JPH072483A - コンクリート二次製品用吊り具およびそれを使用したコンクリート製u字溝の反転方法 - Google Patents

コンクリート二次製品用吊り具およびそれを使用したコンクリート製u字溝の反転方法

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JPH072483A
JPH072483A JP16605393A JP16605393A JPH072483A JP H072483 A JPH072483 A JP H072483A JP 16605393 A JP16605393 A JP 16605393A JP 16605393 A JP16605393 A JP 16605393A JP H072483 A JPH072483 A JP H072483A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 コンクリート二次製品を、クレーン等で吊り
上げて移動したり、あるいは姿勢を変える際に使用する
吊り具に関し、平伏せ状のコンクリート製U字溝の反転
作業等にも使用可能な新規な構造のコンクリート二次製
品用吊り具と、それを使用したコンクリート製U字溝の
反転方法とを提供する。 【構成】 コンクリート二次製品の長さ以上の長さ寸法
を有する渡し部材1と、相対向状に配される一対の木口
掛止部材2と、少なくとも渡し部材1の長さ以上の長さ
寸法を有し、これら一対の木口掛止部材2に両端部を取
着してなる索条部材3とからなり、渡し部材1に対し、
一対の木口掛止部材2の中の少なくとも何れか一方が、
渡し部材1を案内として摺動自在に組み合わされると共
に、索条部材3適所に吊上げ支点部材32を装着してな
るコンクリート二次製品用吊り具である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】この発明は、コンクリート二次製品、例
えば道路際の側溝用、あるいは圃場等の水路用等として
使用されるコンクリート製U字溝やコンクリート製側溝
蓋、ヒューム管その他のように適宜肉厚を有したものと
して形成される種類のコンクリート二次製品を、クレー
ン等で吊り上げて移動したり、あるいは姿勢を変える際
に使用する吊り具に関するものであり、特に平伏せ状に
置かれてしまったコンクリート製U字溝を、正しい姿勢
に反転し直す作業等に使用することも可能になる新規な
構造のコンクリート二次製品用吊り具と、それを使用し
たコンクリート製U字溝の反転方法とを提供しようとす
るものである。
【0002】
【従来技術】農業振興策の一つとして進められている圃
場基盤整備や、生活環境整備の一環として推進されてい
る道路網整備等、内需拡大政策に絡む土木事業がこのと
ころ非常に活発化している。これら土木事業の一つに、
道路際の側溝の形成工事や圃場等における水路の形成工
事がある。一昔前までであれば、これら側溝や水路の形
成には、現場打ちコンクリート工事も頻繁に採用されて
いたが、今では、殆どの工事が、工場生産されて規格化
したコンクリート二次製品、即ち、コンクリート製U字
溝やヒューム管の据付作業によって実施されるようにな
ってきている。
【0003】その中で、コンクリート製U字溝の据付作
業の場合には、その断面の大小に係わらず、工場生産さ
れてストックヤードから現場に搬入されるまでの間、通
常、U字形断面における開口部側を下にした、所謂平伏
せ状とした状態で保管、移動、搬入等の取り扱いが成さ
れる。これは、これらコンクリート製U字溝の移動のた
めの吊上げ作業が主としてワイヤー掛けによるものであ
って、そのワイヤー掛けのためにはU字溝が反転された
姿勢をとっていなければならない(ワイヤーを溝に掛け
て吊る必要がある)ことと、保管の際の安定性の確保や
U字溝内への異物の堆積防止等の見地から、U字形断面
の開口部は下方を向けておいた方が有利であること等の
理由に起因しているものと思われる。
【0004】こうして、平付せ状にして現場に搬入され
たコンクリート製U字溝は、当然そのままで設置できな
いため、現場作業員が何等かの手段で正常な状態、即
ち、U字形断面における開口部側を上にした状態に復帰
させなければならない。従前までの手段では、この反転
手段として2〜3人の作業者による人力に頼る方法を採
用していたが、何れにしても人手を要して非効率的であ
る上、危険性を伴うという問題があり、また、その部材
重量が100kgを越えるものになると最早2〜3人の力
では無理が掛かり過ぎて実質的に作業ができないことに
なってしまう。
【0005】そのため、略中央辺りにワイヤーを巻き付
け、吊上げ支点が何れかの側壁下端側となるようにして
バックホウ等で吊上げ状として姿勢を変えるか、あるい
は、予め製造段階に吊上げ用の埋め込み金具を両側壁中
央に配置、形成しておき、その埋め込み金具に専用の反
転器を取り付け、同埋め込み金具部分を回転部(製品の
軸に直交する軸を回転軸)として反転作業を実施するよ
うする等、様々な工夫をせざるを得ないことになってし
まうが、ワイヤーを巻き付けるためには、その製品の何
れかの端部を幾らか持ち上げなければならない上に、取
り敢えず巻き付け作業自体が繁雑であること、また、埋
め込み金具を予め埋め込んだ製品として製造すること
も、製品単価上で不利になるばかりではなく、専用の反
転器を必要とする上、回転方向が製品軸に直交する軸の
廻りということとなって回転半径が大きくなり、それだ
け安定性に欠けて必然的に危険性を伴い、作業効率も悪
くなってしまうという欠点を有することになる。
【0006】他方、これらコンクリート製U字溝以外の
コンクリート二次製品、例えばこれらU字溝用のコンク
リート製蓋、あるいはヒューム管等についても、上記し
たような反転操作のような特殊な作業を伴わないまで
も、相当に重量がかさばってしまって人力による操作が
不可能な大型のものも多数取り扱わなければならないこ
と、取り扱いに際しての適当な機械器具が未だ提供され
ていない上、ワイヤー掛けにはバランスが取り難くかっ
たり、掛け外し操作が繁雑すぎて作業性に欠けてしまう
等といった問題を抱えていること等の理由から、これら
製品についても、その移動のための操作が簡単且つ安全
に実施可能な実用性あるものの提供が期待されている。
【0007】そこで、ワイヤ掛けによる作業に代わり、
幾つかの吊り具が提案され、それなりの使用がなされる
ようになってきている。この既に提案されている吊り具
の中、最もポピュラーなものとしてクランプ形式のもの
がある。これは、コンクリート二次製品の肉厚に応じて
バランス良く鋏状のクランプ式吊り具を噛ませ、クレー
ン吊りすることによってその鋏部分が重量に応じた挾着
力を発揮し、簡単には抜け落ちないようにした構造のも
のである。しかし、このクランプ式の吊り具の場合、製
品自重を利用するため、その吊り上げ方向は、その自重
が最も有効に作用する方向、即ち、その軸線が長軸であ
れ、短軸であれ、何れか上下方向に向かう軸線が含まれ
る製品部分を肉厚方向に挾着してしか吊り上げることが
できないという規制があり、製品軸線が水平状あるいは
斜めとなる部分を引っ掛けるようにして吊り上げ、所定
の箇所への設置をし易くするようにする吊り具としては
全く不向きのものであった。
【0008】この発明では、以上のような状況に鑑み、
コンクリート二次製品の上下方向に向かう軸線が含まれ
る製品部分を肉厚方向に挾着して吊り上げるのではな
く、コンクリート二次製品の両端木口であれば何処にで
も嵌合させることができ、嵌合した状態でその木口間を
縮める方向に一対の金具が作用し、コンクリート二次製
品自体の圧縮強度が強靭であることを利用してコンクリ
ート二次製品への嵌合状態を安定させて吊り上げること
ができる吊り具の開発、研究を継続してきた結果、遂に
ここにきてその実現を見るに至ったものであり、その構
成は、以下において詳述するとおりのものである。
【0009】
【発明の構成】後述の図面に示す代表的な実施例からも
明確に把握されるように、この発明は、コンクリート二
次製品の長さ以上の長さ寸法を有し、剛性に富む素材で
形成されてなる渡し部材と、該渡し部材を支持部として
相対向状に配される一対の木口掛止部材と、少なくとも
渡し部材の長さ以上の長さ寸法を有し、これら一対の木
口掛止部材に両端部を取着してなる強靭な索条部材とか
らなり、渡し部材に対し、一対の木口掛止部材の中の少
なくとも何れか一方が、渡し部材端部から所定範囲に亘
って渡し部材を案内としてその軸線に沿う方向に摺動自
在に組み合わされると共に、索条部材の両端間であっ
て、吊り上げ操作中における位置が吊り上げるべきコン
クリート二次製品の長さ範囲内に止どまれる位置に規制
した索条部材適所に吊上げ支点部材を装着してなるコン
クリート二次製品用吊り具をその基本的な構成とするも
のである。
【0010】渡し部材は、鋼管のように軽量で強度ある
素材からなるものが有利であり、その断面も、適宜形状
のものの採用が可能ではあるが、後述の木口掛止部材と
の取り付き具合、即ち、一対の木口掛止部材の渡し部材
に対する向きを規制し、コンクリート二次製品への嵌合
作業時に互いに常に都合良く同一方向を向いた状態を実
現する上で、円形断面以外の断面形状のもの、例えば矩
形断面形のものが採用されるようにすると都合が良い。
その長さは、定尺もののコンクリート二次製品の長さよ
り200〜500mm程度長くして、コンクリート二次製
品両端木口に嵌合する際に木口掛止部材をスライドさせ
ても、それら木口掛止部材が渡し部材から外れてしまわ
ないよう配慮したものとする。
【0011】木口掛止部材は、渡し部材に対してその両
端から嵌合し、該渡し部材を軌道としてその軸線に沿う
方向に自在に摺動可能とする摺動嵌合部と、その下方に
一体的に形成され、コンクリート二次製品木口の肉厚に
応じて同所をくわえたような状態に掛止することのでき
る側面コの字形、L字形等の掛止部とからなり、全体を
鋳物等によって一体成型したものとするか、あるいは、
摺動嵌合部と掛止部とが別体に形成され、後で熔着その
他公知の手段で一体化する等して形成されるようにす
る。これら一対の木口掛止部材は、夫々の掛止部が相対
向状となる如く規制されて、それら各摺動嵌合部によっ
て渡し部材に嵌合し、少なくともそれらの中の何れか一
方は、渡し部材に対して摺動自在となるように組み合わ
されていなければならない。
【0012】索条部材は、ロープあるいはワイア、チェ
ーン等の強靭な素材からなり、少なくとも渡し部材の長
さ以上の長さ寸法を有していなければならず、両端部
が、夫々別々の木口掛止部材に取着されると共に、基本
的にはその中央部に吊上げ支点部材が装着されることに
なるが、コンクリート二次製品を水平ではなく左右のど
ちらかに傾斜させて吊り上げる必要のある場合とか、あ
るいは左右が非対称のコンクリート二次製品を水平状に
取り扱わなければならないような時には、必ずしもこの
吊上げ支点部材は、索条部材の中央部に限定されず、索
条部材の両端間であって、吊り上げ操作中における位置
が吊り上げるべきコンクリート二次製品の長さ範囲内に
止どまれる適宜位置を選択することができる。また、こ
の索条部材は、必ずしも一本の連続したもので形成する
必要はなく、後述する実施例に示すような、場合によっ
ては2本に分割されたものとして、その分割箇所に適宜
リングその他の繋ぎ金具を介在し、その繋ぎ金具を利用
して吊上げ支点部材を装着し得るようにしたり、あるい
は、吊上げ支点部材の下端に形成されているフック部そ
の他索条部材への作用部を、分割した箇所の繋ぎ金具の
役目も兼用させてしまうようにしたりすることも可能で
ある。
【0013】吊上げ支点部材は、フック金具やリング
材、S環等適宜公知の金具であって、バックホーやパワ
ーショベル等から吊下したワイヤ等の吊上げ用索条下端
に接続され、吊下げ位置を決定し、渡し部材の吊上げ姿
勢を決める機能を果たす。以上のとおりの基本的な構成
によって実現されるこの発明の吊り具が対象とするコン
クリート二次製品の種類としては、側溝用あるいは圃場
水路用U字溝製品等、溝部の形成されているコンクリー
ト製品の外、断面L字状の擁壁ブロック、あるいはヒュ
ーム管のような断面円形状のコンクリート製品、あるい
はまた、側溝蓋等の平板状コンクリート製品等について
もその対象となり得る。上記のような構成を基本とする
この発明のコンクリート二次製品用吊り具は、所謂とこ
ろの吊り具としての使用方法の外、次のような特殊な使
用方法がなされることによって、他の従前までの吊り具
と一線を画した特異な機能を発揮することになる。
【0014】
【関連する他の発明】即ち、U字断面において開口部側
を伏せて平置きした平伏せ状態のコンクリート製U字溝
に対し、該コンクリート製U字溝の反転希望方向と反対
側になるコンクリート製U字溝側面に並行する如く渡し
部材を配してから、渡し部材の端部に取着された一方の
木口掛止部材を、コンクリート製U字溝の一方の端部の
地面に近い箇所に嵌合すると共に、渡し部材に対して摺
動自在に組み合わされている他方の木口掛止部材を、同
一側であって、コンクリート製U字溝の他方の端部の地
面に近い箇所に、摺動調整しながら嵌合させ、各木口掛
止部材が予定箇所から外れてしまわないよう配慮した
上、吊上げ支点部材を徐々に上方へと引き上げていき、
木口掛止部材を嵌合させた側のコンクリート製U字溝側
壁が地面から離れ、略コンクリート製U字溝の溝幅程度
に相当する高さ位置辺りまでに上昇すると共に、コンク
リート製U字溝の他方の側壁側が未だ接地状となってい
る段階に、高さ位置を略一定に保ちながら吊上げ支点部
材の位置を希望する反転方向へ徐々に移動していくこと
により、平伏せ状態のコンクリート製U字溝を反転させ
るようにした、請求項1または2記載のコンクリート二
次製品用吊り具を使用したコンクリート製U字溝の反転
方法である。
【0015】上記のような作業工程からなるコンクリー
ト製U字溝の反転方法が採用される場面は、製造工場や
販売店等のストックヤードから現場に搬入され、平伏せ
状とされている多数のコンクリート製U字溝を、現場の
設置箇所の側近まで個々のコンクリート製U字溝を平伏
せ状のままで吊り上げて移動させ、略設計図どおりの配
置となる如くして平伏せ状に並べた後、夫々の位置のコ
ンクリート製U字溝を、その位置において正常な姿勢で
ある溝が上を向いた状態となるように直す作業段階にお
いてである。
【0016】この反転方法に至る前の段階、現場に持ち
込まれた平伏せ状の多数のコンクリート製U字溝を、現
場の設置箇所の側近まで吊り上げ移動する作業段階で
は、上記したこの発明のコンクリート二次製品用吊り具
は、正に従前までの吊り具と同様に、所謂ところの吊り
具として機能するものであるから、したがって、この発
明のコンクリート二次製品用吊り具は、結局それ自体で
吊上げ、移動、反転、設置までの全ての作業を分担でき
てしてしまうことになる。以下、図面に示すこの発明を
代表するコンクリート二次製品用吊り具と、それを使用
したコンクリート製U字溝の反転方法とについて、それ
らの技術的思想を理解する上での一助とするために、夫
々の構成を具体的に説明することとする。
【0017】
【実施例1】先ず、コンクリート二次製品用吊り具の具
体例が、図1の吊り具全体の斜視図、および図2の一部
を分解して示す要部拡大正面図に示されている。渡し部
材1は、コンクリート二次製品Cの長さが、通常180
0mmあるいは2000mmであることから、例えば25
00mm程度の長さ寸法を有する断面角型の鋼管パイプか
ら形成されている。
【0018】木口掛止部材2は、上方が上記した渡し部
材1に摺動自在に嵌合し得る角型中空の摺動嵌合部21
に形成されると共に、その下方には、側面コの字形の掛
止部22が、そのコの字の開口方向を角型中空の摺動嵌
合部21の中空方向に向く状態となし、一方のフランジ
部分を摺動嵌合部21の下面に熔着一体化され、また、
摺動嵌合部21の上面には、後述する索条部材3の一端
を取着するための通孔23aの形成された吊上げ突片2
3が、これまた熔着一体化された構造からなる。掛止部
22のコの字形の開口巾(上下フランジ部分間の距離、
即ち、ウエブ巾)は、コンクリート二次製品Cの種類に
よっても異なるが、ある程度の厚さの違いにも対応でき
るようやや大きめの、例えば150mm前後程の寸法のも
のに形成され、コンクリート二次製品Cの木口を余裕を
持ってくわえたような状態の掛止ができるようにする。
【0019】一対の木口掛止部材2,2の中の一方の木
口掛止部材2は、その掛止部22のコの字形の開口方向
が渡し部材1の他方端側となるようにして摺動嵌合部2
1を渡し部材1の一方の端部に嵌合し、その端部に熔着
一体化してしまう。これに対し、一対の木口掛止部材
2,2の中の他方の木口掛止部材2は、渡し部材1の他
方の端部からその摺動嵌合部21を嵌合させる。その
際、掛止部22のコの字形の開口方向が、先の木口掛止
部2のそれと相対向状となる如く規制されていなければ
ならないと共に、この木口係止部材2だけは、渡し部材
1に対して摺動自在となるように組み合わされていなけ
ればならない。
【0020】なお、この摺動自在の状態で嵌合された渡
し部材1は、渡し部材1の全長に亘って移動可能のまま
としておくと、この器具自体を単独で吊り上げる際に、
もう一方の木口係止部材2の所まで移動してしまって、
コンクリート二次製品Cの木口にこの掛止部22を嵌合
させる際に、大きく摺動させてこなければならないこと
となって取り扱いに不便を来してしまうことと、それ自
体を単独で吊り上げたときに、渡し部材1を水平状にし
て取り扱うこともできなくなるため、この実施例では、
摺動自在とした木口掛止部材2の渡し部材1端部からの
摺動巾が所定範囲内に規制されるよう、規制突片11が
予め渡し部材1に形成されたものとしてある。
【0021】索条部材3は、等長の2本のワイヤー材で
あって、その合計の長さが約渡し部材1の全長の1.5
倍程度となるものであり、夫々の一方の端部には、図2
に示されているように、木口掛止部材2,2の各吊上げ
突片23,23に形成されている通孔23a,23aに
夫々脱着自在に取着できるシャックルのような脱着金具
31,31が装着されると共に、他端は、共通の吊下げ
リングからなる吊上げ支点部材32に取着された構造か
ら形成されていて、該吊上げ支点部材32を、バックホ
ウその他の吊上げ装置の吊上げフック(特に図示せず)
等で掛止すれば、常に索条部材3の中央を吊上げること
が可能となり、その結果、吊上げ対象のコンクリート二
次製品Cを略水平状にして取り扱うことができることに
なる。
【0022】したがって、吊上げ対象のコンクリート二
次製品Cを水平以外の特殊な状態で吊上げる必要がある
場合には、この実施例における吊下げリングの位置を中
央以外の適当な位置に決定することによって実現される
ことになる。但し、その場合の吊上げ支点部材32の位
置、即ち、木口掛止部材2,2の何れか吊上げ突片23
からの距離が長い方の索条部材3の長さが、渡し部材1
の全長を越えてしまわない範囲に限定されていないと、
吊り上げようとする際に、吊上げ支点部材32から吊上
げ突片23までの長さの短い方の索条部材3の端部に接
続されている木口掛止部材2が、コンクリート二次製品
Cの木口から簡単に離脱してしまうことから、この吊上
げ支点部材32の組合せ位置は、索条部材3の両端間で
あって、吊り上げ操作中における位置が吊り上げるべき
コンクリート二次製品Cの長さ範囲内に止どまれる位置
に規制した索条部材3適所でなければならない。
【0023】
【実施例2】以上のような構成からなるコンクリート二
次製品用吊り具は、コンクリート二次製品を吊り上げて
所望する箇所まで簡単且つ安全に移動することを可能に
するという最も一般的な吊り具としての使用方法の外、
以下のような特殊な目的での使用も可能であり、この特
殊な使用方法を可能にしている構成もこの発明のコンク
リート二次製品用吊り具の大きな特徴の一つといえるこ
とから、この発明の基本をなすコンクリート二次製品用
吊り具に関連する発明としてこの発明が包含するコンク
リート二次製品用吊り具を使用したコンクリート製U字
溝の反転方法を、次に図面と共に具体的に説示すること
とする。
【0024】製造工場のストックヤードや搬入された工
事現場等で、U字断面において開口部側を伏せて平置き
した、図3に示す平伏せ状態のコンクリート製U字溝C
1に対し、吊上げ装置(図示せず)によって吊下げ状と
されたこの発明の吊り具を、図4の状態から補助作業者
が図5の如く、該コンクリート製U字溝C1の反転希望
方向と反対側になるコンクリート製U字溝C1の側面に
並行するように渡し部材1を誘導し、先ず、渡し部材1
の端部に摺動自在もしくは取着されてなる一方の木口掛
止部材2を、コンクリート製U字溝C1側壁の一方の木
口側端部の地面Gに近い箇所に先ず嵌合する。
【0025】続いて、補助作業者Pは、渡し部材1に対
して摺動自在に組み合わされている他方の木口掛止部材
2を、先の木口係止部材2を嵌合した側壁と同一の側壁
の他方の木口側端部の地面に近い箇所に、摺動調整しな
がら嵌合させ、両方の木口掛止部材2,2が、共に同一
の側壁各木口側端部に嵌合した状態を実現する。この状
態を維持して、即ち一時的に補助作業者Pが渡し部材1
と一方の木口掛止部材2を手で支えて各木口掛止部材
2,2がコンクリート製U字溝C1側壁の所定箇所から
外れてしまわないよう配慮した上、吊上げ支点部材32
を徐々に上方へと引き上げていき、図6の状態から図7
の状態へと移行させ、尚も徐々に引き上げて図8に示す
状態に移っていく。
【0026】この後、場所を移動する必要のある場合に
は、更に吊上げて図9の状態で移動することになる。最
初に据え置かれた場所から移動することなくそのまま作
業を続行する際には、図9の状態までコンクリート製U
字溝C1を吊り上げることなく、木口嵌合部材2,2を
嵌合させた側のコンクリート製U字溝C1側壁の長て方
向端部(両木口側端部でない側壁端部)が地面Gから離
れ、略コンクリート製U字溝C1の溝幅程度に相当する
高さ位置辺りまでに上昇すると共に、コンクリート製U
字溝C1の他方の側壁側が未だ接地状となっている段階
に、高さ位置を略一定に保ちながら吊上げ支点部材32
の位置を希望する反転方向(図中では左方向)へ徐々に
移動操作していく。
【0027】すると、該コンクリート製U字溝C1は、
未だ接地状としたままの他方の側壁の長て方向端部を回
動中心として自然に回動して、U字断面における開口部
側を反転希望側とは反対側に開口させた図10のような
横置き状態となり、木口掛止部材2,2を嵌合させた側
壁が上方に略水平状になるから、引き続き図11の如く
尚も反転希望方向に吊上げ支点部材32の位置を移動操
作させると、U字断面における開口部側が正しく上方を
向いた図12に示すとおりの希望する状態の置き方に起
き直すことができ、平伏せ状態のコンクリート製U字溝
C1の反転作業を完了することになり、上記したこの発
明のコンクリート二次製品用吊り具を使用したコンクリ
ート製U字溝の反転方法を完成するものである。
【0028】
【作用効果】以上のような構成からなるこの発明のコン
クリート二次製品用吊り具は、軸方向圧縮耐力に秀れた
属性を利用し、索条部材を、その吊上げ支点部材におい
て上方に引き上げていくことにより、その両端の木口掛
止部材が渡し部材に規制されてその軸線方向に摺動せざ
るを得ず、その結果、各木口掛止部材は、互いに向き合
う方向に強く引き付けられる状態となり、コンクリート
二次製品の両木口に対し、軸線方向への圧縮外力となっ
て作用し、該木口面と木口掛止部材との間に強大な摩擦
力を発生させ、各木口掛止部材のコンクリート二次製品
木口所定箇所からの位置のズレが生じないよう機能し
て、最終的にコンクリート二次製品を簡便且つ確実に吊
り上げることを可能にするものである。
【0029】特に、実施例1に示す構造としたもので
は、木口掛止部材2,2の中の一方が、渡し部材1に対
して取着されていて摺動できない構造のものに形成され
ていて、他方の木口掛止部材2のみが渡し部材1に対し
て摺動する構成を採用していることから、先ず、摺動を
規制されている木口掛止部材2をコンクリート二次製品
Cの一方の木口側端部へ嵌合させて渡し部材1を引っ張
りながら他方の木口掛止部材2を他方のコンクリート二
次製品木口側端部に嵌合させ、両方の木口掛止部材2,
2ともコンクリート二次製品木口側端部に嵌合状に保持
した状態を、一人の補助作業者によって実現しながら、
索条部材3の吊上げ支点部材32における上方への引き
上げ作業の実施が可能になり、吊上げ装置の操作員と補
助作業者の二人だけという効率的且つ安全な吊上げ作業
を可能にするという秀れた特徴を発揮し得るものとな
る。
【0030】一方、この発明のコンクリート二次製品用
吊り具を使用したコンクリート二次製品の反転方法によ
れば、それまで作業者数人掛りでなければ平伏せ状に置
かれてしまったコンクリート二次製品の姿勢を反転させ
て正常な状態に戻すことができなかった作業を、吊上げ
装置の操作をするオペレーター1人に、補助作業員1
人、それもこの補助作業員には技術的な熟練度を殆ど必
要としないことから、場合によっては女性作業員でも十
分対応可能であって、しかも、その作業内容も極めて安
全、確実に実施されるものであり、特にコンクリートU
字溝の据付作業については、最近の労働安全基準の見直
しによって、バックホーによる物の吊上げ作業が認めら
れることになったことも手伝って、溝切り作業から基盤
形成、コンクリートU字溝の移動、そして据え付け可能
な溝の側でのコンクリートU字溝の姿勢反転、据え付け
までを極めて円滑且つ迅速に施工することを可能にする
という大きな特徴を発揮することになり、この目的だけ
からでも多くの施工業者に採用され、大いにその威力を
発揮するものとなることが予想される。
【0031】叙上の如く、この発明のコンクリート二次
製品用吊り具およびそれを使用したコンクリート二次製
品の反転方法は、従前までのものに比較し、取扱操作性
の点は勿論のこと、経済性や製造上の点においても秀れ
た効果を奏するものであって、コンクリート二次製品の
設置作業を安全且つ効率的に実施する上で大いに威力を
発揮するものとなる。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明を代表するものの中の1実施例を示す
に過ぎない。図1は、コンクリート二次製品用吊り具の
全体斜視図である。図2は、その一部を分解した状態で
示す要部拡大斜視図である。図3は、反転方法を説明す
るために必要となる平伏せ状にしたコンクリート二次製
品の断面図である。図4以下図12までは、反転作業工
程を説明する工程図である。る正面図である。
【符号の説明】
1 渡し部材 11 同突片 2 木口掛止部材 21 同摺動嵌合部 22 同掛止部 23 同吊上げ突片 23a 同通孔 3 索条部材 31 同脱着部材 32 同吊上げ支点部材 C コンクリート二次製品 C1 同コンクリート製U字溝 G 地盤 P 補助作業者。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】 ゑ渡し部材
  1. 【請求項1】 コンクリート二次製品の長さ以上の長さ
    寸法を有し、剛性に富む素材で形成されてなる渡し部材
    と、該渡し部材を装着部として相対向状に配される一対
    の木口掛止部材と、少なくとも渡し部材の長さ以上の長
    さ寸法を有し、これら一対の木口掛止部材に両端部を取
    着してなる強靭な索条部材とからなり、渡し部材に対
    し、一対の木口掛止部材の中の少なくとも何れか一方
    が、渡し部材端部から所定範囲に亘って渡し部材を案内
    としてその軸線に沿う方向に摺動自在に組み合わされる
    と共に、索条部材の両端間であって、吊り上げ操作中に
    おける位置が吊り上げるべきコンクリート二次製品の長
    さ範囲内に止どまれる位置に規制した索条部材適所に吊
    上げ支点部材を装着してなるコンクリート二次製品用吊
    り具。
  2. 【請求項2】 コンクリート二次製品の長さ以上の長さ
    寸法を有し、剛性に富む鋼管製の渡し部材と、該渡し部
    材を支持部として相対向状に配される一対の木口掛止部
    材と、全長が少なくとも渡し部材の長さ以上の長さとな
    り、これら一対の木口掛止部材に各端部を取着してなる
    強靭な2本のワイヤー材とからなり、一対の木口掛止部
    材の中、一方の木口掛止部材は、渡し部材の端部に取着
    され、他方の木口掛止部材は、渡し部材を案内としてそ
    の軸線に沿う方向に摺動自在に組み合わされると共に、
    2本のワイヤー材の木口掛止部材に取着されていない端
    部間にリング状の吊上げ支点部材を介在して成るコンク
    リート二次製品用吊り具。
  3. 【請求項3】 U字断面において開口部側を伏せて平置
    きした平伏せ状態のコンクリート製U字溝に対し、該コ
    ンクリート製U字溝の反転希望方向と反対側になるコン
    クリート製U字溝側面に並行する如く渡し部材を配して
    から、渡し部材の端部に摺動自在もしくは取着された一
    方の木口掛止部材を、コンクリート製U字溝側壁の一方
    の木口側端部の地面に近い箇所に嵌合すると共に、渡し
    部材に対して摺動自在に組み合わされている他方の木口
    掛止部材を、先の木口掛止部材を嵌合させた側壁と同一
    の側壁の他方の木口側端部の地面に近い箇所に、摺動調
    整しながら嵌合させ、各木口掛止部材が所定箇所から外
    れてしまわないよう配慮した上、吊上げ支点部材を徐々
    に上方へと引き上げていき、木口嵌合部材を嵌合させた
    側のコンクリート製U字溝側壁が地面から離れ、略コン
    クリート製U字溝の溝幅程度に相当する高さ位置辺りま
    でに上昇すると共に、コンクリート製U字溝の他方の側
    壁側が未だ接地状となっている段階に、高さ位置を略一
    定に保ちながら吊上げ支点部材の位置を希望する反転方
    向へ徐々に移動していくことにより、平伏せ状態のコン
    クリート製U字溝を反転させるようにした、請求項1ま
    たは2記載のコンクリート二次製品用吊り具を使用した
    コンクリート製U字溝の反転方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007031133A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Daido Steel Co Ltd 吊り具
JP2017133232A (ja) * 2016-01-28 2017-08-03 日鉄住金鋼板株式会社 パネル吊り具
CN108483225A (zh) * 2018-04-11 2018-09-04 海亮(安徽)铜业有限公司 铜板的炉口预处理用吊具及其使用方法
JP2021147127A (ja) * 2020-03-17 2021-09-27 株式会社高長建設 コンクリート製品の吊り上げ装置

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