JPH07244206A - 光学デバイス用材料・光学デバイス・光学デバイス製造方法 - Google Patents

光学デバイス用材料・光学デバイス・光学デバイス製造方法

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JPH07244206A
JPH07244206A JP14677494A JP14677494A JPH07244206A JP H07244206 A JPH07244206 A JP H07244206A JP 14677494 A JP14677494 A JP 14677494A JP 14677494 A JP14677494 A JP 14677494A JP H07244206 A JPH07244206 A JP H07244206A
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concave curved
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昌仙 佐藤
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和博 梅木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】所望の深さや曲率を持った光学デバイスを容易
且つ確実に製造する。 【構成】デバイス材料10の表面上に形成された非熱変
形性の感光性材料21の層にパターニングを行い、3次
元のレリーフ状パターンを形成し、感光性材料21と親
和性の良い熱可塑性材料22を塗布し、レリーフ状パタ
ーンの凹部に充填し、熱処理を行って上記充填された熱
可塑性材料22を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状2
3を創成し、熱処理工程後の感光性材料21・熱可塑性
材料22およびデバイス材料10に対し、異方性のエッ
チングを行うことにより、上記1以上の凹曲面形状23
をデバイス材料10に彫り写し、デバイス材料に所望の
凹曲面形状を1以上形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光学デバイス用材料
・光学デバイス・光学デバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】凹曲面形状を持つ新規な光学デバイス製
造方法として、「光学材料の表面に形成されたフォトレ
ジストの膜に、中央から周辺へ向かって光強度が減少も
しくは増大する光強度分布による露光を行い、露光され
たフォトレジスト部分もしくは露光されなかったフォト
レジスト部分を除去することにより、フォトレジスト表
面に凹曲面形状を形成し、次いで、フォトレジストの膜
及び光学材料に対してエッチングを行うことによって、
上記フォトレジスト表面の凹曲面形状に対応した凹曲面
形状を光学材料表面に形成する方法」が知られている
(特開平5−173003号公報:第11欄第17〜2
0行、図3、第13欄第21〜25行)。
【0003】この方法は、有効な方法であるが、露光で
きるフォトレジストの膜の厚みにはおのずと制限があ
り、このため、光学材料に形成される凹曲面の深さにも
制限があり、必ずしも「所望」の凹曲面を持った光学デ
バイスの製造は容易でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述した事
情に鑑みてなされたものであって、所望の深さや曲率を
有する新規な光学デバイスの提供を目的とする(請求項
12,18)。
【0005】この発明の別の目的は、形成する凹曲面
の、深さや曲率に対する自由度が大きく、所望の深さや
曲率を持った光学デバイスを容易且つ確実に製造できる
新規な光学デバイス製造方法を提供することである(請
求項1〜11,15〜17)。
【0006】この発明の他の目的は、上記光学デバイス
製造方法の実施に用いる新規な光学デバイス用材料の提
供にある(請求項13,14)。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の光学デバイス
製造方法(請求項1〜11)は、「所望の凹曲面形状を
1以上有する光学デバイスを製造する方法」である。
「凹曲面形状」は、例えば、透明なデバイス材料に形成
された場合には、負のパワーを持った屈折面として利用
出来、この場合、光学デバイスは凹レンズもしくはマイ
クロ凹レンズ、あるいは凹レンズアレイもしくはマイク
ロ凹レンズアレイ(凹曲面の数が2以上の場合)として
利用できる。
【0008】また、1以上の凹曲面形状を形成された光
学デバイスは、これを凸曲面形成用の「母型」として用
いることができ、あるいは、凹曲面部分に反射膜を形成
することにより、凹面鏡もしくはマイクロ凹面鏡、ある
いは凹面鏡アレイもしくはマイクロ凹面鏡アレイとして
利用することができる。
【0009】請求項1記載の光学デバイス製造方法は、
転写工程と、エッチング工程とを有する。「転写工程」
は、デバイス材料に形成するべき所望の凹曲面形状に対
応する凸曲面形状を1以上有する母型を用い、上記1以
上の凸曲面形状を転写材の表面に転写し、上記母型の凸
曲面形状に応じた1以上の凹曲面形状を表面形状として
持つ転写材の層を、デバイス材料の表面上に形成する工
程である。「エッチング工程」は、転写材およびデバイ
ス材料に対して異方性のドライエッチングを行い、上記
1以上の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイ
ス材料に所望の凹曲面を1以上形成する工程である。
【0010】上記「転写材」は、母型の持つ1以上の凸
曲面形状に従って変形し、母型の分離後、変形状態を維
持でき、異方性のエッチングが可能なものであれば何で
も良い。転写材として好適なものとして、紫外線硬化樹
脂等の各種「光硬化性材料」を挙げることができる。光
硬化性材料は「光に反応する反応促進剤を内部に有し、
光が照射されるとラジカルを発生する物質によって硬化
反応が進行する構成物質からなる有機高分子材料」であ
り、この中には、光を照射することによって硬化反応が
進行するものも含まれる。
【0011】光硬化性樹脂を転写材として用いる場合
は、転写工程において、転写材に光照射しつつ、母型か
ら1以上の凸曲面の転写を行うことができる(請求項
2)。この場合、硬化用の光を照射できるためには、母
型およびデバイス材料のうちの、少なくとも一方は、照
射光に対して透明である必要があり、これらのうちの透
明なものを介して硬化用の光を照射する。
【0012】転写材として好適なものの他の例として
は、「熱硬化性材料もしくは熱可塑性材料」を挙げるこ
とができる。熱硬化性材料は「硬化温度以上の温度で、
熱により高分子材料の橋かけ反応が進行し、加熱時の形
状がそのまま保持される有機高分子材料」である。熱可
塑性材料は「加熱により変形可能な状態となり、加熱を
停止することにより変形状態を維持することができ、ド
ライエッチングの可能なもの」であれば何でも良く、各
種レジストや、「光感光性のラジカル発生剤が添加され
ていない有機材料」を用いることが出来る。レジストと
しては、公知のフォトレジストを用いても良い。
【0013】熱可塑性材料の具体的な例としては、ポリ
塩化ビニル,ポリスチレン,ポリウレタンやポリグリシ
ジルメタクリレ−ト樹脂等のメタクリレ−ト類を挙げる
ことが出来る。
【0014】これら熱硬化性材料もしくは熱可塑性材料
を転写材として用いる場合には、転写工程において、転
写材を加熱しつつ、母型の1以上の凸曲面の転写を行う
ことができる(請求項3)。
【0015】この場合、熱硬化性材料の転写材の場合
は、当初は変形可能な状態であり、母型の凸曲面形状に
応じて変形させた後、もしくは変形させつつ加熱により
硬化させて変形状態を固定する。
【0016】また、熱可塑性材料の転写材の場合には、
当初、固体状態である転写材に母型の凸曲面形状を押圧
しつつ転写材を加熱し、軟化状態で凸曲面形状を転写
し、その後、加熱を停止して変形状態を固定する。転写
材が上述のフォトレジストである場合には、上記加熱が
所謂「プリベーク」に相当する。
【0017】上記請求項1〜3記載の光学デバイス製造
方法では、転写工程の最後は「母型と転写材の層との剥
離」であるが、この剥離を容易にするため、母型の表面
に、真空蒸着による金属化合物材料や有機フッ素化合物
のように、表面で分子間力の大きな物質からなる材料で
構成される物質層を形成したり、あるいは、フッ素化合
物ガスを導入した雰囲気条件下で母型表面をプラズマ処
理し、表面をフッ素化して表面での接触角度の大きな状
態に処理する等の「表面処理」を行った母型を利用する
ことができる。
【0018】あるいはまた、上記「剥離」の際に、母型
と転写材の層との間に「温度差」を与え、所謂「ヒート
ショック」を利用して剥離を行っても良い。
【0019】「母型」は、アルミニウムや銅、ステンレ
ス等の各種金属や石英や合成石英等を材料として形成す
ることができる。母型の表面に形成される1以上の凸曲
面形状の形成方法としては、例えば、前述の特開平5−
173003号公報の請求項16に記載された方法、即
ち、「母型材料の表面上に形成された概ね平滑な上端面
を有するフォトレジスト膜に、フォトリソグラフィ法に
よってパターンを形成して円柱状または楕円柱状のフォ
トレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜を熱処理
して、このフォトレジスト膜の概ね平坦な上端面を凸曲
面に変形させ、母型材料の表面および前記変形したフォ
トレジスト膜をエッチングして、フォトレジスト膜の前
記凸曲面に類似した少なくとも1つの凸曲面形状を母型
材料の表面に形成する方法」を利用できる。この方法
は、母型の凸曲面形状の曲率半径が比較的に大きい場合
に有効である。
【0020】あるいは、「母型材料の表面に可塑性材料
(熱可塑性材料を含む)の所望の厚さの層を形成し、こ
の可塑性材料層の上に直接、もしくは厚さ2000〜1
0000ÅのSiや金属の中間層を介して、フォトレジ
ストの薄層を形成し、この薄層に凸曲面形状の端面形状
をフォトリソグラフィによりパターニングし、パターニ
ングされたフォトレジストの薄層をマスクとして、異方
性のエッチングを行って、上記可塑性材料層に上記端面
形状に対応する3次元のレリーフ状パターンを形成し、
次いで、レリーフ状パターンに対して、熱及び/または
圧力を作用させて、可塑性材料層の表面を凸曲面化し、
しかるのちに異方性のエッチングを行って、凸曲面化し
た可塑性材料の表面形状を母型材料に彫り写すことによ
り、1以上の凸曲面形状を母型材料の表面に形成する方
法」を利用することもできる。この方法は、凸曲面形状
の曲率半径が小さい場合にも有効である。
【0021】なお、母型に形成された1以上の個々の凸
曲面形状の平面的な形、即ち、凸曲面形状を母型表面に
直交する方向から見た形状は、円形、楕円形、多角形、
長方形、スリット状等、種々の形状が可能である。
【0022】また、転写工程を実行するに際しては、予
め、デバイス材料上に転写材の層を形成したものに母型
を押し当てて転写を行っても良いし、母型の凸曲面形状
の形成された面に流動性の転写材を塗布し、転写材を硬
化後、デバイス材料上に転写材を固定しても良く、ある
いは上述の如く流動性の転写材の塗布後、転写材を母型
とデバイス材料で挾持した状態で硬化を行っても良い。
さらには、母型とデバイス材料とを近接対向させ、両者
の間隙に、流動性の転写材を流し込み、もしくは注入し
てから硬化させてもよい。
【0023】請求項4記載の光学デバイス製造方法は、
パターニング工程と、充填工程と、熱処理工程と、エッ
チング工程とを有する。「パターニング工程」は、デバ
イス材料の表面上に形成された「非熱変形性の感光性材
料」の層にパターニングを行い、上記1以上の凹曲面形
状のパターンに相当する部分の感光性材料が除去された
3次元のレリーフ状パターンを形成する工程である。
【0024】「非熱変形性の感光性材料」は、露光によ
るパターニングが可能な感光性材料のうちで、350度
程度以上の高温度に加熱しても熱変形しないものであ
り、具体的には、高温耐熱性の高いポリイミド系の感光
性材料を挙げることができる。ポリイミド系の感光性材
料は、「光照射された部分で光透過率が上昇する」性質
を持つため、デバイス材料上に厚い層に形成しても、厚
み方向全域に渡って露光を行うことができる。
【0025】「充填工程」は、上記レリーフ状パターン
に、「感光性材料と親和性の良い熱可塑性材料」を塗布
し、レリーフ状パターンの凹部に充填する工程である。
「熱処理工程」は、充填工程後に熱処理を行い、充填さ
れた熱可塑性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状
を創成する工程である。「エッチング工程」は、熱処理
工程後の感光性材料・熱可塑性材料およびデバイス材料
に対し、異方性のエッチングを行うことにより、上記1
以上の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイス
材料に所望の凹曲面形状を1以上形成する工程である。
【0026】請求項5記載の光学デバイス製造方法は、
パターニング工程と、第1エッチング工程と、充填工程
と、熱処理工程と、エッチング工程とを有する。「パタ
ーニング工程」は、デバイス材料の表面上に形成された
感光性材料の薄層にパターニングを行い、上記1以上の
凹曲面形状のパターンに相当する部分の感光性材料が除
去されたパターンを形成する工程である。
【0027】「第1エッチング工程」は、感光性材料に
よるパターンとデバイス材料に対して異方性のエッチン
グを行って、デバイス材料に上記パターンに応じた3次
元のレリーフ状パターンを形成する工程である。「充填
工程」は、デバイス材料に形成されたレリーフ状パター
ンに、デバイス材料と親和性の良い熱可塑性材料を塗布
し、レリーフ状パターンの凹部に充填する工程である。
「熱処理工程」は、充填工程後に熱処理を行い、充填さ
れた熱可塑性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状
を創成する工程である。
【0028】「エッチング工程」は、熱処理工程後の熱
可塑性材料およびデバイス材料に対し、異方性のエッチ
ングを行うことにより、1以上の凹曲面形状をデバイス
材料に彫り写し、デバイス材料に所望の凹曲面形状を1
以上形成する工程である。
【0029】請求項6記載の光学デバイス製造方法は、
パターニング工程と、第1および第2エッチング工程
と、充填工程と、熱処理工程と、エッチング工程とを有
する。
【0030】「パターニング工程」は、デバイス材料の
表面上に、「中間層」を介して形成された感光性材料の
薄層にパターニングを行い、上記1以上の凹曲面形状の
パターンに相当する部分の感光性材料が除去されたパタ
ーンを形成する工程である。
【0031】「中間層」は、Si等の非金属や、Al,
Cu等の金属による2000〜10000Åの厚さの層
で、蒸着やスパッタリングにより形成される。
【0032】「第1エッチング工程」は、感光性材料に
よるパターンと中間層とに対して異方性のエッチングを
行い、上記パターンを中間層に彫り写す工程である。こ
の第1エッチング工程は、中間層が、Si等の非金属に
よるもの(厚さは2000〜5000Åが好適である)
あるいは、ある種の反応性ガスでドライエッチングされ
るMo,Al等の金属材料によるものであるときはドラ
イエッチングで行うことができ、中間層が、ドライエッ
チングできない金属によるもの(厚さは2000〜10
000Åが好適である)であるときには、ウエットエッ
チングにより行う。中間層は層厚が極めて薄いので、エ
ッチングは異方性でも等方性でもよい。
【0033】「第2エッチング工程」は、パターンを彫
り写された中間層をマスクとしてデバイス材料に対する
異方性エッチングを行い、3次元のレリーフ状パターン
をデバイス材料に形成する工程である。「充填工程」
は、中間層とデバイス材料に形成されたレリーフ状パタ
ーンに、少なくともデバイス材料と親和性の良い熱可塑
性材料を塗布し、レリーフ状パターンの凹部に充填する
工程である。
【0034】「熱処理工程」は、充填工程後に熱処理を
行い、充填された熱可塑性材料を熱変形せしめて1以上
の凹曲面形状を創成する工程である。
【0035】「エッチング工程」は、熱処理工程後の中
間層と熱可塑性材料およびデバイス材料に対し、異方性
のエッチングを行うことにより、上記1以上の凹曲面形
状をデバイス材料に彫り写し、デバイス材料に所望の凹
曲面形状を1以上形成する工程である。
【0036】上記請求項5および6記載の発明における
「感光性材料」は、フォトリソグラフィによるパターニ
ングが可能なものであれば何でも良く、公知の各種フォ
トレジストを使用できる。
【0037】また、感光性材料の「薄層」の厚さは、パ
ターニング工程により形成されるパターンの断面形状が
「ダレた」形状とならず、きちんとした方形状のパター
ンを形成できる厚さであり、1μm以下、好ましくは
0.5μm以下である。
【0038】請求項6記載の光学デバイス製造方法にお
いては、熱処理工程後に「中間層を除去する工程」を設
けることが出来る(請求項7)。
【0039】また、前記請求項4〜7記載の光学デバイ
ス製造方法においては、「エッチング工程後、充填工程
からエッチング工程までを繰り返して行い、その際に、
少なくとも充填工程と熱処理工程とを1回以上の所望回
数行う」ことができる(請求項8)。
【0040】即ち、請求項4〜7記載の光学デバイス製
造方法における、エッチング工程後、さらに充填工程か
らエッチング工程までを繰り返して行うが、「充填工程
と熱処理工程と」を1連の工程として所望回数繰り返し
たのち、最後にエッチング工程を実行しても良いし、
「充填工程からエッチング工程まで」を1連の工程とし
て複数回繰り返しても良い。
【0041】また、請求項1〜8記載の光学デバイス製
造方法においては、「エッチング工程における選択比
を、連続的および/または段階的に変化させることによ
り、デバイス材料に形成される1以上の凹曲面形状を非
球面とする」ことができる(請求項9)。
【0042】上に説明した、請求項1〜9記載の光学デ
バイス製造方法において用いられる「デバイス材料」は
エッチングが可能なものであれば特に制限無く使用する
ことができ、石英や合成石英、BK−7等の各種ガラス
等、あるいはNd:YAG,Nd:YAB,Nd:YV
4,Nd:YLiF4等、特開平173003号公報第
7欄第30〜33行開示により公知の、各種レーザー材
料、KNbO3、KTiOPO4等の非線形物質等、或い
は各種結晶等の透明な材料を用いることが出来ることは
言うまでもないが、デバイス材料として、「金属材料も
しくはセラミックス材料」を用いることもでき(請求項
10)、この場合、製造された光学デバイスは、前述の
ように「凸曲面形成用の母型」として使用できる。
【0043】また、上記請求項1〜9記載の光学デバイ
ス製造方法においては、デバイス材料として、「透明な
基体の表面に、上記基体と屈折率の異なる材料による凹
曲面形成層が所望の厚さに形成されたもの」を用い、1
以上の所望の凹曲面形状を凹曲面形成層に形成してもよ
い(請求項11)。このように、デバイス材料は、透明
な基体と凹曲面形成層とにより複合的に構成されること
ができる。
【0044】請求項12記載の光学デバイスは、上記請
求項1〜11記載の何れかの方法により製造される光学
デバイス自体である。
【0045】請求項13記載の「光学デバイス用材料」
は、デバイス材料の表面上に、非熱変形性の感光性材料
層の薄層が形成されたものであり、請求項4記載の光学
デバイス製造方法に使用される。
【0046】また、請求項14記載の「光学デバイス用
材料」は、デバイス材料の表面上に、所望の厚さの中間
層と感光性材料層の薄層とが、デバイス材料表面側から
上記順序に積層形成され、請求項6記載の光学デバイス
製造方法に使用される。この場合も、「デバイス材料」
自体は、透明な材料のみならず、請求項10記載の発明
におけるように、金属やセラミックス材料によるもので
もよいし、請求項11記載の発明におけるように、複合
的な構成のものであってもよい。
【0047】また請求項4〜11記載の光学デバイス製
造方法において用いられる「熱可塑性材料」は、充填さ
れる相手型に対する親和性を有することを条件として、
請求項3記載の発明に使用される前述の熱可塑性材料の
うちから適宜のものを選択して使用することができる。
【0048】また、請求項1〜9記載の発明におけるエ
ッチング工程で行うエッチングは「ECRプラズマエッ
チング」が好適である。
【0049】請求項15記載の光学デバイス製造方法
は、所望の凹曲面形状としての「凹球面形状」を1以上
有する光学デバイスの製造方法であり、転写工程と、面
形状補正工程と、エッチング工程とを有する。
【0050】「転写工程」は、所望の「凹球面」形状に
対応する凸球面形状を1以上有する母型を用いて1以上
の「凸球面」形状を転写材の表面に転写し、母型の凸球
面形状に応じた1以上の凹曲面形状を表面形状として持
つ転写材の層を、デバイス材料の表面上に形成する工程
である。
【0051】「面形状補正工程」は、転写工程後の転写
材の層の表面に、「転写材と同成分の流動性材質」のス
ピナーによる塗布と固化とを1回以上行って、転写工程
により形成された凹曲面形状を凹球面形状に近付ける工
程である。
【0052】「エッチング工程」は、転写材およびデバ
イス材料に対し、「目的形状とする所望の凹球面形状に
応じて選択比を調整し」つつドライエッチングを行い、
「面形状補正工程により凹球面形状に近付けられた1以
上の凹球面形状」をデバイス材料に彫り写し、デバイス
材料に上記所望の凹球面形状を1以上形成する工程であ
る。
【0053】請求項16記載の光学デバイス製造方法
は、所望の凹曲面形状としての「凹球面形状」を1以上
有する光学デバイスの製造方法であり、パターニング工
程と、第1エッチング工程と、充填工程と、熱処理工程
と、面形状補正工程と、エッチング工程とを有する。
【0054】「パターニング工程」は、デバイス材料の
表面上に形成された感光性材料の薄層にパターニングを
行い、1以上の凹球面形状のパターンに相当する部分の
感光性材料が除去されたパターンを形成する工程であ
る。
【0055】「第1エッチング工程」は、感光性材料に
よるパターンとデバイス材料に対してドライエッチング
を行って、上記パターンに応じた3次元のレリーフ状パ
ターンをデバイス材料に形成する工程である。
【0056】「充填工程」は、デバイス材料に形成され
た3次元のレリーフ状パターンに、デバイス材料と親和
性の良い流動性の熱可塑性材料をスピナー塗布し、レリ
ーフ状パターンの凹部に充填する工程である。
【0057】「熱処理工程」は、充填工程後に熱処理を
行い、充填された熱可塑性材料を熱変形せしめて1以上
の凹曲面形状を創成する工程である。
【0058】「面形状補正工程」は、熱処理工程後に、
上記流動性の熱可塑性材料のスピナー塗布と、熱処理と
を1回以上行い、創成される凹曲面形状を所望の凹球面
形状に近付ける工程である。
【0059】「エッチング工程」は、面形状補正工程後
の熱可塑性材料およびデバイス材料に対し、ドライエッ
チングを行うことにより、上記1以上の凹球面形状(面
形状補正工程により補正された面形状)をデバイス材料
に彫り写し、デバイス材料に所望の凹球面形状を1以上
形成する工程である。
【0060】上記請求項15または16記載の光学デバ
イス製造方法における「面形状補正工程」において、
「流動性材質」もしくは「熱可塑性材料」のスピナー塗
布を複数回行い、流動性材質もしくは熱可塑性材料の
「流動性と塗布条件」を、塗布ごとに調整することがで
きる(請求項17)。
【0061】請求項15〜17記載の光学デバイス製造
方法におけるデバイス材料も、請求項1〜9記載の発明
において用いられるデバイス材料と同様に、ドライエッ
チングが可能なものであれば特に制限無く用いることが
できる。
【0062】請求項18記載の光学デバイスは、上記請
求項15〜17記載の光学デバイス製造方法の任意の1
により製造される光学デバイスである。
【0063】
【作用】図1を参照して、請求項1記載の発明を説明す
る。図1(a)において、符号10はデバイス材料を示
す。デバイス材料10の平坦な表面に、所望の厚さに転
写材11の層が形成されている。この例では、転写材1
1は光硬化性材料である「紫外線硬化樹脂」であり、図
1(a)の状態において「軟質状態」である。
【0064】図1(b)において、符号12は、母型を
示している。母型12は、この例において、前述の合成
石英等の透明な材料で形成され、その表面には、デバイ
ス材料10に形成すべき凹曲面形状に対応する1以上の
凸曲面形状19が形成されている。
【0065】(b)〜(c)に示すように、転写材11
の層の表面に、母型12の凸曲面形状19を有する面を
押しつける。このとき、転写材11の層は「軟質状態」
であるので、その表面は、母型12の表面の1以上の凸
曲面形状19に従って変形する。
【0066】この状態で、(c)に示すように、母型1
2を介して紫外線U.Vを照射し、転写材11を硬化さ
せる。転写材11が硬化したら母型12を分離する
(d)。このとき前述のように、母型12と転写材11
とに温度差を与え、「ヒートショック」を利用すると、
分離を容易に行うことができる。
【0067】あるいはまた、デバイス材料10を透明材
料とし、硬化のための紫外線照射をデバイス材料10を
介して行うようにする場合には、母型12の表面に、前
述の金属薄膜等の離型膜を形成したり、離型処理を施し
たりすることができる。
【0068】図1の(a)〜(d)が「転写工程」であ
る。転写材が「熱硬化性樹脂」の場合には、加熱によっ
て硬化させることはいうまでもない。また、転写材が
「熱可塑性材料」である場合には、加熱により転写材を
軟化させつつ、母型12を押圧して表面形状を転写す
る。
【0069】図1では、転写材11をデバイス材料10
上に形成しているが、後述する実施例のように、母型1
2上に転写材11を形成し、これにデバイス材料10を
密着させても良い。このようにすると、気泡を取り除く
「脱泡」が容易と成る利点がある。
【0070】転写工程後は、図1(d)に示すように、
転写材11の表面に、母型12の表面の1以上の凸曲面
形状19に対応する1以上の凹曲面形状が形成されてい
る。そこで、この状態から、異方性のエッチングを、転
写材11とデバイス材料10とに行い、転写材11の表
面の1以上の凹曲面形状をデバイス材料10に彫り写す
エッチング工程を実行すると、図1(e)に示すよう
に、所望の凹曲面形状を1以上有する光学デバイスを得
ることができる。
【0071】このエッチング工程の際、転写材11に対
するエッチング速度と、デバイス材料10に対するエッ
チング速度の比、即ち、選択比を1とすれば、母型12
の表面の凸曲面形状19にそのまま対応する凹曲面形状
をデバイス材料10に彫り写すことができ、選択比を1
より小さく(大きく)することにより、デバイス材料1
0に形成される凹曲面形状の曲率半径を大きく(小さ
く)することができる。また、母型12の凸曲面形状が
凸球面形状の場合、エッチング工程の際に、選択比を連
続的および/または段階的に変化させることにより、デ
バイス材料10に彫り写される凹曲面形状を「非球面
化」することができる(請求項9)。
【0072】図2を参照して、請求項4記載の発明を説
明する。繁雑を避けるため、混同の虞れが無いと思われ
るものについては、図2以下においても、図1における
と同一の符号を用いる。
【0073】図2(a)において、デバイス材料10の
平坦な表面に、所望の厚さに非熱変形性の感光性材料2
1が積層されている。この構成が、請求項13記載の
「光学デバイス用材料」の基本的な構成である。
【0074】(a)に示すように、所望の凹曲面形状の
配列パターンに対応するマスク100を用いて感光性材
料21の露光を行い、感光性材料21の「光照射された
部分」を除去すると、(b)に示すように、感光性材料
21の層がパターニングされ、凹曲面形状のパターンに
相当する部分が除去された3次元のレリーフ状パターン
が得られる。この3次元のレリーフ状パターンは、厚み
方向に直交する任意の断面形状が表面の形状と同一の形
状を有している。
【0075】パタ−ニング工程後、図2(c)に示すよ
うに、熱可塑性材料22を、上記3次元のレリーフ状パ
ターンに塗布し、図2(c)に示すようにレリーフ状パ
ターンの凹部に充填する(充填工程)。
【0076】熱可塑性材料は、感光性材料21とは基本
成分が全く異なる構成からなり、熱処理すると熱変形す
る材料であって、尚且つ、感光性材料21と親和性が良
い。熱可塑性樹脂22の塗布は、フォトリソグラフィ−
法と同様の方法で行うことができる。
【0077】次いで、加熱による熱処理を行う(熱処理
工程)。熱可塑性材料22は加熱により流動性を帯び、
感光性材料21との親和性、表面張力、重力の作用等に
よって変形し、図2(d)に示すような凹曲面状態23
が表面形状としてとして創成される。
【0078】もし、感光性材料21が「非熱変形性」で
ないと、上記熱処理工程の際に、感光性材料21自体も
熱変形するため、熱可塑性材料22の表面に創成される
凹曲面形状23の形状精度が低下し、結果的に、所望の
凹曲面形状をデバイス材料10に精度良く形成すること
ができなくなってしまうが、請求項4記載の発明では上
記のように感光性材料21として「非熱変形性」のもの
を用いるので、熱処理工程の際に、感光性材料21のレ
リーフ状パターンは変形せず、従って、精度の良い凹曲
面形状をデバイス材料10に形成することが可能にな
る。
【0079】前記3次元のレリーフ状パターンを厚み方
向から見て、感光性材料21の除去された部分の形状が
円形なら凹曲面形状23は凹球面形状であるし、上記形
状が、図面に直交する方向を長手方向とするスリット状
であるならば、凹曲面形状23は凹のシリンダ面とな
る。要するに、熱可塑性材料22の表面形状として形成
される凹曲面形状23は、パターニングされたパターン
に応じたものとなる。
【0080】また、熱可塑性材料22の「粘度および塗
布方法」により、充填された部分に含まれる熱可塑性材
料22の高分子物質の実質量(熱可塑性材料の重量であ
る)が異なり、これらの因子を変化させることによっ
て、凹曲面形状23の曲率を変化させることができる。
即ち、具体的には、粘度が低い場合や、スピナ−塗布回
転数が速い場合には、充填部における熱可塑性材料23
の実質量が少なく曲率は大きくなる。
【0081】熱処理工程後、エッチング工程を行う。即
ち、図2(d)の状態から異方性のドライエッチングを
行って、熱可塑性材料23の表面形状として創成された
「凹曲面形状」をデバイス材料10に彫り写す。この
「エッチング工程」は、ECRプラズマエッチングのド
ライエッチングで行うことが望ましい。
【0082】また、エッチング工程における選択比を1
から異ならせれば、デバイス材料10に彫り写される凹
曲面形状は、熱可塑性材料23に創成された凹曲面形状
を、その高さ方向に「一律に拡大もしくは縮小した形
状」となるが、いずれにしても、感光性材料層に対応し
た形状となる。
【0083】エッチング工程において、選択比を連続的
および/または段階的に変化させることにより、デバイ
ス材料に彫り写される凹曲面形状の形状を非球面化でき
ることは言うまでもない。
【0084】なお、図2では、デバイス材料10に一度
に複数の凹曲面形状を形成する場合が描かれているが、
形成する凹曲面形状は、勿論1つでも良い。
【0085】図3を参照して、請求項5記載の発明を説
明する。図3(a)において、デバイス材料10の平坦
な表面に感光性材料31の「薄層」が形成されている。
(a)に示すように、感光性材料31の層に、図2の例
と同様、マスク100を用いて露光を行い、感光性材料
31の光照射された部分を除去する(図3(b))。
【0086】このようにして感光性材料31の薄層がパ
ターニングされ、凹曲面形状のパターンに相当する部分
が除去されたパターンが形成される(パターニング工
程)。
【0087】次いで、図3(c)に示すように、パタ−
ニングされた感光性材料31によるパターンをマスクと
して、デバイス材料10を所望の深さだけ異方性エッチ
ングする(第1エッチング工程)。
【0088】このようにして、デバイス材料の表面に、
上記感光性材料31のパターンに応じた3次元のレリー
フ状パターンが形成される。次に、感光性材料31を除
去する。除去した後の状態を図(d)に示す。
【0089】続いて、図3(e)に示すように、感光性
材料31と基本成分が同じ構成からなる熱可塑性材料3
2をフォトリソグラフィ−法と同様の方法で塗布し、レ
リーフ状パターンの凹部に充填する(充填工程)。
【0090】次いで、加熱により熱処理工程を行うと、
熱可塑性材料32は、デバイス基板10との親和性や表
面張力、重力の作用等によって変形し、図3(e)に示
すような凹曲面形状33が表面形状として創成される。
【0091】第1エッチング工程でデバイス材料10に
形成されるレリーフ状パターンの凹部の深さ、熱可塑性
材料32の粘度および塗布方法によって、充填された部
分に含まれる熱可塑性材料の高分子物質の実質量が異な
り、これらの因子を変化させることによって、凹曲面形
状33の曲率が変化する。
【0092】最後に、エッチング工程を行う。即ち、図
3(f)の状態から異方性のドライエッチングを行っ
て、熱可塑性材料32で形成された「凹曲面形状」をデ
バイス材料10に彫り写す。「エッチング工程」は、E
CRプラズマエッチングのドライエッチングで行うこと
が望ましい。
【0093】図4を参照して、請求項6記載の発明を説
明する。図4(a)において、デバイス材料10の平坦
な表面に、所望の厚さに中間層41が形成され、この上
に感光性材料42の薄層が形成されている。この構成
が、請求項14記載の「光学デバイス用材料」の基本的
な構成である。
【0094】図4(a)に示すようにマスク100を用
いて、請求項5記載の発明と同様にパターニング工程を
行い、感光性材料42の薄層に、凹曲面形状のパターン
に相当する部分の感光性材料を除去したパターンを形成
する(図4(b))。
【0095】図4(c)は、パタ−ニング工程後、感光
性材料42のパターンをマスクとして中間層41に対し
ウエットまたはドライエッチングにより、第1エッチン
グ工程を実行し、感光性材料42によるパターンを中間
層41に彫り写した後の状態を示している。
【0096】続いて、中間層41をマスクとしてデバイ
ス基板10を所望の深さだけエッチングし、中間層41
のパターンに対応した3次元のレリーフ状パターンをデ
バイス材料に形成する第2エッチング工程を行う(図4
(d))。
【0097】次いで、熱可塑性材料43を塗布する充填
工程を行い、レリーフ状パターンの凹部に熱可塑性材料
43を充填し(図4(e))、さらに、加熱により熱処
理工程を行うと、熱可塑視材料43は、デバイス基板1
0及び中間層41との親和性や表面張力、重力の作用等
によって変形し、図4(f)に示すような凹曲面形状4
4が表面形状として創成される。
【0098】第2エッチング工程でエッチングしたデバ
イス材料10の深さと熱可塑性材料43の温度・粘度お
よび塗布方法によって、充填された部分に含まれる材料
の高分子物質の実質量が異なり、これらの因子を変化さ
せることによって、凹球面形状44の曲率が変化する。
【0099】最後に、エッチング工程を行う。即ち、図
(f)の状態から異方性のドライエッチングを行って、
熱可塑性材料43の表面に創成された凹曲面形状44を
デバイス材料に彫り写す(図(g))。「エッチング工
程」は、ECRプラズマエッチングのドライエッチング
で行うことが望ましい。
【0100】図3に示す請求項5記載の発明と、図4に
示す請求項6記載の発明とを比較すると、請求項6記載
の発明では、デバイス材料10と感光性材料42との間
に中間層41が介設されている。
【0101】中間層41を設けているのは、次の様な理
由による。即ち、レリーフ状パターンの凹部に充填した
熱可塑性材料に対し熱処理工程を行うと、レリーフ状パ
ターンに接している部分で熱可塑性材料が盛り上がり、
熱可塑性材料により形成された凹曲面形状の縁の部分
が、凹曲面を縁取るように、レリーフ状パターンの凹部
の縁に突出することがある。
【0102】「中間層」が無い場合には、この突出した
盛り上がり部分が、デバイス材料に彫り写されるため、
デバイス材料の表面形状として形成される凹曲面形状と
凹曲面の径に「ばらつき」が発生する虞れがある。
【0103】しかるに、請求項6記載の発明では、中間
層41が設けられているために、上記縁取り状の突出部
は、エッチング工程の際に、中間層41とともにエッチ
ングされてしまい、デバイス材料に彫り写されることが
なく、デバイス材料に形成される凹曲面形状に影響を与
えない。
【0104】また、請求項7記載の発明では、熱処理工
程後に「中間層を除去する工程」を有する。この処理を
行っても、上記縁取り状の熱可塑性材料は中間層と同時
に除去されるため、凹曲面形状を創成する妨げとならな
い。
【0105】図5を参照して、請求項8記載の発明を説
明する。
【0106】図5(a)は、符号10で示すデバイス材
料に、前記図2〜4記載の方法により、3次元のレリー
フ状パターン形成し、その凹部に熱可塑性材料51を充
填した状態を示している。図5(b)は、図2〜4に示
した方法によって、凹曲面形状を熱可塑性材料51の表
面形状として創成した状態を示している。
【0107】図5(b)の状態からエッチング工程を行
うと、デバイス材料10に凹曲面形状52が形成される
(図5(c))。このとき、レリーフ状パターンの深さ
や、凹部の大きさ、エッチング条件等によっては、図5
(c)に示すように、凹曲面形状52は「口径が大き」
過ぎたり、もしくは「曲率が小さ」過ぎたりし、凹曲面
形状52の底面部は、デバイス材料10の平面部と平行
な面を含んでいる。
【0108】このような「平底状の凹曲面形状」も有用
であるが、場合によっては、所望の形状でない場合もあ
る。
【0109】このような「平底状の凹曲面形状」が所望
の形状でなく、「レリーフ状パターンの口径よりも小さ
い凹曲面形状もしくは曲率の大きい凹曲面形状」が求め
られる場合に、これを達成するのが請求項8記載の発明
である。
【0110】図5(c)に示す凹曲面形状52の、「口
径が大きすぎる」場合または、「曲率が小さすぎる」場
合には、図5(c)の状態において、熱可塑性材料53
(図5(a)に示す熱可塑性材料51と同じものでも良
い)を再度塗布して凹曲面形状52に充填し、加熱処理
工程で熱可塑性材料53を熱変形させて新たな凹曲面形
状54を創成する。この凹曲面形状54は、凹曲面形状
52よりも口径が小さく、あるいは曲率が大きい。
【0111】そこで、エッチング工程を行って、デバイ
ス材料に新たな凹曲面形状54を彫り写す。このように
して、凹曲面形状52よりも所望の形状に近づいた凹曲
面形状54’をデバイス材料10に得ることができる
(図5(f))。
【0112】必要に応じて、図5(d)に示す充填工程
から、図5(f)に示すエッチング工程までを目的の凹
曲面形状が出来るまで繰り返すことにより、所望の凹曲
面形状を達成することができる。
【0113】この時、エッチングしたデバイス材料10
の深さと熱可塑性材料53の温度、粘度および塗布方法
によって、充填された部分に含まれる材料の高分子物質
の実質量が異なり、これらの因子を変化させることによ
って、凹曲面形状の曲率を変化させることができる。
「エッチング工程」は、ECRプラズマエッチングのド
ライエッチングで行うことが望ましい。
【0114】上記の工程において、熱可塑性樹脂の塗布
と熱処理工程とのみを繰り返して、所望の凹曲面形状を
熱可塑性樹脂の表面に創成し、しかるのち、1回のエッ
チング工程によりデバイス材料への彫り写しを行っても
良いが、上記のように、熱可塑性材料を繰り返し塗布す
る工程において、塗布するごとにエッチング工程を行う
とデバイス端部での形状精度が向上する。
【0115】図6を参照して、請求項15記載の発明を
説明する。
【0116】図6(a)は、デバイス材料10上に、母
型の凸球面形状に応じた1以上の凹曲面形状11Aを表
面形状として持つ転写材11の層を転写した転写工程後
の状態を示している。転写工程は、工程自体としては、
先に図1に即して説明した請求項1記載の光学デバイス
製造方法における転写工程と同様である。
【0117】請求項1記載の光学デバイス製造方法で
は、所望の凹曲面形状に応じた凸曲面形状が形成された
母型による凹曲面形状の転写が行われるのに対し、請求
項15記載の発明に於いては、所望の凹球面形状に応じ
た凸球面形状を有する母型により「凸球面形状に応じた
凹曲面形状」が転写される。
【0118】母型による曲面の転写は、母型の持つ曲面
形状の凹凸をそのまま反転した曲面形状が転写されるの
が理想であるが、実際には、転写材を固化させる工程
で、転写材が収縮等の体積変化を生じたりして、転写さ
れた曲面形状が母型の曲面形状と「ぴったり」とは一致
しない場合が多い。
【0119】請求項15記載の発明では、母型の持つ曲
面形状が凸曲面形状であるので、転写された曲面形状の
「形状誤差」は、母型の凸球面形状を凹凸反転させた
「凹球面形状」からのずれとして表すことができる。
【0120】図6(a)において、転写材11に転写さ
れた凹曲面形状11Aは、このような形状誤差を含み、
「正確な球面形状」になっていない。
【0121】そこで、転写工程後の転写材11の層の表
面に、転写材11と同成分の流動性材質のスピナーによ
る塗布と固化とを行う。このようにして、塗布と固化と
を行った状態を図6(b)に示す。
【0122】符号11aで示す流動性材質は転写剤11
と同成分であるから、塗布後、固化すると、塗布された
部分ともとからある転写材11の層とが全体として、均
一な転写材層となる。従って、後に行われるエッチング
工程においては、転写材と、後から塗布された部分とが
同じエッチング速度を持つ。
【0123】スピナー塗布され、固化した後の流動性材
質の表面形状11Bは、より凹球面形状に近づいたもの
となる。流動性材質の表面張力は、塗布された流動性材
質の表面が最小表面積である球面となるように作用する
からである。
【0124】しかし、固化の段階で変形が生じるので、
流動状態で実現された球面がそのまま、固化後にも形状
として保存される訳ではなく、固化後には、やはり形状
誤差が生じるが、それでも、形成された凹曲面は、塗布
以前の凹曲面形状よりも凹球面形状に近づいている。
【0125】流動性材質のスピナーによる塗布と固化と
を繰り返す度に、固化した流動性材質の表面形状は、ま
すます凹球面形状に近づく。従って、転写工程後(図6
(a))、流動性材質のスピナーによる塗布と固化とを
1回だけ、あるいは必要なだけ繰返して行い、最終的に
得られる表面形状における形状誤差が、許容域内の値と
なるようにする。これが「面形状補正工程」である。
【0126】面形状補正工程後は、形状誤差が許容域内
である凹球面形状が得られているので、その後、「エッ
チング工程」を行うことにより、デバイス材料10に凹
球面形状を彫り写すことができる。
【0127】しかし、このエッチング工程を選択比:1
で行うと、デバイス材料10に彫り写される凹曲面形状
は、凹球面形状ではあるが、所望の形状、即ち、母型の
持つ凸球面形状の凹凸を反転させた凹球面形状とは正確
には合致しない。
【0128】面形状補正工程の際に、補正された凹球面
形状の曲率半径が、当初転写された凹曲面の曲率半径と
異なってしまうからである。
【0129】そこで、「エッチング工程」では、目的形
状とする「所望の凹球面形状」に応じて、選択比を調整
しつつドライエッチングを行い、デバイス材料11に上
記所望の凹球面形状を1以上形成するのである。
【0130】選択比を1より大きく(小さく)すること
により、デバイス材料に彫り写される凹球面形状の曲率
半径を、転写材上の面形状補正された凹球面形状の曲率
半径よりも小さく(大きく)できる。
【0131】図6(c)は、エッチング工程後、デバイ
ス材料11に所望の凹球面形状10Aを1以上形成した
状態を示している。
【0132】図7を参照して、請求項16記載の発明を
説明する。
【0133】図7(a)は、請求項5記載の発明におけ
ると同様の「パターニング工程」、「第1エッチング工
程」により、1以上の凹球面形状のパターンに応じた3
次元のレリーフ状パターンを形成されたデバイス材料1
0に、デバイス材料10と親和性の良い流動性の熱可塑
性材料32をスピナー塗布し、レリーフ状パターンの凹
部に充填する「充填工程」を行い、さらに、充填された
熱可塑性材料32を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状
を創成する「熱処理工程」を行った状態を示している。
【0134】なお、この状態を実現するのに、請求項6
記載の発明と同様、「パターニング工程」と「第1及び
第2エッチング工程」と「充填工程」と「熱処理工程」
を行うことも可能である。
【0135】この状態で、熱可塑性材料32の表面に創
成された凹曲面形状32Aの形状を測定し、目的形状と
の差異に応じ、流動性の熱可塑性材料32のスピナー塗
布と熱処理とを1回以上行って、創成される凹曲面形状
を所望の凹球面形状に近付けるのである(面形状補正工
程)。
【0136】図7(b)は、熱処理工程後、流動性の熱
可塑性材料32’(充填工程で充填する熱可塑性材料3
2と同一の成分)のスピナー塗布と熱処理とを1回行
い、凹曲面形状32Aを補正して凹曲面形状32Bを形
成した状態を示している。
【0137】流動性の熱可塑性材料のスピナーによる塗
布と熱処理とは、必要とあれば2回以上繰り返して行
い、所望の球面形状に対する形状誤差が、許容域内の値
となるようにする。
【0138】このように面形状補正工程を行った後、熱
可塑性材料およびデバイス材料に対し、ドライエッチン
グを行うことにより、1以上の凹球面形状をデバイス材
料10に彫り写し、デバイス材料10に所望の凹球面形
状を1以上形成することができる(図7(c))。
【0139】なお、上記請求項15,16の発明におい
て、面形状補正工程を行うに際し、流動性材質(請求項
15)、流動性の熱可塑性材料(請求項16)の流動性
が大きいほど(粘性が小さいほど)、またスピナーの回
転速度が大きいほど、塗布される材料の層厚が薄くな
り、微妙な面形状補正が可能となるので、「流動性材質
もしくは熱可塑性材料の流動性と塗布条件を、塗布ごと
に調整する」ことにより精度の良い面形状補正を実現で
きる(請求項17)。
【0140】
【実施例】以下、具体的な実施例を説明する。 実施例1(請求項1,2記載の発明の実施例) 図1に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
「平行平板」を使用した。形状転写するための転写材1
1の1例として、アクリル樹脂とエポキシ樹脂を9:1
の割合で混合した紫外線硬化型の「嫌気性樹脂」を使用
した。
【0141】また、母型12としては、合成石英材料の
表面に予め、所望の凸曲面形状を加工・形成したものを
使用した。この「母型」は、Ar,CF4を導入ガスと
して用いたプラズマ処理によって合成石英の表面層がフ
ッ素化処理されている。
【0142】母型の凸曲面形状を上に向けて設置し、母
型上の3箇所に厚さ:15μmのスペ−サ−を配置し
た。次に、母型の上面に上記嫌気性樹脂による転写材を
塗布したのち、デバイス材料である合成石英材料の平行
平板を、転写材上から静かに乗せ、転写材とデバイス材
料の間および母型と転写材の間に含まれた気泡を「泡出
し」した。
【0143】ついで、デバイス材料の上方から均一に加
重をかけて、母型/スペ−サ−/デバイス材料の3者が
接触して3層構造を形成するまで保持する。このとき、
余分の転写材は、母型とデバイス材料の間から流れ出
る。
【0144】次に、加重を取り除き、転写材の硬化に十
分な紫外線2500mJ/cm2を照射する。この照射
は、デバイス材料側から行ってもよいし、母型の側から
行ってもよい。また、流れ出た転写材はアセトンで除去
する。この実施例で用いた転写材は「嫌気性」であるた
め、流れ出た材料は硬化しないのが特徴である。
【0145】転写材の硬化に際しては、必要に応じて、
上記状態で120℃で30分間ポストキュア−してもよ
い。このようにして、樹脂を完全に硬化させる。
【0146】その後、母型をデバイス材料上の転写材か
ら剥離する。この際、母型の表面処理の効果のため、容
易に剥離出来ることが判った。勿論、剥離の容易性のた
めには、表面処理の効果だけではなく、母型の「表面粗
さが小さい」ことも当然に必要である。また、剥離の前
に、母型とデバイス基板を共に裏打ちし、専用の治具
(少なくとも一方は透明材料)に冷却もしくは加熱機構
によってヒートショックを与えると、剥離作業が容易で
ある。以上が、転写工程である。
【0147】なお、転写材の材料樹脂の性質を調整し、
光硬化性の特性を強化すると、紫外線照射後に樹脂が収
縮して、母型からの剥離性が増した。但し、この場合
は、転写材が厚み方向に、当初の15μm(スペーサー
の厚さ)から14μmに収縮したため、転写された凹曲
面形状は、母型の凸曲面形状よりも曲率の小さい(曲率
半径が大きい)形状となった。
【0148】続いて、エッチング工程を行った。ECR
プラズマエッチング装置を用いて、Ar,CHF3,O2
ガスを導入して、3〜5×10~4Toorの条件下(選
択比:1)でエッチングし、転写材表面の凹曲面形状を
デバイス材料に彫り写した。
【0149】この実施例における具体的データは以下の
通りである。 母型における凸曲面形状:マイクロ凸曲面 近似球面の曲率半径:R=284.061μm 形状誤差 :PRt=1.141μm 転写材に転写された凹曲面形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=286.146μm 形状誤差 :PRt=1.444μm エッチング工程後のデバイス材料に形成された凹曲面形
状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=285.466μm 形状誤差 :PRt=1.213μm 母型のマイクロ凸曲面とデバイス材料のマイクロ凹曲面
との差異 近似球面の曲率半径の差:△R=1.405μm 形状誤差 :△PRt=0.072μm このようにして、形成された光学デバイスは、上記凹曲
面形状を負の屈折面とするマイクロ凹レンズとして使用
できる。
【0150】実施例2(請求項4記載の発明の実施例) 図2に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
「平行平板」を使用した。パターニング工程用のパタ−
ンとして、ピッチ:250μm,口径:200μmの
「円形パタ−ン」が一列に10個並んだパターンを使用
した。また、非熱変形性の感光性材料21として、ポリ
イミド系レジスト(商品名:メルクジャパン製作 ポリ
イミド系レジスト HTR−3)を使用した。
【0151】デバイス材料10上に、感光性材料との密
着性を向上させる目的で、プライマ−を塗布した後に、
上記ポリイミド系レジスト材料を厚さ:18μmに塗布
し、プリベ−クした後に上記パターンを有するマスクを
用いて露光し、現像・ポストベ−クを行い、上記パター
ンに応じた3次元のレリーフ状パターンを感光性材料の
層に形成できた。ポストベ−ク後のレリーフ状パターン
の断面形状は、厚みをなす側端面が熱で「ダレる」こと
がなく、良好な形状であった。以上が、パターニング工
程である。
【0152】次に、東京応用化学製のポジレジストOF
PR−800を希釈剤で2倍に希釈したものを、スピナ
−で塗布し、更に、このポジレジストに紫外線を照射し
て高分子材料の分子を切断し、熱可塑性材料22として
レリーフ上パターンの凹部に充填し(充填工程)、20
0℃で30分間加熱してポストベ−クを行い、凹曲面形
状を創成した(熱処理工程)。
【0153】その後、ECRプラズマエッチング装置を
用いて、Ar,CHF3,O2ガスを導入して、3〜5×
10~4Toorの条件下でエッチング工程を行った。
【0154】具体的データは以下の通りである。 熱可塑性材料の表面形状として創成された1個の凹曲面
形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=1064.24μm 形状誤差 :PRt=3.576μm エッチング工程後のデバイス材料に形成された凹曲面形
状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=1059.58μm 形状誤差 :PRt=3.234μm このようにして、形成された光学デバイスは、上記凹曲
面形状を負の屈折面とするマイクロ凹レンズアレイとし
て使用できる。
【0155】実施例3(請求項6記載の発明の実施例) 図4に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
「平行平板」を使用した。デバイス材料の片面に、Al
膜を厚さ:3000Åに成膜して中間層41とした。こ
の中間層の上に、感光性材料との密着性を向上させる目
的でプライマ−を塗布し、その上に感光性材料(東京応
用化学製のポジレジストOFPR−800)を厚さ:3
μmに塗布形成した。
【0156】パターニングのパタ−ンとして「ピッチ2
50μm・口径200μmの円形パタ−ンが一列に10
個並んだ形状」を有するマスクを用いて露光したのち、
現像・ポストベ−クして「パタ−ニング工程」を行っ
た。
【0157】次に、上記感光性材料によるパターンをマ
スクとして、ECRプラズマエッチング装置を用いて、
CCl4,Heガスを導入して、8〜9×10~4Too
rの条件下で、Alによる「中間層」を2分間エッチン
グし、上記パターンを中間層に彫り写し、その後、EC
Rプラズマエッチング装置を用いて、O2ガスを導入
し、5〜8×10~4Toorの条件下で、残りの感光性
材料を剥離した(第1エッチング工程)。
【0158】続いて、パターンを彫り写されたAl膜に
よる中間層をマスクとし、ECRプラズマエッチング装
置を用い、CHF3,Ar,O2ガスを導入して、3〜5
×10~4Toorの条件下でデバイス基板10を20μ
mの深さだけエッチングした(第2エッチング工程)。
上記第1および第2エッチング工程は、ECRプラズマ
エッチング装置に導入するガス種を、工程に従って変更
するだけで、同一バッチ内で実施出来た。
【0159】次いで、デバイス材料を取り出し、東京応
用化学製ポジレジストOFPR−800を希釈剤で2倍
に希釈したものをスピナ−で塗布し、更に、紫外線を照
射して高分子材料の分子を切断して熱可塑性材料43と
し(充填工程)、これを200℃で30分間加熱するポ
ストベ−クを行い、凹曲面形状を創成した(熱処理工
程)。
【0160】その後、ECRプラズマエッチング装置を
用いて、Ar,CHF3,O2ガスを導入して、3〜5×
10~4Toorの条件下で「エッチング工程」を行い、
上記創成された凹曲面形状をデバイス基板に転写した。
【0161】具体的データは以下の通りである。 熱可塑性材料の表面形状として創成された1個の凹曲面
形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=580.690μm 形状誤差 :PRt=2.841μm エッチング工程後の凹曲面形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:=578.629μm 形状誤差 :PRt=2.971μm このようにして、形成された光学デバイスは、上記凹曲
面形状を負の屈折面とするマイクロ凹レンズアレイとし
て使用できる。
【0162】この実施例3において、中間層の形成を省
略し、第2エッチング工程を省くことにより、請求項5
記載の発明を具体的に実施することができた。
【0163】実施例4(請求項8記載の発明の実施例) 図5に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
「平行平板」を使用した。実施例3におけると同様、
「中間層」としてAl膜を5000Å成膜し、この上
に、中間層との密着性を向上させる目的でプライマ−を
塗布した後、感光性材料を厚さ:3μmに塗布して光学
デバイス用材料とした。
【0164】パターニング工程のためのパターンとし
て、ピッチ:500μm,口径:400μmの円形パタ
−ンが、一列に10個並んだパターンを有するマスクを
用いて露光し、現像・ポストベ−クしてパタ−ニング工
程を行った。
【0165】次に、パターニングされた感光性材料をマ
スクとし、ECRプラズマエッチング装置を用いて、C
Cl4,Heガスを導入して、3〜5×10~4Toor
の条件下でAl膜による中間層を4分間エッチングし、
その後、同じECRプラズマエッチング装置にO2ガス
を導入して、5〜8×10~4Toorの条件下でエッチ
ングして残りの感光性材料を除去した(第1エッチング
工程)。
【0166】さらに、上記パターンを彫り写された中間
層をマスクとし、ECRプラズマエッチング装置に、C
HF3,Ar,O2ガスを導入して、3〜5×10~4To
orの条件下でデバイス基板10を30μmの深さだけ
エッチングした(第2エッチング工程)。
【0167】上記第1,第2エッチング工程は、ECR
プラズマエッチング装置の中に導入するガス種を工程に
従って変更するだけで、同一バッチ内で実施出来た。
【0168】次いで、デバイス材料を取り出し、東京応
用化学製ポジレジストOFPR−800を希釈せずに、
スピナ−で塗布して充填工程を行い、加熱に依る熱処理
工程と、エッチング工程とを、上記実施例3におけると
同一の条件で行った。このとき、デバイス材料に形成さ
れた凹曲面形状を測定した結果、図5(c)に示したよ
うに凹曲面形状の底面に「平坦な部分」が、直径:28
6μmの大きさに発生した。
【0169】そこで、デバイス材料に形成された凹曲面
形状の部分に、上記ポジレジストOFPR−800を希
釈せずにスピナ−で塗布し、その後、紫外線を照射して
高分子材料の分子を切断し、加熱処理した。
【0170】次いで、上記ポジレジストOFPR−80
0を希釈剤で2倍に希釈し、スピナ−で塗布し、紫外線
を照射して高分子材料の分子を切断した。即ち、再度の
充填工程(デバイス材料に形成された凹曲面形状への熱
可塑性材料の充填)を上記ポジレジストの2回の塗布
と、その度の紫外線照射により行った訳である。
【0171】次いで、熱可塑性材料に充填されたデバイ
ス材料を、200℃で30分間加熱しポストベ−クを行
い凹曲面形状の形成を行った(再度の熱処理工程)。
【0172】その後、ECRプラズマエッチング装置を
用いて、Ar,CHF3,O2ガスを導入して、3〜5×
10~4Toorの条件下でエッチングし、ポジレジスト
表面の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写した(再度の
エッチング工程)。
【0173】具体的データは以下の通りである。 熱可塑性材料の表面形状として創成された1個の凹曲面
形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=1235.61μm 形状誤差 :PRt=0.841μm 再度のエッチング工程後の凹曲面形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=1243.62μm 形状誤差 :PRt=0.927μm このようにして、形成された光学デバイスは、上記凹曲
面形状を負の屈折面とするマイクロ凹レンズアレイとし
て使用できる。
【0174】実施例5(請求項15記載の発明の実施
例) 図6に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
平行平板を使用した。転写剤11として、実施例1に於
けると同じく、アクリル樹脂とエポキシ樹脂を9:1の
割合で混合した紫外線硬化型の「嫌気性樹脂」を使用し
た。
【0175】母型としては、凸球面形状(凸面部分の
径:200μm)を250μmピッチでアレイ配列した
ものを用いた。母型は、合成石英材料の表面に上記形状
のアレイ配列を予め加工形成したものである。
【0176】母型の表面は、Ar,CF4を導入ガスと
して用いた「プラズマ処理」により合成石英の表面層を
フッ素化処理した。
【0177】実施例1の場合と同様、母型を、凸球面形
状を形成された側の面を上にして配置し、母型面上の3
箇所に厚さ15μmのスペ−サ−を配置し、上記嫌気性
樹脂による転写材を母型表面に塗布し、デバイス材料で
ある合成石英材料の平行平板を転写材上から静かに乗
せ、転写材とデバイス材料の間及び母型と転写材料の間
に含まれた気泡を泡出しした。
【0178】ついで、デバイス材料の上方から均一に加
重をかけて、母型とスペ−サ−、スペーサーとデバイス
材料を互いに接触させた。このとき、余分の転写材は母
型とデバイス基板との間から流れ出る。
【0179】次に加重を取り除き、転写材11の硬化に
十分な紫外線2500mJ/cm2を照射する。この照射
はデバイス材料側から行っても良いし、母型の側から行
っても良い。流れ出た材料はアセトンで除去する。この
実施例で用いた転写材は「嫌気性」であるため流れ出た
材料は硬化しない。
【0180】転写材の硬化に際しては、必要に応じて上
記状態で120℃で30分間ポストキュア−しても良
い。このようにして樹脂を完全に硬化させる。
【0181】その後、母型とデバイス材料上の転写材か
ら剥離する。この際、母型の表面処理(フッ素化処理)
の効果により容易に剥離出来る。勿論、剥離の容易性の
ためには、表面処理の効果だけではなく表面粗さが小さ
いことも当然必要である。
【0182】また、剥離の前に、母型、デバイス基板両
方共に裏打ちして専用治具(少なくとも一方はガラス等
の透明材料)に保持させ、この専用治具に冷却水または
温水を流し、ヒ−トショックを利用すると剥離作業が容
易である。
【0183】この状態で転写工程が終了し、図6(a)
に示す如き状態が実現する。
【0184】この実施例では転写材の材料樹脂の性質を
調整し、光硬化性の特性を強化しているので、紫外線照
射後に樹脂が収縮して母型からの剥離性が増したが、反
面、転写材11の厚さ(図6(a)で凹曲面形状以外の
部分の上下方向幅、硬化前はスペーサーにより15μm
の厚みがある)が、14μmに収縮したため転写された
凹曲面形状11Aは、母型の凸曲面形状よりも曲率の小
さな(曲率半径が大きい)形状となった。
【0185】上記転写工程における「母型」の凸球面形
状と、転写された凹曲面形状とは、それぞれ以下の如く
である。
【0186】母型の凸球面形状:マイクロ凸球面 曲率半径 :R=284.061μm 形状誤差 :PRt=1.141μm 形状誤差は、上記曲率半径:284.061μmの凸球
面と、現実の型形状とのずれの最大値である。
【0187】転写材に転写された凹曲面形状:マイクロ
凹曲面 近似球面の曲率半径:R=286.146μm 形状誤差 :PRt=1.444μm 転写材11に転写された凹曲面形状は、母型の持つ凸球
面形状に対して、形状誤差が増大している。
【0188】転写材11と同じ成分からなる材料で、粘
度の低い(本実施例では、30〜100cps)流動性
材質11a(図6(b))を、転写材11面上にスピナ
ー塗布した。このとき、スピナ−は高速度回転させた。
その後、紫外線を基板上に均一に照射し、塗布した流動
性材質を完全硬化させた(面形状補正工程)。
【0189】この処理によって凹曲面形状が下記のよう
に変化した。 面形状補正後の凹曲面形状:マイクロ凹球面 近似球面の曲率半径:R=289.530μm 形状誤差 :PRt=0.791μm 即ち、「面形状補正工程」により補正された凹曲面形状
11B(図6(b))は、曲率半径が増加したものの、
形状誤差が補正以前の略1/2に減少し、全体として真
球面に近づいた。
【0190】続いてエッチング工程を行った。
【0191】ECRプラズマエッチング装置を用い、A
r,CHF3,O2ガスを導入して3〜5×10~4Too
rの条件下でドライエッチングし、面形状補正された凹
曲面形状11Bをデバイス材料10に彫り写した。
【0192】このとき、選択比を、基本的に1より僅か
に大きく調整・設定してエッチングした。つまり、彫り
写される凹球面10A(図6(c))の曲率半径が小さ
くなるようにエッチングした。
【0193】また、エッチング条件を経時的に変更し
た。即ち、転写された凹曲面形状11Aの周辺部の形状
精度の崩れが転写材11の収縮により大きかったため、
この部分に対応する部分のエッチングが行われるエッチ
ング後半で、選択比をさらに1より大きく変更した。
【0194】エッチング工程後のデバイス材料に形成さ
れた凹曲面形状:マイクロ凹球面 曲率半径 :R=283.835μm 形状誤差 :PRt=0.712μm 母型のマイクロ凸球面とデバイス材料に形成されたマイ
クロ凹球面との差異 曲率半径差 :|△R|=0.226μm 形状誤差の差 :|△PRt|=0.429μm 即ち、母型の持つ凸球面の凹凸を反転させた凹球面形状
を、極めて精度良くデバイス材料に形成できた。形成さ
れた光学デバイスは、上記凹球面形状を負の屈折面とす
るマイクロ凹レンズとして使用できる。
【0195】実施例6 図3に示したデバイス材料10として、合成石英材料の
平行平板を使用した。パターニング用のパタ−ンとし
て、直径:200μmの円形パタ−ンが、250μmピ
ッチで一列に10個並んだものを使用した。
【0196】デバイス材料の平坦な表面に、感光性材料
との密着性を向上させる目的でプライマ−を塗布した後
に、実施例2におけると同じ感光性材料を3μmの厚さ
に塗布し、上記パタ−ンをマスクパターンを用いて露光
後、現像、ポストベ−クしてパタ−ニングした。
【0197】次に、上記感光性材料をマスクとし、EC
Rプラズマエッチング装置を用い、O2,CHF3,Ar
ガスを導入して3〜5×10~4Toorの条件下で、デ
バイス材料を20μmの深さだけエッチングした(この
状態は、図3(c)と同様の状態である)。
【0198】次いで、図7に示したように、デバイス材
料10(3次元のレリーフ上パターンが形成されてい
る)上に、東京応用化学製ポジレジストOFPR−80
0を希釈剤で1.5倍に希釈したものを、流動性の熱可
塑性材料32として、スピナ−で中速度回転(実施例2
の場合よりも高速回転である)させて塗布し、更に紫外
線を照射して高分子材料の分子を切断した(充填工
程)。
【0199】続いて、200℃で30分間加熱してポス
トベ−クを行い、熱可塑性材料32の表面に凹曲面形状
32Aを創成した(熱処理工程)。
【0200】熱処理工程後の熱可塑製材料の表面形状と
して創成された凹曲面形状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=574.276μm 形状誤差 :PRt=2.950μm 目的とする形状は、曲率半径:442μmのマイクロ凹
球面であるので、面形状補正を行う必要がある。
【0201】前記東京応用化学製ポジレジストOFPR
−800を希釈剤で2.0倍に希釈したものを流動性の
熱可塑性材料32’(図7(b)とし、スピナ−で中速
度回転塗布し、上記と同様に硬化させた(第1回目の面
形状補正)。
【0202】第1回目の面形状補正で得られた凹曲面形
状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=464.687μm 形状誤差 :PRt=1.760μm この凹曲面形状でも目的とする形状精度を満足しなかっ
たため、上記第1回の面形状補正と同じ方法で面形状補
正を繰り返した。
【0203】第2回目の面形状補正で得られた凹曲面形
状:マイクロ凹曲面 近似球面の曲率半径:R=434.126μm 形状誤差 :PRt=1.107μm 第3回目の面形状補正で得られた凹曲面形状:マイクロ
凹球面 近似球面の曲率半径:R=440.893μm 形状誤差 :PRt=0.646μm この形状は実質的に凹球面であり、目的形状との差が許
容範囲にあるので、ここで面形状補正工程を終了した。
【0204】ECRプラズマエッチング装置を用い、A
r,CHF3,O2ガスを導入して、3〜5×10~4To
orの条件下で選択比:1の「エッチング」工程を行
い、上記「凹球面形状」をデバイス基板に彫り移した。
【0205】エッチング工程後のデバイス材料に形成さ
れた凹曲面形状:マイクロ凹球面 近似球面の曲率半径:R=441.855μm 形状誤差 :PRt=0.691μm 即ち、目的形状とする凹球面形状を、極めて精度良くデ
バイス材料に形成できた。形成された光学デバイスは、
上記凹球面形状を負の屈折面とするマイクロ凹レンズと
して使用できる。
【0206】勿論、実施例5,6で製造された光学デバ
イスの凹球面部分に、反射面を形成することにより、マ
イクロ凹球面鏡アレイを実現できるし、デバイス材料を
金属もしくはセラミックス材料を用いることで、マイク
ロ凹球面アレイの成形型を実現できることは言うまでも
ない。
【0207】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば新規な
光学デバイス用材料・光学デバイス・光学デバイス製造
方法を提供できる。
【0208】請求項1〜3記載の発明は、正確な母型の
使用により、曲率半径の大小・凹曲面形状の如何に拘ら
ず、常に正確な凹曲面形状を有する光学デバイスを容易
且つ確実に製造できる。
【0209】請求項4記載の発明は、パターニング工程
が容易であり、しかも、パターニング工程でパターニン
グしたパターンに忠実なパターンの凹曲面形状を持った
光学デバイスを製造できる。
【0210】請求項5〜8記載の発明は、所望の凹曲面
形状を有する光学デバイスを容易且つ確実に製造でき
る。請求項9記載の発明では、光学デバイスに形成する
非球面形状の凹曲面形状を形成できる。請求項10記載
の発明では、凸曲面形成に母型として用い得る、所望の
凹曲面形状を有する光学デバイスを製造できる。
【0211】請求項11記載の発明では、デバイス材料
が2以上の異なる屈折率領域を有するので、広範な光学
特性を持った光学デバイスを製造できる。
【0212】請求項12記載の発明では、請求項1〜1
1記載の発明により、所望の凹曲面形状を持った光学デ
バイスを実現できる。
【0213】請求項13,14記載の発明では、請求項
5,6記載の発明の実施に適した光学デバイス用材料を
実現できる。
【0214】請求項15〜17記載の発明では、面形状
補正工程により、エッチング前の凹曲面形状を補正する
ので、所望の凹球面形状を極めて精度良くデバイス材料
に形成できる。
【0215】請求項18記載の発明では、請求項15〜
17記載の発明により、所望の凹曲面形状を持った光学
デバイスを極めて精度良く実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明を説明するための図であ
る。
【図2】請求項4記載の発明を説明するための図であ
る。
【図3】請求項5記載の発明を説明するための図であ
る。
【図4】請求項6記載の発明を説明するための図であ
る。
【図5】請求項8記載の発明を説明するための図であ
る。
【図6】請求項15記載の発明を説明するための図であ
る。
【図7】請求項16記載の発明を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
10 デバイス材料 21 非熱変形性の感光性材料 22 熱可塑性材料 23 熱可塑性材料の表面形状として創成された凹
曲面形状

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所望の凹曲面形状を1以上有する光学デバ
    イスを製造する方法であって、 上記所望の凹曲面形状に対応する凸曲面形状を1以上有
    する母型を用いて上記1以上の凸曲面形状を転写材の表
    面に転写し、上記母型の凸曲面形状に応じた1以上の凹
    曲面形状を表面形状として持つ転写材の層を、デバイス
    材料の表面上に形成する転写工程と、 上記転写材およびデバイス材料に対して異方性のドライ
    エッチングを行い、上記1以上の凹曲面形状をデバイス
    材料に彫り写し、デバイス材料に上記所望の凹曲面形状
    を1以上形成するエッチング工程とを有することを特徴
    とする光学デバイス製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の光学デバイス製造方法にお
    いて、 転写材が光硬化性材料であり、転写工程において、転写
    材に光照射しつつ、母型の1以上の凸曲面形状の転写を
    行うことを特徴とする光学デバイス製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の光学デバイス製造方法にお
    いて、 転写材が熱硬化性材料もしくは熱可塑性材料であって、
    転写工程において、転写材を加熱しつつ、母型の1以上
    の凸曲面形状の転写を行うことを特徴とする光学デバイ
    ス製造方法。
  4. 【請求項4】所望の凹曲面形状を1以上有する光学デバ
    イスを製造する方法であって、 デバイス材料の表面上に形成された非熱変形性の感光性
    材料の層にパターニングを行い、上記1以上の凹曲面形
    状のパターンに相当する部分の感光性材料が除去された
    3次元のレリーフ状パターンを形成するパターニング工
    程と、 上記レリーフ状パターンに、上記感光性材料と親和性の
    良い熱可塑性材料を塗布し、レリーフ状パターンの凹部
    に充填する充填工程と、 この充填工程後に熱処理を行い、上記充填された熱可塑
    性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状を創成する
    熱処理工程と、 熱処理工程後の感光性材料・熱可塑性材料およびデバイ
    ス材料に対し、異方性のエッチングを行うことにより、
    上記1以上の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デ
    バイス材料に所望の凹曲面形状を1以上形成するエッチ
    ング工程とを有することを特徴とする光学デバイス製造
    方法。
  5. 【請求項5】所望の凹曲面形状を1以上有する光学デバ
    イスを製造する方法であって、 デバイス材料の表面上に形成された感光性材料の薄層に
    パターニングを行い、上記1以上の凹曲面形状のパター
    ンに相当する部分の感光性材料が除去されたパターンを
    形成するパターニング工程と、 上記感光性材料によるパターンとデバイス材料に対して
    異方性のエッチングを行って、上記パターンに応じた3
    次元のレリーフ状パターンをデバイス材料に形成する第
    1エッチング工程と、 デバイス材料に形成された3次元のレリーフ状パターン
    に、上記デバイス材料と親和性の良い熱可塑性材料を塗
    布し、レリーフ状パターンの凹部に充填する充填工程
    と、 この充填工程後に熱処理を行い、上記充填された熱可塑
    性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状を創成する
    熱処理工程と、 熱処理工程後の熱可塑性材料およびデバイス材料に対
    し、異方性のエッチングを行うことにより、上記1以上
    の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイス材料
    に所望の凹曲面形状を1以上形成するエッチング工程と
    を有することを特徴とする光学デバイス製造方法。
  6. 【請求項6】所望の凹曲面形状を1以上有する光学デバ
    イスを製造する方法であって、 デバイス材料の表面上に、中間層を介して形成された感
    光性材料の層にパターニングを行い、上記1以上の凹曲
    面形状のパターンに相当する部分の感光性材料が除去さ
    れたパターンを形成するパターニング工程と、 上記感光性材料によるパターンと中間層に対して異方性
    のエッチングを行い、上記パターンを中間層に彫り写す
    第1エッチング工程と、 上記パターンを彫り写された中間層をマスクとして、デ
    バイス材料に対する異方性エッチングを行い、3次元の
    レリーフ状パターンをデバイス材料に形成する第2エッ
    チング工程と、 中間層とデバイス材料に形成されたレリーフ状パターン
    に、少なくとも上記デバイス材料と親和性の良い熱可塑
    性材料を塗布し、レリーフ状パターンの凹部に充填する
    充填工程と、 この充填工程後に熱処理を行い、上記充填された熱可塑
    性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状を創成する
    熱処理工程と、 熱処理工程後の中間層と熱可塑性材料およびデバイス材
    料に対し、異方性のエッチングを行うことにより、上記
    1以上の凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイ
    ス材料に所望の凹曲面形状を1以上形成するエッチング
    工程とを有することを特徴とする光学デバイス製造方
    法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の光学デバイス製造方法にお
    いて、 熱処理工程後に、中間層を除去する工程を有することを
    特徴とする光学デバイス製造方法。
  8. 【請求項8】請求項4または5または6または7記載の
    光学デバイス製造方法において、 エッチング工程後、充填工程からエッチング工程までを
    繰り返して行い、 その際に、少なくとも充填工程と熱処理工程とを1回以
    上の所望回数行うことを特徴とする光学デバイス製造方
    法。
  9. 【請求項9】請求項1または2または3または4または
    5または6または7または8記載の光学デバイス製造方
    法において、 エッチング工程における選択比を、連続的および/また
    は段階的に変化させることにより、デバイス材料に形成
    される1以上の凹曲面形状を非球面とすることを特徴と
    する光学デバイス製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1または2または3または4また
    は5または6または7または8または9記載の光学デバ
    イス製造方法において、 デバイス材料として、金属材料もしくはセラミックス材
    料が用いられていることを特徴とする光学デバイス製造
    方法。
  11. 【請求項11】請求項1または2または3または4また
    は5または6または7または8または9記載の光学デバ
    イス製造方法において、 デバイス材料として、透明な基体の表面に、上記基体と
    屈折率の異なる材料による凹曲面形成層が所望の厚さに
    形成されたものが用いられ、 1以上の所望の凹曲面形状が上記凹曲面形成層に形成さ
    れることを特徴とする光学デバイス製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1または2または3または4また
    は5または6または7または8または9または10また
    は11記載の光学デバイス製造方法により製造される光
    学デバイス。
  13. 【請求項13】デバイス材料の表面上に、非熱変形性の
    感光性材料層の層が形成され、請求項4記載の光学デバ
    イス製造方法に使用される光学デバイス用材料。
  14. 【請求項14】デバイス材料の表面上に、所望の厚さの
    中間層と感光性材料層の層とが、デバイス材料表面側か
    ら上記順序に積層形成され、請求項6記載の光学デバイ
    ス製造方法に使用される光学デバイス用材料。
  15. 【請求項15】所望の凹球面形状を1以上有する光学デ
    バイスを製造する方法であって、 上記所望の凹球面形状に対応する凸球面形状を1以上有
    する母型を用いて上記1以上の凸球面形状を転写材の表
    面に転写し、上記母型の凸球面形状に応じた1以上の凹
    曲面形状を表面形状として持つ転写材の層を、デバイス
    材料の表面上に形成する転写工程と、 転写工程後の転写材の層の表面に、上記転写材と同成分
    の流動性材質のスピナーによる塗布と固化とを1回以上
    行って、転写工程により形成された凹曲面形状を凹球面
    形状に近付ける面形状補正工程と、 上記転写材およびデバイス材料に対し、目的形状とする
    所望の凹球面形状に応じて選択比を調整しつつドライエ
    ッチングを行い、上記1以上の、凹球面形状に近付けら
    れた凹曲面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイス材
    料に上記所望の凹球面形状を1以上形成するエッチング
    工程とを有することを特徴とする光学デバイス製造方
    法。
  16. 【請求項16】所望の凹球面形状を1以上有する光学デ
    バイスを製造する方法であって、 デバイス材料の表面上に形成された感光性材料の薄層に
    パターニングを行い、上記1以上の凹球面形状のパター
    ンに相当する部分の感光性材料が除去されたパターンを
    形成するパターニング工程と、 上記感光性材料によるパターンとデバイス材料に対して
    ドライエッチングを行って、上記パターンに応じた3次
    元のレリーフ状パターンをデバイス材料に形成する第1
    エッチング工程と、 デバイス材料に形成された3次元のレリーフ状パターン
    に、上記デバイス材料と親和性の良い流動性の熱可塑性
    材料をスピナー塗布し、レリーフ状パターンの凹部に充
    填する充填工程と、 この充填工程後に熱処理を行い、上記充填された熱可塑
    性材料を熱変形せしめて1以上の凹曲面形状を創成する
    熱処理工程と、 上記熱処理工程後に、上記流動性の熱可塑性材料のスピ
    ナー塗布と熱処理とを1回以上行い、創成される凹曲面
    形状を上記所望の凹球面形状に近付ける面形状補正工程
    と、 面形状補正工程後の熱可塑性材料およびデバイス材料に
    対し、異方性のエッチングを行うことにより、上記1以
    上の凹球面形状をデバイス材料に彫り写し、デバイス材
    料に所望の凹球面形状を1以上形成するエッチング工程
    とを有することを特徴とする光学デバイス製造方法。
  17. 【請求項17】請求項15または16記載の光学デバイ
    ス製造方法において、 面形状補正工程において、流動性材質もしくは熱可塑性
    材料のスピナー塗布を複数回行い、流動性材質もしくは
    熱可塑性材料の流動性と塗布条件を、塗布ごとに調整す
    ることを特徴とする光学デバイス製造方法。
  18. 【請求項18】請求項15または16または17記載の
    光学デバイス製造方法により製造される光学デバイス。
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