JP2685263B2 - プロピレン系ランダム共重合体およびその製造方法 - Google Patents

プロピレン系ランダム共重合体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、新規なプロピレン系ランダム共重合体およ
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、従来公知のプ
ロピレン系ランダム共重合体と比較して低融点を有し、
特にヒートシール性、耐ブロッキング性に優れた新規な
プロピレン系ランダム共重合体およびその製造方法に関
する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 ポリプロピレンは優れた物理的性質を有しているた
め、広汎な用途に供されている。たとえばポリプロピレ
ンは包装用フィルムとして広く使用されているが、ポリ
プロピレンは融点が比較的高いためこの種の用途におい
ては低温度におけるヒートシール性を向上させるため、
一般にプロピレンにエチレンあるいは炭素数4〜20のα
−オレフィンを共重合させ、プロピレン・α−オレフィ
ン共重合体として用いられている。
このような従来公知のプロピレン・α−オレフィン共
重合体からなる包装用フィルムは、低密度ポリエチレン
からなるフィルムと比較して透明性および耐スクラッチ
性には優れているが、なお低温におけるヒートシール性
が充分ではなく、さらに低温におけるヒートシール性に
優れたプロピレン・α−オレフィン共重合体の出現が望
まれている。
上記のようなプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体のヒートシール性を改良するには、プロピレンに
対するエチレンあるいは炭素数4〜20のα−オレフィン
の共重合量を増加されればよいことが知られているが、
もしエチレンあるいは炭素数4〜20のα−オレフィンの
共重合量を増加させると、得られるプロピレン・α−オ
レフィン共重合体は溶媒可溶分量が多くなって耐ブロッ
キング性に劣るようになるとともに剛性にも劣るように
なってしまう。
このように低温におけるヒートシール性、耐ブロッキ
ング性、剛性に優れたプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体を得るには、α−オレフィンの共重合量が
少ないにもかかわらず低融点を有しているプロピレン・
α−オレフィンランダム共重合体の出現が必要である。
ところで従来プロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体を製造するには、一般にチタニウムまたはバナジ
ウム化合物と、有機アルミニウム化合物からなるオレフ
ィン重合触媒が用いられてきたが、近年、新しいチーグ
ラー型オレフィン重合触媒としてジルコニウム化合物お
よびアルミノオキサンからなる触媒が最近提案されてい
る。
特開昭58−19309号公報には、下記式 (シクロペンタジエニル)2MeRHal [ここで、Rはシクロペンタジエニル、C1〜C6のアルキ
ル、ハロゲンであり、Meは遷移金属であり、Halはハロ
ゲンである]で表わされる遷移金属含有化合物と、下記
式 Al2OR4(Al(R)−O) [ここで、Rはメチルまたはエチルであり、nは4〜20
の数である]で表わされる線状アルミノオキサンまたは
下記式 [ここで、Rおよびnの定義は上記と同じである]で表
わされる環状アルミノオキサンとからなる触媒の存在
下、エチレンおよびC3〜C12のα−オレフィンの1種ま
たは2種以上を−50℃〜200℃の温度で重合させる方法
が記載されている。同公開公報には、得られるポリエチ
レンの密度を調節するには、10重量%までの少量の幾分
長鎖のα−オレフィンまたは混合物の存在下でエチレン
の重合を行うべきことが記載されている。
特開昭59−95292号公報には、下記式、 [ここで、nは2〜40であり、RはC1〜C6]で表わされ
る線状アルミノオキサンおよび下記式 [ここで、nおよびRの定義は上記と同じである]で表
わされる環状アルミノオキサンの製造法に関する発明が
記載されている。同公報には、同製造法により製造され
た、たとえばメチルアルミノオキサンとチタンまたはジ
ルコニウムのビス(シクロペンタジエチル)化合物とを
混合して、オレフィンの重合を行なうと、1gの遷移金属
当りかつ1時間当り、25百万g以上のポリエチレンが得
られると記載されている。
特開昭60−35005号公報には、下記式 [ここで、R1はC1〜C10アルキルであり、R0はR1である
かまたは結合して−O−を表わす]で表わされるアルミ
ノオキサン化合物をまずマグネシウム化合物と反応さ
せ、次いで反応生成物を塩素化し、さらにTi、V、Zrま
たはCrの化合物で処理して、オレフィン用重合触媒を製
造する方法が開示されている。同公報には、上記触媒が
エチレンとC3〜C12のα−オレフィンの混合物の共重合
に特に好適であると記載されている。
特開昭60−35006号公報には、反応器ブレンドポリマ
ー製造用触媒系として、異なる2種以上の遷移金属のモ
ノ−、ジ−もしくはトリ−シクロペンタジエニルまたは
その誘導体(a)とアルミノオキサン(b)の組合せが
開示されている。同公報の実施例1には、ビス(ペンタ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルと
アルミノオキサンを触媒として、エチレンとプロピレン
を重合せしめて、数平均分子量15,300、重合平均分子量
36,400およびプロピレン成分を3.4%含むポリエチレン
が得られたことを開示されている。また、同実施例2で
は、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロライドと、ビス(メチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロライドおよびアルミノオキサ
ンを触媒としてエチレン、プロピレンを重合し、数平均
分子量2,200、重量平均分子量11,900および30モル%の
プロピレン成分を含むトルエン可溶部分と数平均分子量
3,000、重量平均分子量7,400および4.8モル%のプロピ
レン成分を含むトルエン不溶部分からなる数平均分子量
2,000、重量平均分子量8,300および7.1モル%のプロピ
レン成分を含むポリエチレンとエチレン・プロピレン共
重合体のブレンド物を得ている。同様にして実施例3に
は分子量分布(w/n)4.57およびプロピレン成分2
0.6%の可溶性部分と分子量分布3.04およびプロピレン
成分2.9モル%の不溶性部分からなるLLDPEとエチレン−
プロピレン共重合体のブレンド物が記載されている。
特開昭60−35007号公報には、エチレンを単独で、ま
たは炭素数3以上のα−オレフィンと共にメタロセンと
下記式 [ここで、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、nは
1〜約20の整数である]で表わされる環状アルミノオキ
サンまたは下記式 [ここで、Rおよびnの定義は上記に同じである]で表
わされる線状アルミノオキサンとを含む触媒系の存在下
に重合させる方法が記載されている。同方法により得ら
れる重合体は、同公報の記載によれば、約500〜約140万
の重量平均分子量を有し、かつ1.5〜4.0の分子量分布を
有する。
また、特開昭60−35008号公報には、少なくとも2種
のメタロセンとアルミノオキサンを含む触媒系を用いる
ことにより、巾広い分子量分布を有するポリエチレンま
たはエチレンとC3〜C10のα−オレフィンの共重合体が
製造されることが記載されている。同公報には上記共重
合体が分子量分布(w/n)2〜50を有することが記
載されている。
また、特開昭61−130314号公報には、立体的に固定し
たジルコン−キレート化合物とアルミノオキサンからな
る触媒系の存在下にプロピレンを重合するとアイソタク
チック度の高いポリプロピレンが得られることが記載さ
れている。
さらに、J.Am.Chem.Soc.,109,6544(1987)には、エ
チレンビス(インデニル)ハフハニウムジクロリドまた
はその水素化物とアルミノオキサンからなる触媒系の存
在下にプロピレンを重合すると、高分子量のアイソタク
チックポリプロピレンが生成し、その分子量分布(w/
n)は2.1〜2.4と狭いことが記載されている。
一方、特開昭63−142005号公報には、テトラメチルエ
チレンビス(シクロペンタジエニル)チタンクロライド
とアルミノオキサンとからなる触媒系により、w/n
が5.0〜14.9のステレオブロックポリプロピレンが得ら
れることが記載されている。ここで得られるプロピレン
はアイソタクチック連鎖長が短くゴム状のポリマーであ
る。
本発明者らは、特定のハフニウム化合物とアルミノオ
キサンとからなるオレフィン重合触媒の存在下にプロピ
レンと炭素数4〜20のα−オレフィンとを共重合させれ
ば、α−オレフィンの共重合量が少ないにもかかわら
ず、従来公知のプロピレン・α−オレフィン共重合体と
比較して低融点のプロピレン系ランダム共重合体が得ら
れることを見出して、本発明を完成するに至った。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術における問題点を解
決しようとするものであって、エチレンおよびα−オレ
フィンの共重合量が少ないにもかかわらず低融点を有
し、ヒートシール性に優れるとともに耐ブロッキング
性、剛性にも優れているようなプロピレン系ランダム共
重合体およびその製造方法を提供することを目的として
いる。
発明の概要 本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体は、プロ
ピレンから導かれる構成単位(a)、エチレンから導か
れる構成単位(b)および炭素数4〜20のα−オレフィ
ンから導かれる構成単位(c)からなるプロピレン系ラ
ンダム共重合体であって、 (A)前記構成単位(a)が90〜99モル%の量で、かつ
前記構成単位(b)が0.5〜9.5モル%の量で、かつ前記
構成単位(c)が0.5〜9.5モル%の量で存在し、 (B)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
0.5〜6dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、 70<Tm<155−5.5(100−P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含量(モル%)
である)の範囲にあり、 (D)沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下
である、 ことを特徴としている。
また本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体の製
造方法は、 (A)インデニル基、置換インデニル基またはその置換
体から選ばれた少なくとも2個の基が低級アルキレン基
を介して結合した多座配位化合物を配位子とするハフニ
ウム化合物、および (B)アルミノオキサンから形成される触媒の存在下
に、プロピレンとエチレンと炭素数4〜20のα−オレフ
ィンとを、得られる共重合体中にプロピレンから導かれ
る構成単位(a)が90〜99モル%の量で、エチレンから
導かれる構成単位(c)が0.5〜9.5モル%の量で、また
α−オレフィンから導かれる構成単位(c)が0.5〜9.5
モル%の量で存在し、135℃のデカリン中で測定した極
限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、示差走査熱量
計によって測定した融点[Tm]が、 70<Tm<155−5.5(100−P) (式中pは共重合体中のプロピレン成分含量(モル%)
である)の範囲にあり、沸騰トリクロロエチレン不溶分
量が5重量%以下となるように共重合させることを特徴
としている。
発明の具体的説明 以下本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体およ
びその製造方法について具体的に説明する。
本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体は、プロ
ピレンとエチレンと炭素数2〜20のα−オレフィンとの
ランダム共重合体である。このプロピレン系ランダム共
重合体において、プロピレンから導かれる構成単位
(a)は、90〜99モル%好ましくは92〜98モル%の量で
存在し、エチレンから導かれる構成単位(b)は0.5〜
9.5モル%好ましくは1〜9モル%の量で存在し、また
α−オレフィンから導かれる構成単位(c)は、0.5〜
9.5モル%好ましくは1〜9モル%の量で存在すること
が望ましい。該共重合体中のプロピレンから導かれる構
成単位(a)が90モル%未満であると、共重合体の耐ブ
ロッキング性および剛性が劣る傾向が生じる。一方99モ
ル%を超えると、共重合体の融点が高くなり、ヒートシ
ール性に劣る傾向が生じる。
本発明で用いられる炭素数4〜20のα−オレフィンと
しては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラ
デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エ
イコセンなどが用いられる。このうち特に1−ブテンが
好ましい。
また本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体は、
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6d
l/g好ましくは1〜5dl/gの範囲であることが望ましい。
この極限粘度が0.5dl/g未満であると、共重合体の耐ブ
ロッキング性および剛性が劣る傾向が生じるため好まし
くなく、一方6dl/gを超えると、成形性に劣るようにな
るため好ましくない。
さらに本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体
は、示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、 70<Tm<155−5.5(100−P) 好ましくは 90<Tm<150−5.5(100−P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含量(モル%)
である)の範囲にある。
このようなプロピレン系ランダム共重合体の融点Tm
と、該共重合体中のプロピレン成分含量Pモル%との概
略的な関係を第1図に直線Aとして示す。なお第1図に
は、従来公知のプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体の融点Tmとプロピレン成分含量Pモル%との関係
も直線Bとして併せて示す。
この第1図から明らかなように、本発明に係るプロピ
レン系ランダム共重合体の融点は、エチレンおよびα−
オレフィンの共重合量が同一である場合には、従来公知
のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の融点
よりも10〜20℃低い。したがって本発明に係るプロピレ
ン系ランダム共重合体から得られるフィルムは、特に低
温でのヒートシール性に優れている。しかもエチレンお
よびα−オレフィンの共重合量が少なくとも優れたヒー
トシール性を示すため、耐ブロッキング性にも優れてお
り、その上優れた剛性を有する。
なお本発明では、示差走査熱量計(DSC)を用いて、
プロピレン系ランダム共重合体を200℃で5分間放置し
た後、10℃/分の速度で20℃まで冷却し、次いで20℃で
5分間放置した後、10℃/分の速度で20℃から200℃ま
で昇温して得られる最大吸熱ピークの温度(Tm)を、プ
ロピレン系ランダム共重合体の融点とした。
また本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体のゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)で求めた
分子量分布(w/n)は、3.5以下好ましくは3.0以下
特に好ましくは2.5以下の範囲にある。このように本発
明に係るプロピレン系ランダム共重合体は、分子量分布
が狭く、この点からも優れた耐ブロッキング性を有して
いる。
なおw/n値は、武内著、丸善発行の「ゲルパーミ
エイションクロマトグラフィー」に準拠して下記のよう
にして行なった。
(1)分子量既知の標準ポリスチレン(東洋ソーダ
(株)製、単分散ポリスチレン)を使用して、分子量M
とそのGPC(Gel Pemeation Chromatograph)カウントを
測定し、分子量MとEV(Elution Volume)の相関図較正
曲線を作製する。この時の濃度は0.02重量%とする。
(2)GPC測定により試料のGPCクロマトグラフをとり、
前記(1)によりポリスチレン換算の数平均分子量
n、重量平均分子量wを算出し、w/n値を求め
る。その際のサンプル調製条件およびGPC測定条件は以
下の通りである。
[サンプル調製] (イ)試料を0.1重量%となるようにo−ジクロルベン
ゼン溶媒とともに三角フラスコに分散する。
(ロ)三角フラスコを140℃に加温し、約30分間攪拌
し、溶解させる。
(ハ)その溶液をGPCにかける。
[GPC測定条件] 次の条件で実施した。
(イ)装置 Waters社製(150C−ALC/GPC) (ロ)カラム 東洋ソーダ製(GMHタイプ) (ハ)サンプル量 400μ (ニ)温度 140℃ (ホ)流速 1ml/分 融点の測定はPerkin Elmer−7型のDCS装置を用い、
サンプル量約2.5mgおよび昇温速度10℃/分で測定し
た。
本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体は、沸騰
n−ペンタンへの可溶部量が3重量%以下好ましくは3
重量%以下さらに好ましくは2重量%以下であることが
望ましい。
さらに本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体
は、沸騰トリクロロエチレンに対する不溶部量が5重量
%以下好ましくは3重量%以下さらに好ましくは1重量
%以下であることが望ましい。
沸騰トリクロロエチレン不溶分量および沸騰n−ペン
タン可溶分量は、細かく粉砕した試料約3gを円筒濾紙に
入れ、180mlの溶媒を用い、ソックスレー抽出器で5時
間抽出し、抽出残分を真空乾燥器で恒量になるまで乾燥
してその重量を求め、原試料との重量差によって算出し
た。
上記のような本発明に係るプロピレン系ランダム共重
合体は、 (A)シクロアルカジエニル基またはその置換体から選
ばれた少なくとも2個の基が低級アルキレン基を介して
結合した多座配位化合物を配位子とするハフニウム化合
物、および (B)アルミノオキサンから形成される触媒の存在下
に、プロピレンとエチレンと炭素数4〜20のα−オレフ
ィンとを、40〜100℃の温度で、得られる共重合体中に
プロピレンから導かれる構成単位(a)が90〜99モル%
の量で、エチレンから導かれる構成単位(b)が0.5〜
9.5モル%の量で、またα−オレフィンから導かれる構
成単位(c)が0.5〜9.5モル%の量で存在するように共
重合させることによって製造することができる。
本発明において使用される触媒成分[A]は、シクロ
アルカジエニル基またはその置換体、具体的には、イン
デニル基、置換インデニル基およびその部分水素化物か
らなる群から選ばれた少なくとも2個の基が低級アルキ
レン基を介して結合した多座配位化合物を配位子とする
ハフニウム化合物である。該ハフニウム化合物としては
次の化合物を例示することができる。
エチレンビス(インデニル)ジメチルハフニウム、 エチレンビス(インデニル)ジエチルハフニウム、 エチレンビス(インデニル)ジフェニルハフニウム、 エチレンビス(インデニル)メチルハフニウムモノク
ロリド、 エチレンビス(インデニル)エチルハフニウムモノク
ロリド、 エチレンビス(インデニル)メチルハフニウムモノブ
ロミド、 エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、 エチレンビス(インデニル)ハフニウムジブロミド、 エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデ
ニル)ジメチルハフニウム、 エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデ
ニル)メチルハフニウムモノクロリド、 エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデ
ニル)ハフニウムジクロリド、 エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデ
ニル)ハフニウムジブロミド、 エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ハフニ
ウムジクロリド、 エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ハフニ
ウムジクロリド、 エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ハフニ
ウムジクロリド、 エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ハフニ
ウムジクロリド、 エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ハフ
ニウムジクロリド、 エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ハ
フニウムジクロリド、 エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ハ
フニウムジクロリド、 エチレンビス(4,7−ジメトキシ−1−インデニル)
ハフニウムジクロリド. 本発明の方法において使用される触媒成分[B]はア
ルミノオキサンである。触媒成分として使用されるアミ
ノオキサンとして一般式(I)および一般式(II) で表わされるオキシ有機アルミニウム化合物を例示する
ことができる。該アルミノオキサンにおいて、Rおよび
R2は同一であってもよく異なっていてもよく、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基
であり、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好まし
くはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5以上の
整数である。該アルミノオキサンの製造法として、たと
えば次の方法を例示することができる。
(1)吸着水を含有する化合物、結晶水を含有する塩
類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、
硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第
1セリウム水和物などの他炭化水素媒体懸濁液にトリア
ルキルアルミニウムを添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムに
直接水、水蒸気または氷を作用させる方法。
なお、該アルミノオキサンには少量の有機金属成分を
含有していても差しつかえない。
上記のようなハフニウム化合物は、重合反応系内の該
ハフニウム原子の濃度として通常は10-8〜10-2グラム原
子/、好ましくは10-7〜10-3グラム原子/の量で用
いられることが望ましい。
また上記のようなアルミノオキサンは、反応系内のア
ルミニウム原子に換算して10-4〜10-1グラム原子/、
好ましくは5×10-4〜5×10-2グラム原子/の量で用
いられることが望ましい。
重合温度は通常40〜100℃、好ましくは45〜95℃、よ
り好ましくは50〜90℃の範囲であることが望ましい。
上記のようなオレフィンの重合は、通常、気相である
いは液相で行なわれる。液相重合においては、不活性炭
化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自身を溶媒と
することもできる。
炭化水素媒体として、具体的には、ブタン、イソブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水
素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサン、シクロオクタンなどの脂肪族系炭化水素、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、ガ
ソリン、灯油、経由などの石油留分などが用いられる。
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは
常圧ないし50kg/cm2の条件下であり、重合は、回分式、
半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうこと
ができる。重合体の分子量は水素および/または重合温
度によって調節することができる。
発明の効果 本発明によれば、従来公知のプロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体と比較して、分子量分布が狭く、
少ないα−オレフィンおよびエチレン含量においても、
低融点を有する新規なプロピレン系ランダム共重合体お
よびその製造方法が提供され、この重合体は優れたヒー
トシール性を有するとともに、耐ブロッキング性、剛性
にも優れている。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (メチルアルミノオキサンの調製) Polymer Commun.,29,180(1988)に従って調製した。
(エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリドの
合成) 窒素置換した200mlのガラス製フラスコにビス(イン
デニル)エタン(Bill.Soc.Chim.,2954(1967)に基づ
いて合成)5.4gとTHF50mlを装入し、攪拌しながら−30
〜−40℃まで冷却した。これにn−Bu Li(1.6M溶液)3
1.5mlを滴下し、引き続き−30℃で1時間攪拌の後、室
温まで自然昇温することによりビス(インデニル)エタ
ンをアニオン化した。窒素置換した別の200mlのガラス
製フラスコにTHF60mlを装入し−60℃以下に冷却後、HfC
l46.7gを徐々に添加した。その後、60℃まで昇温して1
時間攪拌した。これにアニオン化した配位子を滴下し、
60℃で2時間攪拌した後、グラスフィルターで濾過し
た。濾液を室温で最初の1/5程度の容量まで濃縮した。
この操作により固体が析出する。この析出固体をグラス
フィルターで濾過後、ヘキサン/エタノールで洗浄し、
減圧乾燥することにより目的の化合物を得た。
(重合) プロピレン、1−ブテンおよびエチレンガス組成がそ
れぞれ96.7、2.1、1.2モル%となるよう混合ガスを調製
した。充分な窒素置換した2のステンレス製オートク
レーブにトルエン500mlを装入し、0℃に冷却した後、
上記で調製した混合ガスを3モルさらにメチルアルミノ
オキサンをAl原子換算で5ミリグラム原子装入した。そ
の後45℃で重合系内を昇温し、エチレンビス(インデニ
ル)ハフニウムジクロリドを1.25×10-3ミリモル添加
し、50℃で0.5時間重合を行なった。重合の停止は、メ
タノールを重合系に添加することによって行なった。得
られたポリマースラリーを大量のメタノール中に投入し
た後、濾過により回収し、さらにイソブチルアルコール
/塩酸溶液で触媒成分の除去を行なった。その後、80
℃、200〜300mmHgで1晩減圧乾燥することにより、1−
ブテン含量が1.4モル%であり、エチレン含量が1.1モル
%であり、135℃のデカリン中で測定した[η]が3.32d
l/gであり、DSCによる融点が121℃であり、沸騰トリク
ロロエチレン不溶分量が0重量%であり、沸騰n−ペン
タン可溶分量が0.9重量%であり、GPCによるw/nが
2.45であるポリマー51.3gを得た。
実施例2 実施例1において、プロピレン、1−ブテンおよびエ
チレンのモル比を95.1/3.9/1.0とした以外は、実施例1
と同様に重合を行ない、1−ブテン含量が2.7モル%で
あり、エチレン含量が0.8モル%であり、[η]が3.29d
l/gであり、融点が118℃であり、沸騰トリクロロエチレ
ン不溶分量が0重量%であり、沸騰n−ペンタン可溶分
量が1.1重量%であり、w/nが2.40であるポリマー4
8.5gを得た。
実施例3 (エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウム
ジクロリドの合成) 実施例1と同様にして合成したエチレンビス(インデ
ニル)ハフニウムジクロリドをMakromol.Chem.,190,117
7(1989)に準じて水素化することにより、標記ハフニ
ウム化合物を合成した。
(重 合) プロピレン、1−ブテンおよびエチレンガス組成がそ
れぞれ97.0モル、2.3モル%、0.7モル%となるように混
合ガスを調製した。充分に窒素置換した2のステンレ
ス製オートクレーブにトルエン500mlを装入し、0℃に
冷却した後、上記で調製した混合ガスを3モル、さらに
メチルアルミノキサンをAl原子換算で5ミリグラム原子
装入した。その後、45℃に重合系内を昇温し、上記で合
成したハフニウム化合物を1.5×10-3ミリモル添加し、5
0℃で0.5時間重合を行った。その後の操作は、実施例1
と同様にして行った。この結果、1−ブテン含量が1.7
モル%であり、エチレン含量が0.6モル%であり、
[η]が3.1dl/gであり、融点が122℃であり、沸騰トリ
クロロエチレン不溶部量が0重量%であり、沸騰n−ペ
ンタン可溶部量が0.8重量%であり、w/nが2.5であ
るポリマーが35.2gが得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るプロピレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体のプロピレン含量と融点との関係を示す
図である。 なお、第1図において直線Aは本発明に係るプロピレン
系ランダム共重合体のプロピレン含量と融点との関係を
示しており、直線Bは従来公知のプロピレン・α−オレ
フィンランダム共重合体のプロピレン含量と融点との関
係を示している。 第2図は、本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体
を製造するためのフローチャート図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレンから導かれる構成単位(a)、
    エチレンから導かれる構成単位(b)および炭素数4〜
    20のα−オレフィンから導かれる構成単位(c)からな
    るプロピレン系ランダム共重合体であって、 (A)前記構成単位(a)が90〜99モル%の量で、かつ
    前記構成単位(b)が0.5〜9.5モル%の量で、かつ前記
    構成単位(c)が0.5〜9.5モル%の量で存在し、 (B)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
    0.5〜6dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、 70<Tm<155−5.5(100−P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル
    %)である)の範囲にあり、 (D)沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下
    である、 ことを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体。
  2. 【請求項2】(A)インデニル基、置換インデニル基お
    よびその部分水素化物からなる群より選ばれた2個の基
    が低級アルキレン基を介して結合した多座配位化合物を
    配位子とするハフニウム化合物、 および (B)アルミノオキサン から形成される触媒の存在下に、プロピレンとエチレン
    と炭素数4〜20のα−オレフィンとを、40〜100℃の温
    度で、得られる共重合体中にプロピレンから導かれる構
    成単位(a)が90〜99モル%の量で、エチレンから導か
    れる構成単位(b)が0.5〜9.5モル%の量で、また前記
    α−オレフィンから導かれる構成単位(c)が0.5〜9.5
    モル%の量で存在し、135℃のデカリン中で測定した極
    限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、示差走査熱量
    計によって測定した融点[Tm]が、 70<Tm<155−5.5(100−P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル
    %)である)の範囲にあり、沸騰トリクロロエチレン不
    溶分量が5重量%以下となるように共重合させることを
    特徴とするプロピレン系ランダム共重合体の製造方法。
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