JPH07238101A - 新規共沈剤による核酸収集法および核酸収集用キット - Google Patents

新規共沈剤による核酸収集法および核酸収集用キット

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JPH07238101A
JPH07238101A JP3167694A JP3167694A JPH07238101A JP H07238101 A JPH07238101 A JP H07238101A JP 3167694 A JP3167694 A JP 3167694A JP 3167694 A JP3167694 A JP 3167694A JP H07238101 A JPH07238101 A JP H07238101A
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JP3167694A
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Inventor
Yoshinori Taguchi
美紀 田口
Takuya Koshizaka
卓也 越坂
Satsuki Kobayashi
五月 小林
Satoyuki Furuhata
聡之 古畑
Yasuko Namatame
康子 生天目
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 核酸の回収率が高く、再現性に優れ、試薬の
取扱いが容易であり、かつ抽出操作が従来よりさらに簡
便になった新規な共沈剤を用いる核酸収集法を提供す
る。 【構成】 生物試料液にアルコールを添加して核酸を沈
澱させるに際し、共沈剤としてデキストランを生物試料
液に添加する。アルコールおよびデキストランを添加さ
れた試料液は、冷却された後、遠心分離にかけられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な共沈剤を用いた
核酸収集法に関し、特に、遺伝子を材料として使用する
遺伝子工学、生化学、臨床検査などのバイオテクノロジ
ー分野に有効な、生物試料からの核酸精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】細胞、組織、血液もしくは血液成分、細
菌、ウイルスなどの生物試料から核酸を抽出する方法で
は、核酸、細胞およびタンパク質成分の溶解、有機溶媒
抽出、アルコール(エタノール、イソプロパノール)沈
澱、ならびに洗浄といったおよそ4段階の操作により抽
出精製される方法が最も普及している。ここで、アルコ
ール沈澱、洗浄の2段階において以下の目的で共沈剤が
添加される。
【0003】(1) アルコール沈澱の際に試料抽出液
内の核酸量が微量である場合、またはその濃度が希薄で
ある場合、塩析効果を高める。
【0004】(2) アルコール沈澱、洗浄の際に、微
量の核酸を視認しやすくし、操作性を向上させる。
【0005】(3) アルコール沈澱、洗浄の際に、共
沈剤の保持力により核酸の流出、減少を防止する。
【0006】以上のような目的で添加される共沈剤に
は、グリコーゲン、トランスファーRNA、アクリルア
ミド系高分子物質などがある。血清からのウイルス等の
核酸抽出には、これらの共沈剤が使用されることが多
い。
【0007】C型肝炎ウイルスのRNA抽出では、AG
PC法(Acid−Guanidiniumthioc
yanate−Phenol−Chloroform
method)による核酸抽出法が最も普及している。
以下に、グリコーゲンからなる共沈剤の使用とAGPC
法を組合わせた核酸収集法について記載する。
【0008】A:細胞の溶解、核酸の可溶化、有機溶媒
抽出 生物試料液、たとえば血清に強力なタンパク質変性剤で
あるSolutionD(4Mグアニジンチオシアネー
ト、25mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.
5%N−ラウロイルサルコシンナトリウム、0.1M2
−メルカプトエタノール)を加え、さらに0.1倍容量
の2M酢酸ナトリウム、当量の水飽和フェノール、およ
び0.2倍容量のクロロホルム−イソアミルアルコール
(49:1容量)混合溶媒を加えて攪拌する。次いで混
合液を、氷中にて15分間静置した後、12,000×
g、4℃で10分間遠心分離する。遠心分離によって分
かれた層のうち、核酸(RNA)の溶解している上層
(水相)を、下層(有機溶媒相)、中間層(変性タンパ
ク質相)より分取する。
【0009】B:アルコール沈澱、洗浄、再溶解 上層を別のチューブに分取した後、共沈剤としてグリコ
ーゲンを添加し、さらにイソプロパノールを等量加え
て、−20℃で1時間〜オーバーナイト、あるいは−7
0℃で30分間静置する。次に、混合液について、1
2,000×g、4℃で10分間遠心分離を行ない、得
られた上清を吸引もしくはデカンテーションにより除去
する。沈澱を70%エタノールで2〜3回洗浄し、減圧
乾燥後、滅菌蒸留水等に再溶解する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】遺伝子工学や臨床検査
等において、定常的に行なわれる核酸抽出法には、次に
示すような性能が求められる。
【0011】(1) 抽出、収集における核酸の回収率
が高く、再現性に優れている。 (2) 抽出・収集1回当りかかるコストが低い。
【0012】(3) 使用する試薬の保存条件が厳しく
なく、試薬の取扱いが簡便である。 (4) 核酸沈澱物がチューブより剥がれにくく、沈澱
物の視認がしやすい。
【0013】(5) 共沈剤は、紫外領域で吸収を持た
ず、エチジウムブロマイドにより染色されない。
【0014】(6) 共沈剤は、遺伝子増幅、逆転写反
応等の各種酵素反応を阻害しない。 (7) 核酸沈澱物の減圧乾燥後の再溶解が容易であ
る。
【0015】従来の方法は、これらすべての性能を備え
るものではなかった。たとえば、グリコーゲンを共沈剤
として用いた従来の核酸収集法は、抽出・収集1回当り
のコストが比較的高く、またグリコーゲンを−20℃で
保存する必要があるため、コストや試薬の取扱い等の点
で日常的な操作に向いていなかった。
【0016】本発明の1つの目的は、上記の性能をすべ
て兼ね備える新規な核酸収集法を提供することにある。
【0017】本発明のさらなる目的は、試薬の取扱いが
容易であり、かつ抽出・収集操作が従来よりさらに簡便
になった核酸収集法およびそのキットを提供することに
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、生物試料
液から核酸を回収するに当たり、新規な共沈剤を見出し
た。そして、この共沈剤を用いた方法が、上記の性能を
すべて兼ね備え、かつ操作がより簡便になることを見出
し本発明を完成するに至った。
【0019】本発明の新規共沈剤による核酸収集法は、
生物試料液にアルコールを添加して核酸を沈澱させるに
際し、共沈剤としてデキストランを生物試料液に添加す
ることを特徴とする。
【0020】本発明は、血液、血清、培養細胞や組織等
の溶解液等の核酸を含むあらゆる生物試料液に適用され
るものである。
【0021】本発明において、共沈剤はアルコールの添
加による核酸の沈澱を促進するための試薬である。共沈
剤として用いられるデキストランは、乳酸菌の一種Le
uconostoc mesenteroidesや
L.dextranicumなどによってスクロースか
ら生成するα1→6結合を主体とする粘質性のグルカン
であり、代表的な部分構造はたとえば以下のとおりであ
る。
【0022】
【化1】
【0023】微生物の培養液から取出されるデキストラ
ンは、非常に広範囲の分子量分布を有している。そこ
で、分子量分布の範囲を狭くした特性がより明確なデキ
ストランを得るため、アルコール沈澱による分画が行な
われる。また、ゲル濾過によって精製を行なってもよ
い。本発明において使用するデキストランの平均分子量
は、たとえば300,000〜10,000,000の
範囲にあり、より好ましくは500,000〜5,00
0,000の範囲にある。本発明に使用されるデキスト
ランにおいて、たとえば主鎖および側鎖のグルコシド結
合部の65%以上、より好ましくは90%以上がα1→
6結合であり、枝分かれは、主としてα1→3結合によ
る。本発明では、単一の平均分子量を有する比較的分子
量分布の狭いデキストランを用いてもよく、平均分子量
の異なる2種以上のデキストランを用いてもよい。ま
た、構造や特性の異なる複数種のデキストランを混合し
たものを用いることもできる。
【0024】デキストランの使用量は、たとえば、1.
5〜2.0mlのチューブを使用して血清等からウイル
ス由来の核酸等を抽出する場合、抽出1回当り10〜3
00μg、好ましくは50〜150μg、より好ましく
は80〜120μgである。抽出液の総体積がたとえば
400〜1000μlであるので、使用されるデキスト
ランの濃度は、たとえば、0.001〜0.075w/
v%、好ましくは0.005〜0.038w/v%、よ
り好ましくは0.008〜0.03w/v%である。
【0025】本発明の方法は、たとえば、塩類の添加に
より所定の塩濃度とされた生物試料液に、アルコールお
よびデキストランを添加した後、冷却する工程と、次い
で冷却した試料液から遠心分離により核酸を収集する工
程とを備える。
【0026】塩類を添加する前の試料液は、種々の方法
によって調製することができる。たとえば、細胞を破壊
または溶解した生物試料液は、通常、除タンパク質の操
作が施される。除タンパクのため、たとえば、界面活性
剤等のタンパク質変性剤および有機溶剤が生物試料液に
添加され、攪拌、遠心分離の後、核酸の溶解している層
が分画される。
【0027】タンパク質の除去が施された生物試料液に
は、塩類が添加される。添加された塩の濃度は、たとえ
ば100〜300mMである。塩類には、酢酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等が
用いられる。
【0028】所定の塩濃度にされた生物試料液は、さら
に上述したデキストランおよびアルコールが添加され
る。デキストランの種類、平均分子量および添加量は、
上述したとおりである。アルコールには、エタノール、
イソプロパノールまたはそれらの組合せが用いられる。
エタノールを用いる場合、添加すべき試料液の2〜2.
5倍容量、イソプロパノールを用いる場合、試料液の
0.8〜1倍容量が核酸沈澱のため添加される。
【0029】共沈剤およびアルコールが添加された試料
液は、冷却された後、核酸の収集のため遠心分離にかけ
られる。遠心分離の条件は、たとえば、8,000〜1
2,000×g、4℃、5〜10分間である。遠心分離
の後、上清を吸引またはデカンテーションによって除去
すれば、核酸濃縮物としての沈澱が得られる。得られた
沈澱物は、必要に応じて洗浄される。洗浄には、70%
エタノール等のアルコール水溶液が用いられる。アルコ
ール水溶液が添加された沈澱物は、遠心分離され、上清
が吸引またはデカンテーションにより除去される。遠心
分離は、たとえば、8,000〜12,000×g、4
℃、2〜5分間行なわれる。得られた沈澱物について、
さらに同様の洗浄操作を繰返すことができる。この洗浄
操作は、たとえば2〜3回繰返すことが望ましい。洗浄
により沈澱物はさらに精製されていく。得られた沈澱物
は、必要に応じて減圧乾燥される。減圧乾燥時間は、た
とえば5〜10分間である。これによりアルコール等が
除去される。その後、種々の生化学的または遺伝子工学
的操作、または種々の検定のため、核酸濃縮物は必要に
応じて滅菌蒸留水等に再溶解される。
【0030】以上具体的に示した方法において、除タン
パク質の操作、塩類の添加およびデキストランの添加を
同時に行なうより簡便な方法を提供することができる。
すなわち、本発明に従って、タンパク質変性剤、塩類、
デキストランおよび有機溶剤を同時に生物試料液に添加
し混合する工程と、混合された液を遠心分離した後、水
相を分取する工程と、得られた水相にアルコールを添加
して冷却する工程と、次いで冷却された試料液から遠心
分離により核酸を収集する工程とを備える核酸収集法を
提供することができる。
【0031】この方法では、タンパク質変性剤、塩類お
よびデキストランが血清等の生物試料液に同時に添加さ
れる。この添加のため、それぞれの試薬は適当な濃度の
ストック溶液として保存することができる。添加にあた
ってこれらの溶液を適当な割合で混合し、混合液を生物
試料液に添加することができる。また、それぞれの試薬
について任意に組合わせた混合液をストック溶液として
保存することもできる。たとえば、タンパク質変性剤と
デキストランの混合液を調製し保存することができる。
また、すべての試薬が混合された液をストック溶液とし
て保存することもできる。これらの場合、ストック溶液
が適当な割合でさらに混合されるか、またはそのまま生
物試料液に添加される。
【0032】タンパク質変性剤には、上述したSolu
tion D、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等が
用いられる。塩類には、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ム、塩化リチウム、塩化カリウム等が用いられる。デキ
ストランは上述したとおりである。これらの試薬と有機
溶剤を段階的にあるいは同時に試料液に添加し、混合し
た後、遠心分離により水相を分取することによって、タ
ンパク質の除去、核酸抽出、塩類の添加、共沈剤の添加
を同時に行なうことができ、核酸回収の操作はより簡便
になる。このステップにおいて、有機溶剤としてフェノ
ール、クロロホルム、またはそれらの混合物を用いるこ
とができる。得られた水相にアルコールを添加して冷却
した後、遠心分離を行なえば、タンパク質の除去、塩類
添加、共沈剤添加を別々の操作で行なった場合と変わら
ない結果を核酸回収について得ることができる。
【0033】本発明は、以上示してきた方法を実施する
ためのキットをさらに提供する。本発明に従う核酸収集
用キットは、生物試料液にアルコールを添加して核酸を
沈澱させかつ収集するためのキットであって、アルコー
ルの添加による核酸の沈澱を促進する共沈剤として、デ
キストランおよびデキストラン溶液の少なくともいずれ
かを備えることを特徴とする。キットにおいて、デキス
トランおよびデキストラン溶液は、適当な容器に収容さ
れ、共沈剤として提供される。デキストラン溶液は、た
とえば、デキストラン水溶液であり、その濃度はたとえ
ば、20〜100μg/mlとすることができる。デキ
ストランには、上述のものを用いることができる。
【0034】さらに、本発明に従って、上述した簡便な
方法を実施するための核酸収集用キットを提供すること
ができる。このキットは、タンパク質変性剤、塩類およ
びデキストランを、それぞれの独立した溶液として、ま
たはそれらの任意の組合わせの混合溶液として備え、こ
れらの溶液が、アルコールの添加に先立って生物試料液
に添加されるものであることを特徴とする。
【0035】このキットにおいて、タンパク質変性剤、
塩類およびデキストランは、それぞれ独立した溶液とし
て容器に収容されるか、またはそれらの任意の組合わせ
の混合溶液として容器に収容される。容器に収容された
試薬は、使用時に混合された後、またはそのまま生物試
料液に添加される。キットにおいて、これらの試薬は、
アルコールの添加に先立って添加されるよう表示され
る。
【0036】以上に説明したキットは、その他、必要に
応じて他の試薬を備えることができる。たとえば、除タ
ンパクのために添加されるフェノール、クロロホルム等
の有機溶剤、核酸沈澱のため添加されるアルコールまた
はアルコール溶液、核酸洗浄のために添加されるアルコ
ールまたはアルコール溶液等が必要に応じてキットに含
まれる。これらの試薬は、適当な量および適当な濃度に
おいて容器に収容される。
【0037】本発明により抽出された核酸は、吸光度測
定、電気泳動、遺伝子増幅(PCR法)等に適用でき、
さらに核酸がRNAであれば、逆転写反応などの材料と
して用いることができる。本発明に従う核酸収集法にお
けるデキストランは、これらの反応や測定を阻害または
妨害しない。また、これらの方法を駆使して抽出された
核酸を検定し、確認することも可能である。
【0038】本発明は、上述した核酸回収法に要求され
る性能をすべて満足するものである。以下の実施例に示
すように、本発明によれば、高い回収率、たとえば90
%以上の回収率で核酸を収集することができ、しかも再
現性はグリコーゲンを共沈剤として用いる方法と同等も
しくはそれ以上である。また、グリコーゲンは−20℃
で保存する必要がある一方、デキストランは室温で保存
することができ、試薬の取扱いもより容易になる。これ
らの特性を備える本発明は、定常的な核酸回収操作によ
り適したものである。
【0039】本発明により抽出された核酸は、各種遺伝
子の研究、臨床分野に適応することができ、したがって
本発明は極めて広範囲の用途に適用できるものである。
【0040】以下に記載する実施例において本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら限定され
るものではない。
【0041】
【実施例】
実施例1.λ−DNAの回収実験 既知濃度λ−DNAを精製水で希釈溶解し、これを以下
の手順でアルコール沈澱を行ない回収した。
【0042】まず、既知濃度のλ−DNA水溶液に、塩
化ナトリウムを最終濃度が200mMとなるよう添加
し、さらに共沈剤として平均分子量が2,000,00
0および500,000の2種のデキストランを0、1
0、40、80、100μg各々添加し、全体の体積が
500μlとなるように調製した。これら2種のデキス
トランは、ファルマシア・ファイン・ケミカルズ(Ph
armacia Fine Chemicals)社よ
りそれぞれデキストランT2000(平均分子量200
万のもの)、デキストランT500(平均分子量50万
のもの)として入手できた。λ−DNAの最終濃度は
2.5μg/ml、5.0μg/mlの2種類とした。
【0043】このようにして調製したλ−DNA水溶液
に等量(500μl)のイソプロパノールを添加し攪拌
した後、−80℃で30分間冷却した。次にこれらの溶
液を解凍した後、12,000×g、4℃で10分間遠
心分離した。上清を吸引により除去し、70%エタノー
ル水溶液500μlを添加し沈澱を洗浄した。同様に遠
心分離を3分間行ない、上清を吸引により除去した。こ
の洗浄操作をもう一度行ない、明確な白色沈澱としてλ
−DNAを回収した。得られた沈澱を5分間減圧乾燥
し、精製水500μlに再溶解した。
【0044】以上の操作の前後で波長280nmにおけ
る吸光度測定を行ない、回収率(%)を計算した。その
結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2.デキストランとグリコーゲンの
AGPC法による比較 従来より使用されている共沈剤グリコーゲンと、本発明
の方法で用いるデキストラン(平均分子量2,000,
000を使用)をAGPC法において比較検討した。対
象はHCV−RNAとし、HCV−RNA量が少ないと
考えられる試料血清66例を用いて行なった。
【0047】血清試料100μlをマイクロ遠心チュー
ブに取り、Solution D(4Mグアニジンチオ
シアネート、25mMクエン酸ナトリウム(pH7.
0)、0.5%N−ラウロイルサルコシンナトリウム、
0.1M2−メルカプトエタノール)、2M酢酸ナトリ
ウム、水飽和フェノールの混合液(液量比10:10:
1)を500μl加え、さらに、クロロホルム−イソア
ミルアルコールを50μl添加した後、90秒間攪拌
し、氷上にて15分間静置した。次に、12,000×
g、4℃で10分間遠心分離を行ない、上層(水相)を
別のチューブに350μl分取した。
【0048】共沈剤としてグリコーゲン(40μg)、
またはデキストラン(80μg)を添加し、イソプロパ
ノールを300μl加え、−70℃で30分間静置し
た。
【0049】解凍後、12,000×g、4℃で10分
間遠心分離を行ない、上清を吸引により除去した。沈澱
を70%エタノール水溶液500μlで2回洗浄し、減
圧乾燥の後、滅菌蒸留水に再溶解した。これをRT−n
ested PCR法により増幅し、アガロースゲル電
気泳動、エチジウムブロマイド染色により検出を行なっ
た。表2に検出結果を示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例3.AGPC法における共沈剤の添
加段階の検討 共沈剤を最初からSolution D等の溶液に混合
して実施例2に記載のAGPC法により血清中のHCV
−RNAを抽出した。HCV−RNA量が少ないと考え
られる試料血清20例について検討を行なった。
【0052】一方、血清試料100μlをマイクロ遠心
チューブに取り、SolutionD、2M酢酸ナトリ
ウム、水飽和フェノール、20mg/mlデキストラン
水溶液(平均分子量2,000,000)の混合液(液
量比50:50:5:1)を500μl加え、さらに、
クロロホルム−イソアミルアルコールを50μl添加し
た。混合液を90秒間攪拌し、氷上にて15分間静置し
た。次に、12,000×g、4℃で10分間遠心分離
を行ない、上層(水相)を別のチューブに350μl分
取した。
【0053】分取した水相にイソプロパノールを300
μl加え、−70℃で30分間静置した。解凍後、1
2,000×g、4℃で10分間遠心分離し、上清を吸
引により除去した。沈澱を70%エタノール水溶液50
0μlで2回洗浄し、減圧乾燥の後、滅菌蒸留水に再溶
解した。これをRT−nested PCR法により増
幅し、アガロースゲル電気泳動、エチジウムブロマイド
染色により検出を行なった。
【0054】その結果、実施例2のプロセスに従ったも
のでは、20例中10例、一方最初の段階で他の試薬と
同時にデキストランを添加したものでも20例中10例
の検出が可能であった。したがって、最初にデキストラ
ンを他の試薬と添加しても、途中で添加する方法と何ら
遜色のない結果が得られた。共沈剤として用いるデキス
トランは、Solution D中でも安定であった。
したがって、デキストランはSolution D等の
タンパク質変性剤溶液に添加したまま保存ができるう
え、共沈剤の分注の手間が省けるといった操作の向上が
得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明により、従来法よりも抽出安定性
が高く、操作性の良い、容易な核酸抽出を行なうことが
できる。また、本発明は、試薬の保存安定性が高いう
え、経済的にも優れている。本発明により回収された核
酸は、吸光度測定、電気泳動、遺伝子増幅(PCR)等
に使用することができ、また核酸がRNAであれば逆転
写反応に供することができる。本発明では、これらの反
応を阻害もしくは妨害するような因子をもたらさずに、
各種遺伝子の研究、臨床分野において核酸濃縮物を供す
ることができる。したがって、本発明の適用範囲は極め
て広いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古畑 聡之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 生天目 康子 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物試料液にアルコールを添加して核酸
    を沈澱させるに際し、共沈剤としてデキストランを前記
    生物試料液に添加することを特徴とする、新規共沈剤に
    よる核酸収集法。
  2. 【請求項2】 塩類の添加により所定の塩濃度とされた
    生物試料液に、アルコールおよびデキストランを添加し
    た後、冷却する工程と、 次いで冷却した試料液から遠心分離により核酸を収集す
    る工程とを備えることを特徴とする、新規共沈剤による
    核酸収集法。
  3. 【請求項3】 タンパク質変性剤、塩類、デキストラン
    および有機溶剤を同時に生物試料液に添加し混合する工
    程と、 混合液を遠心分離した後、水相を分取する工程と、 得られた水相にアルコールを添加して冷却する工程と、 次いで冷却された試料液から遠心分離により核酸を収集
    する工程とを備える、新規共沈剤による核酸収集法。
  4. 【請求項4】 生物試料液にアルコールを添加して核酸
    を沈澱させかつ収集するためのキットであって、 前記アルコールの添加による核酸の沈澱を促進する共沈
    剤として、デキストランおよびデキストラン溶液の少な
    くともいずれかを備えることを特徴とする、核酸収集用
    キット。
  5. 【請求項5】 生物試料液にアルコールを添加して核酸
    を沈澱させかつ収集するためのキットであって、 タンパク質変性剤、塩類、およびデキストランを、それ
    ぞれの独立した溶液として、または任意の組合せの混合
    溶液として容器内に備え、 前記溶液は、前記アルコールの添加に先立って、前記生
    物試料液に添加されるものであることを特徴とする、核
    酸収集用キット。
JP3167694A 1994-03-01 1994-03-01 新規共沈剤による核酸収集法および核酸収集用キット Pending JPH07238101A (ja)

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