JPH07223046A - 減圧造型用鋳枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 減圧造型鋳型の造型面の型保持を確実にし
て、注湯時の型崩れを防止する。 【構成】 上下面を開口すると共に周囲に通気路２を形
成した造型枠体１において、該通気路２を隔壁３によっ
て上部通気路４と下部通気路５とに仕切り、上部通気路
４間に複数の抜気パイプ６を架け渡し、上記造型枠体１
の下部内壁７には下部通気路５に貫通する多数の通気孔
８を穿設すると共にフィルタ９を張設し、上記上部通気
路４と下部通気路５を吸引装置１２，１５に連通接続さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、減圧造型法で使用する
鋳枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】減圧造型法で凹凸度の大きい製品を鋳造
する場合に使用する鋳枠として、従来例えば特公昭５１
−１８２１９号公報にて開示されているようなものがあ
る。該鋳枠は、上下面を開口すると共に周囲に通気路を
形成した造型枠体における該通気路の内壁に多数の通気
孔を穿設すると共に該内壁の内側に金網などのフィルタ
を張設し、更に、上記通気路間に多孔パイプの周囲に金
網などのフィルタをを巻着した抜気パイプを連通し、上
記通気路の両側に支持突起をそれぞれ突設し、該一方の
支持突起は筒状にして上記通気路に連通し、該筒状支持
突起に真空ポンプのような吸引装置を連結した構成にな
っており、造型枠体内に充填された耐熱性粒子状物
（砂）を均等な圧力で負圧固化するようにされている。

【０００３】このような鋳枠を使用して鋳造する場合
は、通気孔を備えた模型板の表面に合成樹脂フィルムか
らなる遮蔽部材を吸引密着し、次に上記模型板上に鋳枠
を載置固定し、該鋳枠内に耐熱性粒子状物（砂）を緊密
に充填すると共に、該鋳枠の上面を合成樹脂フィルムか
らなる蓋部材で覆い、ついで該鋳枠内を内壁及び抜気パ
イプを介して抜気し、耐熱性粒子状物（砂）を均等に負
圧固化して鋳型を造型する。ついで上記模型板を鋳枠か
ら取り外すと、上記遮蔽部材が鋳型側に保持されると共
に、該遮蔽部材側に造型面が形成される。しかして、こ
のようにして造型した鋳型を上下に対設してその造型面
にキャビティを形成し、該キャビティ内に溶融金属を注
湯して所望の製品を鋳造する。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】ところで、上記のよ
うな方法で製品を鋳造する際、キャビティ内に注湯され
た溶融金属の熱により、鋳型の造型面を形成する遮蔽部
材がほとんど全部溶けるため、上下鋳型の合わせ面にお
ける気密性が失われる。一方、注湯中の鋳型はその固化
状態を保持するため負圧にされているため、鋳型の合わ
せ面から外気が鋳型内へ流入し、鋳型の合わせ面に近い
内壁を経て通気路に入り、真空ポンプにより吸引され
る。このとき真空ポンプの吸引力はその大部分が内壁側
の吸引に費やされ、抜気パイプ側の吸引力が弱くなるた
め、抜気パイプ付近に働く負圧が低下する。その結果、
鋳型キャビティの背面部の硬度が低下し、特に、湯廻り
の遅い上鋳型キャビティの背面側で型崩れが生ずること
がある。本発明は上記のような事情に鑑みて成されたも
のであり、鋳型の造型面（特に上鋳型キャビティの背面
側）の型保持を確実にして、注湯時の型崩れを防止する
ことを目的としている。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明は上記の目的を
達成するため、鋳枠の内壁側からの吸引と抜気パイプ側
からの吸引とを別個独立の吸引ダクトを介して行うこと
を要旨としている。すなわち、本発明に係る減圧造型用
鋳枠は、上下面を開口すると共に周囲に通気路を形成し
た造型枠体において、上記通気路が隔壁によって上部通
気路と下部通気路とに仕切られており、該上部通気路間
には複数の抜気パイプが連通されており、上記造型枠体
における下部内壁には、上記下部通気路に連通する多数
の通気孔が穿設されていると共にフィルタが張設されて
おり、上記上部通気路と下部通気路がそれぞれ吸引装置
に連通接続されていることを特徴としている。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳
細に説明する。図１は本発明にかかる鋳枠の断面図であ
る。図において、１は上下面を開口すると共に周囲に通
気路２を形成した造型枠体であり、該通気路２は隔壁３
によって上部通気路４と下部通気路５に仕切られてい
る。上記造型枠体１における相対向する上部通気路４間
には複数の抜気パイプ６が所定の間隔を置いて掛け渡さ
れており、該抜気パイプ６と上部通気路４とは連通して
いる。該抜気パイプ６は、多孔パイプの周囲に金網など
のフィルタを巻装した公知のものである。上記造型枠体
１における下部内壁７には、下部通気路５に貫通する多
数の通気孔８が穿設されており、また該下部内壁７には
金網などのフィルタ９が張設されている。上記上部通気
路４は、吸引孔１０及び吸引ホース１１を介して真空ポ
ンプ、ファンなどの吸引装置１２に連通接続しており、
また、上記下部通気路５は吸引孔１３及び吸引ホース１
４を介して上記のものとは別個の吸引装置１５に連通接
続している。

【０００７】

【作用】本発明の鋳枠を使用して、常法により鋳型を造
型し、該鋳型を上下に対設してその造型面にキャビティ
を形成し、該キャビティ内に溶融金属を注湯すると、上
記従来の場合と同様、キャビティ内に注湯された溶融金
属の熱により、鋳型の造型面を形成する遮蔽部材がほと
んど全部溶け、上下鋳型の合わせ面における気密性が失
われる。一方、注湯中の鋳型はその固化状態を保持する
ため負圧にされているため、鋳型の合わせ面から外気が
鋳型内へ流入し、鋳型の合わせ面に近い下部内壁７の通
気孔８及び下部通気路５を経て吸引装置１５により吸引
される。このとき、該吸引装置１５は下部内壁７側の吸
引のためフル稼働するが、抜気パイプ６側は別の吸引装
置１２に接続されているため、抜気パイプ１２付近に働
く負圧が低下することはない。その結果、鋳型の背面部
の硬度が維持され、湯廻りの遅い上鋳型キャビティの背
面側でも型崩れを起こすことがない。

【０００８】

【発明の効果】上記のような本発明によれば、注湯時に
上下鋳型の合わせ面から外気が鋳型内に侵入しても、鋳
型の背面部の硬度を維持できるから、凹凸度の大きい製
品を鋳造する場合でも、上鋳型のキャビティ背面側の型
崩れを防止することができる。

【０００８】なお上記実施例では、上部通気路と下部通
気路をそれぞれ別個の吸引装置に連通接続させている
が、該両通気路を、吸引能力が十分に大きい一つの吸引
装置に連通接続させてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる鋳枠の断面図である。

【符号の説明】

１ 造型枠体 ２ 通気路 ３ 隔壁 ４ 上部通気路 ５ 下部通気路 ６ 抜気パイプ ７ 下部内壁 ８ 通気孔 ９ フィルタ １２，１５ 吸引装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下面を開口すると共に周囲に通気路２
   を形成した造型枠体１から成り、 上記通気路２が隔壁３によって上部通気路４と下部通気
   路５とに仕切られており、 該上部通気路間４には複数の抜気パイプ６が連通されて
   おり、 上記造型枠体１における下部内壁７には、上記下部通気
   路５に貫通する多数の通気孔８が穿設されていると共に
   フィルタ９が張設されており、 上記上部通気路４と下部通気路５がそれぞれ吸引装置１
   ２，１５に連通接続されていることを特徴とする減圧造
   型用鋳枠。