JPH07257353A - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JPH07257353A
JPH07257353A JP5612794A JP5612794A JPH07257353A JP H07257353 A JPH07257353 A JP H07257353A JP 5612794 A JP5612794 A JP 5612794A JP 5612794 A JP5612794 A JP 5612794A JP H07257353 A JPH07257353 A JP H07257353A
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晴樹 岡崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレーキトラクション制御とアンチスキッド
ブレーキ制御とを行うことができる車両のスリップ制御
装置であって、ブレーキトラクション制御中に、アンチ
スキッド制御の実行条件が成立したときに、常に何れか
一方の特定の制御を選択することに起因する問題を防止
しつつ、スリップ制御を行う車両のスリップ制御装置の
提供。 【構成】 コントロールユニットECUは、ブレーキト
ラクション制御実行中(S1)に、アンチスキッドブレ
ーキ制御の実行条件が成立すると(S2)、ブレーキト
ラクションによる制動圧変化と、アンチスキッドブレー
キ制御による制動圧変化と比較し、減圧側の制動圧変化
を伴う制御を選択し(S3)、実行する(S7)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車両のスリップ制御
装置に関し、更に詳しくは、所謂ブレーキトラクション
制御とアンチスキッドブレーキ制御の両制御を行う車両
のスリップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキペダルによるブレーキ制御とは
独立した制動圧を、制動圧供給管即ちブレーキ制御用液
圧回路内に発生させて駆動輪の路面に対する実際のスリ
ップ値が所定の目標値となるようにする所謂ブレーキト
ラクション制御と、制動時における車輪のロック即ちス
キッド状態の発生の防止を目的として、ブレーキホイー
ルシリンダにかかる制動圧を制御するアンチスキッドブ
レーキ(ABS)制御との両制御を行う車両のスリップ
制御装置がある(例えば、特開平4−183665号公
報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ブレーキトラクシ
ョン制御は、駆動輪の車両速が車体速を大きく上回った
所謂ホイールスピン状態を解消し、駆動力を効率よく路
面に伝えるため、所定条件下で、駆動輪のブレーキホイ
ールシリンダに制動圧を加え、該駆動輪に減速度を与え
るものである。一方、ABS制御は、制動時に、車輪の
減速度を監視し、その値が所定のしきい値を上回った時
には、ブレーキホイールシリンダにかかる制動圧を制御
し、車輪がロック状態に陥るのを回避するものである。
従って、ブレーキトラクション制御とABS制御の両制
御を行う車両のスリップ制御装置では、ブレーキトラク
ション制御中に、ABS制御の実行条件が成立し、AB
S制御実行命令が出される場合がある。具体的には、ブ
レーキトラクション制御による駆動輪への制動圧の増圧
が、駆動輪の減速度を増加させ、この結果、当該駆動輪
の減速度がABS制御のしきい値を上回ってしまった場
合である。このようにブレーキトラクション制御中に、
ABS制御の実行条件が成立したとき、従来のスリップ
制御装置では、一方の制御を選択し他方の制御を中止し
ていた。即ち、ブレーキトラクション制御を中止してA
BS制御を行うか、或いは、ブレーキトラクション制御
を優先してABS制御を中止するかの何れかの方法で対
処していた。
【0004】しかしながら、ブレーキトラクション制御
を中止しアンチスキッド制御に切換えると、次の段階
で、路面に対する大きなスリップ(ホイールスピン)が
発生したときにこれに対応できなくなるので、好ましく
ない。具体的には、雪道のような低μ路で、ブレーキト
ラクション制御を行いながらの加速中に急旋回した場合
が考えられる。このような急旋回時には、内輪の減速度
が大きくなり、この内輪の減速度がABS制御開始のし
きい値を越えて、ブレーキトラクション制御中であるに
もかかわらずABS制御開始の信号が出されることがあ
る。このとき、ブレーキトラクション制御を中止してA
BS制御に切り換えてしまうと、急旋回後に再び加速し
ようとしたとき、ブレーキトラクション制御が中止され
ABS制御に切り換わっているので、ブレーキトラクシ
ョン制御がすぐに働かず路面に対するスリップ(ホイー
ルスピン)が発生してしまい所望のトラクションが得ら
れず、問題であった。一方、ブレーキトラクション制御
中にアンチスキッド制御を実行する条件が成立したとき
に、ブレーキトラクション制御を優先し、一律にアンチ
スキッド制御を中止するようなスリップ制御装置では、
実際に、ブレーキが踏まれて車輪がロックあるいはそれ
に近い状態になっていたとすると、ブレーキが効きにく
くなり、場合によっては車輪の深いロック状態が発生
し、これも問題であった。
【0005】尚、ABS制御に入る条件として、ブレー
キペダルの踏み込みをブレーキスイッチで検出すれば、
上記のような問題は生じないが、このスイッチが故障し
た場合、ABS制御に入らなかったり、あるいはABS
制御に入ったままになったりするので、この方法は好ま
しくない。又、このようにブレーキトラクション制御中
に、ABS制御の実行条件が成立することは、各駆動輪
が接地する路面のそれぞれのμ値が異なる所謂スプリッ
ト路をブレーキトラクション制御を行いながら走行して
いるときにも発生する。例えば、一方の駆動輪の減速度
がブレーキトラクション制御の結果、ABS制御実行の
しきい値を上回ったロック或いはそれに近い状態にな
り、他方の駆動輪がホイールスピンを起こしている状態
にある場合がある。このとき、ブレーキトラクション制
御を中止しアンチスキッド制御に切換えると、ホイール
スピンを起こしている駆動輪のホイールスピンを抑える
ことができなくなり、好ましくない。一方、ブレーキト
ラクション制御を優先して一律にアンチスキッド制御を
キャンセルする制御にすると、その後、フットブレーキ
が踏まれて車輪がロック或いはせそれに近い状態になっ
た場合に、ブレーキが効きにくくなり、これも好ましく
ない。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、ブレーキトラクション制御とABS制御の両制
御を行うスリップ制御装置において、ブレーキトラクシ
ョン制御中に、ABS制御が作動する条件が成立したと
きに、常に何れか一方の特定の制御を自動的に選択して
実行し、他方の制御を中止させることに起因する問題の
発生を防止しつつ、車両のスリップ制御を行う車両のス
リップ制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の第1の発明は、駆動輪の路面に対するスリッ
プ量が目標スリップ量となるように制動圧を駆動輪のブ
レーキホイールシリンダに加えるブレーキトラクション
制御と、車輪の減速度が所定のしきい値を上回ったとき
ブレーキホイールシリンダに加える制動圧を変化させる
アンチスキッドブレーキ制御とを行う車両のスリップ制
御装置を前提として、前記ブレーキトラクション制御中
に前記アンチスキッドブレーキ制御を行う条件が成立し
ているときに、ブレーキトラクション制御による制動圧
変化とアンチスキッド制御による制動圧変化とを比較す
る制動圧変化比較手段と、前記制動圧変化比較手段の比
較結果に基づいて、ブレーキトラクション制御とアンチ
スキッド制御のうち減圧側の制動圧変化を伴う制御を選
択してスリップ制御を行わせるスリップ制御手段と、を
備える構成とした。更に、本願の第2の発明では、駆動
輪の路面に対するスリップ量が目標スリップ量となるよ
うに制動圧を駆動輪のブレーキホイールシリンダに加え
るブレーキトラクション制御と、車輪減速度が所定のし
きい値を上回ったときブレーキホイールシリンダに加え
られる制動圧を変化させるアンチスキッドブレーキ制御
とを行う車両のスリップ制御装置を前提として、左右駆
動輪の車輪速を比較する車輪速比較手段と、前記ブレー
キトラクション制御中に前記アンチスキッド制御を行う
条件が成立しているときにブレーキトラクション制御に
よる制動圧変化とアンチスキッド制御による制動圧変化
とを比較する制動圧変化比較手段と、前記車輪速比較手
段と前記制動圧変化比較手段による比較結果に基づい
て、車輪速の高い側の駆動輪では、ブレーキトラクショ
ン制御とアンチスキッドブレーキ制動圧のうち増圧側の
制動圧変化を伴うスリップ制御を選択してスリップ制御
を行わせ、車輪速の低い側の駆動輪では、ブレーキトラ
クション制御とアンチスキッドブレーキ制動圧のうち減
圧側の制動圧変化を伴うスリップ制御を選択してスリッ
プ制御を行わせるスリップ制御手段と、を備えた構成と
している。
【0008】ここで、減圧側の制御、増圧側の制御とは
以下のように定義する。減圧側の制御とは、他方の制御
と比べた場合に、より減圧方向に向かう制動圧変化或い
は増圧方向に向かう大きさがより小さい制動圧変化を生
じさせる制御をいい、増圧側の制御とは、他方の制御と
比べた場合に、より増圧方向に向かう制動圧変化或いは
減圧方向に向かう大きさがより小さい制動圧変化を生じ
させる制御をいう。具体的には、ブレーキトラクション
制御とABS制御の両制御が何れも減圧方向に制動圧を
変化させる制御を行う場合には、その減圧量が大きい方
の制御を減圧側の制御であり、減圧量が小さいほうの制
御を増圧側の制御である。又、一方の制御が減圧方向に
制動圧を変化させる制御を行い、他方の制御が増圧方向
に制動圧を変化させる制御を行う場合には、一方の制御
(減圧方向に制動圧を変化させる制御)が減圧側の制御
であり、他方の制御(増圧方向に制動圧を変化させる制
御)が増圧側の制御である。更に、ブレーキトラクショ
ン制御とABS制御の両制御が何れも増圧方向に制動圧
を変化させる制御を行う場合には、その増圧量が大きい
方の制御が増圧側の制御であり、増圧量が小さいほうの
制御が減圧側の制御である。
【0009】
【作用及び効果】上記構成を有する本願の第1の発明に
よれば、ブレーキトラクション制御中に、車輪減速度が
ABS制御の実行のしきい値を上回りABS制御を行う
信号が出ているときには、ブレーキトラクション制御と
ABS制御とによる制動圧変化を比較して、減圧側の制
御を選択し、実行する。そして、ブレーキトラクション
制御中、ABS制御の実行条件が成立している間中、こ
の減圧側の制御によってスリップ制御が実行されること
が繰り返えされる。この結果、ブレーキがかかりすぎ
て、ロック或いはそれに近い状態になった車輪があると
きには、この状態を解除する方向の制御が行われ、車輪
の深いロックが回避される。又、本願の第2の発明によ
れば、所謂ストリップ路面を走行中に、一方の駆動輪が
ブレーキトラクション制御の結果、当該駆動輪にブレー
キがかかりすぎて大きな減速度が生じ、ブレーキトラク
ション制御中にもかかわらずABS制御実行の信号が出
される一方、他方の駆動輪がホイールスピンを起こして
いるような場合に、車輪速の低い即ちブレーキがかかり
過ぎた駆動輪には、減圧側の制御が行われ、一方、車輪
速の高い即ちホイールスピン状態の駆動輪には、増圧側
の制御が行われる。
【0010】この結果、ブレーキがかかり過ぎてその減
速度が大きくなり過ぎた駆動輪は、制動圧には減圧側の
制御が行われた結果、車輪速が回復し、ロック或いはそ
れに近い状態に陥ることが回避される。一方、車輪速の
大きな駆動輪、即ち、ホイールスピン状態の駆動輪は、
増圧側の制御の結果、そのスピン状態が解除される方向
に向かう。このように、本発明では、ブレーキトラクシ
ョン制御とABS制御の両制御を行うスリップ制御装置
において、ブレーキトラクション制御中に、ABS制御
が作動する条件が成立したときに、常に何れか一方の特
定の制御を自動的に選択し、他方の制御を中止させるこ
とに起因する問題の発生を防止しつつ、適切な、車両の
スリップ制御を行うことができる。
【0011】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。先ず、本発明の各実施例の基礎となる車両のスリ
ップ制御装置の機械的構成を図1に従って説明する。図
1は、通常のブレーキ装置、アンチスキッドブレーキ装
置(ABS)、ブレーキトラクション制御によるトラク
ションコントロール装置を組み合わせたブレーキ制御シ
ステムの全体構成を示している。図中符号100は、ア
ンチスキッドブレーキ装置とブレーキトラクション制御
によるトラクションコントロール装置を組み合わせたブ
レーキ制御システムの機械的構成部分を示す。尚、この
制御システムは、FR車用のものとして構成されてい
る。図中符号RLは左後輪用ブレーキホイールシリン
ダ、RRは右後輪用ブレーキホイールシリンダ、FLは
左前輪用ブレーキホイールシリンダ、FRは右前輪用ブ
レーキホイールシリンダ、またMCRは後輪ブレーキ用
のマスターシリンダ第1室、MCFは前輪ブレーキ用の
マスターシリンダ第2室、MBはブレーキ用マスターバ
ッグ(真空倍力装置)、BPはブレーキペダル、VS1
〜VS4 は前後各車輪の車輪速センサ、ECUはマイク
ロコンピュータよりなるコントロールユニットを夫々示
す。
【0012】上記左後輪用ブレーキホイールシリンダR
Lは、液路(油圧配管)L1 、L15、L18を介して上記
駆動輪側後輪ブレーキ用のマスターシリンダ第1室MC
Rに接続されている。又、上記右後輪用ブレーキホイー
ルシリンダRRは、液路L2 、L15、L18を介して上記
後輪ブレーキ用のマスターシリンダ第1室MCRに接続
されている。又、上記左前輪用ブレーキホイールシリン
ダFLは、液路L3 、L16、L19を介して上記前輪ブレ
ーキ用のマスターシリンダ第2室MCFに接続されてい
る。又、上記右前輪用ブレーキホイールシリンダFR
は、液路L4 、L16、L19を介して上記前輪ブレーキ用
のマスターシリンダ第2室MCFに接続されている。更
に、符号RST1 は後輪側液圧系統用の第1のリザーバ
タンクを、RST2は前輪側液圧系統用の第2のリザー
バタンクを夫々示す。該第1のリザーバタンクRST1
は、第1のリリーフ弁SGV1 を設けた液路L5 を介し
て、上記液路L1 の第1の電磁開閉弁SOV1 の下流側
に接続され、又、第2のリリーフ弁SGV2 を設けた液
路L6 を介して上記液路L2 の第2の電磁開閉弁SOV
2 の下流側に接続され、更に、インレットバルブI
2 、オイルポンプP1 、アウトレットバルブOV2
バッファチャンバーDC1 、チェックバルブCV6 を設
けた液路L9 を介して上記第1、第2の電磁開閉弁SO
1 、SOV2 上流側の後輪側メイン液路L15に接続さ
れている。上記第1、第2の電磁開閉弁SOV1 、SO
2 は、開ボート側に搾り機能を有して構成されてい
る。また、第1、第2のリリーフ弁SGV1 、SGV2
は、そのリリーフ量によってABS制御時およびブレー
キトラクション制御時のブレーキ液圧をコントロールす
る。
【0013】また第2のリザーバタンクRST2 は、先
ず第3のリリーフ弁SGV3 を設けた液路L7 を介して
上記液路L3 の第3の電磁開閉弁SOV3 の下流側に、
次に第4のリリーフ弁SGV4 を設けた液路L3 を介し
て上記液路L4 の第4の電磁開閉弁SOV4 の下流側
に、さらにインレッドバルブIV3 、オイルポンプ
2、アウトレッドバルブVO3 、バッファチャンバー
DC2 、チェックバルブCV 7 を設けた液路L10を介し
て前輪側メイン液路L16に各々接続されている。該第
1、第2のリザーバタンクRST1 、RST2 は、各々
リザーバ液圧設定用のスプリングを備えて構成されてい
る。そして、上記第1〜第4の各電磁開閉弁SOV1
SOV4 をバイパスするように、各々チェック弁CV2
〜CV5 を設けた第1〜第4のバイパス液路L11〜L14
が設けられている。また、上記オイルポンプP1 、P2
は、オイルポンプ駆動モータMによって共通に駆動され
るようになっている。一方、上記後輪側メイン液路L18
の途中には、液圧系統切換弁(電磁開閉弁)TCV1
設けられているとともに、さらに、その下流側には増圧
ピストンTCPを介して2本の液路L20およびL21の一
端が共通に接続されている。該液路L 20およびL21の他
端は、各々第3リザーバタンクRST3 および第3のオ
イルポンプP3 のアウトレット側に接続されている。ま
た、該第3のオイルポンプP3は、そのインレット側を
インレットバルブIV1 を介設した液路L22を介して上
記第3のオイルリザーバタンクRST3 と接続されてい
る一方、そのアウトレット側をアウトレットバルブOV
1 を介して上記液路L21の他端と接続されている。
【0014】また液路L20には、上記増圧ピストンTC
Pに併用する第3のオイルポンプP 3 からの吐出圧をO
N/OFF制御するための増減圧制御弁である電磁開閉
弁TCV2 が介設されている。さらに、液路L20とL21
とは、液路L20側から液路L 21側へのチェック弁機能と
液路L21側から液圧L20側への圧力リリーフ機能を有し
たパイロットバルブ(圧力リリーフ弁)PLVを設けた
液路L23を介して接続されている。このパイロットバル
ブPLVは、上記増圧ピストンTCPに対するオイルポ
ンプ吐出圧が所定値になった時に当該吐出圧を第3のリ
ザーバタンクRST3 に逃がし、一定圧に維持する。上
記油圧系統切換弁TCV1 は、その開弁状態では上記後
輪側マスタシリンダMCRとブレーキホイールシリンダ
RL、RRとを連通させ、通常ブレーキ操作およびAB
S作動を可能とする一方、閉弁状態になると少なくとも
メイン液路L 15の上流側を閉じて増圧ピストンTCPに
よる増圧力がチェック弁CV1 のチェック作用によって
ブレーキホイールシリンダRL、RRに作用するように
し、ブレーキトラクション制御が可能となるようにす
る。チェック弁CV1 は、該液圧系統切換弁TCV1
バイパスする液路L17に設けられており、ブレーキトラ
クション制御時のブレーキベダルBPによるブレーキン
グを可能とする。
【0015】以上のように、本実施例におけるブレーキ
制御システムは、先ず上記第1バルブユニットSO
1 、SGV1 の作動によって左後輪におけるブレーキ
装置の制動圧を可変制御する第1チャンネルと、第2バ
ルブユニットSOV2 、SGV2の作動によって右後輪
におけるブレーキ装置の制動圧を可変制御する第2チャ
ンネルと、第3バルブユニットSOV3 、SGV3 の作
動によって左前輪におけるブレーキ装置の制動圧を可変
制御する第3チャンネルと、第4バルブユニットSOV
4 、SGV4 の作動によって右前輪におけるブレーキ装
置の制動圧を可変する第4チャンネルとが設けられてい
て、これら第1〜第4チャンネルが互いに独立してAB
S制御できるようになっている。又、上記第1〜第4の
各電磁開閉弁SOV1 〜SOV4 及び第1〜第4のリリ
ーフ弁SGV1 〜SGV4 は、電磁ソレノイド弁であ
る。又、上記ブレーキ制御システムには上記液圧系統切
換弁TCV1 と、上記電磁開閉弁TCV2 と、上記第1
〜第4チャンネルの各バルブSOV1 、SGV1 、SO
2 、SGV2 、SOV3 、SGV3 、SOV4 、SG
4 と、オイルポンプ駆動モータM等を制御するコント
ロールユニットECUが備えられている。このコントロ
ールユニットECUは、各車輪の回転速度をそれぞれ検
出する車輪速センサVS1 〜VS4 からの車輪速検出信
号を各々入力し、これらの信号に応じて、各車輪の加減
速度、車体速度、路面のμ値、各車輪のスリップ量等を
算出する。そして、コントロールユニットECUは、制
動圧制御信号を上記第1〜第4のバルブユニットの各バ
ルブおよび液液圧系統切換弁TCV1 、電磁開閉弁TC
2 に出力することにより、左右の各後輪および各前輪
のスリップに対する制動力制御と左右の後輪(駆動輪)
に対する独立した制動力制御、すなわちABS制御とブ
レーキトラクション制御とを適切に行うようになってい
る。
【0016】具体的には、上記コントロールユニットE
CUは、上記各車輪速センサVS1〜VS4 からの車輪
速信号が示す車輪速に基づいて上記第1〜第4バルブユ
ニット(SOV1 、SGV1 )、(SOV2 、SG
2 )、(SOV3 、SGV3 )、(SOV4 、SGV
4 )における電磁開閉弁SOV1 、SOV2 、SO
3 、SOV4 とリリーフ弁SGV1 、SGV2 、SG
3 、SGV4 とをそれぞれデューティ制御によって開
閉制御することにより、スリップの状態に応じた制動圧
で後輪および前輪に最適な制動力を付与するABS制御
を行う。更に、コントロールユニットECUは、上記車
輪速センサVS1 〜VS4 からの信号等に基づいて、公
知の方法で推定路面摩擦係数μの演算処理も併せて行っ
ている。次に、このABS制御を概略的に説明する。こ
のABS制御は、ブレーキホイールシリンダに供給され
るブレーキ圧の減圧、減圧後の保持、増圧からなる公知
のABS制御サイクルを繰り返すことによって行われ
る。コントロールユニットECUは、車両の運転状態の
応じて設定された制御しきい値、車輪加減速度、スリッ
プ率に基づいて、これら減圧行程、保持行程、増圧行程
或いはABS制御を行わない状態を選択する。
【0017】次に、この増圧或いは減圧行程における増
圧及び減圧の方法を例示する。増圧及び減圧の制御は、
各バルブユニットの電磁開閉弁SOV1 、SOV2 、S
OV3 、SOV4 とリリーフ弁SGV1 、SGV2 、S
GV3 、SGV4 とをそれぞれデューティ制御によって
開閉制御することにより行われる。従って、増圧量或い
は減圧量は、電磁開閉弁SOV1 、SOV2 、SO
3 、SOV4 或いはリリーフ弁SGV1 、SGV2
SGV3 、SGV4 の開時間と対応する。例えば、本例
では、一回のデューティサイクルが40msに設定され
ているので、電磁開閉弁SOV1 、SOV2 、SO
3 、SOV4 に対して、40msのオン信号が出力さ
れたとき、各電磁開閉弁は、全開状態となり、急増圧が
行われることになる。以下、減圧量及び増圧量の設定方
法の一例を説明する。一方、減圧量は、初回〜第5回目
の5回に分けて間欠的にリリーフ弁SGV1、SG
2 、SGV3 、SGV4 を開くことにより行われる。
各回の減圧における減圧量は、該リリーフ弁の開時間に
対応し、この開時間は、表1に示す減圧レベル、減圧量
のテーブルに従って決定される。
【0018】
【表1】 減圧レベル・減圧量テーブル ────────────────────────────────── 減圧 減圧レベル 開始 備考 時期 DL DM DS DVS ────────────────────────────────── 第 初回減圧 0 ms 8 ms 8 ms 8 ms 8 ms * 1 2回目減圧 8 ms 20 ms 16 ms 12 ms 8 ms ** サ 3回目減圧 40 ms 8 ms 4 ms 0 ms 0 ms *** イ 4回目減圧 80 ms 10 ms 6 ms 2 ms 0 ms *** ク 5回目減圧 120 ms 20 ms 16 ms 8 ms 4 ms *** 第ク 初回減圧 0 ms 20 ms 16 ms 12 ms 8 ms ** 2ル 2回目減圧 40 ms 8 ms 4 ms 0 ms 0 ms *** サ以 3回目減圧 80 ms 10 ms 6 ms 2 ms 0 ms *** イ降 4回目減圧 120 ms 20 ms 16 ms 8 ms 4 ms *** ────────────────────────────────── 〔注〕(1) * 印の欄は高μのとき+8を加算 (2) ** 印の欄は高μのとき+3を加算 (3) ***印の欄は低μのとき+2を加算 上記のように表1に示すように、この減圧レベル、減圧
量のテーブルには、各減圧の減圧開始時間及び減圧レベ
ルに対応する各減圧の減圧量即ちリリーフ弁の開時間が
設定されている。コントロールユニットECUは、各減
圧の減圧開始時間及び減圧レベルから、このテーブルに
従って、減圧量即ちリリーフ弁の開時間を決定する。こ
こで、減圧レベルDL、DM、DS、DVSは、次の式
によって演算される減圧変数DVから設定される。
【0019】 DV=スリップ量+kc×車輪減速度の絶対値 尚、上式におけるスリップ量Smは(車体速Vr−車輪速
Vw)であり、Kcは所定の定数である。更に、このDVの値
に基づいて以下のように減圧レベルが設定される。 0.25Vr≦DVのとき、減圧レベル=DL(減圧レベル
大)、 0.1Vr ≦DV<0.25Vrのとき、減圧レベルDM(減圧レベ
ル中)、 0.05Vr≦DV<0.1Vr のとき、減圧レベルDS(減圧レベ
ル小)、DV<0.05Vrのとき、減圧レベルDVS(減圧レ
ベル微小)である。 以上のように、スリップ量Sm及び車輪減速度から減圧
変数DVが演算され、この減圧変数DVと車体速度Vr
から、減圧レベルDL、DM、DS、DVSが決定さ
れ、この減圧レベルから表2のテーブルに基づいてリリ
ーフバルブの開時間(減圧時間)即ち減圧量が決定さ
れ、各減圧において、コントロールユニットECUが、
リリーフ弁SGV1 、SGV2 、SGV3 、SGV4
開信号を出すことにより減圧が行われる。この時、同一
車軸上の左右輪に対し同じABS制御を行う所謂統合制
御の場合には、車輪減速度は左右輪の減速度の小さい方
を採用する。又、同一車軸上の左右輪に対し個別にAB
S制御を行う所謂独立制御の場合には、左右輪の夫々
で、減速度を検出し、それぞれの減圧量を決定する。
【0020】本例において、増圧は、初期の急増圧とそ
の後の緩増圧とからなり、各増圧の増圧量は電磁開閉弁
SOV1 、SOV2 、SOV3 、SOV4 の開時間によ
って定められる。上記急増圧の増圧量の設定は、例え
ば、表2に示すようなマップに従って設定される。
【0021】
【表2】 RATE 低μ 中μ 高μ 1 6ms 12ms 30ms 2 12ms 16ms 30ms 3 16ms 18ms 30ms 4 30ms 30ms 30ms 尚、μはコントロールユニットECUによって車輪速等
から算出された路面の推定摩擦係数であり、RATEは、前
回の増圧行程での増圧開始から8ms後における車輪の加
減速度G1 と、増圧行程開始から所定時間経過後の中で
最小車輪加速度或いは減速度G2 との差であるGT に応
じて決定されるフラグの値である。又、所謂統合制御の
場合には、加減速度G1 、G2 は左右輪の車輪速の低い
側の車輪の値を採用する。又、所謂独立制御の場合に
は、左右輪の夫々で、加減速度G1、G2 を検出し、そ
れぞれの増圧量を決定する。第1回目のABS制御サイ
クルでは、ABS制御に基づく増圧行程がないので、第
2回目のABS制御サイクルにおいて参照されるRATEフ
ラグの値は、当初から設定されているフラグRATEであ
る。通常、この当初のフラグRATEとしては2又は3が用
いられる。
【0022】上記フラグRATEの値は、前回のABS制御
サイクルにおける差GT に対応して更新される。例え
ば、前回のABS制御サイクルにおける差GT が0.3Gよ
り小さいときには、前回のフラグRATEの値に1が加えら
れ。又、差GT が0.3 以上であり且つ0.8Gより小さきと
きには、フラグRATEの値は変更されず、更に、差GT
値が、0.8G以上の場合には、前回のフラグRATEの値から
1が減ぜられる。又、上記のようにして増圧量が決定さ
れて実行される急増圧行程に引き続く緩増圧において
も、上記のようにして設定されたフラグRATAの値に応じ
た増圧量の決定(電磁開閉弁の開時間の決定)が行われ
る。例えば、フラグRATAの値が1のときには、電磁開閉
弁の開時間を1msにし、フラグRATAの値が2の時に
は、電磁開閉弁の開時間を2msとし、フラグRATAの値
が3のときには、電磁開閉弁の開時間を3msにし、フ
ラグRATAの値が4の時には、電磁開閉弁の開時間を4m
sとして、緩増圧がおこなわれる。一方、ABS非制御
状態においては、上記コントロールユニットECUから
は制動圧制御信号が出力されず、したがって第1〜第4
バルブユニットにおける各リリーフバルブSGV1 〜S
GV4 がそれぞれ閉弁状態に保持され、かつ各バルブユ
ニットの電磁開閉弁SOV1 〜SOV4 がそれぞれ開弁
状態に保持されることになる。この結果、ブレーキペダ
ルBPの踏込力に応じてマスターシリンダMCR、MC
Fで発生した制動液圧が、後輪用制動圧供給ライン
18、L15、L1、L2 および前輪用制動圧供給ライン
19、L16、L3 、L4 を介して左右の後輪および前輪
におけるブレーキホイールシリンダRL・RR、FL・
FRに対して供給され、これらの制動液圧に応じた制動
力が後輪および前輪の各ブレーキディスクに対してダイ
レクトに付与される、通常のブレーキ制御が行われる。
【0023】更に、上記コントロールユニットECU
が、上記ABS制御に加えて行う、ブレーキ制御による
ブレーキトラクション制御について説明する。上記コン
トロールユニットECUのROMにはブレーキ制御によ
るトラクションコントロールに必要な制御プログラム、
及び各種マップ又はテーブルが、更に、ECUのRAM
には該制御を実行するのに必要な各種メモリが設けられ
ている。そして、その中央制御部には、スリップ量の演
算手段等が設けられ、車速、車輪速等からスリップ量を
計算できるようになっている。尚、ブレーキトラクショ
ン制御中には、ブレーキトラクションフラグが1にされ
る。ブレーキトラクション制御におけるブレーキ制御量
即ち制動圧の増圧或いは減圧量の演算は、車輪のスリッ
プ量S及び目標スリップ量SBTに基づいて左右の車輪
毎に行われる。即ち、ブレーキ制御量は、次の式で求ま
るスリップ量の偏差BNと、この偏差BNの時間偏差率
DBNとをパラメータとして、次のマップ(表3)によ
り求められる。 BN=S−SBT
【0024】
【表3】 DBN (−) 0 (+) (−)PB PB PB PB PM ZO ZO PM PM PM PM PS ZO ZO BN PM PM PM PM PS ZO ZO 0 PS PS PS ZO ZO ZO ZO ZO ZO ZO ZO NS NS NS ZO ZO NS NM NM NM NM (+)ZO ZO NM NB NB NB NB この場合、上記マップの記号ZOは制動圧保持を、Nは
制動圧の増圧を、Pは制動圧の減圧を表す。更に、N又
はPの添字S、M、Lは制御量の大きさを表すものであ
り、Sが小(増圧小又は減圧小)、Mが中(増圧中又は
減圧中)、Bが大(増圧大又は減圧大)の意味であり、
同じ添字であれば、増圧も減圧も制御量の大きさ自体は
同じである。
【0025】即ち、制動圧保持であるZOから、PS、
PM、PBと進むにつれて、ブレーキトラクション制御
における制動圧の減圧量が大きくなり、一方、ZOか
ら、NS、NM、NBと進むにつれて、ブレーキトラク
ション制御における制動圧の増圧量が大きくなる。上述
した、ABS制動圧における増減圧同様、ブレーキトラ
クション制御においても、増減圧量は、電磁開閉弁SO
1 、SOV2 、SOV 3 、SOV4 或いはリリーフ弁
SGV1 、SGV2 、SGV3 、SGV4 の開時間と対
応する。例えば、本例では、減圧制御を示すPSは、4
0msのデューティ制御サイクルにおいてリリーフ弁S
GV1 、SGV2 、SGV3 、SGV4 の開時間が4m
sの緩やかな減圧である。又、PMはリリーフ弁の開時
間が12msの中間的な減圧であり、PBはリリーフ弁
の開時間が40ms即ち全開状態の急減圧である。一
方、増圧制御を示すNSは、40msのデューティ制御
サイクルにおいて電磁開閉弁(所謂増圧弁)SOV1
SOV2 、SOV3 、SOV4 の開時間が4msの緩や
かな増圧であり、更に、NMは該増圧弁の開時間が12
msの中間的な減圧であり、NBは該増厚弁の開時間が
40ms即ち全開状態の急増圧である。
【0026】次に、このようにして増圧量或いは減圧量
が設定され、ABS制御及びブレーキトラクション制御
が行われるスリップ制御装置に基づいて、本発明の第1
実施例を図2のフローチャートに沿って説明する。先
ず、コントロールユニットECUは、ブレーキトラクシ
ョン制御(TCS)が行われているか否かを判定する
(S1)。この判定は、ブレーキトラクションフラグを
参照することにより行われる。S1で、YES即ちブレ
ーキトラクション制御中であると判定されたときには、
S2に進む。次に、駆動輪において、ABS制御の開始
条件が満たされているか否かが判定される(S2)。こ
のABS制御の開始条件が満たされたとは、駆動輪(上
記構成の車両においては後輪)の減速度が所定のしきい
値を上回った状態をいう。S2でYES即ちABS制御
の開始条件が満たされていると判定されたときには、S
3に進む。ここで、ブレーキトラクション制御による制
動圧変化と、これから行われるABS制御による制動圧
変化が比較(ABS制御の出力と左側駆動輪のブレーキ
トラクション制御出力とが比較され、ABS制御の出力
と右側駆動輪のブレーキトラクション制御出力とが比
較)され、左右輪毎に、両者の内の減圧側の制動圧変化
を伴う制御が選択される(S3)。ここで制動圧の変化
とは、ブレーキトラクション制御或いはABS制御によ
って行われる制動圧の減圧或いは増圧のことを差す。
又、減圧側とは、両制御が減圧を行う場合には減圧量が
大きい側(即ちリリーフ弁の開時間が長い側)を、一方
が増圧で他方が減圧の場合には減圧の側を、両制御が増
圧を行う場合には、増圧の小さい側(即ち増圧弁の開時
間が短い側)をいう。具体的には、上述したような方法
によって設定された、ABS制御の減圧又は増圧量とブ
レーキトラクション制御の減圧又は増圧とが比較され
る。より詳細には、両制御における弁の制御状態(何れ
の弁がどれだけの時間開くか)が比較され、いずれの制
御が減圧側の制御であるかが決定され、これを実行すべ
き制御として選択する。次いで、S7に進み、実行する
制御として選択された(減圧側の)スリップ制御が公知
の方法で実行される。
【0027】従って、ブレーキトラクション制御中にA
BS制御の実行条件が成立しているときには、車輪減速
度がABS制御のしきい値を越えた(即ち、ブレーキト
ラクション制御による制動圧の増圧で、ロック或いはロ
ックに近い状態になった)駆動輪のロック状態を解除す
る処置が優先して行われることになる。一方、S1でN
O即ちブレーキトラクション制御中でないと判定された
ときには、S4に進み、ABS制御の実行条件が成立し
ているか否かが判定される。S4でYES即ちABS制
御の実行条件が成立しているときには、S5に進み、こ
こでABS制御の実行が許可され、更に、S7に進み、
公知のABS制御によりスリップ制御が行われる。又、
S4で、NO即ちABS制御の実行条件を満たしていな
いと判定されたときには、いずれのスリップ制御も行わ
れない。更に、S2でNO即ちABSの作動条件を満た
していないと判定されたときには、S6に進み、ブレー
キトラクション制御の続行が許可され、S7で公知のブ
レーキトラクション制御によりスリップ制御が行われ
る。次に、本発明の第2実施例を図3のフローチャート
に沿って説明する。図3のフローチャートから明らかな
ように、第2実施例は、S13、S14、S15を除い
て第1実施例と共通する。従って、S13、S14、S
15のみについて説明し、他の共通部分の説明は省略す
る。
【0028】本実施例では、コントロールユニットEC
Uにより、ブレーキトラクション制御中であり(S1
1)且つABS制御作動条件を満たしている(S12)
と判定されたときには、S13に進み、左右の駆動輪に
速度差があるか否かが判定し、その判定結果により、異
なった制御を行っている。これは、左右の駆動輪の挙動
(速度)に差があるときには、ブレーキトラクション制
御による制動圧変化と、ABS制御による制動圧変化の
内の減圧側の制御を選択することが好ましくない場合が
あるからである。具体的には、所謂スプリット路を走行
中に、一方の駆動輪がホイールスピンを起こしブレーキ
トラクション制御に入り、その結果、該駆動輪の減速度
がABS制御の実行のしきい値を上回り(ABS制御の
実行条件が満たされ)、この時、他方の駆動輪がホイー
ルスピンしてブレーキトラクション制御に入ろうとして
いる場合がある。このとき、減圧側の制御(この場合に
はABS制御)を選択し、両駆動輪ともに減圧側の制御
を行うと、他方の駆動輪のホイールスピンを効果的に抑
えることができなくなってしまう。本実施例は、このよ
うな、状況を考慮して、左右の駆動輪に速度差があると
きには、以下のような処理を行っている。
【0029】S13で、YES即ち左右の駆動輪に速度
差があると判定されたときには、S14に進み、左右輪
毎に、ブレーキトラクション制御による制動圧変化と、
これから行われるABS制御による制動圧変化が比較さ
れ、車輪側の高い駆動輪に対してはABS制御とブレー
キトラクション制御のうちの増圧側の制御が、車輪速の
低い駆動輪に対してはABS制御とブレーキトラクショ
ン制御のうちの減圧側の制御が選択される。第1実施例
の場合同様、制動圧の変化とは、ブレーキトラクション
制御或いはABS制御によって行われる制動圧の減圧或
いは増圧のことを差す。又、減圧側とは、両制御が減圧
を行う場合には減圧量が大きい側(即ちリリーフ弁の開
時間が長い側)を、一方が増圧で他方が減圧の場合には
減圧の側を、両制御が増圧を行う場合には、増圧の小さ
い側(即ち増圧弁の開時間が短い側)を指し、増圧側と
はその逆側、即ち、増圧の大きい側(即ち増圧弁の開時
間が長い側)を指す。具体的には、上述したような方法
によって設定された、ABS制御による減圧又は増圧量
(即ち、リリーフ弁或いは増圧弁の開時間)とブレーキ
トラクション制御による減圧又は増圧量(即ち、リリー
フ弁或いは増圧弁の開時間)とが比較され、いずれの制
御が増圧側、減圧側か決定される。
【0030】次いで、S19に進み、各駆動輪に対し
て、選択されたスリップ制御が行われる。又、S13で
NO即ち速度差が無いと判定されたときには、上記第1
実施例のS3同様に、ブレーキトラクション制御による
制御変化と、これから行われるABS制御による制動圧
変化が、左右輪毎に比較され、両者の内で減圧側の制動
圧変化を伴う制御が左右毎に選択された後、S19に進
み、左右輪毎に選択された減圧側のスリップ制御が行わ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両のスリップ制御装置が装備される
車両の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施例のスリップ制御装置が行う
制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例のスリップ制御装置が行う
制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ECU コントロールユニット SOV1 電磁開閉弁 SOV2 電磁開閉弁 SOV3 電磁開閉弁 SOV4 電磁開閉弁 SGV1 リリーフ弁 SGV2 リリーフ弁 SGV3 リリーフ弁 SGV4 リリーフ弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪の路面に対するスリップ量が目標
    スリップ量となるように制動圧を駆動輪のブレーキホイ
    ールシリンダに加えるブレーキトラクション制御と、車
    輪の減速度が所定のしきい値を上回ったときブレーキホ
    イールシリンダに加える制動圧を変化させるアンチスキ
    ッドブレーキ制御とを行う車両のスリップ制御装置であ
    って、 前記ブレーキトラクション制御中に前記アンチスキッド
    ブレーキ制御を行う条件が成立しているときに、ブレー
    キトラクション制御による制動圧変化とアンチスキッド
    制御による制動圧変化とを比較する制動圧変化比較手段
    と、 前記制動圧変化比較手段の比較結果に基づいて、ブレー
    キトラクション制御とアンチスキッド制御のうち減圧側
    の制動圧変化を伴う制御を選択してスリップ制御を行わ
    せるスリップ制御手段と、 を備える車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 駆動輪の路面に対するスリップ量が目標
    スリップ量となるように制動圧を駆動輪のブレーキホイ
    ールシリンダに加えるブレーキトラクション制御と、車
    輪減速度が所定のしきい値を上回ったときブレーキホイ
    ールシリンダに加える制動圧を変化させるアンチスキッ
    ドブレーキ制御とを行う車両のスリップ制御装置であっ
    て、 左右駆動輪の車輪速を比較する車輪速比較手段と、 前記ブレーキトラクション制御中に前記アンチスキッド
    制御を行う条件が成立しているときにブレーキトラクシ
    ョン制御による制動圧変化とアンチスキッド制御による
    制動圧変化とを比較する制動圧変化比較手段と、 前記車輪速比較手段と前記制動圧変化比較手段による比
    較結果に基づいて、車輪速の高い側の駆動輪では、ブレ
    ーキトラクション制御とアンチスキッドブレーキ制動圧
    のうち増圧側の制動圧変化を伴うスリップ制御を選択し
    てスリップ制御を行わせ、車輪速の低い側の駆動輪で
    は、ブレーキトラクション制御とアンチスキッドブレー
    キ制動圧のうち減圧側の制動圧変化を伴うスリップ制御
    を選択してスリップ制御を行わせるスリップ制御手段
    と、 を備えた車両のスリップ制御装置。
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