JPH07231949A - フラッシュ型スプリンクラーヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 集熱板を複数枚設置したフラッシュ型スプリ
ンクラーヘッドにおいて、美観的に好ましくなく、しか
も最重要部品である感熱分解部分をカバーで覆って美観
を良好にするとともに、外的衝撃から守る。また感熱分
解部分周囲に火災から発生してくる熱気流をこもらせて
感熱分解部分の低融点合金を早く溶融させる。 【構成】 フレーム２には感熱分解部分５を隠蔽・保護
する円筒状のカバー６が取り付けられており、また感熱
分解部分５の下端には複数枚の円盤状の集熱板１５、１
６が設置されている。カバーの下辺には熱気流の流入部
１９が形成されている。該流入部はカバーと集熱板間の
間隙２０、または集熱板下部に穿設した多数の孔２１…
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、消火用のスプリンクラ
ーヘッド、特に火災発生時にデフレクターが一定距離だ
け落下して停止し、該落下停止したデフレクターで水を
四方に散布するフラッシュ型スプリンクラーヘッドに関
する。

【０００２】

【従来の技術】フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、
筒状のフレームがあり、フレーム内には多数の羽根を有
するデフレクターが設置されている。該デフレクターは
移動可能となっており、デフレクターの上には弁体が固
定されていて、平時、該弁体はパッキンを介して弁座を
閉塞している。そして、弁体はフレーム下部に係合され
た感熱分解部分に保持されている。このフラッシュ型ス
プリンクラーヘッドが作動した時には、感熱分解部分は
完全に外部に飛散してしまい、デフレクターはフレーム
に沿って落下し、デフレクターの上部がフレームの下端
に係止されて停止する。そこで弁座から噴出した水は途
中で停止したデフレクターに当たり、四方に散布され
る。

【０００３】フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、感
熱分解部分がフレーム下端に吊設されており、感熱分解
部分の大部分はフレームの外部に露出している。

【０００４】一般にスプリンクラーヘッドは室内の天井
に設置されるものであり、インテリアデザイン的な美観
が要求される。しかしながらフラッシュ型スプリンクラ
ーヘッドは、フレーム下端から露出した感熱分解部分が
多数の部品から構成されているため、この感熱分解部分
は美観的に良好なものとはいえない。また感熱分解部部
は重要部品であるが、外的衝撃に弱く、物が感熱分解部
分に当たると破壊して火事でもないのに水を散布して水
損を起こすことがある。そこで従来のフラッシュ型スプ
リンクラーヘッドでは、感熱分解部分の下端に取り付け
る集熱板を椀状に形成し、この集熱板で露出した感熱分
解部分を隠蔽するとともに防護することが行われてい
た。（参照：実公昭５３−８２３９号、同５５−５４５
２５号、同５６−４９６３６号）

【０００５】ところで、スプリンクラーヘッドでは、火
災が発生した場合には速やかに作動して水を散布できる
ようなものでなければならない。つまり火災が小さいう
ちにスプリンクラーヘッドが作動して水を散布し、初期
消火を行えば、消失面積が少なくて済むし、また火災の
煙で人体が危険にさらされることもなくなる。そのた
め、近時では作動が早い所謂「速動型」というものが要
求されるようになってきた。

【０００６】スプリンクラーヘッドを速動型にするため
には、火災の熱を早く感熱分解部分の熱作用部分、即ち
熱で溶けて感熱分解部分を分解させる低融点合金に伝播
させることが必要である。火災の熱を低融点合金に伝播
させる手段としては集熱板がある。集熱板は感熱分解部
分の下端部に取り付け、火災の熱を集熱板で収集して、
それを低融点合金に伝播させるものである。

【０００７】感熱分解部分に取り付ける集熱板は表面積
が大きければ大きいほど熱の収集量は多くなるものであ
る。そのため従来のフラッシュ型スプリンクラーヘッド
では、一枚の大きな円盤に絞り加工を施して椀状にした
集熱板を感熱分解部分に取り付けていた。この椀状の集
熱板は、集熱効果を有しているばかりでなく、前述感熱
分解部分の隠蔽・防護効果も有しているものであった。

【０００８】このように大きな椀状の集熱板を設置した
フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、集熱板のないも
のよりも作動時間を短くする効果はあるが、それでも近
時要求されている短時間作動の速動型スプリンクラーヘ
ッドには至っていなかった。そこで、さらに集熱効果を
上げるため、円盤状の集熱板を複数枚設置して集熱板の
表面積を大きくしたスプリンクラーヘッドが提案されて
きている。（参照：実開平２−６３８７０号、同１０９
６６１号）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで感熱分解部分
の低融点合金を溶かすための熱の供給は、集熱板で収集
した熱の伝播だけでなく、感熱分解部分を構成する各部
品に火災の熱気流が当たって、それが低融点合金に伝播
したり、或は熱気流が低融点合金の設置部分に直接当た
ることによる熱の供給も重要なファクターとなってい
る。

【００１０】実開平２−１０９６６１号で提案されてい
たフラッシュ型スプリンクラーヘッドは、感熱分解部分
が露出していたため、熱気流が感熱分解部分に直接当た
ることはできるが、熱気流がすぐに外部に流出してしま
い、熱が感熱分解部分周囲にこもらないため、感熱分解
部分の各部品や低融点合金設置部分を充分加熱すること
ができなかった。また、このフラッシュ型スプリンクラ
ーヘッドは、感熱分解部分が露出しているため、美観を
損なうばかりでなく、外的衝撃にも弱いものであった。

【００１１】実開平２−６３８７１号のフラッシュ型ス
プリンクラーヘッドは、複数の集熱板のうち、最上部の
集熱板を椀状にして感熱分解部分の露出を少なくしてあ
るため、美観的効果があり、また内部に流入した熱気流
も外部に流出しにくいものである。しかしながら、この
フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、最上部の集熱板
が椀状になっているため、熱気流は椀状の外壁に沿って
上昇し、感熱分解部分が組み込まれた内部に侵入しにく
く、従って熱気流による感熱分解部分や低融点合金設置
部分の加熱が充分ではなかった。

【００１２】

【課題を解決するための手段】従来の複数枚の集熱板を
設置したフラッシュ型スプリンクラーヘッドにおいて、
作動時間があまり早く名らない原因は、感熱分解部分の
露出が多すぎて熱気流による加熱が充分に行えないこ
と、および椀状の集熱板は熱気流を内部に流入させるこ
とができないことから、本発明者は感熱分解部分の露出
を少なくするにもかかわらず熱気流を流入させやすく、
しかも流入した熱気流をこもりやすくさせることについ
て鋭意研究を行って本発明を完成させた。

【００１３】本発明は、火災発生時、感熱分解部分で保
持していたデフレクターが一定距離だけ落下して停止す
る構造のフラッシュ型スプリンクラーヘッドにおいて、
感熱分解部分の下端には複数枚の円盤状の集熱板が設置
されており、感熱分解部分はフレームに取り付けたカバ
ーで包囲されているとともに、カバー下辺には熱気流が
カバー内部に流入できる流入部が形成されていて、しか
もカバーの下端はデフレクターでの水の散布の妨げにな
らないように落下停止したデフレクターよりも上方に位
置していることを特徴とするフラッシュ型スプリンクラ
ーヘッドである。

【００１４】本発明において、カバー下辺の熱気流がカ
バー内部に流入できる流入部とは、カバーと集熱板間の
間隙でもよいし、或はカバーの下部に穿設した多数の孔
でもよい。

【００１５】

【作用】感熱分解部分をカバーで包囲してあるため、感
熱分解部分を隠蔽することができ、しかも外的衝撃に弱
い感熱分解部分が防護され、さらに内部に流入した熱気
流が容易に流出しないで中にこもるようになる。またカ
バーの下辺には流入部が形成されているため、熱気流が
カバー内部に流入しやすい。

【００１６】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明を説明する。図
１は本発明の第１実施例の正面半断面図、図２は同第１
実施例の作動時の正面断面図、図３は本発明の第２実施
例の正面半断面図、図４は同第２実施例の作動時の正面
断面図である。

【００１７】図１、２の第１実施例のフラッシュ型スプ
リンクラーヘッドは、本体１、フレーム２、弁体３、デ
フレクター４、感熱分解部分５およびカバー６から構成
されている。

【００１８】本体１は中央に導水孔７が穿設されてお
り、その下端部は弁座８となっていて、外周上部は牡ネ
ジ９が螺設され、下端はフランジ１０となっている。

【００１９】フレーム２は円筒状であり、下端は内側フ
ランジ１１となっていて、上端は前述本体１のフランジ
１０に螺合している。

【００２０】弁体３は上部にパッキンが被着されてい
て、平時、本体１の弁座８を密封している。

【００２１】デフレクター４は円盤状で周囲に多数の羽
根が形成されており、作動時、リング１２で吊設される
ようになっている。デフレクター４は前述弁体３の下部
に設置されている。

【００２２】感熱分解部分５はフレーム２の下部に設置
されており、ガイドポスト１３を介して弁体３を保持し
ている。感熱分解部分については周知（特公昭５８−３
６９８５号）であるため、ここでは詳細な説明は省略す
る。感熱分解部分では低融点合金の溶融状態が重要とな
る。火災発生時、火災の異常高温で低融点合金が溶融す
ることにより、感熱分解部分のバランスが崩れて感熱分
解部分が分解するようになっている。感熱分解部分にお
ける低融点合金は、シリンダーに充填したり、二枚の金
属板を接合する状態で置かれている。実施例はシリンダ
ーに低融点合金１４が充填された状態のものである。

【００２３】感熱分解部分５の下端には、円盤状の二枚
の集熱板１５、１６が取り付けられている。上部の集熱
板１６は、下部の集熱板１５よりも外径が大きくなって
いるが、これは下方から上昇してくる熱気流を上部の集
熱板にも当たらせ、上部での熱の収集を効率よく行わせ
るためである。

【００２４】カバー６は円筒状となっており、フレーム
２に取り付けられている。フレームへのカバーの取り付
けは、フレームに刻設した環状溝１７にカバーの環状突
出部１８を嵌合することにより行われている。カバー６
は、感熱分解部分５を隠蔽しており、カバーの下辺には
熱気流の流入部１９が形成されている。第１実施例の流
入部は、カバー６の下端と上部集熱板１６との間に形成
される間隙２０である。この実施例では、カバー６の下
端がフラッシュ型スプリンクラーヘッド作動時の水の散
布に妨げとならない位置となっている。

【００２５】次に本発明のフラッシュ型スプリンクラー
ヘッドにおける火災発生時の作動について説明する。

【００２６】火災が発生すると、熱気流が下方や横方か
ら矢印の如く流動してくる。下方から流動してきた熱気
流は、複数の集熱板１５、１６に当たって、これらの集
熱板を加熱し、その熱を低融点合金１４へ伝播する。ま
た下方から上昇してきて集熱板に当たった熱気流は集熱
板に沿って横方に流動し、流入部である間隙１９からカ
バー６内に流入する。そして横方や斜め下方から流動し
てきた熱気流も間隙１９からカバー内に流入する。

【００２７】流入部から流入してきた熱気流は、カバー
内部にこもり、感熱分解部分の各部品を加熱し、各部品
からの熱が低融点合金に伝播していく。また間隙１９か
ら流入した熱気流は、直接低融点合金設置部分に当たっ
て、ここを加熱するようになる。

【００２８】複数の集熱板からの熱の伝播、感熱分解部
分の各部品からの熱の伝播、そして低融点合金設置部分
への直接加熱等により、低融点合金が溶融すると感熱分
解部分のバランスが崩れ、感熱分解部分が分解して感熱
分解部分を構成する全ての部品が下方に落下してしま
う。すると、ガイドポスト１３を介して感熱分解部分５
で保持していたデフレクター４が落下するとともに、リ
ング１２もフレーム２の内壁に沿って摺動落下してきて
フレーム２の内方フランジ１１に係合し、落下が停止す
る。

【００２９】この時、デフレクター４と一体となった弁
体３も落下するため、弁座８が開放され、水が導水孔７
から噴出してくる。噴出した水は、図２に示す如く、途
中で停止したデフレクター４に当たって四方に散布され
る。水の散布時、カバー６の下端は散布される水に当た
らない位置にあるため、散布の妨げとはならず、所望の
均一散布状態が得られる。

【００３０】次に第２実施例について説明するが、第１
実施例と同一部分については説明を省略する。

【００３１】第２実施例のカバー６には、下部に多数の
孔２１…が穿設されており、該孔が流入部１９となって
いる。第２実施例ではカバー６の下端が上部集熱板１６
に近接しているが、カバーの下端は火災発生時にデフレ
クターでの水の散布の妨げとならない位置となってい
る。

【００３２】第２実施例では、火災が発生すると、下方
からの熱気流が複数の集熱板１５、１６に当たって、こ
れらの集熱板を加熱する。また横方や斜め下方から流動
してきた熱気流は流入部である多数の孔２１…からカバ
ー６内に流入し、カバー内で感熱分解部分や低融点合金
設置部分を加熱するようになる。

【００３３】図４は第２実施例における散水状態である
が、第１実施例同様カバーの下端は散水の妨げとなって
いない。

【００３４】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明のフラッシュ
型スプリンクラーヘッドは、美観的に好ましくなく、ま
た重要部品である感熱分解部分をカバーで隠蔽するとと
もに防護してあるため、インテリアデザインを損なうこ
とがなく、しかも外的衝撃から防護するという美観的に
も信頼性にも優れたものであり、またカバー下端には熱
気流の流入部が形成されているため、火災の熱気流が流
入しやすく、しかもカバーが熱気流を内部にこもらせ
て、感熱分解部分を早く加熱するという速動性にも優れ
ているものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の正面半断面図

【図２】第１実施例の作動時の正面断面図

【図３】本発明の第２実施例の正面半断面図

【図４】第２実施例の作動時の正面断面図

【符号の説明】

１ 本体 ２ フレーム ３ 弁体 ４ デフレクター ５ 感熱分解部分 ６ カバー １４ 低融点合金 １５、１６ 集熱板 １９ 流入部 ２０ 間隙 ２１ 孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 火災発生時、感熱分解部分で保持してい
   たデフレクターが一定距離だけ落下して停止する構造の
   フラッシュ型スプリンクラーヘッドにおいて、感熱分解
   部分の下端には複数枚の円盤状の集熱板が設置されてお
   り、感熱分解部分はフレームに取り付けたカバーで包囲
   されているとともに、カバー下辺には熱気流がカバー内
   部に流入できる流入部が形成されていて、しかもカバー
   の下端はデフレクターでの水の散布の妨げにならないよ
   うに落下したデフレクターよりも上方に位置しているこ
   とを特徴とするフラッシュ型スプリンクラーヘッド。
2. 【請求項２】 前記流入部は、カバーと集熱板間で形成
   される間隙であることを特徴とする請求項１記載のフラ
   ッシュ型スプリンクラーヘッド。
3. 【請求項３】 前記流入部は、カバーの下部に穿設した
   多数の孔であることを特徴とする請求項１記載のフラッ
   シュ型スプリンクラーヘッド。