JPH07253506A - 光ファイバ型回折格子の作製方法 - Google Patents

光ファイバ型回折格子の作製方法

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JPH07253506A
JPH07253506A JP6044229A JP4422994A JPH07253506A JP H07253506 A JPH07253506 A JP H07253506A JP 6044229 A JP6044229 A JP 6044229A JP 4422994 A JP4422994 A JP 4422994A JP H07253506 A JPH07253506 A JP H07253506A
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JP
Japan
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optical fiber
glass
diffraction grating
type diffraction
fiber type
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Application number
JP6044229A
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English (en)
Inventor
Maki Inai
麻紀 稲井
Masumi Ito
真澄 伊藤
Susumu Inoue
享 井上
Masaichi Mobara
政一 茂原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い反射率を有する光ファイバ型回折格子の
作製方法を提供する。 【構成】 本発明の方法では、内壁にガラス微粒子が堆
積したガラス管に還元剤を導入しながら中実化を行って
作製した母材からなる光ファイバに紫外光を照射して回
折格子を形成するので、光ファイバに紫外光を照射した
ときのガラスの屈折率変化量が大きい。したがって、屈
折率が大きく変化した屈折率変化部を光ファイバに形成
して、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を作製
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ内に回折格
子が形成された光ファイバ型回折格子の作製方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】光学素子の一種である回折格子には種々
の態様のものがあるが、光通信システム等に利用する場
合には、通信用光ファイバとの接続が容易で、挿入損失
の低い光ファイバ型回折格子が好適である。
【0003】従来の光ファイバ型回折格子の作製方法と
しては、特許出願公表昭62−500052に記載のも
のが知られている。これは、酸化ゲルマニウムを添加し
て高屈折率のコアを形成した石英系ファイバに強力な紫
外光を照射することより、コアに屈折率変化部を光軸に
沿って等間隔に配列して、回折格子を形成する方法であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の作製方
法では反射率が十分に大きい光ファイバ型回折格子を確
実に得ることは困難なため、現在、高反射率の光ファイ
バ型回折格子を作製する方法の実現が要望されている。
【0005】本発明は、上記の要望に応えるためになさ
れたもので、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子
の作製方法を提供することを目的とする
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明の光ファイバ型回折格子の作製方法は、
酸化ゲルマニウムがドープされたコアと、このコアより
も低屈折率のクラッドとを備えるガラス光ファイバに、
紫外光を照射し、コアにおいて複数の屈折率変化部を光
軸に沿って配列する光ファイバ型回折格子の作製方法で
あって、ガラス光ファイバの母材は、(a)中空のガラ
ス管を用意する第一の工程と、(b)ガラス管を加熱し
ながら、これにガラス原料ガス及びゲルマニウムを含む
ドーパント原料ガスを導入して、ガラス管内にガラス微
粒子を堆積させる第二の工程と、(c)ガラス管を加熱
して、堆積したガラス微粒子を透明ガラス化する第三の
工程と、(d)ガラス管内に酸化物を還元する還元剤を
導入しながら、ガラス管を加熱して中実化する第四の工
程とを備える方法により作製されたものであることを特
徴としている。
【0007】ここで、還元剤としては、塩素、フッ素、
四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム及び四フッ化ケイ素
のいずれか一つ以上を成分とする気体を用いることがで
きる。
【0008】上記の作製方法において、第三の工程にお
ける透明ガラス化は、ガラス管内に四塩化ゲルマニウム
を導入しながら行ってもよい。
【0009】また、第四の工程におけるガラス管の中実
化において、ガラス管に還元剤とともに不活性ガスを導
入してもよい。ここで、不活性ガスとしては、ヘリウ
ム、アルゴン及びネオンいずれか一つ以上を成分とする
気体を用いることができる。
【0010】また、ガラス原料ガスとして四塩化ケイ素
(SiCl4 )及び酸素を導入し、ドーパント原料ガス
として四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )及び酸素を導
入することができる。
【0011】また、第四の工程におけるガラス管の中実
化は、ガラス管内を約1700℃から約2100℃まで
の温度にして行うとよい。
【0012】また、上記の作製方法において、ガラス光
ファイバの母材は、(e)ガラス管とほぼ同じ屈折率を
有し、ガラス管を中実化して得られたガラス棒状体の外
径とほぼ等しい内径を有する略円筒状のガラス体を用意
する第五の工程と、(f)略円筒状のガラス体の内部に
ガラス棒状体を挿入する第六の工程とを、さらに備える
方法により作製されたものでもよい。
【0013】また、上記の作製方法において、紫外光の
照射は、紫外光を干渉させて生じた干渉縞をガラス光フ
ァイバに照射するものであってもよい。ここで、干渉縞
は、2本のコヒーレントな紫外光を、ガラス光ファイバ
の光軸に対し互いに補角の関係にある角度をもって、ガ
ラス光ファイバに照射することにより生じたものであっ
てもよいし、紫外光を位相格子に照射することにより、
紫外光が位相格子を透過して生じたものであってもよ
い。
【0014】
【作用】酸化ゲルマニウムがドープされたコアを備える
ガラス光ファイバに紫外光を照射すると、コアに紫外光
が入射し、紫外光が入射した部分の屈折率が変化(上
昇)する。
【0015】紫外光の入射によりガラスの屈折率が変化
するメカニズムは、完全には解明されてはいない。しか
しながら、屈折率変化の重要な要因として、ガラス中の
ゲルマニウムに関連した酸素欠損型の欠陥が考えられて
おり、Si−GeまたはGe−Geなどの中性酸素モノ
空孔が想定されている。
【0016】屈折率変化のメカニズムとして提案されて
いるクラマース・クローニッヒ機構によれば、屈折率変
化は以下のように説明される。すなわち、上記の欠陥は
波長240〜250nmの紫外光を吸収し、この吸収に
よりSi−GeまたはGe−Ge結合が切れて、新たな
欠陥が生じる。この新たな欠陥は、波長210nmおよ
び280nm付近を中心に吸収帯を形成する。その結
果、クラマース・クローニッヒの関係に従いガラスの屈
折率が変化する。
【0017】本発明で紫外光を照射する光ファイバの母
材は、ガラス微粒子が堆積したガラス管に還元剤を導入
しながら中実化を行って作製したものであるから、還元
剤の還元作用により、ガラス微粒子に含まれるSiO2
のSi−O結合や、GeO2のGe−O結合が切れて、
Si−Ge結合やGe−Ge結合を有する酸素欠損型の
欠陥構造が形成されやすくなる。これにより、酸素欠損
型の欠陥の数が増加するので、紫外光の吸収による屈折
率変化量も大きくなる。したがって、本発明の方法によ
れば、屈折率が大きく変化した屈折率変化部を光ファイ
バに形成して、高い反射率を有する光ファイバ型回折格
子を作製することができる。
【0018】ここで、前記ガラス管内に四塩化ゲルマニ
ウムを導入しながら透明ガラス化を行なうと、ガラス管
の内壁に堆積したガラス層から揮散する酸化ゲルマニウ
ムが補充され、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度が高
まる。
【0019】これにより、ガラス中に含まれる酸化ゲル
マニウムが増加すれば、酸素欠損型の欠陥の数が増加す
るので、紫外光の吸収による屈折率変化量も大きくな
り、作製される光ファイバ型回折格子は高い反射率を有
する。
【0020】また、本発明者らの知見によれば、中実化
の際に還元剤とともに不活性ガスを導入すると、作製さ
れる光ファイバ型回折格子の反射率が上昇しやすくな
る。
【0021】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の実施
例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の
要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】以下に説明する第一の実施例では、最初
に、紫外光照射用の光ファイバを作製した。この光ファ
イバの母材は、一般的なMCVD装置を用いて作製し
た。以下、作製方法について説明する。
【0023】まず、第一の工程として、略円筒状の天然
石英管100を用意する。ここで、天然石英とは、天然
に産する水晶を粉砕し、これを酸水素炎やアーク炉やカ
ーボン発熱体の電気炉などで溶融して作製される透明な
石英ガラスである。
【0024】次いで、石英管100を回転させながら管
の内部にガラスの原料ガスとドーパントの原料ガスとを
導入するとともに、石英管100を外側から酸水素炎バ
ーナ120を用いて加熱し、石英管100の内壁に石英
(SiO2 )ガラスの微粒子110を堆積させる。図1
は、このような石英管100へのガラス微粒子110の
内付けを示した図である。なお、酸水素炎バーナ120
の温度は、温度センサにより測定される管の中心付近の
温度が約1650℃となるように調節した。
【0025】ガラス原料ガスは、コアになるべき石英ガ
ラスの原料たる四塩化ケイ素(SiCl4 )と、この搬
送ガスである酸素とからなる。また、ドーパントの原料
ガスは、四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )と、この搬
送ガスである酸素とからなる。これらは、図示しないサ
チュレータからガス管を通じて石英管100に送り込ま
れる。
【0026】これにより、次のような熱酸化反応が石英
管100の内部で生じる。
【0027】
【化1】
【0028】上記の反応により管内で生成した石英ガラ
スの微粒子110は、石英管100の内壁に付着して堆
積する。管内で生成した酸化ゲルマニウム(Ge
)の微粒子も同時に堆積する。
【0029】バーナ120を石英管100の軸に沿って
原料ガスの流れの方向にゆっくり移動させると、バーナ
120の移動に応じて継続的にガラス微粒子110が堆
積されてゆく。石英管100は回転しているので、石英
菅の内壁全面にガラス微粒子110が堆積する。そし
て、堆積が終了したら、ガラス及びドーパント双方の原
料ガスの供給を停止する。
【0030】次に、第三の工程として、堆積したガラス
微粒子110の透明化を行う。ここでは、MCVD法で
一般的に行われているように、石英管100内に気体の
塩素(Cl2 )と酸素(O2 )を送り込んだ。塩素の流
量は約100cc/min、酸素の流量は約900cc
/minとした。なお、塩素は脱水作用を有しており、
管内の水分を除く働きをする。また、酸素は、酸化ゲル
マニウムの揮散を抑えて、ドーパント濃度の低下を抑制
する作用を有する。
【0031】ここでも、第二工程と同様に石英管100
を回転させ、酸水素炎バーナ120を石英管100の軸
に沿って上記気体の流れの方向にゆっくり移動させる。
ここで、酸水素炎バーナ120の温度は、管の中心付近
の温度が約1700〜1800℃程度となるように第二
工程よりやや高温に調節した。
【0032】バーナ120による加熱により、石英管1
00の内壁に堆積したガラス微粒子110の層は透明な
ガラス層となる。ガラス微粒子110とともに堆積され
ていた酸化ゲルマニウムの微粒子は、この透明ガラス化
の際に石英ガラスと良く混合される。こうして、酸化ゲ
ルマニウムがコアの石英ガラスにドープされる。
【0033】次いで、第四の工程として、通常のMCV
D法と同様の手順で、石英管100の中実化を行なう。
図2は、石英管100の中実化を示した図である。本実
施例では、石英管100内に塩素のみを導入しながら中
実化を行った。流量は、約500cc/minとした。
【0034】バーナ火炎の温度を第三の工程より上げ
て、管の中心付近の温度が約1800℃となるように調
節し、石英管100を回転させながら加熱する。これと
ともに、MCVD装置を操作して石英管100の管内圧
力の減圧度を調節すると、減圧度に応じて管の両端から
引張張力が加えられ、バーナ火炎の当たっている箇所で
石英管100の空洞がつぶれる。こうして、石英管10
0が中実化される。なお、本実施例では、減圧度は約5
mmH2 Oであった。
【0035】バーナ120を軸方向に沿って移動させる
と、石英管100は連続的につぶれてゆき、最終的に
は、棒状体のガラス(ガラスロッド)になる。このガラ
スロッドは、酸化ゲルマニウムがドープされた石英ガラ
スからなるコアロッドと、このコアロッドを被覆する純
石英ガラス層からなる。
【0036】なお、中実化の際のバーナ火炎の温度は、
約1700℃以下では石英管100がつぶれず、約21
00℃以上ではガラスが溶融してしまうことから、石英
管100の中心付近の温度が約1700〜2100℃と
なる温度であることが好ましい。
【0037】次に、第五の工程として、通常のロッドイ
ンチューブ法のように、上記のガラスロッドをクラッド
チューブに挿入し、真空中で加熱してガラスロッドとク
ラッドチューブを融着させて、光ファイバ母材(プリフ
ォーム)とする。ここで、クラッドチューブは、石英管
100と同じ屈折率の純石英ガラスからなる。なお、こ
の工程は、クラッドの厚さの調整のためであり、実際に
は第四の工程により得られたガラスロッドをプリフォー
ムとすることも可能である。この場合は、石英管100
の管壁がそのままクラッドとなる。
【0038】次いで、第六の工程として、上記のプリフ
ォームを電気炉で2000℃程度に加熱して溶融状態に
した後、線引きする。これにより、光ファイバが得られ
る。なお、この光ファイバの比屈折率差は、約1.50
%であった。
【0039】次に、この様にして得られた光ファイバ
に、干渉縞を生じさせながら紫外光を照射して、コアに
回折格子を形成する。図3は、この照射方法を説明する
ための図である。
【0040】本実施例では、ホログラフィック干渉法に
より紫外光を干渉させた。この方法では、干渉手段20
は、図3のように、ビームスプリッタ21aと反射鏡2
1b、21cとから構成される。また、紫外光光源10
には、アルゴンレーザ光源11を用いた。
【0041】アルゴンレーザ光源11は、244nmの
コヒーレントな紫外光を連続発振する。この紫外光は、
ビームスプリッタ21aにより透過光と反射光の2光束
に分岐される。分岐された各光束は、それぞれ反射鏡2
1b及び21cによって反射され、コア41の軸方向に
対し互いに補角の関係にある74゜(図3における
α)、106゜(図3における180゜−α)の角度を
もって光ファイバ40に照射される。
【0042】分岐された各光束は干渉領域30にて干渉
し、所定間隔の干渉縞を形成しつつ、光ファイバ40に
照射される。そして、照射された紫外光は、クラッド4
2を透過し、コア41に入射して、入射した部分の屈折
率を変化させる。
【0043】図4は、光ファイバ40への紫外光の照射
を示した図である。光ファイバ40の径方向に対する紫
外光の入射角度θ(=90°−α)と紫外光の波長λと
を用いると、干渉縞の間隔Λは、 Λ=λ/(2sinθ) …(1) のように表される。したがって、コア41には、複数の
屈折率変化部43が干渉縞の間隔Λを周期として光ファ
イバ40の光軸に沿って配列され、格子間隔Λの回折格
子44がコア41に形成されることになる。こうして、
等格子間隔の回折格子44をコア41に有する光ファイ
バ型回折格子が完成する。なお、回折格子44が形成さ
れた領域(回折格子領域)の光軸に沿った長さは、約4
mmであった。
【0044】屈折率変化部43を除くコア41の屈折率
1 と回折格子44の格子間隔Λを用いると、周知なブ
ラッグの回折条件により、この光ファイバ型回折格子の
反射波長λR は、 λR =2・n1 ・Λ =λ・n1 /sinθ …(2) のように表される。なお、本実施例では、この反射波長
λR を1300nmに設定した。
【0045】なお、紫外光の照射中は、LED光源から
の光を光ファイバ40の一端から入射させ、他端に接続
されたスペクトルアナライザでこの光の透過スペクトル
を測定して、回折格子44の形成をリアルタイムでモニ
ターした。ここで、スペクトルアナライザは、回折格子
44を透過した光について波長と透過率との関係を測定
する。
【0046】紫外光の照射が開始されると回折格子44
の形成が進むので、透過スペクトルにおいて透過光の強
度が反射波長を中心に減少する。透過スペクトルに変化
がなくなれば、回折格子44の形成が飽和したと考えら
れるので、この時点で紫外光の照射を停止する。なお、
本実施例では、飽和時間は約40〜50分であった。
【0047】反射率は、100%から透過率を差し引い
て求まるので、回折格子44の形成が飽和した時点の透
過スペクトルから、波長と反射率との関係を示した反射
スペクトルを求めることができる。その結果、本実施例
で作製された光ファイバ型回折格子の反射率は約97.
4%であり、良好な結果を得た。
【0048】本発明者らは、上記実施例との比較のた
め、通常のVAD法で作製した比屈折率差1.50%の
光ファイバに上記実施例と同じ方法で回折格子を形成し
て、反射率を測定した。反射率は約10%であり、本実
施例で作製した光ファイバ型回折格子より低かった。こ
れは、VAD法では、加水分解反応でガラスを合成し、
比較的低温(1500℃程度)で焼結による透明ガラス
化を行うので、紫外光を吸収するガラス欠陥が生成され
にくいためと考えられる。.なお、上記実施例ではホロ
グラフィック干渉法を用いて紫外光を光ファイバ40に
照射したが、代わりに位相格子法を用いることもでき
る。
【0049】図5は、位相格子法を説明するための図で
ある。まず、光ファイバ40に干渉手段20たる位相格
子22を密着固定する。位相格子22には、等間隔で溝
を形成した石英板を用いることができる。位相格子22
の溝は、リソグラフィーと化学エッチングにより形成で
きるため、格子間隔は自由に選択でき、複雑な形状も可
能である。
【0050】次に、例えばKrFエキシマレーザ光源1
2(紫外光光源10)をパルス光源として用い、波長2
48nmの所定強度の紫外域パルス光を所定の周波数で
出力させ、図5の様に位相格子の上面から所定時間照射
する。なお、紫外光は連続発振させてもよい。
【0051】紫外光が位相格子22を透過すると、所定
間隔の干渉縞が形成され、紫外光は干渉縞を形成しなが
らクラッド42を透過してコア41に入射するので、等
間隔に屈折率変化部43が配列され、等間隔の回折格子
44がコア41に形成される。こうして、等格子間隔の
回折格子44を有する光ファイバ型回折格子が完成す
る。
【0052】続いて、第二実施例から第六実施例までを
説明する。以下の実施例は、第一実施例と同様の方法に
より光ファイバ型回折格子を作製したものであるが、光
ファイバ母材の作製において石英管内に導入する気体の
種類や流量が異なっている。なお、図6は、各実施例ご
とに導入気体の種類と流量を示した表である。
【0053】まず、第二実施例について説明する。図6
に示されるように、本実施例では、透明ガラス化の際に
導入する気体の種類は第一実施例と同じであるが、その
流量が異なっている。また、中実化の際には、第一実施
例の様に塩素だけではなく、酸素も導入している。これ
は、通常のMCVD法において、中実化の際に、酸化ゲ
ルマニウムの揮散を防ぐ目的で酸素が導入されているこ
とに鑑みたものである。
【0054】本実施例で作製された光ファイバ型回折格
子の反射率は、約70%であった。なお、本実施例で
は、中実化の温度は約1800℃、減圧度は約25mm
2 Oであった。また、本実施例で作製した光ファイバ
の比屈折率差は、約1.50%であった。
【0055】次に、第三の実施例について説明する。図
6に示されるように、本実施例の導入気体の種類は第二
実施例と同じであり、流量のみが異なっている。作製さ
れた光ファイバ型回折格子の反射率は、約40%であっ
た。なお、本実施例では、中実化の温度は約1800
℃、減圧度は約25mmH2 Oであった。また、本実施
例で作製した光ファイバの比屈折率差は、約1.50%
であった。
【0056】続いて、第四の実施例について説明する。
本実施例では、透明ガラス化の際に塩素を導入せず、四
塩化ゲルマニウムと酸素を導入している。四塩化ゲルマ
ニウムの流量は約140cc/min、酸素の流量は約
760cc/minとした。この四塩化ゲルマニウムの
導入により、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度が増加
することになる。
【0057】また、本実施例では、中実化の際に、上記
実施例のように酸素を導入せず、代わりにヘリウムを導
入した。酸素は酸化ゲルマニウムの揮散を防ぐ働きをす
るため通常は導入されるが、本実施例では透明化の際に
四塩化ゲルマニウムを導入して酸化ゲルマニウムのドー
パント濃度を高めているので、酸素の代わりに別の気体
を導入しても、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度が減
少し過ぎることはない。
【0058】本実施例では、塩素及びヘリウムの流量
を、ともに約500cc/minとした。また、中実化
の温度は約1800℃、減圧度は約30mmH2 Oであ
った。得られた光ファイバ型回折格子の反射率は約85
%であった。なお、本実施例で作製した光ファイバの比
屈折率差は、約1.53%であった。
【0059】第五実施例は、図6に示されるように、導
入気体の種類は第四実施例と同じで、流量のみが異なっ
ている。本実施例では、透明化の際の四塩化ゲルマニウ
ムの流量を、第五実施例より増やして約425cc/m
inとし、酸素の流量は約475cc/minとした。
また、中実化の際の塩素の流量は約100cc/mi
n、ヘリウムの流量は約900cc/minとした。中
実化の温度は約1800℃、減圧度は約28mmH2
であった。また、作製した光ファイバの比屈折率差は、
約1.50%であった。そして、この光ファイバに紫外
光を照射して作製した光ファイバ型回折格子の反射率
は、約52%であった。
【0060】図7は、第一実施例から第五実施例までに
ついて、中実化の際に導入する全気体に占める塩素の割
合(Cl2 濃度)と、得られた光ファイバ型回折格子の
反射率との関係を示した図である。この図に示されるよ
うに、塩素とともに導入する気体がヘリウムの方が、酸
素の場合よりも反射率の高い光ファイバ型回折格子を作
製している。
【0061】続いて、第六の実施例について説明する。
本実施例では、第四、五実施例と同様に、透明ガラス化
の際に四塩化ゲルマニウムと酸素を導入している。四塩
化ゲルマニウムの流量は約425cc/min、酸素の
流量は約475cc/minとした。この四塩化ゲルマ
ニウムの導入により、酸化ゲルマニウムのドーパント濃
度が増加することになる。また、図6に示されるよう
に、本実施例では、中実化の際に、酸化ゲルマニウムの
揮散を防ぐ酸素を多く導入している。これにより、ドー
パント濃度はいっそう高められる。
【0062】本実施例で作製した光ファイバの比屈折率
差は、約3.50%であり、上記の実施例に比べてかな
り高くなっているが、これは、上述したように、酸化ゲ
ルマニウムのドーパント濃度が高いためである。なお、
本実施例において、中実化の温度は約1800℃、減圧
度は約27mmH2 Oであった。
【0063】このようにして作製した光ファイバに紫外
光を照射した作製した光ファイバ型回折格子について、
反射率を測定したところ、約99.7%であり、非常に
良好な結果を得た。
【0064】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、様々な変形が可能である。例えば、中実化
の際に導入する還元剤としては、塩素以外にもフッ素、
四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四フッ化ケイ素等
の気体を用いることができる。また、これらの気体のう
ち数種類を同時に導入しても良い。
【0065】また、上記の還元剤と同時に導入する不活
性ガスとして、ヘリウムの代わりに、気体のアルゴンや
ネオンを用いることができると考えられ、これらの気体
のうち数種類を同時に導入しても良い。
【0066】また、公知のMCVD法と同様に、光ファ
イバ母材の作製にあたっては、ドーパントの原料ガスと
して本実施例の四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )及び
酸素に加えて、他のドーパント原料ガスを同時に導入す
ることができる。例えば、酸化ゲルマニウムに加えて酸
化ボロン(B2 3 )がコアにドープされた光ファイバ
を作製する場合は、四塩化ゲルマニウムと搬送ガスたる
酸素に加えて、臭化ボロン(BBr3 )とこの搬送ガス
たる酸素を石英管に導入する。他のドーパントをドープ
する場合も、このようにMCVD法に準じてドーパント
原料ガスを導入すれば良い。
【0067】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明の作
製方法で紫外光を照射するガラス光ファイバの母材は、
内壁にガラス微粒子が堆積したガラス管に還元剤を導入
しながら中実化を行って作製したものであるから、光フ
ァイバに紫外光を照射したときのガラスの屈折率変化量
が大きい。したがって、本発明の方法によれば、屈折率
が大きく変化した屈折率変化部を光ファイバに形成し
て、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を作製す
ることができる。
【0068】また、紫外光照射用の光ファイバの作製に
おいて、ガラス管内に四塩化ゲルマニウムを導入しなが
ら透明ガラス化を行なうと、ガラス管の内壁に堆積した
ガラス層から揮散する酸化ゲルマニウムが補充され、酸
化ゲルマニウムのドーパント濃度が高まる。これによ
り、紫外光の吸収による屈折率変化量が大きくなるの
で、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を作製す
ることができる。
【0069】また、中実化の際に還元剤とともに不活性
ガスを導入すると、作製される光ファイバ型回折格子の
反射率が上昇しやすくなるので、高い反射率を有する光
ファイバ型回折格子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】石英管へのガラス微粒子の内付けを示した図で
ある。
【図2】石英管の中実化を示した図である。
【図3】ホログラフィック干渉法による紫外光照射を示
した図である。
【図4】光ファイバへの紫外光の照射を示した図であ
る。
【図5】位相格子法による紫外光照射を示した図であ
る。
【図6】各実施例ごとに導入気体の種類と流量を示した
図表である。
【図7】中実化の際に導入する全気体に占める塩素の割
合と、得られた光ファイバ型回折格子の反射率との関係
を示した図である。
【符号の説明】
10…紫外光光源、20…干渉手段、21a…ビームス
プリッタ、21b,21c…反射鏡、22…位相格子、
30…干渉領域、40…光ファイバ型回折格子、41…
コア、42…クラッド、43…屈折率変化部、44…回
折格子、100…天然石英管、110…石英ガラスの微
粒子、120…酸水素炎バーナ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂原 政一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ゲルマニウムがドープされたコア
    と、このコアよりも低屈折率のクラッドとを備えるガラ
    ス光ファイバに、紫外光を照射し、前記コアにおいて複
    数の屈折率変化部を光軸に沿って配列する光ファイバ型
    回折格子の作製方法において、 前記ガラス光ファイバの母材は、 中空のガラス管を用意する第一の工程と、 前記ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガス及
    びゲルマニウムを含むドーパント原料ガスを導入して、
    前記ガラス管内にガラス微粒子を堆積させる第二の工程
    と、 前記ガラス管を加熱して、前記第二の工程で堆積した前
    記ガラス微粒子を透明ガラス化する第三の工程と、 前記ガラス管内に酸化物を還元する還元剤を導入しなが
    ら、前記ガラス管を加熱して中実化する第四の工程と、 を備える方法により作製されたものであることを特徴と
    する光ファイバ型回折格子の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記還元剤は、塩素、フッ素、四塩化ケ
    イ素、四塩化ゲルマニウム及び四フッ化ケイ素のいずれ
    か一つ以上を成分とする気体であることを特徴とする請
    求項1記載の光ファイバ型回折格子の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記第三の工程における前記透明ガラス
    化は、前記ガラス管内に四塩化ゲルマニウムを導入しな
    がら行うことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型
    回折格子の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記第四の工程における前記ガラス管の
    中実化において、前記ガラス管に前記還元剤とともに不
    活性ガスを導入することを特徴とする請求項1記載の光
    ファイバ型回折格子の作製方法。
  5. 【請求項5】 前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン
    及びネオンいずれか一つ以上を成分とする気体であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の光ファイバ型回折格子の
    作製方法。
  6. 【請求項6】 前記ガラス原料ガスとして四塩化ケイ素
    及び酸素を導入し、前記ドーパント原料ガスとして四塩
    化ゲルマニウム及び酸素を導入することを特徴とする請
    求項1記載の光ファイバ型回折格子の作製方法。
  7. 【請求項7】 前記第四の工程における前記ガラス管の
    中実化を、前記ガラス管内を約1700℃から約210
    0℃までの温度にして行うことを特徴とする請求項1記
    載の光ファイバ型回折格子の作製方法。
  8. 【請求項8】 前記ガラス光ファイバの母材は、 前記ガラス管とほぼ同じ屈折率を有し、前記ガラス管を
    中実化して得られたガラス棒状体の外径とほぼ等しい内
    径を有する略円筒状のガラス体を用意する第五の工程
    と、 前記ガラス棒状体を、略円筒状の前記ガラス体の内部に
    挿入する第六の工程と、 をさらに備える方法により作製されたものであることを
    特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子の作製
    方法。
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