JPH08210418A - サスペンションの振動減衰装置 - Google Patents

サスペンションの振動減衰装置

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JPH08210418A
JPH08210418A JP1606195A JP1606195A JPH08210418A JP H08210418 A JPH08210418 A JP H08210418A JP 1606195 A JP1606195 A JP 1606195A JP 1606195 A JP1606195 A JP 1606195A JP H08210418 A JPH08210418 A JP H08210418A
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JP
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chamber
cylinder
oil
control valve
suspension
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JP1606195A
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English (en)
Inventor
Eiichi Yasuda
栄一 安田
Shunichi Doi
俊一 土居
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Publication of JPH08210418A publication Critical patent/JPH08210418A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ばね下の共振周波数を越える振動に対して減衰
力が過大になることを防止して、車体および乗員への振
動の伝達を遮断する。 【構成】伸びる時、上作動室30の体積は減少し、下作
動室33の体積は増加するため、下作動室33内の作動
油が穴45、油路18、制御弁9、油路20、チェック
バルブ54を通過し、下作動室33に流入する。この時
の減衰力は、シリンダ29の面積からピストンロッド1
7の面積を減算した面積差と制御弁9で降下した圧力差
との積となる。縮む時、作動油はチェックバルブ49を
通過して下作動室33から上作動室30に流入し、ピス
トンロッド17が進入した体積に相当する作動油は、穴
45、油路18、制御弁9を通過し、リザーバ1の油室
6に流入し、フリーピストン5を押し上げる。この時の
減衰力は、ピストンロッド17の面積と制御弁9で降下
した圧力差との積となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サスペンションの振動
減衰装置に係り、特に、ばね下の共振周波数を越える振
動に対しても減衰力が過大にならずに制振効果が期待で
きるサスペンションの振動減衰装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとしている課題】従
来のサスペンションの振動減衰装置として、特開平1−
193423号公報に示された減衰力可変式サスペンシ
ョン制御装置は、中空のピストンロッドの中に形成され
た2本の油路と、ばね上側に配設した油路絞り制御弁及
びリザーバとを設けて構成されている。
【0003】特開平1−111513号公報に示された
気液流体利用アクティブサスペンションは、油圧シリン
ダに減衰力を制御する絞り弁を介して連通されたアキュ
ームレータ(ガスばね)と、油圧シリンダ内の圧力を所
定の指令値に制御するための流量制御弁または圧力制御
弁と、コントーラと、油圧供給装置とから構成されてい
る。
【0004】また、特開平2−95919号公報に示さ
れた気液流体利用サスペンション装置は、2つのリザー
バを設け、ばね上とばね下との制振に必要な減衰定数を
分離して設定している。
【0005】上記従来の減衰力可変式サスペンション制
御装置(特開平1−193423号公報)を用いた1自
由度系のモデルにおいて、制御弁が応答し得ない場合に
は、図4(a)に示すように、ばね定数K1 のばねと減
衰係数C1 のダンパとからなる等価モデルに置き換える
ことができる。この等価モデルにおいて、サスペンショ
ン変位Xに対するサスペンション力Fの伝達関数は次の
(1)式で表され、その周波数ゲイン特性は図4(b)
に示すように路面入力周波数fが高くなるに従って一様
にゲインが高くなる。ただし、Sはラプラス演算子であ
る。
【0006】F=K1 X+C1 (dX/dt) F/X=K1 +C1 S ・・・(1) このように、従来の減衰力可変式サスペンション制御装
置では、制御弁が応答し得ない高周波振動に対しては、
車体への振動伝達力が大きくなり、乗心地が悪化する、
という問題がある。
【0007】また、上記従来の気液流体利用サスペンシ
ョン装置(特開平1−111513号公報)を用いた上
記と同様な1自由度系のモデルにおいて、流量制御弁ま
たは圧力制御弁が応答し得ない場合には、図5(a)に
示すように、ばね定数K1 のばねと減衰係数C1 、C2
の2つのダンパとからなる等価モデルに置き換えること
ができる。この等価モデルにおいて、サスペンション変
位Xに対するサスペンション力Fの伝達関数は次の
(2)式で表され、その周波数ゲイン特性は図5(b)
に示すように路面入力周波数fが高くなるに従って一様
にゲインが高くなる。ただし、Sはラプラス演算子であ
る。
【0008】 F/X=C2 (K1 +C1 S)/(K1 +(C1 +C2 )S)・・・(2) このように、従来の気液流体利用サスペンション装置で
は、制御弁が応答し得ない高周波数振動に対しては車体
への振動伝達力が大きくなり、乗心地が悪化する、とい
う問題がある。
【0009】すなわち、上記従来のサスペンション装置
は、車両の姿勢を制御し操縦安定性及び乗心地を改善す
るものであるが、油路絞り開度制御弁、流量制御弁また
は圧力制御弁が応答し得ないような、路面からの周波数
の高い細かな変位振動入力対しては有効に制御できな
い、という問題があった。
【0010】さらに、上記従来の気液流体利用サスペン
ション装置(特開平2−95919号公報)では、高周
波振動における車体への振動伝達力を減少させるため
に、図6(a)に示したばね定数K1 のばねと減衰係数
1 のダンパとの並列要素に、新たにばね定数K2 のば
ねと減衰係数C2 のダンパとの並列要素を直列に付加す
るものである。この時のサスペンション変位Xに対する
サスペンション力Fの伝達関数は次の(3)式で表され
る。
【0011】 F/X=Kk (1+T1 S)(1+T3 S)/(1+T2 S)・・・(3) ここで、T1 =C1 /K12 =(C1 +C2 )/(K1 +K2 ) T3 =C2 /K2 Kk =K1 2 /(K1 +K2 ) この伝達関数は、1次進み要素を2個(1+T1 S)、
(1+T3 S)、1次遅れ要素を1個1/(1+T
2 S)備えている。周波数特性は、図6(b)に示すよ
うに、1次進み要素の項は、時定数T1 、T3 で定まる
折れ点周波数f21=1/(2πT1 )、及びf23=1/
(2πT3 )を越えると6dB/octの勾配でゲイン
が増加する特性であるのに対して、1次遅れ要素の項は
時定数T2 で決まる折れ点周波数f22=1/(2π
2 )を越えると−6dB/octの勾配でゲインが減
少する特性である。
【0012】ここで、折れ点周波数f22は折れ点周波数
21を決定するC1 、K1 と、折れ点周波数f23を決定
するC2 、K2 とにより一義的に定まるもので、折れ点
周波数f21、f23の間の値になる。折れ点周波数f22
23間のゲイン特性は折れ点周波数f21を決定する分子
の1次進み要素と分母の1次遅れ要素のゲイン特性で相
殺され、図6(b)に示すように、一定のゲイン特性に
なる。
【0013】この気液流体利用サスペンション装置にお
いては、折れ点周波数f21をばね上の共振周波数(1.
2Hz近傍)とし、折れ点周波数f23をばね下の共振周
波数(10Hz近傍)としているため、ばね下の共振周
波数である10Hz以上を越える高周波域において、ゲ
インが高くなり、車体への振動伝達力が大きくなって振
動を伝達し易くなるため、制振効果は期待できない、と
いう問題がある。
【0014】本発明は上記問題点を解決するために成さ
れたもので、油路絞り開度制御弁、流量制御弁または圧
力制御弁が応答し得ないような路面からの周波数の高い
細かな振動入力により発生する圧力変動を吸収させ、ば
ね下の共振周波数を越える振動に対して減衰力が過大に
なることを防止して、車体および乗員への振動を遮断す
ることができるサスペンションの振動減衰装置を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体が収納されたシリンダと、前記シリ
ンダ内を第1シリンダ室と第2シリンダ室とに分割しか
つ該シリンダ内に摺動可能に収納されたピストンと、前
記ピストンに形成されて前記シリンダの第1のシリンダ
室側から突出されたピストンロッドと、前記第1のシリ
ンダ室と前記第2のシリンダ室とを連通する連通路と、
第1のガス室を有しかつ前記連通路の途中に接続された
第1のリザーバと、前記連通路に設けられると共に、ば
ね下の共振周波数以下の周波数の振動に対して減衰作用
を有する第1の絞りと、ばね下の共振周波数を越える周
波数の振動に対して減衰作用を有する第2の絞りと、第
2のガス室を有しかつ前記第2の絞りを介して前記第2
のシリンダ室に連通された第2のリザーバと、を含んで
構成したもにである。
【0016】
【作用】本発明は、車体に伝達される抑制したい高周波
振動の周波数(通常、20〜100Hz)に合わせて、
ばね定数K1 、K2 及び減衰係数C1 、C2 を設計すれ
ば振動及び乗心地を大幅に改善することができることに
着眼して成されたものである。
【0017】本発明によれば、第1の絞りによって、ば
ね下の共振周波数以下の周波数の振動が減衰され、第2
の絞りによって、ばね下の共振周波数を越える周波数の
振動が減衰される。
【0018】したがって、ばね下の共振周波数を越える
周波数の振動に対して減衰力が過大になることがなく、
制振効果を発揮することができる。
【0019】前記第1の絞りは、連通路の第1のリザー
バ接続部と第1のシリンダ室との間の部分、または連通
路の第1のリザーバ接続部と第2のシリンダ室との間の
部分に設けることができる。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0021】本実施例のサスペンションの振動減衰装置
は、図1に示すように、シリンダ29と、シリンダ29
内を上作動室(第1シリンダ室)30と下作動室(第2
シリンダ室)33とに分割しかつシリンダ29内に摺動
可能に収納されたピストン31とを備えている。ピスト
ン31には上作動室30側からシリンダ29を貫通する
ピストンロッド17が形成されている。
【0022】上作動室30と下作動室33とは、ピスト
ン31に穿設されかつ伸び側チェックバルブ49を備え
た油路を介して連通され、下作動室33の圧力が上作動
室30の圧力より高い時のみ、すなわち縮み時のみ、作
動油は下作動室33から上作動室30へ流入する。
【0023】上作動室30は、ピストンロッド17に設
けられた油路18及び減衰力制御弁9を介して上リザー
バ1の油室に連通されている。
【0024】下作動室33は、ピストン31及びピスト
ンロッド17を貫通するように穿設され、かつ縮み側チ
ェックバルブ54を備えた油路20を介して、上リザー
バ1の油室と連通され、上リザーバ1の油室の圧力が下
作動室33の圧力よりも高い時のみ、すなわち伸び時の
み、作動油は上リザーバ1の油室から下作動室33に流
入する。
【0025】すなわち、ピストンロッド17内にピスト
ンロッド17を貫通する2本の油路18、20を形成
し、油路18を上作動室30から減衰力制御弁9を介し
て上リザーバ1の油室に至る油路とし、また、油路20
を上リザーバ1の油室から下作動室33に至る油路とす
ることにより、減衰力制御弁9と上リザーバ1とをばね
上に配置している。
【0026】また、下作動室33側には、下作動室33
の底面を隔壁35として下リザーバ44が形成されてい
る。下リザーバ44は、下部シリンダ27と、下部シリ
ンダ27内に摺動自在に収納されると共に下部シリンダ
27を注入口43を備えたガス室42内のガスと、隔壁
35に穿設された絞り35aを介して下作動室33に連
通された油室40b内の作動油とを分離するフリーピス
トン41とによって構成されている。そして、油室40
bと下作動室33とを連通する絞り35aによって高周
波振動に対する減衰力を発生可能としている。
【0027】次に図2、図3を参照して上記実施例を具
体的に説明する。図2(1)に示すように、上リザーバ
1は、高圧ガス注入口2が形成されたシリンダ3、ガス
室4、フリーピストン5及びフリーピストン5によって
ガス室4と分離された油室6から構成されている。フリ
ーピストン5は、シリンダ3内に摺動可能に収納され、
かつガス室4内のガスと油室6内の作動油とを分離して
いる。シリンダ3は、ハウジング7によって密封固定さ
れている。油室6は、油路8を介して第1の外筒シェル
で構成されたピストンロッド17内に形成された油路1
8に連通され、油室6内の作動油が油路8を介して油路
18に流入するように構成されている。
【0028】減衰力制御弁9は、図3に示すように、マ
イクロ・ロータリ・アクチュエータ10、ラビリンスパ
ッキン11、軸受14に回動可能に支持されたロータリ
弁12、及びこれらを保持するマニフォールド13から
構成されている。
【0029】ロータリ弁12は、マニフォールド13内
に固定されたスリーブ144に内接し、回転摺動可能に
配置されており、マイクロ・ロータリ・アクチュエータ
10により回転される。ロータリ弁12には、複数の穴
12aが穿設されており、マニフォールド13の内周面
14aに穿設された開口部との関連で、流路面積を可変
とし、絞りによる減衰力発生状態を変化可能としてい
る。
【0030】マニフォールド13は、ピストンロッド1
7に結合されており、ピストンロッド17は車両のブラ
ケット15にハウジング7と共に取付けられている。
【0031】また、マニフォールド13は、パイプ19
の上端とも嵌合されている。ピストンロッド17の外側
に配置された第2の外筒シェル27内にはシリンダ29
が収納され、第2の外筒シェル27とシリンダ29との
間には油路28が形成されている。第1のシール25と
第2のシール22とが、油室23を挟んでロッドガイド
26に固定されている。ロッドガイド26、第1のシー
ル25及び第2のシール22の内側には、ピストンロッ
ド17が摺動自在に配置されている。ロッドガイド26
はシリンダ29とシェル27に嵌合され、上からキャッ
プ21により固定されている。ロッドガイド26には穴
24が穿設され、この穴24により油室23と油路28
とが連通されている。
【0032】チェックバルブ37は、拡大して示す図2
(2)に示すように、ハウジング38に取付けられかつ
絞り35aが穿設されたバルブ35、バルブ35を閉じ
る方向に付勢するスプリング34及びハウジング38に
穿設されかつスプリング34によって開閉される油路3
6から構成されている。ハウジング38は、シリンダ2
9の下部に嵌合され、下方は外筒シェル27に密封固定
された下部シリンダ27aに接している。シリンダ29
との下端と下部シリンダ27aの上端との間には、油路
39が形成され、この油路39により油路28と油室4
0とが連通されている。チェックバルブ37は油室40
と下作動室33との間の作動油の流れを制御する。
【0033】下リザーバ44は、外筒シェル27の下端
部内に収納された下部シリンダ27a、ガス室42、フ
リーピストン41及び注入口を持つキャップ43から構
成されている。フリーピストン41は外筒シェル27の
下部シリンダ27a内に摺動可能に収納され、かつガス
室42内のガスと油室40内の作動油を分離している。
キャップ43は、外筒シェル27に密封固定されてい
る。
【0034】ブラケット32は、外筒シェル27に固定
されると共に、ナックル(図示せず)に結合されてい
る。
【0035】ピストンロッド17の下端部にはピストン
31が取付けられている。ピストン31は、シリンダ2
9内に摺動可能に収納され、かつシリンダ29内を上作
動室30と下作動室33とに分離している。また、ピス
トンロッド17の内側には内部を油路20とするパイプ
19が位置し、ピストンロッド17とパイプ19との間
に油路18を形成している。
【0036】ピストンロッド17のピストン31側の側
壁には、穴45が穿設され、この穴45により油路18
と上差動室30とが連通されている。
【0037】ピストン31には、伸び側チェックバルブ
49が設けられている。伸び側チェックバルブ49は、
バルブ47、バルブ47を閉じる方向に付勢するスプリ
ング46及びバルブ47によって開閉される油路48か
ら構成され、ピストン31に組込まれている。この伸び
側チェックバルブ49は、下作動室33から上作動室3
0への作動油の流入を可能としている。
【0038】ピストン31の下方に位置するピストンロ
ッド17の下端部には、縮み側チェックバルブ54が取
付けられている。縮み側チェックバルブ54は、ピスト
ンロッド17の下端に取り付けられたハウジング50、
バルブ52、バルブ52を閉じる方向に付勢するスプリ
ング53、及びハウジング50に穿設されると共にバル
ブ52によって開閉される油路51から構成されてい
る。この縮み側チェックバルブ54は、油路20から下
作動室33への作動油の流入を可能としている。
【0039】次に本実施例の作用を説明する。本実施例
のサスペンションの振動減衰装置が伸びる時、上作動室
30の体積は減少し、下作動室33の体積は増加する。
このとき、上作動室30の作動油は、伸び側チェックバ
ルブ49により下作動室33へ流入できないため、下作
動室33内の作動油が穴45、油路18、及び減衰力制
御弁9を通過する。ピストンロッド17がシリンダ29
から伸び出た体積に相当する作動油は、フリーピストン
5が下がり油室6の体積が減少する時、油路8から流出
する。
【0040】減衰力制御弁9のロータリ弁12の穴12
aを通過した作動油は、油路20、縮み側チェックバル
ブ54を通過し、下作動室33に流入する。この時の減
衰力は、シリンダ29の面積からピストンロッド17の
面積を減算した面積差とロータリ弁22の穴12aで降
下した圧力差との積となる。
【0041】サスペンションの振動減衰装置が縮む時、
上作動室30の体積が増加し、下作動室33の体積は減
少する。このとき、下作動室33の作動油は、縮み側チ
ェックバルブ54により、油路20に流入できないた
め、伸び側チェックバルブ49を通過して上作動室30
に流入する。下作動室33から上作動室30に流入した
作動油の内、ピストンロッド17が進入した体積に相当
する作動油は、穴45、油路18を通り減衰力制御弁9
を通過する。減衰力制御弁9を通過した作動油は、上リ
ザーバ1の油室6に流入し、フリーピストン5を押し上
げる。この時の減衰力は、ピストンロッド17の面積と
ロータリ弁12の穴12aで降下した圧力差との積とな
る。
【0042】以上のようにアクチュエータ10を制御
し、ロータリ弁12の穴12aの面積を変化させること
により、減衰力を制御することができる。
【0043】更に、シリンダ29下方に配設したチェッ
クバルブ37では、所定の作動油の流れを制限するよう
にバルブ35に絞り35aが穿設されているため、下作
動室33と油室40とは連通している。このため、伸び
時及び縮み時に応じて、微小油量の作動油が下作動室3
3と油室40との間で移動する。そして、この微小油量
の作動油の移動により油室40とガス室41の間に配設
したフリーピストン41が油量の移動に応じて摺動す
る。
【0044】以上の作動により、本実施例では次の効果
が得られる。減衰力制御弁及び上リザーバがばね上に配
置できるため、信頼性・耐久性が向上する。1個の減衰
力制御弁を用いているため、コストを低く抑えることが
できる。
【0045】一般的作動条件下では、伸び縮みにかかわ
らず、低減衰力から高減衰力まで幅広い減衰力が得られ
る。
【0046】作動油が減衰力制御弁を流れる方向が伸び
縮み時で同じであるため、伸び縮みで減衰力特性が同じ
になる。
【0047】ピルトンロッドの面積×2=シリンダの面
積を満足するように各面積を定めることにより、減衰力
制御弁の絞り面積が同じ時、すなわちアクチュエータの
出力軸の変位が同じ時、ピストン速度が同じであれば、
伸び縮みで同じ減衰力が得られる。
【0048】一方、減衰力制御弁が応答し得ないような
高周波振動が油圧シリンダに入力された場合には、上リ
ザーバのガスばねと油圧シリンダと間に位置する減衰力
制御弁で発生する減衰力以外に、下リザーバ44によっ
てガスばねの作用を有する油室40と油圧シリンダ29
の下作動室33と間に位置するチェックバルブ37の絞
り35a及びバルブ35が作動し、等価減衰力を低下さ
せる。その結果、サスペンション変位に対するサスペン
ション力の伝達ゲインが高い振動周波数域まで一定に保
持され、車体への振動伝達力が従来のサスペンションに
比べて大幅に低減でき、高周波振動の乗心地が著しく改
善される。また、図6(b)の周波数f 23以上の領域に
おいてむだな絞り弁の制御を省略できるため、エネルギ
ー消費を少なくすることができる。
【0049】また、従来の2つのリザーバ室を持つサス
ペンション装置に比べ、本実施例の上下両リザーバ室を
備えるサスペンション装置は、車輪の振動の共振点を含
む高い周波数領域での振動伝達特性が低レベルとなって
おり、更に、伸び縮みにかかわらず低減衰力から高減衰
力まで幅広い減衰力が得られる。
【0050】図7に上記実施例と従来の2つのリザーバ
室を持つサスペンション装置(従来システム)との振動
伝達比及びエネルギー消費率を比較して示す。図から理
解されるように、本実施例では10Hz以上の領域にお
いて振動伝達比が低減されており、また全周波数域に亘
ってエネルギー消費率が低減されている。
【0051】次に、本発明のサスペンションの振動減衰
装置を車両の油空圧サスペンションとして適用した実施
例について説明する。
【0052】図8に車両の一輪分のアクティブサスペン
ションシステムを示す。図において、61は油圧ポンプ
であり、その吐出側は油圧供給配管62に接続され、吸
い込み側はリザーバタンク63に接続されている。油圧
供給配管62には供給圧力を設定するリリーフ弁70が
接続され、その圧力は配管62bを介して後述する油圧
シリンダ64の第1シリンダ室としての上圧力室64
a、第2シリンダ室としての下圧力室64bの圧力を調
整して減衰力を制御する減衰力制御弁としての流量制御
弁65へ供給される。
【0053】この流量制御弁65は、車両の横加速度、
各車輪のサスペンション変位、サスペンション力等の各
検出信号に基づいて、車両の振動、乗心地、及び姿勢を
制御するための指令信号を演算して出力するコントロー
ラ66からの指令信号により駆動制御され、作動油の流
量を制御する。流量制御弁65より流量が調整された作
動油は、油圧配管62aを通過して上圧力室64aに流
入する。また、流量制御弁65は油圧配管62dを介し
て下圧力室64bに連通されている。
【0054】油圧配管62aには、ばね定数K1 のガス
ばねとして作用するアキュームレータ67が、減衰係数
1 のダンパとして減衰力を発生する絞り弁68を介し
て接続されている。また、シリンダ64内には、、減衰
係数C2 のダンパとして減衰力を発生する絞り弁68a
を介して、遊動隔壁69によってばね定数K2 のばねと
して作用する背圧室67aが形成されている。
【0055】また、流量制御弁65とリザーバタンク6
3との間には、戻し配管62cが接続され、油圧シリン
ダからの作動油をリザーバタンクに戻すように構成され
ている。
【0056】このアクティブサスペンションシステムの
設計値を次の表1に示す。なお、折れ点周波数f23は、
人間が振動周波数に対して十分感度が低くなる周波数で
かつ、折れ点周波数f22を設定できるように設計してい
る。
【0057】
【表1】
【0058】次に本実施例の作用を説明する。
【0059】凹凸路走行時において、比較的低い周波数
(振動周波数f22以下)の振動が路面からタイヤを介し
て油圧シリンダ64に入力された場合には、主にコント
ーラ66の指令信号に基づいて流量制御弁を駆動し、上
油圧室64aの圧力変動が抑制される。その際、アキュ
ームレータ67のガスばね(K1 )と油圧シリンダ64
間に位置する絞り弁68で発生する減衰力とによって、
ある程度上油圧室64aの圧力変動を抑制するように作
用する。
【0060】しかし、油圧シリンダ64内の背圧室67
aのガスばね(K2 )と油圧シリンダ64との間に位置
する減衰力を発生する絞り弁68aは、振動周波数がf
22以下であるため、油圧シリンダの作動油は背圧室67
aに殆ど流入しない。その結果、油圧室の圧力変動を抑
制する効果は少ない。
【0061】一方、流量制御弁65が応答し得ないよう
な高周波振動(振動周波数f22以上)が油圧シリンダに
入力された場合には、アキュームレータ67のガスばね
(K 1 )と油圧シリンダ64と間に位置する絞り弁68
で発生する減衰力以外に、背圧67aのガスばね
(K2 )と油圧シリンダ64と間に位置する絞り弁68
aで発生する減衰力が作用し、等価減衰力を低下させ
る。その結果、サスペンション変位に対するサスペンシ
ョン力の伝達ゲインが振動周波数f23まで一定に保持さ
れ、車体への振動伝達力が従来のアクティブサスペンシ
ョンに比べ大幅に低減でき、高周波振動の乗心地が著し
く改善される。
【0062】またサスペンション変位に対するサスペン
ション力の伝達関数の周波数ゲイン特性を従来システム
と比較して図9に示す。図中の破線は図4〜図6に示し
た従来システムの気液流体利用アクティブサスペンショ
ンの特性を示すものである。ここでは、通常の制御弁の
応答性を考慮して15Hz以上の振動周波数においては
振動を遮断するように設計した。この図9から理解され
るように、15Hz以上で、従来のアクティブサスペン
ションに比べゲインが小さく車体への振動伝達力が低減
されるように設計されており、ばね下共振周波数約10
Hzの発生領域より高い周波数領域における振動低下減
効果が著しいことが理解できる。
【0063】また、図10に上記実施例と従来システム
のサスペンション変位Xに対するサスペンション力Fの
ゲインを示す。図10において、従来Aは特開平1−1
93423号公報に示された減衰力可変式サスペンショ
ン制御装置の特性を示し、従来Bは特開平1−1115
13号公報に示された気液流体利用アクティブサスペン
ションの特性を示し、従来Cは特開平2−95919号
公報に示された気液流体利用サスペンション装置の特性
を示す。
【0064】さらに、本実施例では、ばね下共振周波数
である約10Hzにおけるタイヤの接地性を保つと共
に、制御に伴う油圧エネルギを大幅に節約することがで
きる。
【0065】また、このような設計手法を適用すること
により、従来トライアンドエラーで行われた振動乗心地
のチューニングに要する開発時間が著しく短縮され開発
コストが下がるという効果もある。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、油
路絞り開度制御弁、流量制御弁または圧力制御弁が応答
し得ないような路面からの周波数の高い細かな振動入力
により発生する圧力変動を吸収させ、ばね下の共振周波
数を越える振動に対して減衰力が過大になることを防止
して、車体および乗員への振動を遮断することができ
る、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の模式図である。
【図2】(1)は第1実施例の具体例の断面図であり、
(2)は(1)のチェックバルブ部分の拡大図である。
【図3】図2の減衰力制御弁近傍の拡大図である。
【図4】(a)は従来のモデルを示し、(b)はサスペ
ンション変位Xに対するサスペンション力Fのゲインを
示す線図である。
【図5】(a)は従来のモデルを示し、(b)はサスペ
ンション変位Xに対するサスペンション力Fのゲインを
示す線図である。
【図6】(a)は従来のモデルを示し、(b)はサスペ
ンション変位Xに対するサスペンション力Fのゲインを
示す線図である。
【図7】従来システムと第1実施例との振動伝達比及び
エネルギー消費率を示す線図である。
【図8】本発明の第2実施例のブロック図である。
【図9】従来システムと第2実施例の振動伝達比を示す
線図である。
【図10】上記実施例と従来システムのサスペンション
変位Xに対するサスペンション力Fのゲインを示す流図
である。
【符号の説明】
1 リザーバ 18 油路 20 油路 29 シリンダ 31 ピストン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体が収納されたシリンダと、 前記シリンダ内を第1シリンダ室と第2シリンダ室とに
    分割しかつ該シリンダ内に摺動可能に収納されたピスト
    ンと、 前記ピストンに形成されて前記シリンダの第1のシリン
    ダ室側から突出されたピストンロッドと、 前記第1のシリンダ室と前記第2のシリンダ室とを連通
    する連通路と、 第1のガス室を有しかつ前記連通路の途中に接続された
    第1のリザーバと、 前記連通路に設けられると共に、ばね下の共振周波数以
    下の周波数の振動に対して減衰作用を有する第1の絞り
    と、 ばね下の共振周波数を越える周波数の振動に対して減衰
    作用を有する第2の絞りと、 第2のガス室を有しかつ前記第2の絞りを介して前記第
    2のシリンダ室に連通された第2のリザーバと、 を含むサスペンションの振動減衰装置。
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