JPH0725636B2 - 半導体ダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

半導体ダイヤモンドの製造方法

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JPH0725636B2
JPH0725636B2 JP61012453A JP1245386A JPH0725636B2 JP H0725636 B2 JPH0725636 B2 JP H0725636B2 JP 61012453 A JP61012453 A JP 61012453A JP 1245386 A JP1245386 A JP 1245386A JP H0725636 B2 JPH0725636 B2 JP H0725636B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は半導体ダイヤモンドの製造方法の改良に関す
る。
(従来の技術) ダイヤモンドは、現在知られている物質の中では、硬
度、熱伝導率が最も大きく、また極めて高い弾性率、圧
縮強さ、電気絶縁性を備え、かつ透明で化学的にも安定
な物質である。したがって、その優れた特性を生かし
て、治工具への耐摩耗コーティング、太陽電池の保護
膜、光学レンズあるいは半導体装置の放熱板等への用途
開発が研究されている。
また、ダイヤモンドにホウ素やリン等各種の不純物をド
ープすることにより、P型半導体やN型半導体を製造す
ることができる。半導体ダイヤモンドは500℃以上の高
温に耐え、放射線にも強く、しかも電子や正孔の移動速
度も半導体として一般に使用されているシリコンよりも
大きい。このため、半導体ダイヤモンドはスーパーコン
ピューター、自動車のエンジンルーム内での制御、高温
環境で作業するロボットの制御、電力関連の制御、大量
の放射線を浴びる原子力装置や宇宙機器への応用が期待
できる。
このため、半導体ダイヤモンドの製造研究が盛んに行な
われているが、従来知られている金属触媒を用いた高温
・高圧下における方法で製造された半導体ダイヤモンド
には、金属触媒が混入されたりする欠点がある。また、
高価な高圧装置を必要とし、その操作も煩雑で高度の技
術を要する。しかも、こうした半導体ダイヤモンドはい
ずれも、一般に塊状又は粒状の形状を有し、膜の製造は
困難であるため、ダイヤモンドが備える有用な特性を充
分に活用できていない。
このようなことから最近では、低温・低圧下で半導体ダ
イヤモンドを製造する研究が活発に進められている。
その主要な方法の1つとして、加熱したダイヤモンド基
体に炭素と不純物元素とを同時にイオン注入して、基体
表面に半導体ダイヤモンド層を形成する方法がある(米
国特許第4277293号)。この方法では不純物元素の種類
を途中で変えることによりPN接合を形成することもでき
る。
しかし、この方法では、イオン注入工程に起因して放射
線損傷による欠陥が生じる。このため、イオン注入後に
加熱処理を行なって放射線損傷を除去しているが、それ
でも欠陥を完全に取り除くことは極めて困難である。
そこで、これらの欠点を解消するために、プラズマ中で
炭化水素と不純物元素の化合物、例えばジボランとを分
解して活性種を生成させ、各種基体表面に半導体ダイヤ
モンドを成長させるプラズマ化学気相成長法が開発され
ている(特開昭58−135117、特開昭59−63732、特開昭5
9−137396)。このプラズマ化学気相成長法では、当
然、放射線損傷による欠陥が生じることはない。
しかし、プラズマ化学気相成長法を用いた場合、半導体
ダイヤモンドの成長速度が小さく、しかも小さな面積に
しか成長できないという問題がある。また、プラズマを
用いているため、周囲の構成材料の成分がプラズマ中に
取込まれ、その結果ダイイヤモンドが汚染されて半導体
特性が劣化するという問題もある。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記問題点を解消するためになされたものであ
り、低温・低圧下で欠陥や汚染のない半導体ダイヤモン
ドを迅速に製造し得る方法を提供することを目的とする
ものである。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明の半導体ダイヤモンドの製造方法は、反応容器内
に設置された基体に近接して加熱体を設け、前記反応容
器内に有機化合物、水素及びホウ素、アルミニウム、ガ
リウム、インジウムもしくはタリウムの単体もしくはそ
の化合物のうち少なくとも1種又は窒素、リン、ヒ素、
アンチモン、もしくはビスマスの単体もしくはその化合
物のうち少なくとも1種を含有する反応ガスを導入し、
前記基体近傍で加熱することを特徴とするものである。
本発明方法を実施するにあたっては、まず通常の気相成
長法で用いられる反応容器中に基体を配置する。基体の
材料としては、各種の単体金属、合金、セラミックス、
ガラス又は複合材料が用いられるが、特に限定されな
い。
次に、反応容器内に反応ガスを導入する。反応ガスとし
ては、ダイヤモンド源としての有機化合物と不純物源と
を含有していることが必要である。有機化合物として
は、本発明方法によりダイヤモンド形成原料となる炭素
を生じるものであればよいが、比較的低分子数のものが
好適で、具体的にはメタン、エタン、プロパン、エチレ
ン、アセチレン、ブタジエン、ベンゼン等の炭化水素、
アセトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド
を挙げることができる。
また、不純物源としては、P型半導体を製造する場合に
は周期表のIII b族の元素の単体もしくはその化合物が
用いられる。具体的には、B、Al、Ga、In、Tl、B2H6
B4H10、CH3BCl2、〔(CH3)AlBr2、(CH32AlCl、
〔(CH33Al〕、Ga2H6、(CH33Ga、(CH32GaB
H4、(CH33In、(CH33Tl等のうち少なくとも1種が
挙げられる。
ここで、例えばBは融点が2225℃と高いので、電子ビー
ム加熱又はスパッタ法により蒸発させて用いる。また、
例えば〔(CH33Al〕は常温では液体であるが、揮発
性なので加熱により気化させて用いる。更に、例えばB2
H6は常温で気体なのでそのまま用いる。
また、N型半導体を製造する場合には周期表のVb族の元
素の単体又はその化合物が用いられる。具体的には、
N2、P、As、Bi、Sb、NH3、PH3、AsH3、N2H4、CH3AsB
r2、CH3AsH2、(CH33As、(CH33Bi、(C2H53Bi、
SbH3、ClCH2SbCl2、CH3SbH2、(CF33Sb等のうち少な
くとも1種が挙げられる。
ここで、例えばAsは融点が817℃と高いので、抵抗加熱
により蒸発させて用いる。また、例えば(CH33Biは常
温では液体であるが、揮発性なので加熱により気化させ
て用いる。更に、例えばCH3AsH2は常温では気体なので
そのまま用いる。
反応ガス中のこれら元素の単体又はその化合物と有機化
合物との適切な混合比は目的とする半導体特性及び反応
条件により左右されるので、特に限定されないが、一般
的には原子比で(不純物)/(炭素)=10-5〜10-2の範
囲が好適である。
また、反応ガスの中に水素を所定量混合すると、ダイヤ
モンドの析出速度が大きくなるうえ、形成されるダイヤ
モンドの半導体特性が向上するので有効である。混入さ
せる水素の適量は他の反応条件によっても左右されるた
め、特に限定されないが、例えば体積比で(有機化合
物)/(水素)=0.001〜1.0の範囲が好ましい。これ
は、後述するように励起して分解・生成した活性水素
が、有機化合物の励起・分解を促進したり、副生する黒
鉛、無定形炭素等の非ダイヤモンド成分と反応してこれ
らを除去することが推定されるためである。
なお、反応容器内のガス圧は反応ガスの構成によって異
なり、特に限定されるものではないが、例えば102〜10
-4Torrの範囲が好ましい。また、基体自体は加熱しても
しなくてもよいが、加熱するとダイヤモンドの成長速度
も大きくなり、特性も良好であるので有効である。特
に、基体を400℃以上にすると、ダイヤモンド中の非ダ
イヤモンド成分が減少するほか、ダイヤモンドと基体と
の密着性も向上するので望ましい。基体の加熱方法とし
ては、外部に基体加熱専用の加熱源を設けてもよいが、
後述する電子線そのもので加熱してもよく、両者を併用
してもよい。また、電子線強度が大きすぎて、基体が不
適当に過熱される場合には、外部に冷却源を設けて基体
を冷却してもよい。
次いで、基体に近接して設けられている加熱体を昇温し
て反応ガス中の有機化合物を励起及び分解させる。ま
た、これと同時に基体に所定加速電圧及び所定電流密度
の電子線を照射して反応ガス中の有機化合物を励起及び
分解させてもよい。加熱体の温度は反応ガスを活性化す
るのに必要な1000℃以上とする。なお、電子線を照射す
る場合には、加熱体の温度は反応ガスを予備活性化する
のに必要な700℃以上、より好ましくは800℃以上とする
のがよい。また、電子線を照射する場合、電子線の照射
源は特に限定されないが、前記加熱体から熱電子を照射
する方法又は電子銃から電子線を照射する方法を挙げる
ことができ、これらを併用してもよい。また、電子線の
照射条件は無放電、すなわち気体放電が起らない条件が
選択されるが、実用上、加速電圧を50〜800V、電流密度
を10〜300mA/cm2とすることが好ましい。
なお、以上の説明では、基体設置、反応ガス導入、
(基体加熱)、加熱体昇温、(電子線照射)の順
序で操作を行なう場合について説明したが、この順序に
限定されるものではなく、例えばとの順序を逆にし
てもよい。
(作用) 上記のような本発明方法によれば、反応ガス中の有機化
合物は励起及び分解して活性な化学種となり、これが基
体表面に順次析出してダイヤモンドを形成するとともに
不純物元素を同時に取込んで半導体特性を示すようにな
る。また、プラズマを用いないので、半導体ダイヤモン
ドの成長速度が速く、広い面積にも比較的容易に半導体
ダイヤモンドを形成することができ、しかもダイヤモン
ドが汚染されることがなく良好な半導体特性を示す。
なお、不純物源を例えば最初にB2H6とし、途中でAsH3
変えることによりPN接合を形成することも可能である。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例1 第1図は本発明の一実施例で用いられる反応装置の概略
構成図である。第1図において、反応容器1の底面には
ガス入口2及びガス出口3が設けられている。また、反
応容器1内の下部には基体ホルダ4が設けられており、
この基体ホルダ4上に基体5が保持され、基体ホルダ4
の下方には基体5加熱用の加熱源6が設けられている。
更に、基体5上方には基体5に近接して反応ガスを加熱
する加熱体7が設けられている。
上記反応装置を用い、以下のようにして半導体ダイヤモ
ンドを形成した。まず、基体ホルダ4上に基体5として
モリブデン板を設置し、加熱源6で加熱して700℃に保
持した。次に、ガス入口2から反応容器1内にエチレ
ン、ホスフィン及び水素の混合ガス(ここで、エチレン
と水素との体積比は1:20、エチレン中の炭素とホスフィ
ン中のリンとの原子比は1:10-3に設定した)を40ml/min
の流量で導入し、ガス出口3から排気して反応容器1内
を約50Torrに維持した。次いで、タングステン線からな
る加熱体7を2000℃に加熱・保持した。この状態を4時
間続けたところ、厚さ3μmのN型半導体ダイヤモンド
膜が得られた。
得られた膜は、室温で104Ωcm程度の比抵抗値を示し
た。また、X線回折、ラマンスペクトル、エネルギ損失
スペクトル等の測定から、この膜はダイヤモンド結晶構
造を有することが確認された。
実施例2 第2図は本発明の他の実施例で用いられる反応装置の概
略構成図である。なお、第2図中、第1図と同一の部材
には同一の番号を付して説明を省略する。第2図図示の
反応装置は、基体ホルダ4と加熱体7との間に基体ホル
ダ4が正電位となるように直流電源11が接続されている
以外は第1図図示の反応装置と同様な構成を有してい
る。
上記反応装置を用い、以下のようにして半導体ダイヤモ
ンドを形成した。まず、基体ホルダ4上に基体5として
炭化ケイ素を設置し、加熱源6で加熱して600℃に保持
した。次に、ガス入口2から反応容器1内にエタン、ア
ルシン及び水素の混合ガス(ここで、エタンと水素との
体積比は1:400、エタン中の炭素とアルシン中のヒ素と
の原子比は1:10-5に設定した)を30ml/minの流量で導入
し、ガス出口3から排気して反応容器1内を約30Torrに
維持した。次いで、タングステン線からなる加熱体7を
1900℃に昇温するとともに、直流電源11により基体ホル
ダ4−加熱体7間に130Vの電圧を印加した。この結果、
加熱体11から基体5方向へ30mA/cm2の電流密度の熱電子
線が照射された。この状態を3時間続けたところ、厚さ
4μmのN型半導体ダイヤモンド膜が得られた。
得られた膜は、室温で105Ωcm程度の比抵抗値を示し
た。また、X線回折、ラマンスペクトル、エネルギ損失
スペクトル等の測定から、この膜はダイヤモンド結晶構
造を有することが確認された。
実施例3 第3図は本発明の更に他の実施例で用いられる反応装置
の概略構成図である。なお、第3図中、第1図と同一の
部材には同一の番号を付して説明を省略する。第3図に
おいて、反応容器1内の上部には電子銃室21が設けら
れ、その内部には電子銃22が設置されて電子銃室21下部
に形成された電子線出口23から電子線24を基体5上に照
射できるようになっている。また、反応容器1の上面に
は排気口25が設けられている。
上記反応装置を用い、以下のようにして半導体ダイヤモ
ンドを形成した。まず、基体ホルダ4上に基体5として
シリコンウェハを設置し、加熱源6で加熱して300℃に
保持した。次に、ガス入口2から反応容器1内にメタ
ン、ジボラン及び水素の混合ガス(ここで、メタンと水
素との体積比は1:200、メタン中の炭素とジボラン中の
ホウ素との原子比は1:10-4に設定した)を20ml/minの流
量で導入し、ガス出口3から流出させながら、排気口25
から排気して反応容器1内を約0.1Torrに維持した(た
だし、電子銃室21内の圧力は約10-4Torrに保持した)。
つづいて、加速電圧400V、電流密度100mA/cm2の条件
で、電子銃22から基体5表面に電子線24を照射した。こ
の電子線照射により基体温度は500℃に上昇した。次い
で、タングステン線からなる加熱体7を1500℃に昇温
し、3時間保持した。この結果、厚さ5μmのP型半導
体ダイヤモンド膜が得られた。
得られた膜は、室温で104Ωcm程度の比抵抗値を示し
た。また、X線回折、ラマンスペクトル、エネルギ損失
スペクトル等の測定から、この膜はダイヤモンド結晶構
造を有することが確認された。
〔発明の効果〕
以上詳述した如く本発明方法によれば、基体表面に良好
な半導体特性を備えたダイヤモンドを速い速度で、かつ
広い面積にも容易に形成することができる等工業上極め
て顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1で用いられた半導体ダイヤモ
ンドを形成するための反応装置の概略構成図、第2図は
本発明の実施例2で用いられた半導体ダイヤモンドを形
成するための反応装置の概略構成図、第3図は本発明の
実施例3で用いられた半導体ダイヤモンドを形成するた
めの反応装置の概略構成図である。 1……反応容器、2……ガス入口、3……ガス出口、4
……基体ホルダ、5……基体、6……加熱源、7……加
熱体、11……直流電源、21……電子銃室、22……電子
銃、23……電子線出口、24……電子線、25……排気口。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応容器内に設置された基体に近接して加
    熱体を設け、前記反応容器内に有機化合物、水素及びホ
    ウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムもしくはタ
    リウムの単体もしくはその化合物のうち少なくとも1種
    又は窒素、リン、ヒ素、アンチモン、もしくはビスマス
    の単体もしくはその化合物のうち少なくとも1種を含有
    する反応ガスを導入し、前記基体近傍で加熱することを
    特徴とする半導体ダイヤモンドの製造方法。
  2. 【請求項2】基体上に電子線を照射することを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の半導体ダイヤモンドの製
    造方法。
  3. 【請求項3】加熱体からの熱電子線又は電子銃からの電
    子線のうち少なくとも一方の電子線を用いることを特徴
    とする特許請求の範囲第2項記載の半導体ダイヤモンド
    の製造方法。
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