JPH07219162A - ハロゲン化銀写真感光材料と放射線増感スクリーンとの組体 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料と放射線増感スクリーンとの組体

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JPH07219162A
JPH07219162A JP1167394A JP1167394A JPH07219162A JP H07219162 A JPH07219162 A JP H07219162A JP 1167394 A JP1167394 A JP 1167394A JP 1167394 A JP1167394 A JP 1167394A JP H07219162 A JPH07219162 A JP H07219162A
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JP
Japan
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silver halide
light
sensitive material
halide photographic
intensifying screen
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JP1167394A
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Katsutoshi Yamane
勝敏 山根
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】優れた新規なX線撮影系を構成するハロゲン化
銀感材と蛍光増感スクリーンの組体を提供する。 【構成】ハロゲン化銀写真感光材料と二枚の放射線増感
スクリーンとからなる放射線画像形成性の組体であっ
て、 (1) 増感スクリーン:増感スクリーンの内少くとも一方
は、80KVp のX線に対して24%以上の吸収量をも
ち、かつ放射線増感スクリーンの保護層が、厚みが5μ
m以下の透明な合成樹脂からなり、蛍光体層の厚みが1
00μm〜200μmであり、蛍光体層に占める蛍光体
の割合が体積で60%以上である。 (2) 感材: (イ) 感度:上記(1)のスクリーンの発光ピークと同
じ光で露光した時に最低濃度に0.5を加えた値になる
のに必要な露光量が0.010ルクス秒から0.035
ルクス秒となる感度 (ロ)クロスオーバー:15%以下 (ハ)階調:D=0.3〜1.5のガンマが2.1〜
2.6、D=1.5〜2.5のガンマが2.0〜3.2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なハロゲン化銀写真
感光材料と放射線増感スクリーンとの組体に関し、ま
た、新規なX線画像形成方法に関する。本発明は、特に
胃部X線写真の分野において、優れた画像を提供する、
ハロゲン化銀写真材料とその画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用放射線写真において、患者の組織
の画像は、透明支持体に塗布形成された少なくとも一層
の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真感光材料(ハロ
ゲン化銀写真感光材料)を使用し、そのハロゲン化銀写
真感光材料にX線の透過パターンを記録することにより
作られる。X線の透過パターンはハロゲン化銀写真感光
材料を単独に用いて記録することができる。しかしなが
ら、人体が大量のX線の露光にさらされることは望まし
くないため、通常は、ハロゲン化銀写真感光材料に放射
線増感スクリーンを組み合せてX線撮影を行なってい
る。放射線増感スクリーンは、支持体の表面に蛍光体層
を備えてなるもので、その蛍光体層がX線を吸収して、
感光材料にとって感光度の高い可視光に変換するため、
その使用はX線撮影系の感度を顕著に向上させることが
できる。
【0003】X線撮影系の感度を更に向上させる方法と
して、両面に写真乳剤層を有する感光材料、すなわち支
持体の前側および後側にそれぞれハロゲン化銀写真感光
層を備えてなるハロゲン化銀写真感光材料を用い、その
両側を放射線増感スクリーン(単に増感スクリーンとも
よぶことがある)ではさんだ状態でX線撮影する方法が
開発されており、現在では、通常のX線撮影は、このよ
うな撮影方法が利用されている。この方法は、一枚の増
感スクリーンの使用では充分なX線吸収量が達成できな
いことから開発された方法である。すなわち、X線吸収
量を増すために一枚の増感スクリーンの蛍光体量を増量
しても、増量のため厚くなった蛍光体層内で変換された
可視光が、蛍光体層内部で散乱、反射するため、増感ス
クリーンから放出されて、増感スクリーンに接して配置
されている感光材料に入射する可視光が大きくぼけてし
まう。また、蛍光体層の深部で発生する可視光は蛍光体
層から出にくいため、むやみに蛍光体層を増加させて
も、増感スクリーンから放出される有効な可視光は増加
しない。従って、適度の厚さの蛍光体層を有する二枚の
増感スクリーンを使用したX線撮影方法は、全体として
のX線吸収量を増大させ、かつ増感スクリーンから有効
に変換された可視光を取り出すことができるとの利点を
有する。画質と感度のバランスにおいて優れたX線撮影
系を見い出すための研究は、これまでにも絶え間なく行
なわれてきている。たとえば、従来では、タングステン
酸カルシウム蛍光体の蛍光体層を有する青色発光の増感
スクリーンと、分光増感されていないハロゲン化銀写真
感光材料との組合せ(例、ハイスクリーン・スタンダー
ドとRX(いずれも富士写真フイルム株式会社商品名)
との組合せ)が一般的に利用されていたが、最近では、
テルビウム賦活希土類元素オキシスルフィド蛍光体の蛍
光体層を有する緑色発光の増感スクリーンと、オルソ分
光増感されたハロゲン化銀写真感光材料との組合せ
(例、グリネックス4とRXO(いずれも富士写真フイ
ルム株式会社商品名)との組合せ)が用いられるように
なり、感度と画質の双方において向上した結果が得られ
ている。
【0004】なお、両側に写真乳剤層を備えたハロゲン
化銀写真感光材料においては、クロスオーバー光による
画質の劣化が発生しやすいとの問題がある。このクロス
オーバー光とは、感光材料の両側に配置されたそれぞれ
の増感スクリーンから放出され、感光材料の支持体(通
常170〜180μm程度の厚いものが用いられる)を
透過して反対側の感光層に届く可視光で、画質(特に鮮
鋭度)の低下をもたらす光である。
【0005】上記のクロスオーバー光を減少させるため
に、これまでに各種の技術が開発されてきた。たとえ
ば、米国特許第4425425号と第4425426号
の明細書に示されている分光増感された高アスペクト比
平板状粒子乳剤を感光性ハロゲン化銀写真乳剤として用
いる発明があり、この発明によってクロスオーバーが1
5〜22%まで減少するとされている。また、米国特許
第4803150号明細書には、現像処理により脱色可
能な微結晶性染料層をハロゲン化銀写真感光材料の支持
体と感光層との間に設ける発明が開示されており、この
発明によりクロスオーバーが10%以下にまで減少する
とされている。
【0006】写真の調子(特性曲線の形)は、医療画像
診断を行う上で非常に重要であるとされている。近年、
診断部位別に、写真感光材料の使い分けがされつつあ
り、各写真メーカーも、その要求に応じ、特性曲線の異
なる感光材料を提供している。大別すると、血管造影撮
影用硬調感材、一般用標準調子感材、腹部胃部撮影用ワ
イドラチィチュード感材、胸部撮影用超ワイドラチィチ
ュード感材である。また、特開昭59−214027、
同60−41035、同60−159741、同61−
116346、同62−42146、同62−4214
7に種々の特性曲線を持つ感光材料が開示されている。
【0007】一方、両側に写真乳剤層を備えたハロゲン
化銀写真感光材料と放射線増感スクリーンとの組合せを
特定の条件に設定して画質と感度とのバランスにおいて
優れたX線撮影系を見い出そうとの試みもなされてい
る。たとえば、特開平2−266344号公報、同2−
297544号公報、および米国特許4803150号
明細書には、X線照射側の増感スクリーン(前面増感ス
クリーン)と感光層(前面感光層)との組合せにより得
られる光特性(感度)を、反対側の増感スクリーン(後
面増感スクリーン)と感光層(後面感光層)との組合せ
により得られる光特性(感度)とを互いに相違するよう
に設定し、また前者の組合せと後者の組合せとが互いに
相違するコントラストを示すように設定したX線撮影系
が開示されている。一方、フォトグラフィック・サイエ
ンス・アンド・エンジニアリング、第26巻、第1号
(1982)の40頁には、スリーエム社製放射線増感
スクリーンとハロゲン化銀写真感光材料との組合せにお
いて、Trimax12(スリーエム社の市販増感スクリーン
の商品名)とXUD(スリーエム社の市販ハロゲン化銀
写真感光材料の商品名)との組合せが、Trimax4(スリ
ーエム社の市販増感スクリーンの商品名)とXD(スリ
ーエム社の市販ハロゲン化銀写真感光材料の商品名)と
の組合せに対して、ほぼ同等の感度、鮮鋭度(MTF)
を示すが、高いNEQ(アウトプットのシグナルノイズ
比)を与えるとの実験結果を示している。そして、この
結果は、XUDがXDに比べて高い鮮鋭度を示し、一方
ではTrimax12がTrimax4に比べて高いX線吸収量を示
すためと教示している。
【0008】勿論、X線画像の画質のみに注目すれば、
高い画質のX線画像を得ることは、感度の低いハロゲン
化銀写真感光材料に同じく感度の低い放射線増感スクリ
ーンを組合せて用いることにより可能であった。しか
し、このような低感度同士の組合せを利用する場合に
は、必然的に人体へのX線の露光量(被曝量)が増加す
るため、そのような組合せは実用上好ましくなく、特に
診断検診のように、被検者の大部分が健康な人である場
合には、被曝量の増加は極力回避する必要があるため、
実際に利用することができない。
【0009】上記のように、これまでにも様々な方式に
よる画質と感度のバランスにおいて優れたX線撮影系を
見い出すための研究が行なわれてきている。しかしなが
ら、胃、腹部、腰椎、手足、血管のX線画像診断の目的
において、これまで開発されてきたX線画像形成方法は
依然として、充分な高画質と高感度を備えたX線撮影シ
ステムということはできない。すなわち骨梁や、造影剤
付着部の胃壁微細構造や、血管部のようにX線透過量の
少い部分を鮮明に描出しかつ皮膚の境界(スキンライ
ン)のような軟部組織でX線透過量の比較的多い部分を
も描出する必要があり、従来のシステムにおいては満足
できるものではなかった。特に、骨梁や造影剤付着部の
ひだ、血管部のようなX線透過量の少い部分を鮮明に描
出するためには低濃度部の階調が硬いことが有利である
が、従来のシステムにおいてはこの時同時に粒状が悪化
するため診断しにくく、問題であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、画質と感度
のバランスにおいて、優れた新規なX線撮影系を構成す
る、ハロゲン化銀写真材料と増感スクリーンとの組体を
提供することを主な目的とする。本発明は特に胃、腹
部、腰椎、手足、血管を撮影するための優れた新規なX
線撮影系を構成するハロゲン化銀写真材料を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
結果、ハロゲン化銀写真感光材料と該感光材料の前側お
よび後側にそれぞれ配置される二枚の放射線増感スクリ
ーンとからなる放射線画像形成性の組体であって、(1)
放射線増感スクリーンの内少くとも一方は、X線エネル
ギーが80KVp のX線に対して24%以上の吸収量をも
ち、かつコントラスト伝達関数(CTF)が空間周波数
1本/mmで0.79以上、そして空間周波数3本/mmで
0.36以上を示し、かつ放射線増感スクリーンの保護
層が、厚みが5μm以下の透明な合成樹脂からなり、蛍
光体層の厚みが100μm〜200μmであり、蛍光体
層に占める蛍光体の割合が体積で60%以上ある放射線
増感スクリーンであり、(2) ハロゲン化銀写真感光材料
は、支持体の前側および後側にそれぞれハロゲン化銀写
真感光層が備えられた構成を有し、少なくともその内の
一方の感光層は、上記(1) で規定した放射線増感スクリ
ーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値
幅が20±5nmの単色光で露光し、下記現像液〔I〕
を用い、現像液温度35℃、現像時間25秒で現像処理
し、露光面と逆側の感光層を剥離したのち測定して、露
光面の感光層にて得られる濃度が、最低濃度に0.5を加
えた値になるのに必要な露光量が0.010ルクス秒か
ら0.035ルクス秒となる感度を有し、(3) ハロゲン
化銀写真感光材料の前側に配置した放射線増感スクリー
ンより発光する光に対して、該ハロゲン化銀写真感光材
料の後側の感光層に放射するクロスオーバーが15%以
下であり、(4) 実質的に同等な2枚の増感スクリーンで
サンドウィッチして階段露光し、下記現像液〔I〕を用
いて、現像液温度35℃、現像時間25秒で現像して得
られる画像が、拡散濃度(Y軸)と常用対数露光量(X
軸)の単位長の等しい直交座標上に示される特性曲線に
おいて、光学濃度(拡散濃度)0.3から1.5の平均
階調が2.1以上2.6以下であり、かつ拡散濃度1.
5から2.5の平均階調が2.0以上3.2以下である
特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料である、X線用ハロゲン化銀写真材料と放射線増
感スクリーンとの組体によって課題が解決された。 現像液〔I〕 水酸化カリウム 21g 亜硫酸カリウム 63g ホウ酸 10g ハイドロキノン 25g トリエチレングリコール 20g 5−ニトロインダゾール 0.2g 氷酢酸 10g 1−フェニル−3−ピラゾリドン 1.2g 5−メチルベンゾトリアゾール 0.05g グルタルアルデヒド 5g 臭化カリウム 4g 水を加えて1リットルとしたのち、pHを10.20に
調節する。本発明の特性曲線を有するハロゲン化銀写真
材料において、特定の範囲の感度を有するハロゲン化銀
写真材料を高感度でかつCTF(コントラスト伝達関
数)が、空間周波数1本/mmで0.79以上、及び空間
周波数3本/mmで0.36以上と、比較的良好な増感ス
クリーンと組合せて、画像形成すると、良好な画質と感
度が得られることがわかった。組体の感度を一定にした
とき、写真材料と、増感スクリーンの感度の配分は任意
にとれるが、特定の感度の配分をとることにより、より
向上した画質と感度のバランスが得られることを発見し
た。仮に、組体の感度を一定として、X線吸収量が非常
に多く、高感度の増感スクリーンと、低感度の感光材料
とを組合せて用いた場合、得られる画像の粒状度は極め
て良好になるが、鮮鋭度が顕著に低下する。この場合に
おいて、感光材料として低感度で鮮鋭度の高い感光材料
を用いたとしても、得られる画像の鮮鋭度は充分となら
ず、診断上好ましいX線画像とならない。逆に、X線吸
収量の少ない低感度の増感スクリーンと、標準感度もし
くは高感度の感光材料を組合せて用いた場合には、高い
鮮鋭度のX線画像が得られるが、粒状度が悪くなり、同
じく診断上好ましいX線画像とならない。最もよい組合
せは、X線吸収量が80KVp のX線に対して25%以上
あり、かつ、CTFが0.79(1本/mm)以上及び
0.36(3本/mm)以上である比較的高感度な増感ス
クリーンと、その増感スクリーンの高感度の特性をキャ
ンセルする分だけ感光材料の感度が下がった感光材料と
を組合せることである。
【0012】本発明者の研究によると、ハロゲン化銀写
真感光材料と放射線増感スクリーンとの組体において、
増感スクリーンと感光材料の感度の最適な配分は、組体
の感度レベル、被検体のサイズ等により変化することが
判明した。しかしながら、更に研究を行なった結果、感
光材料として適度な感度を示すものを用い、増感スクリ
ーンとしては、許容される鮮鋭度レベルを維持できる程
度に蛍光体量を多くしてX線吸収量を増加させ、かつ高
いコントラスト伝達関数(CTF)を示すように調製し
たものを用いた場合に、充分な感度で、高画質のX線画
像が得られることが判明した。
【0013】なお、好ましい鮮鋭度のレベルは被検体の
サイズに依存する。胸部における臨床的評価において
は、変調伝達関数(CTF)の物理量で表現すると、空
間周波数0.5本/mm〜3本/mmに亙るコントラスト伝
達関数が重要であり、その値は1本/mmで0.65以
上、2本/mmで0.22以上である。また、組体の感度
にも制限がある。高感度になる組体を選択すると最も好
ましいバランスを持った組合せにしても胃、腹部、腰
椎、手足、血管を診断する上の高画質が得られないから
である。逆に低感度の組体はX線の被曝の問題で好まし
くない。
【0014】本発明のハロゲン化銀写真材料の特定の感
度範囲とは、放射線増感スクリーンの主発光ピーク波長
と同一の波長を有し、かつ半値幅が20±5nmの単色
光で露光し、前述の現像液[I]を用い、現像液温度3
5℃、現像時間25秒で現像処理し、露光面と逆側の感
光層を剥離したのち測定して、該感光層にて得られる濃
度が、最低濃度に0.5を加えた値になるのに必要な露
光量が0.010ルクス秒から0.035ルクス秒(好
ましくは、0.012〜0.030ルクス)となる感度
を有するものである。この範囲の感度は、市販されてい
るX−レイ用フィルム、例えば富士写真フイルム(株)
製レントゲンフィルムスーパーHRSより低く設定され
ている。ハロゲン化銀写真感光材料の感度を測定する方
法において、用いる露光光源は組合せて使用する放射線
増感スクリーンの発光主ピークの波長に一致もしくはほ
ぼ一致していなくてはならない。例えば、放射線増感ス
クリーンの蛍光体がテルビウム賦活ガドリニウムオキシ
スルフィドである場合には、主発光のピーク波長が54
5nmであるところから、ハロゲン化銀写真感光材料の
感度を測定するときの光源は波長545nmを中心とす
る光とする。単色光を得る方法としては干渉フィルター
を組合せたフィルター系を用いる方法が利用できる。こ
の方法によれば、干渉フィルターの組合せにも依存する
が、通常、必要な露光量を持ち、かつ半値幅が20±5
nmの単色光を容易に得ることができる。なお、ハロゲ
ン化銀写真感光材料は、分光増感処理がなされているか
どうかにかかわらず、その分光感度スペクトルは連続で
あって、波長20±5nmの範囲では、その感度は実質
的に変わらないということができる。露光光源の例とし
ては、組合せて使用する放射線増感スクリーンの蛍光体
がテルビウム賦活ガドリニウムオキシスルフィドである
場合には、タングステン光源(色温度:2856K°)
と、透過ピーク波長が545nmで半値幅20nmの透
過性であるフィルターとを組合せた系を挙げることがで
きる。現像後サンプルの濃度測定には、光源にハロゲン
ランプを用い、イーストマンコダック(株)製ラッテン
♯106フィルターを通して透過濃度の測定を行なう。
本発明の特性曲線を有する感光材料は、胃、腹部、腰
椎、手足、血管の画像を診断する上で診断しやすい画像
を提供する。濃度0.3から1.5の平均階調が2.1
以上2.6以下と比較的硬調であり骨梁、造影剤付着部
の胃壁、微細構造、血管部の抜けが良好な好ましい画像
が得られる。一般に階調を硬調にすると粒状が悪化し、
診断に耐えない画像となってしまう。しかし本システム
は、前述のように比較的高感度のスクリーンと低感度の
フィルムを組せることによって、粒状を格段に良化させ
ることができているため、階調を硬めに設定しても粒状
の悪化が診断上気にならないレベルに押えることができ
る。また本感材のような低濃度部の抜けが重要視される
用途においてはその未露光部の濃度(Dmin )が低いこ
とが重要である。そのDmin レベルは、前述の濃度測定
方法にて0.20以下であることが好ましい。より好ま
しくは0.18以下でありさらに好ましくは0.16以
下である。一般にDmin 濃度は低い方が良いのは当然で
あるが、高感度でかつ低カブリの感材を開発することは
技術的困難が伴う。しかし本システムは前述のように感
材の感度を従来より低目に設定できるメリットを生かし
従来にはない低カブリを実現することが可能であり、D
min を低く設定することができる。この低Dmin によっ
てさらに好ましい画像を提供できる。ここでDmin とは
未露光の感材を前述の現像液〔I〕で現像温度35℃、
現像時間25秒で現像後富士フイルム(株)社製Fuj
i−F定着液によって十分に定着し、その後十分に水洗
した感材の光学濃度のことを言う。また本発明の特性曲
線は、前述のように低濃度部で硬調であるにもかかわら
ず、濃度1.5から2.5の平均階調が2.0以上3.
2以下とほぼ標準階調〜軟調であることに特徴を有す
る。この比較的高濃度の階調が硬すぎると皮膚の境界
(スキンライン)のような軟部組織でX線透過量の多い
部分が描出されず好ましくなく、本発明の範囲が有用で
ある。
【0015】本発明において平均階調、カブリ及びクロ
スオーバー光を測定する為に用いられる放射線増感スク
リーンは本発明の感光材料とともに組体として用いられ
る増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の主発光ピ
ークを有する増感スクリーンである。勿論、組体として
用いる増感スクリーンそのものを用いても構わない。現
像液〔I〕を用いた現像処理の標準的な条件を更に詳し
く説明すると、下記のようになる。 現像時間:25秒(液中21秒+液外4秒) 定着時間:20秒(液中16秒+液外4秒、定着液は下
記組成のもの) 水 洗:12秒 スクイズ及び乾燥:26秒 使用する現像装置:市販のローラ搬送自動現像機(例、
富士写真フイルム株式会社製FPM−5000自動現像
機) (現像タンク:容量22リットル、液温35℃) (定着タンク:容量15.5リットル、液温25℃) 同種の市販ローラ搬送自動現像機としては、イーストマ
ンコダック社製M−6AWがある。 定着液(定着液F)組成 チオ硫酸アンモニウム(70%重量/容量) 200ml 亜硫酸ナトリウム 20g ホウ酸 8g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(2水塩) 0.1g 硫酸アルミニウム 15g 硫酸 2g 氷酢酸 22g 水を加えて1リットルにした後、必要により水酸化ナト
リウムもしくは氷酢酸を用いて、pH4.5に調節す
る。
【0016】本発明の比較的低感度の感光材料と、X線
吸収率の高い増感スクリーンと組合せる場合、感光材料
としてはクロスオーバーが少ないことが重要である。本
発明でいうクロスオーバーとは、透明な支持体の両側に
感光性乳剤が塗布された材料において、一方の方向から
の光が最初の乳剤層及び支持体をすり抜けて、逆側の感
光層を感光させる光のことをいう。クロスオーバー
(%)は Abbottet al の米国特許第4425425号
に記載された方法によって測定される。即ち、実質的に
等しい感光層を両側にもつ感光材料においては、X線源
に対して、黒紙感光材料次に増感スクリーンの順に配置
し、X線撮影用カセットに詰めて、段階的にX線露光す
る。現像後、2分割して増感スクリーンと接していた感
光層のみの像と、逆側の感光層のみの像に分離して、そ
れぞれの特性曲線を得る。特性曲線のほぼ直線部分の濃
度域での2つの曲線の感度差を△logEとしたとき、 クロスオーバー(%)= 100/(anti log(△logE)+1 と定義される。
【0017】クロスオーバーは少い程、よりシャープな
画像が得られる。クロスオーバーを減少させる方法は種
々あるが、最も好ましい方法は、支持体と感光層の間
に、現像処理により、脱色可能な染料を固定化すること
である。米国特許第4,803,150号で教示してい
る、微結晶状の染料を用いると、固定化が良いことと、
脱色性も良く、多量の染料を含ませることができ、クロ
スオーバーを減少させるのに非常に好ましい。この方法
によると、固定化不良による減感もなく、又90秒処理
での染料の脱色も可能でクロスオーバーを15%以下に
できる。更に好ましい、クロスオーバー減少のための染
料層は、可能な限り高密度に染料を配置したものが良
い。バインダーとして用いるゼラチン塗布量を減らし、
染料層の膜厚として0.5μ以下にすることが好まし
い。しかしながら極端な薄層化は密着不良が生じ易くな
り、最も好ましい染料層の膜厚は0.05μ〜0.3μ
である。本システムにおいて、実用上十分な画質の得ら
れるクロスオーバーは15%以下であることである。よ
り好ましくは1〜15%であり、さらに好ましくは3〜
12%である。
【0018】本発明の特性曲線をもつ感光材料を得る方
法は任意であるが、好ましいハロゲン化銀乳剤は、平板
状ハロゲン化銀粒子からなるものである。すなわち、平
板状ハロゲン化銀粒子乳剤は、感度と粒状性のバランス
が良く、分光増感特性が良い点、そしてクロスオーバー
を減じる能力が高い点などにおいて有利である。平板状
ハロゲン化銀粒子乳剤の製法については、近年各種の改
良がなされており、本発明のハロゲン化銀写真感光材料
の製造に用いる平板状ハロゲン化銀粒子乳剤の調製に際
しても、それらの改良技術を利用することができる。そ
のような改良技術の例としては、還元増感とメルカプト
化合物、あるいは或る種の色素との組合せによる圧力特
性を良好にする技術、セレン化合物による増感技術、粒
子表面のヨード含量を減少させることによるローラ搬送
時の圧力マーク減少技術、乳剤二層構成の場合に、それ
ぞれの層の銀/ゼラチン比率を最適化することで、ロー
ラ搬送時の圧力マークの減少と乾燥性とのバランスを向
上させる技術等である。これ等の技術については、特開
平4−344635号、同5−45754号、同3−2
88145号、同4−163447号、同4−1074
42号、同4−311949号の各出願明細書に述べら
れている。また粒子サイズ分布としては変動係数が20
%以下となる粒子サイズ分布を持つ乳剤が好ましい。
【0019】本発明において使用するハロゲン化銀写真
感光材料の代表的な構成としては、青色に着色した透明
支持体の両側(前側および後側)にそれぞれ、下塗り
層、クロスオーバー低減のための染料層、少なくとも一
層の感光性ハロゲン化銀乳剤層そして保護層が順次形成
されてなる構成を挙げることができる。前側および後側
の各々の層は、実質的に互いに同一の層であることが望
ましい。
【0020】支持体は、ポリエチレンテレフタレートな
どの透明な材料から形成されたものであって、青色染料
により着色されている。青色染料としては、X線写真用
フィルムの着色用として知られているアントラキノン系
染料など各種のものが使用できる。支持体の厚さは16
0〜200μmの範囲から適宜選ぶことができる。支持
体の上には、通常のX線写真用フィルムと同様に、ゼラ
チンなどの水溶性高分子物質からなる下塗り層が設けら
れる。
【0021】下塗り層の上には、クロスオーバー低減の
ための染料層が設けられる。この染料層は通常、染料を
含むコロイド層として形成され、先に規定した現像処理
にて脱色される染料層であることが望ましい。染料層中
では、染料が層の下部に固定されていて、上層の感光性
ハロゲン化銀乳剤層や保護層に拡散することのないよう
にされていることが望ましい。染料層の上には、感光性
ハロゲン化銀乳剤層が形成される。本発明の感光材料に
おいて使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、周知の方法
で調製することができる。なお、ハロゲン化銀写真感光
材料は、一緒に用いる増感スクリーンに対して感光性を
持たなくてはならない。通常のハロゲン化銀乳剤は、青
色光〜紫外光の範囲の光に対して感光性を持っているの
で、増感スクリーンから発光する光が青色光〜紫外光の
範囲のもの(例えば、増感スクリーンの蛍光体としてタ
ングステン酸カルシウム蛍光体を用いた場合がこれに該
当する。)であればよいが、たとえば主波長545nmの
光を発光するテルビウム賦活カドリニウムオキシスルフ
ィド蛍光体を用いた増感スクリーンを用いる場合には、
感光材料のハロゲン化銀は緑色に分光増感されている必
要がある。なお、前述のように、本発明のハロゲン化銀
写真感光材料には、前記の現像処理条件にて脱色される
染料層があることが好ましいが、そのためには、染料層
の上層の感光層のバインダーの使用量を低く押えること
が好ましい。即ち、感光層のバインダー使用量は5g/
m2以下とするのが好ましく、特に3g/m2以下とするの
が好ましい。一方、感光層中の銀の含有量は3g/m2
下とするのが好ましく、特に2g/m2以下とするのが好
ましい。
【0022】上記のようにして製造した、支持体の両側
に設けられた下塗り層と感光層との積層体の上に、常法
に従って、ゼラチンなどの水溶性高分子材料からなる保
護層が設けられ、本発明のハロゲン化銀写真感光材料を
得ることができる。
【0023】本発明のハロゲン化銀写真感光材料の製造
に利用される乳剤増感法や各種添加剤、構成材料、現像
処理方法等に関しては特に制限はなく、たとえば、特開
平2−68539号公報、特開平2−103037号公
報、および特開平2−115837号公報の下記の該当
箇所に記載の各種の技術を利用することができる。
【0024】 項 目 該 当 箇 所 1 化学増感方法 特開平2−68539号公報第10頁右上欄13行から 同左下欄16行目 2 カブリ防止剤、 同第10頁左下欄17行目から同第11頁左上欄7行目 安定剤 及び同第3頁左下欄2行目から同第4頁左下欄 3 分光増感色素 同第4頁右下欄4行目から同第8頁右下欄 4 界面活性剤、 同第11頁左上欄14行目から同第12頁左上欄9行目 帯電防止剤 5 マット剤、 同第12頁左上欄10行目から同右上欄10行目、同第 滑り剤、可塑剤 14頁左下欄10行目から同右下欄1行目 6 親水性コロイド 同第12頁右上欄11行目から同左下欄16行目 7 硬膜剤 同第12頁左下欄17行目から同第13頁右上欄6行目 8 支持体 同第13頁右上欄7行目から20行目 9 染料、媒染剤 同第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目 10 現像処理方法 特開平2−103037号公報第16頁右上欄7行目か ら同第19頁左下欄15行目、及び特開平2−1158 37号公報第3頁右下欄5行目から、同第6頁右上欄1 0行目
【0025】本発明で用いる放射線増感スクリーン(以
下増感スクリーンと述べる)について説明する。詳細な
説明については特願平4−193433号及び同4−1
93432号を参照すればよいが、重要なポイントにつ
いて簡単に説明する。本発明の増感スクリーンは、80
KVp のX線に対して24%以上の吸収量をもち、かつコ
ントラスト伝達関数(CTF)が空間周波数1本/mmで
0.79以上、及び空間周波数3本/mmで0.36以上
を示す、高感度でかつ高鮮鋭度の増感スクリーンであ
る。この特性をもつ増感スクリーンは以下のごとく調製
される。増感スクリーンの構成は、支持体、密着層、蛍
光体層、保護層からなる。支持体は二酸化チタンを練り
込んだポリエチレンテレフタレートフィルムを用い白色
度を上げ、蛍光の反射率を高める。密着層にも、アクリ
ル樹脂に酸化亜鉛を含有させ、蛍光体層と支持体との密
着性を高め、かつ蛍光反射率も高める。蛍光体は特に好
ましくは、テリビューム活性化したガドリニウムスルフ
ォオキサイドを用いる。バインダーとしては、蛍光に対
して透明性の高いポリマーを用いる。また後述する加熱
圧縮処理を行う上で熱可塑性エラストマーを含有させ
る。特に好ましい素材としては、ポリウレタン樹脂であ
るが、この素材の含有により、加熱により流動性をもつ
ため、圧縮の際の圧力により蛍光体の破損が防止でき
る。蛍光体塗布量としては、好ましくは500g/m2
850g/m2であり、X線吸収量を24%以上にする必
要がある。
【0026】蛍光体層は別の仮支持体に塗布され、仮支
持体から蛍光体層を剥離しながら密着層が塗布された支
持体に、加熱圧縮処理して新たな蛍光体層を形成する。
この加熱圧縮処理によって、蛍光体層は薄く押し広げら
れ、この処理によって蛍光体充填率を著しく向上でき
る。加熱圧縮処理後の蛍光体層の膜厚は100μm 〜2
00μm とする。続いて保護層を形成する工程に入る。
有機溶媒可溶性のフッ素系樹脂を含む厚さ5μm 以下の
塗布膜を蛍光体層の上に形成する。蛍光体層上への直接
塗布による保護層の形成は、ラミネート方式の保護層に
対して薄層化できる特徴がある。以上のごとく調製され
た増感スクリーンは、X線吸収量が高く、かつ蛍光が増
感スクリーン上に出易い構造をもっているため、X線利
用率の高い高感度の増感スクリーンとなる。かつ、蛍光
体の充填率が60%以上(体積で)となり、そして保護
層が薄層化しているために鮮鋭性も向上している。増感
スクリーンのコントラスト伝達関数(CTF)の測定
は、矩形チャート(モリブデン製)をイーストマン・コ
ダック社製のMRE片面材料に焼き付けた試料を用い
て、空間周波数0におけるコントラストで規格化するこ
とで算出される。
【0027】本発明の組体においては、前側および後側
の感光層が前述の感度の要件を満たし、かつ互いに実質
的に同一の特性を有するハロゲン化銀写真感光材料を用
い、その両側(前側と後側)に、前述の特性を有する放
射線増感スクリーンを互いに実質的に同一の特性を有す
るように組合せて用いることが好ましい。ただし、画像
鮮鋭度と感度とのバランスを良くするために、前側の増
感スクリーンと後側の増感スクリーンとを、米国特許第
4710637号に記載されているように、前増感スク
リーンの蛍光体塗布量を、後増感スクリーンの蛍光体塗
布量よりも低減させることにより、画質と感度のバラン
スの向上を図ることもできる。
【0028】本発明の組体においては、実用上において
問題が生じない感度を有し、かつ撮影により得られるX
線画像の画質が高レベルにあるようにするために、組体
の感度として、80KVp、三相X線源を用いた場合に
0.5〜1.5mRの露光により、先に規定した現像液
および現像条件にて現像処理したときに濃度1.0を得
ることができるようにハロゲン化銀写真感光材料と二枚
の放射線増感スクリーンとを組合せて使用することが好
ましい。
【0029】
【実施例】
実施例1 (1) 増感スクリーンの調製 下記のようにして、本発明の放射線増感スクリーンAを
製造した。蛍光体シート形成材料として、蛍光体(Gd
2 2 S:Tb)200g、ポリウレタン樹脂(大日本
インキ化学工業(株)製、パンデックスT−5265
M)5.6g、エポキシ樹脂(エピコート1001、油
化シェルエポキシ(株)製)1.6g、イソシアネート
(コロネートHX、日本ポリウレタン工業(株)製)
1.5gをメチルエチルケトン混合溶媒に添加し、プロ
ペラミキサーによって分散し、粘度30PS(25℃)
の塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを
用いて、シリコーン形離型剤が塗布されているポリエチ
レンテレフタレートフィルム(仮支持体、厚み180μ
m)上に塗布した後、加熱乾燥させて、蓄積性蛍光体膜
を形成し、次いで、この蓄積性蛍光体膜を仮支持体から
はがして蛍光体シートを得た。
【0030】導電性下塗層形成用塗布液を、アクリル樹
脂(クリスコートP1018GS、大日本インキ化学工
業(株)製)100gに対してウイスカー状酸化亜鉛
(パナテトラ、松下アムテック(株)製)200gを加
え、次いでメチルエチルケトンを加えて混合分散し、粘
度5PS(25℃)のものとなるようにして調製した。
【0031】二酸化チタン粉末を練り込んだ厚さ250
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)
をガラス板上に置き、上記の導電性下塗層形成用塗布液
をドクタープレードを用いて支持体上に均一に塗布した
後、25℃から100℃にまで徐々に温度を上昇させな
がら加熱して塗布膜の乾燥を行ない、支持体上に導電性
下塗層を形成した(下塗層の厚さ:20μm)。この下
塗層の上に、先に作成しておいた蛍光体シートを載せ、
カレンダーロールを用い、400kg/cm2 の圧力、80
℃の温度で加圧圧縮処理を行なって、層厚120μmの
蛍光体層を形成した。加圧圧縮処理によって、蛍光体が
蛍光体層に占める割合が体積で60%から67%に変化
した。
【0032】次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹
脂(フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、旭
硝子(株)製ルミフロン LF100) 100g、架橋剤(イ
ソシアネート、三井東圧化学(株)製オレスター NP38-
70S)30g、およびアルコール変性シリコーンオリゴマ
ー(ジメチルポリシロキサン骨格を有し、両末端に水酸
基(カルビノール基)を有するもの、信越化学工業
(株)製、X-22-2809)2gをメチルエチルケトンに添加
し、塗布液を調製した。この塗布液を上記のようにして
形成した蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布
し、次いで120℃で30分間熱処理して熱硬化させる
とともに乾燥し、厚さ3μmの保護膜を設けて、放射線
増感スクリーンAを製造した。
【0033】(2) 放射線増感スクリーンの特性の測定 1)X線吸収量の測定 三相の電力供給で80KVp で運転されるタングステン・
ターゲット管から生じたX線を、厚さ3mmのアルミニウ
ム板を透過させ、ターゲット管のタングステン・アノー
ドから200cmの位置に固定した試料放射線増感スクリ
ーンに到達させ、次いでその増感スクリーンを透過した
X線の量を、増感スクリーンの蛍光体層から50cm後の
位置で電離型線量計を用いて測定し、X線の吸収量を求
めた。なお、基準としては、増感スクリーンを透過させ
ないで測定した上記測定位置でのX線量を用いた。それ
ぞれの増感スクリーンのX線吸収量の測定値を表1に示
す。
【0034】2)変調伝達関数(CTF)の測定 イーストマン・コダック社製MRE片面感光材料を、測
定対象の増感スクリーンに接触状態に配置し、CTF測
定用矩形チャート(モリブデン製、厚み:80μm、空
間周波数:0本/mm〜10本/mm)を撮影した。X線管
球から2mの位置にチャートを置き、X線源に対して前
面に感光材料、そしてその後に増感スクリーンを配置し
た。使用したX線管球は(株)東芝製DRX−3724
HDであり、タングステンターゲットを用い、フォーカ
ルスポットサイズ0.6mm×0.6mmとし、絞りを含
め、3mmのアルミニウム等価材料を通り、X線を発生す
るものである。三相にパルス発生器で80KVp の電圧を
かけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィルター
を通したX線を光源とした。撮影後の感光材料は、富士
写真フイルム(株)製のローラー搬送型自動現像機(F
PM−5000)で、現像液Iを用い35℃、そして定
着液F(チオ硫酸アンモニウム(70%重量/容量)2
00ml、亜硫酸ナトリウム20g、ホウ酸8g、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム(2水塩)0.1g、硫
酸アルミニウム15g、硫酸2g、および氷酢酸22
g、に水を加えて1リットルとしたのち、pHを4.5
に調節したもの)を用い25℃の温度で先に記載した現
像処理を行ない、測定試料を作成した。撮影試料は、露
光時間の調節で濃い部分の濃度が1.8になるようにし
た。結果を表1に示す。
【0035】3)感度の測定 CTFの測定で用いたものと同じX線源を用い、緑色増
感されているイーストマン・コダック社製MRE片面感
光材料を組合せ、距離法にてX線露光量を変化させ、l
ogE=0.15の幅でステップ露光した。露光後に感
光材料をCTF測定時と同じ条件にて現像処理を行な
い、測定試料を得た。測定試料について可視光にて濃度
測定を行ない、特性曲線を得た。濃度1.8を得るX線
露光量の逆数で感度を表わし、後側配置用増感スクリー
ンHR−4を基準(「100」とした)にとり、相対的
な感度を調べた。その結果を表1に示す。表1より増感
スクリーンAは請求項1の特性をもつ増感スクリーンで
あることがわかる。
【0036】
【表1】
【0037】(3) 感光材料の調製 高感度平板状乳剤A〜Cの調製 水1リットル中に臭化カリウム6.5g、平均分子量1
万5千の低分子量ゼラチン9.5gを添加し、48℃に
保った容器中へ攪拌しながら硝酸銀水溶液37cc(硝酸
銀2.4g)と臭化カリウム5.9gを含む水溶液38
ccをダブルジェット法により37秒間で添加した。つぎ
に、ゼラチン18.6gを添加した後、63℃に昇温し
て硝酸銀水溶液100cc(硝酸銀11.2g)を22分
間かけて添加した。ここで25%のアンモニア水溶液
8.5ccを添加、そのままの温度で10分間物理熟成し
た後、100%酢酸溶液を8cc添加した。引き続いて硝
酸銀145gの水溶液と臭化カリウムの水溶液をpAg
8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で加
速した流量で(初期流量/最終流量=1/5.4)35
分かけて添加した。次に2Nのチオシアン酸カリウム溶
液35ccを添加した。5分間そのままの温度で物理熟成
した後、35℃に温度を下げた。平均投影面積直径0.
92μm、厚み0.195μm、直径の変動係数20%
の純臭化銀平板状粒子を得た。この後、凝集沈降法によ
り可溶性塩類を除去した。再び40℃に昇温してゼラチ
ン35gとフェノキシエタノール2.35gおよび増粘
剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.8gを
添加し、苛性ソーダと硝酸銀溶液でpH5.90、pA
g8.00に調整した。この乳剤を攪拌しながら56℃
に保った状態で化学増感を施した。まず、C2H5SO2SNaを
1×10-5モル/モルAg添加し、つぎにAgI微粒子
を0.15モル%添加し、つぎに、増感色素−Iを48
0mgを添加した。さらに塩化ナトリウム0.40gを添
加した。引き続きチオ硫酸ナトリウム0.9mgとセレン
化合物−I 1.1mgと塩化金酸1.9mgおよびチオシ
アン酸カリウム30mgを添加し、40分後に35℃に冷
却した。こうして平板状粒子乳剤Aを調製完了した。
【0038】
【化1】
【0039】表2で示した条件以外は、乳剤Aと全く同
条件で、平均投影面積直径を変えた平板状粒子乳剤B、
Cを調製した。
【0040】
【表2】
【0041】 微粒子乳剤D〜Fの調製 5.3gの臭化カリウムおよび4gのパラトルエンスル
フィン酸ナトリウムを含有する2重量%のゼラチン溶液
1リットルに、チオ硫酸ナトリウム5水和物10mg、ロ
ダンカリ1.4g、氷酢酸10ccを加え、これを激しく
攪拌しながらダブルジェット法で、硝酸銀5.2gを含
有する水溶液14ccと、1.8gの臭化カリウムと0.
33gのヨウ化カリウムとを含む水溶液7ccとを30秒
間で添加した。そして、その後3gのヨウ化カリウムを
含む水溶液30ccを添加した。上記の液に、まず硝酸銀
78gを含有する水溶液200ccを、次いで1分後に5
0.6gの臭化カリウムと3.65gのヨウ化カリウム
とを含む水溶液200ccを、それぞれ15分間かけて添
加した。次に、25重量%のアンモニア水14ccを添加
し、10分間熟成させた後、硝酸銀117gを含む水溶
液と臭化カリウム82.3gを含む水溶液とを同時に1
4分間で添加した。なお、全ての工程における反応液の
温度は53℃に維持した。上記の反応液を、常法により
フロキュレーション法で洗浄し、40℃にてゼラチン、
増粘剤、防腐剤を添加し分散した後、pHを5.6そし
てpAgを8.9に調節した。次に、この反応液を55
℃に維持しながら、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラザインデン21mgと増感色素I
460mgとを添加し、10分間熟成させた後、チオ硫酸
ナトリウム5水和物3.8mg、セレン化合物II 3.8
mg、ロダンカリ77mg、そして塩化金酸2.6mgを順次
添加し、50分間熟成させ、次いで4−ヒドロキシ−6
−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン70mg
を添加した後、冷却して、微粒子単分散非平板状粒子乳
剤Dを得た。
【0042】
【化2】
【0043】表3に示される条件以外は、乳剤Dと全く
同様の方法にて、平均粒子サイズを変えた粒子乳剤E、
Fを調製した。
【0044】
【表3】
【0045】 支持体Xの調製 (1) 下塗層用染料分散物Aの調製 下記の染料−Iを特開昭63−197943号に記載の
方法でボールミル処理した。
【0046】
【化3】
【0047】水434mlおよび Triton X−200界面
活性剤(TX−200)の6.7%水溶液791mlとを
2リットルのボールミルに入れた。染料20gをこの溶
液に添加した。酸化ジルコニウム(ZrO2)のビーズ4
00ml(2mm径)を添加し、内容物を4日間粉砕した。
この後、12.5%ゼラチン160gを添加した。脱泡
したのち、濾過によりZrO2 ビーズを除去した。得ら
れた染料分散物を観察したところ、粉砕された染料の粒
径は直径0.05〜1.15μmにかけての広い分野を
有していて、平均粒径は0.37μmであった。さら
に、遠心分離操作をおこなうことで0.9μm以上の大
きさの染料粒子を除去した。こうして染料分散物Aを得
た。 (2) 支持体の調製 二軸延伸された厚さ175μmの青色に着色したポリエ
チレンテレフタレートフィルム上にコロナ放電処理をお
こない、下記の組成より成る第1下塗液を塗布量が4.
9cc/m2となるようにワイヤーバーコーターにより塗布
し、185℃にて1分間乾燥した。次に反対面にも同様
にして第1下塗層を設けた。 ・ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス溶液 (固形分40%ブタジエン/スチレン重量比=31/69) 158 cc ・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム 塩4%溶液 41 cc ・蒸留水 300 cc 上記の両面の第1下塗層上に下記の組成からなる第2の
下塗層を塗布量が下記に記載の量となるように片側ず
つ、両面にワイヤー・バーコーター方式により155℃
で塗布、乾燥した。 ・ゼラチン 160 mg/m2 ・染料分散物A(染料固形分として) 17 mg/m2 ・C12H25O(CH2CH2O)10H 1.8 mg/m2 ・プロキセル 0.27mg/m2 ・マット剤 平均粒径2.5μmのポリメチルメタクリレート 2.5mg/m2 このようにして、クロスオーバーカット層を含む支持体
Xを調製した。
【0048】 塗布液の調製 平板状粒子乳剤A〜C及び乳剤D〜Fに下記薬品を添加
して、乳剤層塗布液を調製した。また保護層塗布液を調
製した。 (乳剤層塗布液) ・乳剤A〜C 表4記載塗布量相当分 ・乳剤D〜F 表4記載塗布量相当分 ・ポリマーラテックス(ポリ(アクリル酸エチル/ メタクリル酸)=97/3、重量比)) 24.4 g ・硬膜剤(1,2−ビス(ビニルスルホニルアセト アミド)エタン) 3.4 g ・2,6−ビス(ヒドロキシアミノ)−4−ジエチル アミノ−1,3,5−トリアジン 0.13g ・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 5.3 g ・デキストラン(平均分子量3.9 万) 28 g ・ゼラチンゲル(固形分として) 61 g ・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量4.1万) 3 g ・ヨーカカリ 40 mg
【0049】
【化4】
【0050】 (保護層塗布液) ・ゼラチン 1 kg ・C16H33O(CH2CH2O)10H 39 g ・C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)SO3Na 1.6 g ・C8F17SO3K 7 g ・ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒径3.7 μm) 91 g ・プロキセル 0.7 g ・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量 4.1万) 45 g ・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 3 g ・NaOH 1.6 g ・C8H17C6H4(OCH2CH2)3SO3Na 24 g ・蒸留水 upto 14.4 リットル
【0051】 感光材料の調製 で調製した塗布液を同時押し出し法により、で調製
した支持体の両側に同一条件で遂時塗布をした。尚保護
層のゼラチン量は1g/m2にした。乾燥して感光材料を
調製した。塗布の条件を表4に示した。
【0052】(4) 感光材料の絶対感度の測定 前記の如く調製した試料と市販感光材料 Super HRS(富
士写真フイルム製)の絶対感度を調べた。透過ピーク波
長545nm半値巾20nmの透過性を示すフィルターを用
い、色温度が2856K°のタングステン光源(フィル
ターにより545nmの光−−後に一緒に用いる放射線増
感スクリーンの主発光波長に対応−−を中心とする光を
選んで用いた)を照射光として用いて写真感光材料を露
光し、その感度を測定した。即ち、上記の照射光をニー
トラルなステップウェッジに通し1/20秒間感光材料
に照射して露光を行なった。露光後に感光材料を、自動
現像機(富士写真フイルム株式会社製、商品名FPM−
5000)にて、現像液(I)を用い、35℃にて25
秒(全処理時間90秒)現像した。露光面と逆側の感光
層を剥離したのち、濃度を測定し、特性曲線を得て、そ
の特性曲線から最低濃度(Dmin )に0.5加えた濃度
となるに必要な露光量を算出し、それを感度として表4
にルクス秒で示した。なお、露光量を算出するに当り、
タングステン光源より発光し、フィルターを透過させた
光の照度をPI−3F型照度計(更正済みのもの)を測
定した。
【0053】
【表4】
【0054】(5) 組体の特性の測定と画像評価 センシトメトリー 評価対象の感光材料を、富士写真フイルム(KK)製市
販のHR−4スクリーンでサンドウィチして、距離法に
てX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステッ
プ露光した。使用したX線管球は(株)東芝製DRX−
3724HDであり、タングステンターゲットを用い、
フォーカルスポットサイズ0.6mm×0.6mmとし、絞
りを含め、3mmのアルミニウム等価材料を通り、X線を
発生するものである。三相にパルス発生器で80KVp の
電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィ
ルターを通したX線を光源とした。撮影後の感光材料
は、富士写真フイルム(株)製のローラー搬送型自動現
像機(FPM−5000)で、現像液Iを用い35℃、
そして定着液F(チオ硫酸アンモニウム(70%重量/
容量)200ml、亜硫酸ナトリウム20g、ホウ酸8
g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(2水塩)
0.1g、硫酸アルミニウム15g、硫酸2g、および
氷酢酸22g、に水を加えて1リットルとしたのち、p
Hを4.5に調節したもの)を用い25℃の温度で先に
記載した現像処理を行ない、測定試料を作成した。測定
試料について可視光にて濃度測定を行ない、特性曲線を
得た。濃度1.0を得るに必要な、X線露光量の逆数を
感度とし、相対値として示した。また濃度0.3と1.
5を結ぶ平均階調γ1 、濃度1.5と2.5を結ぶ平均
階調γ2 を求めた。 クロスオーバーの測定 ハロゲン化銀写真感光材料を、放射線増感スクリーン
(テルビウム賦活ガドリニウムオキシスルフィド蛍光体
(主発光波長:545nm、緑色光)を用いたもの)と
黒紙とではさみ、黒紙側からX線を照射した。X線源と
しては、センシトメトリーにおいて用いたものと同一の
ものを用いた。X線照射量を距離法により変えて、X線
を照射した。照射の後、感光材料を上記の感度の測定に
おいて行なった処理と同じ方法で、現像処理した。現像
処理した感光材料を、二分割し、それぞれの感光層を剥
離した。増感スクリーンと接触していた側の感光層の濃
度は、逆側の感光層の濃度と比べると高くなっていた。
それぞれの感光層について特性曲線を得て、その特性曲
線の直線部分(濃度0.5から1.0まで)における感
度差(△logE)の平均値を求め、この平均値から以下の
式によりクロスオーバーを算出した。 クロスオーバー(%)=100/(antilog(△logE)+
1)
【0055】 CTFの測定 評価対象の感光材料を、同様にして増感スクリーンでサ
ンドウィチして、X線源から2mの位置に配置して、C
TF測定用矩形チャート(モリブデン製、厚み:80μ
m、空間周波数:0本/mm〜10本/mm)を撮影した。
X線源、現像処理条件は前述のセンシトメトリーと同様
である。X線露光時間で露光量を調節して、モリブデン
で、しゃへいしていない部分の濃度が1.8になるよう
にした。
【0056】次に測定試料をマイクロデンシトメータで
操作した。この時のアパーチャアは操作方向が30μ
m、それに垂直な方向が500μmのスリットを使用
し、サンプリング間隔30μmで濃度プロフィールを測
定した。この操作を20回繰り返して平均値を計算し、
それをCTFを計算する基の濃度プロフィールとした。
その後、この濃度プロフィールの各周波数毎の矩形波の
ピークを検出し、各周波数毎の濃度コントラストを算出
した。空間周波数1本/mmと3本/mmについて測定され
た値を表5に示す。
【0057】 骨及び胃部ファントームによる画像評
価 京都化学(株)製の足ファントームを、三相12パルス
を電源とした、55KVp (3mm厚のアルミニウム等価フ
ィルター装着)、フォーカルスポットサイズ0.6mm×
0.6mmのX線源を用い、X線源から1mの位置にファ
ントームを置き、その下に感光材料を増感スクリーンH
R4ではさんだ組体を置き、撮影を行った。又京都化学
(株)製胃部ファントームを、足ファントームの撮影と
同じX線発生器で、80KVp 、フォーカルスポットサイ
ズ0.6mm×0.6mmのX線源を用い、X線源から1.
2mの位置にファントームを置き、その後にグリッドレ
シオ8:1の散乱線カットグリットを、そしてその後に
感光材料を増感スクリーンHR4ではさんだ組体を置
き、撮影を行った。現像処理は、写真特性の測定の場合
と同様に、自動現像機FPM−5000、現像液
〔I〕、そして前述の定着液Fを用い、35℃で90秒
処理(現像時間は25秒)をした。X線露光時間を調節
することによって、それぞれの組体が、ほぼ同一な適正
な濃度となるように仕上げた。仕上った写真をシャーカ
ステンに並べ、目視評価をした。着眼点として、足ファ
ントーム写真においては、骨梁の明瞭さ、及び軟部組織
の描写性を評価した。胃部ファントーム写真において
は、胃壁微細構造の描写性と胃包の描写性を評価した。
そして極めて良好をA、良好をB、なんとか診断可能を
C、そして診断不可能をDとした。なお、同じ評点でも
優位差のでるものについては、Aa(Aの中で優れてい
る)とAz(Aの中で劣っている)のように、評点マー
クの末尾にaまたはzを付した。結果を表5に示した。
【0058】
【表5】
【0059】表5より以下のことが明らかになった。 本発明のクロスオーバーが低く、かつ特定の階調・
感度を持つ感光材料と本発明の高シャープネスの高いス
クリーンとの組体である3、4、7、8はCTFが高く
かつ骨画像での骨梁と軟部組織の描写性のバランスが良
く、また、胃部画像においても胃壁と胃包が良好にバラ
ンス良く描写され好ましい。 3、7、8、9、10の比較より、システム感度を
下げていくほど目視評価の画像が良化していくことが分
る。現行 SuperHRS/HR4の組合せ感度=100よ
り大幅に高感な組体10は粒状も悪く好ましくない。一
方、極低感な組体9は、組体8に比べて特にメリットな
く人体への被爆X線量が増加するため好ましくない。組
体3、7、8のように好ましい感度領域があることが分
る。 本発明のスクリーンでないHR8を用いた組体11
は、CTFが悪く好ましくない。また本発明でないX線
吸収量の少いHR4、HR3スクリーンを用いた組体1
2、13も好ましくないことが分る。入射X線を十分に
利用していないため画の情報量が少く粒状が粗いことが
悪い原因である。 なお、X線で増感スクリーンを介して露光しても、
増感スクリーンの発光ピーク波長に合った光で露光して
も全く同じ特性曲線の形が得られた。写が良くなる。
【0060】実施例2 実施例1において調製した支持体Xに対して、クロスオ
ーバーを減少させるための染料塗布量を変えた支持体
W、Y、Zを調製した。この支持体に実施例1での試料
No. 3と全く同様にして乳剤層及び保護層を塗布して試
料11、12、13を調製した。(表6)実施例1と同
様の評価をし、その結果を表7に示した。表7より、明
らかにクロスオーバーを減少させるための染料を含有す
ることにより、画質が向上することがわかる。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】実施例3 実施例1において調整した感光材料3において意図的に
化学増感の時間を操作することによってカブリ濃度(よ
ってDmin 濃度)の異なるサンプルを作製した。実施例
1と同様の評価をし、その結果を表8に示した。表8よ
り明らかにDmin 濃度が骨梁、胃壁の診断に影響してい
ることが分る。
【0064】
【表8】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】なお、好ましい鮮鋭度のレベルは被検体の
サイズに依存する。腹部における臨床的評価において
は、変調伝達関数(CTF)の物理量で表現すると、空
間周波数0.5本/mm〜3本/mmに亙るコントラスト伝
達関数が重要であり、その値は1本/mmで0.65以
上、2本/mmで0.22以上である。また、組体の感度
にも制限がある。高感度になる組体を選択すると最も好
ましいバランスを持った組合せにしても胃、腹部、腰
椎、手足、血管を診断する上の高画質が得られないから
である。逆に低感度の組体はX線の被曝の問題で好まし
くない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】本発明の比較的低感度の感光材料と、X線
吸収率の高い増感スクリーンと組合せる場合、感光材料
としてはクロスオーバーが少ないことが重要である。本
発明でいうクロスオーバーとは、透明な支持体の両側に
感光性乳剤が塗布された材料において、一方の方向から
の光が最初の乳剤層及び支持体をすり抜けて、逆側の感
光層を感光させる光のことをいう。クロスオーバー
(%)は Abbottet al の米国特許第4425425号
に記載された方法によって測定される。即ち、実質的に
等しい感光層を両側にもつ感光材料においては、X線源
に対して、黒紙感光材料次に増感スクリーンの順に配置
し、X線撮影用カセットに詰めて、段階的にX線露光す
る。現像後、2分割して増感スクリーンと接していた感
光層のみの像と、逆側の感光層のみの像に分離して、そ
れぞれの特性曲線を得る。特性曲線のほぼ直線部分の濃
度域での2つの曲線の感度差を△logEとしたとき、 クロスオーバー(%)= 100/(anti log(△logE)+
1) と定義される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】
【表4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】(5) 組体の特性の測定と画像評価 センシトメトリー 評価対象の感光材料を、富士写真フイルム(KK)製市
販の表5記載の各種スクリーンでサンドウィチして、距
離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅で
ステップ露光した。使用したX線管球は(株)東芝製D
RX−3724HDであり、タングステンターゲットを
用い、フォーカルスポットサイズ0.6mm×0.6mmと
し、絞りを含め、3mmのアルミニウム等価材料を通り、
X線を発生するものである。三相にパルス発生器で80
KVp の電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cm
のフィルターを通したX線を光源とした。撮影後の感光
材料は、富士写真フイルム(株)製のローラー搬送型自
動現像機(FPM−5000)で、現像液Iを用い35
℃、そして定着液F(チオ硫酸アンモニウム(70%重
量/容量)200ml、亜硫酸ナトリウム20g、ホウ酸
8g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(2水塩)
0.1g、硫酸アルミニウム15g、硫酸2g、および
氷酢酸22g、に水を加えて1リットルとしたのち、p
Hを4.5に調節したもの)を用い25℃の温度で先に
記載した現像処理を行ない、測定試料を作成した。測定
試料について可視光にて濃度測定を行ない、特性曲線を
得た。濃度1.0を得るに必要な、X線露光量の逆数を
感度とし、相対値として示した。また濃度0.3と1.
5を結ぶ平均階調γ1 、濃度1.5と2.5を結ぶ平均
階調γ2 を求めた。 クロスオーバーの測定 ハロゲン化銀写真感光材料を、放射線増感スクリーン
(テルビウム賦活ガドリニウムオキシスルフィド蛍光体
(主発光波長:545nm、緑色光)を用いたもの)と
黒紙とではさみ、黒紙側からX線を照射した。X線源と
しては、センシトメトリーにおいて用いたものと同一の
ものを用いた。X線照射量を距離法により変えて、X線
を照射した。照射の後、感光材料を上記の感度の測定に
おいて行なった処理と同じ方法で、現像処理した。現像
処理した感光材料を、二分割し、それぞれの感光層を剥
離した。増感スクリーンと接触していた側の感光層の濃
度は、逆側の感光層の濃度と比べると高くなっていた。
それぞれの感光層について特性曲線を得て、その特性曲
線の直線部分(濃度0.5から1.0まで)における感
度差(△logE)の平均値を求め、この平均値から以下の
式によりクロスオーバーを算出した。 クロスオーバー(%)=100/(antilog(△logE)+
1)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】 骨及び胃部ファントームによる画像評
価 京都化学(株)製の足ファントームを、三相12パルス
を電源とした、55KVp (3mm厚のアルミニウム等価フ
ィルター装着)、フォーカルスポットサイズ0.6mm×
0.6mmのX線源を用い、X線源から1mの位置にファ
ントームを置き、その下に感光材料を増感スクリーンで
はさんだ組体を置き、撮影を行った。又京都化学(株)
製胃部ファントームを、足ファントームの撮影と同じX
線発生器で、80KVp 、フォーカルスポットサイズ0.
6mm×0.6mmのX線源を用い、X線源から1.2mの
位置にファントームを置き、その後にグリッドレシオ
8:1の散乱線カットグリットを、そしてその後に感光
材料を増感スクリーンではさんだ組体を置き、撮影を行
った。現像処理は、写真特性の測定の場合と同様に、自
動現像機FPM−5000、現像液〔I〕、そして前述
の定着液Fを用い、35℃で90秒処理(現像時間は2
5秒)をした。X線露光時間を調節することによって、
それぞれの組体が、ほぼ同一な適正な濃度となるように
仕上げた。仕上った写真をシャーカステンに並べ、目視
評価をした。着眼点として、足ファントーム写真におい
ては、骨梁の明瞭さ、及び軟部組織の描写性を評価し
た。胃部ファントーム写真においては、胃壁微細構造の
描写性と胃包の描写性を評価した。そして極めて良好を
A、良好をB、なんとか診断可能をC、そして診断不可
能をDとした。なお、同じ評点でも優位差のでるものに
ついては、Aa(Aの中で優れている)とAz(Aの中
で劣っている)のように、評点マークの末尾にaまたは
zを付した。結果を表5に示した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】表5より以下のことが明らかになった。 本発明のクロスオーバーが低く、かつ特定の階調・
感度を持つ感光材料と本発明の高シャープネスの高いス
クリーンとの組体である3、4、7、8はCTFが高く
かつ骨画像での骨梁と軟部組織の描写性のバランスが良
く、また、胃部画像においても胃壁と胃包が良好にバラ
ンス良く描写され好ましい。 3、7、8、9、10の比較より、システム感度を
下げていくほど目視評価の画像が良化していくことが分
る。現行 SuperHRS/HR4の組合せ感度=100よ
り大幅に高感な組体10は粒状も悪く好ましくない。一
方、極低感な組体9は、組体8に比べて特にメリットな
く人体への被爆X線量が増加するため好ましくない。組
体3、7、8のように好ましい感度領域があることが分
る。 本発明のスクリーンでないHR8を用いた組体11
は、CTFが悪く好ましくない。また本発明でないX線
吸収量の少いHR4、HR3スクリーンを用いた組体1
2、13も好ましくないことが分る。入射X線を十分に
利用していないため画の情報量が少く粒状が粗いことが
悪い原因である。 なお、X線で増感スクリーンを介して露光しても、
増感スクリーンの発光ピーク波長に合った光で露光して
も全く同じ特性曲線の形が得られた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀写真感光材料と該感光材料
    の前側および後側にそれぞれ配置される二枚の放射線増
    感スクリーンとからなる放射線画像形成性の組体であっ
    て、(1) 放射線増感スクリーンの内少くとも一方は、X
    線エネルギーが80KVp のX線に対して24%以上の吸
    収量をもち、かつコントラスト伝達関数(CTF)が空
    間周波数1本/mmで0.79以上、そして空間周波数3
    本/mmで0.36以上を示し、かつ放射線増感スクリー
    ンの保護層が、厚みが5μm以下の透明な合成樹脂から
    なり、蛍光体層の厚みが100μm〜200μmであ
    り、蛍光体層に占める蛍光体の割合が体積で60%以上
    ある放射線増感スクリーンであり、(2) ハロゲン化銀写
    真感光材料は、支持体の前側および後側にそれぞれハロ
    ゲン化銀写真感光層が備えられた構成を有し、少なくと
    もその内の一方の感光層は、上記(1) で規定した放射線
    増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有
    し、かつ半値幅が20±5nmの単色光で露光し、下記
    現像液〔I〕を用い、現像液温度35℃、現像時間25
    秒で現像処理し、露光面と逆側の感光層を剥離したのち
    測定して、露光面の感光層にて得られる濃度が、最低濃
    度に0.5を加えた値になるのに必要な露光量が0.01
    0ルクス秒から0.035ルクス秒となる感度を有し、
    (3) ハロゲン化銀写真感光材料の前側に配置した放射線
    増感スクリーンより発光する光に対して、該ハロゲン化
    銀写真感光材料の後側の感光層に放射するクロスオーバ
    ーが15%以下であり、(4) 実質的に同等な2枚の増感
    スクリーンでサンドウィッチして階段露光し、下記現像
    液〔I〕を用いて、現像液温度35℃、現像時間25秒
    で現像して得られる画像が、拡散濃度(Y軸)と常用対
    数露光量(X軸)の単位長の等しい直交座標上に示され
    る特性曲線において、光学濃度(拡散濃度)0.3から
    1.5の平均階調が2.1以上2.6以下であり、かつ
    拡散濃度1.5から2.5の平均階調が2.0以上3.
    2以下である特性曲線を有することを特徴とするハロゲ
    ン化銀写真感光材料である、X線用ハロゲン化銀写真材
    料と放射線増感スクリーンとの組体。 現像液〔I〕 水酸化カリウム 21g 亜硫酸カリウム 63g ホウ酸 10g ハイドロキノン 25g トリエチレングリコール 20g 5−ニトロインダゾール 0.2g 氷酢酸 10g 1−フェニル−3−ピラゾリドン 1.2g 5−メチルベンゾトリアゾール 0.05g グルタルアルデヒド 5g 臭化カリウム 4g 水を加えて1リットルとしたのち、pHを10.20に
    調節する。
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