JPH0724212Y2 - 電動ホッチキスのカートリッジ装填構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、電動ホッチキスのマガジンに形成した収納部
にシートステープルを積層収納したカートリッジを装填
するカートリッジ装填構造に関するものである。

（従来技術） 真直状のステープルをシート状に連結してなるシートス
テープルをコ字形に成形した後に打ち出す方式の電動ホ
ッチキスにおいては、カートリッジ内にシートステープ
ルを積層収納し、これをマガジンに装填した後、シート
ステープルをマガジン前部の成形部に供給し、まず前端
のステープルをコ字形に成形し、さらに被綴り材に向け
て打ち込む。

この種のカートリッジ装填構造としては、実開昭63-389
82号公報や実開平1-60880号公報に示されるものが知ら
れている。

これらの技術は、バネを使用してカートリッジを固定す
るもので、カートリッジの前端部を最初にマガジンに当
接させるものであるため、マガジン内に残されたシート
ステープルをカートリッジの先端部で押圧し、マガジン
上のシートステープルを送り方向に対して右又は左に傾
けてしまい、整列状態を乱すおそれがあった。

そのほか、実開平1-156879号公報に示す技術も知られて
いるが、これもまたカートリッジをマガジンに対して前
端部から入れ込んで装着するタイプで、先にマガジン中
に残っているシートステープルにカートリッジの前端部
を当接させて装着させる方式であるから、装填作業の際
にカートリッジがシートステープルに当たって動き、こ
れを送り方向に対して傾けてしまうという現象が発生す
る可能性がある。

シートステープルが傾いて送り方向に対して右を向いた
り、左を向いたりすると、マガジンの成形部や打ち出し
部に対しステープルが傾き状態で供給されるので、成形
不良や打ち出し不良の原因となる。

（考案の目的） 本考案は前記問題点を解消し、特に装填作業が楽で、し
かもマガジン内に残っているシートステープルを動かさ
ないように装填することができる電動ホッチキスにおけ
るカートリッジ装填構造を提供することをその目的とす
る。

（目的を達成するための手段） 前記目的を達成するため、本考案に係る電動ホッチキス
のカートリッジ装填構造は、電動ホッチキスのマガジン
に形成された収納部にシートステープルを内部に積層収
納したカートリッジを装填する装填構造であって、上記
カートリッジの後部下面には突起を下方に突出形成し、
カートリッジの前方には弾性部材を突出形成し、該弾性
部材に係合部を形成するとともに、マガジンのカートリ
ッジ収納部には、上記突起を回動可能に収容する凹部と
上記突起を凹部に収容するように案内する案内溝と、カ
ートリッジの上記突起を上記凹部に収容した状態でカー
トリッジの前部を下方に回動させたときに上記弾性部材
の係合部に係合する受け部とを形成したことを特徴とす
る。

（考案の作用、効果） 前記構成において、カートリッジをマガジンに装填する
ときは、カートリッジの後部下面に突出形成された突起
をマガジンのカートリッジ収納部の案内溝に沿って凹部
に収容させ、その後カートリッジを回動させてカートリ
ッジの前部の弾性部材の係合部をマガジンの受け部に係
合させればよい。すなわち、カートリッジの後部の突起
を凹部に収容させ、この部位を支点としてカートリッジ
の前部を下方に回動させ、このときに弾性部材の係合部
をマガジンの受け部に係合させればよい。

このように、係合部と受け部との係合はカートリッジの
前部が上方から下方に動作するときに行なわれるので、
装填前にマガジンにシートステープルが残っており、該
シートステープルにマガジンが接触するとしても、せい
ぜい係合時に下方に動作したマガジンの前部が上記シー
トステープル上に当接するだけであり、下方動作時の当
接はシートステープルを送り方向に対して傾けるような
作用を及ぼすようなことはない。したがって、本考案に
よれば、カートリッジの装填を楽に行なうことができる
ほか、装填時にマンガン内に残っているシートステープ
ルを動かすことがないので、シートステープルを正確に
送ることができ、ステープルの成形や打ち出しを良好に
行なうことができる。

（実施例） 以下、図面によって本考案の実施例について説明する。

第１図は本考案に係る電動ホッチキスである。この電動
ホッチキスは、真直状のステープルをシート状に連結し
てなるシートステープル１をコ字形に成形した後に打ち
出すもので、シートステープル１を積層収納したカート
リッジ２から順次マガジン３の前端の打ち出し部に送る
送り装置を備えている。なお、マガジン３の前端はフェ
ースプレート49によって覆われ、該フェースプレート49
の背面に上記打ち出し部が形成されている。第１図のフ
ェースプレート49はマガジン３の前部が見えるように開
いた状態を示している。

シートステープル１はカートリッジ２内に積層収納され
ている。カートリッジ２は箱形に形成され、その下面は
開口し、最下段のシートステープル1aはカートリッジ２
の両側壁に形成された突条2aに支持されている。カート
リッジ２の下面開口部7aは前壁下端に形成された最下段
のシートステープル1aの導出口7bと連続している。ま
た、カートリッジ２の下面の後部両側には突起８が下方
に突出形成されている。さらに、カートリッジ２の合成
樹脂製蓋部材の前部にはＵ字形の弾性片（弾性部材）９
が一体に形成され、該弾性片９の自由端側には係合部10
が形成されている。

マガジン３は平面コ字形の基台11の上部内側に配置固定
され、その前部にはＬ字形の支持片12が形成され、該支
持片12と前壁13との間に案内溝14が形成されている。マ
ガジン３の後部にはカートリッジ２の収納部16が設けら
れ、両側壁の後部にはカートリッジ２の突起８を収容す
る凹部17が設けられ、該凹部17は、第２図に示すよう
に、案内溝17aを介してマガジン３の後端に開口してい
る。また、カートリッジ収納部16を構成する前壁13の背
面にはカートリッジ２の弾性片９の係合部10と係合する
受け部15が形成されている。さらに、マガジン３のカー
トリッジ２の収納部16と前端との間には、上記カートリ
ッジ２から導出されたシートステープル１の下面を支持
案内するステープルガイド18が前後方向に形成されてい
る。なお、ステープルガイド18の前端中央部には凸部19
が前方に突出形成されている。

カートリッジ収納部16にカートリッジ２を収納装着する
ときは、カートリッジ２の後部下面に突出した突起８を
マガジン３両側の案内溝17aから導入して凹部17内に収
納し、さらにカートリッジ２の前部の弾性片９の係合部
10をマガジン３の前壁13背面の受け部15に係合させる。
これにより、カートリッジ２は所定の位置にしっかりと
装着される。

このように、係合部10と受け部15との係合はカートリッ
ジ２の前部が上方から下方に動作するときに行なわれる
ので、装填前にマガジン３にシートステープル1b（第３
図参照）が残っており、該シートステープルにマガジン
２が接触するとしても、せいぜい係合時に下方に動作し
たマガジン３の前部が上記シートステープル1b上に当接
するだけであり、下方動作時の当接はシートステープル
1bを送り方向に対して傾けるような作用を及ぼすような
ことはない。したがって、カートリッジ２の装填を楽に
行なうことができるほか、装填時にマガジン３内に残っ
ているシートステープル1bを動かすことがないので、シ
ートステープル1bを正確に送ることができ、ステープル
の成形や打ち出しを良好に行なうことができる。

なお、マガジン３の内部には収納部16に収納されたカー
トリッジ２の内部に積層収納されたシートステープル１
を最下段のものから順次に導出してマガジン３の打ち出
し部に供給する送り装置が設けられている。

この送り装置は、ステープル打ち出し用ドライバ５を駆
動させる駆動機構と連動して同じ方向にのみ回転するラ
チェットホイール20と、該ラチェットホイール20と同軸
上に設けられ且つ上記シートステープル１の下方に位置
する前部送りローラ21と、上記カートリッジ２内の最下
段のシートステープル1aの下面に当接し、上記前部送り
ローラ21と連動して同方向に回転する後部送りローラ22
と、上記前部送りローラ21に対しシートステープル１を
挟んで対峙して配置された従動送りローラ23とから構成
されている。また、第１図に示されるように、前部送り
ローラ21とラチェットホイール20と同軸上に第１の歯車
24が設けられ、該第１の歯車24は中間歯車25を介して後
部送りローラ22と同軸上に設けられた第２の歯車26に噛
合連結している。

駆動機構によりラチェットホイール20を回転させると、
前部送りローラ21とともに第１の歯車24、中間歯車25及
び第２の歯車26による回転伝達により後部送りローラ22
も同方向に回転する。このため、上記最下段のシートス
テープル1aは後部送りローラ22との接触摩擦によりカー
トリッジ２から導出され、マガジン３のステープルガイ
ド18に支持されて前方に送られる。さらに、このシート
ステープル１は前部送りローラ21と従動送りローラ23と
の間に導入され、前部送りローラ21によりさらに前方に
送られ、成形機構（図示せず）によってコ字形に成形さ
れた後、フェースプレート49の背面の打ち出し部に供給
され、ドライバ５によって被綴り材６に向けて打ち出さ
れる。

なお、上記駆動機構は、電動モータの作動により出力軸
M1の歯車32aの回転を、減速歯車32を介して噛合連結さ
れる駆動歯車33に伝達し、駆動歯車33の回転に伴なって
偏心軸36が一対の駆動リンク31a、31bの後端のカム溝37
に沿って摺動し、これにより駆動リンク31a、31bを支軸
30を中心に上下方向に揺動させるものである。この揺動
に伴なって係合爪38も上下動する。その際、下動端でラ
チェットホリール20のラチェットに係合し、上動時にラ
チェットホイール20を一定の回転角だけ回転させる。こ
れにより、前述のように前部送りローラ21及び後部送り
ローラ22が同時に同方向に回転する。係合爪38が再び下
動するときはラチェットには係合しないので、ラチェッ
トホイール20は係合爪38の上動時にのみ同じ方向に回転
する。また、駆動リンク31a、31bの上下動により成形手
段及びドライバ５も駆動される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電動ホッチキスの概要を示す斜視
図、第２図は上記電動ホッチキスのマガジン部分の分解
斜視図、第３図は上記電動ホッチキスの要部の中央縦断
面図である。 符号２……カートリッジ、３……マガジン、８……突
起、９……弾性片、10……係合部、15……受け部、17…
…凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電動ホッチキスのマガジンに形成された収
   納部にシートステープルを内部に積層収納したカートリ
   ッジを装填する装填構造であって、上記カートリッジの
   後部下面には突起を下方に突出形成し、カートリッジの
   前方には弾性部材を突出形成し、該弾性部材に係合部を
   形成するとともに、マガジンのカートリッジ収納部に
   は、上記突起を回動可能に収容する凹部と上記突起を凹
   部に収容するように案内する案内溝と、カートリッジの
   上記突起を上記凹部に収容した状態でカートリッジの前
   部を下方に回動させたときに上記弾性部材の係合部に係
   合する受け部とを形成したことを特徴とする電動ホッチ
   キスのカートリッジ装填構造。