JPH07232251A - ブレークアウト予知方法 - Google Patents

ブレークアウト予知方法

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JPH07232251A
JPH07232251A JP2696494A JP2696494A JPH07232251A JP H07232251 A JPH07232251 A JP H07232251A JP 2696494 A JP2696494 A JP 2696494A JP 2696494 A JP2696494 A JP 2696494A JP H07232251 A JPH07232251 A JP H07232251A
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JP
Japan
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temperature
breakout
difference
mold
threshold value
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Application number
JP2696494A
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English (en)
Inventor
Nobuo Funabiki
信生 船曳
Akira Miura
昌 三浦
Mitsuhide Maeda
光秀 前田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誤警報が少なく、予知精度が高いブレークア
ウト予知方法を提供する。 【構成】 鋳型1の壁に設置した複数の熱電対2夫々か
ら得た過去の所定時間内の時系列データに基づいてブレ
ークアウトに至る可能性が高い複数の標準パターンを予
め用意しておき、操業中、所定時間内に前記各熱電対2
から得た時系列データに基づき比較パターンを得、該比
較パターンと前記標準パターンとの差をそれぞれ求め、
その内の最小である差が閾値以下であるとき、ブレーク
アウトが発生し得ると判断する。また熱電対2夫々につ
いて、測定タイミング毎の温度,該温度とその直前の測
定温度との差,及び該差の変動量に基づいて、異常と判
断された以外の熱電対2の出力値にて前記ブレークアウ
ト予知を行う。更に前記標準パターン,閾値及び熱電対
2の作動状態の判断に使用する閾値を、操業状態に対応
して予め複数用意しておき、予知時の操業状態に応じて
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造設備の操業時
におけるブレークアウトの発生を予知する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法においては、鋳型からの鋳片
の引抜きに際し、鋳片の外側を覆う凝固シェルが破断し
て内部の溶湯が流れ出る現象、所謂ブレークアウトの防
止が近年の鋳込み速度の高速化に伴い特に重要な課題と
なっている。溶湯温度の異常、鋳込み速度の急変、又は
連続鋳造設備の整備不良等に起因する凝固シェルの成長
不足により生じるブレークアウトには、鋳型内部におけ
る潤滑不良により凝固シェルの一部が鋳型に拘束され、
これに続く凝固シェルが引き裂かれることにより起因す
るブレークアウト、所謂拘束性ブレークアウト、或いは
凝固シェルに生じている割れに起因するブレークアウ
ト、所謂割れ性ブレークアウト等がある。
【0003】このような拘束性、或いは割れ性ブレーク
アウトに対しては鋳型内部での凝固シェルの破断を検出
してブレークアウトの発生を予知し、給湯停止,引抜き
停止等によりブレークアウトへの発展を抑止する対策が
とられるが、その前提となるブレークアウトの予知は、
従来鋳片の引抜き方向に沿って複数箇所で測定した鋳型
温度に基づいて行われている。例えば鋳型内部で拘束状
態が発生し、後続の凝固シェルが破断した場合、鋳片内
部の溶湯が鋳型に接触し、拘束位置以降における鋳型温
度が上昇することから各測定位置での測温結果に予め設
定された所定の閾値を超える上昇が生じたとき、ブレー
クアウトが発生し得ると判断している。
【0004】凝固シェル,溶湯状態に応じて鋳型温度に
は特有の温度パターンが出現することが経験的に認めら
れる。そこで温度検出手段出力に関連して予め種々の判
定式を求めておき、操業中に得た温度検出手段出力に基
づいて判定式に従って鋳型内部の状態を判断し、ブレー
クアウトの予知を行う方法が種々提案されている。
【0005】例えば特開平 3−99761 号公報では、鋳型
の壁にその幅方向及び鋳込み方向それぞれに複数の温度
検出手段を埋設しておき、鋳込み方向の上流側に埋設さ
れた温度検出手段が検出したピーク温度値と、幅方向に
隣合う他の温度検出手段の検出したピーク温度値との差
が5℃以上であり、その後10秒以内に、前者の温度検
出手段と下流側に隣合う温度検出手段が、該温度検出手
段のピーク温度値より5℃以上上昇した場合、ブレーク
アウトと判断して警報を発する方法が開示されている。
【0006】また特開平 3−221252号公報には次のよう
な方法が記載されている。鋳型の壁にはその幅方向及び
鋳込み方向それぞれに複数の温度検出手段が埋設してあ
り、各温度検出手段は該温度検出手段それぞれに対応し
て設けられた複数の第1ニューラルネットワークへ、そ
の温度検出値の時系列データを与え、第1ニューラルネ
ットワークは与えられた複数の時系列データに基づいて
ブレークアウトの徴候の発生の有無情報を出力する。第
1ニューラルネットワークは、例えば鋳型の幅方向に相
隣る2以上の温度検出手段に対応して設けられた第2ニ
ューラルネットワークに前記情報をそれぞれ与えるよう
になっており、第2ニューラルネットワークは相隣る2
以上の温度検出手段において、ブレークアウトの徴候が
略同時に発生したか否かを検出し、略同時に発生した場
合、ブレークアウトと判断する。
【0007】そして特開平 4−172160号公報及び特開平
4−178252号公報にあっては、鋳型の壁に多数の温度検
出手段が埋設してあり、温度検出値が異常に上昇する温
度検出手段の位置パターンを求め、これが予め設定して
おいた参照パターンと類似していた場合、ブレークアウ
トと判断する方法が開示されている。
【0008】更に特開平 5−57412 号公報には、鋳型の
壁に互いに異なる位置に埋設された複数の温度検出手段
の各々から温度検出値をサンプリングし、各検出時刻に
おける温度勾配の標準偏差を計算し、該標準偏差のα
(係数)倍を閾値とする。そして当該検出時刻における
温度勾配と温度勾配の移動平均との差が前記閾値を越え
た場合、ブレークアウトと判断する方法が記載されてい
る。
【0009】一方特開平 2−165856号公報には、鋳造開
始時において、鋳型の壁に互いに異なる位置に埋設され
た複数の温度検出手段の各々から得られる温度検出値の
増加度が、他の温度検出手段の増加度と異なっていた場
合、その温度検出手段は異常であると判断して、それ以
外の温度検出手段からの温度検出値を用いてブレークア
ウト予知を行う方法が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の予知
方法では、次のような問題があり、ブレークアウトの発
生の予知の確実性が低く、特に温度検出手段不良時,パ
ウダー流入不良時には過剰警報,誤警報が発生し、操業
阻害の原因となっているのが現状である。
【0011】特開平 3−99761 号公報に記載されている
如き方法にあっては、温度検出手段に異常がある場合、
測定された温度のピーク値が複数得られるため、誤警報
が発生し易い。また高速鋳造のときには、ピーク値が得
られる前に拘束面(破断面)が鋳型を通過してしまう虞
があり、予知が間に合わない場合があった。
【0012】また特開平 3−221252号公報に記載されて
いる如き方法にあっては、ニューラルネットワークを構
築するための高価な高速計算機を多数要し実用的でな
い。またニューラルネットワークに用いられている多数
のパラメータを最適化することは実用上困難であり、誤
警報が多く発生し、更にブレークアウトの見逃しが生じ
る虞があった。
【0013】そして特開平 4−172160号公報及び特開平
4−178252号公報に記載されている如き方法にあって
は、誤警報を減じるべく予知精度を向上させるには、鋳
型に温度検出手段を密に設けなければならず、コストが
高い。また例えば各温度検出手段の測定誤差の変動によ
って、システムの安定性に問題があった。
【0014】更に特開平 5−57412 号公報に記載されて
いる如き方法にあっては、ブレークアウトの場合と同様
に、温度検出手段が不良である場合にも、温度勾配の標
準偏差が大きくなるため、誤警報の発生又はブレークア
ウトの見逃しが生じる。
【0015】一方特開平 2−165856号公報に記載されて
いる如き方法にあっては、鋳造開始時にしか適応できな
いため、鋳造中に温度検出手段の異常が発生した場合、
これに対応することができず、誤警報の発生又はブレー
クアウトの見逃しが生じる。
【0016】本発明はかかる事情に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、誤警報が少なく、ブレ
ークアウト発生予知の精度が高いブレークアウト予知方
法を提供することにある。更に詳しくは、鋳型温度の時
系列的変化に基づくブレークアウト発生予知を廉価なコ
ンピュータにて行い得る方法を提供することを目的とす
る。また操業中に生じる温度検出手段の不良を検出し、
検出された以外の温度検出手段の出力値に基づいてブレ
ークアウトの予知を行う方法を提供することを目的とす
る。そして連続鋳造機の操業状態に応じてブレークアウ
トの予知を行う方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1発明に係るブレーク
アウト予知方法は、鋳型の壁に設置した複数の温度検出
手段夫々から得た過去の所定時間内の時系列データに基
づいてブレークアウトに至る可能性がある複数の標準パ
ターンを予め用意しておき、操業中、所定時間内に前記
各温度検出手段から得た時系列データに基づき比較パタ
ーンを得、該比較パターンと前記各標準パターンとの差
をそれぞれ求め、その内の最小である差の値が予め定め
た閾値以下であるとき、ブレークアウトが発生し得ると
判断することを特徴とする。
【0018】第2発明に係るブレークアウト予知方法
は、鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段から所定の
検出タイミングにて得られる出力値に基づいてブレーク
アウトの予知を行う方法において、操業中、前記温度検
出手段夫々から検出タイミング毎に得られる温度に基づ
いて、前記温度とその直前の検出タイミングの温度との
差,該差の所定時間内の変動量をそれぞれ算出し、検出
タイミング毎に得られる温度が予め定めた温度上限閾値
以下及び温度下限閾値以上であり、前記差が予め定めた
温度差閾値以下であり、及び前記変動量が予め定めた変
動量閾値以下である温度検出手段を定め、定めた温度検
出手段の出力値に基づいて前記予知を行うことを特徴と
する。
【0019】第3発明に係るブレークアウト予知方法
は、鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段の出力値及
び予め設定したパラメータに基づいてブレークアウトの
予知を行う方法において、定常時,鋳込速度を変更する
速度変更時,及び鋳型の幅を変更する幅変更時の各操業
状態に対応して、前記パラメータをそれぞれ設定してお
き、予知を行うときの操業状態に応じたパラメータを使
用して前記予知を行うことを特徴とする。
【0020】第4発明に係るブレークアウト予知方法
は、鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段の出力値及
び予め設定したパラメータに基づいてブレークアウトの
予知を行う方法において、前記温度検出手段夫々から得
た過去の所定時間内の時系列データに基づいてブレーク
アウトに至る可能性がある複数の標準パターンを予め用
意しておき、操業中、所定時間内に前記各温度検出手段
から得た時系列データに基づき比較パターンを得、該比
較パターンと前記各標準パターンとの差をそれぞれ求
め、その内の最小である差の値と前記閾値との比較を行
うに際し、前記標準パターン及び閾値は前記パラメータ
として、定常時,鋳込速度を変更する速度変更時,及び
鋳型の幅を変更する幅変更時の各操業状態に対応してそ
れぞれ設定しておき、比較を行うときの操業状態に応じ
た標準パターン及び閾値を使用して前記比較を行い、前
記差が前記閾値以下であるとき、ブレークアウトが発生
し得ると判断することを特徴とする。
【0021】第5発明に係るブレークアウト予知方法
は、鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段から所定の
検出タイミングにて得られる出力値、及び予め設定した
パラメータに基づいてブレークアウトの予知を行う方法
において、操業中、前記温度検出手段夫々から検出タイ
ミング毎に得られる温度に基づいて、前記温度とその直
前の検出タイミングの温度との差,該差の所定時間内の
変動量をそれぞれ算出し、検出タイミング毎に得られる
温度が予め定めた温度上限閾値以下及び温度下限閾値以
上であり、前記差が予め定めた温度差閾値以下であり、
及び前記変動量が予め定めた変動量閾値以下である温度
検出手段を定めるに際し、前記各閾値は前記パラメータ
として、定常時,鋳込速度を変更する速度変更時,及び
鋳型の幅を変更する幅変更時の各操業状態に対応して予
め設定しておき、温度検出手段を定めるときの操業状態
に応じた各閾値を使用して前記温度検出手段を定め、定
めた温度検出手段の出力値に基づいて前記予知を行うこ
とを特徴とする。
【0022】
【作用】第1発明にあっては、ブレークアウトに至る可
能性がある複数の標準パターンを予め求めておき、操業
中に得た鋳型温度の時系列データに基づいて求めた比較
パターンと前記標準パターンとの差を算出し、それら差
の内の最小値を求めることによって、比較パターンに最
も近い標準パターンが求められる。そして前記差の最小
値と閾値とを比較することによって、比較パターンが標
準パターンにどの程度近いかが判断され、閾値以下であ
った場合、比較パターンは標準パターンに近いため、ブ
レークアウトが生じ得ると判断する。これによって鋳型
温度の瞬時的な変化だけでなく時系列的な温度変化が、
可及的に少い情報量にて考慮される。
【0023】また第2発明にあっては、操業中、各温度
検出手段から得られる温度,温度差及び温度差の変動量
によって、温度検出手段の瞬間的な作動状態,及び温度
検出手段の所定時間内の作動状態の各作動状態を検出す
ることができる。そして、これらの内の少なくとも1つ
において異常であると判定された場合、その温度検出手
段に異常が発生したと判断し、その温度検出手段の出力
値をブレークアウト予知から除外する。
【0024】そして第3,第4及び第5発明にあって
は、定常時,例えばブレークアウト回避に伴う鋳込速度
変更時,又は製品寸法の変更に伴う鋳型幅替え時といっ
た、連続鋳造設備の操業状態に応じてブレークアウト予
知に利用する適切なパラメータを設定するため、鋳込速
度変更時及び鋳型幅替え時といった非定常状態であって
も、非定常状態基づく鋳型温度変化とブレークアウト発
生の徴候に基づく鋳型温度変化とが識別される。
【0025】
【実施例】以下本発明を図面に基づき具体的に説明す
る。図1は本発明に係る方法の実施に用いる予知系統を
示す模式図であり、図中1は鋳型を示している。鋳型1
は平面視が長方形の筒状をなしており、両短辺側の壁1
b,1bは図示しないアクチュエータによって両長辺側の
壁1a,1aに沿って移動し得るようになっている。鋳型1
内には、図示しないタンディッシュから溶鋼が注入さ
れ、鋳型1にて冷却されて外周が凝固シェルで囲われ、
内部が溶鋼の状態の鋳片Pとして下方に引抜かれてゆ
く。そして製品寸法の変更に伴って両短辺側の壁1b,1b
間の距離を変更する鋳型幅替えが行われ、鋳片Pの幅が
調整される。
【0026】鋳型1の壁1a,1a,1b,1bには多数の熱電
対が縦, 横方向に配列した状態で埋設されている。各熱
電対2は補償導線を介してA/D 変換器3に接続されてお
り、各熱電対の出力はA/D 変換器3にてディジタル信号
に変換されてコンピュータ4に所定の周期でサンプリン
グされる。コンピュータ4においては、定常時,鋳片P
の鋳込み速度が変更する速度変更時,鋳型1の短辺の幅
が変更する幅変更時に応じて、予め複数の標準パターン
が記憶させてあり、サンプリングされた値について後述
する所定の演算処理を施して比較パターンを求め、この
比較パターンを現在の操業状態に応じた標準パターン夫
々と比較対照し、最も近似するいずれかの標準パターン
を特定し、特定した標準パターンと比較パターンとの差
が現在の操業状態に応じて設定された閾値以下である場
合、ブレークアウトが発生し得ると判断し、接点出力器
5を通じて警報器6を動作させるようになっている。
【0027】図2は標準パターン図であり、鋳片が鋳型
内で拘束状態となったとき、拘束が生じた付近の熱電対
出力の時系列データをグラフ化して示している。また横
軸には時間(秒)を、縦軸に温度をとっている。図2か
ら明らかな如く、拘束が生じた場合、35秒、或いは25秒
間程度温度が変化しない状態から、急激にサインカーブ
が現れている。
【0028】即ち図2(a) の場合は、凝固シェルが鋳型
内で拘束され、凝固シェルに破断が生じ、その部分から
の溶鋼が流出する結果、その付近の熱電対出力が上昇
(12℃程度) し、その後は流出した溶鋼が冷却されるに
伴って温度が下降することにより生じる。鋳片の凝固シ
ェルが鋳型に焼き付いたために破断を起こし、内部の未
凝固の高温溶鋼が直接鋳型に触れて温度が上昇し、続い
てその溶鋼が鋳型に焼き付いたまま凝固を起こす (温度
低下) ためである。
【0029】通常の速度で鋳造を行う場合には、凝固シ
ェルが十分に成長し、シェル表面の温度は内部の未凝固
部よりも低温であるが、高速で鋳造を行った場合には、
凝固シェルの成長が不十分なために、凝固シェル表面の
温度は未凝固部温度とあまり変わらないと推定される。
この場合には鋳片拘束による凝固シェルの破断が生じて
も温度上昇が起こらず、続いて起きる凝固シェル成長の
ために温度低下 (20℃程度) のみが発生する。この現象
を表わす標準パターンが図2(b) である。なおこのよう
な標準パターンは鋳込速度が一定である定常時,例えば
ブレークアウト回避に伴って鋳込速度を変更する速度変
更時,又は製品寸法の変更に伴って鋳型の幅を替える幅
替え時の各操業状態に応じて、過去の熱電対出力データ
に基づいて作成され、それぞれ1群の標準パターンとし
て予め用意される。
【0030】次に熱電対出力についてコンピュータ4で
行う演算処理の内容を説明する。コンピュータ4には、
ブレークアウトに至る可能性が高い標準パターン、及び
後述する各判定式の閾値がパラメータとして各操業状態
に応じてそれぞれ与えられており、コンピュータ4は連
続鋳造機の操業を管理している上位コンピュータからの
情報に基づいて、どの操業状態であるかを判断して各パ
ラメータの設定を行う。
【0031】次に、各熱電対2,2,…の出力値に基づ
いて、その熱電対2,2,…が正常であるか否を次の3
つの比較結果によって判定する。
【0032】(A)温度瞬時値Xt ・閾値比較 各熱電対2,2,…が瞬間的に示す温度瞬時値Xt の上
限値及び下限値を、過去の経験に基づいて操業状態に対
応して予め設定しておき、次の(1)式の如く、各熱電
対2,2,…のXtが温度上限閾値TH を越えた場合、
又はXtが温度下限閾値TL に達しなかった場合、その
熱電対2は温度瞬時値異常であるとする。 Xt <TL ,又は Xt >TH …(1)
【0033】(B)温度変動量HXt・閾値比較 測定タイミング毎に各熱電対2,2,…が示す温度と、
その直前の測定タイミングに各熱電対2,2,…が示し
た温度との差の所定時間内の変動量である温度変動量H
t を次の(2)式にて求め、(3)式の如く、それが
操業状態に対応して予め設定した温度変動量閾値THXt
を越えた場合、その熱電対2は温度変動量異常であると
する。
【0034】
【数1】
【0035】HXt >THXt …(3)
【0036】(C)温度急降下量DXt ・閾値比較 測定タイミング毎に各熱電対2,2,…が示す温度と、
その直前の測定タイミングに各熱電対2,2,…が示し
た温度との差である温度急降下量DXt を次の(4)式
にて求め、(5)式の如く、それが予め設定した温度急
降下量閾値TDX t を越えた場合、その熱電対2は温度急
降下量異常であるとする。 DXt =Xt-1 −Xt …(4) DXt >TDXt …(5)
【0037】そしてこれら比較結果の内、少なくとも1
つが異常であった場合は、その熱電対2は異常であると
判定して、当該熱電対2の出力値は次に説明するブレー
クアウトの予知判定には使用しない。なお前記温度上限
閾値TH 及び温度下限閾値T L については、定常時・鋳
込速度変更時・鋳型幅替え時ともに同一の値を設定可能
であるが、温度変動量閾値THXt 及び温度急降下量閾値
DXt については、鋳込速度変更時及び鋳型幅替え時に
温度変動が大きくなるため、定常時の設定値よりも大き
くする。
【0038】そして異常と判定された以外の熱電対2,
2,…の出力値を用いてブレークアウトの予知判定を行
う。先ず各熱電対2,2,…について時刻tまでの間に
サンプリングした時系列データXt-i (i=0〜N−
1)について下記(6)式に従って夫々その平均値/X
t を求める。
【0039】
【数2】
【0040】次に各熱電対2,2,…夫々の時系列デー
タXi について、下記(7)式に従って前記平均値/X
t からの偏差Yi を求め、前述した標準パターンと比較
対照するため比較パターンを得る。 Yi =Xt-N+i −/Xt (i=1〜N)…(7)
【0041】次にこのようにして求めた比較パターンを
標準パターンと比較対照し、パターンマッチングの判断
を行う。このパターンマッチングするか否かの判断は次
の如くに行う。操業中に得た比較パターンにおけるi番
目の値Yi と、比較対照すべき標準パターンj(j=1
〜P)におけるi番目の値Pjiとの差の2乗の総和(以
下距離という)Dj を下記(8)式に従って算出する。
【0042】
【数3】
【0043】このような距離Dj の算出を予め用意して
ある全部の標準パターンとの間で実行し、距離Dj が最
小となる標準パターンを特定する。即ちD1 ,D2 …D
j …Dp のうち、その値が最も小さい値DI を(9)式
に従って求める。 DI = min{D1 ,D2 …Dj …DP } ≦Dj j≠I,j=1〜P …(9) 但し、P:標準パターン総数
【0044】そしてこのDI を操業状態に応じて設定し
た閾値TD と比較し、DI が閾値T D 以下であった場
合、ブレークアウトが発生し得ると判断する。なお閾値
D は通常、鋳込速度変更時及び鋳型の幅替え時である
ときは、誤警報を防止するために定常状態の設定値より
小さい値を設定する。 DI ≦TD …(10)
【0045】次に上述した如き第1の方法の予知プロセ
スを図3及び図4に示すフローチャートに従って説明す
る。先ず、鋳型1に埋設してある0〜400 ℃程度の測定
レンジを持つ26本の熱電対2,2,…夫々について2秒
周期でその出力値をサンプリングする(ステップS1)
。コンピュータ4は連続鋳造機の操業を管理している
上位コンピュータからの情報に基づいて、現在の操業状
態が定常時であるか(ステップS2)、鋳込速度変更時
であるか(ステップS4)、鋳型幅替え時であるか(ス
テップS6)をそれぞれ判断し、熱電対2の異常判断及
びブレークアウト予知に使用する各パラメータを該当す
る操業状態の値に設定する(ステップ3,5又は7)。
【0046】サンプリングされた熱電対2,2,…の出
力値に基づいて、(1)式にて温度瞬時値Xt と温度上
限閾値TH 及び温度下限閾値TL との比較(ステップS
8)、(3)式にて温度変動量HXt と温度変動量閾値
HXt との比較(ステップS9)、(5)式にて温度急
降下量DXt と温度急降下量閾値TDXt との比較(ステ
ップS10)をそれぞれ行う。そしてこれらの比較結果の
内、少なくとも1つが閾値を越えていた場合、その熱電
対2は異常であると判断し(ステップS11)、それ以外
の熱電対2,2,…の出力値を以後のブレークアウト予
知のために使用する。
【0047】そして異常であると判断された以外の熱電
対2,2,…の出力値をサンプリングする都度、これま
でにサンプリングした各熱電対2,2,…毎の出力値に
ついて(6)式に従ってその平均値を算出し (ステップ
S12) 、また求めた平均値からの偏差を(7)式に従っ
て算出し、各熱電対2の出力毎の比較パターンを求める
(ステップS13) 。これを現在の操業状態に応じた各標
準パターンと比較して距離Dj を(8)式に従って算出
する (ステップS14) 。
【0048】そして距離が最小となる標準パターンを
(9)式に従って特定する (ステップS15) 。特定した
標準パターンに係る距離と、操業状態に基づいて設定さ
れた閾値TD とを比較し(ステップS16)、これが閾値
D を以下であった場合、ブレークアウトが発生し得る
と判断して警報出力を行う (ステップS17) 。
【0049】次に本発明に係る方法と従来方法との比較
試験結果を表1に示す。本発明に係る方法の試験結果に
ついては、その一例として、比較パターンとこれに最も
近い標準パターンとの距離と、閾値との比較を行う第1
の方法のみの場合(本発明方法1)、第1の方法に、熱
電対の異常を判定し、該熱電対からの出力値を除外する
第2の方法を加えた場合(本発明方法2)、更に操業状
態によってパラメータの設定を行う第3の方法を加えた
場合(本発明方法3)をそれぞれ示した。これらの試験
は1年間にわたって拘束性ブレークアウト発生の予知を
行ない、この間のブレークアウト発生の予知回数,実際
に発生したブレークアウト回数及び誤警報発生回数の統
計をとったものである。なお第1の方法,第2の方法及
び第3の方法の組み合わせはこれに限られるものではな
く、如何なる組み合わせでもよく、またそれぞれ単独に
実施してもよいことはいうまでもない。
【0050】一方、従来方法はサンプリング周期毎に、
熱電対の出力値の時間変化量(微分値,変化量等)を算
出し、その値が予め設定した閾値を越えた場合、ブレー
クアウトが発生し得るとして警報を出力するものであ
る。
【0051】
【表1】
【0052】表1から明らかな如く、本発明方法1にあ
っては、実際の拘束性ブレークアウトの発生回数が従来
の方法にて10回生じていたのが零となり、ブレークアウ
ト予知の誤警報発生回数も従来の方法の略1/2に減少
した。また本発明方法2にあっては、誤警報の発生回数
が本発明方法1の略1/2に減少し、本発明方法3にあ
っては、誤警報の発生回数が第2の方法の更に略1/2
に減少した。
【0053】
【発明の効果】以上詳述した如く、第1発明にあって
は、ブレークアウトに至る可能性がある複数の標準パタ
ーンを予め求めておき、操業中に得た鋳型温度の時系列
データに基づいて求めた比較パターンと前記標準パター
ンとの差の最小値を閾値と比較することによってブレー
クアウト予知を行うため、鋳型温度の瞬時的な変化だけ
でなく、時系列的な温度変化を可及的に少ない情報量に
て考慮することができ、廉価なコンピュータにても正確
な予知が可能になる。
【0054】また第2発明にあっては、温度,温度差及
び温度差の変動量に基づいて温度検出手段の作動状態を
判定し、もし異常が生じた場合は、その温度検出手段の
出力値を除外するため、操業中の温度検出手段の状態を
正確に把握することができ、ブレークアウト予知精度が
向上すると共に、温度検出手段の保守・管理が容易にな
る。
【0055】更に第3,第4及び第5発明にあっては、
定常時,鋳込速度変更時及び鋳型幅替え時というよう
に、連続鋳造設備の操業状態に応じて適切なパラメータ
を設定するため、鋳込速度変更時及び鋳型幅替え時とい
った非定常状態に基づく鋳型温度変化とブレークアウト
発生の徴候である鋳型温度変化とが識別されることによ
って、誤警報の発生回数が減少され、安定した操業が提
供される等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施状態を示す模式図である。
【図2】ブレークアウト発生に至る蓋然性の高い標準パ
ターン図である。
【図3】本発明に係る方法の予知過程を示すフローチャ
ートである。
【図4】本発明に係る方法の予知過程を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1 鋳型 2 熱電対 3 A/D 変換器 4 コンピュータ 5 接点出力器 6 警報器 P 鋳片

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段
    夫々から得た過去の所定時間内の時系列データに基づい
    てブレークアウトに至る可能性がある複数の標準パター
    ンを予め用意しておき、操業中、所定時間内に前記各温
    度検出手段から得た時系列データに基づき比較パターン
    を得、該比較パターンと前記各標準パターンとの差をそ
    れぞれ求め、その内の最小である差の値が予め定めた閾
    値以下であるとき、ブレークアウトが発生し得ると判断
    することを特徴とするブレークアウト予知方法。
  2. 【請求項2】 鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段
    から所定の検出タイミングにて得られる出力値に基づい
    てブレークアウトの予知を行う方法において、 操業中、前記温度検出手段夫々から検出タイミング毎に
    得られる温度に基づいて、前記温度とその直前の検出タ
    イミングの温度との差,該差の所定時間内の変動量をそ
    れぞれ算出し、検出タイミング毎に得られる温度が予め
    定めた温度上限閾値以下及び温度下限閾値以上であり、
    前記差が予め定めた温度差閾値以下であり、及び前記変
    動量が予め定めた変動量閾値以下である温度検出手段を
    定め、定めた温度検出手段の出力値に基づいて前記予知
    を行うことを特徴とするブレークアウト予知方法。
  3. 【請求項3】 鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段
    の出力値及び予め設定したパラメータに基づいてブレー
    クアウトの予知を行う方法において、 定常時,鋳込速度を変更する速度変更時,及び鋳型の幅
    を変更する幅変更時の各操業状態に対応して、前記パラ
    メータをそれぞれ設定しておき、予知を行うときの操業
    状態に応じたパラメータを使用して前記予知を行うこと
    を特徴とするブレークアウト予知方法。
  4. 【請求項4】 鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段
    の出力値及び予め設定したパラメータに基づいてブレー
    クアウトの予知を行う方法において、 前記温度検出手段夫々から得た過去の所定時間内の時系
    列データに基づいてブレークアウトに至る可能性がある
    複数の標準パターンを予め用意しておき、操業中、所定
    時間内に前記各温度検出手段から得た時系列データに基
    づき比較パターンを得、該比較パターンと前記各標準パ
    ターンとの差をそれぞれ求め、その内の最小である差の
    値と前記閾値との比較を行うに際し、 前記標準パターン及び閾値は前記パラメータとして、定
    常時,鋳込速度を変更する速度変更時,及び鋳型の幅を
    変更する幅変更時の各操業状態に対応してそれぞれ設定
    しておき、比較を行うときの操業状態に応じた標準パタ
    ーン及び閾値を使用して前記比較を行い、 前記差が前記閾値以下であるとき、ブレークアウトが発
    生し得ると判断することを特徴とするブレークアウト予
    知方法。
  5. 【請求項5】 鋳型の壁に設置した複数の温度検出手段
    から所定の検出タイミングにて得られる出力値、及び予
    め設定したパラメータに基づいてブレークアウトの予知
    を行う方法において、 操業中、前記温度検出手段夫々から検出タイミング毎に
    得られる温度に基づいて、前記温度とその直前の検出タ
    イミングの温度との差,該差の所定時間内の変動量をそ
    れぞれ算出し、検出タイミング毎に得られる温度が予め
    定めた温度上限閾値以下及び温度下限閾値以上であり、
    前記差が予め定めた温度差閾値以下であり、及び前記変
    動量が予め定めた変動量閾値以下である温度検出手段を
    定めるに際し、 前記各閾値は前記パラメータとして、定常時,鋳込速度
    を変更する速度変更時,及び鋳型の幅を変更する幅変更
    時の各操業状態に対応して予め設定しておき、温度検出
    手段を定めるときの操業状態に応じた各閾値を使用して
    前記温度検出手段を定め、 定めた温度検出手段の出力値に基づいて前記予知を行う
    ことを特徴とするブレークアウト予知方法。
JP2696494A 1994-02-24 1994-02-24 ブレークアウト予知方法 Pending JPH07232251A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011502798A (ja) * 2007-12-03 2011-01-27 エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト 温度を制御或いは調整する装置
JP2015205313A (ja) * 2014-04-21 2015-11-19 新日鐵住金株式会社 連続鋳造設備の鋳型内温度管理装置、連続鋳造設備の鋳型内温度管理方法、及びコンピュータプログラム

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JP2011502798A (ja) * 2007-12-03 2011-01-27 エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト 温度を制御或いは調整する装置
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