JP3451667B2 - 核酸抽出及び特定核酸配列の検出方法 - Google Patents

核酸抽出及び特定核酸配列の検出方法

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JP3451667B2 JP23087093A JP23087093A JP3451667B2 JP 3451667 B2 JP3451667 B2 JP 3451667B2 JP 23087093 A JP23087093 A JP 23087093A JP 23087093 A JP23087093 A JP 23087093A JP 3451667 B2 JP3451667 B2 JP 3451667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核酸を含有する試料か
ら核酸を抽出する方法に関するものであり、詳しくは、
バイオテクノロジー、臨床診断分野で利用することがで
きる核酸抽出法及び特定核酸配列の検出方法である。
【0002】
【従来の技術】核酸を含有する試料からの核酸の抽出
は、バイオテクノロジー、臨床診断等の分野では重要な
操作である。例えば遺伝子組み換え技術ではベクターD
NAやクローン化しようとするDNAの両方を単離する
ことが必要であり、遺伝病や癌遺伝子について遺伝子検
査を行うには、血液中の白血球細胞等から核酸を抽出す
ることが必要である。
【0003】一般的に、核酸は遊離の分子としては存在
せず、例えば細菌、細胞、ウイルス粒子中等に存在し、
蛋白質、脂質及び糖からなる細胞膜や細胞壁で覆われ、
核酸自身ヒストン蛋白質等と複合体を形成している。こ
のような状態で存在する核酸を抽出するには、核酸を覆
う細胞膜や細胞壁を破壊し、前記複合体の蛋白質を変性
又は分解して可溶化し、核酸を遊離させ、遊離した核酸
を抽出する操作が必要である。
【0004】核酸の抽出は、従来次のようにして行われ
ている。プロテアーゼK等の蛋白質分解酵素や界面活性
剤を加えて細胞膜や細胞壁を破壊し、複合体の蛋白質を
分解して核酸を遊離させ、フェノール/クロロホルムを
添加し、遠心分離して核酸を水相に分配させた後、分取
した水相にエタノールやイソプロパノール等を添加して
核酸を不溶化させる、いわゆるプロテアーゼK/フェノ
ール法(Molecular cloning:A Laboratory manual Appe
ndix E3 〜E4(New York:Cold Spring Harbor Laborator
y,1989) )。
【0005】試料にチオシアン酸グアニジン及びフェノ
ールからなる混合液を加えて細胞膜や細胞壁を破壊し、
複合体の蛋白質を変性、可溶化して核酸を遊離させ、更
にクロロホルムを添加して核酸を水相に分配させた後、
分取した水相にエタノールやイソプロパノール等を添加
して核酸を不溶化させる、いわゆるAGPC法(AcidGu
anidinium-thiocyanate Phenol-Chloroform method:Ana
lytical Biochemistry 162:156-159, 1987)。
【0006】試料に塩酸グアニジンやチオシアン酸グア
ニジンを加えて細胞膜や細胞壁を破壊し、複合体の蛋白
質を変性、可溶化して核酸を遊離させ、エタノール等を
添加して遊離した核酸を不溶化させる、いわゆるグアニ
ジン法(Molecular cloning:A Laboratory manual 7.23
〜7.25, New York:Cold Spring Harbor Laboratory,198
9, Analytical Biochemistry 162:463, 1987)。
【0007】試料に、核酸と親和性を有するグリコーゲ
ンを含むヨウ化ナトリウムを加えて細胞膜や細胞壁を破
壊し、複合体の蛋白質を変性、可溶化して核酸を遊離さ
せ、イソプロパノールを添加して遊離した核酸及びグリ
コーゲンを不溶化させるヨウ化ナトリウム法(Nucleic
Acid Res. 19(20):5792, 1991)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】プロテアーゼK/フェ
ノール法は、蛋白分解酵素による分解処理に時間がかか
り、酵素反応を良好に保つために温度管理を行わなけれ
ばならない等、操作が煩雑である。しかも、フェノール
やクロロホルムは有毒な化学試薬であり(両者共に毒物
劇物取締法に指定される劇物である)、その取扱いには
保護衣、手袋及び防煙フード等の使用が必要で、更に抽
出操作後の廃液を特別処理しなければならならず、この
廃液処理に費用、時間、特別な設備が必要となる。ま
た、核酸が分配された水相の分取等に熟練を要し、安定
した核酸抽出効率を達成することが困難である。
【0009】AGPC法においても、フェノールやクロ
ロホルムの取扱いや、核酸が分配された水相の分取等に
関する抽出効率等について、前記プロテアーゼK/フェ
ノール法と同様の課題がある。更にこの方法はRNAを
抽出するための方法であり、DNAの抽出には不適当で
ある。
【0010】グアニジン法では、試料に塩酸グアニジン
等を加えた後、エタノール等を添加する際、溶液中のグ
アニジン濃度が低下するため、高濃度(6〜8M程度)
のグアニジンを使用しなければならいが、このためグア
ニジン塩が析出(特に冬場や室温が20℃以下の場合)
しやすいという問題がある。グアニジンの析出は、それ
の添加に使用するピペッター等に目詰まりを発生させる
ことにもつながり、該操作を機械化する際の課題とな
る。更に、グアニジンに続いて添加するエタノール等
は、核酸の不溶化のため最終濃度で50〜70%となる
ようにしなければならないが、グアニジンの添加で試料
容量が増加しているから、高純度(約100%)エタノ
ールを使用しても、グアニジン−試料混合液と同量以上
が必要になるという課題もある。
【0011】ヨウ化ナトリウム法では、蛋白質等を可溶
化するため60℃のインキュベーションが必要で、RN
Aの抽出効率が低いという課題や、不安定なヨウ素イオ
ン(I- )が光等により酸化され、分子状のヨウ素(I
2 )となり易いため、試薬を冷暗所で保管する必要があ
るという課題もある。
【0012】ところで、ポリメレース連鎖反応(polyme
rase chain reaction,PCR)とよばれるDNA増幅法
(Molecular cloning:A Laboratory manual chap14、Ne
w York:Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)では、
超高感度の遺伝子検査(遺伝子診断)が可能である。P
CRでは、DNA増幅が良好に行われた場合には、1億
倍以上の増幅が見込める。しかし、1分子のDNAであ
っても増幅が可能であるから、PCR用核酸試料やPC
R試薬に本来存在するはずのないDNA(外来DNA)
が混入すると、検査結果に重大な影響が生じることにな
る。
【0013】外来DNAの混入の原因の一つは、試料か
ら核酸を抽出してPCR用核酸試料を準備する段階で発
生するが、これは核酸抽出操作で発生するエアロゾルに
も関係する。プロテアーゼK/フェノール法やAGPC
法では、試薬を試料に添加して混合等する操作に加え、
水相を分取する等、時間を要する操作も必要になるた
め、前記エアロゾルが発生し易いという課題もある。エ
アロゾルの粒子は直径約20ミクロンで、容量にすればお
よそ4×10-6μl程度とわずかであるが、例えばB型
肝炎患者の場合、血液1μl中に105 程度のウイルス
粒子が含まれ得ることから、エアロゾル1個に1個のウ
イルス粒子が含まれることになる。1分子のDNAの増
幅可能なPCRにおいては重大な障害が生じるのであ
る。従って、処理工程を少なくする必要がある。
【0014】エアロゾルの発生を極力排除するため、例
えばヨーロッパ公開487218号公報に記載された発
明のように、インターカレーター性蛍光色素等を利用し
て、密封状態でPCR反応を実施することも知られてい
る。しかしながら、核酸の抽出工程でのエアロゾル汚染
の可能性までを排除することはできない。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の核酸
抽出法に見られる改善されるべき課題を解決すべく鋭意
研究した結果、操作が容易で工程が少なく、エアロゾル
発生の可能性を減少でき、短時間で実施可能で、フェノ
ールやクロロホルムを使用せず、核酸抽出効率が安定
な、DNA及びRNAの抽出方法を完成するに至った。
また本発明者は、この核酸抽出方法に基づき、従来法に
比較してより簡便でかつエアロゾル汚染を排除し得る特
定核酸配列の検出方法を完成するに至った。
【0016】すなわち本発明は、(1)デキストラン、
アクリルアミド及びカルボキシメチルセルロースからな
る群から選ばれる1種以上のキャリアーを試料と混合し
て混合液を形成する工程、(2)チオシアン酸グアニジ
ン、塩酸グアニジン、チオシアン酸カリウム及びチオシ
アン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の試
薬Aと、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール及びtert−アミル
アルコールからなる群から選ばれる1種以上の試薬B、
を含む試薬Cを工程(1)の混合液に混合して核酸及び
キャリアーを不溶化する工程、(3)不溶化された核酸
及びキャリアーを液相と分離する工程との3つの工程か
らなる核酸抽出法である。
【0017】また本発明は、(1)デキストラン、アク
リルアミド及びカルボキシメチルセルロースからなる群
から選ばれる1種以上のキャリアーを試料と混合して混
合液を形成する工程、(2)チオシアン酸グアニジン、
塩酸グアニジン、チオシアン酸カリウム及びチオシアン
酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の試薬A
と、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール及びtert−アミル
アルコールからなる群から選ばれる1種以上の試薬B、
とを含む試薬Cを、工程(1)の混合液に混合して核酸
及びキャリアーを不溶化する工程、(3)不溶化された
核酸及びキャリアーを液相と分離する工程、(4)分離
された核酸がRNAである場合に逆転写反応により該R
NAをDNAに変換する工程、(5)工程(3)で分離
された核酸又は工程(4)で得られた核酸を、少なくと
も特定配列を増幅するのに適したオリゴヌクレオチドプ
ローブ、モノヌクレオチド三燐酸混合物、ポリメレース
及びインターカレーター性蛍光色素を含むポリメレース
チェーンリアクション反応液中でPCR反応に供する工
程、(6)PCR反応前後の蛍光強度変化又はPCR反
応中の反応液からの蛍光強度変化を測定する工程、
(7)蛍光強度の変化から、試料中に特定配列を有する
核酸が存在していたか否かを判定する工程、からなる特
定核酸配列の検出方法である。
【0018】さらに本発明は、少なくとも次のキャリア
ー及び試薬を分離された状態で含む、核酸を抽出するた
めの試薬セットを提供する。(1)デキストラン、アク
リルアミド及びカルボキシメチルセルロースからなる群
から選ばれる1種以上のキャリアー、(2)チオシアン
酸グアニジン、塩酸グアニジン、チオシアン酸カリウム
及びチオシアン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1
種以上の試薬Aと、n−プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチ
ルアルコール、tert−ブチルアルコール及びter
t−アミルアルコールからなる群から選ばれる1種以上
の試薬B、とを含む試薬C。
【0019】以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明は、一本鎖又は二本鎖のDNA、R
NA等の核酸の抽出法であり、DNAはゲノムDNAの
他、ミドコンドリアや葉緑体のDNA、RNAはmRN
Aの他、tRNAやrRNAの抽出に適用できる。この
ような核酸を含む試料としては、例えば白血球細胞等の
生体由来試料、例えば遺伝子組み換え等で得られたベク
ター等を含む宿主細胞の培養物、ウイルスやファージの
感染細胞及び血中のウイルス、単なる微生物の培養物で
ある。培養物は、微生物等を含むものでもその上清のみ
のものでも良く、また人工的な培養物以外に自然に発生
した培養物等でも良い。微生物等を含む試料において、
微生物等が塊状になっている場合等には、必要に応じて
例えばホモジナイズや超音波処理を実施することで良好
な抽出効率を達成することができる。
【0021】本発明によれば、これらの試料から核酸を
抽出することができるが、それ以外にも例えば、PCR
反応溶液から、酵素や低分子のデオキシヌクレオチドト
リフォスフェート及びプライマー等を含まない、増幅さ
れた核酸を高収率で抽出することも出来る。
【0022】核酸を含有する試料に、まずキャリアーを
混合する。キャリアーを混合することで、後に試薬Cを
添加して核酸及びキャリアーを不溶化した際、不溶化さ
れた核酸とキャリアーの絡み合いにより大きな不溶化物
が形成され、結果として後の不溶化物の分離操作が簡便
化されることから、キャリアーを使用しない場合と比較
して抽出効率を向上することができる。
【0023】キャリアーとは、核酸と親和性を有してお
り、試薬C中の試薬Bと接触した際に不溶化されるもの
である。またキャリアーは、核酸と一緒に抽出されるの
で、抽出した核酸の用途、例えば制限酵素反応、逆転写
反応又はPCR反応への使用においてこれら反応を阻害
しないものを選択する。本発明において使用されるキャ
リアーは、デキストラン、アクリルアミド及びカルボキ
シメチルセルロースからなる群から選ばれる1種又は2
種以上である。これらキャリアーは単独でも、2種以上
を混合した場合でも、十分な効果を有しており、しかも
逆転写反応、PCR反応等を阻害しない。従来使用され
ているグリコーゲン等では、試料が血清や血液の場合、
これら試料に含有されるアミラーゼ等の酵素により分解
されてしまい、結果として核酸抽出効率が低下するが、
本発明のキャリアーは分解されず、核酸抽出効率が低下
することはない。
【0024】キャリアーは、試料10μlに対して0.
01〜1000μg程度、好ましくは0.1〜100μ
g程度を添加すると良い。なおキャリアーを予め容器に
添加しておき、該容器に試料を加えるようにしても、こ
の逆のようにしても良い。またキャリアーは、凍結乾燥
又は風乾により固形状にしておくことも出来る。
【0025】キャリアーを混合した混合液に、次にチオ
シアン酸グアニジン、塩酸グアニジン、チオシアン酸カ
リウム及びチオシアン酸ナトリウムからなる群から選ば
れる1種以上の試薬Aと、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec
−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、及
びtert−アミルアルコールからなる群から選ばれる
1種以上の試薬B、を含む試薬Cを加えて混合し、キャ
リアー及び核酸を不溶化する。
【0026】試薬Cは、例えば核酸の分解を抑えるため
の適当な緩衝剤や、核酸分解酵素(デオキシリボヌクレ
アーゼ)活性を抑制し得るクエン酸ナトリウム、EDT
A等のキレート剤や、蛋白質や脂質等をより効率的に変
性、可溶化するための、ジスルフィド結合を還元するジ
チオスレイトール、β−メルカプトエタノール等の還元
剤や、蛋白質等をより効率的に可溶化するためにサルコ
シル塩、トライトン等の界面活性剤を含んでいても良
い。試薬CのpHは、例えば適当な緩衝剤等を添加し
て、pH4〜9、より好ましくはpH5〜8としておく
ことで核酸の分解を防止でき、結果として抽出効率をよ
り向上することができる。
【0027】本発明では、試薬Aとして、チオシアン酸
グアニジン、塩酸グアニジン、チオシアン酸カリウム及
びチオシアン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種
又は2種以上を使用する。これらの試薬Aは、細胞膜や
細胞壁を破壊し、複合体中の蛋白質を変性し、この結果
生じる変性蛋白質等や、共存する試薬Bによって変性蛋
白質が生じた場合にはこれをも可溶化でき、同時に試料
中に存在し得るデオキシリボヌクレアーゼやリボヌクレ
アーゼ等の核酸分解酵素の活性をも抑制し得る。本発明
の試薬Aは蛋白質を可溶化する能力に優れており、単独
でも、また2種以上を組み合わせて使用しても、なんら
不都合な反応を生じることなく、高い効率で核酸抽出を
行うことができる。例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カ
リウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、尿素等の一般
に知られた蛋白質変性剤では蛋白質等を可溶化する力が
弱く、また硫酸グアニジン、炭酸グアニジン等では蛋白
質等を凝集させてしまうため、高い効率で核酸抽出を行
うことができない。
【0028】本発明では、試薬Bとして、n−プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール及びtert−アミルアルコールからなる群
から選ばれる1種又は2種以上を使用する。ここで、2
種以上を使用する場合には、予め予備的な実験を行い、
混合する割合などを決定することが好ましい。本発明の
試薬Bは、水に対する溶解度が高く水と相分離を生じ難
いため、これを使用することで不溶化された核酸及びキ
ャリアーを水相から分離する操作を簡便化できる。この
ことは結果的に、本発明の最終工程において不溶化され
た核酸の回収率を向上し得ることを意味する。
【0029】試薬C中の、試薬A及び試薬Bのそれぞれ
の濃度は、キャリアーを混合した試料に試薬Cを添加し
た際、蛋白質や脂質等は可溶化された状態にあるが核酸
及びキャリアーは不溶化されるように調整すれば良い。
特に抽出効率を向上するうえで好ましい濃度は、試料に
添加した場合の濃度(最終濃度)で、試薬Aが1.5〜
4.5M、試薬Bが40〜80%程度である。
【0030】例えば、試薬Cを構成する試薬Aとしてチ
オシアン酸グアニジンを、試薬Bとしてイソプロピルア
ルコールを使用した場合の、特に高い効率で核酸を抽出
するための試薬濃度は、試料を混合した際のチオシアン
酸グアニジン最終濃度が2〜3Mで、試料に混合した際
のイソプロピルアルコール最終濃度が45〜55%程度
である。チオシアン酸グアニジン最終濃度が1.5M以
下では、試料に含まれる蛋白質や脂質等を十分に可溶化
することが出来ず、また4.5M以上にするには試薬C
中の試薬Aの濃度を高めなければならないが、そうする
と試薬Aが析出しやすくなり調製が困難である。またイ
ソプロピルアルコール最終濃度が40%以下ではキャリ
アー及び核酸を十分不溶化することが出来ず、またイソ
プロピルアルコール最終濃度が80%以上では、蛋白質
や脂質等を十分可溶化出来るだけの、チオシアン酸グア
ニジン濃度を調製するのが困難であり、さらにイソプロ
ピルアルコールの蒸発が問題となるため、本発明では前
記濃度範囲の試薬を使用することが好ましい。
【0031】試薬Cの添加量は、例えば試料が血清等の
場合は試料容量の2〜10倍量とすることが適当である
が、試料が高濃度の蛋白質や脂質等を含む場合は十分に
可溶化するために試料容量の10倍以上添加すると良
い。
【0032】以上の工程で試料中の核酸及びキャリアー
は不溶化されるから、続いて蛋白質等を含む水相から不
溶化された核酸及びキャリアーを遠心分離や濾過等の通
常の分離操作を実施して分離する。遠心分離を行った場
合には、核酸をペレットとして容器底に得ることがで
き、瀘過を行った場合、瀘過膜上に得ることができる。
なお濾過膜としては、0.1〜10μm程度の孔を有す
るものが使用できる。
【0033】分離された核酸は、そのままで種々の検査
や遺伝子組み換えに使用することができるが、それに先
立って洗浄することが好ましい。特に、例えば分離され
た核酸について酵素反応(例えば制限酵素反応、逆転写
反応、PCR反応等)を行う等、沈殿物中にわずかに含
まれる試薬A等が反応主体である酵素活性を阻害する恐
れがある場合等に有効である。具体的には、例えば遠心
分離又は濾過で取得された沈殿物について塩及びアルコ
ールを含む溶液を添加混合し、再度遠心分離又は濾過に
供することが例示できる。この場合、単に蒸留水等で洗
浄した場合に比較して、試薬Aやペレット表面の残存蛋
白質等を効率良く除去できる。塩としては塩化カリウ
ム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等を0.05〜
0.5M程度を含有し、アルコールとしては例えばエタ
ノールなら50%以上、好ましくは60〜80%、n−
プロピルアルコールやイソ−プロピルアルコールであれ
ば30%以上、好ましくは40〜60%が良い。
【0034】この他、特に沈殿物中に残存する蛋白質を
除去する必要がある場合には、まず沈殿物に本発明の試
薬Aを含む溶液を再添加し、該蛋白質を溶解し、本発明
の試薬Bを含む溶液を添加し、再度遠心分離又は濾過を
行えば良い。むろん、本発明の(2)以降の工程をその
まま繰り返しても良い。なお、極微量の核酸を抽出する
場合には、操作全体を低温室中で行う等して、試料温度
が低い状態で本発明を実施することが好ましい。
【0035】本発明は更に、以上のようにして抽出され
た核酸について、それが例えばB型肝炎ウイルス、C型
肝炎ウイルス等の核酸中に見出だされる、他の核酸と識
別し得る特定配列を含むか否かを判定するための、一般
にPCR反応と呼ばれるDNA増幅方法を利用した検出
方法をも提供する。なお本明細書においては、ヨーロッ
パ公開特許第487218号明細書の開示事項を引用す
る。
【0036】この方法においては、前述のように分離さ
れ、好ましくは洗浄された核酸について、まず分離され
た核酸がRNAである場合には、逆転写反応により該R
NAをDNAに変換する。例えばC型肝炎ウイルス等で
は、遺伝子としてRNAを有している。一方本発明で
は、DNAを増幅するためのPCR反応を利用するた
め、以下に述べる増幅工程に先立ち、RNAを増幅し得
るDNAに変換する。この工程は、通常の逆転写反応に
より、分離したRNAを鋳型としてDNAを合成するこ
とにより達成できる。
【0037】次に、分離された核酸又は前記工程で逆転
写反応により得られた核酸を、少なくとも特定配列を増
幅するのに適したオリゴヌクレオチドプローブ、モノヌ
クレオチド三燐酸混合物、ポリメレース及びインターカ
レーター性蛍光色素を含むポリメレースチェーンリアク
ション反応液中でPCR反応に供する。ここでオリゴヌ
クレオチドプローブは、適当な塩基長を有し、PCR反
応が進行した場合に、特定配列を含むDNA断片を産出
するために必要な、最終的に産出されるDNA断片の
5′末端に位置すべき2種以上のオリゴヌクレオチドで
あり、検出しようとする特定配列に応じて、適宜選択す
ることができる。
【0038】本発明で使用するインターカレーター性蛍
光色素としては、例えばエチジュームブロマイド、アク
リジンオレンジ、ビスベンチミド、ジアミノフェニルイ
ンドール、アクチノマイシン、チアゾール、クロモマイ
シン並びにこれらの誘導体等を例示できる。PCR反応
それ自体は、特定配列及び該配列に相補的配列のそれぞ
れの3′末端側部分に、それぞれ相補的なオリゴヌクレ
オチドプライマーをハイブリダイズさせた状態でポリメ
レースによる5′末端から3′末端への伸長反応を行
い、産生する二重鎖を解離させる操作を1サイクルと
し、これを適当回数繰り返せば良い。
【0039】蛍光強度変化は、PCR反応前後又はPC
R反応中のPCR反応液について測定する。インターカ
レーター性蛍光色素は、二重鎖DNAに取り込まれるこ
とで蛍光特性が変化するため、PCR前後又はPCR反
応中の蛍光強度は、分離されたDNA又はRNAが特定
配列を有しているか否かを示すのである。
【0040】以上の特定配列の検出方法においては、P
CR反応を開始した後は試薬を追加する必要がない。従
って、例えばPCR反応液を添加した容器を用意し、こ
れに抽出した核酸又はそれを逆転写反応することで得ら
れた核酸を該容器に添加した後は、容器を完全に密封
し、密封状態でPCR反応工程及び蛍光強度測定工程を
実施すれば、エアロゾルの発生確率をより減少させるこ
とができる。
【0041】そして本発明は、上記で説明してきた核酸
抽出を実施するための試薬セットをも提供する。該試薬
セットは、先に説明したキャリアー及び試薬Cを含むも
ので、これらは、実際に使用されるまで分離された状態
に維持される。例えば、キャリアーは固体状で、そして
試薬Cは液体状で、それぞれ別の容器に封入されている
ような形態が例示できる。
【0042】本発明の試薬セットは、本発明の核酸抽出
法や、核酸の特定配列の検出方法において反応空間を提
供しうる、適当なプラスチック材料で構成された反応管
などを含んでいてもよい。特に核酸の特定配列の検出を
も行う場合には、密封可能な前記反応管を含むことが好
ましい。
【0043】このように、試薬セット中に反応管が含ま
れる場合には、例えばキャリアーを該管中に凍結乾燥等
して添加しておくことで、単に試料を添加し、後に試薬
Cを添加するのみで核酸抽出などが可能な試薬セットが
提供される。
【0044】
【実施例】以下、本発明を更に詳細に説明するために実
施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定される
わけではない。 実施例1 培養細胞からの核酸の抽出 マウスの骨髄腫細胞とCEA(癌胎児性抗原)で感作し
たマウスのリンパ球細胞とのハイブリドーマ細胞をDM
EM培地で培養した。培養液1ml当たりCEL細胞が
40万となった時点で、100μlの培養液を容量0.
5mlのサンプリングチューブに取得し、7000rp
mで1分間遠心分離し上清を除去後、培地20μlで懸
濁した。懸濁液に対してデキストラン(分子量50万)
1μl(10μg)を添加し混合後、試薬C(2.4M
チオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウ
ム、0.3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム、6
0%イソプロピルアルコール)を100μl添加後、2
0秒程攪拌し、続いて15000rpmで2分間遠心分
離して沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、沈殿物に
200mM塩化カリウムを含む40%イソプロピルアル
コールを100μl添加し、20秒程攪拌し、続いて1
5000rpmで1分間遠心分離して上清を捨て沈殿物
に核酸を抽出した。またこの沈殿物について Kissaneと
Robinsの蛍光法(J.Biol.Chem. 233:184, 1958)により
DNA量を測定した。さらに沈殿物を灰化処理した後、
リン定量(Anal. Chem. 28:1756, 1956)により沈殿物
中の総核酸量(DNA+RNA量)を測定した。RNA
量は、総核酸量(DNA+RNA量)からDNA量を減
じて算出した。
【0045】比較のためプロテアーゼK/フェノール法
およびAGPC法で同一試料から核酸を抽出した。
【0046】プロテアーゼK/フェノール法は、Kelle
r,G.Hらによる方法(Anal. Biochem.170:441-450, 198
8)に従った。まず容量0.5mlサンプリングチュー
ブ中の細胞懸濁液20μlに、試薬(150mM塩化ナ
トリウム、10mM EDTA、10mMトリスpH
8、2%SDS、250μg/mlプロテアーゼK)を
40μl添加し20秒程攪拌し、50℃で1時間インキ
ュベーションした。次に溶液(フェノール:クロロホル
ム:イソアミルアルコール=25:24:1)を60μ
l添加し20秒程攪拌する。10分間、15000rp
mで遠心分離した。上清(水相)を40μl分取し、4
M酢酸カリウムを8μl添加し、さらにグリコーゲン1
0μg(1μl)とイソプロピルアルコールを50μl
添加し攪拌した後、−20℃で30分間冷却した後、上
清を捨て、沈殿物に75%エタノールを100μl添加
し攪拌した。4℃で20分間遠心分離して上清を捨て沈
殿物に核酸を抽出した。
【0047】AGPC法は、Chomczymski.P らによる方
法(Anal. Biochem. 162:156-159,1987 )に従った。ま
ず容量0.5mlサンプリングチューブ中の細胞懸濁液
20μlに、試薬(6Mチオシアン酸グアニジン、3
7.5mMクエン酸ナトリウム、0.75%N−ラウロ
イルサルコシンナトリウム、0.15M 2−メルカプ
トエタノール)を40μl添加し20秒程攪拌し、さら
に2M酢酸ナトリウム(pH4)を6μl添加し20秒
程攪拌した。次に水で飽和したフェノールを6μl添加
し20秒程攪拌した。次に溶液(クロロホルム:イソア
ミルアルコール=49:1)を12μl添加し20秒程
攪拌した。次に混合溶液を15分間氷水中で冷却した
後、4℃で20分間、15000rpmで遠心分離し
た。上清(水相)を60μl分取しイソプロピルアルコ
ールを60μl添加し攪拌した後、−20℃で1時間冷
却した。冷却後、上清を捨て、沈殿物に75%エタノー
ルを100μl添加し攪拌した。最後に4℃で20分間
遠心分離して上清を捨て沈殿物に核酸を抽出した。沈殿
物を上記と同様に分析した。結果を表1に示す。表1に
よれば本発明の方法は、抽出効率の面において優位性を
示した。
【0048】
【表1】 実施例2 大腸菌からの抽出 大腸菌(JM109)をL−Broth培地で培養し
た。培養液1ml当たり大腸菌2×108となった時点
で、1mlの培養液を容量1.5mlのサンプリングチ
ューブに取得し、7000rpmで1分間遠心分離し上
清を除去後、培地50μlで懸濁した。懸濁液に対して
デキストラン2μl(分子量50万、20μg)を添加
し混合後、試薬C(2.4Mチオシアン酸グアニジン、
15mMクエン酸ナトリウム、0.3%N−ラウロイル
サルコシンナトリウム、60%イソプロピルアルコー
ル)を250μl添加後、20秒程攪拌し、続いて15
000rpmで2分間遠心分離して沈殿物に核酸を抽出
した。上清を捨て、沈殿物に200mM塩化カリウムを
含む40%イソプロピルアルコールを250μl添加
後、20秒程攪拌し、続いて15000rpmで1分間
遠心分離して上清を捨て沈殿物に核酸を抽出した。実施
例1と同様にDNA量および総核酸量(DNA+RNA
量)を測定し、RNA量を算出した。結果を表2に示
す。
【0049】
【表2】 実施例3 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにB型肝炎
患者血清20μlを分注し、試薬C(2.4Mチオシア
ン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム、60%
イソプロピルアルコール)を100μl添加後、20秒
程攪拌し、15000rpmで2分間遠心分離して沈殿
物に核酸を抽出した。上清を捨て、200mM塩化カリ
ウムを含む40%イソプロピルアルコールを100μl
を添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで1分間
遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出した。
【0050】この沈殿物に対し、PCR試薬(宝酒造
(株)製)を25μl分注し、DNAThermal
Cycler(Perkin-Elmer-Cetus社製)でを用いて4
0サイクルのPCRを行った。なおその条件は以下の通
りである(以下のプライマーはB型肝炎ウイルス(HB
V)の核酸を特異的に増幅するためのプライマーであ
る)。
【0051】各サイクルの時間 変性 94℃ 1分 アニーリング 55℃ 45秒 合成 72℃ 1分 プライマーの塩基配列 5′−GGACTTCTCTCAATTTTCTAGG
G−3′ 5′−CAAATGGCACTAGTAAACTGAG
C−3′ PCR反応終了後電気泳動し、エチジウムブロマイド染
色によりバンドの濃さを確認した。結果を図1に示す。 実施例4 C型肝炎ウイルスRNAの抽出 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにC型肝炎
患者血清20μlを分注し、試薬C(2.4Mチオシア
ン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム、60%
イソプロピルアルコール)を100μl添加後、20秒
程攪拌し、15000rpmで2分間遠心分離して沈殿
物に核酸を抽出した。上清を捨て、200mM塩化カリ
ウムを含む40%イソプロピルアルコールを100μl
を添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで1分間
遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出した。
【0052】この沈殿物に対し、逆転写試薬(宝酒造
(株)製)を10μl分注し溶解後、DNA Ther
mal Cycler(Perkin-Elmer-Cetus社製)で逆
転写反応を行った。なお、その条件は以下のとおりであ
る。
【0053】 アニーリング 25℃ 10分 合成 42℃ 30分 逆転写酵素失活 99℃ 5分 保存 25℃ 次に上記逆転写反応溶液5μlにPCR試薬20μlを
分注し、DNA Thermal Cycler(Perk
in-Elmer-Cetus社製)で40サイクルのPCRを行っ
た。その条件は以下のとおりである(以下のプライマー
は、C型肝炎ウイルス(HCV)の核酸を特異的に増幅
するためのプライマーである)。
【0054】 各サイクルの時間 変性 95℃ 30秒 アニーリング 65℃ 30秒 合成 72℃ 1分 プライマーの塩基配列 5′−CTCCACCATAGATCACTCCCC−
3′ 5′−GCACTCGCAAGCACCCTAT −
3′ PCR反応終了後電気泳動を行い、エチジウムブロマイ
ド染色によりバンドの濃さを確認した。結果を図2に示
す。 実施例5 C型肝炎ウイルスRNAの抽出 デキストラン2μl(分子量50万、20μg)を分注
した容量1.5mlのサンプリングチューブにC型肝炎
患者血清100μlを分注し、試薬C(2.4Mチオシ
アン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム、60
%イソプロピルアルコール)を500μl添加後、20
秒程攪拌し、15000rpmで3分間遠心分離して沈
殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、200mM塩化カ
リウムを含む40%イソプロピルアルコールを200μ
lを添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで1分
間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出した。
【0055】この沈殿に対し、逆転写試薬20μl分注
し溶解後、実施例4と同じ条件で逆転写反応を行った。
次に上記逆転写反応溶液10μlにPCR試薬40μl
を分注し実施例4と同じ条件でPCR反応をおこなっ
た。
【0056】比較のため、ヨウ化ナトリウム法(Ishiza
wa.Mらによる方法、Nucleic Acid Res. 19(20):5792, 1
991)で抽出した。先ず容量1.5mlのサンプリング
チューブにC型肝炎患者血清100μlを分注し、試薬
(6M NaI、13mMEDTA、0.5% N−ラ
ウロイルサルコシンナトリウム、10μg グリコーゲ
ン、Tris-HCl p11A)を300μl添加後、20秒程攪
拌し、60℃で15分間インキュベーションした。イン
キュベーション後、イソプロピルアルコールを400μ
l添加後、20秒程攪拌し15分間静置した。静置後、
15000rpmで5分間遠心分離して上清を捨てた。
次に40%イソプロピルアルコールを1000μlを添
加後、20秒程攪拌し、15000rpmで5分間遠心
分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出した。この沈
殿に対し上記と同様に逆転写反応及びPCRを行った。
PCR反応終了後、PCR反応溶液10μlを高速液体
クロマトグラフィー(東ソー(株)製)で分析した。カ
ラムには、ゲル濾過クロマトグラフィー用TSKge
l、G4000SWを用い、260nmの紫外吸収(U
V8000、東ソー(株)製)にて検出した。溶離液に
はリン酸カリウム緩衝液(0.1M,pH6.8)、流
量1ml/minを用いた。結果を表3に示す。本発明
の方法ではPCR反応溶液10μl当たりPCR増幅産
物は平均26ngであったのに対し、ヨウ化ナトリウム
法では3ngであった。
【0057】
【表3】 実施例6 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにB型肝炎
患者血清20μlを分注し、以下に示した試薬Cをそれ
ぞれのサンプルに添加混合した。
【0058】2.4Mチオシアン酸グアニジン、15
mMクエン酸ナトリウム及び60%イソプロピルアルコ
ールを含む試薬Cを100μl、 2.4Mチオシアン酸カリウム、15mMクエン酸ナ
トリウム及び60%イソプロピルアルコールを含む試薬
Cを100μl、 3.2M塩酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウ
ム及び60%イソプロピルアルコールを含む試薬Cを1
00μl、 試薬Cを添加混合後、15000rpmで2分間遠心分
離して沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、200m
M塩化カリウムを含む40%イソプロパノールを100
μlを添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで1
分間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出し
た。以上の溶液を使用して抽出した核酸について、実施
例3と同じ条件でPCRを行い、反応終了後、電気泳動
でバンドの濃さを比較した。結果を図3に示す。その結
果、これら試薬Cを用いた場合、〜についてバンド
の濃さはほぼ同等であった。 実施例7 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにB型肝炎
患者血清20μlを分注し、以下に示した試薬Cをそれ
ぞれのサンプルに添加混合した。
【0059】2.4Mチオシアン酸グアニジン、15
mMクエン酸ナトリウム、60mM2−メルカプトエタ
ノール、0.3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム
及び60%n−プロピルアルコールを含む試薬Cを10
0μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%イ
ソプロピルアルコールを含む試薬Cを100μl、 3Mチオシアン酸グアニジン、19mMクエン酸ナト
リウム、75mM 2−メルカプトエタノール、0.3
8%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び50%n
−ブチルアルコールを含む試薬Cを80μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%n
−ブチルアルコールを含む試薬Cを100μl、 3Mチオシアン酸グアニジン、19mMクエン酸ナト
リウム、75mM 2−メルカプトエタノール、0.3
8%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び50%s
ec−ブチルアルコールを含む試薬Cを80μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%s
ec−ブチルアルコールを含む試薬Cを100μl。
【0060】試薬Cを添加混合後、15000rpmで
2分間遠心分離して沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨
て、200mM塩化カリウムを含む40%イソプロパノ
ールを100μlを添加後、20秒程攪拌し、1500
0rpmで1分間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核
酸を抽出した。以上の溶液を使用して抽出した核酸につ
いて、実施例3と同じ条件でPCRを行い、反応終了
後、電気泳動でバンドの濃さを比較した。結果を図4に
示す。その結果、これら試薬Cを用いた場合、〜に
ついてバンドの濃さは同等であった。 実施例8 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにB型肝炎
患者血清20μlを分注し、以下に示した試薬Cをそれ
ぞれのサンプルに添加混合した。
【0061】3Mチオシアン酸グアニジン、19mM
クエン酸ナトリウム、75mM 2−メルカプトエタノ
ール、0.38%N−ラウロイルサルコシンナトリウム
及び50%tert−アミルアルコールを含む試薬Cを
80μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%t
ert−アミルアルコールを含む試薬Cを100μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%t
ert−ブチルアルコールを含む試薬Cを100μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、60mM2−メルカプトエタノール、0.
3%N−ラウロイルサルコシンナトリウム及び60%イ
ソプロピルアルコールを含む試薬Cを100μl。
【0062】試薬Cを添加混合後、15000rpmで
2分間遠心分離して沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨
て、200mM塩化カリウムを含む40%イソプロパノ
ールを100μlを添加後、20秒程攪拌し、1500
0rpmで1分間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核
酸を抽出した。以上の溶液を使用して抽出した核酸につ
いて、実施例3と同じ条件でPCRを行い、反応終了
後、電気泳動でバンドの濃さを比較した結果を図5に示
す。その結果、これら試薬Cを用いた場合、バンドの濃
さは同等であった。 実施例9 C型肝炎ウイルスRNAの抽出 容量1.5mlのサンプリングチューブにアクリルアミ
ド(分子量約70万)溶液0、0.5、1、2、5μl
(0、5、10、20、50μg)およびデキストラン
(分子量50万)2μl(20μg)をそれぞれ分注
し、さらにC型肝炎患者血清100μlを分注後、5秒
程攪拌する。次に試薬C(2.4Mチオシアン酸グアニ
ジン、15mMクエン酸ナトリウム、60%イソプロピ
ルアルコール)を500μl添加後、20秒程攪拌す
る。15000 rpmで3分間遠心分離して沈殿物に
核酸を抽出した。上清を捨て、沈殿物に200mM塩化
カリウムを含む40%イソプロピルアルコールを200
μl添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで3分
間遠心分離して上清を捨て沈殿物に核酸を抽出した。
【0063】この沈殿に対し、逆転写試薬20μl分注
し溶解後実施例4と同じ条件で逆転写反応を行った。次
に上記逆転写反応溶液10μlにPCR試薬40μlを
分注し実施例4と同じ条件でPCR反応をおこなった。
PCR反応終了後、実施例5と同様にPCR反応溶液1
0μlを高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)
製)で分析した。分析結果を表4に示す。
【0064】核酸共沈物質であるアクリルアミドが無い
場合は、C型肝炎ウイルスRNAが抽出されないため、
PCR反応による増幅産物が検出されなかった。アクリ
ルアミドを20μg以上添加した場合は、PCR反応に
よる増幅産物が約35ナノグラム検出された。デキスト
ランを20μg添加した場合は、PCR反応による増幅
産物が約44ナノグラム検出された。
【0065】
【表4】 実施例10 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストラン(分子量50万)を、0、0.2、0.
4、0.8、1.6、3.2、6.4μl(0、2、
4、8、16,32、64μg)を分注し、実施例4と
同様に抽出操作およびPCR反応を行い、PCR反応終
了後電気泳し、エチジウムブロマイド染色によりバンド
の濃さを比較した。結果を図6に示す。その結果、核酸
共沈物質であるデキストランが無い場合は、B型肝炎ウ
イルスDNAが抽出されないため、バンドが検出されな
かった。デキストランを16μg以上添加した場合は、
バンドの濃さはほぼ同等であった。 実施例11 B型肝炎ウイルスDNAの抽出 デキストランに代えてカルボキシメチルセルロース(S
IGMA製:Lowviscosity)を1μl(1
0μg)使用した以外は実施例3と同様の抽出操作およ
びPCR反応を行い、PCR反応終了後電気泳動し、エ
チジウムブロマイド染色によりバンドの濃さを比較し
た。結果を図7に示す。その結果、デキストランとカル
ボキシメチルセルロースのバンドの濃さはほぼ同等であ
った(参照のため、同時にデキストランを使用して抽出
操作を行った場合の結果を合わせて図7に示す)。 実施例12 PCR反応産物への応用 容量1.5mlのサンプリングチューブにデキストラン
(分子量50万)溶液2μl(20μg)を分注し、H
BV−PCR反応溶液20μlおよび水80μlを添加
し混合した。次に試薬C(2.4Mチオシアン酸グアニ
ジン、15mMクエン酸ナトリウム、60mM β−メ
ルカプトエタノール、60%イソプロピルアルコール)
を500μl添加後、20秒程攪拌し、15000 r
pmで3分間遠心分離して沈殿物に核酸を抽出した。上
清を捨て、沈殿物に200mM塩化カリウムを含む40
%イソプロピルアルコールを100μl添加後、20秒
程攪拌し、15000rpmで3分間遠心分離して上清
を捨て沈殿物に核酸を抽出した。水20μlを沈殿物に
添加し溶解した。
【0066】抽出前および抽出後のPCR反応溶液10
μlを、実施例5と同様に高速液体クロマトグラフィー
(東ソー(株)製)で分析した。なお、カラムには、ゲ
ル濾過クロマトグラフィー用TSKgel、G3000
SWを用いた。結果を図8に示す。図8によりPCR増
幅産物およびプライマーオリゴマーがほぼ100%回収
されていることが判明した。またプライマー、デオキシ
ヌクレオチドトリホスフェートが除去されていることが
判明した。 実施例13 抽出した核酸を用いたPCR反応 デキストラン(分子量50万)2μl(20μg)を分
注した容量1.5mlのサンプリングチューブにB型肝
炎患者血清100μlを分注し、試薬C(2.4Mチオ
シアン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム、6
0%イソプロピルアルコール)を500μl添加後、2
0秒程攪拌し、15000rpmで3分間遠心分離して
沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、200mM塩化
カリウムを含む40%イソプロピルアルコールを200
μlを添加後、20秒程攪拌し、15000rpmで1
分間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出し
た。この沈殿に対し、PCR試薬50μlを分注し実施
例3と同じ条件でPCR反応をおこなった。
【0067】比較のため、実施例5と同様にヨウ化ナト
リウム法(Ishizawa.Mらによる方法、Nucleic Acid Re
s. 19(20):5792, 1991)で核酸を抽出し、上記と同様に
PCR反応を行った。PCR反応終了後、PCR反応溶
液を10μlを実施例5と同様に、高速液体クロマトグ
ラフィー(東ソー(株)製)で分析した。分析結果を表
5に示す。本発明の方法の場合PCR反応溶液10μl
当たりPCR増幅産物は平均7.5ngに対し、ヨウ化
ナトリウム法では4.3ngであった。なお、表中には
各方法につき、4サンプルずつ行った平均値を記載し
た。
【0068】
【表5】 実施例14 容量1.5mlの各サンプリングチューブに以下に示し
たキャリアーを分注した。
【0069】デキストラン2μl(分子量50万、2
0μg)、 デキストラン1μl(分子量50万、10μg)及び
アクリルアミド1μl(分子量70万、10μg)、 アクリルアミド1μl(分子量70万、10μg)及
びカルボキシメチルセルロース1μl(10μg、SI
GMA製、Low viscosity)。
【0070】分注後、各サンプリングチューブにB型肝
炎患者血清100μlを分注し、試薬C(2.4Mチオ
シアン酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム、6
0%イソプロピルアルコール)を500μl添加後、2
0秒程撹拌し、15000rpmで3分間遠心分離して
沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、200mM塩化
カリウムを含む40%イソプロピルアルコール200μ
lを添加後、20秒程撹拌し、15000rpmで1分
間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核酸を抽出した。
【0071】この沈殿に対し、PCR試薬50μlを分
注し実施例3と同じ条件でPCR反応を行った。PCR
反応終了後、PCR反応溶液を実施例5と同様に高速液
体クロマトグラフィー(東ソー(株)製)で分析した。
分析結果を表6に示す。キャリアーは単独でも、2種混
合しても同程度にPCR増幅されていた。なお、表には
各方法につき、4サンプルずつ行った平均値を記載し
た。
【0072】
【表6】 実施例15 デキストラン2μl(分子量50万、20μg)を分注
した容量0.5mlのサンプリングチューブにB型肝炎
患者血清100μlを分注し、以下に示す試薬Cをそれ
ぞれのサンプルに添加混合した。
【0073】2.4Mチオシアン酸グアニジン、15
mMクエン酸ナトリウム、60%イソプロピルアルコー
ルを含む試薬Cを500μl、 2.4Mチオシアン酸グアニジン、15mMクエン酸
ナトリウム、30%イソプロピルアルコール、30%t
ert−ブチルアルコールを含む試薬Cを500μl。
【0074】試薬Cを添加後、15000rpmで3分
間遠心分離して沈殿物に核酸を抽出した。上清を捨て、
200mM塩化カリウムを含む40%イソプロピルアル
コール200μlを添加後、20秒程撹拌し、1500
0rpmで1分間遠心分離して上清を捨て、沈殿物に核
酸を抽出した。
【0075】この沈殿に対し、PCR試薬50μlを分
注し実施例3と同じ条件でPCR反応を行った。PCR
反応終了後、PCR反応溶液を実施例5と同様に高速液
体クロマトグラフィー(東ソー(株)製)で分析した。
分析結果を表7に示す。試薬Cに含まれるアルコールが
イソプロピルアルコール1種の場合、PCR反応溶液1
0μl当たりのPCR増幅産物は平均42ngであるの
に対し、イソプロピルアルコール及びtert−ブチル
アルコールの2種を混合した場合、平均33ngであっ
た。なお、表には各方法につき、2サンプルずつ行った
平均値を記載した。
【0076】
【表7】
【発明の効果】本発明では、チオシアン酸グアニジン、
塩酸グアニジン、チオシアン酸カリウム及びチオシアン
酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上
の試薬Aと、n−プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール、及びtert−
アミルアルコールからなる群から選ばれる1種又は2種
以上の試薬Bを最初から混合しておくことでこれら試薬
の使用量を減少させることができる。例えば試料が10
μlで、最終的に2Mの蛋白質変性剤と50%程度のイ
ソプロパノールが含有された状態にするならば、グアニ
ジン法では、例えば、6Mのグアニジン溶液を20μl
添加し、続いて100%程度のイソプロパノールを30
μl添加する必要がある。これに対して本発明では、3
Mのチオシアン酸グアニジンを含む75%程度のイソプ
ロパノールからなる核酸抽出試薬を20μl添加すれば
済むのである。この結果、グアニジン法では、試料、2
Mチオシアン酸グアニジン及び50%程度のイソプロパ
ノールを含む60μlの溶液が出現するのに対し、本願
発明では同濃度の溶液が30μl出現するだけである。
従って、操作後に処理しなければならない廃液量も、本
願発明では少なくすることができる。加えて、本発明で
はフェノールやクロロホルム等を使用する必要がないか
ら、その取扱い等が従来技術に比較して簡便である。
【0077】本発明では核酸を沈殿として得ることがで
き、従来のように互いに混合しない2種類の液体への核
酸の溶解度の差に基づいて、核酸が溶解している液相を
他方の液相から分離することによって核酸を抽出してく
る方法に比べて、極めて簡単な操作で実施できる。従っ
てその実施には熟練を必要とせず、かつ常に安定して、
高い効率で核酸を抽出することができる。
【0078】また本発明では、前記したように試料に添
加する試薬C中の試薬Aの濃度を低下できるから、試薬
Aの析出も防止でき、更には試薬Bの濃度を下げること
ができるからその揮発も防止できる。従って、本発明は
機械を用いてこれを実施するのに都合が良い。一般に試
薬Aや試薬Bは、単独では分注精度を向上することが難
しいが、本発明の核酸抽出試薬では分注精度の向上を期
待出来る。
【0079】本発明は、キャリアー、試薬A及びBを含
む試薬Cを用いることで、上記効果に加え、従来方法に
比較して高い抽出効率を達成し得る方法である。
【0080】また、本発明が提供する特定配列の検出方
法は、PCR反応及び蛍光強度測定を密封容器内で実施
し得るものである。従って、単なるPCR法により核酸
を増幅し、増幅した核酸を検出する方法等に比較して、
操作も簡便であり、しかもエアロゾル発生確率を減少す
ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により抽出したB型肝炎ウイル
ス(HBV)DNAをPCRにより増幅した場合の電気
泳動の結果を示す図である。レーン1、2:HBVを多
量に含む血清;レーン3、4:HBVを少量含む血清;
レーン5:HBVを含まない血清。なお、図1〜図7に
おいて、下の写真は電気泳動の結果を示す写真であり、
上はその模式図である。
【図2】 本発明の方法により抽出したC型肝炎ウイル
ス(HCV)RNAから調製したDNAをPCRにより
増幅した場合の電気泳動の結果を示す図である。レーン
1、2:HCVを多量に含む血清;レーン3、4:HC
Vを少量含む血清;レーン5:HCVを含まない血清。
【図3】 以下に示す各種試薬Cを用いて、本発明の方
法によりB型肝炎ウイルスDNAを抽出し、PCRによ
り増幅した場合の電気泳動の結果を示す図である。レー
ン1、2:2.4Mチオシアン酸グアニジン、15m
Mクエン酸ナトリウム及び60%イソプロピルアルコー
ルを含む試薬C;レーン3、4:2.4Mチオシアン
酸カリウム、15mMクエン酸ナトリウム及び60%イ
ソプロピルアルコールを含む試薬C;レーン5、6:
3.2M塩酸グアニジン、15mMクエン酸ナトリウム
及び60%イソプロピルアルコールを含む試薬C。
【図4】 実施例7に示す試薬Cを用いて、本発明の方
法によりB型肝炎ウイルスDNAを抽出し、PCRによ
り増幅した場合の電気泳動の結果を示す図である。な
お、試薬Cに使用した試薬Bを以下に列記する。レーン
1、2:60%n−プロピルアルコール;レーン3、
4:60%イソプロピルアルコール;レーン5、6:
50%n−ブチルアルコール;レーン7、8:60
%n−ブチルアルコール;レーン9、10:50%s
ec−ブチルアルコール;レーン11、12:60%
sec−ブチルアルコール。
【図5】 実施例8に示す試薬Cを用いて、本発明の方
法によりB型肝炎ウイルスDNAを抽出し、PCRによ
り増幅した場合の電気泳動の結果を示す図である。な
お、試薬Cに使用した試薬Bを以下に列記する。レーン
1、2:50%tert−アミルアルコール;レーン
3、4:60%tert−アミルアルコール;レーン
5、6:60%tert−ブチルアルコール;レーン
7、8:60%イソプロピルアルコール。
【図6】 本発明の方法によりB型肝炎ウイルスDNA
を抽出しPCRにより増幅した場合の電気泳動の結果を
示す図である。なお、それぞれの試験で添加したデキス
トランの量(μg)を以下に列記する。レーン1、2:
0μg;レーン3、4:2μg;レーン5、6:4μ
g;レーン7、8:8μg;レーン9、10:16μ
g;レーン11、12:32μg;レーン13、14:
64μg。
【図7】 キャリアーとしてデキストランまたはカルボ
キシメチルセルロースを用いて実施例3と同様にB型肝
炎ウイルスDNAを抽出し、PCRにより増幅を行った
場合の電気泳動の結果を示す図である。レーン1、2:
デキストラン;レーン3、4:カルボキシメチルセルロ
ース。
【図8】 実施例12における、高速液体クロマトグラ
フィーの結果(チャート図)を示す。図中、(a)は核
酸抽出を行う前のPCR反応溶液についての、(b)は
核酸抽出後のPCR反応液についての結果を示し、図
中、横軸は溶出時間(分)を、縦軸は相対的吸光度を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/00 - 1/70 C07H 21/00 - 21/04 G01N 27/447 G01N 33/50 BIOSIS/WPI(DIALOG) JSTPlus(JOIS) PubMed

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程からなる、核酸を含有する試
    料からの核酸抽出法: (1)デキストラン、アクリルアミド及びカルボキシメ
    チルセルロースからなる群から選ばれる1種以上のキャ
    リアーを試料と混合して混合液を形成する工程、(2)
    チオシアン酸グアニジン、塩酸グアニジン、チオシアン
    酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウムからなる群から
    選ばれる1種以上の試薬Aと、n−プロピルアルコー
    ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
    sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
    ル及びtert−アミルアルコールからなる群から選ば
    れる1種以上の試薬B、とを含む試薬Cを、工程(1)
    の混合液に混合して核酸及びキャリアーを不溶化する工
    程、(3)不溶化された核酸及びキャリアーを液相と分
    離する工程。
  2. 【請求項2】 以下の工程からなる、試料中の核酸の特
    定配列の検出方法: (1)デキストラン、アクリルアミド及びカルボキシメ
    チルセルロースからなる群から選ばれる1種以上のキャ
    リアーを試料と混合して混合液を形成する工程、(2)
    チオシアン酸グアニジン、塩酸グアニジン、チオシアン
    酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウムからなる群から
    選ばれる1種以上の試薬Aと、n−プロピルアルコー
    ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
    sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
    ル及びtert−アミルアルコールからなる群から選ば
    れる1種以上の試薬B、とを含む試薬Cを、工程(1)
    の混合液に混合して核酸及びキャリアーを不溶化する工
    程、(3)不溶化された核酸及びキャリアーを液相と分
    離する工程、(4)分離された核酸がRNAである場合
    に逆転写反応により該RNAをDNAに変換する工程、
    (5)工程(3)で分離された核酸又は工程(4)で得
    られた核酸を、少なくとも特定配列を増幅するのに適し
    たオリゴヌクレオチドプローブ、モノヌクレオチド三燐
    酸混合物、ポリメレース及びインターカレーター性蛍光
    色素を含むポリメレースチェーンリアクション反応液中
    でPCR反応に供する工程、(6)PCR反応前後の蛍
    光強度変化又はPCR反応中の反応液からの蛍光強度変
    化を測定する工程、(7)蛍光強度の変化から、試料中
    に特定配列を有する核酸が存在していたか否かを判定す
    る工程。
  3. 【請求項3】 PCR反応及び蛍光強度変化の測定が、
    分離された核酸及びPCR反応液が密封された状態で実
    施されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも次のキャリアー及び試薬を分
    離された状態で含む、核酸を抽出するための試薬セッ
    ト。(1)デキストラン、アクリルアミド及びカルボキ
    シメチルセルロースからなる群から選ばれる1種以上の
    キャリアー、(2)チオシアン酸グアニジン、塩酸グア
    ニジン、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸ナトリ
    ウムからなる群から選ばれる1種以上の試薬Aと、n−
    プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
    チルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert
    −ブチルアルコール及びtert−アミルアルコールか
    らなる群から選ばれる1種以上の試薬B、とを含む試薬
    C。
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