JPH07240308A - 希土類鉄系永久磁石 - Google Patents

希土類鉄系永久磁石

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JPH07240308A
JPH07240308A JP7030195A JP3019595A JPH07240308A JP H07240308 A JPH07240308 A JP H07240308A JP 7030195 A JP7030195 A JP 7030195A JP 3019595 A JP3019595 A JP 3019595A JP H07240308 A JPH07240308 A JP H07240308A
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勲 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 希土類元素10〜40重量%と硼素0.1〜
8重量%とCo,Cr,Al,Ti,Zr,Hf,N
b,Ta,V,Mn,Mo,W,Ru,Rh,Re,P
d,Os,Irから選ばれた少なくとも一種の元素20
重量%以下及び残部実質的に鉄からなる希土類鉄系永久
磁石において、合金組織を実質的に強磁性Fe ric
h相と非磁性R rich相の2相組織とする。 【効果】 高いBHmax を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は希土類鉄系永久磁石に関
する。
【0002】
【従来の技術】R2 (CoCuFeM)17型等の希土類
コバルト系磁石は高性能磁石として良く知られている。
この希土類コバルト系磁石は、最大エネルギー積BH
max が大きくても30MGOe程度である。近年の各種
電子機器における小型化、高性能化の要求は強く、さら
に大きいBHmax を有する等の高性能磁石の開発が望ま
れていた。またこの希土類コバルト系磁石は比較的高価
なCoを大量に用いるため、コスト的にも問題があっ
た。
【0003】このような要望に答えて近年鉄を主体とし
た希土類磁石の研究が各所で行なわれている(特開昭5
9−46008号等)。この永久磁石は、Nd,Prな
どの希土類元素及び硼素を含む残部実質的に鉄からなる
ものであり、BHmax が30MGOeを越えるものを
得ることができ、また、Coに比べ安価なFeを主体と
しているため、高性能磁石を低コストで得ることがで
き、非常に有望な材料である。より優れた特性を得るた
め、Coの添加(特開昭59−64733号)、Al,
Ti,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Nb,Ta,M
o,Ge,Sb,Sn,Bi,Ni,W添加(特開昭5
9−89401号,特開昭59−132104号)、C
u,S,C,Pの添加(特開昭59−132105号,
特開昭59−163803号)さらにそれらの組合わせ
(特開昭59−163804号,特開昭59−1638
05号)等の組成面からの研究がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの希土
類鉄系永久磁石に対しても、より高いBHmax 等、高性
能化への要求は強く、各所で開発が進められている。
【0005】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、より優れた磁気特性を有する希土類鉄系永久磁石を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】従来の希土類鉄
系磁石は、強磁性Fe rich相,R rich相及びB ri
ch相の3相組織をとっていることが知られている(IE
EE Trans Magn. MAG−20,1584(198
4)。各相の量は組成,製造条件等で変化する。本発明
者等はこの組織と磁気特性との関係に着目して研究を進
めた。その結果、強磁性Fe rich相のマトリックスと
非磁性R rich相との2相組織をとるとき、すなわちB
rich相が実質的に存在しない組織構造をとるとき、特
異的に最大エネルギー積BHmax が大きく、磁気特性の
向上した希土類鉄系永久磁石を得ることができることを
見出した。
【0007】すなわち本発明は希土類元素R(イットリ
ウム(Y)を含む)と硼素B,Co,Cr,Al,T
i,Zr,Hf,Nb,Ta,V,Mn,Mo,W,R
u,Rh,Re,Pd,Os,Irから選ばれた少なく
とも一種の元素及び残部鉄Feからなる永久磁石の合金
組織が実質的に強磁性Fe rich相と非磁性R rich相
との2相組織であることを特徴とするものである。
【0008】以下にRとしてネオジウム(Nd)を用い
た場合について説明する。従来の希土類鉄系永久磁石で
は、金属間化合物であるNd2 Fe14Bの正方晶系の強
磁性Fe rich相、R80〜90%以上、例えばNd97
Fe3 〜Nd80Fe20のような組成を有する立方晶系の
非磁性R rich相さらに金属間化合物であるNd2 Fe
7 6 ,R1+εFe4 4 (ε<1)などの正方晶系の
B rich相の3相組織をとっていた。本発明ではこのB
rich相の実質的に含まない組織構造をとる。他のR成
分を用いた場合もNdのサイトがいれかわり、実質的に
同様の構造をとる。
【0009】本発明磁石は強磁性Fe rich相が主相を
なし、このマトリックス中に非磁性R rich相が存在す
る形となる。Fe rich相の量は磁束密度に関係してお
り、多ければ磁束密度は高くなる。R rich相は焼結性
ひいては磁束密度に寄与すると同時に保磁力にも関与し
ている。この両者は必要不可欠の相である。
【0010】図1は組織とBHmax との関係を示す。同
図中実線(イ)はR rich相の存在量を3vol.%に固定
し、B rich相を変化させたものである。また破線
(ロ)はB rich相の存在量を3vol.%に固定しR ri
ch相の存在量を変化させたものである。同図実線(イ)
から明らかなように、Fe rich相及びR rich相で構
成されているとき特異的にBHmax が大きくなることが
わかる。これに対し、破線(ロ)からわかるように、B
rich相を含む場合は、R rich相を変化させても磁気
特性に劣ることがわかる。また同図からわかるようにB
rich相を含まない場合が最良であるが、実質的にB
rich相を含まなければ優れた特性を得ることができるた
め、B rich相は存在したとしても1vol.%以下、さら
には0.5vol.%以下が好ましい。また高BHmax 達成
のためR rich相は2〜5vol.%更には2.5〜5vol.
%の範囲が好ましい。なお、通常の磁石では酸化物,ボ
イドなどの相が存在するが、これらは磁気特性には好影
響を与えないため、できるだけ少ない方が好ましく、多
くてもB rich相程度の1vol.%以下とすることが望ま
しい。
【0011】一方本発明に係る永久磁石合金組成は、F
e rich相とR rich相の2相組織が形成されるように
設定され、実質的にR10〜40重量%,B0.1〜8
重量%,Co,Cr,Al,Ti,Zr,Hf,Nb,
Ta,V,Mn,Mo,W,Ru,Rh,Re,Pd,
Os,Irから選ばれた少なくとも一種の元素20重量
%以下、及び残部Feの組成をとるものを用いる。
【0012】Rが10重量%未満では保磁力が小さく、
40重量%を越えてしまうとBrが低下し、BHmax
低下してしまう。従ってRは10〜40重量%とするこ
とが必要である。
【0013】又、希土類元素の中でも、Nd及びPrは
特に高BHmax を得るのに有効であり、Rとしてこの2
元素の少なくとも一種を含有することが好ましい。この
Nd,Pr特にNdのR量中の割合は70at.%以上
(R量全部でも良い)であることが好ましい。
【0014】又、硼素(B)が0.1重量%未満ではi
Hcが低下してしまい、8重量%を越えるとBrの低下
が顕著となるので、B量は0.1〜8重量%とすること
が必要である。
【0015】なお、Bの一部をC,N,Si,P,Ge
等で置換することも可能である。これにより焼結性の向
上ひいてはBr,BHmax の増大を図ることができる。
この場合の置換量はBの80at.%程度までである。
【0016】又、B量は本発明磁石の2相構造を形成す
るのに重要な役割を果たし、好ましくは1重量%以下
で、R成分によりその量が決まり、R=Ndのときは5
〜6at.%が好ましい。
【0017】さらに本発明永久磁石においては、R−F
e−Bの三元系を基本とする永久磁石合金に対する添加
物として、Co,Cr,Al,Ti,Zr,Hf,N
b,Ta,V,Mn,Mo,W,Ru,Rh,Re,P
d,Os,Irの少なくとも一種が添加される。このよ
うな添加物はその特性により、B,Fe,R成分と置換
した形で各相中にはいる。ただし、あまり多量の添加は
BHmax 低下等の磁気特性の劣化の要因となるため、添
加量は合金中の20重量%程度までである。特にCo,
Ru,Rh,Pd,Re,Os,Irはキュリー温度の
上昇に寄与し、磁気特性の温度特性向上に有効である。
またCr,Alは耐食性向上に有効である。またTiは
キュリー温度向上,保磁力増大に有効であり、温度特性
を向上するのに有効である。特にCo,Alは磁気特性
の向上に寄与し、Coは合金中の1〜20重量%程度,
Alは0.4〜2重量%程度が好ましい。
【0018】本発明永久磁石は以下のごとくに製造され
る。
【0019】まず、R,Fe,B等を所定量含む永久磁
石合金を製造する。次いでボールミル等の粉砕手段を用
いて永久磁石合金を粉砕する。この際、後工程と焼結を
容易にし、かつ、磁気特性を良好とするために、得られ
る粉体の平均粒径は2〜10μm程度とすることが好ま
しい。粒径が10μmを越えると磁束密度の低減をもた
らし、又、2μm以下の粉砕は困難であるとともに、保
磁力等の磁気特性の低下をまねく。
【0020】この永久磁石合金中の酸素含有量は重要で
ある。酸素量が多いと保磁力が低下してしまい。高BH
max を得ることができなくなるため、0.03重量%以
下であることが好ましい。又、あまり少ないと原料合金
の粉砕が困難になり、製造コストの大幅な上昇をもたら
す。粉砕は2〜10μm程度の微粉砕が要求されるが、
酸素量が少ないと微粉砕が困難であり、粒径も不均一と
なり、磁場中成形時の配向性の低下に伴なうBrの減
少、ひいてはBHmax の低下をもたらす。従って酸素量
は0.005〜0.03重量%が好ましい。なおこの酸
素量はあくまで原料合金中のものであり、最終製品では
これより大となるのが一般的である。
【0021】酸素の永久磁石合金中の働きは明らかでは
ないものの、以下のごとくの振舞により、高性能の永久
磁石を得ることができるものと推測される。
【0022】すなわち、溶解合金中の酸素の一部は主成
分元素であるR,Fe原子と結合して酸化物となり、残
りの酸素とともに合金結晶粒界等に偏析して存在してい
ると考えられる。特にR rich相に吸収され、磁気特性
を阻外してしまう。R−Fe−B系磁石が微粒子磁石で
あり、その保磁力が主として逆磁区発生磁場により決定
されることを考慮すると、酸化物、偏析等の欠陥が多い
場合、これらが逆磁区発生源として作用することにより
保磁力が低下してしまうと考えられる。又、欠陥が少な
い場合は粒界破壊等が起こりにくくなるため、粉砕性が
劣化すると予想される。
【0023】永久磁石合金中の酸素量は高純度の原料を
用いるとともに、原料合金溶解時の炉中酸素量を厳密に
制御することにより、コントロールすることができる。
【0024】次に前述の工程で得られた粉体を所望の形
状に成形する。成形の際には通常の焼結磁石を製造する
のと同様に、例えば15kOe程度を印加し、配向処理
を行なう。次いで1000℃〜1200℃、0.5〜5
時間程度の条件で成形体を焼結する。
【0025】この焼結は酸化等の防止のためArガス等
の不活性ガス雰囲気中又は10-1torr以下程度の真
空中で行なうことが好ましい。焼結後は50℃/min
以上の冷却速度で冷却を行なうことが好ましい。
【0026】さらに磁気特性改善のため、焼結体に40
0℃〜1100℃、1〜10時間程度の時効処理を行な
っても良い。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0028】実施例1 純度99.9%以上のNd32.6重量%,純度99.
8%以上のB0.97重量%,Co14.4重量%,A
l0.59重量%,残部がFeからなる合金をアルゴン
雰囲気中でアーク溶解し、20meshのふるいを通る
程度に粗粉砕した。粉砕後の粉末を有機溶媒中でボール
ミル粉砕し、平均粒度3μmの微粉末とした。この粉末
を15kOeの磁場中でプレスし、成形体を得た。次い
で、300℃×1Hで真空脱ガス後、500torrの
アルゴン雰囲気中1100℃×1Hの条件で焼結し、8
0℃/minで室温まで冷却し500℃×1Hの時効処
理を施し、本発明永久磁石を得た。
【0029】一方、同じく組成がNd33.2重量%、
B1.34重量%,Co14.6重量%,Al0.76
重量%,残部が鉄である永久磁石を製造し、これを比較
例1とした。
【0030】それぞれの磁石の磁気特性および金属組織
に関する諸量を表1に示す。
【0031】
【表1】 表1から明らかなように、B rich相が実質的に存
在しない本発明の実施例の方が高BHmax を実現でき
る。
【0032】実施例2 アルゴン雰囲気中で高周波溶解により最終組成が表2で
ある各種合金を溶解した。これをブラウンミルで粗粉砕
した後、窒素雰囲気中でジェットミル粉砕を行ない、平
均粒径3μm程度の微粉末を得た。この微粉末を10k
Oeの磁界中で配向させ、配向方向と直角方向に1t/
cm2 の圧力でプレス成形し、異方性の成形体を得た。次
いで、この成形体を10-2torr以下の真空中105
0℃〜1150℃の温度において1時間から2時間焼結
を行ない、50℃/min.程度の冷却速度で500℃
〜700℃まで冷却し、その温度範囲で1〜3時間時効
処理を行なった後、室温まで冷却した。得られた磁石の
磁気特性(最大エネルギー積BHmax )及び各磁石構成
相の体積比率を表2に合わせて示す。表2から、得られ
た磁石ではB rich相が実質的に存在せず、いずれ
も高BHmax を実現していることが判る。なおここで、
各相のvol%は以下のようにして決定した。
【0033】まず走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて
磁石断面の反射電子像(組成像)を撮影した。一般的に
反射電子像では、原子番号の大きい元素が主体の相(R
rich相など)からなる領域では明るく、反対に原
子番号の小さい元素が主体の相(B rich相など)
からなる領域では暗くなることから、像の明暗により容
易に各相の分布状態を判別できる。今回はこれを利用し
て反射電子像を撮影後、視野内の各相の面積率を測定し
た。
【0034】同時に、各々各相と判別された領域の組成
分析をEPMA(波長分散型エネルギー分光法)により
確認し、これを画像解析にかけることで、上記反射電子
像で測定した領域に対応する領域について各々の相の面
積比率を算出、反射電子像から算出された面積比率と比
較し、測定誤差の範囲で両者が一致することを確認し
た。
【0035】これらの測定を複数(≧10)の磁石断面
について行ない全体としての存在比率を算出し、これら
の平均値をもって各相の体積比率とした。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、B
rich相を極力減少し、Fe rich相及びR
rich相の実質的2相組織とすることで、高いBH
max を実現できる希土類鉄系永久磁石を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】組織とBHmax の相関を示す特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/053

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イットリウムを含む希土類元素から選ばれ
    た少なくとも一種の元素R10〜40重量%と硼素0.
    1〜8重量%とCo,Cr,Al,Ti,Zr,Hf,
    Nb,Ta,V,Mn,Mo,W,Ru,Rh,Re,
    Pd,Os,Irから選ばれた少なくとも一種の元素2
    0重量%以下及び残部実質的に鉄からなる希土類鉄系永
    久磁石において、合金組織が実質的にR2 Fe14Bの結
    晶構造を持つ強磁性Fe rich相からなる主相と、非磁
    性R rich相とからなり、合金組織中のB rich相の存
    在量が1vol.%以下であることを特徴とする希土類鉄系
    永久磁石。
  2. 【請求項2】合金組織中の非磁性R rich相の存在量が
    2〜5vol.%であることを特徴とする請求項1記載の希
    土類鉄系永久磁石。
  3. 【請求項3】合金組織中の強磁性Fe rich相が96.
    5vol.%以上であることを特徴とする請求項1記載の希
    土類鉄系永久磁石。
  4. 【請求項4】BH max が38.0MGOe以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の希土類鉄系永久磁石。
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