JPH0723565Y2 - 車両用エンジンの吸気系部材組付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダヘッドから吸気導入部分にかけての
剛性を高める工夫を施した車両用エンジンの吸気系部材
組付構造に関するものである。

（従来の技術） 近年、車両用のエンジンは増々高性能化されつつあり、
これに伴ってシリンダヘッド回りの部材も複雑・重量化
される傾向にある。このためシリンダヘッド回りの補強
と簡素化が近年の一つの課題となってきている。

車両用エンジンとして、従来、第５図に示すような吸排
気系構造のものが使用されている。このエンジンは、イ
ンテークマニホルド１とエキゾーストマニホルド２がシ
リンダヘッド３の相反する側面に接続され、エキゾース
トマニホルド２と同じ側の側面にはイグニッションプラ
グ４が取付けられている。そして、インテークマニホル
ド１にはスロットルボディ５が取付けられ、このスロッ
トルボディ５の上部にサージタンク６が取付けられてい
る。このサージタンク６はエアクリーナアウトレットホ
ース７を介してエアクリーナ８に配管接続されている。
またシリンダブロック９の側面とインテークマニホルド
１の下面はリインホースメント10によって連結され、こ
れによってインテークマニホルド１からサージタンク６
にかけての相当重量の吸気系部材が支持補強されてい
る。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、第５図に示した吸排気系構造の場合、振
動を生じ易いエアクリーナアウトレットホース７がシリ
ンダヘッド３の上方に配置されるため、エアクリーナア
ウトレットホース７がシリンダヘッドカバー11等と接触
して摩耗を生じる虞があり、そのためこれ等の近接配管
が困難となっていた。そのうえ、エアクリーナアウトレ
ットホース７は、インテークマニホルド１の上方位置か
らエアクリーナ８部分までと配管が相当に長くなるた
め、異音の発生や配管の潰れ等を招き易かった。したが
って、これ等の理由によりエンジン回りのレイアウトの
自由度が狭められていた。

さらに、このような吸排気系構造にあっては、各種付属
装置等を取付ける必要のあるシリンダブロック９回りの
スペースがリインホースメント10によって狭められると
いう問題があった。また、剛性面から観ても、インテー
クマニホルドからサージタンク６にかけての吸気系部材
は、インテークマニホルド１の下部のみをリインホース
メント10によって支持されたものであるため、決して充
分とは言い得なかった。

なお、これ等の問題点を解決し得るものではないが、車
両用エンジンにおける吸気系部材の組付け技術は、例え
ば実開昭55-135148号公報や同61-108876号公報等にも開
示されている。

本考案の目的は、簡易な構造によってエンジン回りのレ
イアウトの自由度の拡張を可能にすると共に剛性を向上
させてエンジン運転時の振動や騒音の低減を可能にする
車両用エンジンの吸気系部材組付構造を提供することで
ある。

（課題を解決するための手段） 本考案は、前述した課題を解決するための手段として、
インテークマニホルド１とエキゾーストマニホルド２が
シリンダヘッド３の相反する側面に各々接続され、前記
インテークマニホルド１の上部にサージタンク12が設け
られ、前記シリンダヘッド３のエキゾーストマニホルド
２側の側面にイグニッションプラグ４が配設されている
車両用エンジンにおいて、前記サージタンク12の一部
を、シリンダヘッド３の上方を横切ってエキゾーストマ
ニホルド２側まで延出させ、エキゾーストマニホルド２
と前記サージタンク12の延出部13とを、ハイテンション
コード14挿通用の開口部15を有した支持部材16で連結す
るようにしたものである。

（作用） このような構成としたことにより、インテークマニホル
ド１からサージタンク12にかけての吸気系部材がエキゾ
ーストマニホルド２側で剛的に支持され、サージタンク
12に接続されるエアクリーナアウトレットホースはシリ
ンダヘッド３の上方に位置されなくなる。またハイテン
ションコード14は支持部材16の開口部15を挿通された状
態でイグニッションプラグ４に接続される。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第４図に基づい
て詳細に説明する。なお、第５図に示した従来の技術と
同一部分には同一符号を用いて説明するものとする。

本考案にかかる車両用エンジンは、シリンダヘッド３の
相反した側面に各々インテークマニホルド１とエキゾー
ストマニホルド２が接続され、エキゾーストマニホルド
２と同じ側のシリンダヘッド３の側面にイグニッション
プラグ４が取付けられたタイプのものである。ここに取
付けられるインテークマニホルド１は上方側に曲げら
れ、その上端部にスロットルボディ５が取付けられてい
る。そしてスロットルボディ５が取付けられている。そ
してスロットルボディ４の上端部には、サージタンク12
が接合されている。

サージタンク12は、本来の機能を為す長さｌの本体部17
の先端が長さｌ′分だけ延出して形成されており（この
部分を延出部13と呼ぶ。）、この延出部13はシリンダヘ
ッドカバー11の上方を横切って（当然にシリンダヘッド
３の上方を横切る。）エキゾーストマニホルド２の上方
にまで達している。延出部13の先端の両側面にはフラン
ジ18が設けられており、このフランジ18にブラケット19
が締付け固定されている。そしてブラケット19の下端部
には略コの字状の支持部材16の中央部が連結されてい
る。この支持部材16の略コの字状の内側はハイテンショ
ンコード14挿通用の開口部15となっている。さらに下方
に延出した支持部材16の各下端部はボルト20によってエ
キゾーストマニホルド２のフランジ21に締付け固定され
ている。この支持部材16を固定するボルト20はエキゾー
ストマニホルド取付け用のものの一部が共用される。こ
の結果、サージタンク12の延出部13はブラケット19と支
持部材16を介してエキゾーストマニホルド２に支持され
る。また、ディストリビュータ23（第２図参照）から引
き出された複数のハイテンションコード14はサージタン
ク12の側部から支持部材16の開口部15を挿通させるよう
に引き回され、そこから各イグニッションプラグ４に接
続されている。

サージタンク12の延出部13の先端にはクランプ24を介し
てエアクリーナアウトレットホース７が接続され、この
エアクリーナアウトレットホース７の他端部にクランプ
25を介してエアクリーナ８が接続されている（第３図参
照）。

以上のように構成したことにより、サージタンク12の延
出部13がエキゾーストマニホルド２のフランジ21に支持
され、インテークマニホルド１、スロットルボディ５お
よびサージタンク12から成る吸気系部材が一体化される
ようになる。そのため、これ等の吸気系部材は剛性が高
まり、シリンダヘッド３やエキゾーストマニホルド２等
と一体に振動するようになる。これにより、サージタン
ク12の延出部13は、シリンダヘッドカバー11等のシリン
ダヘッド３の上部の部材に近接させて設置させているに
もかかわらず、接触摩耗等を生じなくなる。またエアク
リーナアウトレットホース７の接続されるサージタンク
12の端部はエキゾーストマニホルド２側に位置されるた
め、エアクリーナアウトレットホース７は従来のものに
比較して短かくなる。これにより、エアクリーナアウト
レットホース７はエア吸入時の振動や配管の潰れを生じ
難くなる。

インテークマニホルド１からサージタンク12にかけての
吸気系部材は、従来デッドスペースとなっていたエキゾ
ーストマニホルド２の上方部分で支持するようにしてい
るため、前述した従来のものと異なりシリンダブロック
９回りのスペースを有効利用出来るようになる。また、
サージタンク12の支持は開口部15を有する支持部材16に
よって行い、この開口部15にはハイテンションコード14
を挿通させるようにしているため、ハイテンションコー
ド14の配線上は何等支障を来さない。むしろ、こうした
ことによりハイテンションコード14は支持部材16によっ
て保護され、外乱による劣化が防止される。さらにエキ
ゾーストマニホルド２に対する支持部材16の固定に際し
てはエキゾーストマニホルド２をシリンダヘッド３に締
付け固定するボルト20を共用するようにしたため、固定
のためのエキゾーストマニホルド２に対する特別な加工
の必要もなくなる。

（考案の効果） 以上で詳細に説明したように、本考案によれば、インテ
ークマニホルドからサージタンクにかけての吸気系部材
がエキゾーストマニホルド側に剛的に支持されるように
なるため、利用価値の高いインテークマニホルドの下方
スペースを有効利用出来るようになり、しかも吸気系部
材がシリンダヘッドと一体化して振動し部材相互の干渉
が生じ難くなるため、エンジン回りの近接配管が可能に
なるという効果が得られる。さらに、エアクリーナアウ
トレットホースを短かくすることが出来るため、エアク
リーナアウトレットホース部分がシリンダヘッドカバー
等と干渉したり、配管の潰れを生じ難くなり、その結果
エンジン回りのレイアウトの自由度が拡張されるという
効果も得られる。

また、支持部材にハイテンションコード挿通用の開口部
を設けるようにしたことにより、エキゾーストマニホル
ドとサージタンクの間に介装される支持部材がハイテン
ションコードの配線の邪魔にならなくなり、むしろハイ
テンションコードの保護が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２図は同正
面図、第３図は本考案の一実施例の要部を示す分解斜視
図、第４図は同斜視図、第５図は従来の技術を示す模式
側面図である。 １……インテークマニホルド、２……エキゾーストマニ
ホルド、３……シリンダヘッド、４……イグニッション
プラグ、12……サージタンク、13……延出部、14……ハ
イテンションコード、15……開口部、16……支持部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インテークマニホルドとエキゾーストマニ
   ホルドがシリンダヘッドの相反する側面に各々接続さ
   れ、前記インテークマニホルドの上部にサージタンクが
   設けられ、前記シリンダヘッドのエキゾーストマニホル
   ド側の側面にイグニッションプラグが配設されている車
   両用エンジンにおいて、前記サージタンクの一部を、シ
   リンダヘッドの上方を横切ってエキゾーストマニホルド
   側まで延出させ、エキゾーストマニホルドと前記サージ
   タンクの延出部とを、ハイテンションコード挿通用の開
   口部を有する支持部材で結合したことを特徴とする車両
   用エンジンの吸気系部材組付構造。