JPH0722120Y2 - 車両用シートのヘッドレスト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用シートのヘツドレスト装置に関し、とく
にヘツドレストの上下の位置調整を電動で行うことので
きるヘツドレスト装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、この種のヘツドレスト装置では、上下位置調整機
構の駆動源として小型のDCモータを使用しているが、小
型DCモータの出力特性は概して高速回転でトルクが小さ
いため、ヘツドレストを上下動させるに必要なトルクを
得るには高い減速比を有する減速機構を必要とし、上下
位置調整機構の複雑化、大型化が避けらない。そのため
上下位置調整機構をヘツドレストに内蔵させることは困
難であり、従って従来のヘツドレスト装置は上下位置調
整機構をシートバツクに内蔵する構成を採用している。

（考案が解決しようとする課題） 上述したように、従来のヘツドレスト装置はシートバツ
クに上下位置調整機構を内蔵しているため、シートバツ
クの内部空間が制限され、その結果、シートバツク内に
張設するシートスプリングの撓み量を十分に取ることが
できず、シートの乗心地を害している。

本考案はかかる問題点に鑑み、乗心地を害することな
く、電動によるヘツドレストの上下位置調整を可能にす
る車両用シートのヘツドレスト装置を提供することを目
的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案に係るヘツドレスト装置は上記目的を達成すべ
く、車両用シートのシートバツクに組付けられてその頂
部から上方へ突出するステーにパッドで被覆したハウジ
ングを上下動可能に組付け、このハウジング内に超音波
モータを固設し、送りねじ棒と同ねじ棒に進退可能に螺
合する送りナツトのいずれか一方を前記ステーに回転不
能に固定するとともに他方を前記超音波モータの回転軸
に一体的に連結したことを特徴とする。

（考案の作用、効果） 上記構成によれば、送りねじ棒と送りナツトのいずれか
一方をステーに回転不能に固定し他方を超音波モータの
回転軸に一体的に連結したので、超音波モータを駆動す
ると相対的に送りナツトが送りねじ棒に案内されて螺進
し超音波モータが上下動する。それに伴い、超音波モー
タを固設したハウジングがステーに沿って上下動するの
でヘツドレストの上下位置が調整される。

しかして本考案によれば、小型であっても低速回転で高
トルクを出力することのできる超音波モータを駆動源と
して用いたので、超音波モータとステー間に送りねじ棒
と送りナツトからなる簡単な伝導機構を介設するだけで
ハウジングを上下動させることが可能となり、複雑で大
型な減速機構を要しない。従って、ヘツドレストを上下
動させるに必要な主要構成部材をすべてハウジングに内
蔵することが可能となり、シートバツクの内部空間が制
限されないのでシートスプリングの撓み量を十分に取っ
てシートの乗心地を向上させることができる。

また、ヘツドレストを上下動させるに必要な機構がすべ
てヘツドレストに内蔵されているので手動式ヘツドレス
トと同一の取付方法にてシートバツクへ取付けることが
できる。そのため既設の手動式ヘツドレストと取り替え
ることにより簡単に電動式ヘツドレストを実現できる。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を図面に基づき説明するに、第
１図ないし第３図には本考案の第１実施例に係る車両用
シートのヘツドレスト装置が示されている。当該装置10
は門形のステー11と、このステー11の上端部を覆うよう
にして組付けられたハウジング12を有し、ステー11の左
右一対の支柱11a,11bはハウジング12の底面に設けた通
孔12a,12bに嵌着したブツシユ13,14に摺動可能に嵌挿さ
れ、両支柱11a,11bの下端部がハウジング12の底面から
外部へ突出している。

ハウジング12に収納されたステー11の上端部には左右一
対のスライドピース15,16が組付けられ、同スライドピ
ース15,16はそれぞれハウジング12の背面に形成した上
下方向に延びる左右一対の長孔12c,12dの長辺縁部に摺
動可能に係着されている。ハウジング12はこれらブツシ
ユ13,14及びスライドピース15,16を介してステー11に上
下方向へ移動可能に組付けられている。

ハウジング12の底面内側には超音波モータ17が固設さ
れ、同モータ17はステー11の支柱11aに挿通した電源供
給用リード線17aを介して車両のバツテリに接続されて
いる。この超音波モータ17の回転軸17bには、送りねじ
棒18の一端が直結され、送りねじ棒18の他端は支持プレ
ート19によりハウジング12の頂面内側に組付けたブツシ
ユ20にて回転可能に支持され、かつその軸心がステー11
の両支柱11a,11bと平行になるように配設されている。

一方、ステー11の上端中央にはコ字形断面を有するブラ
ケツト21が溶着され、同ブラケツト21に送りねじ棒18と
螺合する送りナツト22が挟装され、かつ送りナツト22と
ブラケツト21間にはクツシヨンゴム23が介装されてい
る。この送りナツト22はブラケツト21によりステー11に
回転不能に固着されている。従って、送りねじ棒18は回
転されると回転不能の送りナツト22に案内されて螺進
し、送りねじ棒18と一体の超音波モータ17が上下動し、
その結果ハウジング12がステー11に沿って上下動する。
また、送りねじ棒18の両端にはブラケツト21に当接して
送りねじ棒18の進退量を規制する一対のストツパ24,25
が固着されている。

ハウジング12は超音波モータ17、送りねじ棒18、送りナ
ツト22等の内部機構を、保護するためカバー26にて被覆
され、さらにその上に表皮にて被覆されたパツド27を被
着し、同パツド27をブツシユ13,14に嵌着したリテーナ2
8,29にてハウジング12の底面に固着している。

第１実施例に係るヘツドレスト装置10は以上の構成から
なり、当該装置10は第３図に示すように、車両用シート
ＳのシートバツクSBの頂部に設けた取付孔SB1,SB2にス
テー11の支柱11a,11bを挿着することにより取付けられ
る。

ヘツドレスト装置10の上下方向の位置を調整するには、
超音波モータ17により送りねじ棒18を正転あるいは逆転
駆動する。送りナツト22はブラケツト21にてステー11の
上端に回転不能に固着されているため、送りねじ棒18が
送りナツト22に案内されて上方または下方へ進退し、そ
れに伴い送りねじ棒18に直結した超音波モータ17及び超
音波モータ17が固設されたハウジング12もステー11の両
支柱11a,11bに沿って上下動し、ヘツドレスト装置10の
上下位置が調整される。その際、送りねじ棒18の下方へ
の螺退は、第１図に示すようにストツパ24がブラケツト
21に当接することにより規制され、また上方への螺進は
ストツパ25とブラケツト21の当接により規制される。ま
たブラケツト21とストツパ24,25の当接時、送りナツト2
2がブラケツト21に噛み込むのをクツシヨンゴム23にて
防止される。

しかして、本実施例によれば、駆動源として低速回転で
高トルクを出力する超音波モータ17を使用したので、超
音波モータ17の回転軸17bと送りねじ棒18を直結しても
ヘツドレスト装置10を上下動させるに必要なトルクを得
ることができる。そのため、減速機構を省略して超音波
モータ17、送りねじ棒18、送りナツト22等にて上下位置
調整機構を構成できるので上下位置調整機構が簡素化、
小型化されハウジング12に内蔵することが可能となり、
かつこれらの部材をハウジング12と一体的に上下動させ
る構成を採ることができて、ヘツドレスト内に組込むこ
とができる。従って、シートバツクSBの内部空間が上下
位置調整機構により制限されないので、シートスプリン
グの撓み量を十分に取ってシートＳの乗心地を向上させ
ることができる。

また、取付穴SB1,SB2にステー11の両支柱11a,11bを挿着
すればシートバツクSBへ取付けることができるので、既
設の手動式ヘツドレストと取り替えることにより簡単に
電動式ヘツドレストを実現できる。

次に、本考案の第２実施例に係るヘツドレスト装置を第
４図及び第５図に示す。当該装置30はシートバツクSBに
組付けられてその頂部から上方へ突出した左右一対のス
テー31,31と、パツド32にて被覆され、かつ両ステー31
に上下動可能に取付けられたハウジング33を備えてい
る。

各ステー31の下端はシートバツクSBの内部に固設したク
ランプ34にて回転不能に挟持され、シートバツクSBの頂
部から突出する上部には送りねじ棒35が一体的に連設さ
れている。

ハウジング33はベースプレート33aと、ベースプレート3
3aの左右両端に形成した折曲げ部33b,33cにヒンジピン3
3d,33eにより前後方向へ回動可能に組付けられた左右一
対のサイドプレート33f,33gと、このサイドプレート33
f,33gに固定されたカバープレート33hからなり、両サイ
ドプレート33f,33g間には補強用のバー33iが取付けられ
ている。

ベースプレート33aの下面には中空筒構造を有する左右
一対の補助ステー33jが垂設されている。一方、シート
バツクSBには左右一対の中空筒状ホルダー36が埋設さ
れ、シートバツクSBのフレームワイヤ37に固定されてい
る。両ホルダー36にはそれぞれ中空筒状のガイド36aが
嵌着され、補助ステー33jがそれぞれガイド36aに摺動可
能に挿入されるとともに、補助ステー33jにステー31が
挿通されている。また、ベースプレート33の上面には左
右一対の上下動用超音波モータ38が固設され、補助ステ
ー33jを通ってホルダー36の下端開口から導出されたリ
ード線39を介して電源バツテリに接続されている。

この超音波モータ38は圧電素子により超音波振動が付与
されるステータ38aと、このステータ38aに載設され超音
波振動により回転するロータ38bを備え、ロータ38bには
回転軸38cが一体に設けられている。この回転軸38cは中
空軸構造を有し、内周面に雌ねじを形成して送りナツト
として構成されている。そして、ステー31に一体に連設
した送りねじ棒35が超音波モータ38を貫通してハウジン
グ33内部に突出するとともに送りナツト38cと進退可能
に螺合し、送りねじ棒35の上端には超音波モータ38のハ
ウジング38dに当接してその上限位置を規制するストツ
パ40が固着されている。また補助ステー33jの下端には
クランプ34に当接して超音波モータ38の下限位置を規制
するストツパ41が取付けられている。

次に、ベースプレート33aの右端に形成した折曲げ部33c
には前後動用超音波モータ42が固設され、補助ステー33
jを通ってホルダー36の下端開口から導出されたリード
線43を介して電源バツテリに接続されている。この超音
波モータ42の回転軸にはピニオンギヤ43が固着されてい
る。一方、ピニオンギヤ43と噛合するセクタギア44がヒ
ンジピン33eに組付けられている。このセクタギア44は
ヒンジピン33eを支点にしてサイドプレート33gと一体に
回動するようにピン44aにてサイドプレート33gに連結さ
れている。

第２実施例は以上の構成からなり、上下動用超音波モー
タ38を駆動して送りナツト38cを回転させると、ステー3
1がシートバツクSBに対して回転不能に固定されている
ため、これと一体的の送りねじ棒35に対して超音波モー
タ38が上下動し、超音波モータ38を固設したハウジング
33が上下動してヘツドレスト装置30の上下位置が調整さ
れる。

また、前後動用超音波モータ42を駆動してピニオンギヤ
43を回転させると、セクタギヤ44及びこれと一体のサイ
ドプレート33g並びにサイドプレート33gに補強バー33i
を介して連結されたサイドプレート33fがそれぞれヒン
ジピン33e,33dを支点に前後方向へ回動する。これによ
りヘツドレスト装置30の前後位置が調整される。

第２実施例によれば第１実施例と同様にヘツドレスト装
置30を上下させるに必要な機構をハウジング33に内蔵で
きるほか、前後動用の超音波モータ42をハウジング33に
内設したので前後調整も電動にて可能となる。

次に、本考案の第３実施例に係るヘツドレスト装置を第
６図に示す。上述した第２実施例に係るヘツドレスト装
置30においてはステー31をクランプ34にてシートバツク
SBに固定したが、第３実施例に係るヘツドレスト装置30
Aでは、シートバツクSBに埋設固定したホルダー36の上
端面に形成した突起36bによりステー31をシートバツクS
Bに対して回転不能に固定している。

また、第２実施例ではベースプレート33aの下面に補助
ステー33jを垂設したが、第３実施例では補助ステー33j
を省略して直接ステー31をホルダー36に嵌着したガイド
36aに挿通している。

さらに、超音波モータ38のロータ38bに一体的に形成し
た送りナツト38cの上下両端を超音波モータ38のハウジ
ング38dから突出させるとともに、送りねじ棒35の上下
両端にストツパ40,41を固着し、送りナツト38cの上下両
端がストツパ40,41に当接することにより超音波モータ3
8の上限位置と下限位置を規制している。

なお、第３実施例の他の構成は第２実施例と同じである
ので同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略
する。

第３実施例によれば、第２実施例と同様にヘツドレスト
装置30を上下させるに必要な機構をハウジング33に内蔵
できるとともに前後動用の超音波モータ42をハウジング
33に内設したので前後調整も電動にて可能となる。また
クランプ34に代えて突起36bを設けたのでステー31をシ
ートバツクSBに対して回転不能に固定する取付け構造が
極めて簡単になる。さらにストツパ40が直接超音波モー
タ38のハウジング38dに当接しないので耐久寿命が向上
する。

次に本考案の第４実施例を第７図に示す。上記第２実施
例では、シートバツクSBの頂部に２本のステー31を立設
するとともに各ステー31に対応して２個の上下動用超音
波モータ38を設けたが、第４実施例に係るヘツドレスト
装置30Bではステー31を１本にするとともに単一の上下
動用超音波モータ38をベースプレート33aの中央部に設
け、かつベースプレート33aの下面に門形の補助ステー4
5を固着している。一方、シートバツクSBには左右一対
の補助ホルダー46を埋設するとともにこの補助ホルダー
46に筒状カイド部材46aを嵌着し、同ガイド部材46aに補
助ステー45の両脚部45aを摺動可能に嵌入している。

なお、第４実施例の他の構成は第２実施例と同じである
ので同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略
する。

第４実施例によれば、単一の超音波モータ38にてヘツド
レスト装置30Bを上下動できるので構造が極めて簡単に
なり、かつコストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係るヘツドレスト装置の
縦断正面図、第２図は第１図II−II線切断断面図、第３
図は同ヘツドレスト装置を備えた車両用シートの斜視
図、第４図は本考案の第２実施例に係るヘツドレスト装
置の縦断正面図、第５図は第４図Ｖ−Ｖ線切断断面図、
第６図は本考案の第３実施例に係るヘツドレスト装置の
縦断断面図、第７図は本考案の第４実施例に係るヘツド
レスト装置の縦断断面図である。 符号の説明 10,30,30A,30B……ヘツドレスト装置、11,31……ステ
ー、12,33……ハウジング、17,38,42……超音波モー
タ、17b……回転軸、18……送りねじ軸、22,……送りナ
ツト、27,32……パツド、38c……（送りナツトを兼ね
る）回転軸、Ｓ……車両用シート、SB……シートバツ
ク。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−13056（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−129951（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−26456（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両用シートのシートバツクに組付けられ
   てその頂部から上方へ突出するステーにパッドで被覆し
   たハウジングを上下動可能に組付け、このハウジング内
   に超音波モータを固設し、送りねじ棒と同ねじ棒に進退
   可能に螺合する送りナツトのいずれか一方を前記ステー
   に回転不能に固定するとともに他方を前記超音波モータ
   の回転軸に一体的に連結にしたことを特徴とする車両用
   シートのヘツドレスト装置。