JPH0724579B2 - 新規微生物 - Google Patents

新規微生物

Info

Publication number
JPH0724579B2
JPH0724579B2 JP20789891A JP20789891A JPH0724579B2 JP H0724579 B2 JPH0724579 B2 JP H0724579B2 JP 20789891 A JP20789891 A JP 20789891A JP 20789891 A JP20789891 A JP 20789891A JP H0724579 B2 JPH0724579 B2 JP H0724579B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carboxylic acid
medium
strain
dihydroxy
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP20789891A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0538283A (ja
Inventor
尚夫 岡崎
正夫 黒田
誠吾 岩藤
順 吉川
利明 岩井
国雄 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
Priority to JP20789891A priority Critical patent/JPH0724579B2/ja
Publication of JPH0538283A publication Critical patent/JPH0538283A/ja
Publication of JPH0724579B2 publication Critical patent/JPH0724579B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は式
【0002】
【化1】
【0003】を有するカルボン酸、その薬理上許容しう
る塩、そのエステルまたはその閉環ラクトン体からなる
ML-236B 誘導体を、例えば式
【0004】
【化2】
【0005】を有するカルボン酸、その薬理上許容しう
る塩、そのエステルまたはその閉環ラクトン体(以下、
「3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B 誘導体」と総称
する。)に変換しうる水酸化能力を有する新規微生物に
関する。
【0006】
【従来の技術】従来、前記一般式(I)を有するML-236
B 誘導体を水酸化してその誘導体に変換するストレプト
ミセス属に属する微生物としてはストレプトミセス ロ
ゼオクロモゲナスが知られている(特開昭57-50894
号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、例えば
ML-236B 誘導体を 3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236
B 誘導体に変換しうる水酸化能力を有する新規微生物を
見出すとともに 3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B
誘導体がいずれもコレステロール合成阻害作用を示すこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0008】本発明の前記一般式(II)を有する化合物
の薬理上許容しうる塩としては例えば金属塩、アミノ酸
塩またはアミン塩である。金属塩としては例えばナトリ
ウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マ
グネシウムなどのアルカリ土類金属塩、およびアルミニ
ウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩およびコバル
ト塩などがあげられるが、この中、アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩およびアルミニウム塩が好適であり、
さらにナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩および
アルミニウム塩が最も好適である。アミノ酸塩としては
例えばアルギニン、リジン、ヒスチジン、α,γ−ジア
ミノ酪酸、オルニチンなどの塩基性アミノ酸が好適であ
る。アミノ塩としては例えばt−オクチルアミン、ジベ
ンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、
D−フェニルグリシンアルキルエステル、D−グルコサ
ミンなどが好適である。
【0009】前記一般式(II)を有する化合物のエステ
ルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルなどのアルキル
エステルをあげることができる。好適にはメチルであ
る。
【0010】前記一般式(II)を有する化合物の閉環ラ
クトン体とは、式(II)が次の閉環構造式で示される化
合物をいう。
【0011】
【化3】
【0012】本発明によって得られる 3 ”,6 ’−ジ
ヒドロキシ−ML-236B 誘導体としては、例えば以下に記
載する化合物をあげることができる。
【0013】 1)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸 2)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸ナ
トリウム塩 3)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸カ
リウム塩 4)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸カ
ルシウム塩 5)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸ア
ルミニウム塩 6)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸ア
ルギニン塩 7)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸リ
ジン塩 8)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸t
−オクチルアミン塩 9)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸D
−フェニルグリシンエチルエステル塩 10)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸
メチルエステル 11)3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B ラクトン
体。
【0014】前記一般式(II)においては、置換分の配
置により種々の幾何異性体が存在する。また、不斉炭素
原子の存在により種々の光学異性体も存在する。前記一
般式(II)においては、これらの異性体およびこれらの
異性体の混合物がすべて単一の式で示されている。従っ
て、本発明においては、前記一般式(II)を有するカル
ボン酸、その薬理上許容しうる塩、そのエステルまたは
その閉環ラクトン体には、これらの異性体のみならず、
これらの異性体の混合物をも全て含むものである。
【0015】3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B 誘導
体は、コレステロールの合成を阻害することにより血中
の脂質を低下させる作用を有し、例えば高脂血症治療
剤、動脈硬化予防薬として医薬に使用することができ
る。
【0016】これらの化合物は経口的または非経口的に
例えばカプセル剤、錠剤、注射剤等の形で投与すること
ができる。投与量は年令、症状、体重等によって異なる
が、通常は成人に対し 1 日約 0.2〜200 mg を 3〜4
回に分けて投与される。しかし必要に応じてそれ以上の
量を使用することもできる。
【0017】本発明の原料物質である例えばML-236B ラ
クトン体およびML-236B カルボン酸は前述の如く既知物
質であり、青カビの一種ペニシリウム チトリヌムの代
謝産物より分離、精製される。その化学構造式は次式
【0018】
【化4】
【0019】および
【0020】
【化5】
【0021】で示される通りであり、実験動物から分離
した酵素系や培養細胞系においてコレステロールの生合
成をその律速酵素の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタ
リル・コエンザイムAリダクターゼと競合することによ
り阻害し、動物の個体レベルにおいても強力な血清コレ
ステロールの低下作用を示すことが知られている(特開
昭50-155690 号;アセロスクレロシス(Atherosclerosi
s)、32 巻、307 〜313頁、1979年)。
【0022】
【課題を解決しようとする手段】本発明の新規微生物は
例えば式
【0023】
【化6】
【0024】を有するカルボン酸、その薬理上許容しう
る塩、そのエステルまたはその閉環ラクトン体からなる
ML-236B 誘導体を、水酸化して 3 ”,6 ’−ジヒドロ
キシ−ML-236B 誘導体に変換せしめうる水酸化能力を有
する。このような新規微生物としてはストレプトミセス
属に属する微生物があげられる。
【0025】これらに属する微生物の中、特にストレプ
トミセス エスピー(Streptomycec sp.)SANK 62585
(微工研条寄第1145号(FERM BP-1145) )が好適であ
る。
【0026】ストレプトミセス エスピー SANK 62585
株の菌学的性状は次の通りである。 1.形態学的特徴 形態はISP[インターナショナル・ストレプトマイセ
ス・プロジェクト(International Streptomyces Proje
ct)]規定の培地上、 28 ℃、14 日間培養後、顕微鏡
下で観察した。SANK 62585 株の基生菌糸は分枝して良
く伸長し、気菌糸は単純分枝である。
【0027】SANK 62585 株の胞子鎖の形態は通常直状
〜曲状であるが螺旋状を示す場合もある。胞子鎖の表面
構造は平滑(smooth)を示す。また気菌糸の車軸分枝、
菌核、基生菌糸の断裂、胞子のうなどの特殊器官は観察
されなかった。
【0028】2.各種培養基上の諸特性 各種培養基上で 28 ℃、14 日間培養後の性状は表1に
示す通りである。色調の表示は日本色彩研究所版、“標
準色票”のカラーチップ・ナンバーを表わす。
【0029】
【表1】
【0030】3.生理学的性質 SANK 62585 株の生理学的性質は表2に示す通りであ
る。
【0031】
【表2】 SANK 62585 株の性状 ────────────────────────── 澱粉の水解 陽性 ゼラチンの液化 陰性 硝酸塩の還元 陽性 ミルクの凝固 陽性 ミルクのペプトン化 陽性 生育温度範囲(培地1)* 4 〜45 ℃ 生育適正範囲(培地1) 15 〜35 ℃ メラニン様色素生産地(培地2) 陰性 (培地3) 疑陽性** (培地4) 陰性 ────────────────────────── *:培地1;イーストエキス:麦芽エキス寒天(ISP2) 2;トリプトン・イーストエキス・ブロス(ISP1) 3;ペプトン・イーストエキス・鉄寒天(ISP6) 4;チロシン寒天(ISP7) **:培養後期にメラニン様色素が生産される場合もあ
る。
【0032】また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地を
使用して、 14 日間培養後の炭素源、即ちD−グルコー
ス、L−アラビノース、D−キシロース、イノシトー
ル、D−マンニトール、D−フルクトース、L−ラムノ
ース、シュクロース、ラフイノース、セロビオース、ト
レハロースの資化性を調べた。SANK 62585 株は炭素源
無添加の対照培地でも良好に生育がみられるため、正確
な資化性を記述することは困難である。しかしながら、
D−グルコース、D−キシロース、イノシトール、ラフ
イノース、セロビオース、トレハロース添加培地では無
添加対照培地に比べ著しく良好な生育が見られた。
【0033】4.菌体成分について SANK 62585 株の細胞壁はビー・ベッカーらの方法[B.
Becker et al.,アプライド・マイクロバイオロジー(Ap
plied Microbiology)、12 巻、421 〜423 頁,1964
年]に従い検討した結果、L,L−ジアミノピメリン酸
およびグリシンが検出されたことから、細胞壁タイプI
であることが確認された。また、SANK 62585株の全細胞
中の糖成分をエム・ピー・レシェバリエの方法[M.P.Le
chevalier,ジャーナル・オブ・ラボラトリィ・アンド・
クリニカル・メディシン(Journalof Laboratory and C
linical Medicine )、71巻、934 頁、1968年]に従い
検討した結果、特徴的なパターンは認められなかった。
以上のことから、本菌株は放線菌の中でもストレプトミ
セス属に属することが判明した。
【0034】なお、SANK 62585 株の同定はISP[ジ
・インターナショナル・ストレプトマイセス・プロジェ
クト(The International Streptomyces Project)]基
準:バージーズ・マニュアル(Bergey's Manual of Det
erminative Bacteriology)第 8 版;エス・エイ・ワッ
クスマン(S.A.Waksman)著 ジ・アクチノミセイテス
(The Actinomycetes)第 2 巻および放線菌に関する最
近の文献によって行った。
【0035】その結果、本菌株は既知ストレプトミセス
属のいずれの種にも該当しなかったため同属の新種であ
ると判断し、ストレプトミセス カルボフィルス(Stre
ptomyces carbophilus )SANK 62585(寄託機関、工業技
術院微生物工業技術研究所:寄託番号、微工研条寄第11
45号(FERM BP-1145):原寄託日、1985年 9月 5日)と
命名した。
【0036】次に本発明の新菌株の土壌よりの分離方法
について述べる。本発明の新菌株は常法によって分離さ
れる。すなわち、オーストラリアのキャンベラ市より採
集した土壌をあらかじめ用意した滅菌水で適宜希釈した
後、下記に示す組成からなる分離用寒天培地TA上に塗
抹し、28 ℃にて 10 日間培養することにより出現して
くる放線菌のコロニーの中から、この菌株を分離するこ
とができる。
【0037】 TA培地 トレハロース 10 g L−アスパラギン 1 g K2 HPO4 0.5 g ISP微量塩溶液 1 g ナイスタチン 0.025 g 寒天 20 g 蒸留水 1000 ml ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ pH 7.0 。
【0038】本発明の新菌種と分離するに際し使用され
る培地としては炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機
栄養源等より選択されたものを適量含有する培地であれ
ば合成または天然培地のいずれでも使用可能である。
【0039】以上、SANK 62585株について説明したが、
放線菌の諸性質は一定したものでなく、自然的、人工的
に容易に変化することは周知のとおりであり、本発明の
菌株はストレプトミセス カルボフィルスに属し、ML-2
36B 誘導体を 3 ”,6 ’−ジヒドロキシ−ML-236B 誘
導体に変換し得る菌株すべてを包含するものである。
【0040】本発明の新規微生物を用いて実施するに際
して、酵素的に水酸化する方法としては、変換菌をその
生育に適した培養条件下で培養し、a)原料化合物を培
地中に添加して接触させる方法、b)変換菌を培養・集
菌し、得られた変換菌菌体を原料化合物と接触させる方
法、およびc)変換菌菌体から調製した無細胞抽出液を
原料化合物と接触させる方法などが採用される。
【0041】変換菌の培養方法としては、通常微生物が
利用しうる栄養物を含有する培地で培養することができ
る。栄養源としては一般微生物培養に利用される公知の
ものが使用できる。例えば炭素源としてグルコース、シ
ュークロース、澱粉、グリセリン、水飴、糖蜜、大豆油
等を使用しうる。また窒素源としては大豆粉、小麦胚
芽、肉エキス、ペプトン、コーンスチープリカー、乾燥
酵母、硫酸アンモニウム等を使用しうる。その他必要に
応じて食塩、塩化カリ、炭酸カルシウム、燐酸塩等の無
機塩のほか、菌の発育を助け、前記水酸化能を有する酵
素の生産促進に必要な添加物を適宜組合せ使用すること
ができる。培養方法としては微生物一般に用いられる培
養法、例えば液体培養法が可能であり、工業的には深部
培養法が適している。
【0042】培養は好気的条件で行なわれ、培養温度は
20 〜37 ℃、好適には 26 〜35℃である。
【0043】a)法は、原料化合物を添加し培養するこ
とによって行なわれる。添加時期は、使用する変換菌の
至適培養条件、特に培養装置、培地組成、培養温度等に
より異なるが、変換菌の水酸化能が高まりはじめる時期
がよく、通常は変換菌の培養開始後 1〜3 日経過した時
点が好ましい。原料化合物の添加量は培地に対し0.01〜
5.0 %の範囲から選ばれるが、0.05〜2.0 %の範囲が好
適である。原料化合物添加後の培養は好気的条件で上記
培養温度で行なわれる。培養期間は原料化合物の添加後
3〜5 日である。
【0044】b)法は、上記の方法により変換菌を少量
の基質の存在下で培養し、変換菌の水酸化能が最大とな
るまで培養する。即ち、水酸化能は培地の種類、温度等
によって異なるが、通常は培養開始後 4〜5 日で最大と
なるので、この時点で培養を終了する。集菌は培養物を
遠心分離、濾過等の方法に付すことによって行なわれ
る。集菌された変換菌菌体は通常生理食塩水、緩衝液等
で洗浄して使用するのが好ましい。
【0045】このようにして得られた変換菌菌体を原料
化合物と接触させるには、通常は水性媒体中、例えば p
H 5 〜9 の燐酸塩緩衝液中で行なわれる。反応温度は 2
0 〜45 ℃、好適には 25 〜35 ℃である。原料化合物
の濃度は通常 0.01 〜5.0 %の範囲から選ばれる。反応
時間は原料化合物の濃度、反応温度等によるが、通常1
〜5 日位である。
【0046】c)法での無細胞抽出液は、上記の方法で
得られた変換菌菌体に物理的または化学的手段を適用
し、例えば磨砕、超音波処理等によって菌体破壊物とし
て、または界面活性剤、酵素処理等によって菌体溶解液
として得られる。このようにして得られた無細胞抽出液
を原料化合物と接触させる方法は、上記の変換菌菌体を
原料化合物と接触させる方法と同様に行なわれる。
【0047】変換反応終了後、目的化合物は生成物から
既知の方法で直接採取、分離、精製することができる。
例えば生成物を濾過し、得られた濾液を酢酸エチルのよ
うな水と混和しにくい有機溶媒で抽出し、抽出液から溶
媒を留去させたのち、得られた粗目的化合物をシリカゲ
ル、アルミナ等を用いたカラムクロマトグラフに付し、
適切な溶離剤で溶出することによって、分離、精製する
ことができる。
【0048】さらに、得られた生成物は所望により、化
学的常法に従って加水分解反応、塩形成反応、エステル
化反応またはラクトン化反応に付すことによって目的化
合物に変え、容易に採取することができる。
【0049】これらの方法はいずれも常法であり、例え
ば次のような方法である。式(II)を有するカルボン酸
は、変換反応の生成物がカルボン酸塩である場合、得ら
れた濾液を pH 4 以下、好ましくは pH 3 〜4 に調整す
ることによって得られる。使用される酸としては目的化
合物に影響を与えるものでなければ有機酸または鉱酸等
に限定はなく、例えばトリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸な
どが好適に使用される。
【0050】このようにして得られたカルボン酸は、抽
出、洗浄、脱水等の処理をした後、以下の反応に使用す
ることができる。
【0051】式(II)を有するカルボン酸の金属塩は、
該金属の水酸化物、炭酸塩等を水性溶媒中で上記カルボ
ン酸と接触させることによって得られる。使用される水
性溶媒としては例えば水;メタノール、エタノールのよ
うなアルコール類、アセトン、n−ヘキサン、酢酸エチ
ルなどの有機溶媒と水との混合溶媒が好適である。特に
親水性有機溶媒と水との混合溶媒が好適である。反応は
通常室温付近で好適に行なわれるが、必要に応じて加熱
下で行ってもよい。
【0052】式(II)を有するカルボン酸のアミン塩
は、アミンを水性溶媒中で上記カルボン酸と接触させる
ことによって得られる。使用される水性溶媒としては例
えば水;メタノール、エタノールなどのアルコール類、
テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル
などのニトリル類と水との混合溶媒等をあげることがで
きるが、好ましくは含水アセトンである。反応は通常 p
H7 〜8.5 で室温以下、特に 5〜10 ℃で好適に行なわ
れる。反応は瞬時に完了する。あるいは例えば上記で得
られたカルボン酸金属塩を水性溶媒に溶解し、次いで目
的のアミンの鉱酸塩(例えば塩酸塩など)を上記条件下
で添加し、塩交換反応により得ることもできる。
【0053】式(II)を有するカルボン酸のアミノ酸塩
は、アミノ酸を水性溶媒中で上記カルボン酸と接触させ
ることによって得られる。使用される水性溶媒としては
例えば水;メタノール、エタノールなどのアルコール
類、テトラヒドロフランなどのエーテル類と水との混合
溶媒等をあげることができる。反応は通常加熱下、好ま
しくは 50 〜60 ℃付近で行なわれる。
【0054】式(II)を有するカルボン酸のアルキルエ
ステルは、上記で得られたカルボン酸をアルコールと接
触させることによって得られる。この際、触媒として塩
酸、硫酸などの鉱酸あるいはフッ化ホウ素、酸性イオン
交換樹脂などが用いられ、溶媒としては同一のアルコー
ルまたはベンゼン、クロロホルム、エーテル等反応に関
与しないものが使用される。あるいは、上記で得られた
カルボン酸をジアゾアルカンと接触させることによって
得られる。反応は通常ジアゾアルカンのエーテル溶液と
接触させることによって行なわれる。あるいは、上記で
得られたカルボン酸の金属塩にハロゲン化アルキルを接
触させることによって得られる。使用される溶媒として
は例えばジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、
ジメチルスルホキシド、アセトンなどが好適である。反
応はいずれも室温付近で好適に行なわれるが、反応系の
種類によっては必要に応じて加熱下で行なってもよい。
【0055】式(II)を有するカルボン酸のラクトン体
は、上記で得られたカルボン酸を触媒量の酸と接触させ
ることによって得られる。使用される酸としては、例え
ばトリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸などの有機酸または鉱
酸が好適である。反応は通常室温付近で好適に行なわれ
る。
【0056】さらに、このようにして得られた目的化合
物を原料として、上記の化学的常法に従って、他の目的
化合物に変えることもできる。
【0057】このようにして得られた 3 ”,6 ’−ジ
ヒドロキシ−ML-236B 誘導体は種々の方法を適宜組合わ
せることによって採取、分離、精製することができる。
例えば活性炭、シリカゲル等の各種担体を用いる吸着ま
たはイオン交換クロマト、あるいはセファデックスカラ
ムによるゲル濾過、エーテル、酢酸エチル、クロロホル
ムなどの有機溶媒を用いての抽出などにより行なわれ
る。
【0058】特に異性体の分離は、変換反応終了後、ま
たは所望工程の終了後の適切な時期に上記の分離精製手
段により行うことができる。
【0059】
【実施例】次に実施例および参考例を示すが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0060】実施例1.新菌種ストレプトミセス カル
ボフィルスの分離 オーストラリアのキャンベラ市より採取した土壌および
土壌付着植物片 1 gを 9 ml の滅菌水に懸濁し、ミキサ
ーで充分撹拌した後、約 30 分間放置した。このように
して得られた土壌懸濁液上清 1 ml を 1000 倍希釈した
後、その上清0.05 ml を下記に示す組成からなる分離用
寒天培地TA上に滅菌コンラージ棒を用いて塗抹した。
これらの寒天培地は 28 ℃ にて 10 日間培養した。
【0061】 分離用寒天培地TAの組成 トレハロース 10 g L−アスパラギン 1 g K2 HPO4 0.5 g ISP微量塩溶液 1 g ナイスタチン 0.025 g 寒天 20 g 蒸留水 1000 ml ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ pH 7.0 。
【0062】ストレプトミセス カルボフィルス(Stre
ptomycescarbophilus)SANK 62585(微工研条寄第1145
号(FERM BP-1145))は上記のようにして調製したTA
寒天培地上に出現したコロニーからイースト麦芽寒天
(ISP2)の斜面培地に接種し、28 ℃ にて 14 日間培
養したものであった。なお、本菌株はモノコロニー処理
等により単一菌株であることを確認した。また、上記の
ごとく純粋培養された菌株は分散剤として 10 % スキ
ムミルクを用いて作った凍結乾燥アンプルとして保存で
きる。
【0063】参考例1.3 ”α,6 ’β−ジヒドロキシ
−ML-236B カルボン酸ナトリウム塩(B物質)および
3 ”β,6 ’β−ジヒドロキシ−ML-236B カルボン酸ナ
トリウム塩(A物質)
【0064】
【化7】
【0065】下記組成の培地 100 ml を含有する 500 m
l容三角フラスコ 20 本にストレプトミセス カルボフ
ィルス SANK 62585 菌株を植菌し、27〜28 ℃、220 r.
p.m.で振盪培養した。 2 日後、ML-236B カルボン酸ナ
トリウム塩を最終濃度で0.05%になるように添加して、
更に 5 日間 27 〜28 ℃、220 r.p.m.で培養した。
【0066】培地組成 グルコース 2.0 % ペプトン 1.0 イーストエキス 0.1 水道水 残(pH 7.0 )。
【0067】培養終了後、変換反応液を濾過し、濾液を
苛性ソーダで pH 8.5 に調整した。次いで、濾液をハ
イポーラスポリマーHP-20 の 600 ml を充填したカラム
に付し、水 3600 mlで洗ったのち、20 % v/v メタノ
ール 1200 ml で溶出を行なった。
【0068】溶出液を減圧濃縮後、凍結乾燥し、固形物
720 mg が得られた。この固形物を分取用液体クロマト
グラフィー(使用カラムSSC-ODS-2942, φ 30 mm×250
mm)に付し、30 % v/v メタノールを展開溶媒として
くり返し溶出を行ない、最初に溶出するA物質、次いで
溶出するB物質が得られた。ここで得られた2 物質は
それぞれ減圧濃縮後、凍結乾燥して純粋のA物質 45 mg
およびB物質 38 mgが得られた。
【0069】以下、A物質およびB物質の物性値は次の
通りである。 1)分子式:C23H35O8Na 2)分子量:FAB-MS法による実測の結果、A物質および
B物質のいずれも 463(M+H )+ および 485 (M +Na)+
であった。 3)高速液体クロマトグラフィー:以下の条件でA物質
は4.833 分、B物質は5.5 分の保持時間を有する。 カラム;内径約 6 mm 、長さ約 10 cm のERC-ODS-1262
(エルマー光学(株)社製) 移動相;メタノール:水:氷酢酸:トリエチルアミン(5
00: 500:1 :1) カラム温度; 40 ℃ 流量; 1.0 ml /分 検出器; UV 238 nm 4)ガスクロマトグラフィー:以下の条件でB物質は 2
4.563 分、A物質は 25.475 分の保持時間を有する。 カラム;内径約 0.2 mm 、長さ約 25 m 、膜厚 0.33 μ
m の化学結合型メチルシリコン(ヒューレット・パッカ
ード社製、ULTRA #1) カラム温度; 約 280 ℃ 試料気化室及び検出器温度;約 300 ℃ キャリアーガス;ヘリウム 2.0ml/分 検出器;水素炎イオン化検出器
【0070】
【発明の効果】
試験例1.コレステロール合成阻害作用 3 ”,6 ’β−ジヒドロキシ−ML-236B 誘導体はコレス
テロール合成経路上の律速酵素として知られる3−ヒド
ロキシ−3−メチルグルタリル・コエンザイムAリダク
ターゼ(3−hydroxy −3−methyl−gluaryl −Co A r
eductase)を特異的に阻害することが分った。これらの
化合物のコレステロール合成阻害作用[ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、
234 巻、2835頁(1959年)記載の方法で測定]を表3に
示す。
【0071】
【表3】 コレステロール合成を50%阻害する濃度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ μg/ml ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A物質 0.0018 B物質 0.024 ML-236B ラクトン体(対照) 0.010 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/42 C12R 1:465) (C12P 7/62 C12R 1:465) (C12P 17/06 C12R 1:465) (72)発明者 吉川 順 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 岩井 利明 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 中野 国雄 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄黄味オレンジ〜薄味茶〜明るいオリー
    ブ灰の基生菌糸上に灰味白〜明るいオリーブ灰〜薄黄味
    オレンジの気菌糸を着生し、胞子鎖が直状〜曲状、まれ
    に螺旋状、で胞子表面が平滑であり、プリドハム・ゴッ
    トリーブの炭素源無添加対照培地上でも良好に生育し、
    その能力として水酸化能を有する新菌種ストレプトミセ
    ス カルボフィルス。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス カルボフィルスがス
    トレプトミセス カルボフィルス SANK 62585(微工研条
    寄第1145号)である[請求項1]記載の新菌株。
JP20789891A 1991-08-20 1991-08-20 新規微生物 Expired - Lifetime JPH0724579B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20789891A JPH0724579B2 (ja) 1991-08-20 1991-08-20 新規微生物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20789891A JPH0724579B2 (ja) 1991-08-20 1991-08-20 新規微生物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23422786A Division JPS62190094A (ja) 1985-10-08 1986-10-01 3”,6’−ジヒドロキシ−ml−236b誘導体及びその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0538283A JPH0538283A (ja) 1993-02-19
JPH0724579B2 true JPH0724579B2 (ja) 1995-03-22

Family

ID=16547404

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20789891A Expired - Lifetime JPH0724579B2 (ja) 1991-08-20 1991-08-20 新規微生物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0724579B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003093046A (ja) * 2001-09-26 2003-04-02 Godo Shusei Co Ltd 有用変換微生物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003093046A (ja) * 2001-09-26 2003-04-02 Godo Shusei Co Ltd 有用変換微生物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0538283A (ja) 1993-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR880002483B1 (ko) 3-히드록시-ml-236b 유도체의 제조방법
JPH0371419B2 (ja)
JPS6253158B2 (ja)
EP0215665B1 (en) Hydroxy-ml-236b derivatives, their preparation and use
CZ2002119A3 (cs) Způsob hydroxylace kompaktinu na pravastatin za použití mikromonospor
JP3854866B2 (ja) ミコフェノール酸およびその誘導体の製造方法
JP2003528576A5 (ja)
BG105778A (bg) Микробиален метод за получаване на правастатин
JPH0115491B2 (ja)
JPH07102128B2 (ja) ストレプトミセス・サンダエンシスの生物学的純粋培養物
JPH0724579B2 (ja) 新規微生物
US5272174A (en) Hydroxy-ML-236B derivatives, their preparation and use
US5079232A (en) Compound ks-505 useful for improving cerebral function
CA2012074A1 (en) Ws7622a, b, c and d substances, derivatives thereof, processes for preparation thereof and use thereof
HU221854B1 (hu) Koleszterin bioszintézisét gátló oktahidro-naftalin-oxim-származékok, eljárás előállításukra és ilyen vegyületeket tartalmazó gyógyászati készítmények
JP4380913B2 (ja) 新規ft−0554物質及びその製造法
JPH0366297B2 (ja)
JP3806856B2 (ja) A−1211物質
JP2971204B2 (ja) 新規物質wk−2955およびその製造法
RU2252258C2 (ru) Микробный способ получения правастатина
JPS62190094A (ja) 3”,6’−ジヒドロキシ−ml−236b誘導体及びその製法
JP3209791B2 (ja) オキサゾリン誘導体及びその製造法
KR0122427B1 (ko) 아미노펩티데이스 m 저해물질, 그의 제조방법 및 그를 생성하는 미생물
JPH04243894A (ja) 新規q−6402化合物およびその製造法
JPH0525150A (ja) 新規デカレストリクチン類および関連化合物、それらの製造方法およびそれらの使用

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term