JPH072281U

JPH072281U - 板状物の収納用具

Info

Publication number: JPH072281U
Application number: JP3148293U
Authority: JP
Inventors: 吉昭山本; 幹夫木田
Original assignee: Nippon Electric Glass Co Ltd
Current assignee: Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority date: 1993-06-14
Filing date: 1993-06-14
Publication date: 1995-01-13

Abstract

(57)【要約】【目的】収納・取り出し時の塵埃の発生を抑制して清
浄度を向上させると共に、異なるサイズの板状物にも共
用可能であり、しかも収納・取り出し時の作業性に優
れ、且つ、コストダウンも達成し得る板状物の収納用具
を提供する。【構成】第１支持部（２）及び第２支持部（３）から
なる断面Ｌ字型の支持部材（1a）（1b）を、板状物
（５）の上下に対称となるよう対をなして対向配置し、
双方の第１支持部（２）で板状物（５）の上下端縁を支
持すると共に、第２支持部（３）で板状物（５）の両側
縁を支持する。支持部材（1a）（1b）の内壁面に多数の
保持溝（６）を形成し、この保持溝（６）で多数の板状
物（５）を板厚方向に並べて保持する。これを包装資材
（９）で被包した後、その周囲に結束部材（10）を巻回
して上下の支持部材（1a）（1b）が相対移動しないよう
に四方から締め付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、各種電子機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられる清浄度の高いガラス基板、液晶用ガラス基板等の板状物の収納用具の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、高度の清浄度を有する液晶用ガラス基板等の板状物を、その片方もしくは両方の面の清浄度を維持したまま収納する方式として、図３若しくは図４に示すものが知られている。

【０００３】図３の方式は、相対する溝（15）（15）を内壁面に有する収納容器（16）と、この収納容器（16）に嵌合する蓋（17）とからなる一対の箱に板状物（18）を収納するものである。この方式では、収納容器（16）と蓋（17）とが嵌合するため、内部の板状物の清浄度は維持され得る。

【０００４】図４の方式は、板状物（18）と額縁状の層間材料（20）とを交互に積層し、最後にその積層物を紙または樹脂製の袋やフィルム等の包装資材（21）で包装するものである。この方式は、額縁状の層間材料（20）が板状物の面の外周部に接触してこの部分を汚染させることになるが、板状物（18）の面で清浄度が要求される範囲は、通常、面の外周部付近を含まないことが多いため、実用上は問題ないと言われている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来の図３の方式は、清浄度の維持に関しては理想的であるが、収納容器の溝間寸法（L₃）や高さ（L₄）が固定であるため、１種類のサイズの板状物しか収納できず、他のサイズの板状物には共用できないという欠点があった。また、板状物の収納・取り出し時には、板状物の端部と溝との間に摩擦が生じるため、双方の部材の摩耗による塵埃の発生が問題となっていた。

【０００６】一方、従来の図４の方式は、層間材料（20）の縦横の寸法（L₅）（L₆）が固定であるため、板状物のサイズによる共用は図れないが層間材料（20）自体が安価であるために図３の方式より経済的である。しかし、層間材料のずれや層間材料からの汚染物質の拡散により、板状物の外周部だけでなく、清浄度が要求される中央部まで汚染されてしまう点が大きな問題となっていた。また、板状物と層間材料を交互に載置しなければならず、図３に示す方式に比べて収納時の作業性が劣るという欠点がある。このため、収納作業の自動化は極めて困難であった。

【０００７】そこで、本考案は、収納・取り出し時の塵埃の発生を抑制して清浄度を向上させると共に、異なるサイズの板状物にも共用可能であり、しかも収納・取り出し時の作業性に優れ、且つ、原料使用量の削減によるコストダウンをも達成し得る板状物の収納用具の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的の達成のため、本考案は、板状物の上下の一辺を支持する第１支持部と、この第１支持部の一側に直角方向に延び、板状物の一方の側縁を支持する第２支持部とで断面Ｌ字型に形成され、両支持部の内壁面に板状物を板厚方向に所定の間隔で並列保持するための複数の保持溝を有し、板状物の上下に対称となるように対向配置される上下一対の支持部材と、両支持部材に保持された板状物全体を両支持部材と共に被包する包装資材と、両支持部材を上下方向で拘束して両支持部材の離反を防止する結束部材とを具備させることとした。

【０００９】また、両支持部材の第１支持部のうち、少なくとも一方の第１支持部の内壁面に、板状物の端面と当接する緩衝部材を設けた。

【００１０】

【作用】

板状物の上下及び両側端部を上下の支持部材の内壁面に設けた複数の保持溝に嵌め込むことによって、各板状物がその板厚方向に所定間隔で保持されると共に、その幅方向及び上下方向で位置決めされる。これを包装資材で被包することにより、板状物が外界と遮断され、板状物の汚染が防止される。両支持部材を、その離反を防止すべく結束部材によって上下方向で拘束することにより、梱包が安定化する。

【００１１】両支持部材の第１支持部のうち、少なくとも一方の第１支持部の内壁面に、板状物の端面と当接する緩衝部材を設けることにより、板状物に加わる衝撃が緩和され、その損傷を防止することができる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１及び図２に基づいて説明する。

【００１３】支持部材（1a）（1b）は、アクリル樹脂等の汎用樹脂を用いた射出成形法により、第１支持部（２）と、この第１支持部（２）の一側から垂直に延びる第２支持部（３）とからなる断面Ｌ字型に成形される。この支持部材（1a）（1b）は、板状物（５）の上下に対称となるよう（断面Ｌ字型のコーナー部が板状物（５）の対角線上に位置するよう）対をなして対向配置されており、双方の第１支持部（２）で板状物（５）の上下端縁が支持され、第２支持部（３）で板状物（５）の両側縁が支持されている。両支持部材（1a）（1b）の内壁面、即ち第１支持部（２）及び第２支持部（３）の内壁面には、板状物（５）を板厚方向に所定の間隔で並列保持すべく略Ｖ字型の保持溝（６）が複数列形成される。前記第１支持部（２）は、板状物（５）の幅方向の一辺と同等若しくはそれより若干長めに形成されている。

【００１４】第１支持部（２）の内壁面には、接着剤や接着両面テープ等を用いて緩衝部材（７）が装着される。この緩衝部材（７）としては、緩衝作用を有する低発塵性材料、例えばゴムシートが用いられる。図２に示すように、第１支持部（２）の内壁面（2a）のうち、緩衝部材（７）の装着予定箇所は、緩衝部材（７）の表面を第１支持部（２）の内壁面（2a）より下方に位置させるべく他所よりも薄肉に形成されている。これにより、板状物（５）の端部を保持溝（６）に係合させつつその端面を緩衝部材（７）に当接させることが可能となる。なお、この緩衝部材（７）は、上述の接着剤等の他、第１支持部（２）に突起もしくは穴を設け、これを緩衝部材（７）の底面に設けた穴もしくは突起に係合させて固定してもよい。また、緩衝部材（７）は、必要に応じて取り付ければよく、図示のように上下の支持部材（1a）（1b）の双方に設ける他、一方の支持部材のみに設けたり、或いは、特に問題がなければその全てを省略することも可能である。

【００１５】上下の支持部材（1a）（1b）に保持された板状物（５）は、包装資材（９）により包装される。この包装資材（９）としては、ポリエチレン袋が望ましいが、袋の他に適当な樹脂フィルムで包み込むようにしてもよい。また、樹脂に限らず、紙を用いることも可能である。

【００１６】（10）は、両支持部材（1a）（1b）を上下方向で拘束するための結束部材である。この結束部材（10）は、ひも、ゴムバンド、接着テープ等の通常の結束作業で使用される材料であり、包装資材（９）による包装後に、包装物の周囲に例えば２列に巻回される。この結束部材（10）によって両支持部材（1a）（1b）の離反が防止され、梱包が安定化するが、この結束部材（10）は両支持部材（1a）（ 1b）を上下方向で拘束できれば十分である。従って、図示のように包装物の周囲に巻回する他、上下の支持部材（1a）（1b）の間にかけ渡すだけでも同様の効果が得られる。なお、結束部材（10）による結束作業は、上述のように包装資材（９）による包装後に行なう他、包装前に行なってもよい。

【００１７】本考案の収納用具は以上の構成要素からなる。以下、板状物（５）の実際の収納方法を説明する。なお、以下の説明では、緩衝部材（７）を支持部材（1a）（ 1b）の双方に装着した場合を例示している。

【００１８】先ず、下側の支持部材（1a）の各保持溝（６）に、緩衝部材（７）と当接するまで板状物（５）を差し込む。この時、両端の保持溝（6a）（6b）には、清浄度の高い板状物（５）と同材料又は異種材料からなる保護用板状物を嵌め込み、包装資材（９）との接触による板状物（５）の汚染を防止するのが望ましい。

【００１９】このようにして下側の支持部材（1a）に所定数の板状物（５）を挿入し終わると、相対する板状物（５）の端部を保持溝（６）に嵌め込みながら上側の支持部材（1b）を斜め上から被せ、さらに板状物（５）の端面が緩衝部材（７）と当接するまでこれを下方に押し込む。

【００２０】次いで、全体を前記包装資材（９）で被包し、包装資材（９）の開口部や合わせ目等をテープ止め、熱シール止め、ひも並びにバンド等の通常の包装手段を用いて気密に閉じる。

【００２１】次に、包装物の周囲に結束部材（10）を巻回し、上下の支持部材（1a）（1b）が相対移動しないように四方から締め付ける。上述した通り、この結束作業は、包装資材（９）による包装前に行なっておいてもよい。

【００２２】これにより、板状物（５）が外気から遮断されるのでその清浄度を維持することが可能となる。具体的には、板状物（５）として、 300×400×1.1mm 300×350×1.1mm 300×300×1.1mm の３種類の液晶用ガラス基板をそれぞれ収納したところ、何れの板状物（５）でも極めて高い清浄度を維持していることが確認できた。

【００２３】本考案の収納具では、板状物（５）の端部を保持溝（６）内に嵌め込むだけで収納作業が行なえ、従来品（図３参照）のように、板状物（５）の端部を保持溝（６）内で滑らせる必要もない。従って、板状物（５）と保持溝（６）の摩擦がほとんど生じず、摩耗による発塵を大きく抑制することができる。また、嵌め込み式であることから、板状物（５）の収納・取り出しが極めて簡単に行なえ、その自動化も容易である。さらに、板状物（５）と保持溝（６）の接触面積も従来品（図４参照）と比べて僅かであり、層間材料（20）のずれ等も起こり得ないことから、保持溝（６）と接触していない板状物（５）の中央部の汚染を確実に防止することができる。

【００２４】また、上記収納用具では、上下の支持部材（1a）（1b）を接近・離隔させることにより板状物（５）の高さ寸法が異なる場合にも対応でき、しかも板状物（５）の幅寸法も第１支持部（２）より短い範囲内で自由に選択可能である。従って、板状物（５）の寸法自由度が増大し、収納用具の共用化を図ることが可能となる。さらに、上下の支持部材（1a）（1b）は、板状物（５）を保持するために必要な最低限の部材（第１支持部（２）及び第２支持部（３））のみで構成されている。このため、従来品（図３参照）に比べて射出成形時の所要樹脂量を大幅に削減でき、収納用具のコストダウンが達成される。

【００２５】なお、上記板状物（５）には、各種電子機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられる清浄度の高いガラス基板や液晶用ガラス基板等が含まれるが、本考案の適用範囲はこれらに限らず、他の一般的な板状材料の収納用具として用いることができる。また、上記実施例では、板状物（５）を高い清浄度を維持させて気密に包装する場合の収納用具として説明したが、本考案は、板状物（５）の製造工程における仮保管用の治具としても利用でき、この場合には一方の支持部材だけでもその目的を達成することができる。さらに、板状物（５）の製造工程では、板状物（５）の清浄化のために例えば、純水等による洗浄作業が行なわれるが、その場合の洗浄用バスケットや洗浄後の乾燥バスケットとしても用いることもできる。このように洗浄用として用いる場合には、支持部材（1a）（1b）の随所に水抜き用の穴を設けておくのが望ましい。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように本考案の収納用具は、収納・取出しに伴う発塵の問題を解消しており、収納された板状物の清浄度を高く維持できる。また、異なるサイズの板状物に共用可能であり、板状物の出し入れが簡単に行なえ、且つ、原料の使用量の削減によりコストダウンも達成されるという効果を奏する。

【００２７】また、少なくとも一方の第１支持部の内壁面に、板状物の端面と当接する緩衝部材を設けることによって、収納した板状物の破損を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案で提案した板状物の収納用具の斜視図で
ある。

【図２】図１中のＡ−Ａ線での縦断面図である。

【図３】従来の収納用具の斜視図である。

【図４】従来の収納用具の斜視図である。

【符号の説明】

1a・1b 支持部材２第１支持部３第２支持部５板状物６保持溝７緩衝部材９包装資材 10 結束部材

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】板状物の上下の一辺を支持する第１支持
部と、この第１支持部の一側に直角方向に延び、板状物
の一方の側縁を支持する第２支持部とで断面Ｌ字型に形
成され、両支持部の内壁面に板状物を板厚方向に所定の
間隔で並列保持するための複数の保持溝を有し、板状物
の上下に対称となるように対向配置される上下一対の支
持部材と、両支持部材に保持された板状物全体を両支持
部材と共に被包する包装資材と、両支持部材を上下方向
で拘束して両支持部材の離反を防止する結束部材とを具
備させたことを特徴とする板状物の収納用具。
【請求項２】前記両支持部材の第１支持部のうち、少
なくとも一方の第１支持部の内壁面に、板状物の端面と
当接する緩衝部材を設けたことを特徴とする請求項１記
載の板状物の収納用具。