JPH07217020A - プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造の壁接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 柱型や梁型の出っ張りのない使い勝手のよい
集合住宅等の構造を、プレキャスト式鉄筋コンクリート
壁で構成する場合の、壁と壁、或いは壁と床スラブの簡
便で合理的な接合構造と工法を提供する。 【構成】 互いに接合しようとする壁の突き合わせ端
に、壁面に沿って、内部鉄筋を重ね継手するだけ壁面に
沿って切欠き鉄筋を重ね継手とし、切欠き部に外部より
モルタル類を吹きつけて表面をこて仕上げして接合部を
構成する。なお、床スラブと壁を接合した後、ハーフプ
レキャスト床スラブとして現場打ちコンクリートを施工
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレキャスト式鉄筋コ
ンクリート造の短辺方向の戸境壁と長辺方向の開口付き
桁行壁からなる連続集合住宅等に於ける壁と壁或いは壁
と床スラブとの接合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】集合住宅等に於いて短辺方向の戸境壁、
或いは妻壁と長辺方向の開口付き桁行壁で鉛直荷重及び
地震荷重に抵抗する壁式構造は、室内に柱型或いは梁型
の突起が出来ないので、使い勝手がよく屡用いられる。
しかし従来は多量の型枠を用いた現場打ちコンクリート
造であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述のような壁式集合
住宅を従来のように現場打ちコンクリート造とすると、
型枠の施工は容易である反面、型枠の量が多くなり、通
常のラーメン構造に比べてコストメリットが悪い。そこ
で古くからプレキャスト化が試みられてきたが、壁と壁
及び壁と床の接合構造に、決定的な決め手がなく接合部
にコストと手間が掛かるのが現状であった。本発明は、
この問題を解決して、ローコストで手間の掛からないプ
レキャスト式鉄筋コンクリート壁の壁と壁及び壁と床ス
ラブとの接合構造を提供する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】プレキャスト戸境壁及び
桁行壁と床スラブの接合は、プレキャスト壁の下部の片
面に壁と平行な切欠きを設け、プレキャスト壁の縦筋を
伸ばしておき、下階床スラブから伸び出した鉄筋と重ね
継手とし、重ね継手配筋後、前記プレキャスト壁の切欠
き部にモルタル或いはコンクリート（以下モルタル類と
言う）を吹きつけて一体とし、表面をこて仕上げして接
合を構成する。

【０００５】壁と壁の接合の場合は、接合しようとする
プレキャスト壁の突き合わせ端に切欠きを設け、それぞ
れのプレキャスト壁の鉄筋を伸ばしておき、接合しよう
とする部位で重ね継手とし、重ね継手配筋後切欠き部に
モルタル類を吹きつけて一体化し、表面をこて仕上げし
て接合を構成する。

【０００６】妻壁と戸境壁、開口部を持った桁行壁及び
床スラブから構成される集合住宅等の場合の施工手順
は、戸境壁を建込み、バルコニー側と廊下側の桁行壁を
建込み、次いで下階床スラブとプレキャスト壁及びプレ
キャスト壁同志の接合の重ね継手配筋を施工し、接合部
にモルタル類吹きつけを施工し、上階床のハーフプレキ
ャストスラブを設置し、スラブ上端配筋を施工後、スラ
ブコンクリートを打設することを各階とも繰り返して完
成する。

【０００７】

【実施例】プレキャスト壁同志或いは床スラブとの接合
構造の基本形を図１に示す。

【０００８】プレキャスト壁の接合しようとする一端を
壁面に沿って切欠き、該切欠きの長さＬは鉄筋の重ね継
手に必要な長さとする。プレキャスト壁内の配筋は、通
常の現場打ちコンクリートの場合と同じにし、切欠き部
の縦筋１は伸ばしておき、下階からの鉄筋と重ね継手を
し、横筋２を現場施工した後前記切欠き部にモルタル類
を吹きつけて、下階と一体化し表面をこてで仕上げて接
合を完成する。なお下階からの配筋は、プレキャスト壁
の配筋と同径、同間隔が原則だが、同径で間隔を半分に
し、一列配筋とすることも、また大径で本数を少なくす
ることも出来る。接合一体化を高めるため図２に示すよ
うにプレキャスト壁の切欠き部の端にコッタ３や、ディ
ンプル４を設ければ更に有効である。

【０００９】図３に戸境壁５と窓側の桁行壁６とドア側
の桁行壁７とハーフプレキャスト床８よりなる集合住宅
等の上面図を示す。図４は図３のＡ視図である。図５に
前記集合住宅の戸境壁５と桁行壁６で接合のために必要
な切欠き部位を示す。桁行壁６は図５（ｂ）に示すよう
に開口部を一枚のプレキャスト壁にもってもよいし、図
５（ｃ）に示すように開口部で２分するような構造でも
よい。

【００１０】図６、図７、図８、図９はそれぞれ接合構
造の詳細図を示す。図６は、プレキャスト戸境壁５と床
スラブの接合部の詳細で、壁梁が無い場合である。横筋
２は現場施工とする。

【００１１】図７は、プレキャスト戸境壁５と床スラブ
の接合部構造の詳細で、壁梁がある場合である。差筋９
と上階のプレキャスト壁の縦筋１は、重ね継手とし横筋
２と壁梁のスタラップ筋１０内の上端筋１１は現場施工
とする。

【００１２】図８は、壁梁の無い位置での戸境壁５と桁
行壁６、７の接合部の詳細を示す。

【００１３】接合部縦筋１２と接合部横筋１３と交叉部
補強筋１６は現場施工とする。

【００１４】図９は、壁梁のある位置での戸境壁５と桁
行壁６、７の接合部の詳細である。

【００１５】交叉部補強筋１６、接合部縦筋１２、梁主
筋１４は現場施工とする。なお、接合部の切欠きは図１
０のように逆向きの場合も可能である。

【００１６】

【発明の効果】本発明野効果は、次の通りである。

【００１７】（イ）スプライススリーブや金物の埋め込
みがなく、単純な平板で、配筋は通常の壁式構造の配筋
と同じで、特殊な配筋がないプレキャスト壁の製作は容
易で、かつローコストである。

【００１８】（ロ）図１１に示すように、薄肉部で鉛直
荷重を支えるので倒れを支えるだけでよい。また、薄肉
部が吹きつけコンクリートの片面型枠となり型枠は一切
不要であるし、現場での鉄筋の接合は重ね継手で非常に
簡単で、現場施工が極めて容易である。

【００１９】（ハ）吹きつけは、こて仕上げを行うので
目違いが発生しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】プレキャスト壁同志或いは床スラブとの接合構
造の基本形を示す図である。

【図２】接合部の一体化を高めるためプレキャスト壁の
切欠き部の端にコッタや、ディンプルを設けたところを
示す図である。

【図３】戸境壁とバルコニー側の桁行壁と廊下側の桁行
壁とハーフプレキャスト床よりなる集合住宅等の上面図
を示す。

【図４】図３のＡ視図である。

【図５】集合住宅の戸境壁と桁行壁で接合のために必要
な切欠き部位を示す図である。

【図６】プレキャスト戸境壁と床スラブの接合部の詳細
で、壁梁が無い場合を示す図である。

【図７】プレキャスト戸境壁と床スラブの接合部構造の
詳細で、壁梁がある場合を示す図である。

【図８】壁梁の無い位置での戸境壁と桁行壁の接合部の
詳細を示す図である。

【図９】（ａ）壁梁のある位置での戸境壁と桁行壁の接
合部の詳細平面図である。 （ｂ）図９（ａ）の立面図である。

【図１０】戸境壁と桁行壁の別の組み合わせを示す図で
ある。

【図１１】薄肉部で鉛直荷重を支え倒れを支える構造を
示す図である。

【符号の説明】

１・・・縦筋、２・・・横筋、３・・・コッタ、４・・
・ディンプル、５・・・戸境壁、６・・・バルコニー側
桁行壁、７・・・廊下側桁行壁、８・・・ハーフプレキ
ャスト板、９・・・差し筋、１０・・・スタラップ筋、
１１・・・壁梁の上端筋、１２・・・接合部縦筋、１３
・・・接合部横筋、１４・・・壁梁主筋、１５・・・床
スラブ、１６・・・交叉部補強筋、１７・・・倒れ防止

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造の
   妻壁、戸境壁と桁行壁と床スラブからなる建築物に於い
   て、壁と壁又は床スラブを接合する場合、突き合わせし
   た壁の部分を壁面に平行に切欠き、内部鉄筋を重ね継手
   とし、補強筋を現場施工して、該切欠き部に外部からモ
   ルタル類を吹きつけて一体化してなることを特徴とする
   プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造の壁接合構造。
2. 【請求項２】 戸境壁を建込み、バルコニー側と廊下側
   の桁行壁を建込み、次いで下階床スラブとプレキャスト
   壁及びプレキャスト壁同志の接合の重ね継手配筋を施工
   し、切欠き部にモルタル類を吹きつけて一体化し、上階
   床のハーフプレキャストスラブを設置し、スラブ上端配
   筋後スラブコンクリートを打設することを各階に繰り返
   してなることを特徴とするプレキャスト壁式鉄筋コンク
   リート造の工法。