布3.04及びプロピレン成分2.9
モル%の不溶性部分から成るLLDPEをエチレン−プロピ
レン共重合体のブレンド物が記載されている。
特開昭60-35007号公報には、エチレンを単独で又は炭素
数3以上のα−オレフインと共に、メタロセンと下記式 (R-Al-O)n ここで、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1
〜20の整数である、 で表わされる環状アルモキサン又は下記式 R(R-Al-O)nAlR2 ここで、Rおよびnの定義は上記に同じである、 で表わされる線状アルモキサンとを含む触媒系の存在下
に重合させる方法が記載されている。同方法により得ら
れる重合体は、同公報の記載によれば、約500〜約140万
の重量平均分子量を有し且つ1.5〜4.0の分子量分布を有
する。
また、特開昭60-35008号公報には、少くとも2種のメタ
ロセンとアルモキサンを含む触媒系を用いることによ
り、巾広い分子量分布を有するポリエチレン又はエチレ
ンとC3〜C10のα−オレフインの共重合体が製造される
ことが記載されている。同公報には上記共重合体が分子
量分布(w/n)2〜50を有することが記載されてい
る。
しかしながら上記の一連の先行技術文献のいずれにも液
状α−オレフイン系共重合体を示唆する記載は認められ
ない。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は新規な液状α−オレフイン系ランダム共
重合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、分子量分布および組成分布が狭く
且つ液状のα−オレフイン系ランダム共重合体を提供す
ることにある。
本発明のさらに他の目的は、粘度指数および引火点が高
くそして流動点が低い液状α−オレフイン系ランダム共
重合体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、剪断安定性、酸化安定性お
よび熱安定性が優れ、しかも優れた油膜強度を与える液
状α−オレフイン系ランダム共重合体を提供することに
ある。
本発明のさらに他の目的は潤滑油として適当な上記の如
き優れた性能を備えた液状α−オレフイン系ランダム共
重合体から成る合成潤滑油を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は合成潤滑油の他に潤滑油添加
剤、燃料油添加剤あるいはポリオレフイン、ゴム状重合
体などの改質剤としても有用な液状α−オレフイン系ラ
ンダム共重合体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は無水マレイン酸等と反応し得
る二重結合を分子末端に有し、それ故種種の目的に応じ
改質が容易な液状のα−オレフイン系ランダム共重合体
を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記α−オレフイ
ン系ランダム共重合体を製造する方法を提供することに
ある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明
らかとなろう。
[問題点を解決するための手段および作用] 本発明のかかる目的および利点は、本発明によれば、 炭素原子数3〜20のα−オレフインから誘導された液状
α−オレフイン系ランダム共重合体であつて、 (a)1種のα−オレフインから誘導された繰返し単位
の含有率が1〜99モル%の範囲にあり、該1種のα−オ
レフイン以外のα−オレフインから誘導された繰返し単
位の含有率が99〜1モル%の範囲にあり、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
0.005〜0.4dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイ(GPC)
で求めた分子量分布(w/n)が3.0以下であり、 (d)13C‐NMRスペクトルにおいて共重合体主鎖中の隣
接した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン
連鎖に基くシグナルが観測されず、 そして (e)沃素価が0〜85の範囲にある、 ことを特徴とする液状α−オレフイン系ランダム共重合
体によつて達成される。
上記本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体
は、本発明によれば、 (A)共役π電子を有する基を配位子とした下記式(II
I) R1R2R3ZrH ・・・(III) ここでR1はシクロアルカジエニル基を示し、R2およびR3
はシクロアルカジエニル基、アリール基、アルキル基、
ハロゲン原子または水素原子である、 で示されるジルコニウムハイドライド化合物、および (B)アルミノオキサン から成る触媒の存在下に、2種又は2種以上の炭素原子
数3〜20のα−オレフインを共重合せしめる本発明方法
によつて製造することができる。
シクロアルカジエニル基は、例えばシクロペンタジエニ
ル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペ
ンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、イ
ンデニル基、テトラヒドロインデニル基等である。
R2およびR3のアルキル基としては例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などを例
示することができ、アリール基としては、例えばフエニ
ル基、アラルキル基としてはベンジル基、ネオフイル基
などを例示することができ、ハロゲン原子としてはフツ
素、塩素、臭素などを例示することができる。該ジルコ
ニウムハイドライド化合物としては次の化合物を例示す
ることができる。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリ
ドモノハイドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノブロミ
ドモノハイドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムハイ
ドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムハイ
ドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニ
ウムハイドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)フエニルジルコニウムハ
イドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムハ
イドライド、 ビス(シクロペンタジエニル)ネオペンチルジルコニウ
ムハイドライド、 ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムモノ
クロリドモノハイドライド、 ビスインデニルジルコニウムモノクロリドモノハイドラ
イド。
上記ジルコニウムハイドライド化合物はそのまま使用し
ても差支えないが、ビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムモノクロリドモノハイドライドのようなトルエ
ン等の溶媒に難溶な化合物は有機アルミニウム化合物と
接触させた後使用することが好ましい。この操作によ
り、溶媒難溶のジルコニウムハイドライド化合物を溶媒
易溶性とすることができる。
上記ジルコニウムハイドライド化合物と接触させる有機
アルミニウム化合物は具体的には、トリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウ
ムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニル
アルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウム
エトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジ
アルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルミニウ
ムセスキメトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキ
シドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシドの
ほかに、R1 2.5Al(OR2)0.5などで表わされる平均組成を
有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウ
ム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニ
ウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドのような
ジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウム
セスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドの
ようなアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルア
ルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド
のようなアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的
にハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示で
きる。
両者化合物の反応は光をしゃ断し、炭化水素媒体中で行
うのが好ましく、有機アルミニウム化合物とジルコニウ
ム化合物の混合モル比(Al/Zr)は0.5ないし30、好まし
くは1ないし20とし、ジルコニウムの濃度は液相1当
り0.001ないし1モル、好ましくは0.005乃至0.1モル程
度に保ち、反応温度を0ないし120℃、好ましくは20な
いし100℃程度とし両者を接触させればよい。上記炭化
水素媒体としては、後記重合用溶媒として例示したもの
から選択することができる。
本発明方法において使用される触媒構成成分のアルミノ
オキサン(B)として具体的には、一般式(IV)又は一
般式(V) (式中、Rは炭化水素基を示し、mは好ましくは20以上
の整数を示し、とくに好ましくは25以上の整数を示す)
で表わされる有機アルミニウム化合物を例示することが
できる。該アルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であ
り、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好ましくは
メチル基であり、mは好ましくは20以上、とくに好まし
くは25以上の整数、とりわけ好ましくは30ないし100の
範囲の整数である。該アルミノオキサンの製造法として
たとえば次の方法を例示することができる。
(1)吸着水を含有する化合物、結晶水を含有する緑
類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、
硫酸アルミニウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液にト
リアルキルアルミニウムを添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムに
直接水を作用させる方法。
これらの方法のうちでは(1)の方法を採用するのが好
ましい。なお、該アルミノオキサンには少量の有機金属
成分を含有していても差しつかえない。
本発明の方法において、重合反応系に供給される原料が
2種又は2種以上の炭素原子数3〜20のα−オレフイン
の混合物である。重合原料であるα−オレフインの混合
物中の1種のα−オレフインの割合は1〜99モル%、好
ましくは3〜97モル%、よりこのましくは5〜95モル%
の範囲にある。
本発明の方法において重合原料として使用される炭素数
3〜20のα−オレフインとして具体的には、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペン
テン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−
テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、
1−エイコセンなどが例示できる。
本発明の方法において、オレフインの重合反応は通常は
炭化水素媒体中で実施される。炭化水素媒体として具体
的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オ
クタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカ
ンなどの脂肪族系炭化水素、シクロペンタン、メチルシ
クロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの
脂環族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族系炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分などの他に、原料のα−オレフインも炭化水素媒体
となる。これらの炭化水素媒体の中では、芳香族系炭化
水素が好ましい。
本発明の方法において、重合反応の際の温度は−50ない
し120℃、好ましくは−30ないし100℃、とくに好ましく
は−20ないし80℃の範囲である。
本発明の方法を実施する際の該ジルコニウムハイドライ
ド化合物(A)の使用割合は、重合反応系内のジルコニ
ウム金属原子の濃度として通常は10-8ないし10-2グラム
原子/l、好ましくは10-7ないし10-3グラム原子/lの範囲
である。また、アルミノオキサンの使用割合は、重合反
応系内のアルミニウム原子の濃度として通常は10-4ない
し10-1グラム原子/l、好ましくは10-3ないし5×10-2
ラム原子/lの範囲であり、また重合反応系内のジルコニ
ウム金属原子に対するアルミニウム金属原子の比として
通常は25ないし107、好ましくは102ないし106の範囲で
ある。共重合体の分子量は、水素及び/又は重合温度に
よつて調節することができる。
本発明の方法において、共重合反応を水素の不存在下に
行うと沃素価が高い液状α−オレフイン系ランダム共重
合体を得ることができ、水素の存在下に行うことにより
沃素価の低い液状α−オレフイン系ランダム共重合体を
得ることができる。
本発明の方法において、重合反応が終了した重合反応混
合物を常法によつて処理することにより本発明の上記液
状α−オレフイン系ランダム共重合体を得ることができ
る。
さらに、上記方法で得られた沃素価の高い液状α−オレ
フイン系ランダム共重合体を水素化触媒の存在下に常法
に従つて水素化することによつて沃素価がより低い液状
α−オレフイン系ランダム共重合体また沃素価が0の液
状α−オレフイン系ランダム共重合体を得ることができ
る。水素化触媒としては、鉄、コバルト、ニツケル、ロ
ジウム、パラジウム、白金などの第VII族金属を使用す
ることができる。これらの中でニツケル、特にラネ−ニ
ツケルが好ましい。また、水素化反応は溶媒の存在下に
実施することもできるし、溶媒の不存在下に実施するこ
ともできる。溶媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、シクロオクタンなどの炭化水素などを例示す
ることができる。水素化反応の際の温度はたとえば50〜
250℃、好ましくは100〜200℃である。水素化反応の際
の圧力は、たとえば5〜100Kg/cm2−Gの範囲である。
本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体は、25
℃において透明な液状共重合体である。
本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体の組成
は1種のα−オレフインから誘導された繰返し単位の含
有率が1〜99モル%、好ましくは2〜98モル%、より好
ましくは3〜97モル%の範囲にあり、該1種のα−オレ
フイン以外のα−オレフインから誘導された繰返し単位
の含有率が99〜1モル%、好ましくは98〜2モル%、よ
り好ましくは97〜3モル%の範囲にある。
また本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体の
ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイー(FPC)によ
つて測定した分子量分布(w/n)は3.0以下、好ま
しくは2.5以下、とくに好ましくは2以下の範囲であ
る。該液状α−オレフイン系共重合体の分子量分布が3.
0より大きくなると、同一の分子量のもので比較した場
合には、引火点が低くしかも流動点が高いという欠点を
有している。尚、w/n値の測定は、竹内著、丸善発
行の「ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイー」に準
じて次の如く行う。
(1)分子量既知の標準ポリスチレン(東洋ソーダ
(製)単分散ポリスチレン)を使用して、分子量Mとそ
のGPC(Gel Permeation Chromatograph)カウントを測
定し、分子量MとEV(Elution Volume)の相関図較正曲
線を作成する。この時の濃度は、0.02wt%とする。
(2)GPC測定により資料のGPCクロマトグラフをとり、
前記(1)によりポリスチレン換算の数平均分子量
n、重量平均分子量wを算出しw/n値を求める。
その際のサンプル調製条件およびGPC測定条件は以下の
通りである。
[サンプル調製] (イ)試料を0.1wt%になるようにトルエン溶媒ととも
に三角フラスコに分取する。
(ロ)三角フラスコを70℃に加温し、約30分間攪拌し、
溶解させる。
(ハ)その液をGPCにかける。
[GPC測定条件] 次の条件で実施した。
(イ)装置 Waters社製(150C− ALC/GPC) (ロ)カラム Dupont社製(ZORBAX PSM BiModal−s) (ハ)サンプル量 200μl (ニ)温度 70℃ (ホ)流速 1ml/min さらに、本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合
体の13C-NMRスペクトル中には、共重合体主鎖中の隣接
した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン連
鎖に基づくシグナルが観測されない。
例えば、プロピレンと1−ヘキセンの共重合体において
下記結合、 では、いすれの隣接した2個の三級炭素原子間には1個
の独立したメチレン基のシグナルが観測されるが、2個
の連続したメチレン連鎖に基づくシグナルは観測されな
い。このことは、該重合体において、プロピレンと1−
ヘキセン成分が共重合する際に、いずれの成分も規則正
しい頭尾結合配列をしていることを示している。
一方、プロピレンと1−ヘキセンの共重合体において、
下記結合、 では、隣接した2個の炭素原子間には2個の連続したメ
チレン連鎖に基づくシグナルが観測される。このこと
は、該共重合体においてプロピレンと1−ヘキセン成分
が共重合する際に、頭頭結合、尾尾結合が存在すること
を示している。
なお、該重合体の13C-NMRの測定は、例えば、10nmφの
試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタ
ジエンに溶解した溶液を、通常、測定温度120℃、測定
周波数25.05MHz、スペクトル幅1500HZ、フイルター幅15
00HZ、パルス繰返し時間4.2秒、パルス幅7μ秒、積算
回数2000〜5000回の条件で測定した。
スペクトルの解析はL>P.Lindeman,Anal.Chem.,43,124
5(1971)、J.C.Randall,Macromolecular,11、592(197
8)らの報告に基づいて行った。
本発明の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
は0.005ないし0.4dl/g、好ましくは0.01ないし0.3dl/
g、より好ましくは0.01ないし0.25dl/gの範囲にある。
本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体の沃素
価は0〜85、好ましくは0〜70の範囲にある。本発明の
液状α−オレフイン系ランダム共重合体は、その沃素価
が0より大きい正の値である場合には、その共重合体分
子の片末端に該α−オレフイン単位に基づく炭素・炭素
不飽和結合を有しているかまたは片末端に該α−オレフ
イン単位に基づく炭素・炭素不飽和結合を有しているも
のと該共重合体分子の片末端に該炭素・炭素不飽和結合
を有していないものとの混合物であり、沃素価が0であ
る場合にはその共重合体分子は不飽和結合を有していな
い。該液状α−オレフイン系ランダム共重合体を潤滑油
として利用する場合には、その沃素価は0〜0.5、好ま
しくは0〜0.3、とくに好ましくは0〜0.1の範囲のもの
が好適である。
以上の説明から明らかなとおり本発明の液状α−オレフ
イン系ランダム共重合体はモノマーの結合方向が規則的
であることがわかる。
本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体は通常
100〜350の粘度指数、240℃以上の引火点、および0℃
以下の流動点を示す。
本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体は、チ
タン系触媒を用いて得られた共重合体と比較して、分子
量分布および組成分布が狭く且つ潤滑油に必要とされる
種々の性質において優れている。
また、本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体
はオレフイン系重合体、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテンなどの耐
衝撃性、とくに低温耐衝撃性の改善に使用することがで
きる。
[実施例] 次に、本発明の方法を実施例によつて具体的に説明す
る。
実施例1 ジルコニウム触媒の調製 充分に窒素置換した100mlのガラス製フラスコにトルエ
ン30mlとビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモ
ノクロリドモノハイドライド2ミリモルを装入しスラリ
ー状にした。それにトルエンで希釈したトリメチルアル
ミニウム(1M溶液)20ミルモルを室温下で滴下した。滴
下終了後、60℃に昇温し1時間反応させた。ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイ
ドライドはトルエンに溶解し溶液は暗赤色となつた。
尚、上記反応は光をしや断して行つた。
メチルアルミノオキサンの調製 充分にアルゴンで置換した400mlのガラス製フラスコに
塩化マグネシウムの6水和物13.9gとトルエン125mlを装
入し、0℃に冷却後、トルエン125mlで希釈したトリメ
チルアルミニウム250ミリモルを滴下した。滴下終了
後、70℃に昇温しその温度で96時間反応させた。反応
後、過により固液分離を行い更に、分離液より減圧下
にトルエンを除去し白色固体のメチルアルミノオキサン
7.3gを得た。ベンゼン中での凝固点降下により求められ
た分子量は1910であり、該アルミノオキサンのm値は31
であった。尚、重合時には前記アルミノオキサンをトル
エンに再溶解して用いた。
重合 2l連続重合反応器を用いて、精製トルエンを0.25l/hr、
メチルアルミノオキサンをアルミニウム原子換算で2.5
ミリグラム原子/hr、前記で調製したジルコニウム触媒
をジルコニウム原子換算で1×10-2ミリグラム原子/hr
の割合で連続的に供給し、重合反応器内において同時に
プロピレンを75l/hr、ヘキセン−1を0.25l/hrの割合で
連続的に供給し、重合温度50℃、常圧、滞留時間2時間
及びポリマー濃度37g/lとなる条件下に重合を行った。
生成したポリマー溶液を重合反応器より連続的に抜き出
し、少量のメタノールを添加することにより重合を停止
した。そのポリマー溶液に多量の水を加え水洗する操作
を4回繰り返した。その後ポリマー溶液よりトルエンを
除去することにより無色透明な液状ポリマーを得た。さ
らに、この液状ポリマーを130℃で12時間減圧(150mmH
g)乾燥した。この液状ポリマーは、プロピレン含量10
モル%、[η]0.01dl/g、w/n1.80、100℃での動粘
度5.8cst、粘度指数138、屈折率1.4586および沃素価58
であつた。
得られた共重合体の13C-NMRスペクトルには、共重合体
主鎖中の隣接した2個の3級炭素原子間に2個の連続し
たメチレン連鎖に基づくシグナルは観測されなかつた。
単位ジルコニウム当りの活性は1850g−ポリマー/ミリ
グラム原子−Zrであつた。
実施例2〜11 表1に示した条件下に重合を行った以外は実施例1と全
く同様に行った。なお、得られた共重合体の13C-NMRス
ペクトルには実施例1と同様2個の連続したメチレン連
鎖に基づくシグナルは観測されなかった。結果を表2に
示した。
実施例12 実施例1において、ヘキセン−1を0.03l/hr、デセン−
1を0.22l/hr連続的に供給し、15℃で重合した以外は、
実施例1と全く同様に行った。得られた液状ポリマーは
ヘキセン−1含量18モル%、[η]0.05dl/g、w/n
1.89、100℃での動粘度。95cst、粘度指数176および沃
素価17であつた。得られた共重合体の13C-NMRスペクト
ルには共重合体主鎖中の隣接した2個の3級炭素原子間
に2個の連続したメチレン連鎖に基づくシグナルは観測
されなかつた。単位ジルコニウム当りの活性は980g−ポ
リマー/ミリグラム原子−Zrであつた。
応用例1 密度0.831g/cm3、[η]3.8dl/gのポリ4−メチルペン
テン−1のパウダー100重量部に対し、実施例1で得ら
れたプロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合体を5重
量部配合しヘンシエルミキサーで混合した。混合粉体を
20mmφ押出機により280℃で溶融混練した後、プレス成
形機により、270℃、加圧5分で1mm厚および2mm厚のシ
ートを成形した。このシートを用い透明性、初期弾性
率、アイゾット衝撃強度の試験を行つた。結果を表3に
示した。
応用2〜4比較応用例1 表3に示したα−オレフインランダム共重合体を用いた
以外は応用例1と同様に行った。結果を表3に示した。
応用例5 2lのステンレス製オートクレーブにシクロヘキサン1
、実施例3で得られた液状ポリマー100gおよびニツケ
ル触媒4g(日輝化学製N−103)を装入し、水素圧25Kg/
cm2ゲージ、150℃で4時間水添反応を行った。反応後、
更にシクロヘキサンを除去し、130℃で減圧下(150mmH
g)に12時間乾燥した。得られた液状ポリマーは100℃で
の動粘度7.0cst、粘度指数182、引火点245℃、流動点−
55.0℃、比重0.820g/cm3および沃素価0.3であつた。
応用例6〜8 実施例6,9,11で得られた液状ポリマーを応用例5と同様
に水添反応を行った。結果を表4に示した。
[発明の効果] 本発明の液状α−オレフイン系ランダム共重合体は分子
量分布および組成分布が狭い。本発明の液状α−オレフ
イン系ランダム共重合体はオレフイン系重合体用改質剤
として用いることができる。本発明の液状α−オレフイ
ン系ランダム共重合体をオレフイン系重合体に添加する
とオレフイン系重合体の耐衝撃性が改善される。そし
て、該共重合体を水添したものは粘度指数および引火点
が高く、流動点が低く、剪断安定性、酸化安定性および
熱安定性に優れしかも優れた油膜強度を有する。そのた
め合成潤滑油として用いられる。また、本発明の液状α
−オレフイン系ランダム共重合体は無水マレイン酸等の
反応しうる二重結合を分子末端に有するため、種々の目
的に応じ改質するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る触媒の調製工程を示すフローチ
ャート図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子数3〜20のα−オレフインから誘
    導された液状α−オレフイン系ランダム共重合体であつ
    て、 (a)1種のα−オレフインから誘導された繰返し単位
    の含有率が1〜99モル%の範囲にあり、 該1種のα−オレフイン以外のα−オレフインから誘導
    された繰返し単位の含有率が99〜1モル%の範囲にあ
    り、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
    0.005〜0.4dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイ(GPC)
    で求めた分子量分布(w/n)が3.0以下であり、 (d)13C‐NMRスペクトルにおいて共重合体主鎖中の隣
    接した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン
    連鎖に基くシグナルが観測されず、 そして (e)沃素価が0〜85の範囲にある、 ことを特徴とする液状α−オレフイン系ランダム共重合
    体。
  2. 【請求項2】(A)共役π電子を有する基を配位子とし
    た下記式(III) R1R2R3ZrH ・・・(III) ここでR1はシクロアルカジエニル基を示し、R2およびR3
    はシクロアルカジエニル基、アリール基、アルキル基、
    ハロゲン原子または水素原子である、 で示されるジルコニウムハイドライド化合物、および (B)アルミノオキサン から成る触媒の存在下に、2種又は2種以上の炭素原子
    数3〜20のα−オレフインを共重合せしめることを特徴
    とする (a)1種のα−オレフインから誘導された繰返し単位
    の含有率が1〜99モル%の範囲にあり、 該1種のα−オレフイン以外のα−オレフインから誘導
    された繰返し単位の含有率が99〜1モル%の範囲にあ
    り、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
    0.005〜0.4dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイ(GPC)
    で求めた分子量分布(w/n)が3.0以下であり、 (d)13C‐NMRスペクトルにおいて共重合体主鎖中の隣
    接した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン
    連鎖に基くシグナルが観測されず、 そして (e)沃素価が0〜85の範囲にある、 炭素原子数3〜20のα−オレフインから誘導された液状
    α−オレフイン系ランダム共重合体の製造法。
  3. 【請求項3】(a)1種のα−オレフインから誘導され
    た繰返し単位の含有率が1〜99モル%の範囲にあり、 該1種のα−オレフイン以外のα−オレフインから誘導
    された繰返し単位の含有率が99〜1モル%の範囲にあ
    り、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
    0.005〜0.4dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイ(GPC)
    で求めた分子量分布(w/n)が3.0以下であり、 (d)13C‐NMRスペクトルにおいて共重合体主鎖中の隣
    接した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン
    連鎖に基くシグナルが観測されず、 そして (e)沃素価が0〜85の範囲にある、 炭素原子数3〜20のα−オレフインから誘導された液状
    α−オレフイン系ランダム共重合体から成るオレフイン
    系重合体用耐衝撃性改質剤。
  4. 【請求項4】(a)1種のα−オレフインから誘導され
    た繰返し単位の含有率が1〜99モル%の範囲にあり、 該1種のα−オレフイン以外のα−オレフインから誘導
    された繰返し単位の含有率が99〜1モル%の範囲にあ
    り、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
    0.005〜0.4dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイ(GPC)
    で求めた分子量分布(w/n)が3.0以下であり、 (d)13C‐NMRスペクトルにおいて共重合体主鎖中の隣
    接した2個の3級炭素原子間に2個の連続したメチレン
    連鎖に基くシグナルが観測されず、 そして (e)沃素価が0〜85の範囲にある、 炭素原子数3〜20のα−オレフインから誘導された液状
    α−オレフイン系ランダム共重合体から成る合成潤滑
    油。
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