JPH07255272A - 成形パック入り種菌 - Google Patents

成形パック入り種菌

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JPH07255272A
JPH07255272A JP6076703A JP7670394A JPH07255272A JP H07255272 A JPH07255272 A JP H07255272A JP 6076703 A JP6076703 A JP 6076703A JP 7670394 A JP7670394 A JP 7670394A JP H07255272 A JPH07255272 A JP H07255272A
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博 越谷
Hitoshi Kishimoto
仁志 岸本
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KINKOU SHIITAKE KYODO KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐乾燥性を向上させるとともに、貯蔵性の高
い成形パック入り種菌を得る。 【構成】 鋸屑と穀類精製時の副生物を主体とし、これ
に増粘性および/または保水性を有することで乾燥防止
効果のある添加剤を少なくとも1種加えた培地に茸菌を
接種、培養して得た種菌Tを成形シート1の凹部2内に
充填して培養し、次いでこの成形シート1の上面を通気
性のある紙またはフィルム5でシールするか、包装する
ことにより、耐乾燥性が大きくて貯蔵性の高い成形パッ
ク入り種菌が得られる。 【効果】 貯蔵性の高い成形パック入り種菌が得られる
ことから、この成形パック入り種菌の広域供給を可能と
し、また耐乾燥性が大きいことから、乾燥地域における
原木栽培に適用できる成形種菌を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、しいたけ、なめこ、
ひらたけなどの食用茸の原木栽培に用いる鋸屑種菌に関
し、詳しくは耐乾燥性を改良し、かつ貯蔵性を向上せし
めた成形パック入り種菌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、食用茸の栽培においては、こな
ら、しい、くぬぎ等の原木にドリル等で穿孔した孔中に
種菌を詰め込み(あるいは打ち込み)、一定期間適温、
適湿の環境下に置いて、茸を発生させる原木栽培法が広
く実施されている。
【0003】そして、種菌には円柱状等に切り出した木
片に椎茸菌などの菌糸を接種、培養した種駒と、鋸屑や
木材チップ等の菌類支持体と米糠、ふすま等の栄養材と
の混練物にしいたけ菌等の菌糸を接種、培養した鋸屑種
菌とがある。
【0004】しかしながら、種駒を用いる栽培法は、鋸
屑種菌を用いる栽培法に比べ、植菌作業が容易である利
点はあるが、反面原木孔中への種菌の活着、繁殖が遅
く、茸発生までの期間が長くかかる(約1年)などの点
が指摘されている。
【0005】一方、鋸屑種菌による栽培法においては、
原木への種菌の活着、繁殖が速く、茸発生までの期間が
短いという利点はある。また、しいたけ栽培において
は、近年流行している多孔式植菌法で行えば、良質の茸
を植菌孔より早期に発生させることができる。
【0006】ところが、上記した鋸屑種菌による栽培法
は、原木孔内への種菌の詰め込みを手作業で行うために
手間がかかるうえ、詰め込んだ種菌の脱落や種菌内への
害菌の侵入を防止するために、この孔の表面を1つずつ
封ロウするか、あるいは発泡スチロール栓などで塞ぐ厄
介な作業が必要であり、作業効率が悪いという問題があ
る。
【0007】上記した原木孔内への種菌の詰め込み、お
よび詰め込み後の孔表面の閉塞における作業効率を上げ
るために、鋸屑自動植菌器(特公昭57−61373号
公報)、植菌と施蓋を同時に行う植菌機(実公平3−3
1154号公報)や植菌後の孔の栓打ち込み装置(実公
平4−1785号公報)などが提案されている。
【0008】しかしながら、これらの植菌機や装置は重
量があって取り扱いにくいこと、作業にかなりの力を必
要とすること、原木を水平に保ち、植菌孔を真上に向け
る必要があるので、一人では作業しにくいこと、などの
問題がある。
【0009】このため、特公昭53−29621号公
報、特開平2−255018号公報、特開平5−304
831号公報などのパック入り種菌が植菌作業が容易な
ことから注目を集めている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特公昭53−2962
1号公報のパックケースは成形シートの複数の凹部に種
菌つき蓋を充填したのち、種菌の過乾燥を防ぐために上
面に合成樹脂製フィルムを装着したものである。しかし
ながら、該フィルムは通気性が低いため、内側に水滴が
付着しやすく、20℃程度の室温では1週間以内に菌糸
が種菌蓋部の表面まで上がってくる。この時、水滴が該
菌糸に作用してその部分が変色、老化したり、密閉され
ているため種菌の活力が低下したり、害菌が繁殖したり
する、などの問題がある。また、パックケースより取り
出した種菌は乾燥に弱いため、乾燥地域における栽培に
は不向きとされてきた。
【0011】このような問題を回避するため、上記のよ
うなパックケースの種菌は1週間以内に使用するとか、
保冷車で近距離輸送に限るとか、保管期間や輸送形態、
さらには使用地域を制限せざるを得ず、従って広域供給
には向かないのが欠点である。
【0012】また、特開平2−255018号公報の鋸
屑種菌用シート状物は、シート状物に形成した凹状袋部
に多数の小孔が形成されているので、この凹状袋部で培
養した鋸屑種菌を袋に詰めたまま原木に移植できること
が特徴であり、特開平5−304831号公報の菌類培
養用成形シートは、成形シートとして不織布シートを用
いることを特徴とするものである。
【0013】これらは、鋸屑種菌21を培養する袋部2
2が多孔性であるので、種菌21は成形パック入りのま
ま原木24にあけた穴25に移植しても小孔26から原
木内に菌糸が繁殖するが、このような袋入り種菌はその
貯蔵が難しい。即ち、上記のような成形シートの凹状袋
部内で培養した種菌を、ポリプロピレンフィルム等で作
った袋に入れて貯蔵する場合、その貯蔵中に上記凹状袋
部の小孔から袋外へ伸延した菌糸により種菌同士が粘着
して一塊りになってしまって、使用時に1つずつの袋と
して取り出すことが難しく、またシール部分が弱くなり
やすい。また、図4のように鍔(シール部)の部分23
が原木24の樹皮27の凹凸と密着しにくく、浮いて乾
燥しやすくなるなどの欠点を有している。
【0014】この発明は、上記した成形パック入り種菌
における問題点に鑑みて、種菌の耐乾燥性を向上させる
培地組成、さらに種菌の貯蔵性を高めるためのシール部
材について検討の結果、得られたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、この発明の第1の
発明は、鋸屑と穀類精製時の副生物を主体とし、これに
増粘性および/または保水性を有することで乾燥防止効
果のある添加剤として(a)グルコース、澱粉、可溶性
澱粉のような天然糖類1〜9重量%、(b)小麦粉、木
材パルプあるいはその排繊維質、木材微粉末のような増
粘性、吸水性天然物1〜5重量%、から選んだ少なくと
も1種を加えた培地に、茸菌を接種、培養して得た種菌
を成形シートの凹部に充填し、培養してなる成形パック
入り種菌である。
【0016】第2の発明は、鋸屑と穀類精製時の副生物
よりなる培地に茸菌を接種、培養して得た種菌に、増粘
性および/または保水性を有することで乾燥防止効果の
ある添加剤として、(a):グルコース、澱粉、ペクチ
ンのような天然糖類0.5〜25重量%、(b):ゼラ
チン、カゼイン、にかわのような蛋白質系増粘材2〜8
重量%、(c):米糠、コーンブラン、酵母エキスのよ
うな栄養材2〜10重量%、(d):小麦粉、木材パル
プあるいはその排繊維質、木材微粉末のような増粘性、
吸水性天然物0.5〜25重量%、(e):アルキルス
ルホン酸ナトリウム、アルキルトリメチルアンモニウム
クロライド、ソルビタン脂肪酸エステルのような界面活
性剤0.2〜1.5重量%、(f):ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセ
ルロースのナトリウム塩のような増粘性、吸水性合成高
分子化合物0.1〜3重量%、の(a)〜(f)から選
んだ少なくとも1種を殺菌して加え、成形シートの凹部
に充填し、培養してなる成形パック入り種菌である。
【0017】そして、さらに請求項1または2で得られ
た種菌を凹部に有する成形シート上面を、通気性を有す
る紙またはフィルムでシールするか、上記成形シートを
通気性を有する紙またはフィルムよりなる袋にて包装し
てなる成形パック入り種菌を提供するものである。
【0018】
【作用】この発明の成形パック入り種菌は、種々の増粘
性および/または保水性を有することで乾燥防止効果の
ある添加剤を、茸菌を培養する鋸屑培地に、あるいは培
養した種菌を成形シートに充填する時に加えて該培地組
成を改良することにより、種菌のよりよい生育と耐乾燥
性の向上をはかり、かくして得られた種菌の貯蔵時に
は、通気性材料を用いてシールまたは包装することによ
って、成形パック内での水滴の生成や、該パック蓋部表
面での菌糸の増殖、変質を防止して長期間の貯蔵を可能
にしたものである。
【0019】この発明で、種菌のよりよい生育と耐乾燥
性の向上をはかるべく、鋸屑培地組成の改良のために加
える増粘性および/または保水性を有することで乾燥防
止効果のある添加剤(以下、単に添加剤という)として
は、以下の種々の天然物質や合成高分子化合物が挙げら
れる。
【0020】まず、通常の鋸屑と穀類精製時の副生物
(例えば米糠)との3〜9:1(容量比)混合物よりな
る培地に加える添加剤としては、グルコース、澱粉ある
いは可溶性澱粉のような天然糖類や、小麦粉、木材パル
プ、木材パルプの排繊維質、木材微粉末あるいはバガス
のような増粘性または吸水性の天然物があり、その使用
量は天然糖類は上記混合物培地に対して1〜9重量%、
増粘性または吸水性の天然物は1〜5重量%が適当であ
る。これは、何れの場合も下限の量未満では乾燥防止
(即ち、耐乾燥性の向上)の効果が期待できず、また上
限の量を超えると、培地の粘度が増大しすぎて接種した
茸菌の培地内での生育が阻害される。これらの添加剤
は、単独でも数種組み合わせて使用してもよい。
【0021】次に、通常の鋸屑と米糠の3〜9:1(容
量比)混合物よりなる培地にて培養された種菌を成形シ
ートに充填する時に加える添加剤としては、上記した天
然糖類や増粘性または吸水性の天然物のほかに、蛋白質
系増粘材、栄養材、界面活性剤、増粘性または吸水性の
合成高分子化合物を単独または数種組み合わせて使用で
き、天然糖類としては、グルコース、澱粉あるいは可溶
性澱粉は2〜25重量%、プルラン、ペクチンあるいは
アラビアゴムを使用する場合は0.5〜5重量%が適当
である。これは、プルラン等が他の天然糖類より増粘効
果が著しいために、多く使用すると培地内の空隙が見ら
れなくなって、菌の生育を妨げるためである。
【0022】蛋白質系増粘材としては、ゼラチン、にか
わ、カゼインあるいは大豆グルーが2〜8重量%、栄養
材として酵母エキス、米糠あるいは大豆ミールは2〜1
0重量%、上記したような増粘性または吸水性の天然物
は0.5〜25重量%、アルキルスルホン酸ナトリウ
ム、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ソル
ビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤は0.2〜1.5
重量%、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコ
ールあるいはカルボキシメチルセルロースのナトリウム
塩等の増粘性または吸水性の合成高分子化合物は0.1
〜3重量%の使用が適当である。
【0023】そして、これらの材料は、何れもその範囲
の下限未満では乾燥防止の効果が薄く、また上限を超え
ると培地の増粘度合いが進み過ぎて菌が呼吸する空隙が
なくなり、菌の生育を阻害したり、あるいは培地内の栄
養が過多になりすぎて固まりにくいなどの弊害が生じ
る。なお、これらの添加剤は、培地に害菌の混入するの
を防止するために、培地に加える前に何れも蒸気殺菌な
どの殺菌処理を施すことを原則とする。
【0024】この発明で鋸屑とともに培地として用いる
穀類精製時の副生物とは、米糠、ふすま、コーンブラン
であり、その使用割合は特に限定するものではなく、一
般に行われている鋸屑3〜9:副生物1(容量比)で差
し支えない。
【0025】また、この発明で培養時に使用する複数の
凹部を有する成形シートとしては、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなるシ
ートあるいは該樹脂の繊維からなる不織布で複数の凹部
を一体成形で作ったものである。
【0026】上記のようにして耐乾燥性を向上せしめた
鋸屑種菌であっても、これを従来のようにポリスチレン
等の通気性の低いフィルムでシールするならば、フィル
ムの内側に水滴が付着し、20℃程度の室温では1週間
以内に蓋部の表面まで上がってくる菌糸に、該水滴が作
用してその部分が変色、老化したり、密閉されているた
め種菌の活力が低下したり、害菌が繁殖したりするなど
の問題があるが、この発明では耐乾燥性を向上せしめた
鋸屑種菌の成形体を通気性のある紙あるいは全面に微細
孔を設けた樹脂フィルムでシールするか、またはそのよ
うな紙あるいはフィルムで作製した袋に入れて保存する
ことにより、20℃で1ケ月経過してもフィルム内での
水滴の発生や蓋部表面での菌糸の繁殖、変質はみられ
ず、充分な活力を保持していた。
【0027】かくして、この発明によって、耐乾燥性と
貯蔵性の向上が果たされ、成形パック入り種菌の広域供
給が可能となるのである。
【0028】上記において、通気性のある紙としては、
パラフィン紙、硫酸紙、セロハン紙が用いられ、また全
面に微細孔を有する樹脂フィルムとしては、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの0.02〜
0.05mm厚で0.05〜0.5mm径、細孔の開孔
率が0.02〜10%であるフィルムが適当である。
【0029】
【実施例】次に、この発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、この発明は以下の実施例により何ら限定され
るものではない。
【0030】実験例1 ブナ鋸屑と米糠を容量比で5:1の割合に混合し、適量
の水で練って通常の鋸屑培地Aを準備し、この鋸屑培地
Aと表1に示す添加剤を1.3リッター入りのポリプロ
ピレン製広口瓶に詰め、蓋をして128℃で30分蒸気
殺菌処理を行った。次いで、常温まで冷却した後、夫々
の瓶の培地に寒天培養したしいたけ菌(当組合保存、菌
興115号)を接種し、20℃の雰囲気下で35日間培
養を行った。
【0031】その後、上記で培養した夫々の鋸屑種菌T
を瓶から掻き出して、図1に示すポリスチレン製で複数
の凹部2を有する成形シート1の該凹部2内にそれぞれ
充填し、発泡スチロール製の蓋3とともに押圧成形して
20℃で1週間培養した。そして、各凹部2より蓋とと
もに押し出し、図2に示すような成形駒Sを得た。
【0032】かくして得た各成形駒Sについて、以下に
示す3種の発菌力テストを行った。 (1)発菌力:上記で得た各成形駒を成形シートから取
り出し、ペトリ皿に蓋を取って並べ、22℃で1週間静
置したのちの発菌程度を比較品成形駒のそれを100と
して指数表示した。 (2)熱処理後の発菌力:各成形駒を夫々ポリエチレン
製の袋に入れ、ウオーターバスにて40℃で3時間熱処
理したのち取り出し、さらに(1)と同様にしてペトリ
皿に並べ、22℃で1週間静置後の発菌状態を(1)と
同様に指数表示した。 (3)乾燥処理後の発菌力:成形駒を開放したペトリ皿
に並べ、No.2濾紙で蓋をして22℃、相対湿度50
%の条件で2週間乾燥処理した後、滅菌水で濡らして別
のペトリ皿に並べ、さらに22℃で1週間静置してから
の発菌状態を(1)と同様に指数表示した。
【0033】なお、このテストは上記の通常の鋸屑培地
Aのみにしいたけ菌を接種し、以下表1の実施例1と同
様にして得た成形駒を比較品として用いた。テスト結果
は表1の通りであり、本実施例によるものは何れも比較
品より良好な結果が得られた。
【0034】
【表1】
【0035】実験例2 市販の1.3リッター広口瓶入り鋸屑種菌B(当組合
製、菌興115号)を掻き出し、この鋸屑種菌Bに表2
に示す添加剤をそれぞれ予め殺菌処理して加えた。これ
を図1の成形シート1の凹部2内にそれぞれ発泡スチロ
ール製蓋3とともに圧入充填して成形し、20℃で1週
間培養して成形駒Sを得た。
【0036】得られた成形駒Sを成形シート1から蓋と
ともに押し出し、実験例1と同様にして3種の発菌力テ
ストを行った。なお、上記の鋸屑種菌Bのみで成形体を
作り、同じように20℃で1週間培養した成形駒を比較
品としてテストし、その発菌力(1)を100として指
数表示した。その結果は表2に示したが、本実施例のも
のは全てにおいて比較品よりすぐれた発菌状態を示し
た。
【0037】
【表2】
【0038】実験例3 実験例2と同様にして市販の鋸屑種菌B(菌興115
号)を掻き出し、この鋸屑種菌Bに表3に示すブナ木粉
(16メッシュパス)ほかの添加剤を予め殺菌処理して
加えた。そして、図1の成形シート1の凹部2内に、夫
々発泡スチロール製蓋3とともに圧入充填して成形し、
20℃で2週間培養して成形駒を得た。
【0039】得られた成形駒を成形シートから蓋ととも
に押し出し、実験例1と同様にして3種の発菌力テスト
を行った。なお、上記の鋸屑種菌Bのみで成形体を作
り、同じように20℃で2週間培養した成形駒を比較品
としてテストし、その発菌力(1)を100として指数
表示した。その結果は表3に示したように、本実施例の
ものは比較品より一段とすぐれていた。
【0040】
【表3】
【0041】実験例4 市販の鋸屑種菌B(菌興115号)および実験例3の実
施例11と同じ組成の種菌を夫々図1のポリスチレン製
成形シート1の凹部2内に発泡スチロール製蓋3ととも
に圧入充填して成形し、20℃、湿度60%の雰囲気下
で4日間培養を行った。その後、この培養した成形シー
トを表4に示す合成樹脂フィルムあるいは紙類でシール
し、段ボール箱に詰めて20℃で1ケ月静置して貯蔵し
た。なお、図3は凹部2に種菌Tが充填されている成形
シート1上面を表4の有孔フィルム5でシールした状態
を示すものである。
【0042】貯蔵後、成形シートから各成形駒を取り出
し、実験例1と同じ3種の発菌力テストを行った。比較
品として1ケ月の貯蔵を行わないもの、即ち鋸屑種菌B
を掻き出して成形シートで成形し、上記と同じ20℃、
60%湿度の雰囲気で4日間の培養を行った直後の成形
駒を用い、この成形駒のの発菌力(1)を100として
他の試料の発菌力を指数表示したものである。
【0043】なお、1ケ月貯蔵の際に用いた表4に示す
シール材のうち、気密PSは0.02mm厚のポリスチ
レンフィルム、有孔PPは2軸延伸による0.05mm
厚のポリプロピレンフィルムで0.3mm径の孔を10
万個/m2 穿孔したもの、気密PPは0.05mm厚の
ポリプロピレンフィルムである。また、表4中、発菌力
の欄の★は20℃、1ケ月の貯蔵中に害菌の繁殖が起こ
って表面を覆うため、種菌の発菌状態を判定できなかっ
たものである。
【0044】このテストから、鋸屑種菌のみの成形駒は
勿論のこと、本実施例(実施例14〜16)と同じ組成
の成形駒であっても、通気性の低いフィルムで気密にシ
ールして1ケ月の貯蔵を行ったものは、種菌の活力が低
下し、却って成形駒中に侵入した害菌の繁殖をもたら
し、この害菌で表面が覆われてしまうため、種菌の発菌
状態を見極めることができず、かつ変質、変色して外観
も悪いという結果しか得られなかった(比較例1、3、
4)。
【0045】また、鋸屑種菌のみの成形駒を通気性のフ
ィルムでシールして1ケ月貯蔵したもの(比較例2)
は、熱処理あるいは乾燥処理によって成形駒の活力があ
る程度低下するため、低い発菌状態しか認められなかっ
た。
【0046】これに対して、本実施例の添加剤を加えた
成形駒を通気性のある硫酸紙、セロハン紙などの紙類や
フィルムでシールしたものは、1ケ月の貯蔵後であって
も比較品と同等の発菌力を有していた。
【0047】
【表4】
【0048】実験例5 実験例4で1ケ月貯蔵した成形駒および市販の鋸屑種菌
のみを成形シートで成形し、20℃、60%湿度下で4
日培養した成形駒(比較品)を、平成5年4月コナラ原
木に50個ずつ混合してランダムに植え込んだ。そして
この原木をホダ場に1ケ月並べて放置した後、原木を割
り、菌糸の活着状況をみたところ、表5に示すようにこ
の発明の実施例16の成形駒を植え込んだものは、比較
品と同様の100%の活着率を示し、1ケ月の貯蔵が何
ら弊害のないことが認められた。
【0049】また、これらの成形駒を平成5年4月、径
15cmのコナラ原木に60個(10個×6列)ずつ接
種し、ホダ場に並べて茸が発生する状況を調べたとこ
ろ、7ケ月後より茸が発生し始め、この発明の実施例1
6の成形駒よりなるものは、比較品と同様の発生状態を
示していた。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は茸菌を
接種、培養するに際して、鋸屑と穀類精製時の副生物と
よりなる培地に、乾燥防止効果のある添加剤を加えるこ
とによって、耐乾燥性の向上した鋸屑種菌を得、この鋸
屑種菌を通気性のある紙またはフィルムでシールあるい
は包装することによって、成形パック入り種菌の貯蔵性
を向上させることができて、該成形パック入り種菌の広
域供給を可能とした。また、乾燥地域における原木栽培
にも十分適用できる成形種菌を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で使用する成形シートの外観を示す斜
視図である。
【図2】この発明で得られる成形パック入り種菌(成形
駒)を示す拡大模式図である。
【図3】凹部に種菌が充填されている成形シートのシー
ル状態を示す説明図である。
【図4】従来の袋入り種菌を原木に植え込んだ時の状態
図である。
【符号の説明】
1 成形シート 2 凹部 3 蓋部 5 シール材 S 成形パック(成形駒) T 鋸屑種菌

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋸屑と穀類精製時の副生物を主体とし、
    これに増粘性および/または保水性を有することで乾燥
    防止効果のある添加剤として、(a)グルコース、澱
    粉、可溶性澱粉のような天然糖類1〜9重量%、(b)
    小麦粉、木材パルプあるいはその排繊維質、木材微粉末
    のような増粘性、吸水性天然物1〜5重量%、から選ん
    だ少なくとも1種を加えた培地に、茸菌を接種、培養し
    て得た種菌を成形シートの凹部内に充填し、培養してな
    る成形パック入り種菌。
  2. 【請求項2】 鋸屑と穀類精製時の副生物よりなる培地
    に茸菌を接種、培養して得た種菌と、増粘性および/ま
    たは保水性を有することで乾燥防止効果のある添加剤と
    して、(a):グルコース、澱粉、ペクチンのような天
    然糖類0.5〜25重量%、(b):ゼラチン、カゼイ
    ン、にかわのような蛋白質系増粘材2〜8重量%、
    (c):米糠、コーンブラン、酵母エキスのような栄養
    材2〜10重量%、(d):小麦粉、木材パルプあるい
    はその排繊維質、木材微粉末のような増粘性、吸水性天
    然物0.5〜25重量%、(e):アルキルスルホン酸
    ナトリウム、アルキルトリメチルアンモニウムクロライ
    ド、ソルビタン脂肪酸エステルのような界面活性剤0.
    2〜1.5重量%、(f):ポリビニルアルコール、ポ
    リアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース
    のナトリウム塩のような増粘性、吸水性合成高分子化合
    物0.1〜3重量%、の(a)〜(f)から選んだ少な
    くとも1種とを成形シートの凹部に充填し、培養してな
    る成形パック入り種菌。
  3. 【請求項3】 穀類精製時の副生物が米糠、ふすま、コ
    ーンブランから選ばれた少なくとも1種であり、鋸屑と
    該副生物との容量比が3〜9:1である請求項1または
    2記載の成形パック入り種菌。
  4. 【請求項4】 成形シートは熱可塑性合成樹脂または合
    成繊維製不織布からなり、複数の凹部を有する請求項1
    または2記載の成形パック入り種菌。
  5. 【請求項5】 培養した種菌を凹部に有する成形シート
    の上面を、通気性を有する紙またはフィルムでシールす
    るか、上記成形シートを通気性を有する紙またはフィル
    ムよりなる袋にて包装してなる請求項1または2記載の
    成形パック入り種菌。
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