JPH07231761A - 冷凍豆腐の製造方法 - Google Patents

冷凍豆腐の製造方法

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JPH07231761A
JPH07231761A JP6049890A JP4989094A JPH07231761A JP H07231761 A JPH07231761 A JP H07231761A JP 6049890 A JP6049890 A JP 6049890A JP 4989094 A JP4989094 A JP 4989094A JP H07231761 A JPH07231761 A JP H07231761A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 解凍時にドリップの発生がない冷凍保存可能
な豆腐を高い生産効率で製造する。 【構成】 豆乳に対するゲル化剤の混合率を0.6重量
%以上にして、高温状態の豆乳に、その温度が下がらな
いうちにゲル化剤並びに凝固剤を混合して豆腐に凝固
し、凝固した豆腐を急速冷凍して冷凍豆腐を製造する。
高温状態の豆乳を一旦冷却することなく、そのままゲル
化剤と凝固剤を混合するだけなので、生産性を高められ
る。また、豆腐組織をゲル化剤でゲル化固定するので、
解凍時のドリップの発生を良好に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍豆腐の製造方法に関
し、解凍時にドリップを生じない冷凍保存可能な豆腐を
効率良く製造できる方法を提供する。
【0002】
【発明の背景】一般に、豆腐を冷凍すると、解凍時にド
リップが多く発生し、いわゆる「ス」の入ったスポンジ状
態になり、豆腐本来のテクスチャーが失われて、品質を
再現することは困難である。
【0003】
【従来の技術】一方、特開平3―61463号公報に
は、冷凍変性や解凍時のスポンジ状態の防止を目的とし
て、豆乳に植物性粉末油脂、乳化剤、マスキング物質、
デンプンなどの添加剤を混合して製造する冷凍豆腐が開
示されている。
【0004】当該公知技術では、その実施例に示すよう
に、豆乳への(凝固剤以外の)添加剤全体の混合率が7.
5重量%程度と非常に高くて、豆腐の食味が粉っぽくな
り、そのテクスチャーも豆腐とは異質で弾力性がなく、
本来の滑らかさを失ってしまうのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
特開平5―316984号公報で、豆乳にゲル化剤とカ
ードラン、若しくは、さらにデンプンを混合して、食味
やテクスチャーなどを改善した冷凍豆腐を先に提案し
た。
【0006】しかしながら、当該先行技術では、熱凝固
性のカードランを使用するので、磨砕大豆を加水・沸騰
し、濾過して得られた高温状態の豆乳に、そのままカー
ドランを直接的に混入すると熱凝固を起こす恐れが大き
いので、熱い豆乳を一旦10〜40℃程度に放冷してか
らカードラン及びゲル化剤などを添加し、再び85℃程
度に加熱して豆乳を凝固する必要があった。また、カー
ドランは分散液にしてゆっくり撹拌しながら加えない
と、豆乳に均質に混合しにくい。即ち、煮熟後の高温下
の豆乳に凝固剤などと共にこのカードランをいきなり加
えると、カードランが豆腐組織に均一に分散する前に豆
腐の凝固が進行してしまう危険があるので、このために
も、一旦、豆乳の温度を下げてカードランを豆乳に均質
混合する必要がある。この結果、磨砕大豆の熱水抽出に
より熱い豆乳を得る工程から最終的な豆腐を冷凍する工
程までの処理時間が長くなるので、生産性が低下してし
まう。しかも、カードランは高価であり、生産コストが
大きくなってしまう。
【0007】また、一般的に、豆乳に混合する添加剤の
種類が増すと、豆腐の食感や食味が本来のものより低下
する傾向があることから、できれば、ゼラチンの単独添
加が理想的であるが、当該先行技術に基づいてゼラチン
を単独で使用すると、その試験例1の試料5の条件で
は、豆腐のテクスチャーに多少問題が残った。本発明
は、冷凍保存可能な豆腐の生産性を高めるとともに、添
加剤の種類を減らして豆腐の食感、食味などを向上する
ことを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、冷凍豆腐を
継続して鋭意研究の結果、前記試料5では、豆乳1リッ
トル当たりのゼラチンの混合量は5g(即ち、豆乳に対す
るゼラチンの混合率は0.5重量%)であったが、このゼ
ラチンの混合割合を増すことで、カードランを省略で
き、もって、冷凍豆腐の製法を変えられることを発見
し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明1は、豆乳に対するゲル化剤
の混合率を0.6重量%以上にして、高温状態の豆乳
に、その温度が下がらないうちにゲル化剤及び凝固剤を
混合して豆腐に凝固する工程と、凝固した豆腐を急速冷
凍する工程とから成ることを特徴とする冷凍豆腐の製造
方法である。本発明2は、上記本発明1において、高温
状態の豆乳が、磨砕大豆を加熱処理した後の、未だ冷め
ずに高温状態下にある豆乳であることを特徴とするもの
である。本発明3は、上記本発明1又は2において、高
温状態の豆乳にゲル化剤及び凝固剤を加えるとともに、
更にデンプンを混合することを特徴とするものである。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、ゲ
ル化剤がゼラチン、寒天、天然ガムなどであることを特
徴とするものである。本発明5は、上記上記本発明1〜
4のいずれかにおいて、凝固した豆腐を一旦冷蔵温度域
に冷却した後、急速冷凍することを特徴とするものであ
る。
【0010】上記豆乳は、磨砕大豆から常法により製造
する豆乳と、市販の大豆蛋白粉から調製した豆乳の両方
を含む。尚、当該豆乳は豆乳単独を始め、豆乳にゆず、
山菜、グリンピース、ほうれんそう等の粉末や各種の風
味液を混入したものを排除するものではない。上記高温
状態の豆乳は、磨砕大豆を加熱処理した後の未だ冷めず
に高温下にある豆乳や、大豆蛋白粉から調製した豆乳を
加熱して高温にしたものなどをいう。上記磨砕大豆を加
熱処理して得られる高温の豆乳とは、常法により磨砕
大豆を熱水抽出した豆乳、即ち、磨砕大豆に水を加えて
沸騰させ、大豆滓を濾過した後の豆乳や、磨砕大豆の
呉汁から予め大豆滓を分離した後にこの呉汁を加熱した
豆乳などをいう。上記豆乳の濃度は、もめん豆腐やきぬ
ごし豆腐などを調製できる常法の濃度で良いが、固形分
10%以上の濃厚豆乳が好ましい。
【0011】上記ゲル化剤は、冷却するとゲル化凝固性
を有して、豆腐組織をゲル化固定できるものであり、具
体的には下記のものを指し、単独で使用しても併用して
も良い。また、きぬこし状の豆腐の製造では、ゼラチン
の単独使用が好ましい。 (1)ゼラチン、カゼインなどのタンパク類 (2)寒天、カラギーナン、ファーセルラン、アルギンなどの
海藻多糖類 (3)キサンタンガム、タマリンドガム、アラビアガム、
グアーガム、ローカストビーンガムなどの樹液多糖類や
種子多糖類(これらを総称して天然ガムとする)、或は、ペ
クチン質、コンニャクマンナンなどの他の多糖類
【0012】上記豆乳とゲル化剤との量的関係では、通
常、豆乳10リットルに対してゼラチン60g以上を混
合するので、豆乳に対するゲル化剤の混合率は、0.6
重量%以上であるが、好ましくは0.6〜3.0重量%で
あり、より好ましくは0.6〜1.0重量%である。豆乳
の混合率が0.6重量%より低いと、解凍時にドリップ
が生じ易くなり、逆に、混合率が多くなり過ぎると、豆
腐のテクスチャーが変質したり、豆乳液がかなり増粘し
て撹拌操作に支障が出る虞れがあるので、注意を要す
る。
【0013】上記凝固剤は、グルコノデルタラクトン、
塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの常法で使用す
る豆乳の凝固剤をいう。豆乳への混合率も常法の範囲で
よい。但し、塩化マグネシウムのように凝固速度が大き
い凝固剤では、前記先行技術のように、一旦豆乳を温度
低下させた段階で混合する場合には、凝固に偏りが生じ
たり、豆腐組織内に泡を抱く虞れがあるため、凝固剤を
適正に選択する必要があるが、本発明では、高温の豆乳
に混合するため、このような弊害が起こらず、凝固剤の
種類を問わずに豆乳に簡便に混合できる。
【0014】上記デンプンは、トウモロコシ、サツマイ
モ、タピオカなどの植物から分離した天然品に限らず、
これらを化学的又は物理的に処理した各種処理デンプン
や、シクロデキストリンなどのデンプン誘導体などを含
む。上記デンプンは、ゼラチンの一部を代替してコスト
を削減するとともに、豆腐のテクスチャーをもめん豆
腐、或は豆腐ステーキ状に適宜固めに変化させる機能も
有する。前記ゲル化剤がゼラチンの場合、デンプンはゼ
ラチンの代替量の3〜5倍程度が好ましく、例えば、ゼ
ラチンの10gをデンプンで代替するときには、30〜
50gが良好である。
【0015】高温状態の豆乳にゲル化剤と凝固剤を混合
する場合、ゲル化剤と凝固剤を同時に混合しても良い
し、時間差を設けて混合しても差し支えない。同時に混
合する場合には、予めゲル化剤と凝固剤の混合液を調製
して豆乳に加えても良いし、別々の処理液又は処理粉を
豆乳に同時に加えても良い。また、時間差を設けて混合
する場合には、予めゲル化剤の溶解液又は分散液を調製
し、これを豆乳に混合・撹拌しながら、次いで凝固剤を
混合するのが一般的である。例えば、ゲル化剤がゼラチ
ンの場合、ゼラチンの粉末をそのまま豆乳に添加しても
良いが、ゼラチン粉末を溶解した冷水又は温水を豆乳に
加える方が好ましい。特に、ゲル化剤がゼラチンと天然
ガムの混合物の場合には、予めこの溶解液を用意する方
が簡便である。尚、ゲル化剤の外に、さらにデンプンを
混合する場合も上述と同様の添加態様をとることができ
る。
【0016】上記豆腐の急速冷凍は、冷風を対流させる
エアブラスト凍結方式や液化窒素噴霧方式を始め、公知
の凍結方式で行う。冷凍時に、豆腐組織はゲル化剤でゲ
ル化固定されるが、豆腐を充分にゲル化するためには
(即ち、豆腐の保水性を増すためには)、一旦冷蔵温度域
を経て冷凍した方が好ましい。即ち、豆腐は、0℃〜1
0℃の冷蔵温度域まで冷却した後に冷蔵域を越えて略―
18℃以下の冷凍雰囲気まで急速に冷却される。急速冷
凍の条件は、後述の実施例に示すような小カットの豆腐
では、その表面積が大きいため、略15分で5℃から―
18℃以下に冷却し、これより大型の豆腐では30分以
内で―18℃以下に冷却するのが一般的である。尚、凝
固した豆腐の冷蔵域への冷却は、放冷、又は、冷水浸漬
や冷風吹き付けなどの強制冷却などによる。
【0017】
【作用及び発明の効果】
(1)高温状態にある豆乳にそのままゲル化剤と凝固剤を
混合し、豆乳の有する高熱を利用して即座に凝固し、固
まった豆腐を急速冷凍するだけなので、冒述の先行技術
のように高温の豆乳を一旦放冷してカードランとゲル化
剤を加え、再び加熱して豆乳を凝固するという煩雑な手
間が要らず、製造工程を簡略にして、冷凍豆腐の生産性
を良好に高められる。また、処理剤として高価なカード
ランを省略して、ゼラチンを使用するか、或はこれにデ
ンプンを併用するだけなので、生産コストを低減でき、
安価に冷凍豆腐を製造できる。
【0018】(2)豆腐を冷凍すると、豆腐組織はゲル化
剤でゲル化固定されて保水性が高まると推定できるの
で、冷凍変性を抑制し、解凍時のドリップの発生を防止
できる。また、豆腐組織の水分活性の低下により、微生
物による腐敗等が抑制されると推定できるので、冷凍保
存により豆腐の品質を長く保持できる。特に、豆乳に対
するゲル化剤の混合率は0.6重量%以上であるので、
冒述の先行技術の試料5に比べて、ドリップの発生を確
実に抑止できる。
【0019】(3)豆乳に混合する冷凍処理のための添加
剤は基本的にゲル化剤だけなので、冷凍豆腐の食味や風
味、或はテクスチャーなどを本来の豆腐と変わらない水
準に高められる。特に、ゲル化剤がゼラチンである場
合、冷凍豆腐の品質はより向上する。
【0020】(4)ゼラチンに加えてデンプンを併用添加
すると、原材料をコスト削減して、冷凍豆腐をより安価
に実施できる。また、デンプンを加えることで、ゼラチ
ン単用の場合に比べて、豆腐のテクスチャーを固めに変
化させることができるので、きぬこし状の豆腐からもめ
ん状、或は、ステーキ状の豆腐を豊富なバリエーション
で製造できる。
【0021】
【実施例】以下、豆腐の製造実施例を示すとともに、冷
凍保存した場合の試験結果を併記する。 《製造実施例1》ゼラチンの単独使用例を述べる。即
ち、常法に従い、磨砕大豆に水を加えて沸騰させ、煮熟
の終わった呉汁を圧搾濾過して濃度12%の濃厚豆乳を
得た。一方、予め略40℃の温湯500ccにゼラチン
100gを添加してゼラチン液を調製するとともに、豆
乳が上記煮熟処理に伴って未だ冷めずに85℃程度の高
温に保持されている間に、このゼラチン液を当該豆乳1
0lに混合し、泡立ちに注意しながら緩やかに略5分間
撹拌した。上記撹拌終了後、85〜80℃程度の高温を
保持している豆乳に対して、さらにカルシウム塩とグル
コノデルタラクトンを主成分とする豆乳用凝固剤60g
を加えて凝固缶内で速やかに凝固させ、次いで略10分
間熟成させた。但し、上記凝固剤は、予め温湯に溶解さ
せたものを豆乳に加えるようにしても差し支えない。
【0022】得られた豆腐を1.2〜1.5cm角のサイ
コロ状にカットし、略2℃の冷水に接触させて品温が8
〜5℃程度になるように冷却したのち、エアブラスト凍
結方式により10〜15分間で―18℃以下に急速冷凍
した。本実施例では、磨砕大豆から得られた豆乳が煮熟
後の高温にあるうちに、その高熱を利用して迅速にゼラ
チン及び凝固剤を加えて豆腐に凝固し、冷凍処理したの
で、冒述の先行技術のように、凝固前に豆乳を一旦冷却
するなどの工程が要らず、製造時間が短縮化されて生産
性が向上した。また、豆腐をサイコロ状の小ブロックに
カットして表面積を増大させた後に冷却したので、速や
かに冷蔵域まで品温を下げられた。さらに、上記冷蔵温
度域まで冷却した豆腐をエアブラスト凍結方式に替え
て、液体窒素を表面に吹き付ける方式により10分以内
で―75℃以下に急速冷凍すると、解凍時の豆腐のテク
スチャーがよりソフトになった。
【0023】《製造実施例2》上記実施例1を基本とし
ながら、ゼラチンとデンプンの併用例を述べる。即ち、
磨砕大豆を加水・沸騰させ、圧搾濾過して12%の濃厚
豆乳を得るとともに、予め略40℃の温湯1lにゼラチ
ンとデンプンを加えて均一な混合液を調製した。そし
て、上記豆乳が未だ85℃程度の高温の間に、先に調製
した混合液を加え、泡が混入しないように緩やかに略5
分間均一に撹拌したのち、凝固剤を加えて豆乳を凝固
し、熟成させた。この場合、豆乳及び各種処理剤の混合
条件は下記の通りであった。 豆乳 9l ゼラチン 60g デンプン 200g 凝固剤 60g 得られた豆腐を実施例1と同様にサイコロ状にカット
し、8〜5℃程度の冷蔵温度域に冷却し、エアブラスト
凍結方式により10〜15分間で―18℃以下に急速冷
凍した。
【0024】前記実施例1では、滑らかでソフトなテク
スチャーのきぬこし状の豆腐が得られたのに対して、本
実施例2では、実施例1のゼラチン使用量100gのう
ち、その40g相当を200gのデンプンで代替したこ
とにより、固めのもめん状の豆腐が得られた。この固め
の豆腐は田楽用などに好適であり、特に、串打ちをした
場合でも、串が豆腐から抜けないという利点があり、食
するときの取り扱いが楽であった。
【0025】《製造実施例3》本実施例では、加熱前に
大豆滓を生の呉汁から分離する生絞り方式により冷凍豆
腐を製造した。即ち、常法では、磨砕大豆から得た呉汁
に水を加えて沸騰させた後に圧搾濾過して、豆乳とオカ
ラ(即ち、大豆滓)に分離しているが、本実施例3では、
水に浸漬した大豆を常温程度の水中で磨砕し、加熱する
前の生の状態でこの呉汁から大豆滓を予め濾過・分離し
て、固形分濃度18%というきわめて濃厚な呉液(即ち、
豆乳)を得るとともに、この豆乳を沸騰状態で5分間煮
熟した。一方、予め略40℃の温湯500ccにゼラチ
ン70gを添加してゼラチン液を調製するとともに、豆
乳が上記加熱処理に伴って未だ冷めずに85℃程度の高
温に保持されている間に、このゼラチン液を当該豆乳1
0lに混合し、泡立ちに注意しながら緩やかに略5分間
撹拌した。次いで、実施例1と同様の条件で、豆乳を凝
固・熟成させ、得られた豆腐をサイコロ状にカットし、
冷蔵温度域に冷却した後に、エアブラスト凍結方式によ
り急速冷凍した。
【0026】本実施例3では、生絞り方式で得た18%
程度のきわめて濃厚な豆乳を使用するため、豆乳の保水
力が大幅に増大し、同容量の豆乳に対するゼラチンの混
合量を低減できる(例えば、実施例1に比べてゼラチン量
を100gから70gに減らせる)うえ、独特のテクス
チャーを有する固めの豆腐を製造でき、得られた豆腐は
ナイフやフォークで食する豆腐ステーキ用に好適であっ
た。因みに、常法では、磨砕大豆の固形分が混在した呉
汁を熱水抽出するため、呉汁の濃度が濃くなり過ぎる
と、呉汁が粘って大豆滓の分離に支障が出る虞れがあ
り、引いては、大豆滓の分離で得られる豆乳の濃度は制
限を受けるが、上記生絞り方式では、粘りの原因になる
大豆固形分を予め生の呉汁から分離するので、豆乳の濃
度を常法より濃くできる。このため、当該実施例3のよ
うに、豆乳濃度を18%程度の高めにすると固めの豆腐
を製造でき、豆乳濃度を13〜14%に少し下げるとソ
フトもめん状の豆腐を製造でき、豆乳濃度の調整で豆腐
のバリエーションを容易に増やせる。
【0027】また、豆乳の保水力がきわめて大きく、濃
厚な食味を有するため、野菜、魚介類、肉類などの各種
具材をミンチ状で混入することが容易で、豆腐と具材と
の食味の調和も良好であった。しかも、常法では、呉汁
を熱水抽出した後に大豆滓を分離するため、この大豆滓
が膨れてその量が増すのに対して、本実施例3では、生
の呉汁から大豆滓を予め分離した後に加熱するため、大
豆滓の排出量が少なく、廃棄物の処理コストを低減でき
る。
【0028】《試験例1》上記実施例1で製造した豆腐
(以下、試料1という)、実施例2の豆腐(試料2とい
う)、及び実施例3の豆腐(試料3という)を−18℃以
下で30日間冷凍保存した後に解凍し、豆腐のテクスチ
ャーや食味などを調べた。尚、ゼラチンやデンプンを添
加しない通常の豆腐を冷凍保存し、解凍した場合を比較
例とした。
【0029】その結果、試料1では、解凍してもスポン
ジ状のスが入らず、ドリップの発生もなかった。また、
きぬこし豆腐状のきめの細かいテクスチャーが得られ、
軟らかな食感と舌触りを有し、きわめて優れた食味と風
味の豆腐を再現できた。試料3でも解凍時にドリップの
発生はなく、弾力性に富む固めの豆腐が再現できた。食
味、風味は試料1に比べて濃厚であった。さらに、試料
2でもドリップの発生がなく、豆腐の舌触りなどは試料
1と同様であった。但し、試料1に比べて弾力性が若干
異なり、きぬこし状の外観ながら、もめん豆腐状の食感
を有していた。これに対して、比較例では、いわば連続
気泡状のスが無数に入るとともに、ドリップが大量に出
て、豆腐成分と水分との分離が進み、豆腐としての体裁
をなさなかった。
【0030】《試験例2》そこで、上記実施例1のサイ
コロ状のミニ豆腐と、同実施例1に基づいて製造した8
0g程度のより大きなブロック(4cm×4cm×2cmの直方体
形状)の豆腐の2種類を―18℃以下で半年間冷凍保存
し、1カ月ごとに冷凍品を解凍して、各経過月の冷凍豆
腐の経時変化を調べた。
【0031】その結果、ミニ豆腐では、6カ月経過時点
でも解凍時にドリップの発生がなく、食味や風味の低下
も認められなかった。一方、大型豆腐では6カ月経過時
点において、急速解凍ではドリップは認められなかった
が、自然解凍、冷蔵庫解凍などの緩慢解凍では若干ドリ
ップの発生が認められた。しかし、この豆腐を大型にし
た場合でも、冷凍豆腐を熱湯や油ちょうで揚げ出し豆腐
などに直接調理すると、食味、食感などに問題はなかっ
た。また、実際の流通では、2カ月程度の在庫ができれ
ば充分なので、ミニ及び大型豆腐ともに、充分な冷凍保
存性を備えていることが判った。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆乳に対するゲル化剤の混合率を0.6
    重量%以上にして、高温状態の豆乳に、その温度が下が
    らないうちにゲル化剤並びに凝固剤を混合して豆腐に凝
    固する工程と、凝固した豆腐を急速冷凍する工程とから
    成ることを特徴とする冷凍豆腐の製造方法。
  2. 【請求項2】 高温状態の豆乳が、磨砕大豆を加熱処理
    した後の未だ冷めずに高温状態下にある豆乳であること
    を特徴とする請求項1に記載の冷凍豆腐の製造方法。
  3. 【請求項3】 高温状態の豆乳にゲル化剤及び凝固剤を
    加えるとともに、さらにデンプンを混合することを特徴
    とする請求項1又は2に記載の冷凍豆腐の製造方法。
  4. 【請求項4】 ゲル化剤がゼラチン、寒天、天然ガムな
    どの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の冷凍豆腐の製造方法。
  5. 【請求項5】 凝固した豆腐を一旦冷蔵温度域に冷却し
    た後、急速冷凍することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の冷凍豆腐の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH09252740A (ja) * 1996-03-25 1997-09-30 Daishiyoku:Kk 冷凍豆腐の製造方法
JPH1075732A (ja) * 1996-09-04 1998-03-24 Akou Kasei Kk 厚揚げ
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CN110521788A (zh) * 2019-10-14 2019-12-03 四川六月天食品有限公司 一种速冻包浆豆腐及其制备方法

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