JPH0342849B2

JPH0342849B2 -

Info

Publication number: JPH0342849B2
Application number: JP59061037A
Authority: JP
Priority date: 1984-03-30
Filing date: 1984-03-30
Publication date: 1991-06-28
Also published as: JPS60207519A; US4878312A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、小径木を用いてマイタケ、シイタ
ケ、ヒラタケ、マンネンタケ、ナメコなどの茸を
効率よく栽培する小径榾木による培養方法及び培
養促進シートに関する。

〔従来の技術〕

従来、シイタケなどの栽培には、直径７〜20cm
のナラ、シイ、ブナ、カシなどの原木を長さ１ｍ
前後に切断して榾木としたものが用いられてい
る。しかし、需要の拡大に原木の供給が追いつか
ないため、これに用いられる原木は入手年々困難
になつてきている。そのため、人工榾木や細い原
木、すなわち、小径木を用いる方法について種々
研究されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

人工榾木については、比較的高価であるばかり
か、風雨に弱く屋外で茸栽培を行うことが困難で
あるため、未だ実用化されていない。また、燃料
位にしかならない直径６cm以下の原木を榾木とし
て用いると、水分蒸散が多く、種駒を原木の打込
み接種しても活着率が低く、到底実用化できない
現状であつた。

また、小径木を束ねて栽培する方法もあるが、
この場合には種菌を、小径木の束の切り口部分に
１本ずつ施すと手間を要し、まためて施すと小径
木と小径木との間にできる空隙内に種菌が落下
し、無駄に使用される多くの種菌が発生する。し
かも切り口部分は乾燥も激しく活着率も低かつ
た。

そこで、本来榾木として使用できない小径木を
用いて効率よく茸菌を培養し、高収率で茸を収穫
する技術が求められていた。

〔課題解決の手段〕

本発明は蒸気課題を解決することを目的とし、
その構成は、プラスチツクフイルム袋の一部に、
雑菌遮断性多孔性シート部を設けた茸菌栽培袋
に、小径榾木を切り口を上にして入れ、すべての
榾木の切り口を覆う大きさのセルローズ系繊維か
らなり、茸菌の発育に必要な栄養源を含有してな
る培養促進シートを密着させて袋ごと殺菌し、冷
却後、吸水した培養促進シート上に茸菌を接種
し、再び茸菌培養袋の開口部を密封して茸菌を培
養することを特徴とする。更に、上記方法に使用
する、セルローズ系の繊維からなり、茸菌の発育
に必要な栄養源が分散されていることを特徴とす
る茸菌の培養促進シートである。

本発明に用いる小径木は、径１〜10cm、長さは
10〜100cm程度のナラ、ブナ、シイ、カシの小枝
などが使用でき、これらは１本で用いてもよい
が、数本から数十本を紐などでバンド掛けして固
定して使用する。これらの小径木は本来単独では
榾木として使用できない細いもので充分である
が、より太いものを用いても差支えない。

本発明に使用される茸菌培養袋に用いられるプ
ラスチツク袋は加熱殺菌に耐え、挿入される小径
木により破損しない程度の強度があればよく、ポ
リステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイ
ロンなどの厚さ30〜150μ程度のフイルムが用い
られる。好ましくは水蒸気透過率が低くて酸素の
透過率が良好であるポリオレフイン系のチユーブ
フイルム（折幅30〜100cm、長さ50〜200cm、厚さ
50〜100μ程度のもの）をガセツトタイプ製袋機
などにより製袋したものが用いられる。

また、茸菌培養袋に用いられる雑菌遮断性多孔
性シートは、マイクロポーラスフイルム、不織
布、樹脂加工紙、圧縮ウレタンフオームシート、
繊維布などバクテリアなどの雑菌を通過させずに
茸菌が成育するために必要な吸排気ができるもと
であれば特に限定しないが、平均孔径0.01〜1μの
プラスチツク製のマイクロポーラスフイルムが湿
気の影響を受けず、完全な雑菌遮断性を有しなが
ら充分な通気が行なわれるので好ましい。

茸菌培養袋に設けられる雑菌遮断性多孔性シー
トの大きさは榾木の体積によつて異なり、榾木体
積１に対して0.5〜100cm²、好ましくは0.5〜10
cm²の大きさが必要であり、この多孔性シートが小
さすぎると通気が不十分で、茸菌の成育が悪くな
り、大きすぎると不経済であるばかりか榾木の水
分乾燥を招き、茸菌を成育が悪化する。

本発明で使用される培養促進シートは従来大径
木に接種する際用いられている種駒に相当するも
ので、厚さ0.5〜５mmの段ボール紙、厚紙、パル
プモルデイング、不織布などのセルロース系繊維
シートを基材とし、ブドウ糖、コーンスターチ、
麦芽エキス、糠、その他茸菌の発育に有効な栄養
源が添加され、均一に分散されている。さらに、
鉱物質、吸水性高分子物質、雑菌防除剤などを添
加すると、黴その他の雑菌の発生を防止し、長期
保存に耐えて好ましい。また、茸の発育をより促
進させるためには、培養促進シートに予め水を充
分に吸収させておくことが好ましい。

培養促進シートを用いる、段ボール紙、厚紙、
パルプモルデイング、不織布などのセルロース系
繊維シートを基材とするシートを予め茸菌培養袋
の中に敷設しておくと小径榾木を入れる時に袋を
破損する危険が減少すると共に、セルロース系繊
維シートも小径榾木とともに殺菌できるのできわ
めて好都合である。この場合、上記段ボール厚紙
などのセルロース系吸水性繊維からなるシートに
茸菌及びブドウ糖などの栄養源を添加すれば培養
促進シートとなる。

〔作用〕

本発明は、前もつて栄養源と水分を吸収させた
セルローズ系繊維からなる培養促進シートをすべ
ての小径榾木の切り口が覆われるように被せるも
のである。その結果、殺菌後に、培養促進シート
上に種菌を散布するだけで、無駄に小径木間に落
下する種菌はなく、すべての種菌が栄養源を含
み、条件の整つた培養促進シート内で先ず活発な
増殖を開始する。次いで増殖力の旺盛な茸菌は小
径木の切り口部分から順次小径木内に繁殖・浸透
していくため、菌糸の木材内への増殖浸透がきわ
めて迅速に行われる長所を有する。

すなわち、培養促進シートが小径木の束に対
し、活着率が高く極めて効率的な種駒の可能を有
するものである。

〔実施例〕

厚さ80μで折巾65cmのチユーブ状ポリプロピレ
ンフイルムを、両端で15cmずつ折込んで仕上がり
巾35cm、長さ150cmの底部熱接着袋を作成した。
さらにこの袋のやや上部に、約28cm²の有効面積を
有する孔を穿設した。この孔に、４cm×４cmの大
きさの、小孔の大きさが0.2μ、空隙率が45％の多
孔性ポリプロピレンフイルム（商品名、ジユラガ
ード＃4510米国セラニーズ社製）を周囲をインパ
ルスシーラーにてポリプロピレンフイルムに融着
した。

得られた茸菌培養袋を巾35cm、奥行30cmの四角
柱形に立たせ、底に厚さ５mm、大きさが35cm×30
cmのパルプモールドシートを敷設した。さらに直
径約５cm、長さ60cmのブナ材の小径榾木30本が５
列×６列を紐で固定して束ねた。上記の茸菌培養
袋に入れて、さらに上部に吸水させた培養促進シ
ートを載せて仮封し、95℃、30分間蒸気滅菌を行
つた。冷却後、上部の培養促進シートに種菌を接
種し、約20℃で培養を行つた。２ケ月後小径榾木
の全面に白い菌糸の発生が認められた。この榾木
を茸菌培養袋から取り出し、屋外の木陰に並べて
10〜20℃で１月半栽培したところ、１袋当り約３
Kgのシイタケが収穫できた。得られたシイタケ
は、直径10cm以上の榾木を用いて収穫したものと
比して勝るとも劣らない良質の茸であつた。

〔発明の効果〕

本発明によると、従来使用できなかつた小径木
が充分に榾木として使用され、しかも培養促進シ
ートによる優れた活着率で茸菌が速やかに蔓延
し、従来法より少量の種菌を用い、短期間で大量
の茸を収穫することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

１プラスチツクフイルム袋の一部に、雑菌遮断
性多孔性シート部を設けた茸菌栽培袋に、小径榾
木を切り口を上にして入れ、すべての榾木の切り
口を覆う大きさのセルローズ系繊維からなり、茸
菌の発育に必要な栄養源を含有してなる培養促進
シートを密着させて袋ごと殺菌し、冷却後、吸水
した培養促進シート上に茸菌を接種し、再び茸菌
培養袋の開口部を密封して茸菌を培養することを
特徴とする小径榾木による培養方法。