JPH07253499A - X線発生装置 - Google Patents

X線発生装置

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JPH07253499A
JPH07253499A JP6068918A JP6891894A JPH07253499A JP H07253499 A JPH07253499 A JP H07253499A JP 6068918 A JP6068918 A JP 6068918A JP 6891894 A JP6891894 A JP 6891894A JP H07253499 A JPH07253499 A JP H07253499A
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洋行 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 標的部材の交換作業性を向上させ、長時間連
続的にX線を発生させることができるX線発生装置を得
ること、真空容器の小型化が可能であり、低コストで作
成できるX線発生装置を提供する。 【構成】 真空容器内の標的部材に励起エネルギービー
ムを照射してプラズマ領域を形成させ、このプラズマ領
域から生成されるX線を取り出すX線発生装置であっ
て、真空容器に標的部材の導入部を設け、真空容器内の
被照射位置に真空容器の外部から標的部材を導入させる
標的供給手段と、標的部材を導入させる際の真空容器内
部の実質的な真空状態を保持する真空保持手段とを備え
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、X線顕微鏡、
X線露光装置及びX線分析装置等に利用されるX線発生
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、X線顕微鏡やX線露光装置等のよ
うにX線の特性を利用する装置が種々開発されており、
これに伴いX線発生装置に関する開発が進められている
が、例えば、励起光としての高エネルギービームを標的
上に集束させて照射することでプラズマ状態を形成さ
せ、ここからX線を発生させる装置としていわゆるプラ
ズマX線発生装置が知られている。
【0003】その中でも、励起エネルギービームとし
て、パルスレーザーを用いたいわゆるレーザプラズマX
線発生装置(又はレーザ励起光X線発生装置)が机上型
の高輝度X線源として注目されている。
【0004】レーザプラズマX線発生装置は、真空容器
内に標的部材を設置し、この標的部材に高エネルギービ
ームとしてのレーザ光(一般にはパルスレーザ光)を照
射してプラズマ状態に励起させ、このプラズマ状態が形
成された領域(以下、プラズマ領域という)から発生し
たX線を取り出す構成のものが一般的である。
【0005】ここで、レーザ光が照射された位置の標的
部材は、励起してプラズマ領域を形成させると共に、標
的部材(標的物質)自身が飛散するため、標的部材の同
一位置に何回もレーザ光を照射させると、レーザ光が照
射される位置には標的部材が消失してしまい、X線を連
続的に発生させることができなくなる。
【0006】そこで、この照射位置に標的部材を連続的
に供給するための手段として、例えば標的部材をテープ
状に形成させて巻き取り可能とし、二つのリールの一方
から他方へ巻き取ることで、レーザ光の照射位置に新た
な標的部材(テープ上の異なる部分)を順次移動させ、
X線を連続的に発生させることが可能なレーザプラズマ
X線発生装置が知られている。
【0007】図4は、このようなテープ状標的部材を用
いたX線発生装置の概略説明図である。尚、これらは本
来真空容器内に設置されるものであり、この図には簡略
化のために真空容器は図示していない。
【0008】図4において、真空容器内(図示せず)に
設けられたステージ430は、未使用のテープ状標的部
材409が巻回されたリール402と、このテープ状標
的部材を一時的に固定する押え板404、405と、使
用済みテープ状標的部材を巻き取る巻取リール403と
を備えている。
【0009】この装置では、図示しないレーザ光源から
のレーザ光により、押え板404に設けられた孔からテ
ープ状標的部材を照射し、テープ状標的部材を励起させ
てプラズマ領域を形成させている。
【0010】プラズマ領域を形成させた後のテープ状標
的部材(以後使用済みテープ状標的部材と記す)は、巻
取リール403の回転に伴って巻き取られ、この巻取リ
ール403の回転によってレーザ光照射位置のテープ状
標的部材を順次移動させている。巻取リール403は、
不図示のモータにより駆動され、その回転速度は不図示
の制御手段により制御されている。
【0011】図4に示した標的部材供給装置は、代表的
なものであり、より一層長時間X線を供給するために、
例えば、特開平5−290993号公報に記載されたレ
ーザプラズマX線源(公知例)等のように改良を行った
ものも提案されている。この公知例には、帯状に形成さ
れた標的部材と、該標的部材を任意の方向に巻き取る巻
取手段と、前記標的部材を該標的面内において巻き取り
方向とほぼ直交に移動させる移動手段とを備えたレーザ
プラズマX線源が開示されている。
【0012】これは、真空容器内に設置した帯状の標的
部材の幅を広くすると同時に、帯状の標的部材に効果的
にレーザ光を照射するために、標的部材上のレーザ光の
被照射位置を巻き取り方向以外にも移動させ、標的幅の
ほぼ全部にレーザ光が照射されるようにしたものであ
る。
【0013】即ち、レーザ光の被照射位置(相対的位
置)を巻き取り方向と垂直な方向等に任意量ずらすこと
によって、テープの長さ以上に標的部材を利用して、同
一のテープ状標的部材により長時間連続的にX線を発生
させるような構成としたものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に軟X
線は空気(特に窒素)に吸収され易いため、X線発生装
置においては、外部と遮断する容器(真空容器)内に標
的部材を設置し、実質的な真空中でプラズマ領域を形成
させるような構成とすることにより、X線が空気に吸収
されて減少することを防いでいる。
【0015】前述した従来の装置では、標的部材をでき
るだけ長時間使用できるようにしているが、標的部材自
体が真空容器内に配置されているため、使い切った標的
部材を交換する度にX線発生装置を停止させ、真空容器
内を大気(圧)に開放させて標的部材を交換しなければ
ならない。さらに、再度X線を発生させるために、真空
容器内を排気して再び真空状態にしてから装置を動作さ
せなければならなかった。
【0016】即ち、従来の装置では、標的部材を交換す
る度に、真空容器内を排気して再び真空にするために長
時間を要するので、作業効率が悪いばかりでなく、この
X線発生装置より発生したX線を利用する装置、例え
ば、X線顕微鏡、X線露光装置及びX線分析装置なども
停止させねばならないため、作業効率が低下していた。
この問題は、特にスループットが重要である産業用のX
線露光装置等において深刻な課題である。
【0017】また、標的部材の交換までの時間を長くす
る方法として、標的部材の形状をテープ状とし、このテ
ープの長さを長くすること等が挙げられる。しかし、テ
ープ状標的部材を巻き取るリール全体の径が大きくな
り、真空容器内にこの径が拡大したリールを配置するこ
とになるため、真空容器が大型化し、延いてはX線発生
装置全体が大型になるという新たな問題を引き起こす。
【0018】さらに、真空容器を大型化すると、真空容
器内の排気のための真空ポンプを従来のものを用いれ
ば、真空状態となるまでの作業時間が更に長くなり、真
空ポンプ自体の性能を向上させると、装置が大型化する
と共に、装置全体の製造コストを上昇させる原因ともな
る。
【0019】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、X線発生効率が優れたX線発生装置を提供す
ることを主目的とする。また、標的部材の交換作業性を
向上させ、長時間連続的にX線を発生させることができ
るX線発生装置を得ることを目的とする。また、真空容
器の小型化が可能であり、低コストで製造できるX線発
生装置を提供することを特徴とする目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願請求項1に係る発明では、真空容器内の標的部
材に励起エネルギービームを照射してプラズマ領域を形
成させ、このプラズマ領域から生成されるX線を取り出
すX線発生装置であって、前記真空容器の外部から前記
真空容器内部の予め定めた位置に、前記標的部材を導入
させる標的供給手段を備え、前記真空容器には、前記標
的部材を内部に導入させるための導入部と、外部から前
記標的部材を導入させる際の前記真空容器内部の実質的
な真空状態を保持する第一の真空保持手段とが設けられ
ていることを特徴とするX線発生装置を提供する。
【0021】本願請求項2に記載した発明は、請求項1
に記載のX線発生装置であって、前記励起エネルギービ
ーム照射後の前記標的部材を前記真空容器の外部に排出
させる標的排出手段を更に備え、前記真空容器には、前
記標的部材を外部に排出させるための排出部と、内部か
ら前記標的部材を導出させる際の前記真空容器内部の実
質的な真空状態を保持する第二の真空保持手段とが設け
られていることを特徴とするものである。
【0022】本願請求項3に記載した発明は、請求項2
に記載のX線発生装置であって、前記標的供給手段と前
記標的排出手段とが、前記真空容器内の予め定めた位置
に前記テープ状標的部材を連続的に供給するテープ搬送
手段からなることを特徴とするものである。
【0023】本願請求項4に記載した発明は、請求項3
に記載のX線発生装置であって、前記真空保持手段は、
前記真空容器の導入部及び/又は排出部に設けられ、前
記テープ状標的部材を隙間なく挟み込む弾性部材を含む
ことを特徴とする。
【0024】本願請求項5に記載した発明は、請求項1
〜4に記載のX線発生装置であって、前記真空保持手段
は、前記真空容器の導入部及び/又は排出部の外部に設
けられた予備排気室と、この予備排気室の実質的な真空
状態を維持する排気手段を備えていることを特徴とす
る。
【0025】本願請求項6に記載した発明は、請求項1
〜5に記載のX線発生装置であって、前記真空保持手段
は、前記真空容器の導入部及び/又は排出部の外部に、
あるいは、前記予備排気室の外部に、予備加圧室を備え
ていることを特徴とする。
【0026】
【作用】本発明は上記のように構成されているため、以
下の作用を奏する。請求項1の発明では、真空容器内の
標的部材に励起エネルギービームを照射してプラズマ領
域を形成させ、このプラズマ領域から生成されるX線を
取り出すX線発生装置であって、いわゆるプラズマ励起
型のX線発生装置を応用するものである。
【0027】そして、真空容器の外部から標的部材を導
入させる標的導入手段を更に備えていることを特徴とす
るものである。この標的導入手段は、真空容器内部の予
め定めた位置に真空容器の外部から標的部材を導入させ
る標的供給手段と、真空容器に設けられた標的部材を内
部に導入させるための導入部と、この導入部からの標的
部材の導入の際の真空容器内部の実質的な真空状態を保
持する第一の真空保持手段等から構成されるものであ
る。
【0028】本発明に係るX線発生装置では、上記のよ
うな標的供給手段を備えているので、標的部材は使用さ
れる前(X線照射前)には、真空容器の外部にあらかじ
め準備され、使用時(X線発生時)に真空容器内部の予
め定めた位置(被照射位置)に供給される。
【0029】真空容器内では、励起エネルギービームの
被照射位置に標的部材が位置するように供給されると共
に、前記被照射位置の標的部材がプラズマ状態となり、
ここからX線を発生させて被照射位置の標的部材が消失
した場合には、標的供給手段により標的部材が新たに供
給される。
【0030】このため、本発明の標的供給手段は、少な
くとも真空容器の外部に存在する標的部材を真空容器内
部のビーム照射位置まで運搬するものであればよく、標
的部材の形状や構成等により適時選択されるものであ
る。例えば、テープ状の標的部材の場合には、前述した
従来例の様な送り出しリール等の搬送手段や、フィルム
等の搬送に用いるスプロケット等を応用したものが考え
られる。
【0031】外部から導入する標的部材の形状は、特に
限定せず、上記のテープ状(帯状)のもののほかに、針
状、円柱状、平板状等を使用する事も可能であり、これ
らの構成に合わせた標的供給手段を適時選択すれば良
い。
【0032】標的部材として針状(細身の線状)のもの
や、円柱状(太身の線状)のもの等を使用する場合に
は、真空容器の外部に導入用、導出用の各ローラを設け
て、このローラによって標的部材をはさみ込んだ後、こ
のローラを回転させて標的材料を真空容器内に設けた例
えば、oーリング等の真空保持手段を通して真空容器内
に導入及び導出させることができる。
【0033】さらに、標的供給手段は標的部材をビーム
照射位置に確実に導くために、真空容器への導入部から
エネルギービームの被照射位置等の予め定めた位置に導
くガイド手段や、被照射位置で標的部材を確実に位置合
わせする位置合わせ手段や、標的部材上の被照射位置を
変動させる移動手段等を備えている事が好ましい。
【0034】ガイド手段を設ける事で、標的部材が的確
かつ確実に被照射位置に導かれる事となり、位置合わせ
手段により標的部材に正確にエネルギービームが照射さ
れるものとなる。また、移動手段により標的部材の異な
る部分にエネルギービームを照射させて、標的部材上の
消失した位置以外にエネルギービームを照射させ、標的
部材の形状等を利用して全体を有効かつ効果的に利用す
ることが出来るものとなる。
【0035】次に、真空容器には前記標的部材を内部に
導入させるための導入部と、この導入部に設けられた真
空容器内部の実質的な真空状態を保持する第一の真空保
持手段とが設けられているので、標的供給手段により標
的部材が真空容器の外部から内部に導入される際に、真
空容器の実質的な真空状態を破られることがない。
【0036】真空容器に設けられた導入部は、少なくと
も標的部材を導入させるための開口部を有するものであ
り、この開口部の大きさや形状は、標的部材の形状等の
構成や、真空保持手段の構成等により決定すれば良い。
【0037】例えば、標的部材が帯状(テープ状)の場
合には、テープ幅に合わせた幅広の矩形の開口部が必要
であり、線状の標的部材に対しては小さな円形開口部、
棒状の標的部材であればそれに合わせたやや大きめな円
形開口部等が考えられる。なお、これは、後述する排出
部についても同様である。
【0038】この様な開口部により、標的部材が真空容
器の外部から内部に導かれるが、開口部は少なくとも標
的部材の外形形状より大きくなるので、そこから空気等
が真空容器内に流入すると、内部の実質的な真空状態が
破られて、X線発生効率が著しく低下する。これを防止
するために、本発明ではこの導入部に真空保持手段を設
けている。
【0039】本発明における真空保持手段は、少なくと
も標的部材が前記真空容器の外部から内部へ導入される
際に、外部の空気等を実質的に流入させずに真空容器内
の真空状態を維持したまま標的部材を内部へ導く構成の
ものであり、言い換えると真空容器内への空気流入防止
手段を備えたものであればよい。
【0040】ここで、真空容器内部の実質的な真空状態
とは、X線を発生させるために十分な状態の真空状態を
示すものであり、励起エネルギービームの照射による標
的部材からのプラズマ状態の形成効率や、そこからのX
線の取り出しにおける空気等による吸収率等を考慮した
空気その他の気体密度状態を示すものである。
【0041】従って、従来のプラズマX線源における真
空容器内の実効的な真空状態と同等である事が好ましい
が、少なくとも発生したX線が取り出せる程度の気体密
度状態を保つものであれば良い。
【0042】一例を示すと、真空容器の予め定めた一部
分に導入部となる開口部を設け、開口部の周辺に、標的
部材を挟み込む形状のゴム等の弾性材料からなる空気流
入防止部材を備えた構成のものとしてもよいし、導入部
の外側に内部が実質的な真空状態となる予備排気室を設
け、外部の標的部材を一旦この予備排気室を介してか
ら、前記導入部より真空容器内部に導入させる構成のも
のとしてもよい。
【0043】前者の場合には、真空容器内への空気等が
弾性部材により防止され、後者の構成の場合には、導入
部の真空容器外部の空気等の気体自体を減少させて、真
空容器内への流入を防止している。
【0044】また、これらの真空保持手段は、標的供給
手段の構成とも関連するので、例えば、標的供給手段が
連続的に標的部材を供給するものであれば、導入部から
常に標的部材が導入され続けるので、この標的部材の構
成や形状に合わせて導入部や空気流入防止手段を構成す
るとよい。
【0045】一方、標的供給手段が間欠的に標的部材を
補給するものであれば、例えば前述した予備排気室内に
補給用の標的部材を準備し、予備排気室に連通する開閉
可能な扉等が設けられた導入部等を形成すれば良い。そ
して、補給時に標的部材を真空容器内に導入する際に
は、予め予備排気室内を排気して実質的な真空状態とし
て、導入部の扉等を開閉させて真空容器内の所定位置に
標的部材を供給するものとすれば良い。
【0046】このように、本発明のX線発生装置では、
真空容器の導入部に、少なくとも標的供給手段により真
空容器の外部から標的部材を内部へ運搬する時に、外部
の空気等を流入させずに標的部材のみを内部へ導入させ
ることができる真空保持手段を設けているので、標的部
材と共に真空容器内に空気が流入して、この空気が内部
で発生したX線を吸収して発生X線量が減少したり、余
分な空気の流入により真空容器内の排気を行う装置に負
担がかかるという問題が生じない。
【0047】即ち、本発明によれば、標的部材の補給や
交換時においても、真空容器内部の実質的な真空状態に
影響を与えずに作業を行なえるので、装置の連続的な使
用が可能である。また、外部から連続的に標的部材を供
給できるので、従来より長時間の連続運転が可能とな
る。
【0048】一方、従来は真空容器内の体積の一部分を
占めていた標的部材及びその供給手段の大部分を外部に
形成できるので、真空容器の必須内容積を減らすことが
できる。言い換えれば、真空容器内には、少なくとも標
的部材を被照射位置等の予め定めた位置に一時的に固定
する標的部材押え手段等の部材のみを設ければよいの
で、真空容器の大きさ(又は容積)を従来より小さくす
ることができる。
【0049】これにより、真空容器内の排気を行う装置
である排気手段(真空ポンプ等)も従来より性能の低い
ものを使用できるので、この様な排気手段の小型化及び
定コスト化を図ることが出来る。
【0050】また、本発明に係るX線発生装置では、標
的部材の交換のために真空容器を大気に開放する必要が
なく、簡単に標的部材を継ぎ足すことができるので、従
来の様に、真空容器の真空状態を破って再び排気する作
業時間が不要となる。これにより、長時間連続的に標的
部材を繰り出せば、やはり長時間連続的にX線を発生さ
せることができるので、発生したX線を利用する装置、
例えば、X線顕微鏡、X線露光装置及びX線分析装置等
の装置の連続使用可能時間が飛躍的に向上する。
【0051】さらに、仮に標的部材の補給等により停止
させても、従来の様に真空容器の給排気にための作業時
間が不要となるので、必要な交換や補給作業のみに必要
な最低時間のみ停止させるだけで、実務的に問題となら
ない範囲で再開させることが出来るものとなる。
【0052】次に、請求項2の発明では、前記真空容器
に、励起エネルギービームが照射された後の標的部材を
前記真空容器の外側に導出させるための標的導出手段が
更に設けられている。即ち、励起エネルギービームが照
射された標的部材を真空容器の外部に排出させるための
標的排出手段と、真空容器に設けられた標的部材を外部
に排出させるための排出部と、この排出の際に真空容器
の実質的な真空状態を保持する第二の真空保持手段とが
設けられている。
【0053】真空容器内で標的部材に励起ビームが照射
されると、被照射部分(及び近傍付近)のみが励起して
プラズマ領域が形成されるが、ここからX線等が発生さ
れると共に標的部材が飛散するため、励起ビームが照射
されない部分の標的部材が残ることになる。
【0054】本発明では標的排出手段により、この残余
標的部材を真空容器内部から外部へ導出することによっ
て、残余標的部材が停滞して新たに導入された標的部材
の進行が阻害されることがないため、連続的に標的部材
をビーム照射位置に供給することができ、効率的にX線
を発生させることができる。
【0055】特に、テープ状の標的部材を用いる場合に
は、テープ幅全部に励起ビームを照射させると、両縁近
傍では正確に標的部材に励起ビームが照射されない場合
があるので、テープ幅内での(両縁近傍を除いた)有効
部分のみに励起ビームを照射させる場合がある。
【0056】また、テープの送り出し手段としてスプロ
ケット等を利用すれば、送り出しもしくは引き込み側で
テープ送り手段を駆動させると共に、標的部材において
もテープ幅の端部にスプロケットホール(スプロケット
に咬み合う孔)を設ける必要がある。
【0057】このスプロケットホール部には、励起ビー
ムを照射させることが出来ないのでその部分の標的部材
が残存すると共に、標的導出の際に送りだし側で咬み合
うスプロケットにより残余標的部材を排出するための部
分的な残余標的部材が存在しなければならない。
【0058】従って、この様な残余標的部材が本発明の
標的排出手段により、順次真空容器外に排出される事
で、不要な残余標的部材が真空容器内に残存することに
伴う問題の発生を防止している。
【0059】即ち、不要な残余標的部材が真空容器内で
他の部材に触れて誤動作を生じさせたり、励起ビームの
照射の妨げとなる様な問題は生じないものとなる。ま
た、これらの残余標的部材を内部に蓄積させるために
は、真空容器の内容積を大きくしなければならず、この
真空容器の大型化に伴う問題は前述と同様である。
【0060】なお、このような標的導出手段は、例えば
標的部材を交換可能に構成した場合等には、前記の標的
導入手段と一体に構成しても良い。即ち、標的部材のみ
(又は、その送り出し手段と共に)交換可能に構成し、
前述した様な真空容器外部の予備排気室等に交換物質等
を準備して排気した後、交換時に導入部の開閉窓等をあ
けて交換する交換手段を設けていれば、交換作業時の一
時的な中断のみで、X線発生動作を直ちに再開できるも
のとなる。
【0061】また、例えば線状の標的部材を用いた場合
には、標的に照射される励起ビームによりプラズマ状態
を形成した後に、被照射位置の標的部材自体が消失する
と、残余標的部材が存在しない場合がある。この様な場
合には、線状の標的部材を順次繰り出して被照射位置に
導いてやれば、連続的なX線の発生が可能であり、本発
明の様な標的排出手段を設けなくても、長時間の連続稼
働が可能である。
【0062】更に、請求項3の発明では、前記標的部材
がテープ状の標的部材からなり、前記標的供給手段と前
記標的導出手段とが、前記テープ状標的部材を連続的に
供給するテープ搬送手段からなるものであるので、励起
エネルギービームの被照射位置に連続的に標的部材が供
給される。
【0063】次に、本発明で使用する標的部材は、標的
物質自体をテープ状に形成したものであっても、テープ
状の基板上に標的物質からなる標的材料の薄膜等を形成
させたものであっても良い。そして、テープ状の標的部
材は、いわゆる帯状の形状に構成されたものであり、長
さ方向に連続する構成のものであればその構成は特に限
定されるものではない。
【0064】この様なテープ状の標的部材をテープ搬送
手段により供給すれば少なくとも、テープ長さとその搬
送速度で決定される稼働時間の連続運転が可能となる。
このため、テープ状標的部材の長さ自体を長くすればそ
れだけ連続稼働時間も長くなり、この長さを調整するこ
とによりX線を発生させる時間も自由に調整することが
できる。
【0065】さらに、仮にひとつのテープ状標的部材が
終了しても、その末端部に新たなテープ状部材を結合さ
せる事が簡単であるので、更に連続した長時間の稼働が
可能となる。また、標的部材の交換作業も、供給側にお
いて新たな部材を結合させ、排出側において不要な残余
標的部材を取り除くだけで終了し、しかもこれらの作業
は真空容器外で行なえるものとなる。このため、交換に
際して装置を停止させる必要がなく、更に真空引き等の
長時間要する作業はまったく不要となる。
【0066】次に、本発明のテープ搬送手段は、少なく
ともテープ状の部材を連続的に供給する構成のものであ
れば、特に限定されるものではない。一例を示すと、前
述した従来例の様に、標的供給手段と標的導出手段との
夫々に送り出しリールと巻取リールを設け、夫々の回転
駆動によりテープ状標的部材を搬送するものが挙げられ
る。テープ搬送手段としては最も一般的な構成であり、
比較的簡易に、かつ低コストで構築できる利点がある。
【0067】あるいは別の手段として、例えば、オーデ
ィオテープのようにピンチローラーの回転により搬送駆
動させる方法など様々な方法が挙げられる。前者は駆動
系をひとつにまとめられる利点があり、後者はピンチロ
ーラーにより被照射位置の位置決め等が容易に行なえる
と共に、テープ状標的部材の搬送速度を一定にすること
が容易であるという利点がある。
【0068】また、別のテープ搬送手段としては、いわ
ゆるスプロケットにより搬送駆動させるものが考えられ
る。この場合には、テープ状標的部材側にスプロケット
と咬み合うスプロケットホールを設け、スプロケットの
回転に伴いこれらの咬み合いによりテープを搬送させる
ものとすれば良い。この場合には、搬送駆動力が確実に
テープ状部材に伝達されるので、確実かつ正確に搬送で
きる利点がある。
【0069】また、これらの搬送手段は、長さ方向に単
純に搬送する方式のものに限定されるものではない。例
えば、前述した公知例の様に、この標的部材上の励起エ
ネルギービームの被照射位置を長さ方向以外に移動させ
る手段を備えたものである事が好ましい。
【0070】即ち、テープ搬送手段により標的部材上の
新たな部分が被照射位置となった場合に、例えば、テー
プ幅方向(長さ方向に対して直交する方向)に移動させ
ることで、標的部材上の未使用部分を被照射位置に導く
ことができるものとなる。これにより、テープ幅を有効
に活用してX線を発生させることが出来る。この場合に
は、テープ長さとテープ幅の双方に起因して、更に長時
間連続的に同一のテープによりX線を発生させることが
できるものとなる。
【0071】このように、請求項3に記載した発明によ
れば、長時間一つの標的部材でX線を発生させることが
可能であり、その装置構成が比較的容易にかつ低コスト
で構築できる利点がある。また、長時間の連続運転のた
めには、例えば大口径のリールを用いる必要があるが、
これらは真空容器の外部に設ければ良いので、真空容器
自体は小型のものを使用できるものとなる。
【0072】次に、請求項4の本発明では、前記真空保
持手段が、テープ状標的部材を隙間なく挟み込む弾性部
材を含むものとしているので、導入部や排出部の開口部
に対して真空容器外部と連通する隙間が生じないものと
なっている。即ち、真空容器内への空気流入防止手段と
して、標的部材のテープ形状に合わせた手段を用いたも
のであり、断面形状が平板状となる標的部材を、弾性部
材の弾性力により、隙間なくはさみ込む事で、これらの
開口部からの空気等の流入を防止するものとしている。
【0073】この様な弾性部材としては、例えば、シリ
コンゴム、ニトリルゴム、パイトンゴム、ブチルゴム等
のゴム類や、テフロン、ナイロン、ポリカーボネート等
の弾性部材でテープ形状の両面からこれを挟み込む構成
のものが考えられる。ゴムなどの弾性部材は、テープ状
標的部材を隙間なく挟み込むのに適した弾力を持ち、目
的とする形状に簡単に加工できるだけでなく、入手が簡
単でコストがかからないため、空気流入防止手段として
最適である。
【0074】従って、前記真空容器の予め定めた位置に
開口した導入部又は導出口と、テープ状標的部材との間
を充填するようにテープ状標的部材を隙間なく挟み込
み、空気の流入を防ぐことが簡単にできる。
【0075】しかし、前記空気流入防止手段が前記真空
容器の予め定めた位置に開口した導入部又は導出口とテ
ープ状標的部材との間を充填するようにテープ状標的部
材を隙間なく挟み込んだ構成のみであると、摩擦力が大
きく、テープ搬送の妨げになる場合がる。このため、例
えばゴムローラ等の形状に構成する事で、導入部や排出
部におけるテープ状の標的部材の搬送を容易にする事も
考えられる。
【0076】すなわち、これらの搬送手段は、テープ状
の標的部材は通過させるが真空容器の外部からの空気等
を実質的に遮断する構成のものであれば、特に限定され
るものではない。
【0077】ところで、上記の様な空気流入防止手段の
みでは、テープ状標的部材の移動に伴って、真空容器内
にわずかに空気が流入し、この流入した空気がX線を吸
収して、発生したX線の量が減少するという恐れがあ
る。
【0078】このため、予め流入する微量な空気等を考
慮して、真空容器の排気手段等を連続稼働させて、この
流出空気等を排出する事等で、真空容器内の実質的な真
空状態を維持する構成とする事が好ましい。この場合に
は、真空容器の排気手段自体が真空保持手段の一部を構
成する事となる。
【0079】次に、請求項5の発明では、前記真空保持
手段が、前記真空容器の導入部と排出部のいずれか一方
かもしくは双方の外部に予備排気室を設け、さらにこの
予備排気室内を実質的な真空状態とする排気手段を備え
ているので、真空容器に供給される標的部材は、一旦予
備排気室に入った後、導入部を介して内部に導入され
る。また、排出時も、真空容器から導出部より一旦予備
排気室に入った後、外部に排出される。
【0080】この予備排気室は、排気手段により内部が
実質的な真空状態になるように維持されているものであ
り、真空容器内との真空度(気体密度)がほぼ同一かそ
れに近い状態に保たれている。これにより、導入部や排
出部を挟んだ真空容器の内部と外部との真空度に差をな
くしているので、標的部材の導入時や排出時に真空容器
内の真空状態が保たれる。
【0081】なお、予備真空室に設けられた導入部には
少なくとも部材の搬入のための開口部が設けられている
が、標的部材を連続的に導入させる構成の場合には、標
的部材を隙間なく挟み込む弾性部材等を設けておく事が
好ましい。これにより、真空容器内への空気等の流入を
的確に防止するものとなる。
【0082】また、標的部材の交換時のみに搬入する構
成の場合には、搬入時や排出時にのみ開閉する開閉扉等
を設けておけば、真空容器内の実質的な真空状態を維持
することが出来る。
【0083】予備排気室の排気手段は、真空容器の排気
手段を共用しても良いし、別の排気手段を用いても良
い。具体的には、真空ポンプ等の排気手段を用いるもの
となるが、予備排気室内を実質的な真空状態とする事が
できるものであれば、特に限定されるものではない。予
備排気室自体は、真空容器よりも内容積が小さなもので
も十分であるので、排気手段を共用させても、性能自体
を高いものとしなくても実効的な排気が行なえる。
【0084】予備排気室自体の真空度は、真空容器に要
求される真空度まで高くなくても良く、微量な空気が含
まれていても、真空容器内への空気の流入は、予備排気
室を設けない場合に比較して極めて少なくなる。このた
め、真空容器内の実質的な真空状態に影響を与えないも
のとなる。また、この様な微小量の空気の流入は、真空
容器自体の排気手段により排気されるので、真空容器内
の実質的な真空状態は容易に保たれるものとなる。
【0085】更に、一段の予備排気室を設けるだけで
は、真空容器内が所定の真空度に達しない場合には、予
備排気室を複数段設けるとよい。或は、前記真空容器の
導入部及び/又は排出部の外部に、もしくは、前記予備
室の外部に、予備加圧室を設けるとよい。
【0086】真空容器に隣接して予備加圧室を設けた場
合には、真空容器内部に供給される標的部材は、外部か
ら一旦、予備加圧室に入り、導入部を通って真空容器内
部に導入される。また、排出時には、標的部材は、真空
容器から導出部を通って予備加圧室に入った後、外部に
排出される。
【0087】また、真空容器に隣接して予備排気室を設
け、更にこの予備排気室に隣接して予備加圧室を設けた
場合には、標的部材は、外部から予備加圧室→予備排気
室→真空容器の順に導入される。逆に排出時には、標的
部材は、真空容器→予備排気室→予備加圧室から外部に
排出される。
【0088】予備加圧室には、X線に対する透過率の高
い気体(He、酸素等)を導入して外部の大気圧よりも
僅かに高い圧力にて加圧している。そのため、外部の空
気(窒素)が予備加圧室を通って真空容器内に流入する
ことがなく、空気(窒素)による透過X線量の低下がな
い。
【0089】因みに、空気(窒素)が真空容器内に流入
すると、例えば、波長30.99Å(窒素の吸収端)よ
りも僅かに短波長のX線を利用する場合には、窒素に対
するX線の吸収係数が大きいので、X線が窒素に吸収さ
れて利用できるX線量が低下するという問題が生じる。
【0090】また、この様な予備排気室と排気手段及び
/又は予備加圧室を備えた真空保持手段は、本願請求項
1記載の発明に係るX線発生装置にも応用できるもので
あり、この場合には、標的部材の導入時の空気の流入が
的確に防止される。そのため、流入した空気がX線を吸
収して、X線の量が減少する恐れがなく、効率よくX線
を発生させることができる。
【0091】
【実施例】以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説
明する。図1は、本発明の第一実施例を示す概略説明図
である。この実施例では、テープ状の標的部材を標的1
09として準備し、これを真空容器101の外部から内
部に導くと共に、使用後には再び外部に排出する構造の
ものを示している。
【0092】図1において、真空容器101には、励起
ビーム107を真空容器101内に導くための励起ビー
ム導入窓108と、発生したX線を利用する装置等に導
くためのX線取り出し窓113と、真空容器101内部
を一定の真空度に保持する真空排気装置(図示せず)に
繋がる真空排気口114が設けられている。
【0093】光源手段(図示せず)から励起ビーム導入
窓108に導かれた励起ビーム107は、集光レンズ1
06により予め定めた照射位置に集光される。これは励
起エネルギービームとして、標的上に高密度の(強度の
強い)光束を照射させるためである。
【0094】真空容器101の壁部には、外部からテー
プ状の標的109を導入させるための導入口111と、
その対向壁部に外部へ標的109を導出させるための排
出口112が設けられている。この導入口111及び排
出口112には、テープ状の標的109を上下から隙間
なく挟み込むゴムローラ110a、110bが夫々設け
られており、これらにより導入部及び排出部が構成され
ている。
【0095】ゴムローラ110a、110bは、真空容
器101内部の真空状態を保持しつつテープ状の標的1
09を導入又は導出させるために配設されたものであ
り、それぞれ上下のローラの間隔が、未使用時には相対
間隔がゼロとなり、使用時には所定の圧力で標的109
を挟み込む構成となっている。
【0096】そして、これらのゴムローラ110a、1
10bは弾性材料により形成されているので、標的10
9を挟んだ状態では、テープ状の標的109の表面に隙
間なく密着するため、ここからの空気等の流入が実質的
に防止される。
【0097】真空容器101の内部は、標的109への
励起ビーム107の照射により容器内でプラズマが生成
でき、かつ発生したX線が減衰を受けずに伝播するのに
十分な程度の真空度になるように、真空ポンプ等からな
る真空排気装置(図示せず)により減圧調整が行われて
いる。この真空度は、使用するX線の波長、標的の材
質、励起ビームの波長等に合わせて設定しているが、一
般に、数十torrから数分の一torr以下である。
【0098】ここで、励起ビーム107はパルスレーザ
光(例えば、波長1.06μm、パルス幅10ns、エ
ネルギー1JのQ−SWパルスYAGレーザ)を利用し
ている。標的109は、例えば、タンタル(Ta)から
なるものであり、圧延法により標的109を10μm程
度の厚さにして、あるいは、スパッタ法又は蒸着法によ
り、標的109をPETフィルム(厚さ数十μm)上に
数μm程度の厚さに成膜してテープ状に形成したもので
ある。
【0099】この様な照射により、例えば、タンタルを
標的109として用いた時には、波長数nm〜数十nm
の連続的な範囲にわたってX線が発生される。なお、こ
こでは、標的109の例としてタンタルを、また、テー
プ状基板の例としてPETフィルムを示したが、もちろ
ん本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】標的109は、巻き取り可能なテープ状に
構成されており、使用前の(励起ビーム未照射の)もの
がリール102に巻回されている。そして、テープ状の
標的109の一端は、導入口111より真空容器101
内部に導入されており、押え板104、105によって
挟み込まれて励起ビーム107の集光点(被照射位置)
に位置合わせされて一時的に固定されている。
【0101】押え板104には、励起ビーム107が標
的109上に到達するように挿通孔(図示せず)が開孔
されており、押え板105には、励起ビーム107の照
射によって標的109から飛散した粒子等が飛び出せる
ように挿通孔(図示せず)が開孔されている。
【0102】励起ビーム107が集光されて、押え板1
04の挿通孔を介して標的109に照射されると、被照
射位置の標的物質がプラズマ状態となり、プラズマ領域
を形成させる。プラズマ領域から生成されるプラズマ光
には、種々の波長の光が含まれており、赤外線や可視
光、紫外線等と共にX線が放射される。
【0103】このうち、赤外線や可視光、紫外線等は、
例えば、ベリウム箔やチタン箔からなるフィルター(図
示せず)等によって除去され、X線取り出し窓113方
向に進行したX線が取り出されて利用される。
【0104】プラズマが生成された標的上の位置(集光
位置)では、部分的に標的物質が消失し、標的109に
穴が開いてしまうため、モータ等の駆動手段(図示せ
ず)によって、リール103を回転させ、標的109を
数mm巻き取ることによって、励起ビーム107の集光
点に新たな標的(テープ状の異なる部分、未使用部分)
を配置させる。
【0105】従って、励起ビーム107が照射され、X
線を発生させた後(使用後)の標的109は、排出口1
12を介して真空容器101の外部に導出され、リール
103に巻き取られて回収される。これにより、使用後
の標的が真空容器101内部に停滞して新たな標的の導
入を妨げるのを防ぎ、標的109の円滑な供給を行うと
共に、標的109の導入及び導出に伴って真空容器10
1内に空気が流入するのを防止している。
【0106】真空容器101の外部に導出された標的1
09は、順次リール103に巻き取られている。このリ
ール103の巻き取り速度を調節することにより、励起
ビーム107の照射位置に適切な量の標的部材を供給し
ている。また、テープ状標的109の搬送手段の別の方
式として、例えば、オーディオテープのようにピンチロ
ーラーの回転により駆動させる方法等が挙げられるが、
これに限らずその他の方式の搬送手段を用いても良い。
【0107】この様に本実施例では、テープ状の標的1
09を用い、これを外部から連続的に導入しているの
で、長時間の連続したX線の発生が持続できるものとな
っている。更に、標的109を交換する際には、リール
102ごと標的109を交換すると共に、テープエンド
部分に新たなテープ状の標的109を継ぎ足してやれ
ば、交換作業時においても装置を停止させる必要がな
い。
【0108】さらに、真空排気装置を連続稼働させるこ
と自体は、従来の装置においても行なわれていたが、本
発明の真空容器101の内容積は従来装置よりも格段に
小さなものであるため、真空ポンプ等の相対性能が向上
している。このため、従来と同程度の真空ポンプを用い
ている場合に、ゴムローラ110の部分から微小な空気
等が流入しても、真空ポンプの相対性能が向上している
ので真空容器101内の実質的な真空状態は維持された
ままとなっている。
【0109】以上の様に、本発明の第一実施例では、標
的109が連続的に長時間供給されると共に、真空容器
101内部の実質的な真空状態が維持されているので、
安定したX線発生特性を維持したまま、連続的に長時間
のX線発生が行なえるものとなっている。
【0110】次に、図2に本発明の第二実施例を示す。
この実施例では、真空保持手段として、導入口211及
び排出口212の外部に、これらと連通する予備排気室
として予備真空室215、216が夫々設けられてい
る。
【0111】図2において、真空容器201には、励起
ビーム207を真空容器201内に導く励起ビーム導入
窓208と、X線顕微鏡や、X線露光装置及びX線分析
装置などの真空容器201内で発生したX線を利用する
装置にX線を導くX線取り出し窓213と、真空容器2
01内部の真空状態を一定の真空度に保持する真空排気
装置(図示せず)に繋がる真空排気窓214が設けられ
ている。
【0112】更に、真空容器201の壁部には、外部か
らテープ状の標的209を導入させるための導入口21
1と外部へテープ状標的209を導出させる排出口21
2が設けられている。この導入口211及び排出口21
2には、テープ状の標的209を上下から隙間なく挟み
込むゴムローラ210a、210bが夫々設けられてお
り、これらにより真空容器201の導入部及び排出部が
構成されている。
【0113】ゴムローラ210a、210bは、真空容
器201内部の真空状態を保持しつつテープ状の標的2
09を導入又は導出させるために配設されたものであ
り、それぞれ上下のローラの間隔が、未使用時には相対
間隔がゼロとなり、使用時には所定の圧力で標的209
を挟み込む構成となっている。
【0114】そして、これらのゴムローラ210a、2
10bは弾性材料により形成されているので、標的20
9を挟んだ状態では、テープ状の標的209の表面に隙
間なく密着するため、ここからの空気等の流入が実質的
に防止される。
【0115】次に、第二実施例では、導入口211及び
排出口212は、それぞれ真空容器201の外部に直接
連通せず、予備真空室215、216内に連通してい
る。この予備真空室215、216には、内部の真空状
態を一定の真空度に保持するために真空ポンプ等からな
る予備真空排気装置(図示せず)に繋がる予備真空排気
窓219、221がそれぞれに設けられている。
【0116】更に、導入口211と連通する予備真空室
215には、外部から標的209を導入させるための予
備導入口217が設けられており、排出口212と連通
する予備真空室216には、外部へ標的209を導出さ
せるための予備排出口218がそれぞれ設けられてい
る。
【0117】予備導入口217及び予備排出口218に
は、前述した導入口211及び排出口212と同様に、
テープ状の標的209を上下から隙間なく挟み込むゴム
ローラ210a、210bが夫々設けられており、標的
209を挟んだ状態で、テープ状の標的209の表面に
隙間なく密着するため、ここからの空気等の流入が実質
的に防止される。
【0118】この予備真空室215、216の内部は、
前述した予備真空排気装置により、真空容器201と同
程度又はそれ以下の真空度になるように、減圧調整を行
っているので、実質的な真空状態が維持されるものとな
っている。
【0119】一方、真空容器201の内部は、真空容器
内でプラズマが生成でき、なおかつ発生したX線が減衰
を受けずに伝播するのに十分な真空度になるように、真
空排気装置(図示せず)により減圧調整を行って、実質
的な真空状態としている。この真空度は、X線の波長に
合わせて設定しているが、一般に、数十torrから数
分の一torr以下である。
【0120】標的209は、標的部材(材料)を巻き取
り可能なテープ状に形成させたものを使用しているが、
テープ状基板上に標的材料の薄膜を形成させた構成のも
のでも使用する事は可能である。
【0121】標的209は、励起ビーム未照射(使用
前)のものが、リール202に巻回されて準備される。
そして、標的209の一端は、予備導入口217を介し
て一旦予備真空室215に導入される。予備真空室21
5は、実質的な真空状態が維持されているため、標的2
09は、部分的に真空中にさらされてから導入口211
より真空容器201内部に導入されることになる。
【0122】ここで、真空容器201の内部と外部(予
備真空室215)とは、ほぼ同程度の真空状態であるた
め、標的209の導入に伴って真空容器201内に空気
が流入することがない。また、仮に予備真空室215へ
の導入の際に微量な空気等が流入しても、予備排気手段
により排気されるので、真空容器201内への実質的な
空気等の流入は生じない。
【0123】加えて、予備真空室215で完全に排気さ
れなかった場合であっても、さらに微量な空気等が真空
容器201内に流入するだけなので、真空容器201内
の実質的な真空状態は維持されることとなる。また、真
空容器201の排気手段によっても除去されるので、実
質的な真空状態は変化する事がなく、X線発生特性に影
響が及ぶ事はない。
【0124】次に、真空容器201内部に導入された標
的209は、押え板204、205によって挟み込まれ
て励起ビーム207の集光点に一時的に固定されてい
る。励起ビーム207は、光源手段(図示せず)から導
かれ、集光レンズ206により照射位置に集光される。
【0125】この照射位置は予め位置決めされており、
標的209は、抑え板204、205によって挟み込ま
れて、この被照射位置に位置合わせされている。押え板
204には、励起ビーム207が標的209上に到達す
るように連通孔(図示せず)が開孔されており、また押
え板205には、励起ビーム207の照射によって標的
209から飛散した粒子等が飛び出せるように連通孔
(図示せず)が開孔されている。
【0126】励起ビーム207が標的209に照射され
ると、被照射位置の標的物質はプラズマ状態となり、こ
れによりプラズマ領域が形成される。このプラズマ領域
から生成されるプラズマ光には、種々の波長の光を含ま
れており、赤外線や可視光、紫外線等と共にX線が放射
される。X線発生装置では、X線以外の赤外線や可視
光、紫外線等は、例えばベリウム箔やチタン箔からなる
フィルター(図示せず)等によって除去し、X線取り出
し窓213からはX線のみを取り出して利用している。
【0127】プラズマが生成された標的上の位置(集光
位置近傍)は、その後部分的に標的物質が消失して標的
209上に穴が開いてしまうため、図示しないモータ等
の駆動手段によって、リール203を回転させ、標的2
09を数mm巻き取ることによって、励起ビーム207
の集光点に新たな標的(テープ状の異なる部分)を配置
させている。
【0128】この巻き取り作業は、標的物質の消失タイ
ミングやX線発生効率等を考慮して定めれば良く、連続
的あるいは間欠的に搬送するものでも良い。この様な消
失のタイミングは、励起ビームの強度や集光度、標的物
質の種類や、厚さ等により変動するので、夫々適宜定め
る事が好ましい。なお、本実施例における標的209の
構成、並びに励起ビームの強度等は、前述した第一実施
例とほぼ同様である。
【0129】そして、励起ビーム207が照射され、X
線を発生した後(使用後)の標的209は、排出口21
2を介して真空容器201の外部に導出される。この
時、排出口212は、予備真空室216に連通している
ため、真空容器201の外部に導出された標的209
は、直接空気中に導出されずに一旦、実質的な真空状態
の予備真空室216容器の中に導出されることになる。
これにより、前記導入部と同様に、標的209の導出に
伴って真空容器201内に空気が流入することを防止し
ている。
【0130】なお、本実施例では、導入口211及び排
出口212のそれぞれに予備排気室を一段ずつ備えたも
のを開示しているが、勿論、導入口211及び排出口2
12のそれぞれに予備排気室を複数段設けて、より一層
空気の流入を防ぐような構成としてもよいものである。
【0131】このように、使用済みの標的209は、排
出口212及び予備真空室216を介して真空容器から
排出されるので、使用後の標的が真空容器201内に停
滞して新たな標的の導入を妨げるのを防ぎ、標的209
の円滑な供給を行うことを可能としている。
【0132】真空容器201の外部に導出された標的2
09は、順次リール203に巻き取られ、このリール2
03の巻き取り速度を調節することにより、励起ビーム
207の照射位置に適切な量の標的を供給している。ま
た、テープ搬送手段としては、本実施例の様にリール2
03を駆動させる方式のものでなくても、順次連続的に
搬送できるものであれば、その構成が本実施例のものに
限定されるものではない。
【0133】以上説明したように、第二実施例によれ
ば、予備排気室を設ける事で、標的209の導入時及び
排出時に流入する空気等を確実に防止するので、真空容
器内の実質的な真空状態にまったく影響を与える事がな
い。更に、連続的に標的を供給できるので、長時間連続
してX線を発生させることが出来る。
【0134】また、標的の交換も第一実施例同様にリー
ル交換と、新旧部材の接続により行なえるので、交換作
業時にX線発生装置並びにそれを利用するX線顕微鏡等
の種々の装置を停止させる事がなく、連続して使用する
ことが出来るものとなっている。
【0135】次に、図3に本発明の第三実施例を示す。
この実施例では、予備排気室315、316の外側(大
気側)に予備加圧室322、323を設けている。真空
容器301内には、飛散粒子阻止のためHeガスが導入
されている。Heガスは、真空容器301内の圧力が所
定の圧力となるように、流量調整バルブ326、327
により導入量と排気量が調整されている。
【0136】予備加圧室322、323は、室内に導入
しているHeガスの圧力が外部の大気圧よりも僅かに高
くなるように(例えば、1.1気圧)、圧力調整バルブ
325a、325bを介してHeガスボンベに接続され
ている。
【0137】予め、リール302に巻き取られているテ
ープ状の標的309は、導入部328を通って予備加圧
室322へ導入される。この際、予備加圧室322内に
導入しているHeガスの圧力は、外部の大気圧よりも高
いので、外部の空気が予備加圧室322に流入すること
はない。
【0138】次に、標的309は、予備排気室315の
導入部317を通って予備排気室315に導入される。
予備排気室315は、予備真空排気装置によって真空容
器301内と同程度の真空度に排気されている。
【0139】次に標的309は、導入部311を通って
真空容器301内に導入される。この時、仮に各導入部
328、317、311にわずかな漏れがあったとして
も、予備加圧室322の圧力が大気圧よりも高いので、
真空容器301内に空気が入ってくることがない。
【0140】レーザー照射が終わった標的309は真空
容器301の導出口312を通って導出口側に設けられ
た予備排気室316へ排出される。この予備排気室31
6は、前述した導入口側に設けられている予備排気室3
15と同様に、予備真空排気装置によって真空容器30
1内の真空度と同程度に排気されている。
【0141】次に、標的309は、排出口318を通っ
て予備加圧室323に排出される。この予備加圧室32
3も前述した導入口側に設けられている予備加圧室32
2と同様に、外部の大気圧よりも高い圧力に加圧されて
いるので、この予備加圧室323に空気が流入すること
はない。その後、標的309は、排出口329を通って
外部に出てリール303に巻き取られる。その他の動作
は、先に記述した第二実施例と同様である。
【0142】本実施例では、飛散粒子阻止ガスとしてH
eガスを用いているがこれに限定せず、例えは、酸素ガ
ス等の飛散粒子を阻止するものなら何でも用いることが
できる。
【0143】また、本実施例では、導入口及び導出口の
それぞれに予備排気室を一段ずつ備えたものを開示して
いるが、勿論、導入口及び導出口のそれぞれに予備排気
室を複数段設けて、より一層空気の流入を防ぐような構
成としてもよいし、真空容器を排気している真空排気装
置が十分な排気能力をもっていれば、予備排気室を設け
ない構成としてもよい。
【0144】以上説明したように、本第三実施例によれ
ば、予備加圧室を設けることで標的の導入及び導出時に
空気が全く流入しないようにすることができる。そのた
め、空気(窒素)による吸収が大きい波長域のX線を利
用する場合に、空気(窒素)による吸収に起因するX線
量の低下が発生しない。従って、長時間連続で安定なX
線を発生させ、かつ利用することができる。
【0145】なお、以上の三つ実施例ではテープの長さ
方向に搬送する搬送手段を示しているが、前述した公知
例のように、テープの幅方向にも移動可能に構成した横
移動手段を備えたものとしても良い。このような横移動
手段を備えると、テープ幅を有効に利用して更に長時間
の連続稼働が可能となる。
【0146】これは、テープ幅方向への移動により、標
的への被照射位置が幅方向の部分的なものから幅方向の
全体になるので、標的自体を有効に活用できると共に、
テープの長さ方向への送り時間に加え、幅方向へ移動し
た分だけ、装置の連続稼働時間が長くなる。
【0147】さらに、導入部や排出部においてはテープ
が移動している際に、空気が流入し易くなるが、いった
ん長さ方向に移動した後、真空容器内部でのみ幅方向へ
移動させる構成とすれば、横移動時には導入部及び導出
部での、例えばゴム等の弾性部材と標的との密着特性が
向上するので、空気等の流入が確実に防止される。
【0148】このような横移動手段は、上記実施例の標
的に対する押え板104、105(204、205、3
04、305)を、幅方向にのみ移動可能に構成し、標
的を挟み込んだまま幅方向に移動させるものを形成すれ
ば良い。これにより、標的上の被照射位置を移動させ
て、標的上の幅方向の異なる部分を順次励起ビームの照
射位置に導いて、効率的にX線を発生させることが出来
るものとなる。
【0149】
【発明の効果】以上説明した様に本願請求項1記載の発
明に係るX線発生装置では、従来以上に長時間連続的に
X線を発生させることが出来るものとなり、これを利用
する装置をやはり連続的に長時間駆動させることが出来
るものとなる。
【0150】特に、真空容器の外部に使用前の標的部材
を準備できるので、標的部材を簡単に継ぎ足すことがで
きる。従って、装置を停止させることなく連続的に標的
部材を繰り出すことにより、標的部材の消失や交換に伴
う装置の運転の中断を伴わずに、長時間連続的にX線を
発生させることができる。
【0151】このため、本発明に係るX線発生装置より
発生したX線を利用する装置、例えば、X線顕微鏡、X
線露光装置及びX線分析装置等の装置を停止させること
なく、連続的に動作させることが可能である。
【0152】さらに、X線発生装置における真空容器自
体やその排気装置を小型にすることが出来るので、装置
をコンパクトにする事が可能である。さらに、これらを
小型化する事で、X線発生装置全体の製作コストを減少
させることが可能となる。
【0153】また、真空容器の真空状態を開放する回数
を少なくするか、開放する必要のないない装置を構築で
きるので、標的部材の交換作業に関係なく、常に連続的
にX線を発生させることができるため、効率よくX線を
発生させることができる。
【0154】請求項2に記載した発明によれば、使用後
の残余標的部材が標的排出手段により順次真空容器外に
排出されるので、不要な残余標的部材が真空容器内で他
の部材に触れて誤動作を生じさせたり、励起ビームの照
射の妨げとなる様な問題は生じないものとなる。
【0155】さらに、これらの残余標的部材を内部に蓄
積させるためには、真空容器の内容積を大きくしなけれ
ばならないが、本発明ではこれを真空容器外に排出して
いるので、真空容器を小型化できる利点がある。
【0156】請求項3に記載した発明によれば、テープ
状の標的部材を採用しているので、テープ長さに比例し
た長時間の連続稼働が、一つのテープ状標的部材で可能
であり、その装置構成が比較的容易にかつ低コストで構
築できる利点がある。
【0157】また、長時間の連続運転のためには、例え
ば大口径のリールを用いる必要があるが、これらは真空
容器の外部に形成すれば良いので、真空容器自体は小型
のものを使用できるものとなる。
【0158】また、標的部材の形状をテープ状とした場
合に、大口径のリールを用いて前記真空容器の外部から
標的部材を導入しても、前記真空容器及び前記真空容器
内の排気装置には何の影響を与えずに真空容器の内部の
実質的な真空状態を維持させることができる。
【0159】請求項4に記載した発明によれば、空気流
入防止手段として、ゴムなどの弾性部材を用いているの
で、比較的容易な構成で真空保持手段を構築できる。こ
の様な弾性部材は、テープ状標的部材を隙間なく挟み込
むのに適した弾力を持ち、目的とする形状に簡単に加工
できるだけでなく、入手が簡単でコストがかからない利
点がある。
【0160】請求項5に記載した発明によれば、実質的
な真空状態となる予備排気室を介して標的部材を真空容
器に導入又は排出するものであるので、真空容器内への
空気等の気体の流入が的確に防止できる。
【0161】更に、予備排気室に仮に微量な空気等が混
入していても、真空容器内への空気の流入は、予備排気
室を設けない場合に比較して極めて少なくなるので、真
空容器内の実質的な真空状態に影響を与えない程度であ
り、この様な微小量の空気の流入があっても、真空容器
自体の排気手段により排気されるので、真空容器内に要
求される真空度は常に維持される。
【0162】請求項6に記載した発明によれば、大気圧
よりも高い圧力のガスを導入した予備加圧室を介して、
あるいは、該予備加圧室及び予備排気室を介して、標的
部材を真空容器内に導入すると共に真空容器外に排出す
るので、真空容器内への空気の流入が起こらない。その
ため、空気による吸収が大きい波長域のX線を利用する
場合に、空気の吸収によるX線の低下が発生せず、長時
間連続で安定なX線を発生させ、かつ利用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るX線発生装置を示す
概略説明図である。
【図2】本発明の第二実施例に係るX線発生装置を示す
概略説明図である。
【図3】本発明の第三実施例に係るX線発生装置を示す
概略説明図である。
【図4】従来のX線発生装置に用いられる標的部材供給
装置の概略説明図である。
【符号の説明】
101、201、301 真空容器 102、202、302、402 リール 103、203、303、403 リール 104、204、304、404 押え板 105、205、305、405 押え板 106、206、306 集光レンズ 107、207、307、407 励起ビーム 108、208、308 励起ビーム導入
窓 109、209、309、409 テープ状標的 110、210、310 弾性材料 220、310、320、324 弾性材料 111、211、311 導入口 112、212、312 排出口 113、213、313 X線取り出し窓 114、214、314 真空排気窓 215、216、315、316 予備真空室 217、317、328 予備導入口 218、318、329 予備排出口 219、221、319、321 予備真空排気窓 325 圧力調整バルブ 326、327 流量調整バルブ 430 ステージ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内の標的部材に励起エネルギー
    ビームを照射してプラズマ領域を形成させ、このプラズ
    マ領域から生成されるX線を取り出すX線発生装置であ
    って、 前記真空容器の外部から前記真空容器内部の予め定めた
    位置に、前記標的部材を導入させる標的供給手段を備
    え、 前記真空容器は、前記標的部材を内部に導入させるため
    の導入部と、外部から前記標的部材を導入させる際の前
    記真空容器内部の実質的な真空状態を保持する第一の真
    空保持手段と、が設けられていることを特徴とするX線
    発生装置。
  2. 【請求項2】 前記励起エネルギービーム照射後の前記
    標的部材を前記真空容器の外部に排出させる標的排出手
    段を更に備え、 前記真空容器は、前記標的部材を外部に排出させるため
    の排出部と、内部から前記標的部材を導出させる際の前
    記真空容器内部の実質的な真空状態を保持する第二の真
    空保持手段と、が設けられていることを特徴とする請求
    項1に記載のX線発生装置。
  3. 【請求項3】 前記標的部材が、テープ状の標的部材か
    らなり、 前記標的供給手段と前記標的排出手段とが、前記真空容
    器内の予め定めた位置に前記テープ状標的部材を連続的
    に供給するテープ搬送手段からなることを特徴とする請
    求項2に記載のX線発生装置。
  4. 【請求項4】 前記真空保持手段は、前記真空容器の導
    入部及び/又は排出部に設けられ、前記テープ状標的部
    材を隙間なく挟み込む弾性部材を含むことを特徴とする
    請求項3に記載のX線発生装置。
  5. 【請求項5】 前記真空保持手段は、前記真空容器の導
    入部及び/又は排出部の外部に設けられた予備排気室
    と、この予備排気室の実質的な真空状態を維持する排気
    手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4に記載
    のX線発生装置。
  6. 【請求項6】 前記真空保持手段は、前記真空容器の導
    入部及び/又は排出部の外部に、あるいは、前記予備排
    気室の外部に、予備加圧室を備えていることを特徴とす
    る請求項1〜5に記載のX線発生装置。
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