JPH07238969A - エアスプリング装置 - Google Patents

エアスプリング装置

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JPH07238969A
JPH07238969A JP5518394A JP5518394A JPH07238969A JP H07238969 A JPH07238969 A JP H07238969A JP 5518394 A JP5518394 A JP 5518394A JP 5518394 A JP5518394 A JP 5518394A JP H07238969 A JPH07238969 A JP H07238969A
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cylinder
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隆 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね定数を自動的に変化させることができる
ようにして良路では硬く、悪路では軟らかい乗り心地が
得られるというように、路面状況に応じて常に快適な乗
り心地及び良好な操縦安定性が得られるようにし、しか
も複雑かつ高価な電子制御等を行う必要がなく、構造が
極めて簡易なエアスプリング装置を得ることである。 【構成】 ダイヤフラム室2cの下方にロアタンク3を
設け、その中央部に中空のシリンダ4を設け、該シリン
ダ4のシリンダ室4fに摺動自在にピストン5を設け、
該ピストン5の上側のシリンダ室4fと下側の圧力室4
gとの間の圧力差を利用して車輛の高周波振動の場合と
低周波振動の場合とで該ピストン5の位置を変えること
で、ばね定数を自動的に変化させる構成を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアスプリング装置に
係り、特にダイヤフラム室の下方に設けたロアタンクと
その中央部に設けたシリンダ内のピストンの位置を、圧
力差を利用して車輛の高周波振動の場合と低周波振動の
場合とで変えることで、ばね定数を自動的に変化させる
ことができるようにして悪路では硬く、良路では軟らか
い乗り心地が得られるというように、路面状況に応じて
常に快適な乗り心地及び良好な操縦安定性が得られるよ
うにし、しかも複雑かつ高価な電子制御等を行う必要が
なく、構造が極めて簡易なエアスプリング装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、観光バス、長距離バス、大型トラ
ックの一部、高級乗用車等の車輛には、軟らかな乗り心
地が得られるエアスプリング装置が採用されているが、
構造の簡単なものでは、エアスプリング装置の伸縮自在
なダイヤフラムの容積は一定であり、路面状況に応じて
ばね定数を変えるということは不可能であった。
【0003】このため、悪路での乗り心地を重視した設
計にすると、良路でのばね定数が小さ過ぎて車輛が揺れ
過ぎたりして快適な乗り心地及び良好な操縦安定性が得
られず、また逆に良路での乗り心地を重視した設計にす
ると、悪路でのばね定数が大き過ぎてごつごつ感が出て
快適な乗り心地が得られないという欠点があった。
【0004】一方このような欠点を解消するため、一部
の高級なエアスプリング装置においては、ダイヤフラム
の外部に特定の容積を有する補助タンクを設け、該補助
タンクとダイヤフラムとの間に電磁弁を配置して、該電
磁弁をコンピュータにより開閉制御して、軟らかい乗り
心地が欲しいとき(車輛の高周波振動時)には該電磁弁
を開いてダイヤフラム室と補助タンク室とを連通させて
エアスプリングとしての容積を増大させ、また硬い乗り
心地が欲しいとき(車輛の低周波振動時)には該電磁弁
を閉じてダイヤフラム室と補助タンク室との連通を遮断
してエアスプリングとしての容積を減少させるようにし
たエアスプリング装置が実用化されている。
【0005】しかしこのような電子制御を伴なう高級な
エアスプリング装置では、各種のセンサやマイクロコン
ピュータ、電磁弁、アクチュエータ等のかなり高価な部
品を多く必要とし、コストが高く付くという欠点があ
り、特に高級な車種にしか使用できないという不具合が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の欠点を除くためになされたものであって、その
目的とするところは、伸縮自在なダイヤフラムと、該ダ
イヤフラムの下部に固着されダイヤフラムのダイヤフラ
ム室の容積よりも小さい容積をもつロアタンク室を備え
たロアタンクと、該ロアタンクの中央部に一体的に設け
られダイヤフラム室とロアタンク室とに連通する中空の
シリンダと、該シリンダのシリンダ室に摺動自在に収容
され板厚方向に貫通しエアの流路抵抗を非常に大きくし
たオリフィスを有し摺動位置によってダイヤフラム室と
ロアタンク室とを連通させ又は該連通を遮断するように
構成したピストンと、シリンダと一体の底板から該ピス
トンを上方に押圧付勢して支持するばねとを備え、該ば
ねで支持されたピストンとシリンダの底板との間にオリ
フィスによりシリンダ室に連通する圧力室を形成し、該
圧力室内の圧力とシリンダ室内の圧力との差により低周
波振動の場合と高周波振動の場合とでピストンの上下位
置を変化させてダイヤフラム室とロアタンク室とを連通
させ又は該連通を遮断することでばね定数を変化させる
ように構成することによって、良路走行時のように硬い
乗り心地が欲しいときにはエアスプリングとしての容積
が自動的に減少してばね定数が大きくなり、悪路走行時
のように軟らかい乗り心地が欲しいときにはエアスプリ
ングとしての容積が自動的に増大してばね定数が小さく
なるようにすることであり、またこれによって電磁弁、
各種のセンサ、コンピュータ等の高価な部品を使用する
ことなく、安価な構成により車輛からの振動の状態を感
知してばね定数を自動的に変化させることができる優れ
たエアスプリング装置を得ることである。
【0007】また他の目的は、ロアタンクの中央に設け
られたシリンダの上部にダイヤフラム室と連通する第1
の連通穴を設け、該シリンダの下部にはロアタンク室と
連通する第2の連通穴と、該第2の連通穴に隣接してダ
イヤフラム室に連通する第3の連通穴を設け、かつシリ
ンダ室に摺動自在に収容されたピストンの外周部には第
2の連通穴と第3の連通穴にまたがりこれらを連通させ
る連通溝を形成することによって、ピストンの板厚方向
に貫通して設けられたオリフィスの効果により、ピスト
ンの上側のシリンダ室とピストンの下側の圧力室との間
の圧力差の有無を検出して、ピストンの摺動位置を定
め、該ピストンにより第2の連通穴及び第3の連通穴の
開閉を自動的に行わせ、ダイヤフラム室とロアタンク室
とを連通させ又は該連通を遮断することにより、極めて
簡単な構成により確実に路面からの高周波振動と低周波
振動とを識別してばね定数を自動的に変化させることが
できるようにすることであり、またこれによっていかな
る路面状況においても常に快適な乗り心地及び良好な操
縦安定性が得られるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】要するに本発明(請求項
1)は、伸縮自在なダイヤフラムと、該ダイヤフラムの
下部に固着され前記ダイヤフラムのダイヤフラム室の容
積よりも小さい容積をもつロアタンク室を備えたロアタ
ンクと、該ロアタンクの中央部に一体的に設けられ前記
ダイヤフラム室と前記ロアタンク室とに連通する中空の
シリンダと、該シリンダのシリンダ室に摺動自在に収容
され板厚方向に貫通しエアの流路抵抗を非常に大きくし
たオリフィスを有し摺動位置によって前記ダイヤフラム
室と前記ロアタンク室とを連通させ又は該連通を遮断す
るように構成したピストンと、前記シリンダと一体の底
板から該ピストンを上方に押圧付勢して支持するばねと
を備え、該ばねで支持された前記ピストンと前記シリン
ダの底板との間に前記オリフィスにより前記シリンダ室
に連通する圧力室を形成し、該圧力室内の圧力と前記シ
リンダ室内の圧力との差により高周波振動の場合と低周
波振動の場合とで前記ピストンの上下位置を変化させて
前記ダイヤフラム室と前記ロアタンク室とを連通させ又
は該連通を遮断することでばね定数を変化させるように
構成したことを特徴とするものである。
【0009】また本発明(請求項2)は、伸縮自在なダ
イヤフラムと、該ダイヤフラムの下部に固着され前記ダ
イヤフラムのダイヤフラム室の容積よりも小さい容積を
もつロアタンク室を備えたロアタンクと、該ロアタンク
の中央部に一体的に設けられ前記ロアタンクよりも高く
形成され前記ダイヤフラム室に連通する第1の連通穴を
上部に有すると共に前記ロアタンク室に連通する第2の
連通穴と該第2の連通穴に隣接して形成され前記ダイヤ
フラム室に連通する第3の連通穴とを下部に有する中空
のシリンダと、該シリンダのシリンダ室に摺動自在に収
容され板厚方向に貫通しエアの流路抵抗を非常に大きく
したオリフィスを有すると共に前記シリンダの前記第2
の連通穴及び前記第3の連通穴とにまたがってこれらを
連通させるに十分な幅の連通溝を外周部に有するピスト
ンと、前記シリンダと一体の底板から該ピストンを上方
に押圧付勢して支持するばねとを備え、該ばねで支持さ
れた前記ピストンと前記シリンダの底板との間に前記オ
リフィスにより前記シリンダ室に連通する圧力室を形成
し、該圧力室内の圧力と前記シリンダ室内の圧力との差
により高周波振動の場合と低周波振動の場合とで前記ピ
ストンの上下位置を変化させて前記ダイヤフラム室と前
記ロアタンク室とを連通させ又は該連通を遮断すること
でばね定数を変化させるように構成したことを特徴とす
るものである。
【0010】
【作用】車輛の走行中に、ダイヤフラムが伸縮すると、
ときにはシリンダ室と圧力室との間に圧力差が生ずる
が、ときにはこの圧力差が生じない。この圧力差の有無
によりピストンの摺動位置が異なることになる。
【0011】即ち、良路走行中のように、路面からの振
動(車体の振動)が低周波振動の場合には、ダイヤフラ
ム室からシリンダ室に入り込むエアの流速は遅いので、
ゆっくりとオリフィスの中を通って圧力室内に入り込
む。
【0012】この結果、ダイヤフラムの圧縮時も伸張時
も共に、シリンダ室と圧力室との間には圧力差が生じな
い。このためピストンはばねにより支持されままの位置
を保ち、第2の連通穴を閉じるので、ダイヤフラム室及
びシリンダ室とロアタンク室とは連通せず、エアスプリ
ングとしての容積は小さくなり、ばね定数は大きくな
り、硬い乗り心地が得られる。
【0013】また悪路走行中のように、路面からの振動
(車体の振動)が高周波振動の場合には、ダイヤフラム
室からシリンダ室に入り込むエア又はシリンダ室からダ
イヤフラム室に入り込むエアの流速が非常に速いので、
オリフィスの中を通過するエアはわずかとなってオリフ
ィスの絞り効果が発揮され、シリンダ室の圧力は急速に
増大するか又は減少するのに対して圧力室の圧力は以前
のままに保持されるので、シリンダ室と圧力室との間に
は圧力差が生じる。
【0014】この結果、ダイヤフラムの圧縮時には、シ
リンダ室の圧力が圧力室の圧力よりも高くなるので、ピ
ストンが下降して第2の連通穴が開かれてシリンダ室と
ロアタンク室とが連通し、エアスプリングとしての容積
が増大し、ばね定数は小さくなり、軟らかい乗り心地が
得られる。
【0015】またダイヤフラムの伸張時には、シリンダ
室の圧力が圧力室の圧力よりも低くなるので、ピストン
が上昇して第2の連通穴と第3の連通穴とを連通させて
ダイヤフラム室とロアタンク室とが直接連通し、エアス
プリングとしての容積が増大し、ばね定数は小さくな
り、軟らかい乗り心地が得られる。
【0016】このようにして、本発明では、高価なセン
サ、電磁弁、コンピュータ等を一切用いることなく、路
面からの振動の状況に応じて自動的にエアスプリングの
ばね定数を変化させることができるから、極めて簡易か
つ安価な構成により高級な制御を行ったと同様に、あら
ゆる車輛の走行条件において、快適な乗り心地及び良好
な操縦安定性を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明
する。本発明に係るエアスプリング装置1は、ダイヤフ
ラム2と、ロアタンク3と、シリンダ4と、ピストン5
と、ばね6とを備えている。
【0018】ダイヤフラム2は、ゴム等の材料を用いて
伸縮自在に構成され、上部には鉄板等で形成された天井
板8が固着され、該天井板は車輛のばね上部材、即ちシ
ャシフレーム(図示せず)等に固定されている。
【0019】また天井板8の一部には、サージタンク
(図示せず)等の予備タンク又はエア圧源(図示せず)
に接続されるエアホース9が連通接続されており、また
底部2aは、大きな穴2bにより開口し、この穴2b以
外の底部2aが車輛のばね下部材の一部となるロアタン
ク3に機密状態で固着されている。
【0020】ロアタンク3は、ダイヤフラム2の下部、
即ち底部2aに固着され、ダイヤフラム2のダイヤフラ
ム室2cの容積よりも小さい容積を持つロアタンク室3
cを備えたものであり、該ロアタンク室は底板3aによ
り密閉され、円筒形に形成されている。
【0021】シリンダ4は、ロアタンク3の中央部に一
体的に設けられており、ロアタンク3よりも高く形成さ
れ、ダイヤフラム室2cに連通する第1の連通穴4aを
上部に有すると共に、ロアタンク室3cに連通する第2
の連通穴4bと該第2の連通穴4bに隣接して形成され
ダイヤフラム室2cに連通する第3の連通穴4cとを下
部に有するものであり、上端部4dにはエアスプリング
としてのストローク規制パッド10がボルト11及びナ
ット12により固定され、下部には底板13が機密状態
で固着され、円筒形に形成されている。
【0022】連通穴4cは、連通パイプ4eにより直接
ダイヤフラム室2cに連通しているが、該連通パイプ4
eの周囲はロアタンク室3cそのものであり、第2の連
通穴4bのロアタンク室3cに対する連通は連通パイプ
4eにより遮断されてはいない。
【0023】また第1の連通穴4a、第2の連通穴4b
及び第3の連通穴4cは夫々1個ずつでも、また図示の
ように複数形成してもよい。
【0024】ピストン5は、シリンダ4のシリンダ室4
fに摺動自在に収容されており、板厚方向に貫通しエア
の流路抵抗を非常に大きくしたオリフィス5fを有する
と共に、シリンダ4の第2の連通穴4b及び第3の連通
穴4cとにまたがってこれらを連通させるに十分な幅の
連通溝5aを外周部5hに有するものであって、該ピス
トンの下方であって、底板13との間に圧力室4gが形
成されるようになっている。
【0025】そしてシリンダ室4fと圧力室4gとは、
ピストン5のオリフィス5fによってのみ連通してお
り、このオリフィス5fは、ピストン5の直径に対して
非常に小さく形成され、例えばオリフィス5fの直径は
ピストン5の直径の約30分の1程度に設定される。
【0026】またオリフィス5fの数は1個でも複数で
もよいが、オリフィス5fの通路面積の合計は、ピスト
ン5の重量やばね6の付勢力の大きさ及びシリンダ室4
fと圧力室4gの圧力差の値等により適宜設定される。
【0027】ばね6は、シリンダ4と一体の底板13か
らピストン5を上方に押圧付勢して支持するためのもの
であって、図示の実施例では複数の等径の金属製コイル
ばねを使用しているが、これは等径のコイルばねに限定
されるものではなく、長さ方向に直径の異なるコイルば
ねでもよく、またコイルばね以外の金属製のばね、例え
ば板ばねや皿ばね又は非金属材料であるゴム等の弾性体
であってもよい。
【0028】またばね6のばね定数及びピストン5に対
する押圧付勢力の大きさは、ピストン5の重量及びダイ
ヤフラム室2c及びシリンダ室4fの圧力の大きさ、オ
リフィス5fの通路面積の合計等により適宜定められ
る。
【0029】本発明は、以上の構成を主要部とし、ばね
6で支持されたピストン5とシリンダ4の底板13との
間にオリフィス5fによりシリンダ室4fに連通する圧
力室4gを形成し、該圧力室4g内の圧力とシリンダ室
4f内の圧力との差により高周波振動の場合と低周波振
動の場合とでピストン5の上下位置を変化させてダイヤ
フラム室2cとロアタンク室3cとを連通させ又は該連
通を遮断することでエアスプリング装置1のばね定数を
変化させるように構成したものである。
【0030】本発明は、上記のように構成されており、
以下その作用について説明する。図1において、エア圧
源からエアホース9によりダイヤフラム2のダイヤフラ
ム室2cに適宜な量のエアが供給されると、ダイヤフラ
ム2は膨張し、エアスプリングとしての機能を発揮し得
る状態となる。このときエアは第1の連通穴4aからシ
リンダ4のシリンダ室4fにも供給され、またピストン
5のオリフィス5fを通って圧力室4gにもエアが供給
され、これらの各室はすべて同一の圧力に保たれる。
【0031】この結果シリンダ室4fと圧力室4gとの
間には圧力差はなく、ピストン5の下側には上側と同一
の上向きの力が作用しているので、ばね6の押圧付勢力
は、ピストン5の重量を支持する程度の大きさでよいこ
とになる。
【0032】そこで車輛が走行を開始すると、走行中に
ダイヤフラム2が伸縮すると、ときにはシリンダ室4f
と圧力室4gとの間に圧力差が生ずるが、ときにはこの
圧力差が生じない。この圧力差の有無によりピストン5
の摺動位置、即ち上下位置が異なることになる。
【0033】まず、図2を参照して、車輛が良路を走行
しており、ダイヤフラム2が圧縮される場合について説
明すると、路面からの振動(車体の振動)は低周波振動
となり、この場合には、ダイヤフラム室2cからシリン
ダ室4fに入り込むエアの流速は遅いので、矢印Aの如
く、ゆっくりとオリフィス5fの中を通って圧力室4g
内に入り込む。
【0034】この結果、シリンダ室4fと圧力室4gと
の間には圧力差が生じない。このためピストン5はばね
6により支持されたままの位置を保ち、第2の連通穴4
b及び第3の連通穴4cを閉じるので、ダイヤフラム室
2c及びシリンダ室4fとロアタンク室3cとは連通せ
ず、エアスプリングとしての容積は小さくなり、ばね定
数は大きくなり、硬い乗り心地及び良好な操縦安定性が
得られる。
【0035】次に、図3を参照して、車輛が良路を走行
しており、ダイヤフラム2が伸張する場合について説明
すると、路面からの振動(車体の振動)は低周波振動と
なり、この場合には、シリンダ室4fからダイヤフラム
室2cに矢印Bの如く入り込むエアの流速は遅いので、
矢印Bの如く、圧力室4gからもゆっくりとオリフィス
5fの中を通ってシリンダ室4f内に入り込む。
【0036】この結果、シリンダ室4fと圧力室4gと
の間には圧力差が生じない。このためピストン5はばね
6により支持されたままの位置を保ち、第2の連通穴4
b及び第3の連通穴4cを閉じるので、ダイヤフラム室
2c及びシリンダ室4fとロアタンク室3cとは連通せ
ず、エアスプリングとしての容積は小さくなり、ばね定
数は大きくなり、硬い乗り心地及び良好な操縦安定性が
得られる。
【0037】また悪路走行中のように、路面からの振動
(車体の振動)が高周波振動の場合には、ダイヤフラム
室2cからシリンダ室4fに入り込むエア又はシリンダ
室4fからダイヤフラム室2cに入り込むエアの流速が
非常に速いので、オリフィス5fの中を通過するエアは
わずかとなってオリフィス5fの絞り効果が発揮され、
シリンダ室4fの圧力は急速に増大するか又は減少する
のに対して圧力室4gの圧力は以前のままに保持される
ので、シリンダ室4fと圧力室4gとの間には圧力差が
生じる。
【0038】図4を参照して、ダイヤフラム2の圧縮時
には、ダイヤフラム室2cからは矢印Cの如く、急速に
エアがシリンダ室4fに流入するが、オリフィス5fの
流路は非常に狭いので、わずかしかエアが圧力室4gに
は流れない。
【0039】このためシリンダ室4fの圧力が圧力室4
gの圧力よりも高くなるので、ピストン5がばね6の力
に抗して該ばねを圧縮しながら下降して第2の連通穴4
bが開かれ、シリンダ室4fとロアタンク室3cとが連
通し、エアは矢印Dの如くロアタンク室3c内にも流入
し得るようになり、エアスプリングとしての容積が増大
し、ばね定数は小さくなり、軟らかい乗り心地が得られ
る。
【0040】また図5を参照して、ダイヤフラム2の伸
張時には、ダイヤフラム室2c内が急速に負圧になるの
で、シリンダ室4f内のエアは矢印Eの如く急速にダイ
ヤフラム室2c内に流入する。
【0041】このためシリンダ室4f内は負圧となり、
ばね6の押圧付勢力も加わってピストン5は矢印Fの如
く上昇し、連通溝5gが第2の連通穴4bと第3の連通
穴4cとを連通させ、この結果ロアタンク室3c内のエ
アは矢印Gの如く第2の連通穴4bから第3の連通穴4
cに入り、連通パイプ4eを通って直接ダイヤフラム室
2c内に流入する。
【0042】この結果、エアスプリングとしての容積が
増大し、ばね定数は小さくなり、軟らかい乗り心地が得
られる。
【0043】このようにして、本発明エアスプリング装
置1では、高価なセンサ、電磁弁、コンピュータ等を一
切用いることなく、路面からの振動の状況に応じて自動
的にエアスプリングのばね定数を変化させることがてき
るから、極めて簡易かつ安価な構成により高級な制御を
行ったと同様に、あらゆる車輛の走行条件において、快
適な乗り心地を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、上記のように伸縮自在なダイ
ヤフラムと、該ダイヤフラムの下部に固着されダイヤフ
ラムのダイヤフラム室の容積よりも小さい容積をもつロ
アタンク室を備えたロアタンクと、該ロアタンクの中央
部に一体的に設けられダイヤフラム室とロアタンク室と
に連通する中空のシリンダと、該シリンダのシリンダ室
に摺動自在に収容され板厚方向に貫通しエアの流路抵抗
を非常に大きくしたオリフィスを有し摺動位置によって
ダイヤフラム室とロアタンク室とを連通させ又は該連通
を遮断するように構成したピストンと、シリンダと一体
の底板から該ピストンを上方に押圧付勢して支持するば
ねとを備え、該ばねで支持されたピストンとシリンダの
底板との間にオリフィスによりシリンダ室に連通する圧
力室を形成し、該圧力室内の圧力とシリンダ室内の圧力
との差により高周波振動の場合と低周波振動の場合とで
ピストンの上下位置を変化させてダイヤフラム室とロア
タンク室とを連通させ又は該連通を遮断することでばね
定数を変化させるように構成したので、良路走行時のよ
うに硬い乗り心地が欲しいときにはエアスプリングとし
ての容積が自動的に減少してばね定数が大きくなり、悪
路走行時のように軟らかい乗り心地が欲しいときにはエ
アスプリングとしての容積が自動的に増大してばね定数
が小さくなるようにすることができ、またこの結果電磁
弁、各種のセンサ、コンピュータ等の高価な部品を使用
することなく、安価な構成により車輛からの振動の状態
を感知してばね定数を自動的に変化させることができる
優れたエアスプリング装置を得ることができる効果があ
る。
【0045】またロアタンクの中央に設けられたシリン
ダの上部にダイヤフラム室と連通する第1の連通穴を設
け、該シリンダの下部にはロアタンク室と連通する第2
の連通穴と、該第2の連通穴に隣接してダイヤフラム室
に連通する第3の連通穴を設け、かつシリンダ室に摺動
自在に収容されたピストンの外周部には第2の連通穴と
第3の連通穴にまたがりこれらを連通させる連通溝を形
成することにより、ピストンの板厚方向に貫通して設け
られたオリフィスの効果により、ピストンの上側のシリ
ンダ室とピストンの下側の圧力室との間の圧力差の有無
を検出して、ピストンの摺動位置を定め、該ピストンに
より第2の連通穴及び第3の連通穴の開閉を自動的に行
わせ、ダイヤフラム室とロアタンク室とを連通させ又は
該連通を遮断するようにしたので、極めて簡単な構成に
より確実に路面からの高周波振動と低周波振動とを識別
してばね定数を自動的に変化させることができる効果が
あり、またこの結果いかなる路面状況においても常に快
適な乗り心地及び良好な操縦安定性が得られるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアスプリング装置の構成を示す縦断面図であ
る。
【図2】図2から図5はエアスプリング装置の作用を示
し、図2は低周波振動の場合のダイヤフラムの圧縮状態
を示す縦断面図である。
【図3】低周波振動の場合のダイヤフラムの伸張状態を
示す縦断面図である。
【図4】高周波振動の場合のダイヤフラムの圧縮状態を
示す縦断面図である。
【図5】高周波振動の場合のダイヤフラムの伸張状態を
示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 エアスプリング装置 2 ダイヤフラム 2c ダイヤフラム室 3 ロアタンク 3c ロアタンク室 4 シリンダ 4a 第1の連通穴 4b 第2の連通穴 4c 第3の連通穴 4f シリンダ室 4g 圧力室 5 ピストン 5a 連通溝 5f オリフィス 5h 外周部 6 ばね 13 底板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸縮自在なダイヤフラムと、該ダイヤフ
    ラムの下部に固着され前記ダイヤフラムのダイヤフラム
    室の容積よりも小さい容積をもつロアタンク室を備えた
    ロアタンクと、該ロアタンクの中央部に一体的に設けら
    れ前記ダイヤフラム室と前記ロアタンク室とに連通する
    中空のシリンダと、該シリンダのシリンダ室に摺動自在
    に収容され板厚方向に貫通しエアの流路抵抗を非常に大
    きくしたオリフィスを有し摺動位置によって前記ダイヤ
    フラム室と前記ロアタンク室とを連通させ又は該連通を
    遮断するように構成したピストンと、前記シリンダと一
    体の底板から該ピストンを上方に押圧付勢して支持する
    ばねとを備え、該ばねで支持された前記ピストンと前記
    シリンダの底板との間に前記オリフィスにより前記シリ
    ンダ室に連通する圧力室を形成し、該圧力室内の圧力と
    前記シリンダ室内の圧力との差により高周波振動の場合
    と低周波振動の場合とで前記ピストンの上下位置を変化
    させて前記ダイヤフラム室と前記ロアタンク室とを連通
    させ又は該連通を遮断することでばね定数を変化させる
    ように構成したことを特徴とするエアスプリング装置。
  2. 【請求項2】 伸縮自在なダイヤフラムと、該ダイヤフ
    ラムの下部に固着され前記ダイヤフラムのダイヤフラム
    室の容積よりも小さい容積をもつロアタンク室を備えた
    ロアタンクと、該ロアタンクの中央部に一体的に設けら
    れ前記ロアタンクよりも高く形成され前記ダイヤフラム
    室に連通する第1の連通穴を上部に有すると共に前記ロ
    アタンク室に連通する第2の連通穴と該第2の連通穴に
    隣接して形成され前記ダイヤフラム室に連通する第3の
    連通穴とを下部に有する中空のシリンダと、該シリンダ
    のシリンダ室に摺動自在に収容され板厚方向に貫通しエ
    アの流路抵抗を非常に大きくしたオリフィスを有すると
    共に前記シリンダの前記第2の連通穴及び前記第3の連
    通穴とにまたがってこれらを連通させるに十分な幅の連
    通溝を外周部に有するピストンと、前記シリンダと一体
    の底板から該ピストンを上方に押圧付勢して支持するば
    ねとを備え、該ばねで支持された前記ピストンと前記シ
    リンダの底板との間に前記オリフィスにより前記シリン
    ダ室に連通する圧力室を形成し、該圧力室内の圧力と前
    記シリンダ室内の圧力との差により高周波振動の場合と
    低周波振動の場合とで前記ピストンの上下位置を変化さ
    せて前記ダイヤフラム室と前記ロアタンク室とを連通さ
    せ又は該連通を遮断することでばね定数を変化させるよ
    うに構成したことを特徴とするエアスプリング装置。
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