JPH07218712A - 光導波路型回折格子の作製方法 - Google Patents

光導波路型回折格子の作製方法

Info

Publication number
JPH07218712A
JPH07218712A JP6014571A JP1457194A JPH07218712A JP H07218712 A JPH07218712 A JP H07218712A JP 6014571 A JP6014571 A JP 6014571A JP 1457194 A JP1457194 A JP 1457194A JP H07218712 A JPH07218712 A JP H07218712A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diffraction grating
refractive index
core
optical waveguide
ultraviolet light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6014571A
Other languages
English (en)
Inventor
Maki Inai
麻紀 稲井
Masumi Ito
真澄 伊藤
Susumu Inoue
享 井上
Masaichi Mobara
政一 茂原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP6014571A priority Critical patent/JPH07218712A/ja
Publication of JPH07218712A publication Critical patent/JPH07218712A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 反射率の十分大きな光導波路型回折格子の作
製方法を提供する。 【構成】 酸化ゲルマニウム及び酸化ボロンがコアにド
ープされた石英系光ファイバのコアに紫外光が入射する
と、ゲルマニウムに関連した欠陥に起因して入射領域の
屈折率が変化する。コアの複数領域に紫外光を入射させ
ることにより、複数の屈折率変化領域が光軸方向に沿っ
て配列されると、これらの屈折率変化領域は回折格子を
構成する。酸化ボロンは、屈折率を低下させる作用を有
するので、所定の比屈折率差の光ファイバ型回折格子を
作製する場合、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度を増
加できる。さらに、ボロン自身が欠陥形成を促進する作
用を有している。これにより、ゲルマニウムに関連した
欠陥も増加し、コアの屈折率変化量も上昇するので、光
ファイバ型回折格子の反射率が上昇する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバや薄膜導波
路等の光導波路内に回折格子が形成された光導波路型回
折格子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学素子の一種である回折格子には種々
の態様のものがあるが、光通信システム等に利用する場
合には、光導波路との接続が容易で、挿入損失の低い光
導波路型回折格子が好適である。
【0003】従来の光導波路型回折格子の作製方法とし
ては、特許出願公表昭62−500052に記載のもの
が知られている。これは、酸化ゲルマニウムを添加して
高屈折率のコアを形成した石英系光ファイバに強力な紫
外光を照射することより、コアに周期的な屈折率変化を
生じさせ、回折格子を形成する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の作製方
法では、コアに生じる屈折率変化が必ずしも十分でない
ため、反射率が十分に大きい光導波路型回折格子を得る
ことは困難であった。
【0005】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、反射率の十分大きな光導波路型回折格
子を容易に作製する方法を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明の光導波路型回折格子の作製方法は、酸
化ゲルマニウム及び酸化ボロンがドープされたコアと、
コアよりも低屈折率のクラッドとを備えるガラス光導波
路を用意する第一の工程と、ガラス光導波路のコアにお
ける複数の所定領域に紫外光を入射させて、この所定領
域の屈折率を変化させる第二の工程とを備えている。
【0007】ここで、第一の工程において用意するガラ
ス光導波路のコアにドープされた酸化ボロンの濃度は、
40wt%以下であるとよい。
【0008】また、第二の工程における紫外光の入射
を、紫外光を干渉させて生じた干渉縞をガラス光導波路
に照射して行ってもよい。ここで、干渉縞は、2本のコ
ヒーレントな紫外光を、ガラス光導波路の光軸に対し互
いに補角の関係にある角度をもって、ガラス光導波路に
照射することにより生じさせることができる。また、干
渉縞は、紫外光に位相格子を透過させることにより生じ
させることもできる。
【0009】なお、ガラス光導波路には、石英(SiO
2 )を主成分とする石英ガラス光導波路や、石英を主体
に、Na2 O、CaO等を加えたガラスからなる多成分
ガラス光導波路が含まれる。また、光導波路とは、コア
とクラッドとの屈折率差を利用して光を一定領域に閉じ
込めて伝送する回路または線路をいい、これには光ファ
イバや薄膜導波路等が含まれる。
【0010】
【作用】第一の工程で用意した、酸化ゲルマニウム及び
酸化ボロンがドープされたガラス光導波路のコアに紫外
光が入射すると、入射領域の屈折率が変化する。光導波
路のコアの複数領域に紫外光を入射させることにより、
複数の屈折率変化領域が光導波路の光軸方向に沿って配
列されると、これらの屈折率変化領域は回折格子を構成
する。こうして、光導波路型回折格子が作製される。
【0011】ここで、紫外光の入射によりガラス光導波
路のコアの屈折率が変化するメカニズムは、完全には解
明されてはいない。しかしながら、重要な原因として、
ガラス中のゲルマニウムに関連した酸素欠損型の欠陥が
考えられており、Si−GeまたはGe−Geなどの中
性酸素モノ空孔が想定されている。
【0012】屈折率変化のメカニズムとして提案されて
いるクラマース・クローニッヒ機構によれば、屈折率変
化は以下のように説明される。すなわち、上記の欠陥は
波長240〜250nmの紫外光を吸収する。そして、
この吸収によりSi−GeまたはGe−Ge結合が切れ
ることに起因して、新たな欠陥が生じる。この新たな欠
陥は、波長210nmおよび280nm付近を中心に吸
収帯を形成する。その結果、クラマース・クローニッヒ
の関係に従いガラスの屈折率が変化する。そして、酸素
欠損型の欠陥の数が多い程、屈折率変化量も大きくな
る。
【0013】本発明において酸化ゲルマニウムとともに
コアにドープされた酸化ボロンは、屈折率を低下させる
作用を有するので、所定の比屈折率差の光ファイバ型回
折格子を作製する場合、酸化ゲルマニウムのドーパント
濃度を増加することが可能となる。これによりガラス中
のゲルマニウム濃度が増加すれば、その酸素欠損型の欠
陥も増加する。
【0014】さらに、本発明者らは、ボロン自身が欠陥
の数を増やす作用を有していることを見出だした。これ
は、酸化ボロンをドープすることによりガラス転移温度
が低くなるため、酸化ゲルマニウムのみをドープした場
合よりも欠陥形成が促進されるためと考えられる。
【0015】したがって、酸化ボロンを酸化ゲルマニウ
ムとともにドープすることにより、ガラスの屈折率を低
下させて酸化ゲルマニウムのドープ量増加を可能にする
作用と、欠陥形成促進の作用とが相まって、酸素欠損型
の欠陥の数が増加する。これにより、コアの屈折率変化
量も上昇するので、光導波路型回折格子の反射率が上昇
する。
【0016】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の実施
例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の
要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】まず、第1の実施例について説明する。本
実施例では、コアに回折格子を形成するための光導波路
として、石英ガラス(SiO2 )を主成分とする石英系
光ファイバを用いた。この光ファイバは、石英ガラスに
酸化ゲルマニウム(GeO2)及び酸化ボロン(B2
3 )が共添加されたコアと、石英ガラスからなり、コア
より低屈折率のクラッドとを備えている。
【0018】この回折格子作製用の光ファイバは、例え
ば、公知のMCVD法、VAD法、ロッドインチューブ
法等により作製された光ファイバ母材を、電気炉で加熱
して線引きする通常の製法により作製されたもので良
い。
【0019】例えば、MCVD法の場合は、天然石英管
内に、四塩化ケイ素(SiCl4 )、四塩化ゲルマニウ
ム(GeCl4 )及び臭化ボロン(BBr3 )を含む原
料ガスを送り込み、管の外側からバーナーで加熱して管
の内側にコアとなるべきガラス層を堆積させた後、中実
化を行って母材を作製する。
【0020】酸化ゲルマニウムは屈折率を高めるドーパ
ントであり、酸化ボロンは屈折率を低下させるドーパン
トなので、これらのドーパント濃度は、結果としてコア
がクラッドよりも高屈折率になるように、すなわち比屈
折率差が正値になるように調節される。
【0021】本実施例では、酸化ゲルマニウムのドーパ
ント濃度を10wt%と決め、さらに酸化ボロンが20
wt%ドープされた光ファイバを用意した。比屈折率差
は、0.5%であった。また、比較のため、同じ酸化ゲ
ルマニウム濃度で、酸化ボロンがドープされていない光
ファイバも用意した。比屈折率差は、0.8%であっ
た。なお、wt%は、コアの重量に占めるドーパントの
重量の割合をいう。
【0022】次に、双方の光ファイバに紫外光を照射す
る。本実施例では、等ピッチの回折格子を作製するた
め、等間隔の干渉縞を生じさせながら紫外光を照射し
た。
【0023】紫外光の照射方法について詳しく説明す
る。図1は、照射方法を説明するための図である。図1
に示されるように、紫外光光源10から出力された紫外
光は、干渉手段20により干渉させられ、干渉縞を生じ
ながら光ファイバ40に照射される。
【0024】本実施例では、ホログラフィック干渉法に
より紫外光を干渉させた。この方法では、干渉手段20
は、図1のように、ビームスプリッタ21aと反射鏡2
1b、21cとから構成される。また、紫外光光源10
には、アルゴンレーザ光源11を用いた。
【0025】アルゴンレーザ光源11は、244nmの
コヒーレントな紫外光を連続発振する。この紫外光は、
ビームスプリッタ21aにより透過光と反射光の2光束
に分岐される。分岐された各光束は、それぞれ反射鏡2
1b及び21cによって反射され、コア41の軸方向に
対し互いに補角の関係にある74゜(図1における
α)、106゜(図1における180゜−α)の角度を
もって光ファイバに照射される。
【0026】分岐された各光束は干渉領域30にて干渉
し、所定間隔の干渉縞を形成しつつ、光ファイバ40に
照射される。照射された紫外光は、コア41に入射して
屈折率を変化させる。
【0027】図2は、光ファイバ40への紫外光の照射
を示した図である。光ファイバ40の径方向に対する紫
外光の入射角度θ(=90°−α)と紫外光の波長λと
を用いると、干渉縞の間隔Λは、 Λ=λ/(2sinθ) …(1) のように表される。したがって、コア41の紫外光入射
領域には、屈折率の変化した領域が干渉縞の間隔Λを周
期として光ファイバ40の光軸方向に沿って配列される
ので、ピッチΛの回折格子42が形成されることにな
る。
【0028】コア41の屈折率nと回折格子42の周期
Λを用いると、周知なブラッグの回折条件により、この
ファイバ型回折格子の反射波長λR は、 λR =2nΛ =λn/sinθ …(2) のように表される。なお、本実施例では、この反射波長
λR を1300nmに設定した。
【0029】上記の方法による紫外光の照射中は、LE
D光源からの光を光ファイバの一端から入射させ、他端
に接続されたスペクトルアナライザによりこの光の透過
スペクトルを測定することにより、コアにおける回折格
子の形成をリアルタイムでモニターした。ここで、スペ
クトルアナライザは、回折格子42を透過した光につい
て波長と光強度との関係を検出する。
【0030】紫外光の照射が開始されると回折格子の形
成が進むので、透過スペクトルにおいて透過光の強度が
反射波長を中心に減少する。透過スペクトルに変化がな
くなれば、回折格子の形成が飽和したと考えられるの
で、この時点で紫外光の照射を停止する。なお、本実施
例では、飽和時間は約40〜50分であった。
【0031】回折格子の形成が飽和した時点の透過スペ
クトルから、反射波長に対する反射率を算出することが
できる。これによると、10wt%の酸化ゲルマニウム
と20wt%の酸化ボロンがドープされた光ファイバに
形成された回折格子は、反射率が約70%であった。こ
れに対し、同じ濃度で酸化ゲルマニウムがドープされ、
酸化ボロンはドープされていない光ファイバに形成した
回折格子は、反射率が約15%と、実施例よりも格段に
低かった。
【0032】なお、上記実施例ではホログラフィック干
渉法を用いて紫外光の干渉縞を形成したが、代わりに位
相格子法を用いることもできる。
【0033】図3は、位相格子法を説明するための図で
ある。まず、光ファイバ40に干渉手段20たる位相格
子22を密着固定する。位相格子22には、等間隔で溝
を形成した石英板を用いることができる。位相格子22
の溝は、リソグラフィーと化学エッチングにより形成で
きるため、格子間隔は自由に選択でき、複雑な形状も可
能である。
【0034】次に、例えばKrFエキシマレーザ光源1
2(紫外光光源10)をパルス光源として用い、波長2
48nmの所定強度の紫外域パルス光を所定の周波数で
出力させ、図の様に位相格子の上面から所定時間照射す
る。なお、紫外光は連続発振させてもよい。
【0035】紫外光が位相格子22を透過すると、所定
間隔の干渉縞が形成され、干渉縞を形成したままコア4
1に入射するので、周期的な屈折率変化、すなわち回折
格子42がコア41に生じる。こうして、光ファイバ型
回折格子が作製される。
【0036】次に、第2実施例について説明する。本実
施例は、酸化ゲルマニウムや酸化ボロンのドーパント濃
度のみが第1実施例と異なる。本実施例において回折格
子作製用の光ファイバにドープされた酸化ゲルマニウム
の濃度は20wt%であり、酸化ボロンの濃度は30w
t%である。この光ファイバの比屈折率差は0.9%で
あった。また、比較例として、同じ濃度の酸化ゲルマニ
ウムのみをドープした作製用光ファイバも用意した。こ
の光ファイバの比屈折率差は1.5%であった。
【0037】それぞれの光ファイバに第1実施例と同様
に紫外光を照射して光ファイバ型回折格子を作製し、第
1実施例と同様にして反射率を測定した。これによる
と、酸化ボロンがドープされた光ファイバ型回折格子の
反射率は約95%と極めて高かったのに対し、酸化ボロ
ンかドープされていないものは約50%であった。な
お、回折格子の作製に当たっては、反射波長を1300
nmと設定した。
【0038】上記した第1、第2の実施例によれば、同
量の酸化ゲルマニウムがドープされた光ファイバに紫外
光を照射して回折格子を形成した場合、酸化ボロンをド
ープした光ファイバの方が反射率が格段に高い回折格子
が得られる。
【0039】このことをさらに明らかにする第3の実施
例を説明する。この実施例では、コアにドープする酸化
ゲルマニウムの濃度は全て15wt%と共通だが、ドー
プする酸化ボロンの濃度は0,10,20,30wt%
と異ならせた4本の光ファイバを用意し、それぞれに紫
外光を照射して光ファイバ型回折格子を作製した。
【0040】紫外光の照射は第1、第2実施例と同様に
行い、こうして作製した光ファイバ型回折格子について
第1、第2実施例と同様に反射率を測定した。なお、回
折格子の作製に当たって、反射波長は1300nmと設
定した。
【0041】図4は、酸化ボロンのドーパント濃度、作
製用ファイバの比屈折率差及び作製された光ファイバ型
回折格子の反射率を示した表であり、図5は、酸化ボロ
ンのドーパント濃度と、比屈折率差又は反射率との間の
関係を示したグラフである。なお、図6は、コアに酸化
ボロンがドープされない場合の、酸化ゲルマニウムのド
ーパント濃度と比屈折率差又は反射率との間の関係を示
す参考的グラフである。
【0042】図4,5から明らかなように、酸化ボロン
のドーパント濃度が増加するにつれて、作製された光フ
ァイバ型回折格子の反射率は上昇する。したがって、コ
アにドープされた酸化ボロンは、紫外光照射により生じ
る屈折率変化の量を大きくして、光ファイバ型回折格子
の反射率を高める作用を有するものと思われる。なお、
酸化ボロンは石英の屈折率を低下させるドーパントであ
るため、比屈折率差は、酸化ボロンのドーパント濃度が
増加するにつれて低下している。
【0043】なお、酸化ボロンのドーパント濃度は約4
0wt%以下であることが好ましい。これは、光ファイ
バ母材に約40wt%を超える酸化ボロンが含まれるよ
うになると、母材が割れやすくなり、光ファイバの製造
上好ましくないためである。また、酸化ゲルマニウムの
ドーパント濃度についても、同様の理由から、約60w
t%以下であることが好ましい。
【0044】光ファイバ型回折格子は、光ファイバのコ
アに回折格子を書き込んだものなので、通信用の光ファ
イバとの接続が容易という利点を有する。ここで、接続
損失を抑える観点から言えば、光ファイバ型回折格子と
通信用光ファイバの比屈折率差は同じであるのが好まし
い。
【0045】このことを考慮して、第4の実施例では、
回折格子作製用の光ファイバの比屈折率差を通常の通信
用光ファイバの0.9%に設定し、酸化ボロンのドーパ
ント濃度は0,10,20,30wt%と異ならせた4
本の光ファイバを用意して、それぞれに回折格子を書き
込んだ。紫外光の照射は、上記実施例と同様に行った。
また、反射波長は1300nmに設定した。
【0046】作製された光ファイバ型回折格子の反射率
を上記実施例と同様に測定した。この結果を図に示す。
ここで、図7は、酸化ゲルマニウム及び酸化ボロンのド
ーパント濃度、作製された光ファイバ型回折格子の反射
率並びに作製用ファイバの比屈折率差を示した表であ
り、図8は、酸化ボロンのドーパント濃度と、酸化ゲル
マニウムのドーパント濃度又は反射率との間の関係を示
したグラフである。
【0047】酸化ボロンは石英ガラスの屈折率を低下さ
せる作用を有するので、酸化ボロンが酸化ゲルマニウム
とともにコアにドープされた光ファイバを用いることに
より、比屈折率差を所定値に維持しつつ酸化ゲルマニウ
ムのドーパント濃度を増やすことができる。これによ
り、コア中の酸化ゲルマニウム濃度が増加し、酸素欠陥
の数も増加するので、紫外光の吸収による屈折率の変化
量も増加して高反射率の光ファイバ回折格子を作製しや
すくなる。
【0048】さらに、上述のように、酸化ボロンは、直
接、回折格子の反射率を上昇させる作用も有する。
【0049】したがって、酸化ゲルマニウムとともに酸
化ボロンがドープされた光ファイバを用意して、このコ
アに紫外光を入射させることで、酸化ボロンが有する反
射率上昇の作用と、石英の屈折率を低下させて酸化ゲル
マニウムのドーパント濃度増加を可能にする作用とが相
まって、極めて高反射率で、かつ、通信用光ファイバと
の好適な接続が可能な、理想的な光ファイバ回折格子を
容易に作製することができる。
【0050】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、様々な変形が可能である。例えば、光導波
路は光ファイバに限られず、薄膜導波路であってもよ
い。また、紫外光の照射方法は、上記実施例の以外にも
種々の方法が可能であり、例えば、光導波路をその光軸
方向に沿って移動させながら紫外域パルス光を照射して
もよい。また、作製用のガラス光導波路のコアには、酸
化ゲルマニウム及び酸化ボロンに加えて、さらにフッ
素、五酸化リン等の他のドーパントがドープされていて
も、同様に反射率が向上した光導波路型回折格子を作製
できる。
【0051】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明の光
導波路型回折格子の作製方法では、第一の工程で用意し
たガラス光導波路の、酸化ゲルマニウム及び酸化ボロン
がドープされたコアの複数領域に紫外光を入射させるこ
とにより、複数の屈折率変化領域が光導波路の光軸方向
に沿って配列されるので、コアに回折格子が形成され
る。
【0052】ここで、酸化ゲルマニウムとともにコアに
ドープされた酸化ボロンは、ガラスの屈折率を低下させ
て酸化ゲルマニウムのドープ量増加を可能にする作用
と、酸素欠損型欠陥の形成を促進する作用とを有する。
そして、これら双方の作用が相まって、コア中の欠陥の
数が増加するので、これに伴い、コアの屈折率変化量も
上昇し、得られる光導波路型回折格子の反射率が格段に
上昇する。したがって、本発明によれば、反射率の十分
大きな光導波路型回折格子を容易に作製することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における紫外光の照射方法を説明する図
である。
【図2】光ファイバへの紫外光の照射を示した図であ
る。
【図3】位相格子法による紫外光の照射を説明する図で
ある。
【図4】酸化ボロンのドーパント濃度、作製用ファイバ
の比屈折率差及び作製された光ファイバ型回折格子の反
射率を示した図表である。
【図5】酸化ボロンのドーパント濃度と、比屈折率差又
は反射率との間の関係を示したグラフである。
【図6】コアに酸化ボロンがドープされていない場合
の、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度と比屈折率差又
は反射率との間の関係を示すグラフである。
【図7】酸化ゲルマニウム及び酸化ボロンのドーパント
濃度、作製された光ファイバ型回折格子の反射率並びに
作製用ファイバの比屈折率差を示した図表である。
【図8】酸化ボロンのドーパント濃度と、酸化ゲルマニ
ウムのドーパント濃度又は反射率との間の関係を示した
グラフである。
【符号の説明】
10…紫外光光源、20…干渉手段、21a…ビームス
プリッタ、21b,21c…反射鏡、22…位相格子、
30…干渉領域、40…光ファイバ、41…コア、42
…回折格子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂原 政一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ゲルマニウム及び酸化ボロンがドー
    プされたコアと、 前記コアよりも低屈折率のクラッドと、 を備えるガラス光導波路を用意する第一の工程と、 前記ガラス光導波路の前記コアにおける複数の所定領域
    に紫外光を入射させて、この所定領域の屈折率を変化さ
    せる第二の工程と、 を備える光導波路型回折格子の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記第一の工程において用意する前記ガ
    ラス光導波路の前記コアにドープされた前記酸化ボロン
    の濃度は、40wt%以下であることを特徴とする請求
    項1記載の光導波路型回折格子の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記第二の工程における前記紫外光の入
    射を、前記紫外光を干渉させて生じた干渉縞を前記ガラ
    ス光導波路に照射して行うことを特徴とする請求項1記
    載の光導波路型回折格子の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記紫外光を2本のコヒーレント光と
    し、 前記干渉縞は、この2本のコヒーレントな紫外光を、前
    記ガラス光導波路の光軸に対し互いに補角の関係にある
    角度をもって、前記ガラス光導波路に照射することによ
    り生じさせることを特徴とする請求項3記載の光導波路
    型回折格子の作製方法。
  5. 【請求項5】 前記干渉縞は、前記紫外光に位相格子を
    透過させることにより生じさせることを特徴とする請求
    項3記載の光導波路型回折格子の作製方法。
JP6014571A 1994-02-08 1994-02-08 光導波路型回折格子の作製方法 Pending JPH07218712A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6014571A JPH07218712A (ja) 1994-02-08 1994-02-08 光導波路型回折格子の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6014571A JPH07218712A (ja) 1994-02-08 1994-02-08 光導波路型回折格子の作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07218712A true JPH07218712A (ja) 1995-08-18

Family

ID=11864854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6014571A Pending JPH07218712A (ja) 1994-02-08 1994-02-08 光導波路型回折格子の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07218712A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6246815B1 (en) 1996-08-12 2001-06-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Grating element, light wavelength selection utilizing the same, and optical signal transmitting system
CN107515205A (zh) * 2017-08-22 2017-12-26 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 石英玻璃光纤组分浓度计算方法及系统

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6246815B1 (en) 1996-08-12 2001-06-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Grating element, light wavelength selection utilizing the same, and optical signal transmitting system
CN107515205A (zh) * 2017-08-22 2017-12-26 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 石英玻璃光纤组分浓度计算方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5790726A (en) Optical waveguide and process for producing it
US6075625A (en) Photoinduced grating in B2 O3 containing glass
CA2239276C (en) Optical fiber grating and manufacturing method therefor
JP3727659B2 (ja) 光導波路デバイス
JP3725319B2 (ja) グレーティング形成用フォトセンシティブファイバの製造方法
US6229945B1 (en) Photo induced grating in B2O3 containing glass
JP3431046B2 (ja) 光導波路、その導波路部材、及びその製造方法
JPH07218712A (ja) 光導波路型回折格子の作製方法
JP2002258091A (ja) 光ファイバおよび光ファイバ型回折格子
JP3601103B2 (ja) 光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法
JP3596080B2 (ja) 光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法
JPH08286050A (ja) 光導波路型回折格子及びその作製方法
JPH07191210A (ja) 光導波路型回折格子の作製方法
JP3431048B2 (ja) 光導波路、その導波路部材、及びその製造方法
JPH07248430A (ja) 光導波路型回折格子及びその作製方法
JPH09243848A (ja) 光ファイバおよびファイバ型回折格子
JP3596079B2 (ja) 光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法
JPH07270606A (ja) 光導波路型回折格子の作製方法
JP3458870B2 (ja) 光ファイバ型回折格子の形成方法
JPH09203816A (ja) 光ファイバ母材の製造方法
JPH08286065A (ja) 平面光導波路の作製方法
JPH0843650A (ja) 光伝送線路およびそのモードフィールド径変換方法
JPH08286055A (ja) 光導波路、その導波路部材、及びその製造方法
JPH07244209A (ja) 光ファイバ型回折格子の作製方法
JPH07253506A (ja) 光ファイバ型回折格子の作製方法