JPH07258292A - 蛋白質−キシログルカン複合体 - Google Patents

蛋白質−キシログルカン複合体

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JPH07258292A
JPH07258292A JP6079382A JP7938294A JPH07258292A JP H07258292 A JPH07258292 A JP H07258292A JP 6079382 A JP6079382 A JP 6079382A JP 7938294 A JP7938294 A JP 7938294A JP H07258292 A JPH07258292 A JP H07258292A
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JP
Japan
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protein
xyloglucan
complex
reaction
solubility
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JP6079382A
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English (en)
Inventor
Akio Kato
昭夫 加藤
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Dainippon Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛋白質の機能性の改善 【構成】 蛋白質にキシログルカン(またはその分解
物)をアミノカルボニル反応で結合させた蛋白質−キシ
ログルカン複合体および蛋白質の改質方法並びに該複合
体を含有する食品に関する。 【効果】 キシログルカンを用いて糖修飾した蛋白質は
乳化特性,耐熱性, 耐酸性,耐塩性などが優れており、
食品の天然乳化剤として極めて有用である。また、溶解
性の低い小麦蛋白質や大豆蛋白質にキシログルカンを複
合させると蛋白質の溶解性と安定性が向上するので、食
品加工における有用な蛋白質の改質方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛋白質とキシログルカ
ンをアミノカルボニル反応によって結合させた新規な蛋
白質−キシログルカン複合体および蛋白質の改質方法並
びに該複合体を含む食品に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】最近の
食生活の多様化あるいは簡便化の傾向から食品分野では
安全性の高い乳化剤、中でも天然の乳化剤が望まれてい
る。しかしながら、これまでの天然乳化剤は合成系乳化
剤に比べ、乳化特性(活性,安定性)が充分でない、加
熱殺菌ができない、或いは高価であるため経済的に不利
である、といった問題があった。一方、合成系乳化剤と
して、例えばショ糖脂肪酸エステル,モノグリセリドの
低分子系乳化剤が現在一般によく用いられているがpH
や塩濃度の影響を受け易いという問題がある。
【0003】蛋白質は中には加熱などの処理により変性
させると起泡性、乳化活性が著しく増すことが知られて
いるが一般には変性させると不溶化がおこり、乳化剤と
して用いる場合には品質の低下がみられ問題がある。し
たがって、蛋白質を改質することができれば、乳化剤を
はじめ種々の食品素材としてより広く利用することがで
きる。ここでいう蛋白質の改質とは蛋白質の機能性、例
えば乳化特性(活性,安定性)、溶解性および熱,酸,
塩,冷凍解凍に対する安定性を改善することである。
【0004】従来、蛋白質を化学修飾(例えばJ. Agri
c. Food Chem., 33, 125(1985))や酵素修飾(Agric. Bi
ol. Chem., 50, 3025(1986)) して、或いは加熱などに
より変性〔Agric. Biol. Chem., 45, 2775(1981)〕さ
せ、蛋白質の機能性の改善を図る研究が数多くなされて
きた。
【0005】これまでの化学修飾による蛋白質の改質の
試みでは、蛋白質のアシル化,アルキル化,アミド化,
脱アミド化,エステル化などの合成化学処理あるいは蛋
白質に炭水化物や脂肪酸を化学的に結合させる処理にお
いては化学試薬を用いるため、改質された蛋白質を食品
の原料として使用するには安全性の面から問題があっ
た。
【0006】また、これまでの蛋白質の化学修飾、酵素
修飾の大部分は上述のごとく低分子物質を結合させる試
みであった。最近では、少糖(例えばグルコース)や多
糖類(例えばデキストラン)を蛋白質に結合させた糖修
飾蛋白質(高分子系乳化剤)が知られている(特開平1
−233300) 。該糖修飾蛋白質は可溶性でかつ乳化特性の
向上がみられるが、糖修飾するとき、少糖や(分岐状)
多糖類を活性化することが必須であり、その際活性化剤
として臭化シアン、過ヨード酸ナトリウム、塩化シアヌ
ル等の化学試薬が用いられるので食品素材として利用す
るには上述したように安全性に問題がある。
【0007】かかる問題点を解消するものとしては、ア
ミノカルボニル反応(メイラード反応とも言う)で、分
岐状多糖類(殊に、デキストラン)を蛋白質に結合させ
ることが知られている(特開平3−215498) 。しかしな
がら、蛋白質にデキストランを結合させた複合体の乳化
特性(活性と安定性)はまだ充分ではないこと、該複合
体を製造するのに2〜6週間もかかること、また用いる
デキストランが高価であるため経済的に不利である、と
いった問題がある。
【0008】本発明の課題は従来技術の抱える問題点を
解消し、安全でかつ優れた乳化特性と安定性を有し、し
かも、安価な天然の機能性蛋白質を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
点を解決すべく糖修飾蛋白質の研究を重ねた結果、糖と
してキシログルカンを用いて蛋白質に結合させると蛋白
質の機能性が極めて改善されることを見いだした。
【0010】本明細書中の蛋白質は動植物起源のもので
あり、例えばミルク蛋白質,魚肉蛋白質,卵白(アルブ
ミン),リゾチーム,大豆蛋白質,小麦蛋白質(グルテ
ン)が挙げられる。
【0011】本発明に用いるキシログルカンは双子葉,
単子葉植物など高等植物の生長している細胞壁(一次
壁)を構成する成分として知られている多糖類であり、
タマリンドをはじめ、大豆,緑豆,インゲンマメ,イ
ネ,オオムギ,リンゴ,西洋カエデなどにも存在する。
キシログルカンはグルコースとキシロースを主な構成糖
とする多糖類で、主鎖はグルコースがβ1→4結合した
ものであり、側鎖として主にキシロースが結合し、中に
は、該キシロースにさらにガラクトース側鎖が結合して
成り、タマリンド種子多糖類はその1例である。
【0012】本発明に用いられるキシログルカンはいか
なるキシログルカンでもよいが、キシログルカンの含有
量が多く、入手も容易なタマリンド種子由来のキシログ
ルカン(タマリンド種子多糖類:商品名「グリロイド」
大日本製薬株式会社製)が好ましい。該キシログルカン
は食品用増粘剤として食品分野で繁用されている。
【0013】キシログルカンを酵素等で部分分解すると
分解物が得られるが該キシログルカン分解物も本発明の
原料として有用である。キシログルカンからキシログル
カン分解物を得る方法としては従来から多糖類の解重合
に用いられている手法、例えば酵素分解,酸分解,アル
カリ分解,超音波による分解が挙げられる。これらの方
法を用いる場合いずれの方法であってもよいが、温和な
条件で反応が進み、分子量の揃った分解物の得やすい酵
素分解が特に好ましい。
【0014】キシログルカンの酵素分解に用いられる酵
素はβ−1,4−グルカナーゼ、すなわち、所謂、セル
ラーゼ活性を有する植物組織崩壊酵素であり、植物や微
生物から抽出・精製したものでも市販の酵素製剤でも用
いることができる。その際、用いる酵素の特性に合わせ
た基質濃度,酵素濃度,pH,反応温度,反応時間で分
解するのが好ましい。
【0015】キシログルカンを分解して得られた分解液
はそのまま、或いは樹脂処理やクロマトグラフィー等で
精製して糖液として使用してもよいし、噴霧乾燥や凍結
乾燥などの方法で粉末化して用いてもよい。
【0016】本発明の蛋白質−キシログルカン複合体
は、蛋白質とキシログルカンをアミノカルボニル反応で
結合させることにより製造される。使用するキシログル
カンは前もって化学的に活性化処理する必要がなく、そ
のままアミノカルボニル反応に付することができる。す
なわち、蛋白質とキシログルカンを適当な割合、好まし
くは1:1重量比で水に混合溶解し、該水溶液を凍結乾
燥する。得られた粉末を50〜80℃、相対湿度60〜
80%の条件下で3〜30日(好ましくは5〜14日)
反応させることにより、本発明の複合体が製造される。
【0017】反応温度が50℃未満あるいは相対湿度が
60%未満であるとアミノカルボニル反応はおこりにく
く、また、80℃を越える高温では褐変が急激におこる
ため蛋白質の乳化特性が低下する原因となる。相対湿度
が80%を越えるとべたつきがおこり品質の安定性が望
ましくない。
【0018】本発明の複合体の生成は、上記条件により
反応させて得た粉末の一定量を水に溶かし、470nm
における吸光度を測定し、褐変反応の進行を追跡するこ
とで確認することができる。
【0019】また、キシログルカンの代わりに、キシロ
グルカン分解物を用いて同様に反応させると本発明の蛋
白質−キシログルカン分解物複合体が製造される。
【0020】本発明のこれらの複合体は必要に応じてゲ
ル濾過などにより濃縮して用いることもできる。
【0021】このようにして製造された本発明の複合体
は可溶性であり、かつ乳化特性及び安定性が極めて優れ
たものであった。例えば、溶解性の低い小麦グルテン,
大豆蛋白質にキシログルカンを複合させると蛋白質の溶
解性と安定性が向上した。
【0022】本発明の複合体は、グルコース,デキスト
ラン,グァーガム分解物を蛋白質に結合させた各複合体
と比べ乳化特性が極めて改善されており、また、耐熱
性,耐酸性,耐塩性が市販の食品用乳化剤と比べても優
れており、更には、耐冷凍解凍性を有していた。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、キシログルカンを用い
て糖修飾した蛋白質は、その製造の際、化学試薬を使用
することなく、アミノカルボニル反応を利用するため安
全である。また、本発明の蛋白質−キシログルカン複合
体は、従来の化学合成系乳化剤は勿論、蛋白質−多糖類
(殊に、デキストラン)複合体と比べても乳化特性が優
れており、しかも、市販の乳化剤と比べても耐熱性, 耐
酸性,耐塩性などが優れている。そのため、食品の天然
乳化剤として極めて有用である。蛋白質が小麦グルテン
である場合、小麦グルテン−キシログルカン複合体は冷
凍解凍耐性に優れているので該複合体を用いて冷凍保存
可能なドウ生地を作ることができ、製パンに有用であ
る。
【0024】また、溶解性の低い小麦蛋白質および大豆
蛋白質にキシログルカンを複合させると蛋白質の溶解性
と安定性が向上するので食品加工における有用な蛋白質
の改質方法が提供される。
【0025】更にまた、本発明に用いる原料のキシログ
ルカンはデキストランと比べ安価であるため安価でかつ
機能性の高い蛋白質を提供することができる。
【0026】本発明の複合体は機能性蛋白質として、種
々の食品,化粧品,化成品などに使用することができ
る。食品の例として、調味料(マヨネーズ,ドレッシン
グ,ソース,たれ等)、小麦粉製品(パン,ケーキ,麺
類,バッターミックス等)、畜肉製品(ハム,ソーセー
ジ,ハンバーグ,ミートボール等)、冷菓(アイスクリ
ーム,シャーベットなど)、魚肉練り製品(かまぼこ,
ちくわなど)、乳製品(バター,チーズ,ヨーグルトな
ど)、菓子類(洋菓子,和菓子など)、デザート食品
(ゼリー,プリンなど)、飲料(ジュース,コーヒー,
茶など)、冷凍食品、惣菜類、スープが挙げられる。
【0027】
【実施例】以下に、参考例および実施例を挙げて本発明
を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0028】(参考例1) キシログルカンの製造:− タマリンド種子多糖類(大日本製薬株式会社製:商品名
「グリロイド3S」)2.5gを20mlの60%エタ
ノールに懸濁し、充分膨潤させた。この懸濁液をスター
ラーで攪拌しながら、水500ml中に少しずつ注ぎ、
攪拌下75℃で15分間加熱した。これを10000rp
m ×15分間遠心分離し、水に不溶性の不純物を除去し
た。上清を1Lのエタノール中に強く攪拌しながら少量
ずつ注ぎ、粗製キシログルカンを沈澱物として得た。こ
れをさらに10000rpm ×15分間遠心分離して脂溶
性の不純物を除去し、得られた沈澱を67%エタノー
ル,80%エタノール,100%エタノール,50%エ
タノール/50%アセトン,100%アセトンで順次洗
浄し、脱水した。これを乾燥させて、精製キシログルカ
ン2.11gを得た。
【0029】(参考例2) キシログルカン分解物の製
造:− 参考例1で調製した精製キシログルカン600mgをセ
ルラーゼ製剤(株式会社ヤクルト本社製:商品名「セル
ラーゼオノズカ」)24mg,0.02M酢酸バッファ
ー150ml中、pH4.0,37℃で72時間反応さ
せた。反応液を沸騰湯浴中で3分間加熱して酵素を失活
し、AG501-X8樹脂処理し、ロータリーエバポレーターで
濃縮後、凍結乾燥してキシログルカン分解物500mg
を得た。
【0030】本品は以下のような物性を有する。
【0031】粘度:上記キシログルカン分解物を80℃
で10分間加熱して得た10%水溶液をブルックフィー
ルド粘度計を用いて25℃,30rpm で測定したとこ
ろ、粘度は10cps 以下であった。
【0032】ヨウ素呈色反応:上記水溶液にヨウ化カリ
ウム溶液(0.1M)を加えて最終ヨウ化カリウム濃度
を0.002Mとするとき、ヨウ素呈色反応を示さな
い。
【0033】構成糖比:上記水溶液を希釈して1%水溶
液とし、2N硫酸を等量加えて100℃で6時間加熱
後、水酸化バリウム水溶液で中和し、脱塩(トヨパック
IC-SP →DEAE→45μm メンブランフィルターでろ過)後
濃縮した。これを高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)(カラムShodex SUGAR SP0810 →SP0810,溶離液蒸
留水,温度65℃,流速1.0ml/分,検出器RI)に
付したところ、構成糖比はグルコース:キシロース:ガ
ラクトース=4:3.5〜2:2〜0であった。
【0034】平均分子量:上記キシログルカン分解物を
HPLC(カラムShodex Ionpak KS805 →KS802 ,溶離
液蒸留水,温度60℃,流速1.0ml/分,検出器R
I)に付したところ、平均分子量は600〜3000で
あった。
【0035】(参考例3) キシログルカン分解物の製
造:− タマリンド種子多糖類(大日本製薬株式会社製:商品名
「グリロイド3S」)1kgを20Lの水に分散し、セ
ルラーゼ製剤(株式会社ヤクルト本社製:商品名「セル
ラーゼオノズカ」)100gを添加して37℃で72時
間反応させた。反応液は100℃に昇温して酵素を失活
させた後直ちにろ過して不溶物を除いた。得られたろ液
をさらに活性炭処理で精製し、減圧濃縮、凍結乾燥して
キシログルカン分解物の粉末650gを得た。本品は参
考例2で得た製造物とHPLCで比較したところ、同じ
ものであった。
【0036】(実施例1) 大豆蛋白質−キシログルカ
ン複合体の製造:− 大豆蛋白質(酸性沈殿処理)と参考例1で得られたキシ
ログルカンの混合物(重量比1:1)を大豆蛋白質10
gに対して水1Lの割合で水に添加し、30分混合攪拌
した後凍結乾燥した。得られた粉末をガラスシャーレに
いれ、飽和ヨウ化カリウム水溶液で相対湿度65%に調
整したデシケーター中60℃で10日間保持して反応さ
せ(反応の進行は470nmにおける吸光度を測定して
調べた)、大豆蛋白質−キシログルカン複合体を粉末と
して得た。得られた複合体の乳化活性は試験例1の記載
に従って測定した。結果を表1および表2に示す。
【0037】また、図1に大豆蛋白質とキシログルカン
を0日,5日,10日および14日間アミノカルボニル
反応させた時の大豆蛋白質−キシログルカン複合体の乳
化活性および乳化後の経時変化を示す。図1から複合体
の生成反応は5日,10日および14日間の反応時間で
差異はなく5日目で終了していることが分かる。また、
複合体を形成すると乳化活性は大きく上昇しており、し
かも、一旦複合体を形成すると乳化活性の低下は小さ
く、乳化安定性が優れていることが分かる。
【0038】(試験例1) 大豆蛋白質−キシログルカ
ン複合体の乳化活性:− (検定法)乳化活性はPearceらの方法〔J. Agric. Foo
d. Chem., 26, 716-723 (1978)〕に準じて測定した。す
なわち、コーンオイル1.0mlと蛋白質複合体の0.
1%(w/v)水溶液3.0mlをよく振とうした後Ul
tra Turrax (Hansen & Co. 社)を用いて12000
rpmで20℃,1分間ホモジナイズして乳化物を得
た。得られた乳化物を経時的に容器の底から50μl取
り、0.1%SDS水溶液5mlで希釈して、500n
mにおける吸光度(OD500)を測定した。乳化活性は乳
化直後に測定した吸光度で、また、乳化安定性は吸光度
の半減期で評価した。
【0039】(実施例2) 大豆蛋白質−キシログルカ
ン分解物複合体の製造:− 参考例3で得られたキシログルカン分解物を用いて、実
施例1と同様にして(但し、反応は5日間行った)、大
豆蛋白質−キシログルカン分解物複合体を製造した。該
複合体の乳化活性は試験例1の記載に従って測定した。
結果を表1および表2に示す。
【0040】(実施例3) 卵白−キシログルカン複合
体の製造:− 大豆蛋白質の代わりに、卵白を用いて実施例1と同様に
してキシログルカンを反応させ、卵白−キシログルカン
複合体を製造した。卵白は炭水化物を除去した後60〜
70℃でスプレードライ乾燥したものを用いた。該複合
体の乳化活性は試験例1の記載に従って測定した。結果
を表1および表2に示す。
【0041】比較対照として、キシログルカンの代わり
に、グルコース,デキストラン(和光純薬株式会社製,
平均分子量1万と20万)およびグアーガム分解物(大
日本製薬株式会社製:商品名「ファイバロンS」)を用
いて、実施例1と同様に反応させ(但し、反応は3週間
行った)、対応する大豆蛋白質−グルコース複合体(比
較例6),大豆蛋白質−デキストラン複合体I,II
(Iは平均分子量1万のデキストランを使用,IIは平
均分子量20万のデキストランを使用)(比較例7,
8)および大豆蛋白質−グアーガム分解物複合体(比較
例9)を製造した。それぞれの乳化活性は試験例1の記
載に従って測定した。結果を表2に示す。
【0042】表1および表2に各種乳化剤の乳化特性
(活性および安定性)を示す。乳化活性は乳化直後のO
D500 で、また乳化安定性は乳化直後の吸光度の半減時
間で示した。いずれも、数値が大きいほど乳化活性およ
び乳化安定性が優れていることを示す。表1には本発明
の複合体との比較のため、未処理の蛋白質(比較例1と
3),大豆蛋白質+キシログルカン(未反応)(比較例
2)および市販の乳化剤のショ糖脂肪酸エステルS-157
0 (三菱化成株式会社製)(比較例4)とモノグリセリ
ド(太陽化学株式会社製)(比較例5)を示す。
【0043】また、表2には本発明の複合体との比較の
ため、キシログルカン以外の多糖類との複合体、すなわ
ち、大豆蛋白質−グルコース複合体(比較例6),大豆
蛋白質−デキストラン複合体I,II(比較例7,8)
および大豆蛋白質−グアーガム分解物複合体(比較例
9)を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1および表2から実施例1〜3のキシロ
グルカン複合体は比較例に比べ、極めて強い乳化活性と
優れた乳化安定性を有していることが分かる。
【0047】(試験例2) 卵白−キシログルカン複合
体の安定性:− (検定法)実施例3で製造した卵白−キシログルカン複
合体の安定性について市販の乳化剤と比較した。耐熱
性、耐酸性および耐塩性の評価は乳化活性を指標にして
行った。すなわち、該複合体0.1%水溶液について、
耐熱性試験は100℃,15分加熱し、耐酸性試験は酢
酸1%添加し、そして耐塩性試験は食塩3%添加したと
きの条件下で行った。結果を表3に示す。比較対照とし
て市販の乳化剤ショ糖脂肪酸エステル S-1570 (比較例
10)とモノグリセリド(比較例11)を示す。処理前
の水溶液の乳化活性(OD500)を100としたときの処
理後の乳化活性を%で示した。表3から卵白−キシログ
ルカン複合体は比較例に比べ安定性が極めて優れている
ことが分かる。
【0048】
【表3】
【0049】(実施例4) 小麦グルテン−キシログル
カン複合体の製造:− 大豆蛋白質の代わりに、小麦グルテンを用い実施例1と
同様にしてキシログルカンを反応させ、小麦グルテン−
キシログルカン複合体を製造した。但し、反応の前処理
として以下の操作を行った。
【0050】小麦グルテン20gを0.05Mのほう酸
ナトリウムバッフアー(pH8)の2Lに懸濁した後プ
ロナーゼE(シグマ社製)200mgを加え、37℃で
12時間反応させた(可溶化した)。100℃で3分加
熱して酵素を失活させ、セファデックスG−25カラム
(ファルマシア社製)で透析した後凍結乾燥した。
【0051】(試験例3) 小麦グルテン−キシログル
カン複合体の溶解性:− (検定法)実施例4で製造した小麦グルテン−キシログ
ルカン複合体について種々のpHでの溶解性を測定し、
未処理の小麦グルテンの溶解性と比較した。該複合体
0.1%水溶液を1N塩酸または1N水酸化ナトリウム
でpH2〜12に調製後10000rpmで15分遠心
分離した後、上清液の280nmにおける吸光度を測定
し、相対的溶解性(最高の粘度を示すpH12での溶解
性を100%として)を求めた。結果を図2に示す。
【0052】未処理の小麦グルテンではpH6付近で溶
解性が減少するのに対して該複合体は広いpH領域で溶
解性が良好であった。
【0053】(実施例5) 卵白−キシログルカン複合
体を添加したドレッシング製造:− 実施例3で調製した卵白−キシログルカン複合体を乳化
剤として用い、表4に示す処方でドレッシングを調製し
た。
【0054】本ドレッシングは酸および塩に対して安定
性が高く食感も良好なドレッシンであった。対照の卵白
を使ったドレッシングは経時的に分離し不安定なもので
あった。
【0055】
【表4】
【0056】(実施例6) 菓子パン:− 実施例4で製造した小麦グルテン−キシログルカン複合
体を用い、表5の処方で常法によりパン生地を調製し、
−25℃で1ヶ月冷凍した。該冷凍パン生地を25℃,
60分間で解凍した後焼き、密封20℃で1日保存した
後、パン製品のでき具合を評価した。評価はパンの柔ら
かさ,ボリューム,食感(しっとり感,口溶け),風
味,外観および内相を比較して行った。
【0057】試験群の小麦グルテン−キシログルカン複
合体を使用したパンは、ふっくらとした焼き上がりで容
積も増大し、柔らかく、しかも、しっとりした良好な食
感のものであった。一方、対照群の小麦グルテンを使用
したパンは、焼き上がりが悪く、容積の減少した硬くて
ぼそぼそした食感のものとなった。外観,内相も複合体
を使用した方が良好であった。
【0058】
【表5】
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は大豆蛋白質とキシログルカンを0日,5
日,10日および14日間アミノカルボニル反応させた
時の大豆蛋白質−キシログルカン複合体の乳化活性およ
び乳化後の経時変化を示す。縦軸に乳化活性(OD500)
を、横軸に乳化後の経時変化を示す。記号◆は反応0日
目,□は反応5日目,■は反応10日目,◇は反応14
日目および×は未処理の大豆蛋白質を表す。
【図2】図2は小麦グルテン−キシログルカン複合体の
種々のpHでの溶解性を示す。縦軸は相対的溶解性
(%)を示し、横軸はpHを示す。記号□は小麦グルテ
ンおよび○は小麦グルテン−キシログルカン複合体を表
す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質とキシログルカンをアミノカルボ
    ニル反応によって結合させた蛋白質−キシログルカン複
    合体。
  2. 【請求項2】 蛋白質とキシログルカン分解物をアミノ
    カルボニル反応によって結合させた蛋白質−キシログル
    カン分解物複合体。
  3. 【請求項3】 キシログルカンがタマリンド種子多糖キ
    シログルカンである請求項1記載の蛋白質−キシログル
    カン複合体。
  4. 【請求項4】 蛋白質が小麦グルテンである、請求項1
    記載の蛋白質−キシログルカン複合体。
  5. 【請求項5】 蛋白質とキシログルカンをアミノカルボ
    ニル反応によって結合させた蛋白質−キシログルカン複
    合体を主成分とする乳化剤。
  6. 【請求項6】 蛋白質にキシログルカンをアミノカルボ
    ニル反応で結合させてなる蛋白質の安定化方法。
  7. 【請求項7】 蛋白質にキシログルカンをアミノカルボ
    ニル反応で結合させてなる蛋白質の溶解性の向上方法。
  8. 【請求項8】 蛋白質とキシログルカンをアミノカルボ
    ニル反応によって結合させた蛋白質−キシログルカン複
    合体を含む食品。
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