JPH07233133A - 水溶性アゾ化合物の球状造粒物及びその製造方法 - Google Patents

水溶性アゾ化合物の球状造粒物及びその製造方法

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征也 楮本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粉塵の発生しにくい球状の水溶性アゾ化合物
及びその製造方法を提供する。 【構成】 水溶性アゾ化合物を、非水溶性溶媒中に分散
させておき、撹拌しながら水、又は水溶性アゾ化合物を
溶解する親水性溶媒を滴下して、溶液中で粒状化させる
ことを特徴とする水溶性アゾ化合物の球状造粒物の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性アゾ化合物の球
状造粒物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子化合物、例えば吸水性樹脂や高分
子凝集剤等を製造する際のラジカル重合開始剤等として
有用性の高いアゾ化合物としては、一般式(1)で表さ
れるものや一般式(2)で表されるものが知られてい
る。かかるアゾ化合物については、使用場面における重
合装置の大規模化、自動化、省力化に伴い、固結、塊の
ない、投入時にはスムーズに滑り落ちる形状のものが強
く要望されている。また、一部の水溶性アゾ化合物には
皮膚刺激性を有するため、安全上、粉塵を発生させない
形状の製品が望まれている。
【0003】しかしながら、これらのアゾ化合物を造粒
しようとする試みは、これらの化合物が一般に熱分解性
が高く、爆発性を有するために、通常の造粒方法による
造粒は危険性が高く、かつ品質劣化の恐れがあるため従
来は殆ど行われていない。
【0004】この分野における従来技術としては、特公
昭63−99045に記載の押し出し造粒法による造粒
方法がある。この方法は、粉体に水を加え、混練して粉
体の結合力を調整し、次いで圧縮して空隙を最少にした
後、特定形状の穴から押し出し、グラニュレーターやペ
レッター等で造粒するものである。しかしながら、この
方法で得られる造粒物は円筒状のものであるため、転が
り流動性が十分でないという欠点があり、投入工程にお
いて閉塞異常を引き起こすことがあった。また、粒状物
の角が欠けやすい形状であるため、粉塵の発生を十分抑
えるものとはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る課題を解決するもので、粉塵の発生しにくい球状の水
溶性アゾ化合物及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は水溶性アゾ化合
物を、非水溶性溶媒中に分散させておき、撹拌しながら
水、又は水溶性アゾ化合物を溶解する親水性溶媒を滴下
して、溶液中で粒状化させることを特徴とする水溶性ア
ゾ化合物の球状造粒物の製造方法、及び水溶性アゾ化合
物の球状造粒物に係る。
【0007】本発明の方法は、水溶性アゾ化合物、特に
一般式(1)で表されるアゾ化合物や一般式(2)で表
されるアゾ化合物に対して好ましく適用できる。
【0008】
【化5】 1,R2:同一または異なってアルキル基又はシクロア
ルキル基を示す Z:[化6]または[化7]で表される基
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】R3:水素、アルキル基、アリル基、フェ
ニル基又は置換フェニル基 R4:水素、アルキル基、フェニル基又は置換フェニル
基 R5:アルキレン基又は置換アルキレン基 R6:水素原子又はヒドロキシアルキル基 X:Cl,Br又はCH3COO−基
【0012】
【化8】
【0013】A :アルキレン基又は置換アルキレン基 R7:アルキル基 Y:アルカリ金属、アルカリ土類金属(2Y)又はNH
4
【0014】ここでR1,R2,R3,R4,R7のアルキ
ル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペン
チル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基が好まし
い。R1,R2のシクロアルキル基としてはシクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜6の
シクロアルキル基が好ましい。R3,R4の置換フェニル
基としてはトリル、キシリル、クミル等の置換フェニル
基が好ましい。R5,Aのアルキレン基としてはメチレ
ン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセニレン等
の炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。置換アルキ
レン基の置換基としては炭素数1〜3のアルコキシ基、
ヒロドキシ基等を挙げることができ、これら置換基の1
〜3個により置換されたアルキレン基が好ましい。R6
のヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル、ヒ
ドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシヘキ
シル等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基が好まし
い。Yのアルカリ金属としてはNa,K等、アルカリ土
類金属としてはMg,Ca,Ba等が挙げられ、このうち
Na,Kが好ましい。
【0015】本発明においては、まず水溶性アゾ化合物
を非水溶性溶媒に分散懸濁させて撹拌する。この際に
は、均質にスラリー化するように撹拌するのが大切であ
る。撹拌時の温度は、水溶性アゾ化合物の製造工程時間
中の分解を予防する温度に設定する。撹拌は、水又は水
溶性アゾ化合物の滴下時間を含めて5分から20時間、
好ましくは10分から3時間継続する。
【0016】本発明に用いる非水溶性溶媒としては、水
溶性アゾ化合物を溶解しない溶媒であれば特に制限はな
く、適宜選択することができる。好ましくは、ハロゲン
系炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステ
ル類、エーテル類などの溶媒を用いるのがよい。具体例
としては、ハロゲン系炭化水素としては塩化メチル、ジ
クロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジ
クロロエタン、1,1−トリクロロエタン、トリクレ
ン、パークレン、1,2−ジクロロプロパン等を、脂肪
族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、デカンなど、芳香族炭化水素としてはベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロルベン
ゼン、ジクロルベンゼンなど、エステル類としては酢酸
エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジオクチルなど、エーテ
ル類としてはエチルエーテル、イソプロピルエーテル、
テトラヒドロフランなどを用いることができる。これら
の溶媒は、単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0017】非水溶性溶媒の使用量は、通常、水溶性ア
ゾ化合物の1倍重量から100倍重量、好ましくは1.
5倍重量から20倍重量程度を使用する。撹拌を続けな
がら、水溶性アゾ化合物懸濁液に水、又は水溶性アゾ化
合物を溶解する親水性溶媒を滴下する。ここで用いる
水、又は水溶性アゾ化合物を溶解する親水性溶媒は、前
記の非水溶性溶媒よりもアゾ化合物に対する親和性に富
んでいる性質を有する。斯かる水、又は水溶性アゾ化合
物を溶解する親水性溶媒は、水溶性アゾ化合物を部分的
に溶解しうる量を滴下する。通常は、水溶性アゾ化合物
に対して1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%と
するのがよい。水溶性アゾ化合物を溶解する親水性溶媒
としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等の低級アルコール等が使用できる。水を用いる
場合には、安価で安全性が高いという利点があり、低級
アルコール類を用いる場合には、濾過後の乾燥工程を短
時間でできるという利点がある。
【0018】滴下にあたっては、造粒物の形成過程を安
定させたり、造粒物の形状を球状に揃えるために、双方
の溶媒に溶解する溶媒や界面活性剤や懸濁粒子安定剤を
予め適量いずれかの溶媒に添加しておいてもよい。上記
双方の溶媒に溶解する溶媒としては、アセトン、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリ
ル、エチレングリコール等を挙げることができる。界面
活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系
のいずれであってもよい。懸濁粒子安定剤としては、水
に溶解性のものが使用でき、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルア
ミド、コーンスターチ等の水溶性高分子化合物等を好ま
しく使用できる。以上の反応にあたっては、水溶性アゾ
化合物の工程中での分解を予防できる温度で行なうのが
好ましい。例えば、水溶性アゾ化合物の種類によって異
なるが、通常0℃〜50℃の範囲内で、好ましくは常温
で反応させることができる。
【0019】滴下後撹拌を続けると、経時的に粒状物の
生成が認められ始め、通常、10分〜3時間経過した時
点で、液中に存在する水溶性アゾ化合物の殆どが粒状物
となる。本発明において粒状物は一般に球状として得ら
れるが、真球状のものばかりではなく、多少変形した球
状のものも含まれる。
【0020】得られた球状粒状物懸濁液は、通常の方法
で濾過することにより、球状粒状物のみを分離し、乾燥
して目的物を得る。乾燥は減圧乾燥によることもでき
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0022】実施例1 トリクレン 100ml、2,2'−アゾビスアミジノプロ
パン2塩酸塩 30gを400rpmで撹拌しながら、水5m
lを3分間かけて滴下し、さらに60分間撹拌した。球
状の懸濁液が得られた。濾過した後、常温で1Torrに
て4時間乾燥して29.9gの平均粒径3mmの球状物を得
た。
【0023】実施例2 1,2−ジクロロエタン 100ml、4,4'−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)ナトリウム 40gを600rpmで
撹拌しながら水 5mlを3分間かけて滴下した。さらに
60分間撹拌を続けたところ球状のアゾ化合物の懸濁液
が得られた。このものを濾過、乾燥して平均粒径2.5m
mのアゾ化合物39gを得た。
【0024】実施例3 トリクレン 100ml、メチルアルコール 4.8ml、2,
2'−アゾビスアミジノプロパン2塩酸塩 50gを20
℃、500rpmで撹拌する。水 3.2mlを少量ずつ約1
0分間かけて添加する。その後、約10分間撹拌すると
粒状物が生成しているのが観察された。粒状物は30分
経過後ぐらいまで次第に大きく成長するのが観察され
た。60分後に球状の粒状物を濾過し、常温で1Torr
の減圧下にて4時間乾燥して49.5gの顆粒状物を得
た。粒子の平均粒径は3mmであった。
【0025】実施例4 1,2−ジクロロプロパン 100ml、メチルアルコール
5ml、2,2'−アミジノブタン2塩酸塩 50gを15
℃、450rpmで撹拌する。水 5mlを少量ずつ約10分
間かけて添加する。その後、60分間撹拌を続けると球
状粒状物の懸濁液が得られる。濾過し、常温1Torrの
減圧下にて4時間乾燥して49.6gの顆粒状物を得た。
平均粒径は3.2mmであった。
【0026】実施例5 1,2−ジクロロプロパン 100ml、2,2'−アゾビス
アミジノブタン2塩酸塩 50gを15℃、500rpmで
撹拌する。エタノール 5mlを少量ずつ約30分間かけ
て添加する。その後、約30分間撹拌を続けると、球状
粒状物の懸濁液が得られた。濾過し、常温で1Torrの
減圧下にて30分間乾燥して47.3gの顆粒状物を得
た。平均粒径は2.8mmであった。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば粉塵の発生しにく
い球状の水溶性アゾ化合物を安全に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 247/00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性アゾ化合物を、非水溶性溶媒中に
    分散させておき、撹拌しながら水、又は水溶性アゾ化合
    物を溶解する親水性溶媒を滴下して、溶液中で粒状化さ
    せることを特徴とする水溶性アゾ化合物の球状造粒物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 水溶性アゾ化合物が一般式(1)又は
    (2)で表される請求項1の製造方法。 【化1】 1,R2:同一または異なってアルキル基又はシクロア
    ルキル基を示す Z:[化2]または[化3]で表される基 【化2】 【化3】 3:水素、アルキル基、アリル基、フェニル基又は置
    換フェニル基 R4:水素、アルキル基、フェニル基又は置換フェニル
    基 R5:アルキレン基又は置換アルキレン基 R6:水素原子又はヒドロキシアルキル基 X:Cl,Br又はCH3COO−基 【化4】 A :アルキレン基又は置換アルキレン基 R7:アルキル基 Y:アルカリ金属、アルカリ土類金属(2Y)又はNH
    4
  3. 【請求項3】 式(1)においてZが化3で表される
    基、R1,R2がアルキル基、R3,R4が水素である請求
    項2の製造方法。
  4. 【請求項4】 式(2)においてAがエチレン基、R7
    がメチル基である請求項2の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)又は(2)で表される水溶
    性アゾ化合物の球状造粒物。
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