JPH07228683A - 芳香族ポリカーボネート粉状体の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート粉状体の製造方法

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JPH07228683A
JPH07228683A JP2081094A JP2081094A JPH07228683A JP H07228683 A JPH07228683 A JP H07228683A JP 2081094 A JP2081094 A JP 2081094A JP 2081094 A JP2081094 A JP 2081094A JP H07228683 A JPH07228683 A JP H07228683A
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JP
Japan
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aromatic polycarbonate
organic solvent
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powder
solvent solution
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JP2081094A
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Takashi Kuroki
貴志 黒木
Seiji Obuchi
省二 大淵
Masahiro Ota
正博 太田
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Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 界面重合法により得られた芳香族ポリカーボ
ネート有機溶媒溶液から芳香族ポリカーボネート粉状体
を製造する方法において、溶液中の水分量が500pp
m以下の芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液を混練機
構を有する装置中で、芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液の沸点以下の温度で濃縮しつつ、析出物を粉砕する
芳香族ポリカーボネート粉状体の製造方法。 【効果】 特殊な装置を用いること無く、嵩密度が高
く、乾燥に有利な粒径の芳香族ポリカーボネート粉状体
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネー
ト粉状体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】芳香族
ポリカーボネートを有機溶媒溶液と水の存在下で製造す
る方法は種々知られているが、いずれの方法においても
反応終了時には芳香族ポリカーボネートは有機溶媒溶液
として得られる。芳香族ポリカーボネートは押出成形、
射出成形、回転成形等の成形に用いるためにも、また、
キャスティングフィルムとして用いるためにも、その運
搬、貯蔵面から粒状体が望ましいので、上記溶液から固
形物として回収する必要がある。この回収法として多数
の提案がある。
【0003】第1の方法は、芳香族ポリカーボネート有
機溶媒溶液にアルコール類やケトン類のような貧溶媒を
混合して芳香族ポリカーボネートを沈澱回収する、いわ
ゆる貧溶媒析出法である(特公昭36−22447号公
報、特公昭36−22448号公報、特公昭37−70
00号公報、特公昭38−16347号公報)。
【0004】第2の方法は、芳香族ポリカーボネート溶
液を熱水中、水蒸気中あるいは熱風中に噴出させて固形
物を得る、いわゆる噴霧法である(特公昭36−112
31号公報、特公昭40−3533号公報、特公昭40
−9843号公報)。
【0005】第3の方法は、芳香族ポリカーボネート溶
液を濃縮し硬いが壊れ易いゲル状物を得、これを粉砕す
る、いわゆるゲル化法である(特公昭36−21033
号公報、特公昭44−11031号公報、特公昭45−
9875号公報)。
【0006】これらの方法のうち、第1の方法は2種類
以上の溶媒を使用するために、回収した溶媒を再利用す
る際には蒸留操作が必要となり、工業的に不利である。
また、第2の方法は得られる固形物の嵩密度が低いため
に取り扱い上不利である。従って、得られる固形物の嵩
密度が高く、操作も簡単な第3のゲル化法が優れてい
る。
【0007】ゲル化法により芳香族ポリカーボネート固
形物を得る方法としては、たとえば芳香族ポリカーボネ
ートのジクロロメタン溶液を熱水中で濃縮し、ゲル状と
なったところで粉砕する方法(特公昭45−9875号
公報、特公平3−34492号公報、特開平2−455
36号公報)が提案されているが、本方法により得られ
る粉状体の粒径は比較的大きく、嵩密度が高いためにそ
の乾燥が非常に困難である。そのために、粒径の比較的
小さい粒状体を得るための特殊な装置が種々提案されて
いる(特公平3−33729号公報、特公昭54−44
312号公報、特開昭62−201626号公報)。し
かし、これらの特殊な装置は価格が高く、工業的に不利
である。従って、嵩密度が高く、乾燥しやすい粒状体を
特殊な装置を用いること無く製造する方法が必要とされ
ていた。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明者は、上記課題を解
決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、界面
重合法により得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液中の水分量を特定量以下とし、更に、芳香族ポリカ
ーボネート有機溶媒溶液の沸点以下の温度で濃縮するこ
とにより、指で押しつぶすことが可能な程度の非常に柔
らかいゲル状物が得られること、更に、このゲル状物を
粉砕することにより、特殊な装置を用いること無く、嵩
密度が高く、乾燥に有利な粒径の芳香族ポリカーボネー
ト粉状体が得られることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち、本発明は界面重合法により得ら
れた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液からの芳香族
ポリカーボネート粉状体を製造する方法において、溶液
中の水分量が500ppm以下の芳香族ポリカーボネー
ト有機溶媒溶液を混練機構を有する装置中、芳香族ポリ
カーボネート有機溶媒溶液の沸点以下の温度で濃縮しつ
つ、析出物を粉砕し、芳香族ポリカーボネート粉状体を
得ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート粉状体の
製造方法である。
【0010】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
で使用する芳香族ポリカーボネートは通常よく知られた
方法、たとえば、二価フェノール塩化カルボニル又は二
価フェノールのビスクロロホーメートから製造される。
【0011】本発明において用いられる二価フェノール
は、一般式(1)で表される化合物である。 HO−R−OH (1) (式中Rは、2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原
子を有する2価の脂肪族もしくは脂環族の残基又は、6
〜18個の炭素原子を有する1個又は2個以上の芳香族
核から成り、これらが互いに直接結合しているか又は場
合により2価の架橋員子を経て互いに結合している2価
の芳香族基を意味するものである。)
【0012】本発明において、二価フェノールは好まし
くは一般式(2)又は(3)で表される。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (2) HO−Ar3−OH (3) (式中、Ar1、Ar2、Ar3は各々単環の無置換ある
いはハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアル
キル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基又は
アルコキシ基等の置換基をもつ二価芳香族基であり、X
はAr1とAr2を結び付ける基である。)
【0013】上記式において、Ar1,Ar2およびAr
3は、各々単環の二価芳香族基、即ち、フェニレン基も
しくは置換基を有する置換フェニレン基であり、置換基
としては、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シク
ロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール
基又はアルコキシ基等が挙げられる。Ar1とAr2の両
方がp−フェニレン基、m−フェニレン基又はo−フェ
ニレン基、あるいは、一方がp−フェニレン基であり、
他方がm−フェニレン基又はo−フェニレン基であるこ
とが好ましく、特にAr1とAr2の両方がp−フェニレ
ン基であることが好ましい。
【0014】XはAr1とAr2を結び付ける基であり、
単結合もしくは二価の炭化水素基、更には−O−、−S
−、−SO−、−SO2−、−CO−等の炭素と水素以
外の原子を含む基であっても良い。二価の炭化水素基と
は、飽和の炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、
2,2−プロピリデン、シクロヘキシリデン等のアルキ
リデン基が挙げられるが、アリール基等で置換された基
も包含され、また、芳香族基やその他の不飽和の炭化水
素基を含有する炭化水素基であっても良い。
【0015】二価フェノールの具体例としては、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4
´−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4´
−ヒドロキシフェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4´−ヒド
ロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス
(4´−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノー
ルA]、2−(4´−ヒドロキシフェニル)−2−(3
´−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
´−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4´
−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4
´−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3
´−メチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3´−エチル−4´−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3´−n−プロピル−4
´−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
´−イソプロピル−4´−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3´−sec−ブチル−4´−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3´−te
rt−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3´−シクロヘキシル−4´−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(3´−アリル−
4´−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3´−メトキシ−4´−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3´,5´−ジメチル−4´−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2´,3
´,5´,6´−テトラメチル−4´−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−(3´−クロロ−4´−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3´,5´
−ジクロロ−4´−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3´−ブロモ−4´−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3´,5´−ジブロモ−
4´−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(2´,6´−ジブロモ−3´,5´−ジメチル−4´
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シアノメタン、1−シアノ−3,3−ビス
(4´−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(4´−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類、1,1−
ビス(4´−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、1,1−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(4´−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、2,2
−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等の
ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4
´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4、4´−ジヒ
ドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル、エ
チレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エー
テル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類、4,
4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−
ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルフィ
ド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類、4,
4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´
−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホ
キシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド
類、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルス
ルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロ
キシアリール)ケトン類、更には、6,6´−ジヒドロ
キシ−3,3,3´,3´−テトラメチルスピロ(ビ
ス)インダン[スピロインダンビスフェノール],トラ
ンス−2,3−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)−2
−ブテン、9,9−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)
フルオレン、3,3−ビス(4´−ヒドロキシフェニ
ル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4´−ヒドロキシ
フェニル)−1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロ
ロ−2,2−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)エチレ
ン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4´−ヒドロキ
シフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビ
ス(5´−フェノキシ−4´−ヒドロキシフェニル)エ
チレン、α,α,α´,α´−テトラメチル−α,α´
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、
α,α,α´,α´−テトラメチル−α,α´−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、4,4´
−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。上記の二価
フェノールの他にもハイドロキノン、レゾルシン等も同
様に使用される。これらは単独で、あるいは2種以上混
合して使用してもよい。本発明において、特に好ましく
使用される二価フェノールは、ビスフェノールAであ
る。更に又、例えば、ビスフェノールA2モルとイソフ
タロイルクロライド又はテレフタロイルクロライド1モ
ルとを反応させることにより製造することができるエス
テル結合を含むビスフェノール類も有用である。
【0016】本発明において、芳香族ポリカーボネート
有機溶剤溶液とは、従来の芳香族ポリカーボネートの製
法、すなわち界面重合法[インターサイエンス・パブリ
ッシング、”インサイクロピーディア・オブ・ポリマー
・サイエンス・アンド・テクノロジー”10、710
(1969)、ケミストリー・アンド・フィジックス・
オブ・ポリカーボネート”33(1964) 〔Int
erscience Publishing,“Enc
yclopedia of Polymer Scie
nce and Technology”10,710
(1969),“Chemistry and Pys
ics of Polycarbonate”33(1
964)〕]により、芳香族ポリカーボネートを溶解す
る有機溶剤の存在下、少量の分子量調節剤、及び所望に
より分岐剤等を用いて、二価フェノールを塩化カルボニ
ル又は二価フェノールのビスクロロホーメート組成物と
反応させて得られる芳香族ポリカーボネートのホモポリ
マーもしくはコポリマーの溶液又はこれを適宜濃縮した
ものでも良く、これ以外の方法で調製したものでも良
い。
【0017】芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の溶
媒として使用する有機溶剤は、芳香族ポリカーボネート
を溶解するものであれば任意に使用可能であるが、中で
も、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロ
エタン、1,2−ジクロロエチレン、クロルベンゼン等
の塩素化炭化水素又はそれらの混合物が好ましい。特
に、低沸点で芳香族ポリカーボネートをよく溶解するジ
クロロメタンが好ましい。また、これらの有機溶剤は芳
香族ポリカーボネートの重合反応及び得られた芳香族ポ
リカーボネートの品質に悪影響を与えない程度の他の有
機溶媒および/又は不純物を含んでいても問題ない。
【0018】界面重合法により得られた芳香族ポリカー
ボネート有機溶媒溶液は有機塩及び/又は無機塩を含む
ので本発明における混練機構を有する装置に供給される
以前に充分な精製を施すことが望ましい。ただし、充分
に脱水された有機溶媒溶液中ではこれらの塩の多くは溶
液中に析出しているので、芳香族ポリカーボネートに求
められる品質によっては脱水処理した有機溶媒溶液をろ
過することにより精製操作を省略もしくは簡略化するこ
ともできる。
【0019】本発明において用いられる芳香族ポリカー
ボネート有機溶媒溶液中の水分量は500ppm以下、
好ましくは200ppm以下である。溶液中の水分量が
500ppmを越える場合には、得られる粉状体の粒径
が大きくなり乾燥が困難となる。
【0020】界面重合法及びその後の精製工程により得
られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中には通常
数千から数万ppmの水分が存在し、たとえ充分な分液
操作を施したとしても、溶液中の水分量をその溶解度以
下とすることは不可能である。よって本発明において用
いられる芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液は、事前
に何らかの脱水操作を施す必要がある。本発明におい
て、芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分量を
500ppm以下とする方法に特に限定はなく、たとえ
ばモレキュラーシーブスを用いて脱水する方法、脱水さ
れた有機溶媒で希釈する方法、水と有機溶媒との共沸に
より脱水する方法などがある。特に、工業的に有利な共
沸による脱水法が好ましい。
【0021】芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の
芳香族ポリカーボネート濃度には特に規定はないが、芳
香族ポリカーボネート有機溶媒溶液がゲル化する直前の
濃度が好ましい。有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネ
ート濃度が希薄な場合には粉体を得るのに長い時間を要
し、有機溶媒溶液がゲル化し/又は溶液中に芳香族ポリ
カーボネートが析出する濃度の場合にはその取扱いが困
難となる。ただし、スラリーポンプ、スクリューフィー
ダー、スパイラルフィーダー、ベルトコンベア、押出機
等、溶液の一部又は全部がゲル化又は析出した場合にも
移送可能な装置を用いる場合には、溶液の一部又は全部
がゲル化又は析出した芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液を使用することも可能である。芳香族ポリカーボネ
ート有機溶媒溶液がゲル化する濃度は、芳香族ポリカー
ボネートの種類、分子量、用いる有機溶媒の種類及び有
機溶媒溶液の温度により大きく異なるため一概にはいえ
ない。通常、界面重合法及びその後の精製工程により得
られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の芳香族
ポリカーボネート濃度はゲル化を開始する濃度よりかな
り低いので、事前に濃縮操作を施すことが好ましく、同
時に共沸脱水を行うことにより溶液中の水分量をさらに
減少することが特に好ましい。
【0022】本発明における混練機構を有する装置はゲ
ル化する直前の芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液を
混練できるものであれば特に制限はなく、従来既知のも
のを使用できる。通常、常圧におけるゲル化直前の芳香
族ポリカーボネート有機溶媒溶液の粘度は100〜80
00ポイズ程度であり、本発明の過程で得られる芳香族
ポリカーボネート有機溶媒溶液のゲル化物は指で容易に
粉砕できる程度の堅さであるため、用いる装置には特殊
な粉砕機構や特に大きなセン断力やトルクを必要としな
い。従来既知のものとはたとえばニーダー、ルーダー、
インターナルミクサー、ダブルプラネタリミクサー、擂
潰機、ニーダーエキストリューダー、K.R.C.ニー
ダー、テーパロールミル、プラストミルのごとき装置で
ある。
【0023】また、本発明を連続プロセスとして使用す
る場合にはセルフクリーニング型混練機を用いることが
より望ましい。セルフクリーニング型混練機とは同方向
又は異方向に回転する2本の軸に特殊形状のパドルを一
定の関係を持った位相で配列し、互いに相手側パドルの
側面を掻き取る機構を持った混練機であり、そのパドル
形状や位相については、たとえば、米国特許第3195
865号明細書や同3198491号明細書、特公昭6
0−54974号公報、特開昭56−59824号公
報、特開昭60−239211号公報、特開昭60−1
01108号公報等に記載されている。本発明における
混練機構を有する装置としては上記特許公報記載の装置
や、さらには、栗本鉄工所製KRCニーダー、KEXエ
クストルーダ、SCプロセッサ、KRC−VP、日立製
作所製メガネ翼重合機、三菱重工業製SCRリアクター
等に代表される2軸混練機等も使用できる。また、本発
明における混練機構を有する装置として芳香族ポリカー
ボネート粉状体を製造することを目的とした特殊な装
置、たとえば特公昭53−15899号公報、特公昭5
5−33966号公報、特公昭54−44321号公報
記載の装置を用いる場合には、得られる芳香族ポリカー
ボネート粉状体は本発明以外の方法で製造した場合に比
べ、いっそう粒径の小さい芳香族ポリカーボネート粉状
体を得ることができる。
【0024】本発明における溶液の沸点以下の温度と
は、芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中に気泡が生
じない温度である。芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶
液の沸点は用いる溶媒の沸点より通常数度高い程度であ
る。本発明は通常大気圧下で行われるが、加圧もしくは
減圧下で行うことも可能であり、この場合における沸点
以下の温度とは用いる圧力下で芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中に気泡が生じない温度である。とくに、
本発明を加圧下で行う場合には、芳香族ポリカーボネー
ト有機溶媒溶液の粘度が低下するため、撹拌混練がいっ
そう容易となる。
【0025】本発明においては、有機溶媒溶液表面及び
/又は液中に溶液の沸点以下の温度の不活性ガスを通気
することが好ましい。本発明において用いる不活性ガス
とは空気、窒素、アルゴン、炭酸ガス、酸素、水素等、
芳香族ポリカーボネート及び/又は用いる有機溶媒に対
して不活性の気体であり、工業的には空気及び/又は窒
素が好ましい。通気操作を施すことにより芳香族ポリカ
ーボネート有機溶媒溶液からの溶媒の除去が促進され、
さらに、有機溶媒の気化熱により芳香族ポリカーボネー
ト有機溶媒溶液が冷却され、ゲル化が促進される。ただ
し、著しく激しい通気操作を施す場合および/又は溶液
の沸点以上の温度の気体を用いる場合は液及び/又はゲ
ル化物の表面が局所的に乾燥し、得られる芳香族ポリカ
ーボネートの粉状体の粒径が大きくなる傾向がある。
【0026】本発明により得られた芳香族ポリカーボネ
ート粉状体中の残溶媒量は45〜1重量%が好ましく、
特に35〜10重量%が好ましい。残溶媒量が35重量
%以上の場合には得られた芳香族ポリカーボネート粉状
体は固結し塊状物となる場合がある。また、残溶媒量を
10重量%未満とするためには長い時間を要するため工
業的に不利である。さらに、得られた芳香族ポリカーボ
ネート粉状体中の残溶媒量が10重量%以上の場合に
は、粉状体はそれほど硬質化していないので材質を摩耗
することがほとんど無く、混練機構を有する装置に、た
とえばステンレス鋼のような、それほど耐摩耗性の高く
ない材質を用いることができる。
【0027】本発明により得られた芳香族ポリカーボー
ト粉状体中には多くの溶媒が残留しているので、乾燥操
作を施すか、ベント付き押出機によりペレット化するこ
とが望ましい。さらに、必要であれば得られた粉状体を
目的により、ふるい分け、粉砕操作、乾式造粒操作等を
加えることも可能である。
【0028】本発明において、芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液及び/又は芳香族ポリカーボネート有機溶
媒溶液のゲル化物中に芳香族ポリカーボネートに用いら
れる添加剤を任意の時点で添加することも可能である。
添加剤を芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液及び/又
は芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液のゲル化物中に
添加することにより、添加剤を粉状体中に均質に分散さ
せることが可能となる。また、芳香族ポリカーボネート
の熱安定性を向上する添加剤を用いた場合には乾燥処理
時の芳香族ポリカーボネートの色調の低下を抑制するこ
とが可能となる。
【0029】本発明は回分式であっても連続式であって
もよく、工業的には連続的に脱水、濃縮、混練粉砕を施
すことが好ましい。
【0030】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中の数平均分
子量、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算で測定
した。芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分量
はカールフィッシャー水分計により定量した。芳香族ポ
リカーボネート有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネー
トの濃度は磁製皿に入れた芳香族ポリカーボネート有機
溶媒溶液の乾燥前後の重量変化量から計算した。芳香族
ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は得られた芳香
族ポリカーボネート粉状体の乾燥前後の重量変化量から
計算、もしくは、ガスクロマトグラフィーにより定量し
た。
【0031】実施例1 ビスフェノールA280g、p−tert−ブチルフェ
ノール6.34g、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、水酸化ナトリウム143gを1600gの
水に溶解させ、該水溶液とジクロロメタン2080gを
撹拌混合しながら、ホスゲン145.6gを1時間かけ
て供給した。その後、該混合液に重合触媒であるトリエ
チルアミン0.5gを加え、2時間熟成し、反応液を静
置分液、芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液
を分離した。この芳香族ポリカーボネートのジクロロメ
タン溶液を0.1N塩酸水溶液1リットルと混合、充分
な乳化状態に至るまで撹拌し中和処理を行った。そして
再び静置分液により有機相を分液した後、純水1リット
ルと混合、同様に撹拌し、水洗処理を行った。この水洗
処理を有機相中の塩分が実質的になくなるまで繰り返し
た。水洗精製処理を終えた有機相をろ過し、数平均分子
量20000、重量平均分子量52400の芳香族ポリ
カーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分
量は6800ppmであった。
【0032】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液に還流脱水を施し、芳香族ポリカーボネート有機溶
媒溶液中の水分量が2000ppmとなるまで脱水し
た。得られた水分量2000ppmの芳香族ポリカーボ
ネートの15重量%ジクロロメタン溶液を濃縮し、芳香
族ポリカーボネートの35重量%ジクロロメタン溶液を
得た。得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中
の水分量は120ppmであった。
【0033】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機(入江商会、SUS304製)中で1時間撹拌混練
した。ニーダー粉砕機中における芳香族ポリカーボネー
ト有機溶媒溶液の沸騰による発泡はなかった。得られた
芳香族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は29重
量%であり、指で押しつぶせる程度の硬さであった。得
られた芳香族ポリカーボネート粉状体を磁製皿に入れ、
乾燥機中で150℃3時間通風乾燥した。乾燥後の芳香
族ポリカーボネート粉状体中の残溶媒量は90ppm、
鉄分は1ppm以下であり、見かけの嵩密度は0.6g
/1mlであった。本粉状体をJIS標準ふるいでふる
い分けしたところ、16メッシュを通過しなかった粉状
体は7.1%であった。
【0034】比較例1 実施例1において得られた水分量120ppmの芳香族
ポリカーボネート35重量%有機溶媒溶液400gをジ
ャケット温度50℃のΣ型ニーダー粉砕機中で1時間撹
拌混練した。芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液はニ
ーダー粉砕機中で沸騰し、発泡していた。得られた芳香
族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は16重量%
であり、部分的に硬い粉状体を含んでいた。得られた芳
香族ポリカーボネート粉状体を磁製皿に入れ、乾燥機中
で150℃3時間通風乾燥した。乾燥後の芳香族ポリカ
ーボネート粉状体中の残溶媒量は420ppm、鉄分は
3ppmであり、見かけの嵩密度は0.5g/1mlで
あった。本粉状体をJIS標準ふるいでふるい分けした
ところ、16メッシュを通過しなかった粉状体は35.
4%であった。すなわち、本条件下で得られた粉状体は
実施例に比べ粒径が大きいため乾燥が困難であり、さら
に、ニーダー中で粉状体が部分的に硬質化しているため
装置の材質を摩耗していた。
【0035】比較例2 実施例1において得られた水分量120ppmの芳香族
ポリカーボネート35重量%有機溶媒溶液400gをジ
ャケット温度60℃のΣ型ニーダー粉砕機中で1時間撹
拌混練した。芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液はニ
ーダー粉砕機中で沸騰し、発泡していた。得られた芳香
族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は7重量%で
あり、全体的に硬い粉状体であった。得られた芳香族ポ
リカーボネート粉状体を磁製皿に入れ、乾燥機中で15
0℃3時間通風乾燥した。乾燥後の芳香族ポリカーボネ
ート粉状体中の残溶媒量は590ppm、鉄分は7pp
mであり、見かけの嵩密度は0.5g/1mlであっ
た。本粉状体をJIS標準ふるいでふるい分けしたとこ
ろ、16メッシュを通過しなかった粉状体は37.6%
であった。すなわち、本条件下で得られた粉状体は実施
例に比べ粒径が大きいため乾燥が困難であり、さらに、
ニーダー中で粉状体が全体的に硬質化しているため装置
の材質を摩耗していた。
【0036】実施例2 ビスフェノールA280g、p−tert−ブチルフェ
ノール6.34g、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、水酸化ナトリウム143gを1600gの
水に溶解させ、該水溶液とジクロロメタン2080gを
撹拌混合しながら、ホスゲン145.6gを1時間かけ
て供給した。その後、該混合液に重合触媒であるトリエ
チルアミン0.5gを加え、2時間熟成し、反応液を静
置分液、芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液
を分離した。この芳香族ポリカーボネートのジクロロメ
タン溶液を0.1N塩酸水溶液1リットルと混合、充分
な乳化状態に至るまで撹拌し中和処理を行った。そして
再び静置分液により有機相を分液した後、純水1リット
ルと混合、同様に撹拌し、水洗処理を行った。この水洗
処理を有機相中の塩分が実質的になくなるまで繰り返し
た。水洗精製処理を終えた有機相をろ過し、数平均分子
量20000、重量平均分子量52400の芳香族ポリ
カーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分
量は8300ppmであった。
【0037】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液のうち1000gに還流下共沸脱水を施し、芳香族
ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分量が3000p
pmとなるまで脱水した。
【0038】得られた水分量3000ppmの芳香族ポ
リカーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を共沸
脱水しつつ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの35重量
%ジクロロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカー
ボネート有機溶媒溶液中の水分量は230ppmであっ
た。
【0039】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で1時間撹拌混練した。ニーダー粉砕機中におけ
る芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の沸騰による発
泡はなかった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
中の残存溶媒量は27重量%であった。得られた芳香族
ポリカーボネート粉状体を磁製皿に入れ、乾燥機中で1
50℃3時間通風乾燥した。乾燥後の芳香族ポリカーボ
ネート粉状体中の残溶媒量は150ppm、鉄分は1p
pm以下であり、見かけの嵩密度は0.6g/1mlで
あった。本粉状体をJIS標準ふるいでふるい分けした
ところ、16メッシュを通過しなかった粉状体は13.
4%であった。
【0040】比較例3 実施例2において得られた水分量8300ppmの芳香
族ポリカーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液の
うち1000gを還流下での共沸脱水を施さずに直接共
沸脱水しつつ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの35重
量%ジクロロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカ
ーボネート有機溶媒溶液中の水分量は4400ppmで
あった。
【0041】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で1時間撹拌混練した。ニーダー粉砕機中におけ
る芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の沸騰による発
泡はなかった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
中の残存溶媒量は26重量%であり、部分的に硬い粉状
体を含んでいた。得られた芳香族ポリカーボネート粉状
体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾燥
した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残溶
媒量は470ppmであり、鉄分は4ppmであった。
本粉状体をJIS標準ふるいでふるい分けしたところ、
16メッシュを通過しなかった粉状体は35.9%であ
った。すなわち、本条件下で得られた粉状体は実施例に
比べ粒径が大きいため乾燥が困難であり、さらに、ニー
ダー中で粉状体が部分的に硬質化しているため装置の材
質を摩耗していた。
【0042】比較例4 ビスフェノールA280g、p−tert−ブチルフェ
ノール6.34g、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、水酸化ナトリウム143gを1600gの
水に溶解させ、該水溶液とジクロロメタン2080gを
撹拌混合しながら、ホスゲン145.6gを1時間かけ
て供給した。その後、該混合液に重合触媒であるトリエ
チルアミン0.5gを加え、2時間熟成し、反応液を静
置分液、芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液
を分離した。この芳香族ポリカーボネートのジクロロメ
タン溶液を0.1N塩酸水溶液1リットルと混合、充分
な乳化状態に至るまで撹拌し中和処理を行った。そして
再び静置分液により有機相を分液した後、純水1リット
ルと混合、同様に撹拌し、水洗処理を行った。この水洗
処理を有機相中の塩分が実質的になくなるまで繰り返し
た。水洗精製処理を終えた有機相をろ過し、数平均分子
量20000、重量平均分子量52400の芳香族ポリ
カーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分
量は11000ppmであった。本液を1晩静置分液
し、更に溌水性濾紙(アドバンテック2S)で濾過し
た。得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の
水分量は5200ppmであった。
【0043】得られた芳香族ポリカーボネート15重量
%ジクロロメタン溶液のうち1000gを共沸脱水しつ
つ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの38重量%ジクロ
ロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中の水分量は900ppmであった。
【0044】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で1時間撹拌混練した。ニーダー粉砕機中におけ
る芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の沸騰による発
泡はなかった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
中の残存溶媒量は25重量%であり、部分的に硬い粉状
体を含んでいた。得られた芳香族ポリカーボネート粉状
体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾燥
した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残溶
媒量は330ppm、鉄分は3ppmであった。本粉状
体をJIS標準ふるいでふるい分けしたところ、16メ
ッシュを通過しなかった粉状体は28.9%であった。
すなわち、本条件下で得られた粉状体は実施例に比べ粒
径が大きいため乾燥が困難であり、さらに、ニーダー中
で粉状体が部分的に硬質化しているため装置の材質を摩
耗していた。
【0045】比較例5 比較例4において得られた水分量5200ppmの芳香
族ポリカーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を
さらに1晩静置分液し、更に溌水性濾紙(アドバンテッ
ク2S)で濾過した。得られた芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中の水分量は4800ppmであった。
【0046】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液を還流下での共沸脱水を施さずに直接共沸脱水しつ
つ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの33重量%ジクロ
ロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中の水分量は820ppmであった。
【0047】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で1時間撹拌混練した。ニーダー粉砕機中におけ
る芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の沸騰による発
泡はなかった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
中の残存溶媒量は26重量%であり、部分的に硬い粉状
体を含んでいた。得られた芳香族ポリカーボネート粉状
体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾燥
した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残溶
媒量は300ppmであり、鉄分は3ppmであった。
本粉状体をJIS標準ふるいでふるい分けしたところ、
16メッシュを通過しなかった粉状体は27.3%であ
った。すなわち、本条件下で得られた粉状体は実施例に
比べ粒径が大きいため乾燥が困難であり、さらに、ニー
ダー中で粉状体が部分的に硬質化しているため装置の材
質を摩耗していた。
【0048】実施例3 ビスフェノールA280g、p−tert−ブチルフェ
ノール6.34g、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、水酸化ナトリウム143gを1600gの
水に溶解させ、該水溶液とジクロロメタン2080gを
撹拌混合しながら、ホスゲン145.6gを1時間かけ
て供給した。その後、該混合液に重合触媒であるトリエ
チルアミン0.5gを加え、2時間熟成し、反応液を静
置分液、芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液
を分離した。この芳香族ポリカーボネートのジクロロメ
タン溶液を0.1N塩酸水溶液1リットルと混合、充分
な乳化状態に至るまで撹拌し中和処理を行った。そして
再び静置分液により有機相を分液した後、純水1リット
ルと混合、同様に撹拌し、水洗処理を行った。この水洗
処理を有機相中の塩分が実質的になくなるまで繰り返し
た。水洗精製処理を終えた有機相をろ過し、数平均分子
量20000、重量平均分子量52400の芳香族ポリ
カーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分
量は7000ppmであった。
【0049】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液に還流下共沸脱水を施し、芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中の水分量が2000ppmとなるまで脱
水した。
【0050】得られた水分量2000ppmの芳香族ポ
リカーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を共沸
脱水しつつ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの39重量
%ジクロロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカー
ボネート有機溶媒溶液中の水分量は60ppmであっ
た。
【0051】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で30分撹拌混練した。ニーダー粉砕機中におけ
る芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液の沸騰による発
泡はなかった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
中の残存溶媒量は42重量%であった。得られた芳香族
ポリカーボネート粉状体を磁製皿に入れ、乾燥機中で1
50℃3時間通風乾燥した。乾燥後の芳香族ポリカーボ
ネート粉状体中の残溶媒量は110ppm、鉄分は1p
pm以下、見かけの嵩密度は0.5g/1mlであり、
若干固結していた。本粉状体をJIS標準ふるいでふる
い分けしたところ、16メッシュを通過しなかった粉状
体は11.4%であった。
【0052】実施例4 実施例3において得られた水分量60ppmの芳香族ポ
リカーボネート39重量%有機溶媒溶液400gをジャ
ケット温度40℃のΣ型ニーダー粉砕機中で2時間撹拌
混練した。ニーダー粉砕機中における芳香族ポリカーボ
ネート有機溶媒溶液の沸騰による発泡はなかった。得ら
れた芳香族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は8
重量%であった。得られた芳香族ポリカーボネート粉状
体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾燥
した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残溶
媒量は40ppm、鉄分は2ppmであり、見かけの嵩
密度は0.6g/1mlであった。本粉状体をJIS標
準ふるいでふるい分けしたところ、16メッシュを通過
しなかった粉状体は6.2%であった。
【0053】実施例5 実施例3において得られた水分量60ppmの芳香族ポ
リカーボネート39重量%有機溶媒溶液400gをジャ
ケット温度30℃のΣ型ニーダー粉砕機中で2時間撹拌
混練した。ニーダー粉砕機中における芳香族ポリカーボ
ネート有機溶媒溶液の沸騰による発泡はなかった。得ら
れた芳香族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は3
1重量%であった。得られた芳香族ポリカーボネート粉
状体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾
燥した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残
溶媒量は30ppm、鉄分は1ppm以下であり、見か
けの嵩密度は0.6g/1mlであった。本粉状体をJ
IS標準ふるいでふるい分けしたところ、16メッシュ
を通過しなかった粉状体は4.7%であった。
【0054】実施例6 ビスフェノールA280g、p−tert−ブチルフェ
ノール6.34g、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、水酸化ナトリウム143gを1600gの
水に溶解させ、該水溶液とジクロロメタン2080gを
撹拌混合しながら、ホスゲン145.6gを1時間かけ
て供給した。その後、該混合液に重合触媒であるトリエ
チルアミン0.5gを加え、2時間熟成し、反応液を静
置分液、芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液
を分離した。この芳香族ポリカーボネートのジクロロメ
タン溶液を0.1N塩酸水溶液1リットルと混合、充分
な乳化状態に至るまで撹拌し中和処理を行った。そして
再び静置分液により有機相を分液した後、純水1リット
ルと混合、同様に撹拌し、水洗処理を行った。この水洗
処理を有機相中の塩分が実質的になくなるまで繰り返し
た。水洗精製処理を終えた有機相をろ過し、数平均分子
量20000、重量平均分子量52400の芳香族ポリ
カーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液中の水分
量は7500ppmであった。
【0055】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液に還流下共沸脱水を施し、芳香族ポリカーボネート
有機溶媒溶液中の水分量が2000ppmとなるまで脱
水した。
【0056】得られた水分量2000ppmの芳香族ポ
リカーボネートの15重量%ジクロロメタン溶液を共沸
脱水しつつ濃縮し、芳香族ポリカーボネートの37重量
%ジクロロメタン溶液を得た。得られた芳香族ポリカー
ボネート有機溶媒溶液中の水分量は60ppmであっ
た。
【0057】得られた芳香族ポリカーボネート有機溶媒
溶液400gをジャケット温度40℃のΣ型ニーダー粉
砕機中で30分撹拌混練した。撹拌混練中ニーダー粉砕
機中に20〜25℃の窒素ガスを200g/hの流速で
通風した。ニーダー粉砕機中における芳香族ポリカーボ
ネート有機溶媒溶液の沸騰による発泡はなかった。得ら
れた芳香族ポリカーボネート粉状体中の残存溶媒量は3
4重量%であった。得られた芳香族ポリカーボネート粉
状体を磁製皿に入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾
燥した。乾燥後の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残
溶媒量は90ppm、鉄分は1ppm以下、見かけの嵩
密度は0.6g/1mlであった。本粉状体をJIS標
準ふるいでふるい分けしたところ、16メッシュを通過
しなかった粉状体は6.4%であった。
【0058】実施例7 実施例6において得られた水分量60ppmの芳香族ポ
リカーボネート37重量%有機溶媒溶液400gをジャ
ケット温度40℃のΣ型ニーダー粉砕機中で15分間撹
拌混練した。撹拌混練中ニーダー粉砕機中に20〜25
℃の窒素ガスを400g/hの流速で通風した。ニーダ
ー粉砕機中における芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶
液の沸騰による発泡はなかった。得られた芳香族ポリカ
ーボネート粉状体中の残存溶媒量は24重量%であっ
た。得られた芳香族ポリカーボネート粉状体を磁製皿に
入れ、乾燥機中で150℃3時間通風乾燥した。乾燥後
の芳香族ポリカーボネート粉状体中の残溶媒量は90p
pm、鉄分は1ppm以下であり、見かけの嵩密度は
0.6g/1mlであった。本粉状体をJIS標準ふる
いでふるい分けしたところ、16メッシュを通過しなか
った粉状体は6.5%であった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、特殊な装置を用いるこ
と無く、嵩密度が高く、乾燥に有利な粒径の芳香族ポリ
カーボネート粉状体が得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面重合法により得られた芳香族ポリカ
    ーボネート有機溶媒溶液から芳香族ポリカーボネート粉
    状体を製造する方法において、溶液中の水分量が500
    ppm以下の芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液を混
    練機構を有する装置中で、芳香族ポリカーボネート有機
    溶媒溶液の沸点以下の温度で濃縮しつつ、析出物を粉砕
    し、芳香族ポリカーボネート粉状体を得ることを特徴と
    する芳香族ポリカーボネート粉状体の製造方法。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液に
    不活性ガスを通気することを特徴とする請求項1記載の
    芳香族ポリカーボネート粉状体の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒がジクロロメタンである請求項
    1又は請求項2記載の芳香族ポリカーボネート粉状体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネート有機溶媒溶液
    中の水分を水と有機溶媒との共沸により脱水する請求項
    1又は請求項2記載の芳香族ポリカーボネート粉状体の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 得られた芳香族ポリカーボネート粉状体
    中の残存溶媒量が10重量%以上であるところの請求項
    1又は請求項2記載の芳香族ポリカーボネート粉状体の
    製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005516092A (ja) * 2002-01-31 2005-06-02 ソルヴェイ プラスチックをベースとした混合物の製造方法

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JP2005516092A (ja) * 2002-01-31 2005-06-02 ソルヴェイ プラスチックをベースとした混合物の製造方法

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