JPH07228383A - 重ねシート装着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】第１シートと第２シートに歪みを与えることな
く、第１シートと第２シートの接触面の均一な接触によ
る装着を実現し、２枚以上のシート間の安定した装着境
界層の付与を実現することにある。 【構成】装着用定盤1 に第１シート2 のサイズより僅か
に大きいサイズの第１シート装着凹部10内の装着面10a
を減圧する第１エア吸引小孔13を備え前記凹部外側周囲
に第２シート3 周端面を装着する第２シート装着面12と
該装着面を減圧する第２エア吸引小孔15を備え前記凹部
と前記第２シート装着面との間に凹部内の装着面より高
く且つ前記第２シート装着面より低い段差面11を備え、
該段差面に第３吸引小孔14を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも２枚のシー
トのシート間の均一な密着性を必要とする感熱転写記録
方式又は感圧転写記録方式等における印字出力表示用若
しくは画像出力表示用等のプラテン等として使用される
重ねシート装着装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、少なくとも２枚以上のシートの装
着、即ち第１シート（白紙等の記録用シート）と第２シ
ート（感熱転写記録用着色層を備えた感熱転写記録紙、
感熱転写シート）とを互いに重ね合わせて装着する場合
に使用される重ねシート装着装置としては次のようなも
のがあった。

【０００３】例えば、図７（ａ）〜（ｂ）に示すよう
に、回転ドラム形式の重ねシート装着装置２１の回転ト
ラム２１ａ周面に、第１シート２とその上側に重ねるべ
き第２シート３のうち、最上層の第２シート３の回転方
向両端部を装着固定するための回転ドラム２１ａ内方に
向かって付勢された互いに背面同士を対向させたグリッ
プ方式（爪咥え方式）のシートチャック機構２４，２４
を有し、且つ両シートチャック機構２４に、背面側が互
いに接近する方向に付勢するバネ２５を備え、バネ２５
の付勢力によって両シートチャック機構２４，２４をそ
の対向する互いの背面側を接近させ、少なくとも両シー
トチャック機構２４によって咥えられた最上層のシート
（第２シート３）に対して張力を掛けて、回転ドラム２
１ａ周面に下層の第１シート２とともに密着させて装着
する仕組みになっている。

【０００４】また他の重ねシート装着装置としては、例
えば図８（ａ）〜（ｂ）に示すように、中空の回転ドラ
ム３１の軸方向両側に平行な溝３５が設けら、且つ減圧
するためのエア吸引小孔３６が溝３５から回転ドラム３
１中心の中空部に向けて設けられており、第１シート２
は２本の平行溝３５，３５の間のエア吸引小孔３７が孔
設されたドラム周面３２に配置される。第１シート２よ
りも幅の広い第２シート３を第１シート２上に重ねた後
に、第２シート３周辺と回転ドラム周面３２の密着を保
つためにテーピング又は軟質ゴム部材３８で第２シート
３周辺を覆う。続いて、回転ドラム３１の中空中心部の
排気パイプ３９から、これに連通する前記エア吸引小孔
３６，３７をエア吸引することによって溝３５内、及び
第１シート２と周面３２との間を減圧し、第１シート２
と第２シート３との間を減圧し、第１シート２と第２シ
ート３との間を減圧して回転ドラム３１に両シート２，
３を吸着する仕組みになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記図７（ａ）〜
（ｂ）に示したシートチャック機構２４，２４の対向背
面側にバネ２５を有する従来例の場合は、第１シート２
と第２シート３の接触面にはバネ２５の付勢力により得
られるシートへの張力による周面３２への密着力が付与
されているのみであるため、接触面の歪みや凹凸による
空気層が発生し易く、第１シート２と第２シート３の接
触面のギャップの不均一を解消できないという問題があ
る。また図８に示した回転ドラム３１の回転軸方向両端
周面に平行なエア吸引用の溝３５が設けられている従来
例の場合は、回転ドラム３１の周面３２は減圧用の１対
の平行溝３５以外は同一表面にあるため、第１シート２
より幅の広い第２シート３を第１シート２上に重ねて巻
き、且つ第２シート３の周辺部を固定した際に、上側の
第２シート３、特にその周囲面に、皺や、弛みや、歪み
等が見られる場合がある。

【０００６】本発明は、第１シートと第２シートに歪み
を与えることなく、第１シートと第２シートとの接触面
の均一な密着による重ねシートの装着を実現し、少なく
とも２枚以上のシート間の安定した装着境界層の付与を
実現することにある。

【０００７】

【課題を解決しようとする手段】本発明は、第１シート
２とその上側に該シート２より大きいサイズの第２シー
ト３を互いに重ね合わせエア吸引により吸着固定する重
ねシート装着装置において、重ねシート装着装置本体定
盤１に、第１シート２のサイズより僅かに大きいサイズ
の第１シート装着凹部１０と、該凹部１０内の底部を構
成する第１シート装着面１０ａと、該装着面１０ａに孔
設したエア吸引用の第１吸引小孔１３とを備え、前記凹
部１０の外側周囲に、前記第２シート３の周囲面を装着
する第２シート装着面１２と、該装着面１２に孔設した
エア吸引用の第２吸引小孔１５とを備え、前記凹部１０
と装着面１２との間に、前記装着面１０ａより高く且つ
前記装着面１２より低い段差面１１を備えたことを特徴
とする重ねシート装着装置である。

【０００８】また本発明は、上記重ねシート装着装置に
おいて、好ましくは前記段差面１１に孔設したエア吸引
用の第３吸引小孔１４を備えることを特徴とする重ねシ
ート装着装置である。

【０００９】また本発明は、上記重ねシート装着装置に
おいて、好ましくは前記第１シート装着凹部１０の装着
面１０ａと第２シート装着面１２との高低差が、第１シ
ート２の厚さに等しいことを特徴とする重ねシート装着
装置である。

【００１０】

【作用】本発明の重ねシート装着装置は、第１シート装
着凹部１０内に第１シート２を装着した後に、該凹部１
０内の装着面１０ａを第１吸引小孔１３にてエア吸引し
て減圧することによって、第１シート装着凹部１０内の
装着面１０ａに第１シート２は吸着固定する。

【００１１】吸着固定している上記第１シート２の上側
にそれより大きいサイズの第２シート３を重ね合わせ、
該第２シート３周囲面を、該重ねシート装着装置の第２
シート装着面１２に載置し、該第２シート装着面１２を
第２吸引小孔１５にてエア吸引して減圧することによっ
て該第２シート３周囲面が該装着面１２に吸着固定す
る。

【００１２】それぞれ上記第１シート２および第２シー
トの吸着固定の際のエア吸引によって、第１シート２の
サイズより僅かに大きいサイズの第１シート装着凹部１
０と該第１シート２周囲との間に生ずる僅かな間隙か
ら、第１シート２と第２シート３との接触面内の残留空
気が排気されて減圧し、第１シート２と第２シート３と
の接触面は密着して吸着固定する。

【００１３】エア吸引による上記第１シート２及び第２
シート３の吸着固定の際に、第１シート２外側周囲の段
差面１１に設けた第３吸引小孔１４からもエア吸引する
ことにより、段差面１１と対向する第２シート３部分は
段差面１１側に吸引されて、一層強固に吸着固定される
とともに、第１シート２と第２シート３との接触面内の
残留空気が排気されて減圧し、第１シート２と第２シー
ト３との接触面は一層強固に密着して、両シート２，３
は重ねシート装着装置に吸着固定する。

【００１４】それぞれ第１シート２と第２シート３とが
それぞれ吸着面１０ａと吸着面１２とに吸着固定され、
且つ第１シート２と第２シート３との接触面が減圧によ
って強固に密着固定された際に、前記装着面１０ａと第
２シート装着面１２との高低差を第１シート２の厚さに
等しく設定してあることによって、第２シート３は、全
面に亘って吸着面１２に対して面一に吸着固定され、皺
や、弛みや、歪み等が生ずることなく、第１シート２上
に平坦に吸着固定され、第１シート２と第２シート３と
の均一な接触面が形成でき、シート間において歪みの発
生しない安定した境界層の付与が可能である。

【００１５】

【実施例】以下に本発明に係わる重ねシート装着装置の
実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１６】まず本発明に係わる重ねシート装着装置
を、図１の重ねシート装着装置の全体概要側断面図に従
って詳細に説明する。

【００１７】図１に示すように、本発明の重ねシート装
着装置は、装着装置本体定盤１に、第１シート２のサイ
ズより僅かに大きいサイズの凹部状の第１シート装着凹
部１０と、該装着凹部１０内（凹部１０の底部相当）に
平坦な、第１シート装着面１０ａと、該装着面１０ａに
孔設したエア吸引を行なうための第１吸引小孔１３とを
備え、該吸引小孔１３は、第１排気パイプ１８と、減圧
ポンプ５０（バキュームポンプ）に連通する第１減圧バ
ルブ５１と、第１減圧開放バルブ５２（減圧状態の解除
と継続とを行なう開閉バルブ）からなる第１減圧系統に
連通している。

【００１８】また、本発明の重ねシート装着装置は、前
記第１シート装着凹部１０の外側周囲に、前記第１シー
ト２より大きいサイズの第２シート３の周囲面（若しく
は周端部面）を装着する第２シート装着面１２を備え、
該装着面１２にはエア吸引を行なう第２吸引小孔１５を
備え、該吸引小孔１５は、第２排気バルブ１９と、減圧
ポンプ５０に連通する第２減圧バルブ５３と、第２減圧
開放バルブ５４（減圧状態の解除と継続とを行なう開閉
バルブ）からなる、第２減圧系統に連通している。

【００１９】また、本発明の重ねシート装着装置は、前
記第１シート装着凹部１０と、その外側周囲にある第２
シート装着面１２との間に、該装着面１２より低位に形
成された平坦な段差面１１を備える。また該段差面１１
には、必要に応じて、エア吸引を行なうための第３吸引
小孔１４を孔設するようにしてもよく、該吸引小孔１４
は、例えば前記第２排気パイプ１９と、減圧ポンプ５０
に連通する第２減圧バルブ５３と、第２減圧開放バルブ
５４からなる第２減圧系統に連通している。

【００２０】本発明の重ねシート装着装置は、上記のよ
うに前記第１吸引小孔１３のエア吸引とエア吸引解除と
を行なう前記第１減圧系統と、第２吸引小孔１５のエア
吸引とエア吸引解除又は第２吸引小孔１５と第３吸引小
孔１４とのエア吸引とエア吸引解除とを行なう第２減圧
系統の２つの減圧系統を備えるようにしたものである
が、その他に、例えば、前記第１排気パイプ１８と第２
排気パイプ１９とを連通させて、前記第１吸引小孔１３
と第２吸引小孔１５のエア吸引とエア吸引解除、又は前
記第１吸引小孔１３と第２吸引小孔１５と第３吸引小孔
１４のエア吸引とエア吸引解除を１つの減圧系統（第１
減圧系統若しくは第２減圧系統）によって行なうように
してもよい。また、上記減圧系統に関しては、前記第１
吸引小孔１３を減圧する前記第１減圧系統と、第２吸引
小孔１５を減圧する第２減圧系統と、第３吸引小孔１４
を減圧する第３減圧系統との３つの減圧系統を備えるよ
うにしてもよい。

【００２１】上記本発明の重ねシート装着装置において
は、装置本体定盤１上に対して、それぞれ第１シート
２、第２シート３を供給し、排出するシート移送機構
を、定盤１の側方等に適宜に設置するものであるが、こ
のような重ねシート装着装置の他の部分については、本
発明に直接関係しないので説明を省略する。

【００２２】本発明における第１シート２は、１枚のシ
ートであってもよいし、複数枚のシートを重ね合わせて
適宜に端部同士あるいは中央部等にて互いに接合して一
体化したシートであってもよいし、あるいは接合されて
いない分離した複数枚のシートであってそれらを１組と
して重ね合わせたシートであってもよい。また第２シー
ト３は、１枚のシートであってもよいし、複数枚のシー
トを重ね合わせて適宜に端部同士あるいは中央部等にて
互いに接合して一体化したシートであってもよい。

【００２３】また、第１シート２及び第２シート３とし
て適用されるシートの厚さや、材質については、比較的
柔軟性のあるものが適当であり、例えば、プラスチック
製、紙製、金属製等、あるいはこれらのいずれかを複合
した複合製のフィルムやシートが適当であるが、特に限
定はされない。

【００２４】図１に示す本発明装置においては、前記第
１吸引小孔１３は、第１シート装着凹部１０における装
着面１０ａ（凹部１０の底部）の１乃至複数個所に孔設
されており、第１排気パイプ１８に連通している。第１
排気パイプ１８は、第１減圧バルブ５１と、第１減圧開
放バルブ５２からなる第１減圧系統（減圧ポンプ５０を
含む）に接続される。第２吸引小孔１５と第３吸引小孔
１４は、第２排気パイプ１９に連通している。第２排気
パイプ１９は、第２減圧バルブ５３と、第２減圧開放バ
ルブ５４からなる、第２減圧系統（減圧ポンプ５０を含
む）に接続される。第１減圧バルブ５１と、第２減圧バ
ルブ５３は、減圧ポンプ５０に接続している。また、第
１減圧開放バルブ５２と、第２減圧開放バルブ５４のそ
れぞれ一方の接続口は、それぞれ第１減圧バルブ５１
と、第２減圧バルブ５３側に接続されているが、それぞ
れ他方の接続口は、大気中に導かれている。

【００２５】図１に示す上記本発明装置においては、第
１排気パイプ１８と第１減圧バルブ５１等による第１減
圧系統と、第２排気パイプ１９と第２減圧バルブ等によ
る第減圧系統との２つの減圧系統が設けられた場合につ
いて説明したが、それ以外に図１に示す第１排気パイプ
１８と第２排気パイプ１９とを互いに連通させて、第１
減圧系統と第２減圧系統とを１つの減圧系統としてもよ
い。

【００２６】また本発明装置は、図１に示す減圧系統以
外に、段差面１１に孔設した第３吸引小孔１４と第２排
気パイプ１９との間の連通を遮断した減圧系統として第
２減圧系統を設ける。該第３吸引小孔１４は、第２排気
パイプ１９とは別個に設けた第３の排気パイプ（図示せ
ず）と、それに配置した減圧バルブ及び減圧開放バルブ
と、それに連通する減圧ポンプ５０とによる第３の減圧
系統（図示せず）に連通接続することによって、第１減
圧系統乃至第３減圧系統によって吸引動作するようにし
てもよい。

【００２７】上記本発明の重ねシート装着装置の一実施
例を以下に詳細に説明する。

【００２８】図２は、本発明の上記重ねシート装着装置
の一実施例を示す平台形式の重ねシート装着装置の全体
平面図であり、図面に示すように、平台形式（平台状）
の重ねシート装着装置では、全体形状が、概略的に、立
方体形状や、直方体形状や、板状の装置本体定盤１を備
えている。

【００２９】以下、図２に従って一実施例を説明すれ
ば、平台状の定盤１に、第１シート２を装着するための
第１シート装着凹部１０を備え、該凹部１０内の平坦な
底部に相当する第１シート装着面１０ａの外側周囲に
は、第１シート２と、第２シート３との接触面を減圧す
るための段差面１１が形成されている。

【００３０】段差面１１の外側周囲には、第２シート３
の周囲面を装着するための第２シート装着面１２が設け
られている。第１シート装着面１０ａと、第２シート装
着面１２との段差（高低差）は、第１シート２の厚さに
等しく設定されている。また第１シート装着面１０ａか
ら、前記段差面１１までの高さ（凹部１０の深さに相
当）は、前記第１シート装着面１０ａと、第２シート装
着面１２との段差の１／２乃至２／３に設定されている
ことが適当であるが、特にこれに限定されない。

【００３１】図３は、図２に示した上記一実施例の重ね
シート装着装置の内部構造を示すＡ−Ａ全体側断面図で
あり、第２シート装着面１２に対して、前記段差面１１
と、第１シート装着面１０は掘り下げられている。第１
シート装着面１０ａの１個所乃至複数個所に、第１シー
ト２を吸着させるエア吸引用の第１吸引小孔１３が、ま
た段差面１１の１個所乃至複数個所に、該段差面１１上
面を減圧し且つ第１シート２と第２シート３との接触面
を減圧して密着させるためのエア吸引用の第３吸引小孔
１４が、また第２シート装着面１２の１個所乃至複数個
所に、第２シート３を吸着させる第２吸引小孔１５が、
それぞれ孔設されている。

【００３２】上記第１吸引小孔１３は、これと連通する
第１吸引チャンバー１６を経て第１排気パイプ１８に導
かれ、第１排気パイプ１８は、第１減圧系統に接続され
る。また段差面１１の第３吸引小孔１４と、第２シート
装着面１２の第２吸引小孔１５は、第２吸引チャンバー
１７を経て、第２排気パイプ１９に導かれ、第２排気パ
イプ１９は、第２減圧系統に接続される。

【００３３】上記一実施例による重ねシート装着装置
は、図１、図３に示すように、まず第１シート２を第１
シート装着凹部１０内に装填し、続いて第１減圧系統の
第１減圧バルブ５１を開放し、且つ、第１減圧開放バル
ブ５２を閉鎖して、第１排気パイプ１８、及び第１シー
ト装着面１０ａに孔設された第１吸引小孔１３を、減圧
ポンプ５０によってエア吸引動作すると、第１シート２
が、第１吸引小孔１３によって第１シート装着面１０ａ
に吸着固定される。なお、前記第１減圧系統の第１減圧
バルブ５１を開放動作する際に、第２減圧バルブ５３も
同時に開放することは可能である。

【００３４】次に、前記第１シート２を吸着固定した状
態で、第１シート２よりもサイズ（寸法）の大きな第２
シート３を、上記吸着固定されている第１シート２上に
重ね合わせ、第２減圧バルブ５３を開放し、且つ、第２
減圧開放バルブ５４を閉鎖して、第２排気パイプ１９、
及び第２シート装着面１２に孔設された第２吸引小孔１
５、及び段差面１１に孔設された第３吸引小孔１４を、
減圧ポンプ５０によってエア吸引動作すると、第２シー
ト３が、第２シート装着面１２に吸着固定される。そし
て、第１シート２上面と、第２シート装着面１２は、互
いに高さが面一であるため、第１シート２上に重ねられ
た第２シート３は、皺や、弛みや、歪み等がなく、平坦
に吸着固定される。

【００３５】しかる間に、第２シート３の吸着固定と同
時に、第１シート２と第２シート３との接触面（第１シ
ート２と、第２シート３との重ね対向間）は、段差面１
１の第３吸引小孔１４によってエア吸引されて、前記接
触面は、残留空気が吸引排気されて減圧され、第１シー
ト２と第２シート３とは、互いに強固に密着して、重ね
シート装着装置に吸着固定される。

【００３６】上記本発明の重ねシート装着装置の他の実
施例を以下に詳細に説明する。

【００３７】図４（ａ）は、本発明の上記重ねシート装
着装置の他の実施例を示す回転ドラム（シリンダ）形式
の重ねシート装着装置の全体正面図、図４（ｂ）は、全
体側面図であり、図面に示すように、回転ドラム形式
（シリンダ状）の重ねシート装着装置では、全体形状
が、概略的に円筒体形状の装置本体定盤１を備えてい
る。

【００３８】以下図４（ａ）〜（ｂ）に従って一実施例
を説明すれば、シリンダ状の定盤１のＢ−Ｂ軸方向の両
端部に、回転を支持する支軸１ａ，１ａを設けてある。
あるいは図示しないが、シリンダ状の定盤１の前記支軸
１ａ相当部に、テーパーコーン等のシリンダ受軸が嵌入
するための孔設部を設けるようにしてもよい。

【００３９】シリンダ状の定盤１周面には、第１シート
２を装着するための第１シート装着凹部１０を備え、該
シリンダ状の定盤１に形成された凹部１０内には、該凹
部１０の底部に相当する第１シート装着面１０ａを備
え、該装着面１０ａの外側周囲（回転軸方向、及び回転
方向）には、第１シート２と、第２シート３との接触面
を減圧するための段差面１１が形成され、該段差面１１
の１乃至数個所には、第３吸引小孔１４が孔設され、前
記段差面１１より外側周囲（回転軸方向、及び回転方
向）には、第２シート装着面１２が設けられている。

【００４０】第１シート装着面１０ａと、第２シート装
着面１２との高低差（段差）は、第１シート２の厚さに
等しく設定されている。また、第１シート装着面１０ａ
から段差面１１までの高さ（高低差）は、第１シート装
着面１０ａと、第２シート装着面１２との間の段差（高
低差）の１／２乃至２／３に設定されている。

【００４１】図５は、図４（ａ）に示した重ねシート装
着装置の正面内部構造を示すＢ−Ｂ全体正面断面図であ
り、軸方向の両端の第２シート装着面１２の半径に対し
て、段差面１１と、第１シート装着面１０ａは半径が小
さく掘り下げられている。第１シート装着面１０ａの１
個所乃至複数個所に、第１シート２を吸着させるエア吸
引用の第１吸引小孔１３が、また段差面１１の１個所乃
至複数個所に、該段差面１１上面を減圧し且つ第１シー
ト２と第２シート３との接触面を減圧して密着させるた
めのエア吸引用の第３吸引小孔１４が、また第２シート
装着面１２の１個所乃至複数個所に、第２シート３を吸
着させる第２吸引小孔１５が、それぞれ孔設されてい
る。

【００４２】第１吸引小孔１３は、これと連通するシリ
ンダ状の定盤１内部に形成された第１吸引チャンバー１
６を経て、支軸１ａ内を中空部とした第１排気パイプ１
８に導かれている。第１排気パイプ１８は、フレキシブ
ルパイプ（図示せず）を介して、第１減圧系統に接続さ
れる。また、段差面１１にある第３吸引小孔１４と、第
２吸引小孔１５とは、これと連通するシリンダ状の定盤
１内部に形成された第２吸引チャンバー１７を経て、支
軸１ａ内を中空部とした第２排気パイプ１９に導かれて
いる。第２排気パイプ１９は、フレキシブルパイプ（図
示せず）を介して、第２減圧系統に接続される。

【００４３】図１、図５に示すように、まず、第１シー
ト２を、第１シート装着凹部１０内に装填して、続い
て、第１減圧系統の第１減圧バルブ５１を開放し、且
つ、第１減圧開放バルブ５２を閉鎖して、第１排気パイ
プ１８、及び、第１シート装着面１０ａに孔設された第
１吸引小孔１３を、減圧ポンプ５０によってエア吸引動
作することによって、第１シート２が、第１シート装着
面１０ａ（凹部１０周面）に吸着固定される。なお、第
１減圧バルブ５１を開放する際に、第２減圧系統の第２
減圧バルブ５３も同時に開放するようにしてもよい。

【００４４】次に、前記第１シート２を吸着固定した状
態で、第１シート２よりもサイズ（寸法）の大きな第２
シート３を、上記吸着固定している第１シート２上に重
ね、第２減圧系統の第２減圧バルブ５３を開放し、且
つ、第２減圧開放バルブ５４を閉鎖して、第２排気パイ
プ１９、及び、第２シート装着面１２に孔設された第２
吸引小孔１５、及び、段差面１１に孔設された第３吸引
小孔１４を、減圧ポンプ５０によってエア吸引動作する
ことによって、第２シート３が、第２シート装着面１２
（ドラム周面）に吸着固定される。

【００４５】しかる後に、第２シート３の吸着固定と同
時に、第１シート２と、第２シート３との接触面（第１
シート２と第２シート３との重ね合わせ対向間）は、段
差面１１孔設された前記第３吸引小孔１４によってエア
吸引されて、接触面の残留空気が吸引排気されて減圧さ
れ、第１シート２と、第２シート３とは、互いに強固に
密着して、吸着固定される。

【００４６】次に、上記一実施例、及び上記他の実施例
の場合について、重ねシート装着装置に対するシートの
装着から、取外しまでの動作を、図６の動作フローチャ
ートに示す。なお、初期状態では、減圧系統のバルブは
全て閉じており、図１に示す減圧ポンプ５０が起動され
ているものとする。また、シート供給は、三次元移動動
作制御可能なアーム（ロボットアーム等）に取付けたエ
ア吸着方式、グリップ方式等のシート保持手段により、
第１シート２、第２シート３を保持して、装置本体定盤
１上に供給するものである。

【００４７】まず、ステップ１にて、第１シート装着凹
部１０上側相当部に対して、シート供給手段（図示せ
ず）によって（又は手操作によって）、第１シート２の
供給が行われる。なお、回転ドラム形式であって、シー
ト供給手段が自動的にシートの供給を行なう場合では、
この時にドラム回転が開始する。次に、ステップ２に
て、第１シート装着凹部１０に対する供給された第１シ
ート２の位置決めが行われ、該第１シート２が、第１シ
ート装着面１０ａの上側に位置整合される。

【００４８】続いて、ステップ３にて、第１減圧バルブ
５１が開放され、第１シート装着面１０ａ上に位置整合
されている前記第１シート２を、装着面１０ａの第１吸
引小孔１３によってシート供給手段から装着面１０ａに
吸着して、第１シート２の吸着固定を終了する。なお第
１減圧開放バルブ５２を、初期状態で僅かに開放させて
おき、第１シート２の吸着固定を完了した時点で、第１
減圧バルブ５１を閉鎖するようにしてもよい。

【００４９】続いて、ステップ４にて、第１シート装着
凹部１０に吸着固定している第１シート２上側相当部に
対して、シート供給手段（図示せず）によって（又は手
操作によって）、第２シート３の供給が行われる。次
に、ステップ５にて、第１シート２に対する供給された
第２シート３の位置決めが行われ、該第２シート３が、
第１シート２の上側に位置整合される。

【００５０】その後、ステップ６にて、第２シート３の
吸着のために、第２減圧バルブ５３が開放され、第１シ
ート２の上側に位置整合されている前記第２シート３の
周囲面を、第２シート装着面１２の第２吸引小孔１５に
よって、装着面１２に吸着して、第２シート３の吸着固
定を終了する。この第２シート３の吸着固定の際に、第
１シート２と、第２シート３との接触面の減圧が行わ
れ、第１シート２と、第２シート３とは、互いに密着す
る。なお第２減圧開放バルブ５４を、初期状態で僅かに
開放させておき、第２シート３の吸着固定を完了した時
点で、第２減圧バルブ５３を閉鎖するようにしてもよ
い。

【００５１】上記ステップ６の後は、吸着固定した第１
シート２と第２シート３に対して、所定の作業、例え
ば、第１シート２が記録用紙であって、第２シート３が
感圧転写方式（押圧転写写方式）、若しくは感熱転写方
式（熱溶融転写、昇華転写）の転写用着色層の形成され
た転写リボンや、転写シート（カーボンシート、昇華転
写シート）等である場合は、コンピュータ制御信号によ
り動作する印字や画像出力用の加圧式若しくは加熱式の
出力ヘッド（活字やドットマトリクスによるシリアルプ
リンタヘッド、ラインプリンタヘッド）により、第２シ
ート３上面から出力動作して、第１シート２面に文字や
画像の記録作業を行なう。そして、所定の作業を終了し
た後は、シートの取り外し動作に移る。

【００５２】次に、シートの取り外し動作について、図
６の動作フローチャートに示す。まず、ステップ７に
て、第２減圧バルブ５３が閉じられ、第２シート３に対
する第２吸引小孔１５のエア吸引動作を停止する。続い
て、ステップ８にて、第２減圧バルブ５４を開放して、
第２シート３に対する吸着圧力を解消する。又は、前記
ステップ７を経ずに、第２減圧バルブ５３を開放した状
態で、ステップ８を行なうようにしてもよい。

【００５３】その後、ステップ９にて、第１シート２面
上より第２シート３を剥離して取り外しを行なう。次
に、ステップ１０にて、第２減圧開放バルブ５４を閉じ
る。

【００５４】次に、ステップ１１にて、吸着状態にある
第１シート２上に、上記取り外した第２シート３とは別
の第２シート３（例えば、前記取り外した第２シート３
とは異なる色の着色層を備えた転写シート）を重ねて、
上記所定の作業を再度行なう必要があるか、即ち、上記
吸着固定状態にある第１シート２上に続けて重ねるべき
第２シート３が存在するか（用意されているか）否かの
確認判定を行なう。

【００５５】上記ステップ１１にて、吸着固定状態にあ
る第１シート２上に対して、続けて重ねるべき別の第２
シート３が存在する場合（ＹＥＳの場合）は、ステップ
４に戻り、ステップ４からステップ１１までを、再度繰
り返し実施する。複数の全ての第２シート３が、それぞ
れ順次、第１シート２上に重ねられて吸着固定され、上
記所定の作業が行なわれ、剥離が終了するまで行なう。
上記ステップ１１にて、吸着固定状態にある第１シート
２上に対して、続けて重ねるべき別の第２シート３が存
在しない場合（ＮＯの場合）は、次のステップ１２にア
クセスされる。

【００５６】ステップ１２にて、第１減圧開放バルブ５
２が開かれ（又は第１減圧バルブ５１が閉じられた後
に、第１減圧開放バルブ５２が開かれ）、第１シート２
の吸着力を解消する。続いて、ステップ１３にて、第１
シート２を第１シート装着凹部１０より剥離して取り外
す。その後、ステップ１４にて、第１減圧開放バルブ５
２を閉じる。以上の工程で、一連の重ねシートの吸着固
定、及び取り外しを完了する。

【００５７】尚、それぞれシート吸着時に、ローラー等
で、シートを装着面に押し付ける動作を行い、シートと
装着面、及びシート間の密着性を高める補助動作を取り
入れるようにしてもよい。

【００５８】さらに、上記実施例、及び動作フローチャ
ートにおいては、第１シート２の吸着と、第２シート３
の吸着、並びに、第１シート２と第２シート３との接触
面の減圧用に、第１減圧系統、第２減圧系統の２系統の
減圧系統を設けて実施する場合について説明したが、第
１シート２の吸着と、第２シート３の吸着と、第１シー
ト２と第２シート３との接触面の減圧とを、それぞれ別
個の第１減圧系統、第２減圧系統、第３減圧系統の３系
統の減圧系統を設けて実施してもよいし、第１減圧系
統、第２減圧系統、第３減圧系統の各排気パイプを、互
いに連通させて１つの減圧系統にまとめ、１系統の減圧
系統を設けて実施してもよい。

【００５９】尚、本発明では、減圧を行なうための各シ
ート装着面１０ａ、１２、及び段差面１１に孔設した各
エア吸引小孔１３，１４，１５が、チャンバー１６，１
７（集合排気部）に導かれているが、これは構成部材を
削減するためであり、上記チャンバー形式でなくても、
空気流通回路であれば、他のプラスチック管や、ゴム管
等のパイプ状のものであっても、特に支障なくシート吸
着のための減圧を実現できる。

【００６０】また、減圧を行なうための各シート装着面
１０ａ、１２、及び段差面１１に孔設した各エア吸引小
孔１３，１４，１５の個数や、直径や、形状について
は、吸着するシートの柔軟性等の性質（物性）に応じ
て、適宜に変更することは可能であり、特に規定するも
のではない。さらに、前記エア吸引小孔の配列パターン
についても、シートが適正に保持される配列であれば、
いかなる配列でもよく、特に規定するものではない。さ
らに、前記エア吸引小孔の平面形状や、構造について
は、円形、楕円形、角形、連続線形、不連続線形等の平
面形状であってもよく、特に規定されないものである。
特に、第２シート３周囲面の吸着を行なう複数の第２吸
引小孔１５の各吸引小孔の平面形状は、図面に示すよう
に円形であるが、溝状としてもよい。

【００６１】

【発明の効果】本発明の重ねシート装着装置は、平台形
式、又は回転ドラム形式のいずれでも採用でき、第１シ
ートが吸着固定され、続いて、該第１シート上に、それ
より大きいサイズの第２シートが吸着固定された時に
は、段差面からのエア吸引動作によって、第１シートと
第２シートとの接触面が減圧されて、第１シートと第２
シートとは互いに強固に密着して吸着固定でき、また、
第１シート上に密着して吸着固定した第２シートの周囲
面は、弛みや歪みを生ずることなく平坦に吸着固定でき
る効果がある。また、第１シート上に密着して吸着固定
した第２シートは、面一に平坦に吸着固定できる効果が
あり、第１シートと第２シートとの接触面の不自然な皺
や、歪み、弛み等を発生させずに、均一な密着状態を実
現でき、重ねシート間における安定した境界層の付与が
可能となるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の重ねシート装着装置の全体概要側断面
図である。

【図２】本発明に係わる一実施例の平台形式による重ね
シート装着装置の全体平面図である。

【図３】本発明に係わる一実施例の平台形式による重ね
シート装着装置の全体側断面図である。

【図４】（ａ）は本発明に係わる他の実施例の回転ドラ
ム形式による重ねシート装着装置の全体正面図、（ｂ）
は本発明に係わる他の実施例の回転ドラム形式による重
ねシート装着装置の全体側面図である。

【図５】本発明に係わる他の実施例の回転ドラム形式に
よる重ねシート装着装置の全体正面断面図である。

【図６】本発明に係わる重ねシート装着装置のシート吸
着、取り外し動作を説明する動作フローチャートであ
る。

【図７】（ａ）は従来の重ねシート装着装置の一例を示
す全体正面断面図、（ｂ）は従来の重ねシート装着装置
の一例を示す全体側面図である。

【図８】（ａ）は従来の重ねシート装着装置の他の例を
示す全体正面断面図、（ｂ）は従来の重ねシート装着装
置の他の例を示す全体側面図である。

【符号の説明】

１…装置本体定盤 １ａ…支軸 ２…第１シート ３…
第２シート １０…第１シート装着凹部 １０ａ…第１シート装着面
１１…段差面 １２…第２シート装着面 １３…第１吸引小孔 １４…
第３吸引小孔 １５…第２吸引小孔 １６…第１吸引チャンバー １７
…第２吸引チャンバー １８…第１排気パイプ １９…第２排気パイプ ２４…シートチャック機構 ２５…バネ ３５…吸引溝 ３６…吸引小孔 ３７…吸引小孔 ３８
…押さえ部材 ３９…排気パイプ ５０…減圧ポンプ ５１…第１減圧バルブ ５２…第１
減圧開放バルブ ５３…第２減圧バルブ ５４…第２減圧開放バルブ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１シート２とその上側に該シート２より
   大きいサイズの第２シート３を互いに重ね合わせエア吸
   引により吸着固定する重ねシート装着装置において、
   （ａ）重ねシート装着装置本体定盤１に、第１シート２
   のサイズより僅かに大きいサイズの第１シート装着凹部
   １０と、該凹部１０内の底部を構成する第１シート装着
   面１０ａと、該装着面１０ａに孔設したエア吸引用の第
   １吸引小孔１３とを備え、（ｂ）前記凹部１０の外側周
   囲に、前記第２シート３の周囲面を装着する第２シート
   装着面１２と、該装着面１２に孔設したエア吸引用の第
   ２吸引小孔１５とを備え、（ｃ）前記凹部１０と装着面
   １２との間に、前記装着面１０ａより高く且つ前記装着
   面１２より低い段差面１１を備えたことを特徴とする重
   ねシート装着装置。
2. 【請求項２】前記段差面１１に孔設したエア吸引用の第
   ３吸引小孔１４を備えることを特徴とする請求項１記載
   の重ねシート装着装置。
3. 【請求項３】前記第１シート装着凹部１０の装着面１０
   ａと第２シート装着面１２との高低差が、第１シート２
   の厚さに等しいことを特徴とする請求項１又は請求項２
   記載の重ねシート装着装置。