JPH07249518A - 磁気ヘッドと軟磁性薄膜および軟磁性薄膜に対する垂直磁気異方性の導入方法と縞状磁区の形成方法 - Google Patents

磁気ヘッドと軟磁性薄膜および軟磁性薄膜に対する垂直磁気異方性の導入方法と縞状磁区の形成方法

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JPH07249518A
JPH07249518A JP6037377A JP3737794A JPH07249518A JP H07249518 A JPH07249518 A JP H07249518A JP 6037377 A JP6037377 A JP 6037377A JP 3737794 A JP3737794 A JP 3737794A JP H07249518 A JPH07249518 A JP H07249518A
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直也 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、微細結晶相や非晶質相を有し、膜
面内に一軸異方性がつきやすい軟磁性薄膜を備えた磁気
ヘッドであっても、再現性良くあらゆる方向で高い高周
波透磁率を示し、しかも高い飽和磁束密度を備えた磁気
ヘッドと軟磁性薄膜を提供すること、および、軟磁性薄
膜の垂直磁気異方性の導入方法と縞状磁区の形成方法の
提供を目的とする。 【構成】 本願発明は、平均結晶粒径を40nm以下と
した微細結晶粒を主体として構成された軟磁性薄膜が、
基体に挟まれてなる構造の磁気ヘッドであって、前記軟
磁性薄膜が、縞状磁区構造にされ、縞状磁区構造が、膜
面に垂直な方向に沿って傾斜する自発磁化を有する磁区
の集合により縞状に形成されてなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はVTRやコンピュータ等
の磁気記録装置などに組み込まれて情報の記録再生を行
なう磁気ヘッドと軟磁性薄膜および軟磁性薄膜に対する
垂直磁気異方性の導入方法と縞状磁区の形成方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録分野においては、記録密
度をより高めるために記録媒体の保磁力を高めるととも
に、この記録媒体に対応できる高性能の磁気ヘッドが開
発されている。磁気記録密度を高めるためには、磁気ヘ
ッドのトラック幅やギャップ長をできるだけ狭くするこ
とと、飽和磁束密度と透磁率を高めつつ保磁力を小さく
することが好ましい。このような観点から、フェライト
等により形成された磁気コアの磁気ギャップ近傍に金属
磁性膜を配した構造のメタルインギャップ型(MIG
型)の磁気ヘッドが実用化されている。
【0003】また、トラック幅を狭くするとともに比抵
抗を高くして渦電流損失を軽減し、高周波帯域の磁気特
性を向上させるために、積層型磁気ヘッドと呼ばれる磁
気ヘッドが開発されている。積層型磁気ヘッドは、軟磁
性薄膜を基体上にスパッタや蒸着法などの成膜法により
形成し、その軟磁性薄膜上に再び基体を接着して磁気コ
アを基体で挟み込むように構成されたもので、成膜した
軟磁性薄膜の厚さがそのままトラック幅となる。従っ
て、狭トラック化が容易であり、記録密度の向上と、隣
接するトラックとの干渉の防止を図ることができる。ま
た、磁気回路形成部分が厚さ数μmの軟磁性薄膜となる
ため、渦電流損失を軽減することができ、高周波帯域に
おける磁気ヘッドの性能を向上させることができる。
【0004】ところで本発明者らは、前記MIG型の磁
気ヘッドあるいは積層型の磁気ヘッドに用いて好適な軟
軟磁性薄膜として、T100-a-b-c-d a b c d
る組成の軟磁性薄膜を開発し、先に特許出願を行ってい
る。この組成式において、TはFe、Coのうち1種ま
たは2種、XはSi、Alのうち1種または2種、Mは
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1
種または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、
QはCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Au
のうち1種または2種以上を示し、組成比a、b、c、
dは原子%で0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c
≦20、0≦d≦10なる関係を満足するものとする。
また、本発明者らは、同様の目的に使用できる軟磁性薄
膜として、T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d
なる組成の軟磁性合金を開発し、先に特許出願を行って
いる。この組成式において、TはFe、Coのうち1種
または2種、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Mo、Wのうち1種または2種以上、ZはC、Nのうち
1種または2種、QはCr、Re、Ru、Rh、Ni、
Pd、Pt、Auのうち1種または2種以上を示し、組
成比b、c、d、e、fは原子%で、8≦e≦15、
0.5≦f≦10、1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦
d≦10なる関係を満足するものとする。
【0005】これらの組成系の軟磁性薄膜において、ス
パッタ等の成膜法により形成し、非晶質状態としたも
の、および、熱処理を施して数nm〜数10nmオーダ
ーのFeの微細結晶粒を析出させたものは、センダスト
などの従来の軟磁性薄膜に比べて高い飽和磁束密度と優
れた透磁率を示し、保磁力も低いので、優れた軟磁気特
性を有し、磁気ヘッド用として極めて優れたものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記軟磁性薄膜が適用
される積層型磁気ヘッドの一構成例を図20に示す。こ
の例の磁気ヘッドHは、基板1、1で軟磁性薄膜2を挟
んで構成した磁気コア半体3、4を接合して構成された
もので、磁気コア半体3の軟磁性薄膜2と磁気コア半体
4の軟磁性薄膜2の間に磁気ギャップGが形成されてい
る。ところが本発明者らの研究の結果、図20に示す構
成の磁気ヘッドHに前記組成の軟磁性薄膜を適用した場
合、センダストなどの軟磁性薄膜を用いた場合よりも、
軟磁性薄膜としてマクロな誘導磁気異方性が生じやす
く、それが原因となって磁気ヘッドの磁気特性がばらつ
く問題を生じることが明らかになった。前記微細結晶を
析出させた軟磁性薄膜は、磁場中アニールなどの方法で
故意に異方性をつけなくとも磁気ヘッドコアのある小さ
な領域(磁路の一部)に部分的に一軸異方性が付いてい
る場合が多いことが判明した。これによれば、軟磁性薄
膜において、ある領域の磁化容易軸が磁路方向と略直角
になっている場合は、その部分の透磁率は高くなるが、
略平行になると透磁率は極端に低くなる。
【0007】即ち、磁気ヘッドの軟磁気特性がばらつく
ことになる。この状態を図面を基に説明すると、図20
(b)に示す状態の磁気ヘッドHの左右方向に磁化容易
軸が配向した場合は、図20(a)の斜線部分に透磁率
が低い部分が生じ、図20(b)に示す状態の磁気ヘッ
ドH’の上下方向に磁化容易軸が配向した場合は、図2
0(b)の斜線で示す部分に透磁率が低い部分が生じる
ことになる。一般に磁気ヘッドにおいては、磁路の一部
に透磁率の低い部分が生じると、その低い透磁率の部分
によって磁気ヘッド全体の透磁率が低下するので、前述
のような異方性を有する軟磁性薄膜を備えた磁気ヘッド
にあっては、軟磁性薄膜が本来有する軟磁気特性よりも
低い軟磁気特性しか示さない問題があった。
【0008】そこで本発明者らは、前述の磁気ヘッドの
透磁率低下の原因を追究すべく軟磁性薄膜の磁区構造に
ついて解析を行ったところ、以下のような知見を得た。
まず、前記のように磁化容易軸方向での透磁率が極端に
低くなるような軟磁性薄膜は、膜内の自発磁化が膜面と
平行になっており、180゜磁壁を主体とする図21に
示すような大きな磁区構造になっている。基体5の上に
形成された軟磁性薄膜6において磁化容易軸方向に沿っ
て平行な磁壁7により2つの磁区が形成されている場
合、磁化容易軸方向に微小交流磁界を印可して励磁する
と、周波数が低い場合は、磁壁7が移動(振動)するこ
とによって励磁方向の磁化変化を生じ、透磁率が高くな
るが、実際の磁気ヘッドで使用される数MHz帯域の高
周波で励磁しようとすると、磁壁移動はそれに伴う異常
渦電流損失等により起こり難くなり、結果として透磁率
は低下してしまうことになる。一方、磁化容易軸に直角
な磁化困難軸方向では磁区内部の自発磁化が微小角度回
転することにより高周波でも高い透磁率を示す。
【0009】以上のことから、微細結晶を有する軟磁性
薄膜を用いて磁気ヘッドを形成した場合に、軟磁性薄膜
の磁化容易軸をどちらの方向を向けて形成しても磁気回
路の一部分に透磁率の低い部分が生じてしまい、これに
よって磁気ヘッド全体の透磁率が低下してしまうおそれ
があった。また、透磁率の低下を避けるために磁化容易
軸の方向を制御して磁気ヘッドを製造しようとしても、
この種の軟磁性薄膜を用いて磁気ヘッドを製造する場
合、磁気コア半体を溶着ガラスで接合して製造するの
で、溶着ガラスを使用する高温度(例えば、600〜7
00℃)に軟磁性薄膜が加熱されるので、この際の加熱
により軟磁性薄膜の磁化容易軸方向がばらつくおそれが
あり、この影響で透磁率が低下するおそれもあった。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、微細結晶相や非晶質相を有し、膜面内に一軸異方性
がつきやすい軟磁性薄膜を備えた磁気ヘッドであって
も、再現性良くあらゆる方向で高い高周波透磁率を示
し、しかも高い飽和磁束密度を備えた磁気ヘッドと軟磁
性薄膜を提供すること、および、軟磁性薄膜の垂直磁気
異方性の導入方法と縞状磁区の形成方法の提供を目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、平均結晶粒径を40nm以下
とした微細結晶粒を主体として構成された軟磁性薄膜
が、基体に挟まれてなる構造の磁気ヘッドであって、前
記軟磁性薄膜が縞状磁区構造にされ、縞状磁区構造が、
膜面に垂直な方向に沿って傾斜する自発磁化を有する磁
区の集合により縞状に形成されてなるものである。
【0012】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、平均結晶粒径を40nm以下とした微細結晶粒
を主体として構成された軟磁性薄膜が、基体に挟まれて
なる構造の磁気ヘッドであって、前記軟磁性薄膜の膜面
内に磁界を印可した場合の磁化履歴曲線に、保磁力付近
の磁界での磁化の変化が急峻な立ち上がり曲線と、この
立ち上がり曲線に続いて磁化飽和点近傍までほぼ一定の
傾斜角度で遷移する傾斜曲線とが含まれてなるものであ
る。
【0013】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項2記載の磁気ヘッドにおいて、磁化履歴
曲線の磁化飽和点から残留磁化に至る減衰曲線が、前記
傾斜曲線とほぼ同じ勾配で形成され、前記減衰曲線と傾
斜曲線とが一部一致されてなるものである。
【0014】請求項4記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1、2または3記載の軟磁性薄膜が、F
eとCoのうち1種または2種からなる微細結晶粒と、
平均粒径が10nm以下のTi、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Mo、Wのうち、1種または2種以上の元素
の炭化物、窒化物または硼化物を主体として構成されて
なるものである。
【0015】請求項5記載の発明は前記課題を解決する
ために、非晶質相あるいは非晶質相と平均結晶粒径40
nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁性薄膜が、基
体に挟まれてなる磁気ヘッドであって、前記軟磁性薄膜
が縞状磁区構造にされ、縞状磁区構造が、膜面に垂直な
方向に沿って傾斜する自発磁化を有する磁区の集合によ
り縞状に形成されてなるものである。
【0016】請求項6記載の発明は前記課題を解決する
ために、非晶質相あるいは非晶質相と平均結晶粒径40
nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁性薄膜が、基
体に挟まれてなる構造の磁気ヘッドであって、前記軟磁
性薄膜の膜面内に磁界を印可した場合の磁化履歴曲線
に、保磁力付近の磁界での磁化の変化が急峻な立ち上が
り曲線と、この立ち上がり曲線に続いて磁化飽和点近傍
までほぼ一定の傾斜角度で遷移する傾斜曲線とが含まれ
てなるものである。
【0017】請求項7記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項6記載の磁気ヘッドにおいて、磁化履歴
曲線の磁化飽和点から残留磁化に至る減衰曲線が、前記
傾斜曲線とほぼ同じ勾配とされ、前記減衰曲線と傾斜曲
線とが一部一致されてなるものである。
【0018】請求項8記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の
軟磁性薄膜が次式で示される組成からなるものである。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%
で、0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c≦20、
0≦d≦10、なる関係を満足するものとする。
【0019】請求項9記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の
軟磁性薄膜が次式で示される組成からなるものである。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
e、fは原子%で、8≦e≦15、0.5≦f≦10、
1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦d≦10なる関係
を満足するものとする。
【0020】請求項10記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1、2、3、4、5、6、7、8また
は9記載の軟磁性薄膜の膜面垂直の磁気異方性磁気エネ
ルギーが50〜1000J/m3の範囲とされたもので
ある。
【0021】請求項11記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9
または10記載の軟磁性薄膜における自発磁化の膜面か
らの平均の立ち上がり角が10〜70度の範囲にされた
ものである。
【0022】請求項12記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10または11記載の軟磁性薄膜の断面構造が膜面
に起立する方向に延びる柱状構造とされたものである。
【0023】請求項13記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11または12記載の軟磁性薄膜の内部応力
が圧縮応力とされ、かつ、磁歪を正とすることにより垂
直磁気異方性が導入されてなるものである。
【0024】請求項14記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12または13記載の軟磁性薄膜の内
部応力が引張応力とされ、かつ、歪みを負とすることで
垂直磁気異方性が導入されてなるものである。
【0025】請求項15記載の発明は前記課題を解決す
るために、非晶質相、あるいは、非晶質相と平均結晶粒
径40nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁性薄膜
であって、膜面に対して起立する方向に延出された柱状
体の集合組織にされ、隣接する柱状体の間に偏析物が介
在されてなるものである。
【0026】請求項16記載の発明は前記課題を解決す
るために、柱状体が非晶質相から形成されてなるもので
ある。
【0027】請求項17記載の発明は前記課題を解決す
るために、柱状体の集合組織による形状異方性により垂
直磁気異方性が導入されてなるものである。
【0028】請求項18記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項15、16または17記載の非晶質相
または微細結晶相が、FeとCoのうち1種または2種
からなり、偏析物が、平均粒径10nm以下のTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種また
は2種以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物を主体
として構成されてなるものである。
【0029】請求項19記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項18記載の軟磁性薄膜が次式で示され
る組成からなるものである。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%
で、0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c≦20、
0≦d≦10なる関係を満足するものとする。
【0030】請求項20記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項18記載の軟磁性薄膜が次式で示され
る組成からなるものである。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
e、fは原子%で、8≦e≦15、0.5≦f≦10、
1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦d≦10なる関係
を満足するものとする。
【0031】請求項22記載の発明は前記課題を解決す
るために、軟磁性薄膜の内部応力を圧縮応力とし、か
つ、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性を導入す
るものいである。
【0032】請求項23記載の発明は前記課題を解決す
るために、軟磁性薄膜の内部応力を引張応力とし、か
つ、磁歪を負とすることにより垂直磁気異方性を導入す
るものである。
【0033】請求項24記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項21、22または23記載の非晶質
相、あるいは、非晶質相と平均結晶粒径40nm以下の
微細結晶相との混合状態の軟磁性薄膜に対する垂直磁気
異方性の導入方法であって、膜面に対して起立する方向
に延出された柱状体の集合組織とし、柱状体の形状異方
性により垂直磁気異方性を導入するものである。
【0034】請求項24記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項21、22または23の非晶質相また
は微細結晶相をFeとCoのうち1種または2種とし、
柱状体の外部に、平均粒径が10nm以下のTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種また
は2種以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物を偏析
させてなる集合組織とするものである。
【0035】請求項25記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項24において次式で示される組成から
なる軟磁性薄膜を用いるものである。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%で
0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c≦20、0≦
d≦10なる関係を満足するものとする。
【0036】請求項26記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項24において次式で示される組成から
なる軟磁性薄膜を用いるものである。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
e、fは原子%で、8≦e≦15、0.5≦f≦10、
1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦d≦10なる関係
を満足するものとする。
【0037】請求項27記載の発明は前記課題を解決す
るために、非晶質相、あるいは、非晶質相と平均結晶粒
径40nm以下の微細結晶相の混合状態の軟磁性薄膜に
対する縞状磁区の形成方法であって、膜面に対して起立
する方向に延出された柱状体の集合組織として柱状体の
形状異方性により垂直磁気異方性を導入し、この垂直磁
気異方性により縞状磁区を形成するものである。
【0038】請求項28記載の発明は前記課題を解決す
るために、軟磁性薄膜の内部応力を圧縮応力とし、か
つ、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性を導入し
縞状磁区とするものいである。
【0039】請求項29記載の発明は前記課題を解決す
るために、軟磁性薄膜の内部応力を引張応力とし、か
つ、磁歪を負とすることにより垂直磁気異方性を導入し
縞状磁区とするものである。
【0040】請求項30記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項27、28または29記載の非晶質相
または微細結晶相をFeとCoのうち1種または2種と
し、柱状体の外部に、平均粒径が10nm以下のTi、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種ま
たは2種以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物を偏
析させてなる集合組織とするものである。
【0041】請求項31記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項30において、次式で示される組成か
らなる軟磁性薄膜を用いるものである。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%
で、0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c≦20、
0≦d≦10なる関係を満足するものとする。
【0042】請求項32記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項30において次式で示される組成から
なる軟磁性薄膜を用いるものである。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
e、fは原子%で、8≦e≦15、0.5≦f≦10、
1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦d≦10なる関係
を満足するものとする。
【0043】
【作用】本発明者らは、先に特許出願した非晶質あるい
は微細結晶を有する軟磁性薄膜を種々の構成の磁気ヘッ
ドに応用し、研究を重ねた結果、軟磁性薄膜を縞状磁区
構造とすることで、一軸異方性が誘導されやすい軟磁性
薄膜を用いた磁気ヘッドであっても透磁率の向上効果が
得られることを知見した。
【0044】縞状磁区構造とは、膜面に平行な方向から
ある程度立ち上がった向きの自発磁化を示す磁区と、膜
面に平行な方向からある程度立ち下がった向きの自発磁
化を示す磁区とが交互に並んだ磁区構造であり、この磁
区構造とするならば、磁化容易軸方向(自発磁化と平行
な方向、例えば図3(a)のE.A.方向)に微小交流磁
界を印可した場合であっても各磁区の自発磁化が上下方
向(例えば膜面垂直方向)に首振り振動することにより
高い透磁率を示す。一方、前記の方向と直角な磁化困難
軸方向(自発磁化と垂直の方向、例えば図3(a)の
H.A.方向)では磁区内部の自発磁化が微小角度回転す
ることによって高周波域でも高透磁率を示す。
【0045】縞状磁区構造において、各磁区の自発磁化
の垂直異方性が大きすぎると保磁力が大きくなり、磁気
ヘッドの帯磁等を引き起こすおそれがあるので垂直異方
性は大きくし過ぎないことが好ましい。よって、垂直異
方性エネルギーを50〜1000J/m3の範囲とし、
自発磁化の立ち上がり角を10〜70゜とすることが好
ましい。更に、このような縞状磁区構造とするために、
膜面に対して起立する方向、例えば、垂直方向に組織の
成長を促進して膜面に起立する方向、例えば垂直方向に
伸びる柱状体の集合した柱状構造することが好ましい。
軟磁性薄膜の構造として柱状体が集合した組織であっ
て、隣接する柱状体の間に、例えば、O、N、H、C、
S、Bなどの不純物元素、あるいは、炭化物や窒化物あ
るいは硼化物が介在する組織とすることで、膜面に対し
て垂直な方向への磁気異方性が容易に付与される。軟磁
性薄膜が非晶質を主体としてなるものの場合は、柱状体
は非晶質相からなる。また、軟磁性薄膜の内部応力を圧
縮応力とし、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性
を付与できるとともに、内部応力を引張応力とし、磁歪
を負とすることで垂直磁気異方性を付与できる。
【0046】以下に本発明について更に詳細に説明す
る。図1は本発明に係る磁気ヘッドをハードディスク装
置用磁気ヘッドに適用したものの一構造例を示す。図1
に示す磁気ヘッド10は、浮上レール16、16の形成
されたスライダ14と、一方の浮上レール16の端部に
形成されたコア部18と、磁気コア20とで概略構成さ
れるもので、スライダ14とコア部18を基体とする
と、これらの基体中に磁気コア20が挟み込まれて配置
されている。
【0047】図1のA部分の拡大を図2に示す。スライ
ダ14の一部分でもある基体14'と基体14''の間に
軟磁性薄膜20'が挟み込まれ、同様にコア部18の一
部分でもある基体18'と基体18''との間に軟磁性薄
膜20''が挟み込まれ、軟磁性合金膜20'と軟磁性薄
膜20”で磁気コア20が構成されている。更に、スラ
イダ14とコア部18の間には非磁性層が介在され、こ
れが磁気ギャップ22を構成している。更にまた、磁気
コア20の一方の面と基体14''、18''との間には、
磁気コア20と基体14''、18''を接合するラミネー
トガラス24が介在されている。更にまた、図示してい
ないが、コア部18にはコイルが巻回されて磁気ヘッド
が構成される。
【0048】前記磁気ヘッド10において、軟磁性薄膜
20'、20''は、FeまたはCoを主成分とする体心
立方構造であって、平均結晶粒径が40nm以下の微細
結晶と、前記微細結晶の粒界に析出されたTi、Zr、
Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種
以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物とを具備して
なる構成か、この構成と非晶質相との混合状態の構成か
らなる。
【0049】前記軟磁性薄膜として下記の組成式からな
るものを用いることが好ましい。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%
で、0≦a≦25、1≦b≦15、0.5≦c≦20、
0≦d≦10なる関係を満足するものとする。また、前
記軟磁性合金薄膜として下記の組成式からなるものを用
いることもできる。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf
b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
e、fは原子%で、8≦e≦15、0.5≦f≦10、
1≦b≦7、0.5≦c≦10、0≦d≦10なる関係
を満足するものとする。
【0050】前記組成の軟磁性薄膜において、FeとC
oは主成分であり磁性を担う元素である。前記元素Mの
炭化物、窒化物または硼化物からなる非磁性粒子は、F
eまたはCoを主成分とする結晶の成長、粗大化を抑制
し、軟磁気特性の耐熱性を向上させる効果がある。ま
た、スパッタなどの成膜の際に非晶質化し易くする作用
がある。これらの効果を得るために、添加量は1原子%
以上あることが望ましいが、15原子%を超えると飽和
磁束密度Bsが著しく低下するので好ましくない。
【0051】CまたはNは前記元素Mと結合して、炭化
物または窒化物を生成するものである。また同様に、ス
パッタの際に非晶質化し易くする作用がある。スパッタ
後に軟磁性薄膜が非晶質であると、後の熱処理時に均質
な微細結晶を得られ易いので好ましい。これらの効果を
得るために添加量は0.5原子%以上あることが好まし
いが、20原子%を超えると飽和磁束密度Bsが著しく
低下するとともに、軟磁気特性が低下するので好ましく
ない。
【0052】元素XにおいてAlの添加は、Al :耐環境性を向上させる効果がある。Al :Feの結晶に固溶し、比抵抗を増加させる効果が
ある。Al :結晶粒の成長を遅くするとともに、結晶磁気異方
性エネルギを低下させて優れた軟磁気特性を高温まで維
持し、耐熱温度を上げる作用がある。このAlの添加量
は、Alの効果を発揮させるために、0.5原子%以上
あることが好ましい。しかしながら、10原子%よりも
多くなると、磁歪λsが大きくなり過ぎ、また飽和磁束
密度Bsも低下するので好ましくない。
【0053】元素XにおいてSiは、Si :Alの添加により増加する磁歪λsを低減する作
用がある。Si :スパッタの際に軟磁性薄膜を非晶質化し易くする
作用がある。したがって、軟磁性薄膜を非晶質化し易く
するために、従来、炭化物または窒化物を多量に含有さ
せていたが、炭化物または窒化物の含有量を低減するこ
とができ、炭化物または窒化物による飽和磁束密度の低
下を抑制することができる。Si :SiはFeの結晶に固溶し、比抵抗を増加させる
効果がある。Si :結晶粒の成長を遅くするとともに、結晶磁気異方
性エネルギを低下させて軟磁気特性の耐熱温度を上げる
作用がある。
【0054】このSiの添加量は、前記SiSiの効
果を発揮させるためにも、0.5原子%以上あることが
好ましい。しかしながら、15原子%よりも多くなる
と、飽和磁束密度Bsが低下するので好ましくない。ま
た、SiとAlは、同時に複合添加すると磁歪λsを0
〜+3.0×10-6の範囲に抑えると同時に耐環境性を
向上させることができる。
【0055】その他、H,O,S等の不可避的不純物に
ついては、所望の特性が劣化しない程度に含有していて
も本発明の軟磁性合金の組成と同一とみなすことができ
るのは勿論である。
【0056】次に前記軟磁性薄膜20'は、図3に示す
ようにほぼ平行な磁壁20a・・・を介して隣接する多数
の細長い磁区の集合からなり、各磁区のうち複数個の磁
区が揃って磁壁20aに平行で、ある所定の方向を向い
た自発磁化を有し、他の複数個の磁区が揃って磁壁20
aに平行で、前記の方向とは逆方向を向いた自発磁化を
有し、全体としての静磁エネルギーを低く保っている。
また、自発磁化の方向が揃った複数の磁区内において
は、隣接する磁区毎に自発磁化の向きが、膜面に対して
垂直な面に沿って上向きであるか、下向きであるかの違
いを有している。隣接する磁区どうしにおいて自発磁化
の方向は図3(b)、(c)に示すようになっている。
図3(c)に示すように斜め上方に向く自発磁化を有す
る磁区を実線の矢印で示し、斜め下方に向く磁化容易軸
を有する磁区を鎖線の矢印で示す。
【0057】このような縞状磁区構造であれば磁化困難
軸方向(図3(a)のH.A.方向)で勿論優れた透磁率
を示すが、磁化容易軸方向(図3(a)のE.A.方向)
でも高い透磁率を示す。これは、図4に示すように斜め
上方に立ち上がった自発磁化を有する磁区に対し、膜面
内の縞と平行な方向(磁化容易軸方向)に微小交流磁場
をかけて励磁した場合、膜面に対して上方に立ち上がっ
ている磁化が上下方向に首振りすることにより、励磁方
向の磁化変化が十分に得られ、結果的に高い透磁率が得
られることに起因する。一方、これと直角な磁化困難軸
方向では磁区内部の磁化が微小角度回転することによっ
て従来の場合と同様に高周波でも高い透磁率を示す。よ
って、膜面に沿うどの方向にも高い透磁率が得られる。
【0058】ところで、隣接する磁区どうしにおいて自
発磁化が上向きのものと下向きのものが交互に表れるの
は、図5に示すように1つの磁区で単に自発磁化が膜面
からある角度立ち上がる場合、軟磁性薄膜20'の表面
に自由磁極20bを生じてしまい、静磁エネルギーが高
くなって不安定になるので、これを避けるため、図3に
示すように上向きの自発磁化と下向きの自発磁化をもつ
磁区が交互に縞状に並ぶ、縞状磁区の構造を自然ととる
ようになるためである。
【0059】図6は本発明に係る縞状磁区構造の他の例
を示すもので、この例の構造では、縞状磁区の隣接する
1つ1つの磁区において自発磁化が交互に逆方向を向け
られている。この構造は、縞状磁区を構成する磁壁20
a・・・の間隔が広い場合、即ち、1つの磁区の幅が大き
い場合に実現される構造である。この例の構造において
も先の例の縞状磁区構造と同等の効果を得ることができ
る。
【0060】次に、各磁区における自発磁化の立ち上が
り角度について説明する。膜面に対し傾斜して立ち上が
った自発磁化により励磁方向の磁化変化が十分に得ら
れ、透磁率が高くなる機構については図4を基に先に説
明したが、この自発磁化の立ち上がり角が図7に示すよ
うに小さい場合は、図20を基に先に説明した面内磁化
膜の場合と似たような状況になり、磁化容易軸方向の透
磁率の低下が生じる。この様子を図7を基に以下に説明
する。図7において、磁化容易軸方向に微小交流磁界を
印可して図4の場合と同じ角度Δθだけ磁化ベクトルが
振れたとしても、図7に示すように面内方向の磁化変化
量は図4の場合よりも遥かに小さくなる。従って透磁率
は小さくなる。自発磁化の立ち上がり角度が10゜より
小さくなると面内磁化膜に比較して十分に高い透磁率を
磁化容易軸方向で発揮できなくなる。一方、自発磁化の
立ち上がり角があまりに大きくなりすぎると、隣の磁区
との間の静磁結合が強くなり過ぎて磁化ベクトルが動き
難くなる。このため、保磁力が大きくなるとともに、透
磁率も低くなってしまう。即ち、磁化ベクトルの振れ角
Δθが小さくなる。従って自発磁化の立ち上がり角が7
0゜を超えると磁気ヘッドの再生特性が逆に低下してし
まうので好ましくない。
【0061】前記組成で縞状磁区構造を採用した軟磁性
薄膜を備えた磁気ヘッドにおいて軟磁性薄膜の面内に磁
界を印可して測定した磁化履歴曲線(ヒステリシスルー
プ)の概略を図8(a)に示す。また、この場合におけ
る自発磁化の平均立ち上がり角ψは、図8(b)に示す
ように計算式ψ=Cos-1(Mr'/Ms)から概略的
に算出することができる。ここで、Mr’は、図8
(a)で定義される磁化履歴曲線の傾斜部分を外挿して
求めた仮残留磁化、Msは飽和磁化とする。この式と図
8(a)に示す磁化履歴曲線から、Msに対してMr’
が小さいほど自発磁化の立ち上がり角が大きくなること
がわかる。また、図8(a)に示す磁化履歴曲線から、
本発明に係る軟磁性薄膜は、磁界の変化に応じて磁化が
急峻に立ち上がった後に、あるいは、立ち上がった後
に、いずれも飽和しずらい特性を示すことがわかる。
【0062】また、立ち上がり角ψは、正確には軟磁性
薄膜の飽和磁化にも関係するが、概ね垂直異方性エネル
ギーE⊥が大きくなるほど大きくなる。従って垂直異方
性エネルギーの値でその許容範囲を規定することができ
る。E⊥が50J/m3に満たないと、磁化容易軸方向
の透磁率が低下し、良好な特性の磁気ヘッドが得られな
い。また、E⊥が1000J/m3を超えると保磁力が
大きくなり、透磁率は全方向で低下し、良好な特性の磁
気ヘッドが得られない。なお、前記垂直異方性エネルギ
ーE⊥は図8(a)の磁化履歴曲線とx軸とy軸が囲む
第1象限の斜線部分の面積として概略見積もることがで
きる。
【0063】一方、磁化容易軸は、磁歪λsの正負と応
力状態によっても変化する。磁歪が正の場合、軟磁性薄
膜に引張り応力が作用すると応力方向が磁化容易軸にな
り、圧縮応力が作用すると応力方向に対する直角方向が
磁化容易軸になる。また、磁歪が負の場合は、軟磁性薄
膜に引張り応力が作用すると応力方向に対して直角方向
が磁化容易軸になり、逆に圧縮応力が作用すると応力の
作用方向が磁化容易軸になる。この種の軟磁性薄膜のこ
のような性質を利用して磁気異方性を導入することがで
きる。
【0064】更に、非晶質あるいは非晶質と前記微細結
晶の混合状態とした場合、膜面に対して起立する方向に
伸びる柱状体の集合した構造とすることで、柱状体の形
状からくる形状異方性により軟磁性薄膜に垂直磁気異方
性を付与することができる。この構造において、柱状体
の1本1本は結晶ではなく、非晶質相であっても良い
が、隣接する柱状体の間には不純物を介在させた構成と
する。柱状体の傾斜角度は90゜が好ましいが、多少傾
斜していても差し支えない。
【0065】図1に示す構造の磁気ヘッドを製造するに
は、図9に示すように、まず、ブロック状の基体26の
一方の側面に軟磁性合金膜20を成膜する。次に、その
軟磁性合金膜20上にラミネートガラス24を成膜し、
もう一方の基体26'と貼り合わせ、加熱、圧着して溶
着する。この際、必要に応じて基体26'の接合面にも
ラミネートガラス24を成膜しておく。そして、室温に
まで冷却してラミネートガラス24が固化した後、この
ブロックを切断し、切削や研磨等の諸加工を経て、所定
形状の複数のスライダとコア部をそれぞれ形成する。ま
た、前記ガラス溶着工程の熱を利用して軟磁性合金膜に
熱処理を施し、成膜したままの非晶質相の一部あるいは
全部を熱処理により結晶質相に変えて目的の軟磁気特性
を示す軟磁性合金膜とする。なお、非晶質相を結晶質相
に変えるためには、ガラス溶着時の熱を利用しなくとも
良く、別途に専用の熱処理工程を実施しても良い。
【0066】次に、別々に形成されたスライダとコア部
を、それぞれに挟み込まれている軟磁性合金膜が連続す
るように位置を合わせて、非磁性の溶着ガラス21を巻
線穴の上部に充填して磁気ギャップ部を接合する。こう
して図1に示す磁気ヘッド10を製造することができ
る。
【0067】また、基体上に軟磁性合金膜を成膜する際
に、複数の軟磁性合金膜とSiO2などの絶縁層を交互
に積層することで、図10に示すような、一対の基体2
8、28間に挟まれた、複数の軟磁性合金膜32、32
と絶縁層34、34からなる磁気コア33を形成するこ
ともできる。なお、図10においては、符号24が磁気
コア33と基体28を接着するラミネートガラスであ
り、符号30が磁気ギャップを示す。この例の構造にお
いても先に説明した構造の磁気ヘッドと同様に縞状磁区
構造とすることにより、高周波域での透磁率を向上させ
ることができる。
【0068】本発明は、上述したようなコンピュータの
ハードディスク装置用磁気ヘッドやVTR用の磁気ヘッ
ドなど、磁気コアが基体に挟みこまれて構成される積層
型磁気ヘッド及び磁気ギャップ近傍に磁性薄膜を配した
構造を有するメタルインギャップ型磁気ヘッドなどの各
種の磁気記録再生を行なう磁気ヘッドに適用できるもの
である。例えば、図1で説明した磁気ヘッド10の他に
図11に示す磁気ヘッド36にも適用できる。
【0069】この例の磁気ヘッド36は、Mn-Znフ
ェライト基体に軟磁性薄膜44が成膜された一対の磁気
コア半体38,38が、磁気ギャップ42を形成するよ
うに接合されたメタルインギャップタイプ(MIG型)
の磁気ヘッドである。なお、巻線孔52にはコイル46
が巻回され、軟磁性薄膜の成膜された磁気コア半体3
8,38はギャップ42及びトラック幅規制溝48に存
在するギャップガラスで溶着されている。この例の構造
においても先に説明した構造の磁気ヘッドと同様に縞状
磁区構造とすることにより、高周波域での透磁率を向上
させることができる。
【0070】
【実施例】NiO-TiO2-CaOからなる基板上に高
周波2極スパッタ装置によりアルゴンガス雰囲気におい
て6μm厚のFe76Si12Al5Hf34なる組成の薄
膜を形成した。この薄膜は、成膜直後は非晶質状態であ
るが、720℃で20分間熱処理することによりFeを
主成分とする微細結晶が析出し、平均粒径約20nmの
微細結晶状態になった。この軟磁性薄膜においては、F
eを主成分とする微細結晶の粒界に、粒径約5nm以下
の立方晶構造のハフニウム炭化物結晶が分散されている
ことを電子顕微鏡で確認した。また、この軟磁性薄膜の
飽和磁歪は+1.3×10-6であることを光テコ法によ
り確認した。この軟磁性薄膜の磁区構造をカー効果顕微
鏡により観察した結果を図12(a)、(b)に示す。
【0071】図12(a)と図12(b)に示す磁区構
造の試料においては、製造時の条件を変えてあり、図1
2(a)に示す構造の試料ではスパッタ成膜時の条件と
して高周波電力を1000W、アルゴンガス圧力を5m
Torr、図12(b)に示す構造の試料ではスパッタ
成膜時の条件として、高周波電力を500W、アルゴン
ガス圧力を7mTorrとしている。X線回折法により
測定した軟磁性薄膜の内部応力は、図12(a)に示す
構造の試料では150MPaの圧縮応力、図12(b)
に示す構造の試料では100MPaの引張応力であっ
た。このようにこれらの試料ではいずれのものでも磁歪
は正であるが、応力の符号が反対であるために、図12
(a)に示す構造の試料では垂直磁気異方性が導入さ
れ、図12(b)に示す構造の試料では逆に磁化が膜面
に拘束されるような異方性を生じる。この結果、図12
(a)に示す構造の試料では縞状磁区構造になり、図1
2(b)に示す構造の試料では一軸異方性を有する面内
磁化膜特有の大きな磁区になっている。なお、図12
(a)、(b)において左右方向が磁化容易軸方向を示
す。
【0072】図12(a)に示す磁区構造の試料と図1
2(b)に示す磁区構造の試料の磁化履歴曲線を図13
(a)と図13(b)に対応させて示す。なお、励磁方
向の反磁界は補正してある。図13(a)に示す結果か
ら、本発明に係る軟磁性薄膜を用いた磁気ヘッドの磁化
履歴曲線にあっては、保磁力付近の磁界での磁化の変化
が急峻な立ち上がり曲線Kと、この立ち上がり曲線Kに
続いて磁化飽和点近傍までほぼ一定の傾斜角度で遷移す
る傾斜曲線Lとが含まれている。そして更に、磁化履歴
曲線の磁化飽和点から残留磁化に至る減衰曲線Gが、前
記傾斜曲線Lとほぼ同じ勾配で形成され、前記減衰曲線
Gと傾斜曲線Lとが一部一致されてなる曲線を示すこと
が明らかになった。また、前記立ち上がり曲線と対称位
置に存在する立ち下がり曲線も同様な履歴を示す。この
ような磁化履歴曲線を示す磁気ヘッドにあっては、保磁
力付近の磁界での磁化変化が急峻で、それ以上の磁界で
の磁化が飽和し難い特質を有する。この磁化履歴曲線か
ら見積もった自発磁化の立ち上がり角は50゜、垂直磁
気異方性エネルギーは150J/m3であった。以上の
結果からこの例の試料においては内部応力による逆磁歪
効果により垂直磁気異方性が導入されいるものと思われ
る。
【0073】次に、図12(a)、(b)に示す磁区構
造を示す試料の各図の左右(横)方向(磁化容易軸方
向)と各図の上下(縦)方向(磁化困難軸方向)の1M
Hzにおける透磁率を測定した結果を以下の表1に示
す。透磁率の測定は8の字コイル法により行ない、励磁
界は5mOeとした。
【0074】
【表1】
【0075】表1に示す結果から明らかなように、本発
明試料ではどちらの方向からでも高い透磁率を有してい
るのに対し、比較例の試料では方向により透磁率に大き
な差異を生じた。従って比較例の軟磁性薄膜を用いて磁
気ヘッドを構成すると、どちらが磁化容易軸になるかに
よって磁気ヘッドの軟磁気特性が大きくばらつくことに
なるのに対し、本発明試料の軟磁性薄膜を用いて磁気ヘ
ッドを構成すると全方位で高い透磁率を示すので、透磁
率の高い磁気ヘッドが得られる。
【0076】先の例で製造した方法と同等の方法を適用
して作製したCo81.3Nb14.0Zr4.7なる組成の非晶
質の軟磁性薄膜において、スパッタ時のアルゴンガス圧
力を変えて成膜した場合のそれぞれの磁化履歴曲線を図
14に示す。図14において、図14(a)はアルゴン
ガス圧を10mTorrとして作成した試料の磁化履歴
曲線を示し、図14(b)はアルゴンガス圧を5mTo
orとして作製した試料の磁化履歴曲線を示す。図14
(a)の磁化履歴曲線を示す試料では垂直磁気異方性を
示しており、磁区観察の結果、図13(a)に示す磁化
履歴曲線を示す試料と同様な縞状磁区構造を呈してい
た。これに対し、図14(b)に示す磁化履歴曲線を示
す試料では垂直磁気異方性を示さなかった。これらの試
料の軟磁性薄膜はいずれもほぼ零に近い(約±1×10
-7)磁歪を有していた。よって、この例の軟磁性薄膜で
は先の例の軟磁性薄膜の場合のような内部応力による逆
磁歪効果で生じる垂直磁気異方性は極めて小さいと思わ
れるが、垂直磁気異方性が導入されている。
【0077】この例のそれぞれの軟磁性薄膜の断面(破
面)の走査型電子顕微鏡写真を図15に示す。図15
(a)に示す構造が図14(a)に示す磁化履歴曲線を
示す試料のものであり、図15(b)に示す構造が図1
4(b)に示す磁化履歴曲線を示す試料のものである。
図15(a)に示す構造の試料では膜面に対してほぼ垂
直方向に伸びる柱状体の集合した構造を有しているのに
対して図15(b)に示す試料ではそのような構造には
なっていない。図15(a)に示す構造において、柱状
体1本1本は結晶ではなく、非晶質相であるが、隣接す
る柱状体の間には不純物の偏析があると考えられる。こ
のような膜構造を有していると柱状体の形状からくる形
状異方性により垂直磁気異方性を導入することができ
る。
【0078】次に、前記例と同様の方法で作製したFe
76.3Si12.0Al2.1Hf3.66.0なる組成の合金膜を
例にして、熱処理前と熱処理後のX線回折パターンを測
定した。熱処理は、680℃で20分間保持するものと
した。また、X線回折パターンはCo-Kα線源を用い
て測定した。熱処理後のX線回折パターンを図16に示
し、熱処理前のX線回折パターンを図17に示した。図
17に示す結果からから、ブロードなハローパターンが
示されており、熱処理前は非晶質であることがわかる。
【0079】一方、図16に示す結果からから、熱処理
後においては、α-Fe(体心立方構造のFeを主成分
とする結晶)とHfC(Hfの炭化物の結晶)の存在が
確認できた。しかも、α-Feの回折ピークの位置から
α-Feの結晶にはSiとAlが固溶していることがわ
かる。また、α-FeとHfCの各X線回折ピークの半
値幅から、α-Feの結晶粒径は19nm、HfCの結
晶粒径は3.4nmであることがわかる。
【0080】図1で示したハードディスク用磁気ヘッド
を前記の例で使用した装置および方法と同等の装置およ
び方法を用いて製造し、それに用いた軟磁性薄膜の自発
磁化の立ち上がり角度と垂直磁気異方性エネルギーE⊥
および磁気ヘッドの孤立波再生出力を測定した。用いた
軟磁性薄膜は前記と同等の方法で成膜したFe74-78S
11-12Al2-6Hf2-34-5なる組成のものであり、基
体はNiO-TiO2-CaO系あるいはMnO-NiO系
セラミックス基板を用いた。試験に供した磁気ヘッド
は、トラック幅が5.5μm、ギャップ深さが2μmの
ものとし、測定に供したハードディスクの保磁力Hcを
1600 Oe、周速を8.84m/s、磁気ヘッドの浮
上量を80nmにして測定した。
【0081】軟磁性薄膜の磁歪はいずれも正の値であ
り、軟磁性薄膜のAl濃度を変えることにより磁歪を+
1〜2×10-6の範囲で変化させ得ると同時に、軟磁性
薄膜の内部応力をスパッタ条件(アルゴンガス圧と高周
波電力)を変えることにより変化させ、種々の自発磁化
立ち上がり角ψと垂直異方性エネルギーを有する軟磁性
膜を作成し、それぞれを用いて磁気ヘッドを形成し、測
定に使用した。得られた多数の磁気ヘッドの孤立波再生
出力(相対値)と自発磁化の立ち上がり角ψの関係を図
18に、孤立波再生出力と垂直磁気異方性エネルギーE
⊥の関係を図19にそれぞれ示す。
【0082】図18と図19に示す結果から、自発磁化
の立ち上がり角と垂直磁気異方性エネルギーが小さすぎ
ると、出力の平均値が低くなるとともに、自発磁化の立
ち上がり角と垂直磁気異方性エネルギーが大きすぎると
特性のばらつきは小さくなるが出力の平均値が低くなる
ことがわかる。このことから、自発磁化の立ち上がり角
は10〜70゜の範囲が好ましく、垂直異方性エネルギ
ーは50〜1000J/m3の範囲が好ましいことが明
らかになった。
【0083】前記例のものと同等の軟磁性薄膜と基体を
用いて、図11に示したVTR用の映像磁気ヘッドを製
造し、先の例と同等の試験を行ってみたが、同等の効果
が得られた。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、非
晶質あるいは非晶質と微細結晶粒の混合組織であって、
縞状磁区構造の軟磁性薄膜を備え、縞状磁区構造におい
て自発磁化が膜面に対して垂直な方向に沿って傾斜して
いるので、縞状磁区構造の縞と平行な方向に励磁した場
合は膜面外に立ち上がっている磁区内部の自発磁化が上
下方向に首振り振動する結果、高周波でも高い透磁率を
示すとともに、縞状磁区構造の縞と直角な方向に励磁し
た場合は磁区内部の自発磁化が微小角度回転することに
よって高周波でも高い透磁率を示す。このことから、磁
化容易軸の方向に応じて透磁率の低い部分を磁気回路の
中に生じるということが無くなり、全方向で高い透磁率
を示す磁気ヘッドが得られる。また、本発明によれば、
磁気ヘッドの製造工程においてガラス溶着を行って磁気
ヘッドを高温に加熱し、軟磁性薄膜に部分的に異なる不
均一な磁気異方性を付与させてしまったとしても、全方
位において高い透磁率を示すので、ガラス溶着工程の加
熱処理によって軟磁気特性が劣化しない磁気ヘッドを提
供できる。
【0085】本発明の縞状磁区構造を採用した磁気ヘッ
ドにあっては、保磁力付近の磁界での磁化の変化が急峻
で、その後の磁界で磁化飽和点近傍までほぼ一定の割合
で磁化の変化が遷移する磁化履歴曲線を示すので、磁界
をかけたときに、初期状態では磁界に対する磁化の変化
が急峻で、その後磁化が飽和しずらい特有の軟磁気特性
が得られる。
【0086】磁気ヘッドに用いる軟磁性薄膜としてFe
とCoの微細結晶を主体とし、その粒界にTi、Zr、
Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種または2
種以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物を析出させ
てなるものを用いたものは、センダストよりも高い飽和
磁束密度を示し、方位により低下しない優れた透磁率を
示す。更に、磁気ヘッドに備える軟磁性薄膜としてT
100-a-b-c-d a b c なる組成式あるいはT
100−b−c−d−e−f Sie Alf b c
dなる組成式に示される組成の特定の組成とし、各添加
元素の量を限定することで、特に高い飽和磁束密度を示
し、特に高い透磁率を示すものが得られる。
【0087】縞状磁区の各磁区内の自発磁化の立ち上が
り角は磁気異方性エネルギーを50〜1000J/m3
の範囲内に調整することで所望の角度に調整することが
でき、これにより優れた透磁率を発揮させ得る。また、
自発磁化の立ち上がり角度を10〜70゜の範囲内とす
るならば、磁区内での自発磁化の上下振動と左右回転振
動を円滑に行わせることができるので、どの方位に励磁
されても高い透磁率を得ることができる。更に、軟磁性
薄膜の構造を膜面に対して立ち上がる柱状体の集合組織
とすることで、自発磁化を膜面に対して容易に立ち上が
らせるか下げることができ、これにより全方位での透磁
率の向上効果を発揮させることができる。更にまた、縞
状磁区構造として自発磁化の立ち上がりを生じさせるた
めには、軟磁性薄膜に圧縮応力を作用させるとともに磁
歪を正とするか、軟磁性薄膜に引張り応力を作用させる
とともに磁歪を負とすることが好ましい。これにより優
れた透磁率とその等方性を示す軟磁性薄膜が得られ、高
性能な磁気ヘッドを提供できる。
【0088】ここで用いる軟磁性薄膜として、FeとC
oのうち1種または2種からなる微細結晶粒と、平均粒
径が10nm以下のTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、Wのうち、1種または2種以上の元素の炭化
物、窒化物または硼化物を主体として構成されてなるも
のが好ましい。また、T100-a-b-c-d a b cd
る組成式あるいはT100-b-c-d-e-f Sie Alf b
c dなる組成式で示され、添加元素量を特定したもの
を用いることが好ましい。これらの組成とすることで、
透磁率が高い上に飽和磁束密度の優れた軟磁性薄膜が得
られ、高性能の磁気ヘッドを得ることができる。
【0089】また、前記の方法で垂直磁気異方性を軟磁
性薄膜に導入することで軟磁性薄膜を縞状磁区構造とす
ることができ、透磁率の等方性に優れた軟磁性薄膜が得
られ高性能の磁気ヘッドを得ることができる。更に、前
記の方法に加えて前記の組成の軟磁性薄膜を用いること
で透磁率に加えて飽和磁束密度の高い軟磁性薄膜あるい
は磁気ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハードディスク装置用磁気ヘッドの斜視図であ
る。
【図2】図1のA部分の拡大図である。
【図3】軟磁性薄膜の縞状磁区構造の一例を示すもの
で、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)の一
部拡大平面図、図3(c)は自発磁化の立ち上がり状態
を示す断面図である。
【図4】微小交流磁界を縞状磁区構造の軟磁性薄膜に印
可した場合の自発磁化の首振り振動と面内方向の磁化変
化分を示す説明図である。
【図5】磁区における自発磁化の立ち上がり状態を示す
断面図である。
【図6】縞状磁区構造の他の例を示す図であって、図6
(a)は平面図、図6(b)は断面図である。
【図7】立ち上がり角の小さい自発磁化の首振り振動を
示す説明図である。
【図8】図8(a)は縞状磁区構造を有する軟磁性薄膜
が示す磁化履歴曲線を示す図、図8(b)は立ち上がり
角と仮残留磁化と飽和磁化の関係を示す図である。
【図9】磁気ヘッドの製造過程を示す工程図で、図9
(a)はブロック状基体を接合する前を示し、図9
(b)は接合後を示すものである。
【図10】積層型磁気ヘッドの磁気ギャップ周辺部の拡
大図である。
【図11】VTR用の映像磁気ヘッドの斜視図である。
【図12】図12(a)は本発明に係る軟磁性薄膜の縞
状磁区構造のカー顕微鏡写真を示す図、図12(b)は
従来の磁区構造の軟磁性薄膜のカー顕微鏡写真を示す図
である。
【図13】図13(a)は本発明に係る軟磁性薄膜の磁
化履歴曲線を示す図、図13(b)は従来の磁区構造を
示す軟磁性薄膜の磁化履歴曲線を示す図である。
【図14】図14(a)は本発明に係る軟磁性薄膜の磁
化履歴曲線を示す図、図14(b)は従来の磁区構造を
示す軟磁性薄膜の磁化履歴曲線を示す図である。
【図15】図15(a)は本発明に係る縞状磁区構造を
有する軟磁性薄膜の断面の組織写を示す図、図15
(b)は従来の磁区構造を有する軟磁性薄膜の断面の組
織写真を示す図である。
【図16】本実施例の軟磁性合金の熱処理後のX線回折
パターンである。
【図17】本実施例の軟磁性合金の熱処理前のX線回折
パターンである。
【図18】本発明に係る縞状磁区構造を有する軟磁性薄
膜を備えた磁気ヘッドにおける自発磁化の立ち上がり角
と孤立波再生出力の関係を示す図である。
【図19】本発明に係る縞状磁区構造を有する軟磁性薄
膜を備えた磁気ヘッドにおける垂直異方性エネルギーと
孤立波再生出力の関係を示す図である。
【図20】図20は従来構造の磁気ヘッドの磁路方向に
よる透磁率のばらつきを説明するためのもので、図20
(a)は平面図、図20(b)は磁化容易軸が左右方向
を向く場合の磁気ヘッドの側面図、図20(c)は磁化
容易軸が上下方向を向く場合の磁気ヘッドの側面図であ
る。
【図21】従来の磁区構造を示すもので、図21(a)
は軟磁性薄膜における自発磁化の方向を示す断面図、図
21(b)は同自発磁化の方向を示す平面図である。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド 20 磁気コア 20'、20'' 軟磁性薄膜 22 磁気ギャップ 24 ラミネートガラス 26、28 基体 30 磁気ギャップ 32 軟磁性薄膜 36 磁気ヘッド 38 磁気コア半体(基体) 42 磁気ギャップ 44 軟磁性薄膜

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均結晶粒径を40nm以下とした微細
    結晶粒を主体として構成された軟磁性薄膜が基体に挟ま
    れてなる構造の磁気ヘッドであって、前記軟磁性薄膜
    が、縞状磁区構造にされ、縞状磁区構造が、膜面に垂直
    な方向に沿って傾斜する自発磁化を有する磁区の集合に
    より縞状に形成されてなることを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 平均結晶粒径を40nm以下とした微細
    結晶粒を主体として構成された軟磁性薄膜が、基体に挟
    まれてなる構造の磁気ヘッドであって、前記軟磁性薄膜
    の膜面内に磁界を印可した場合の磁化履歴曲線に、保磁
    力付近の磁界での磁化の変化が急峻な立ち上がり曲線
    と、この立ち上がり曲線に続いて磁化飽和点近傍までほ
    ぼ一定の傾斜角度で遷移する傾斜曲線とが含まれてなる
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の磁気ヘッドにおいて、磁
    化履歴曲線の磁化飽和点から残留磁化に至る減衰曲線
    が、前記傾斜曲線とほぼ同じ勾配で形成され、前記減衰
    曲線と傾斜曲線とが一部一致されてなることを特徴とす
    る磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の軟磁性薄膜
    が、FeとCoのうち1種または2種からなる微細結晶
    粒と、平均粒径が10nm以下のTi、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種または2種以上
    の元素の炭化物、窒化物または硼化物を主体として構成
    されてなることを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 非晶質相、あるいは、非晶質相と平均結
    晶粒径40nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁性
    薄膜が、基体に挟まれてなる磁気ヘッドであって、前記
    軟磁性薄膜が縞状磁区構造にされ、縞状磁区構造が、膜
    面に垂直な方向に沿って傾斜する自発磁化を有する磁区
    の集合により縞状に形成されてなることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  6. 【請求項6】 非晶質相、あるいは、非晶質相と平均結
    晶粒径40nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁性
    薄膜が、基体に挟まれてなる構造の磁気ヘッドであっ
    て、前記軟磁性薄膜の膜面内に磁界を印可した場合の磁
    化履歴曲線に、保磁力付近の磁界での磁化の変化が急峻
    な立ち上がり曲線と、この立ち上がり曲線に続いて磁化
    飽和点近傍までほぼ一定の傾斜角度で遷移する傾斜曲線
    とが含まれてなることを特徴とする磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の磁気ヘッドにおいて、磁
    化履歴曲線の磁化飽和点から残留磁化に至る減衰曲線
    が、前記傾斜曲線とほぼ同じ勾配とされ、前記減衰曲線
    と傾斜曲線とが一部一致されてなることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  8. 【請求項8】 軟磁性薄膜が次式で示される組成からな
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6また
    は7記載の磁気ヘッド。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
    i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
    上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
    e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
    たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%で 0≦a≦25 1≦b≦15 0.5≦c≦20 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  9. 【請求項9】 軟磁性薄膜が次式で示される組成からな
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6また
    は7記載の磁気ヘッド。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
    または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
    はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
    うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
    e、fは原子%で 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  10. 【請求項10】 軟磁性薄膜の膜面垂直の磁気異方性磁
    気エネルギーが、50〜1000J/m3の範囲とされ
    たことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8または9記載の磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 軟磁性薄膜における自発磁化の膜面か
    らの平均の立ち上がり角が、10〜70゜の範囲にされ
    たことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9または10記載の磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 軟磁性薄膜の構造が、膜面に起立する
    方向に延びる柱状構造とされたことを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11
    記載の磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】 軟磁性薄膜の内部応力が圧縮応力とさ
    れ、かつ、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性が
    導入されてなることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の
    磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 軟磁性薄膜の内部応力が引張応力とさ
    れ、かつ、磁歪を負とすることにより垂直磁気異方性が
    導入されてなることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12または13
    記載の磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 非晶質相、あるいは、非晶質相と平均
    結晶粒径40nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁
    性薄膜であって、膜面に対して起立する方向に延出され
    た柱状体の集合組織にされ、隣接する柱状体の間に偏析
    物が介在されてなることを特徴とする軟磁性薄膜。
  16. 【請求項16】 柱状体が非晶質相から形成されてなる
    ことを特徴とする請求項15記載の軟磁性薄膜。
  17. 【請求項17】 柱状体の集合組織による形状異方性に
    より垂直磁気異方性が導入されてなることを特徴とする
    請求項15または16記載の軟磁性薄膜。
  18. 【請求項18】 請求項15、16または17記載の非
    晶質相または微細結晶相が、FeとCoのうち1種また
    は2種からなり、偏析物が、平均粒径10nm以下のT
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1
    種または2種以上の元素の炭化物、窒化物または硼化物
    を主体として構成されてなることを特徴とする軟磁性合
    金膜。
  19. 【請求項19】 次式で示される組成からなることを特
    徴とする請求項18記載の軟磁性薄膜。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
    i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
    上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
    e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
    たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%で 0≦a≦25 1≦b≦15 0.5≦c≦20 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  20. 【請求項20】 次式で示される組成からなることを特
    徴とする請求項18記載の軟磁性薄膜。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
    または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
    はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
    うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
    e、fは原子%で 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  21. 【請求項21】 非晶質相、あるいは、非晶質相と平均
    結晶粒径40nm以下の微細結晶相との混合状態の軟磁
    性薄膜に対する垂直磁気異方性の導入方法であって、膜
    面に対して起立する方向に延出された柱状体の集合組織
    とし、柱状体の形状異方性により磁区内の自発磁化に垂
    直磁気異方性を導入することを特徴とする軟磁性薄膜に
    対する垂直磁気異方性の導入方法。
  22. 【請求項22】 軟磁性薄膜の内部応力を圧縮応力と
    し、かつ、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性を
    導入することを特徴とする軟磁性薄膜に対する垂直磁気
    異方性の導入方法。
  23. 【請求項23】 軟磁性薄膜の内部応力を引張応力と
    し、かつ、磁歪を負とすることにより垂直磁気異方性を
    導入することを特徴とする軟磁性薄膜に対する垂直磁気
    異方性の導入方法。
  24. 【請求項24】 非晶質相または微細結晶相をFeとC
    oのうち1種または2種とし、柱状体の外部に、平均粒
    径が10nm以下のTi、Zr、Hf、V、Nb、T
    a、Mo、Wのうち、1種または2種以上の元素の炭化
    物、窒化物または硼化物を偏析させてなる集合組織とす
    ることを特徴とする請求項21、22または23記載の
    軟磁性薄膜に対する垂直磁気異方性の導入方法。
  25. 【請求項25】 次式で示される組成からなる軟磁性薄
    膜を用いることを特徴とする請求項24記載の軟磁性薄
    膜に対する垂直磁気異方性の導入方法。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
    i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
    上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
    e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
    たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%で 0≦a≦25 1≦b≦15 0.5≦c≦20 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  26. 【請求項26】 次式で示される組成からなる軟磁性薄
    膜を用いることを特徴とする請求項24記載の軟磁性薄
    膜に対する垂直磁気異方性の導入方法。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
    または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
    はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
    うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
    e、fは原子%で 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  27. 【請求項27】 非晶質相、あるいは、非晶質相と平均
    結晶粒径40nm以下の微細結晶相の混合状態の軟磁性
    薄膜に対する縞状磁区の形成方法であって、膜面に対し
    て起立する方向に延出された柱状体の集合組織として柱
    状体の形状異方性により垂直磁気異方性を導入し、この
    垂直磁気異方性により縞状磁区を形成することを特徴と
    する軟磁性薄膜の縞状磁区の形成方法。
  28. 【請求項28】 軟磁性薄膜の内部応力を圧縮応力と
    し、かつ、磁歪を正とすることにより垂直磁気異方性を
    導入して縞状磁区構造とすることを特徴とする軟磁性薄
    膜の縞状磁区の形成方法。
  29. 【請求項29】 軟磁性薄膜の内部応力を引張応力と
    し、かつ、磁歪を負とすることにより垂直磁気異方性を
    導入して縞状磁区構造とすることを特徴とする軟磁性薄
    膜の縞状磁区の形成方法。
  30. 【請求項30】 非晶質相または微細結晶相をFeとC
    oのうち1種または2種とし、柱状体の外部に、平均粒
    径が10nm以下のTi、Zr、Hf、V、Nb、T
    a、Mo、Wのうち、1種または2種以上の元素の炭化
    物、窒化物または硼化物を偏析させてなる集合組織とす
    ることを特徴とする請求項27、28または29記載の
    軟磁性薄膜の縞状磁区の形成方法。
  31. 【請求項31】 次式で示される組成からなる軟磁性薄
    膜を用いることを特徴とする請求項30記載の軟磁性薄
    膜の縞状磁区の形成方法。 T100-a-b-c-d a b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、XはS
    i、Alのうち1種または2種、MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種または2種以
    上、ZはC、Nのうち1種または2種、QはCr、R
    e、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auのうち1種ま
    たは2種以上を示し、組成比a、b、c、dは原子%で 0≦a≦25 1≦b≦15 0.5≦c≦20 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
  32. 【請求項32】 次式で示される組成からなる軟磁性薄
    膜を用いることを特徴とする請求項30記載の軟磁性薄
    膜の縞状磁区の形成方法。 T100-b-c-d-e-f Sie Alf b c d 但し、TはFe、Coのうち1種または2種、MはT
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち1種
    または2種以上、ZはC、Nのうち1種または2種、Q
    はCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auの
    うち1種または2種以上を示し、組成比b、c、d、
    e、fは原子%で 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10 0≦d≦10 なる関係を満足するものとする。
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