JPH07241607A - 継目無管の高拡管圧延方法 - Google Patents

継目無管の高拡管圧延方法

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JPH07241607A
JPH07241607A JP5831094A JP5831094A JPH07241607A JP H07241607 A JPH07241607 A JP H07241607A JP 5831094 A JP5831094 A JP 5831094A JP 5831094 A JP5831094 A JP 5831094A JP H07241607 A JPH07241607 A JP H07241607A
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JP
Japan
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rolling
pipe
roll
temperature
angle
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Withdrawn
Application number
JP5831094A
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English (en)
Inventor
Akira Yorifuji
章 依藤
Tetsuo Shimizu
哲雄 清水
Takaaki Toyooka
高明 豊岡
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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  • Control Of Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 傾斜圧延機による高拡管圧延において、圧延
後の管外径精度を向上すること。 【構成】 傾斜圧延機を用いて中空素管を高拡管するに
当たり、圧延機入側での実素管温度の設定温度に対する
誤差に応じて圧延ロール進み角を変更し、目標の素管外
径を得るもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、継目無鋼管等の継目無
管の高拡管圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無管の製造工程は、マンネスマン法
が主流となっており、圧延方式によってプラグミル方式
とマンドレルミル方式に大別されるが、基本的には、素
材丸ビレットに孔を明ける穿孔工程と、穿孔された中空
素管を減肉延伸する延伸圧延工程と、延伸圧延された中
空素管を所定の外径にまで絞る、或いは定径する仕上げ
圧延工程からなる。
【0003】プラグミル方式は一般に中径の継目無管の
製造に使用される方式である。この方式では、丸ビレッ
トを加熱炉で加熱し、傾斜圧延機であるマンネスマンピ
アサーにて穿孔圧延し、中空素管とする。得られた中空
素管は必要に応じて、同じく傾斜圧延機であるエロンゲ
ーターにて更に減肉、拡管され、更に一対の孔型圧延ロ
ールを有するプラグミルにより減肉、縮管され、次いで
傾斜圧延機であるリーラーにより若干の減肉とともに拡
管が行なわれ、管内外面の磨管が行なわれる。リーラー
で圧延された素管は再加熱後サイザーにて定径が行なわ
れ製品となる。
【0004】図12は、上述のプラグミル方式圧延ライ
ンの各圧延工程出側における圧延材の外径の変化の一例
を示す説明図である。中空素管を減肉、拡管するエロン
ゲーター、及び減肉、拡管によって磨管するリーラーの
いずれにおいても、拡管率は高々数%から17、18%程度
であるため、広い範囲の外径の製品を得ようとすると、
多種類の外径のビレットが必要となり、生産性を阻害す
る一つの要因であった。そのため、近年素材ビレットサ
イズの減少、設備の簡素化を目的として延伸工程におい
て従来以上に拡管を行なう拡管圧延スケジュールが提案
されている。
【0005】ところが、従来のエロンゲーター、リーラ
ーのようなバレル型のロール形状を持つ傾斜圧延機にお
いては、中空素管を高拡管しようとすると、素管の噛込
み不良、尻抜け不良を起こしたり、フレアリングを生じ
てホローが破れたりすることが知られている。ここで高
拡管とは拡管率Er が 0.15 以上を意味するものとす
る。これは一般に、バレル型ロールを傾斜角βで配置し
た穿孔圧延では、ゴージ部より出側ではロール径は漸次
減少し、周速度が遅くなるため、減肉されて断面積が減
少し、前進速度が増加する被圧延材に対してブレーキを
かける状態となり、その結果被圧延材にねじれが生じ、
断面内には付加的な剪断歪が発生するためとされてい
る。
【0006】近年、これらの問題点を解決し、従来以上
に拡管を行なうため、交叉角を付与したコーン型ロール
を用いた傾斜圧延機による拡管圧延方法が提案されてい
る。コーン型ロールを一定の進み角βで傾斜配置すると
ともに、パスラインに対して交叉角γで交叉配置した傾
斜圧延では、圧延出側に進むほどロール径が漸次大き
く、周速度が速くなるため、被圧延材に対してのブレー
キが軽度になり、被圧延材のねじれや、断面内の付加的
な剪断歪の発生を抑制することが可能となるからであ
る。
【0007】例えば特公平3-77005 には図13、図14
に示すような交叉角を 2°〜35°とし、ロールの輪郭線
を円錐状進入部分と回転双曲面部分とから構成すること
を特徴とする径拡大圧延機が提案されている。この方法
によれば、本来必要となる中間加熱工程が不要となり、
薄肉の大径鋼管を安価に製造することができるとしてい
る。
【0008】一方、特公平5-38647 には、図15に示す
ような円錐台状の縮径部、拡径部、及びサイジング部を
有する2個以上のロールとリーリング部を備えたプラグ
とを少なくとも具備した交叉型傾斜圧延機で、拡管部の
ロール面角α2 をα2 > 5°に、またサイジング部のロ
ール面角α3 をα3 <α2 とし、かつ 0°≦α3 ≦10°
となるように設定するとともに、プラグのリーリング部
をサイジングロール面と対向配置させ、そのリーリング
面角をサイジング部ロール面角α3 に略一致せしめて拡
管穿孔圧延、或いは拡管圧延を行なうことが提案されて
いる。この方法によれば、プラグのリーリング部を長く
設定することが可能となり、然も尻抜け性を向上せしめ
得る結果、偏肉及び外径変動の発生を抑制することがで
きるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、本発明者
の鋭意研究の結果、コーン型ロールを用いることによっ
てバレル型のロールを用いた時に比較して高拡管が可能
となるものの、単に交叉角を付与したコーン型ロールを
用いただけでは、自ら拡管できる範囲に限りがあり、あ
る限界を超えると素管の噛込み不良、尻抜け不良を起こ
したり、フレアリングを生じてホローが破れたりする問
題が残っていた。
【0010】前述の特公平3-77005 では『ロールの輪郭
線を円錐状進入部分と回転双曲面部分とにすることによ
り、ロールのうず巻線は中空体円錐部の形状に無理なく
一致し、その軸線は径拡大用芯金の円錐部の軸線と一致
する。』とだけあり、ロールの輪郭線を円錐状進入部分
と回転双曲面部分とにすることにより具体的にどのよう
な効果が得られるのか不明であり、まして素管の噛込み
不良、尻抜け不良、フレアリングによるホローの破れを
防止する効果があるかどうかは明確ではない。
【0011】一方、特公平 5-38647では『ロールのサイ
ジング部にプラグのリーリング部を対向せしめてあるか
ら、圧延ロールの拡径部全域において積極的に肉厚圧下
を行なうことが可能となり、被圧延材に対する推進力を
高め得て尻詰まり(尻抜け不良)がなく、またリーリン
グ長さを大きく設定し得て偏肉を改善できるばかりか外
径変動をも抑制し得て管品質の大幅な向上を図り得
る。』としているが、尻抜け不良防止に対しては一定の
効果が認められるものの、噛込み不良、フレアリングに
よるホローの破れ防止に対しては効果が認められない。
【0012】また、本発明者の鋭意研究の結果、拡管圧
延機は、継目無鋼管製造用圧延機列の後段ミルに位置し
ており、各被圧延材毎に、圧延履歴の差の集積により拡
管圧延機入側に到着したときの温度が異なる。各被圧延
材間の温度差は、下記(1) 、(2) の理由で、それらの圧
延後外径を異にするものとなる。
【0013】(1) 被圧延材の温度が低い場合、材料の変
形抵抗が高いために圧延荷重が高くなり、ミル伸びが大
きく、ロールとプラグとのギャップが開く。これは、被
圧延材の肉厚圧下量の減少につながる。
【0014】即ち、圧延ロールとプラグとによる肉厚圧
下状態は図5(B)の如くであり、被圧延材がプラグに
接触開始する圧延開始点Oでの入側中空素管肉厚をt
i 、被圧延材がプラグのリリーング部に到着する圧延終
了点Ls での出側管肉厚をtoで表わしてある。そし
て、出側管肉厚は、図5(A)により決定される。線A
は圧延機のミル剛性直線、線Bは被圧延材の変形抵抗曲
線であり、両線A、Bの交点での座標をもって、圧延荷
重Fと出側管肉厚to とが決まる。従って、被圧延材が
低温の場合、変形抵抗曲線はBl のようになり、圧延荷
重Fl はFよりも高く、従ってミル伸びも大きく、出側
管肉厚tolはto より大きく、換言すれば肉厚圧下量
(ti −tol)は(ti −t0 )より減少する。被圧延
材の温度が高い場合には、上記と逆で、肉厚圧下量の増
大につながる。
【0015】(2) 被圧延材の温度が低い場合、上記(1)
により肉厚圧下量が減少すると、図6に示す如くに拡管
率が低減して、被圧延材の外周長の増加分が少なく、ひ
いては圧延後素管の外径が目標値より小となる。
【0016】被圧延材の温度が高い場合、上記と逆に、
圧延後素管の外径は目標値より大となる。
【0017】圧延機入側における各被圧延材間の温度偏
差は約±20℃あり、これによる各被圧延材間の外径偏差
は約± 4%になる。
【0018】尚、上述の管外径変動は、拡管率Er が0.
15以上の高拡管圧延を可能とするコーン型圧延ロールを
用いた高拡管圧延において特に顕著となる。
【0019】本発明は、傾斜圧延機による高拡管圧延に
おいて、圧延後の管外径精度を向上することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、一対の圧延ロールをパスラインに対して進み角βで
傾斜配置するとともに、それらの圧延ロール間のパスラ
イン上にプラグを配置してなる拡管圧延機を用いて、中
空素管を高拡管するに当たり、拡管圧延機入側での素管
温度を設定するとともに、該拡管圧延機入側での実素管
温度を求め、実素管温度の設定温度に対する誤差に応じ
て圧延ロールの進み角を変更し、目標の素管外径を得る
ようにしたものである。
【0021】請求項2に記載の本発明は、一対の圧延ロ
ールをパスラインに対して進み角βで傾斜配置するとと
もに、それらの圧延ロール間のパスライン上にプラグを
配置してなる拡管圧延機を用いて、中空素管を高拡管す
るに当たり、拡管圧延機入側での素管温度を設定すると
ともに、該拡管圧延機入側での実素管温度を求め、実素
管温度の設定温度に対する誤差に応じて圧延ロール間隔
を変更し、目標の素管外径を得るようにしたものであ
る。
【0022】請求項3に記載の本発明は、請求項1又は
2において、前記拡管圧延機が一対の圧延ロールをコー
ン型圧延ロールとし、それら一対のコーン型圧延ロール
をパスラインに対して進み角βで傾斜配置するととも
に、パスラインに対して入側面角α1 と出側面角α2
を有するようにパスラインに対して交叉角γで交叉配置
し、それら一対のコーン型圧延ロール間のパスライン上
にプラグを配置してなるようにしたものである。
【0023】請求項4に記載の本発明は、請求項3にお
いて、 5°≦β≦25°、10°≦γ≦40°、20°≦β+γ
≦50°とするようにしたものである。
【0024】
【作用】本発明者らは、傾斜圧延機を用いて中空素管を
高拡管圧延する際の被圧延材の圧延状況を詳細に検討し
た結果、下記(A) コーン型ロールのロール配置及びロー
ル形状の好適値、 (B)被圧延材の温度誤差に応じた圧延
ロール進み角制御の効果、 (C)被圧延材の温度誤差に応
じた圧延ロール間隔制御の効果を見出した。
【0025】(A) ロール配置及びロール形状の好適値 一対のコーン型圧延ロールをパスラインに対して一定の
進み角βで傾斜配置するとともに、パスラインに対して
入側面角α1 と出側面角α2 とを有するようにパスライ
ンに対して交叉角γで交叉配置し、中空素管を高拡管す
るに当たり、β、γ、β+γを以下の範囲に設定し、5
°≦β≦25°、10°≦γ≦40°、20°≦β+γ≦50°か
つα1 、α2 を以下の範囲に設定するとともに、0.5 °
≦α1 ≦5 °、3 °≦α2 ≦10°、α1 ≦α2 、更に、
減肉率Rt と拡管率Er との間に1 ≦Er /Rt ≦3 、
但し Rt =(ti-to )/ti 、Er =(Do-Di
/Di 、ti :入側中空素管肉厚、Di :入側中空素管
外径、to :出側管肉厚、Do :出側管外径なる関係を
満足させることにより、噛込み不良、尻抜け不良、フレ
アリングによるホローの破れの発生を著しく防止し、高
拡管圧延することができることを見出した。
【0026】即ち、図1〜図3に示すようなコーン型ロ
ールのゴ−ジ部直径DR が700mm 、ロールバレル長さL
R が600mm 、入側端からゴージ部までのロール長さL1
が250mm 、入側面角α1 が 3°、出側面角α2 が 5°、
交叉角γが20°、進み角βが15°の傾斜圧延機で、直径
H が80〜120mm 、肉厚tH が15〜40mmの中空素管を被
圧延材としてロール間隙Eとプラグ先進量Lとを種々変
更して減肉率Rt 、拡管率Er を変化させて拡管圧延
し、噛込み不良、フレアリングによるホロー破れの発生
状況を調査した。横軸にRt 、縦軸にEr をとり整理し
た結果を図16に示す。
【0027】図より明らかなように、一対のコーン型圧
延ロールを一定の進み角βで傾斜配置するとともに、γ
で交叉配置する管の傾斜圧延方法において、減肉率Rt
と拡管率Er を1 ≦Er /Rt ≦3 の間の範囲に選ぶこ
とにより、噛込み不良、尻抜け不良、フレアリングによ
るホロー破れを回避することができ、圧延設定の自由度
を高めることが可能となる。
【0028】本発明において、5 °≦β≦25°、10°≦
γ≦40°、20°≦β+γ≦50°とするのは以下の理由に
よる。一定範囲内では、進み角β、交叉角γ、及びその
和β+γが大きくなるほど被圧延材のねじれや、断面内
の付加的な剪断歪を小さくさせることが可能となり、フ
レアリングによるホロー破れ防止に対して効果がある。
然しながら、β<5 °、又はγ<10°、又はβ+γ<20
°ではその効果が十分でなく、フレアリングによるホロ
ー破れが発生し易くなる。従って、βの下限は5 °、γ
の下限は10°、β+γの下限は20°とする。一方、β>
25°、又はγ>40°又はβ+γ>50°では、被圧延材の
ねじれが逆向きに大きくなり、断面内の付加的な剪断歪
も逆方向へ発生するため、かえってフレアリングによる
ホロー破れが発生し易くなる。従って、βは25°、γは
40°、β+γは50°を超えないものとする。
【0029】0.5 °≦α1 ≦5 °とするのは以下の理由
による。入側面角α1 は被圧延材の噛込み性に重要な影
響を与える。α1 が 5°を超えると噛込み時に被圧延材
が急激に圧下され、変形に要する圧延ロールからの抗力
が圧延ロールから伝達される前進方向の推力を上回るた
め、噛込み不良が起こり易くなる。従って、α1 は 5°
を超えないものとする。一方、α1 が小さくなりすぎる
と、前進方向の推力に必要な被圧延材の外径圧下量を得
ようとするためには入側のロールバレルをかなり長くす
る必要があるため、設備建設費が高くなり実用的でなく
なる。従って、α1 の下限は0.5 °とする。
【0030】3 °≦α2 ≦10°とするのは以下の理由に
よる。出側面角α2 が大きいほど、拡管量に対して必要
な出側のロールバレルを短くすることができ、設備を小
型化することが可能であるが、あまり大きすぎるとかえ
ってフレアリングによるホロー破れが発生し易くなる。
従って、α2 は10°を超えないものとする。一方、α2
が小さすぎると所定の拡管量を得ようとするためには出
側のロールバレルをかなり長くする必要があるため、設
備建設費が高くなり実用的でなくなる。従って、α2
下限は 3°とする。
【0031】α1 ≦α2 とするのは以下の理由による。
出側面角α2 が入側面角α1 よりも小さくなると、所定
の拡管量を得ようとするためには出側面角α2 が入側面
角α1 よりも大きい場合と比較してロールバレル長が相
対的に長くなる。従って、α1 はα2 を超えないものと
する。
【0032】(B) 被圧延材の温度誤差に応じた圧延ロー
ル進み角制御の効果 図1〜図3に示すようなコーン型ロールのゴージ部直径
r が350mm 、プラグ径DP が43mm、ゴ−ジEが36mm、
進み角βが10°、 交叉角γが20°の傾斜圧延機で、鋼
種:低炭素鋼とSUS304 のそれぞれについて、入側外
径Di が40mm、入側肉厚ti が8mm 、入側長Lが250mm
の中空素管を拡管圧延するモデル実験を行なった。
【0033】このモデル実験では、圧延機入側での素管
温度θを850 ℃、900 ℃、950 ℃、1000℃の4段階に変
化させ、かつ圧延ロール進み角βを 5°、10°、15°、
20°の4段階に変化させ、各素管温度θ、進み角βにお
いて、圧延された素管外径D0 を調査した。低炭素鋼に
ついては表2を、SUS 304については表3を得た。こ
の結果、低炭素鋼、SUS304 のいずれにおいても、素
管温度θが高くなるにつれて管外径D0 は大となり、ま
た進み角βが大きくなるにつれて管外径D0 は大となる
ことが認められる。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】即ち、圧延前管外径をDi 、圧延後管外径
をD0 、圧延前管肉厚をti 、圧延後管肉厚をt0 、素
管の設定温度をθ、実素管温度をθ* 、温度誤差(θ*
−θ)をΔθ、圧延ロール周速をVR 、鋼種をmとする
とき、温度誤差Δθに基づく素管外径の変動量ΔDo
(D* o−Do )は下記(1) 式で表わされる。 ΔDo =f1 (Di 、Do 、ti 、to 、θ、Δθ、VR 、m) …(1)
【0037】また、素管外径D0 は上述した表2、表3
のモデル実験の結果から明らかなように、進み角βの変
更により調整できる。これは、例えば圧延ロールの進み
角βを小とすることにより、ロール出側での真のロール
間隔E* を小とし、圧延出側素管の外径Do を縮小化で
きる。図17(A)のβ小におけるE* sと、図17
(B)のβ大におけるE* lとは、E* s<E* lである。従
って、下記(2) 式が成立する。 ΔDo =f2 (Di 、Do 、ti 、to 、θ、β、VR 、m) …(2)
【0038】従って、本発明では、「拡管圧延機入側で
の素管温度を設定するとともに、該拡管圧延機入側での
実素管温度を求め、実素管温度の設定温度に対する誤差
に応じて圧延ロール進み角を変更すること」により、拡
管圧延機入側での実素管温度の設定温度に対する誤差Δ
θに起因する(1) 式の外径変動量ΔD0 を、(2) 式の進
み角βの調整により相殺して目標の素管外径を得ること
とした。このとき、進み角βの制御量Δβは下記(3) 式
の如くになる。 Δβ=g1 (Di 、Do 、ti 、to 、θ、Δθ、VR 、m) …(3)
【0039】尚、本発明によるこの被圧延材の温度誤差
に応じた圧延ロール進み角制御の効果は、圧延ロールと
してコーン型ロールを用いることにより拡管率Er が0.
15以上の高拡管圧延を施すとき特に有効である。但し、
この被圧延材の温度誤差に応じた圧延ロール進み角制御
の効果は、圧延ロールとしてバレル型ロールを用いる場
合にも有用である。
【0040】(C) 被圧延材の温度誤差に応じた圧延ロー
ル間隔制御の効果 図1〜図3に示すようなコーン型ロールのゴージ部直径
r が350mm 、プラグ径DP が43mm、ゴ−ジEが36mm、
進み角βが10度、 交叉角が20°の傾斜圧延機で、鋼種:
低炭素鋼とSUS304 のそれぞれについて、入側外径D
i の40mm、入側肉厚ti が8mm 、入側長Lが250mm の中
空素管を拡管圧延するモデル実験を行なった。
【0041】このモデル実験では、圧延機入側での素管
温度θを850 ℃、900 ℃、950 ℃、1000℃の4段階に変
化させ、かつ圧延ロール間隔Eを34mm、35mm、36mm、37
mmの4段階に変化させ、各素管温度θ、ロール間隔Eに
おいて、圧延された素管外径D0 を調査した。低炭素鋼
については表4を、SUS 304については表5を得た。
この結果、低炭素鋼、SUS304 のいずれにおいても、
素管温度θが高くなるにつれて管外径D0 は大となり、
またロール間隔Eが大きくなるにつれて管外径D0 は小
となることが認められる。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】即ち、圧延前管外径をDi 、圧延後管外径
をD0 、圧延前管肉厚をti 、圧延後管肉厚をt0 、素
管の設定温度をθ、実素管温度をθ* 、温度誤差(θ*
−θ)をΔθ、圧延ロール周速をVr 、鋼種をmとする
とき、温度誤差Δθに基づく素管外径の変動量ΔDo
(D* o−Do )は下記(1) 式で表わされる。 ΔDo =f1 (Dt 、Do 、ti 、to 、θ、Δθ、VR 、m) …(1)
【0045】また、素管外径D0 は上述した表4、表5
のモデル実験の結果から明らかなように、ロール間隔E
の変更により調整できる。これは、例えばロール間隔E
を小とすることにより、ロール出側での真のロール間隔
* を小とし、圧延出側素管の外径Do を縮小化でき
る。従って、下記(4) 式が成立する。 ΔDo =f3 (Di 、Do 、ti 、to 、θ、E、VR 、g) …(4)
【0046】従って、本発明では、「拡管圧延機入側で
の素管温度を設定するとともに、該拡管圧延機入側での
実素管温度を求め、実素管温度の設定温度に対する誤差
に応じて圧延ロール間隔を変更すること」により、拡管
圧延機入側での実素管温度の設定温度に対する誤差Δθ
に起因する(1) 式の外径変動量ΔD0 を、(3) 式のロー
ル間隔Eの調整により相殺して目標の素管外径を得るこ
ととした。このとき、ロール間隔Eの制御量ΔEは下記
(5) 式の如くになる。 ΔE=g2 (Di 、Do 、ti 、to 、θ、Δθ、VR 、m) …(5)
【0047】尚、本発明によるこの被圧延材の温度誤差
に応じた圧延ロール間隔制御の効果は、圧延ロールとし
てコーン型ロールを用いることにより拡管率Er が0.15
以上の高拡管圧延を施すとき特に有効である。但し、こ
の被圧延材の温度誤差に応じた圧延ロール間隔制御の効
果は、圧延ロールとしてバレル型ロールを用いる場合に
も有用である。
【0048】また、本発明の効果は、圧延ロールととも
に用いるシューの形式にはよらず、従って、ディスクロ
ールシュー、固定シュー、ローラーシューのいずれを用
いても良い。
【0049】
【実施例】図1は本発明に係る傾斜圧延機を示す平面
図、図2は図1の側面図、図3は図1の圧延方向から見
た正面図、図4は本発明による圧延ロール進み角変更制
御回路図である。
【0050】(第1実施例)図1〜図3では、ゴージ部
の直径がDR である一対のコーン型圧延ロール31A、
31Bをパスラインに対して一定の進み角βで傾斜配置
するとともに、入側面角α1 と出側面角α2 とを有する
ようにパスラインに対して交叉角γで交叉配置し、上記
両圧延ロール31A、31Bが形成する圧延領域の両側
に固定シュー33A、33Bを配置した。尚、圧延ロー
ル31A、31Bは直径DR の部分をロール軸方向での
直径変化の変曲点とし、この直径DR をゴージ部に合致
させている。そして、両圧延ロール31A、31Bの間
にプラグ34を配置し、両圧延ロール31A、31Bの
ゴージ部ロール間隙Eで中空素管32Aを傾斜圧延し、
拡管圧延後中空素管32Bを得た。
【0051】このとき、本発明例では、5 °≦β≦25
°、10°≦γ≦40°、20°≦β+γ≦50°、0.5 °≦α
1 ≦5 °、3 °≦α2 ≦10°、α1 ≦α2 とした。ま
た、減肉率Rt と拡管率Er とを、1 ≦Er /Rt ≦3
とした。
【0052】以下、本実施例の作用効果について説明す
る。即ち、図1に示すコーン型圧延ロールのゴージ部直
径DR が700mm の傾斜圧延機で、交叉角γ、進み角β、
入側面角α1 、出側面角α2 を表1に示すように変更
し、更に直径DH が80〜120mm、肉厚tH が15〜40mmの
中空素管を被圧延材としてロール間隙Eとプラグ先進量
Lとを種々変更して減肉率Rt 、拡管率Er を変化させ
て拡管圧延した。そのときの噛込み不良、尻抜け不良、
フレアリングによるホロー破れの発生状況の有無を合わ
せて表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】(第2実施例)図4において、40は演算
制御回路であり、演算制御回路40はロールケース傾動
回路41を介して圧延ロール31A、31Bのロールケ
ース傾動装置42を制御し、圧延ロール31A、31B
の進み角βを制御する。また、演算制御回路40は、こ
の拡管圧延機のライン上流側に位置する中間加熱炉43
の出側に設けた温度検出器44が検出する被圧延材の温
度θ1 を得て、この検出温度θ1 から拡管圧延機入側で
の実素管温度θ2 を予測計算して求める。
【0055】但し、本発明の実施において、拡管圧延機
入側での実素管温度θ2 は、拡管圧延機入側に設けた温
度検出器により直接的に検出するものであっても良い。
【0056】そして、演算制御回路40は、上述の実素
管温度θ2 の設定温度(目標温度)θに対する誤差Δθ
に応じて、前述(3) 式に基づいて変更すべき進み角制御
量Δβを求め、ロールケース傾動装置42によりこの進
み角制御量Δβだけ圧延ロール31A、31Bの進み角
βを変更し、目標素管外径Do を得る。
【0057】即ち、従来法により炭素鋼を2500本、SU
S304 を500 本、素管温度を880 〜950 ℃の範囲で変化
させ、各被圧延材の外径偏差を、炭素鋼については図7
(A)、SUS304 については図8(A)を得た。
【0058】また、演算制御回路40を用いた本発明法
により炭素鋼を2500本、SUS304を500 本、素管温度
を880 〜950 ℃の範囲で変化させ、各被圧延材の外径偏
差を、炭素鋼については図7(B)、SUS304 につい
ては図8(B)を得た。
【0059】尚、圧延ロールとしては図1〜図3のコー
ン型ロールを用い、ロールのゴージ部直径DR を700mm
、プラグ径DP を50mm、進み角βを15°、交叉角γを2
0℃とし、圧延前中空素管32Aの入側外径Di を70m
m、入側肉厚ti を30mm、圧延後素管32Bの目標出側
外径Do を90mm、出側肉厚to を15mmとした。
【0060】図7、図8によれば、本発明の実施によ
り、素管温度の変動による各被圧延材間での外径偏差を
± 3%以下に抑制できることを認めた。
【0061】(第3実施例)図9において、40は演算
制御回路であり、演算制御回路40はロールケース移動
回路51を介して圧延ロール31A、31Bのロールケ
ース移動装置52を制御し、圧延ロール31A、31B
のロール間隔Eを制御する。
【0062】また、演算制御回路40は、この拡管圧延
機のライン十流側に位置する中間加熱炉43の出側に設
けた温度検出器44が検出する被圧延材の温度θ1 を得
て、この検出温度θ1 から拡管圧延機入側での実素管温
度θ2 を予測計算して求める。
【0063】但し、本発明の実施において、拡管圧延機
入側での実素管温度θ2 は、拡管圧延機入側に設けた温
度検出器により直接的に検出するものであっても良い。
【0064】そして、演算制御回路40は、上述の実素
管温度θ2 の設定温度(目標温度)θに対する誤差Δθ
に応じて、前述(5) 式に基づいて変更すべきロール間隔
制御量ΔEを求め、ロールケース移動装置52によりこ
の進み角制御量ΔEだけ圧延ロール31A、31Bのロ
ール間隔Eを変更し、目標素管外径Do を得る。
【0065】即ち、従来法により炭素鋼を2500本、SU
S304 を500 本、素管温度を880 〜950 ℃の範囲で変化
させ、各被圧延材の外径偏差を、炭素鋼については図1
0(A)、SUS304 については図11(A)を得た。
【0066】また、演算制御回路40を用いた本発明法
により炭素鋼を2500本、SUS304を500 本、素管温度
を880 〜950 ℃の範囲で変化させ、各被圧延材の外径偏
差を、炭素鋼については図10(B)、SUS304 につ
いては図11(B)を得た。
【0067】尚、圧延ロールとしては、図1〜図3のコ
ーン型ロールを用い、ロールのゴージ部直径Dr を700m
m 、プラグ径DP を50mm、進み角βを15°、交叉角γを
20℃とし、圧延前中空素管32Aの入側外径Di を70m
m、入側肉厚ti を30mm、圧延後素管32Bの目標出側
外径Do を90mm、出側肉厚to を15mmとした。
【0068】図10、図11によれば、本発明の実施に
より、素管温度の変動による各被圧延材間での外径偏差
を± 3%以下に抑制できることを認めた。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、傾斜圧延
機による高拡管圧延において、圧延後の管外径精度を向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る傾斜圧延機を示す平面図で
ある。
【図2】図2は図1の側面図である。
【図3】図3は図1の圧延方向から見た正面図である。
【図4】図4は本発明による圧延ロール進み角変更制御
回路図である。
【図5】図5は圧延機のミル剛性直線と被圧延材の変形
抵抗曲線とを示す線図である。
【図6】図6は肉厚圧下量と拡管率との関係を示す線図
である。
【図7】図7は炭素鋼における各被圧延材間の外径偏差
を示す度数分布図である。
【図8】図8はSUS304 における各被圧延材間の外径
偏差を示す度数分布図である。
【図9】図9は本発明による圧延ロール間隔変更制御回
路図である。
【図10】図10は炭素鋼における各被圧延材間の外径
偏差を示す度数分布図である。
【図11】図11はSUS304 における各被圧延材間の
外径偏差を示す度数分布図である。
【図12】図12は従来のプラグミル方式による圧延ラ
インの各圧延工程出側における被圧延材の外径の変化の
一例を示す線図である。
【図13】図13は従来の傾斜圧延機を示す模式図であ
る。
【図14】図14は図13の圧延ロールを示す模式図で
ある。
【図15】図15は従来の他の傾斜圧延機を示す模式図
である。
【図16】図16は減肉率と拡管率を変化させて拡管圧
延したときの噛込み不良、尻抜け不良、フレアリングに
よるホロー破れの発生状況を示す線図である。
【図17】図17は圧延ロール進み角と圧延ロール間隔
との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
31A、31B 圧延ロール 32A、32B 中空素管 33A、33B 固定シュー 34 プラグ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の圧延ロールをパスラインに対して
    進み角βで傾斜配置するとともに、それらの圧延ロール
    間のパスライン上にプラグを配置してなる拡管圧延機を
    用いて、中空素管を高拡管するに当たり、 拡管圧延機入側での素管温度を設定するとともに、該拡
    管圧延機入側での実素管温度を求め、 実素管温度の設定温度に対する誤差に応じて圧延ロール
    の進み角を変更し、目標の素管外径を得ることを特徴と
    する継目無管の高拡管圧延方法。
  2. 【請求項2】 一対の圧延ロールをパスラインに対して
    進み角βで傾斜配置するとともに、それらの圧延ロール
    間のパスライン上にプラグを配置してなる拡管圧延機を
    用いて、中空素管を高拡管するに当たり、 拡管圧延機入側での素管温度を設定するとともに、該拡
    管圧延機入側での実素管温度を求め、 実素管温度の設定温度に対する誤差に応じて圧延ロール
    間隔を変更し、目標の素管外径を得ることを特徴とする
    継目無管の高拡管圧延方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記拡管圧延
    機が一対の圧延ロールをコーン型圧延ロールとし、それ
    ら一対のコーン型圧延ロールをパスラインに対して進み
    角βで傾斜配置するとともに、パスラインに対して入側
    面角α1 と出側面角α2 とを有するようにパスラインに
    対して交叉角γで交叉配置し、それら一対のコーン型圧
    延ロール間のパスライン上にプラグを配置してなるもの
    である継目無管の高拡管圧延方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 5°≦β≦25°、10
    °≦γ≦40°、20°≦β+γ≦50°とする継目無管の高
    拡管圧延方法。
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